図面 (/)

技術 発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子

出願人 三洋電機株式会社
発明者 齊藤香織
出願日 2004年3月25日 (15年7ヶ月経過) 出願番号 2004-088149
公開日 2004年11月11日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2004-315509
状態 特許登録済
技術分野 電場発光光源(EL) 発光性組成物 第5-8族元素を含む化合物及びその製造 エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード ホウ酸含有 可視領域外 環流管 n型半導体 ホール阻止層 自己発光型素子 補助ドーパント イオン性錯体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年11月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を有する発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子を提供する。

解決手段

本発明に係る有機EL素子100は、基板1上にホール注入電極2(陽極)、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、ホール阻止層6、電子注入層7および電子注入電極8(陰極)が順に積層された積層構造を有する。からなる。発光層5は、ホスト材料および発光ドーパントからなる。発光ドーパントには有機材料である発光素子用化合物が用いられる。発光素子用化合物は、ホウ素含有置換基を有する配位子が用いられた金属錯体である。

概要

背景

有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する)素子は、新しい自己発光型素子として、期待されている。有機EL素子は、ホール注入電極電子注入電極との間に、キャリア輸送層電子輸送層またはホール輸送層)と発光層とが形成された積層構造を有している。上記ホール注入電極としては、金(Au)またはインジウムスズ酸化物(ITO)のような仕事関数の大きな電極材料を用い、上記電子注入電極としては、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)のような仕事関数の小さな電極材料が用いられる。

またホール輸送層、発光層および電子輸送層には有機材料が用いられる。ホール輸送層にはp型半導体性質を有する材料が用いられ、電子輸送層にはn型半導体の性質を有する材料が用いられる。発光層も電子輸送性またはホール輸送性のようなキャリア輸送性を有するとともに、蛍光またはりん光を発する有機材料により構成される。

ホール注入電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入電極はこの順に積層され、素子が形成される。なお、用いる有機材料によって、ホール輸送層、電子輸送層および発光層の各機能層が複数の層により構成されたり、または省略されたりする。

例えば、ホール注入電極と電子注入電極との間に発光層および電子輸送層の2層の有機層しか存在しない素子構造、ホール輸送層および発光層の2層の有機層しか存在しない素子構造ならびにホール注入層、ホール輸送層および発光層の3層の有機層しか存在しない素子構造等が挙げられる。このような素子構造は、各種有機層に用いられる材料の性質に応じて調整することができる。

有機EL素子は、発光層を構成する有機材料を選択することにより、青色から赤色までの可視光を得ることができる。したがって、光の3原色(RGB)である赤色、緑色および青色の各単光色を発する有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示を実現することができる。

ところで、有機EL素子により得られる赤色光緑色光および青色光の中で安定な色は緑色光および青色光である。

例えば、M. A. Baldoらは、イリジウム化合物であるイリジウム(III)トリス(2−フェニルピリジナト)−N,C2 (以下Ir(ppy)3と略記する)を発光材料として用いることにより、高効率の発光特性が達成されたことを報告している(非特許文献1参照)。下記式(4)にIr(ppy)3の分子構造を示す。

式(4)に示すように、Ir(ppy)3はフェニルピリジンイリジウム金属との錯体であり、緑色に発光する。

これに対し、橙色〜赤色の光は、高輝度かつ発光効率の高い光を得ることが困難である。これは、橙色〜赤色の蛍光またはりん光を効率よく発する固体の有機材料が存在しないためである。
M.A.Baldo et al., Applied Physics Letters, Vol. 75, No. 1, p4, (1999)
S.Lamansky et al., J. Am. Chem. Soc., 123, 4304-4312 (2001)

概要

優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を有する発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子を提供する。 本発明に係る有機EL素子100は、基板1上にホール注入電極2(陽極)、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、ホール阻止層6、電子注入層7および電子注入電極8(陰極)が順に積層された積層構造を有する。からなる。発光層5は、ホスト材料および発光ドーパントからなる。発光ドーパントには有機材料である発光素子用化合物が用いられる。発光素子用化合物は、ホウ素含有置換基を有する配位子が用いられた金属錯体である。

目的

本発明の目的は、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を有する発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
6件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記式(1)で表される分子構造を有し、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すことを特徴とする発光素子用化合物

請求項2

前記ホウ素含有置換基は、下記式(2)で表され、式(2)中のR11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基であることを特徴とする請求項1記載の発光素子用化合物。

請求項3

前記R11およびR12はメシチル基であることを特徴とする請求項2記載の発光素子用化合物。

請求項4

前記Lは、ハロゲン配位子、カルボン酸配位子イミン配位子含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子リン配位子イソシアニド配位子、オルトカルボメタル化配位子、ヘキサフルオロホスフィンシクロペンタジエニル配位子および一酸化炭素配位子よりなる群から選択された配位子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用化合物。

