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図面 (2)

課題

耐腐食性がより優れた熱交換器用チューブを提供する。

解決手段

Al合金押出管外表面に、Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなり、前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m2以上5g/m2以下の範囲であり、前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m2以上20g/m2以下の範囲であることを特徴とする熱交換器用チューブを採用する。

概要

背景

一般に、熱交換器は、図2に示されるように、ヘッダーパイプ5と称される左右一対管体と、そのヘッダーパイプ5の間に互いに平行に間隔を空けて設けられたアルミニウム合金からなる多数のチューブ1と、チューブ1、1同士の間に設けられたフィン6とで構成されている。そして各チューブ1…の内部空間とヘッダーパイプ5の内部空間を連通させ、ヘッダーパイプ5の内部空間と各チューブ1の内部空間に媒体循環させ、前記フィン6を介して効率良く熱交換ができるようになっている。

概要

耐腐食性がより優れた熱交換器用チューブを提供する。Al合金押出管外表面に、Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなり、前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m2以上5g/m2以下の範囲であり、前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m2以上20g/m2以下の範囲であることを特徴とする熱交換器用チューブを採用する。 なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐腐食性がより優れた熱交換器用チューブを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
4件

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請求項1

Al合金押出管外表面に、Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなり、前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m2以上5g/m2以下の範囲であり、前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m2以上20g/m2以下の範囲であることを特徴とする熱交換器用チューブ

請求項2

前記Zn含有フラックスは、ZnF2、ZnCl2、KZnF3のうちの少なくとも1種以上のZn化合物を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用チューブ。

請求項3

前記Si粉末の最大粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用チューブ。

請求項4

前記Al合金押出管はSiを0.5質量%以上1.0質量%以下の範囲で含有し、Mnを0.05質量%以上1.2質量%以下の範囲で含有し、残部がAl及び不可避的不純物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱交換器用チューブ。

技術分野

0001

本発明は、熱交換器用チューブに関するものであり、特に、耐食性に優れた熱交換器用チューブに関するものである。

0002

一般に、熱交換器は、図2に示されるように、ヘッダーパイプ5と称される左右一対管体と、そのヘッダーパイプ5の間に互いに平行に間隔を空けて設けられたアルミニウム合金からなる多数のチューブ1と、チューブ1、1同士の間に設けられたフィン6とで構成されている。そして各チューブ1…の内部空間とヘッダーパイプ5の内部空間を連通させ、ヘッダーパイプ5の内部空間と各チューブ1の内部空間に媒体循環させ、前記フィン6を介して効率良く熱交換ができるようになっている。

0003

この熱交換器を構成する各チューブ1は、図1の斜視図に示されるような複数の冷媒通路穴4を有する断面偏平状のAl合金押出管3の表面に、ろう材粉末を含有したフラックスを塗布することによりフラックス層2を形成した熱交換器用チューブ11を用いて作られることが知られており、前記Al合金押出管3には押出し加工性の優れたJIS1050が用いられており、前記フラックス層2に含まれるろう材としては、Si粉末、Al−Si系合金粉末、またはAl−Si−Zn系合金粉末が使用されることも知られている。

0004

これら従来の熱交換器用チューブ11を用いて熱交換器を作製するには、互いに平行に間隔を空けて設けられたヘッダーパイプ5に対して熱交換器用チューブ11を直角に架設し、各熱交換器用チューブ11の端部をヘッダーパイプ5の側面に設けられた開口(図示せず)に挿入し、この熱交換器用チューブ11の間に波形のフィン6を配置して組み立て、得られた組立体加熱炉装入し加熱すると、熱交換器用チューブ11のろう材によりヘッダーパイプ5とチューブ1がろう付けされ固定されるとともにチューブ1、1同士の間に波形のフィン6がろう付けされ固定された熱交換器が得られる。

0005

熱交換器を構成するチューブ1の肉厚は、熱交換を効率よく行う観点から、ヘッダーパイプ5などに比べて薄くなっている。このため、チューブとヘッダーパイプがほぼ同一の速度で腐食した場合、先にチューブに穴が空き、そこから媒体が漏れるおそれがある。従って熱交換器では、主にチューブの防食対策が重要な課題になっている。

0006

そこで、従来の熱交換器では、熱交換器用チューブ11の耐食性を向上するために、Znを主体として含む犠牲陽極層チューブ表面に形成している。この犠牲陽極層を形成するには、通常、Zn溶射法や、Zn含有フラックスを塗布するなどの方法が知られている。下記特許文献1にはZn含有フラックスの例が開示されている。

背景技術

0007

【特許文献1】
特開平7−227695号公報

0008

しかし、溶射法で犠牲陽極層を形成しようとした場合は、溶射量を正確に制御することが困難であり、犠牲陽極層をチューブ表面上に均一に形成できず、チューブの防食効果を高めることができないといった問題があった。
また、上記特許文献1に記載のZn含有フラックスを用いた場合、フラックスとZnを同時にチューブ表面に供給するので確かにチューブの耐食性が向上するように思えるが、実際には、浸積塗布やロールコートといった一般的な塗布方法では安定した塗布条件を得るのが難しいため、Zn含有フラックスを均一に塗布するのが困難であった。そのため、犠牲陽極層におけるZn分布が不均一となり、その結果Znが高濃度の部分から優先的に腐食され、チューブの耐食性が不十分な状況であった。

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐腐食性がより優れた熱交換器用チューブを提供することを目的とする。

0010

上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の熱交換器用チューブは、Al合金押出管の外表面に、Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなり、前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m2以上5g/m2以下の範囲であり、前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m2以上20g/m2以下の範囲であることを特徴とする。
また、前記Zn含有フラックスは、ZnF2、ZnCl2、KZnF3のうちの少なくとも1種以上のZn化合物を含むものであることが好ましい。

0011

係る熱交換器用チューブによれば、Si粉末とZn含有フラックスとが混合されて塗布されるので、ろう付け時にSi粉末が溶融してろう液となり、このろう液にフラックス中のZnが均一に拡散し、チューブ表面に均一に広がる。ろう液のような液相内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、チューブ表面のZn濃度がほぼ均一となり、これにより均一な犠牲陽極層が形成され、熱交換器用チューブの耐食性を向上することができる。

0012

また、前記Si粉末の最大粒径は30μm以下の範囲であることが好ましい。最大粒径が30μmを越えるとチューブのエロージョン深さが増加するので好ましくない。尚、Si粉末の最大粒径が0.1μm未満だとSi粉末同士が凝集し、やはりチューブのエロージョンの深さが増加するので、0.1μm以上が好ましい。

課題を解決するための手段

0013

尚、前記Al合金押出管は、Siと、Mnと、残部Alおよび不可避不純物とを含有し、Siの含有量が0.5質量%以上1.0質量%以下であり、Mnの含有量が0.05質量%以上1.2質量%以下であるAl合金からなることが好ましい。

0014

以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の熱交換器用チューブは、Al合金押出管の外表面に、Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させて構成されている。

0015

熱交換器用チューブを構成するAl合金押出管は、Siと、Mnと、残部Alおよび不可避不純物とを含有し、Siの含有量が0.5質量%以上1.0質量%以下であり、Mnの含有量が0.05質量%以上1.2質量%以下のAl合金から構成されている。

0016

Al合金押出管の成分組成の限定理由について説明すると、まず、Siは、Al合金押出管にSiを多く固溶させることで押出管電位を貴にし、熱交換器を構成する際にチューブにろう付けするヘッダーパイプやフィンを優先的に腐食させることができ、これにより押出管への深い孔食の発生を抑制させ、またろう付け性を向上させると共に良好な接合部を形成してろう付け後の強度を向上させる作用を有する。Siの含有量が0.5%未満では所望の効果が得られないので好ましくなく、一方、Siを1.0%より多く含有させると、合金の融点を低下させてろう付け時の過剰な溶融を招き、さらに押出し性を低下させるので好ましくない。したがって、Al合金押出管に含まれるSiは0.5〜1.0%に定めた。Si含有量の一層好ましい範囲は0.6%以上0.8%以下である。

0017

Mnは、Al合金押出管の電位を貴にし、ろう中に拡散し難いためにフィンまたはヘッダーパイプとの電位差を大きくとれ、フィンまたはヘッダーパイプによる防食効果をより有効にし、外部耐食性を向上させ、さらにろう付け後の強度を向上させる作用を有する。Mnの含有量が0.05%未満ではAl合金押出管の電位を貴にする効果が少なくなってしまうので好ましくなく、含有量が1.2%を超えると、押出性が低下してしまうので好ましくない。
したがって、Al合金押出管に含まれるMn量は、0.05〜1.2%に定めた。

0018

次に、チューブ表面に形成するフラックス層には、Zn含有フラックスと、Si粉末が含まれており、ろう付け後はチューブの表面全面に溶融したろう材層が形成される。このろう材層中にはZnが均一に分散しているので、このろう材層が犠牲陽極層と同等の働きをし、ろう材層が優先的に面状に腐食されるため、深い孔食の発生が抑制され、耐食性が向上する。

0019

熱交換器用チューブに対するSi粉末の塗布量は1g/m2以上5g/m2以下の範囲が好ましい。塗布量が1g/m2未満であると、ろう材量が不足して十分なろう付け強度が得られず、さらにZnの拡散が不十分になるので好ましくない。また塗布量が5g/m2を超えると、チューブ表面のSi濃度が高くなり、腐食速度が速まるので好ましくない。