請求項5

前記Lは、ピコリン酸配位子、サリチル酸配位子、サリチルイミン配位子、アセチルアセトン配位子およびオルトカルボメタル化配位子よりなる群から選択された配位子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子用化合物。

請求項6

前記Mは、イリジウム白金パラジウムロジウムおよびレニウムよりなる群から選択された金属であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子用化合物。

請求項7

前記R1およびR3〜R8は水素原子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光素子用化合物。

請求項8

ホール注入電極電子注入電極との間に発光層を含む有機発光素子であって、前記発光層は、下記式(1)で表される分子構造を有する有機化合物を含み、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すことを特徴とする有機発光素子。

請求項9

前記発光層は、ホスト材料および前記式(1)で表される前記有機化合物を含み、前記有機化合物の含有量は、前記前記ホスト材料に対して0.1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項8記載の有機発光素子。

請求項10

前記ホスト材料は、下記式(3)の分子構造を有する4,4'−N,N'−ジカルバゾール−1,1'−ビフェニルであることを特徴とする請求項9記載の有機発光素子。

請求項11

ホール注入電極と電子注入電極との間にキャリア輸送層および発光層を含む有機発光素子であって、前記キャリア輸送層および前記発光層のうち少なくとも一方は、下記式(1)で表される分子構造を有する有機化合物を含み、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すことを特徴とする有機発光素子。

技術分野

0001

本発明は、発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子に関する。

背景技術

0002

有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する)素子は、新しい自己発光型素子として、期待されている。有機EL素子は、ホール注入電極電子注入電極との間に、キャリア輸送層電子輸送層またはホール輸送層)と発光層とが形成された積層構造を有している。上記ホール注入電極としては、金(Au)またはインジウムスズ酸化物(ITO)のような仕事関数の大きな電極材料を用い、上記電子注入電極としては、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)のような仕事関数の小さな電極材料が用いられる。

0003

またホール輸送層、発光層および電子輸送層には有機材料が用いられる。ホール輸送層にはp型半導体性質を有する材料が用いられ、電子輸送層にはn型半導体の性質を有する材料が用いられる。発光層も電子輸送性またはホール輸送性のようなキャリア輸送性を有するとともに、蛍光またはりん光を発する有機材料により構成される。

0004

ホール注入電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入電極はこの順に積層され、素子が形成される。なお、用いる有機材料によって、ホール輸送層、電子輸送層および発光層の各機能層が複数の層により構成されたり、または省略されたりする。

0005

例えば、ホール注入電極と電子注入電極との間に発光層および電子輸送層の2層の有機層しか存在しない素子構造、ホール輸送層および発光層の2層の有機層しか存在しない素子構造ならびにホール注入層、ホール輸送層および発光層の3層の有機層しか存在しない素子構造等が挙げられる。このような素子構造は、各種有機層に用いられる材料の性質に応じて調整することができる。

0006

有機EL素子は、発光層を構成する有機材料を選択することにより、青色から赤色までの可視光を得ることができる。したがって、光の3原色(RGB)である赤色、緑色および青色の各単光色を発する有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示を実現することができる。

0007

ところで、有機EL素子により得られる赤色光緑色光および青色光の中で安定な色は緑色光および青色光である。

0008

例えば、M. A. Baldoらは、イリジウム化合物であるイリジウム(III)トリス(2−フェニルピリジナト)−N,C2 (以下Ir(ppy)3と略記する)を発光材料として用いることにより、高効率の発光特性が達成されたことを報告している(非特許文献1参照)。下記式(4)にIr(ppy)3の分子構造を示す。

0009

0010

式(4)に示すように、Ir(ppy)3はフェニルピリジンイリジウム金属との錯体であり、緑色に発光する。

0011

これに対し、橙色〜赤色の光は、高輝度かつ発光効率の高い光を得ることが困難である。これは、橙色〜赤色の蛍光またはりん光を効率よく発する固体の有機材料が存在しないためである。
M.A.Baldo et al., Applied Physics Letters, Vol. 75, No. 1, p4, (1999)
S.Lamansky et al., J. Am. Chem. Soc., 123, 4304-4312 (2001)

発明が解決しようとする課題

0012

上記に対して、橙色〜赤色の発光を効率よく得るために有機EL素子の発光波長をより長波長側へ移行させる方法が案出されている。

0013

例えば、発光材料を形成する錯体の配位子エネルギーギャップの小さな複素環構造を用いる方法がある。この方法では、発光材料としてベンゾチオフェンまたはベンゾチアゾール等の誘導体を配位子としたイリジウム錯体を用いた例が報告されている(非特許文献2参照)。このような発光材料によれば、発光極大波長を長波長側に移行することができる。

0014

しかしながら、その発光スペクトルは緑色に発光するIr(ppy)3の発光スペクトルと比べて広がった形状となってしまう。これにより、色純度の良い発光色が得られず、可視領域外近赤外領域)にまで発光が及んでしまう場合もある。

0015

この他、発光材料を形成する錯体の配位子を縮合環構造にしてπ共役を広げ、エネルギーギャップを小さくする方法がある。この方法では、発光材料にベンゾキノリンまたはフェニルキノリン等の縮合多環化合物を配位子とした錯体を用いた例が報告されている(非特許文献2参照)。このような発光材料によれば、発光極大波長を長波長側に移行することができる。

0016

しかしながら、この場合においても、その発光スペクトルは、緑色に発光するIr(ppy)3の発光スペクトルと比べて広がった形状となってしまう。その結果、色純度の高い光が得られない。

0017

本発明の目的は、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を有する発光素子用化合物およびそれを用いた有機発光素子を提供することである。

課題を解決するための手段

0018

有機エレクトロルミネッセンス素子の発光極大波長を長波長側に移行させようとすると、発光スペクトルが広がった形状となる。発光スペクトルが広がった形状となると、色純度の良い発光色が得られず、可視領域外(近赤外領域)にまで発光が及んでしまう場合がある。そして、このように広がった発光スペクトルが、結果として発光効率が低くなる要因の1つになると考えられる。

0019

本発明者は、緑色の発光材料であるIr(ppy)3について、配位子であるフェニルピリジンを基本骨格とし、これに他の置換基を直接導入した配位子を用いることにより、Ir(ppy)3の発光スペクトルの形状を保った状態で、発光極大波長を長波長側に移行させた発光素子用化合物(発光材料)を得ることができるのではないかと考えた。

0020

なお、メチル基等のアルキル基アリール基アルコキシ基またはハロゲン基等の置換基がフェニルピリジン上に置換された配位子を有する従来のイリジウム錯体においては、発光波長が緑色から長波長側に移行したものを得ることができていなかった。

0021

そこで、本発明者は種々の実験および考察を重ねた結果、以下の発明にかかる発光素子用化合物を案出するに至った。

0022

第1の発明に係る発光素子用化合物は、下記式(1)で表される分子構造を有し、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すものである。

0023

0024

上記式(1)で表される発光素子用化合物においては、ホウ素含有置換基は、下記式(2)で表され、式(2)中のR11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基であってもよい。

0025

0026

上記式(2)で表されるホウ素含有置換基においては、R11およびR12はメシチル基であってもよい。

0027

上記式(1)で表される発光素子用化合物においては、Lは、ハロゲン配位子、カルボン酸配位子イミン配位子含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子リン配位子イソシアニド配位子、オルトカルボメタル化配位子、ヘキサフルオロホスフィンシクロペンタジエニル配位子および一酸化炭素配位子よりなる群から選択された配位子であってもよい。

0028

上記式(1)で表される発光素子用化合物においては、Lは、ピコリン酸配位子、サリチル酸配位子、サリチルイミン配位子、アセチルアセトン配位子およびオルトカルボメタル化配位子よりなる群から選択された配位子であってもよい。

0029

上記式(1)で表される発光素子用化合物においては、Mは、イリジウム、白金パラジウムロジウムおよびレニウムよりなる群から選択された金属であってもよい。

0030

上記式(1)で表される発光素子用化合物においては、R1およびR3〜R8は水素原子であってもよい。

0031

以上の分子構造を有する発光素子用化合物においては、高効率な発光特性を有し、かつ比較的安定な金属錯体が用いられるとともに、金属錯体に用いられる配位子として、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、優れた色純度を得ることができる。また、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。

0032

また、金属錯体に用いられる配位子にホウ素含有置換基が導入されているので、発光色が変化されることに加え、電子輸送能が向上される。これにより、優れた発光効率を有する。

0033

第2の発明に係る有機発光素子は、ホール注入電極と電子注入電極との間に発光層を含む有機発光素子であって、下記式(1)で表される分子構造を有する有機化合物を含み、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すものである。

0034

0035

第2の発明に係る有機発光素子においては、上記式(1)の分子構造を有する発光素子用化合物が用いられている。この発光素子用化合物においては、高効率な発光特性を有し、かつ比較的安定な金属錯体が用いられるとともに、金属錯体に用いられる配位子として、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、優れた色純度を得ることができる。また、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。

0036

また、金属錯体に用いられる配位子にホウ素含有置換基が導入されているので、発光色が変化されることに加え、電子輸送能が向上される。これにより、優れた発光効率が得られる。