0020

次にフラックス層には、Zn含有フラックスが少なくとも含まれる。尚、Zn含有フラックスの他に、Znを含まないZn非含有フラックスが含まれていても良い。
Zn含有フラックスには、例えばZnF2、ZnCl2、KZnF3等のZn化合物が少なくとも1種以上含まれることが好ましい。また、Zn非含有フラックスには、例えば、LiF,KF,CaF2、AlF3、SiF4などの弗化物や、前記弗化物の錯化合物であるKAlF4、KAlF3などが少なくとも1種以上含まれることが好ましい。
熱交換器用チューブのフラックス層にZn含有フラックスを含有させることで、ろう付け後のチューブ表面にZn拡散層(ろう材層)が形成され、このZn拡散層が犠牲陽極層として機能することによりチューブの防食効果を高めることができる。

0021

また、Si粉末とZn含有フラックスとが混合されて塗布されるので、ろう付け時にSi粉末が溶融してろう液となり、このろう液にフラックス中のZnが均一に拡散し、チューブ表面に均一に広がる。ろう液のような液相内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、チューブ表面のZn濃度がほぼ均一となり、これにより均一なZn拡散層が形成され、熱交換器用チューブの耐食性を向上することができる。

0022

熱交換器用チューブに対するZn含有フラックスの塗布量は5g/m2以上20g/m2以下の範囲が好ましい。塗布量が5g/m2未満であると、Zn拡散層の形成が不十分となって防食効果が充分に得られないので好ましくなく、塗布量が20g/m2を超えると、チューブと他の部品との接合部であるフィレット部に過剰のZnが集中し、その接合部において腐食速度が速まるので好ましくない。

0023

上記の熱交換器用チューブに、熱交換器用ヘッダーパイプやフィンをろう付けすることにより、熱交換器を構成することができる。
すなわち、この熱交換器は、本発明に係る熱交換器用チューブと、熱交換器用ヘッダーパイプとフィンとが接合されて構成される。即ち、従来の技術において説明した熱交換器と同様に、熱交換器用ヘッダーパイプと称される左右一対の管体と、その熱交換器用ヘッダーパイプの間に互いに平行に間隔を空けて設けられた複数の熱交換器用チューブと、熱交換器用チューブ同士の間に設けられたフィンとで構成されている。そして各熱交換器用チューブの内部空間と熱交換器用ヘッダーパイプの内部空間を連通させ、熱交換器用ヘッダーパイプの内部空間と各熱交換器用チューブの内部空間に媒体を循環させ、フィンを介して効率良く熱交換ができるようになっている。

0024

【実施例】
Siが0.7質量%、Mnが0.5質量%含まれるAl合金でビレットを作製し、このビレットを押出加工することにより、冷媒通路用穴を10個有し、断面寸法が幅20mm、高さ2mm、肉厚0.20mmのAl合金押出管を製造した。
次に、Si粉末に、Zn含有フラックスを混合してフラックス混合物を調整した。そして、このフラックス混合物を先に製造したAl合金押出管の外表面にスプレー塗布してフラックス層を形成した。Al合金押出管に対するSi粉末及びフラックス混合物の塗布量を表1に示す。このようにして、実施例1〜6及び比較例1〜4の熱交換器用チューブを作製した。

0025

次に、JIS3003またはJIS3003/JIS4045クラッド材からなるフィンを用意し、実施例1〜6及び比較例1〜4の熱交換器用チューブにフィンを組み付け、窒素雰囲気中600℃で3分間保持してろう付けを行った。ろう付け後のフィン付きチューブに対して腐食試験(SWAAT20日間)を行い、チューブの最大腐食深さを測定した。結果を表1に示す。

0026

【表1】

発明を実施するための最良の形態

0027

表1に示すように、実施例1〜6のフィン付チューブでは、最大腐食深さがいずれも100μm以下であり、チューブの腐食が抑制されていることが判る。実施例6は、Si粉末の最大粒径が大きいので、エロージョンがやや深くなっている。
一方、比較例1ではフラックスにZnが添加されず、また比較例2ではZn含有フラックス(KZnF3)の添加量が2g/m2と少なく、更に比較例3及び4ではSi粉末が添加されなかったためにZn分布が不均一となり、腐食量が大きくなったものと考えられる。

発明の効果

0028

以上、詳細に説明したように、本発明の熱交換器用チューブによれば、Si粉末とZn含有フラックスとが混合されて塗布されるので、ろう付け時にSi粉末が溶融してろう液となり、このろう液にフラックス中のZnが均一に拡散し、チューブ表面に均一に広がる。ろう液のような液相内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、チューブ表面のZn濃度がほぼ均一となり、これにより均一な犠牲陽極層が形成され、熱交換器用チューブの耐食性を向上することができる。

図面の簡単な説明

0029

また、Zn含有フラックスの塗布量が5g/m2以上20g/m2以下の範囲なので、チューブ表面にZnを均一に設けることができる。

図1
従来の熱交換器用チューブの斜視図。
図2
従来の熱交換器の斜視図。
【符号の説明】
1チューブ
2フラックス層
3押出管
4 穴
5ヘッダーパイプ
6フィン
11 熱交換器用チューブ

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