0037

このように、上記式(1)の分子構造を有する発光素子用化合物を有する有機発光素子によれば、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を得ることができる。

0038

発光層は、ホスト材料および式(1)で表される有機化合物を含み、有機化合物の含有量は、ホスト材料に対して0.1重量%以上30重量%以下であってもよい。これにより、発光素子用化合物からの良好な発光が得られる。

0039

ホスト材料は、下記式(3)の分子構造を有する4,4'−N,N'−ジカルバゾール−1,1'−ビフェニルであってもよい。

0040

0041

第3の発明に係る有機発光素子は、ホール注入電極と電子注入電極との間にキャリア輸送層および発光層を含む有機発光素子であって、キャリア輸送層および発光層のうち少なくとも一方は、下記式(1)で表される分子構造を有する有機化合物を含み、式(1)中のR1〜R8のうち少なくとも1つはホウ素含有置換基であり、その他は水素原子または置換基であり、Lは配位子であり、Mは金属であり、mは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表すものである。

0042

0043

第3の発明に係る有機発光素子においては、上記式(1)の分子構造を有する発光素子用化合物が用いられている。この発光素子用化合物においては、高効率な発光特性を有し、かつ比較的安定な金属錯体が用いられるとともに、金属錯体に用いられる配位子として、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、優れた色純度を得ることができる。また、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。

0044

また、金属錯体に用いられる配位子にホウ素含有置換基が導入されているので、発光色が変化されることに加え、電子輸送能が向上される。これにより、優れた発光効率が得られる。

0045

このように、上記式(1)の分子構造を有する発光素子用化合物を有する有機発光素子によれば、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を得ることができる。

発明の効果

0046

本発明に係る発光素子用化合物においては、高効率な発光特性を有し、かつ比較的安定な金属錯体が用いられるとともに、金属錯体に用いられる配位子として、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、優れた色純度を得ることができる。また、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。

0047

また、金属錯体に用いられる配位子にホウ素含有置換基が導入されているので、発光色が変化されることに加え、電子輸送能が向上される。これにより、優れた発光効率を有する。

発明を実施するための最良の形態

0048

以下、本発明の実施の形態に係る発光素子用化合物およびそれを用いた発光素子について説明する。なお、以下の説明において、発光素子は有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する)素子である。

0049

(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。第1の実施の形態に係る有機EL素子100は、基板1上にホール注入電極2(陽極)、有機化合物層10および電子注入電極8(陰極)が順に積層された積層構造を有する。有機化合物層10は、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、ホール阻止層6および電子注入層7からなる。

0050

基板1は、ガラスまたはプラスチック等からなる透明基板である。ホール注入電極2は、インジウム−スズ酸化物(以下、ITOと略記する)等の金属化合物、銀等の金属または合金からなる透明電極または半透明電極である。電子注入電極8は、マグネシウム−インジウム合金またはITO等の金属化合物、マグネシウム(Mg)またはリチウム(Li)等の金属または合金からなる透明電極、半透明電極または不透明電極である。

0051

有機化合物層10において、ホール注入層3は、例えば、下記式(5)で表される銅フタロシアニン(以下、CuPcと略記する)等の有機材料からなる。

0052

0053

ホール輸送層4は、例えば、下記式(6)で表されるN,N'−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(以下、NPBと略記する)等の有機材料からなる。

0054

0055

発光層5は、後述のホスト材料および発光ドーパントからなる。発光層5に用いられる各種有機材料の詳細については後述する。

0056

ホール阻止層6は、例えば、下記式(7)で表される2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(以下、BCPと略記する)または下記式(8)で表される((1,1'−ビスフェニル)−4−オラト)(2−メチル−8−キノリノラト−N1,08)アルミニウム等の有機材料からなる。

0057

0058

0059

電子注入層7は、例えば、下記式(9)で表されるトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(以下、Alqと略記する)等の有機材料からなる。

0060

0061

有機EL素子100のホール注入電極2と電子注入電極8との間に駆動電圧印加されると、発光層5が発光する。発光層5において発生された光は、ホール輸送層4、ホール注入層3、ホール注入電極2および基板1を介して外部に取り出される。このように発光層5において発生された光が、基板1を介して外部に取り出される素子の構造をバックエミッション構造と呼ぶ。

0062

以下、発光層5に用いられる有機材料について説明する。発光層5のホスト材料には、例えば、下記式(3)で表される4,4'−ビス(カルバゾール−9−イル)−ビフェニル(以下、CBPと略記する)等の有機材料が用いられる。

0063

0064

一方、発光層5の発光ドーパントには、有機材料である発光素子用化合物が用いられる。この発光素子用化合物は下記式(1)の分子構造を有する。

0065

0066

式(1)中のR1〜R8のうちの少なくとも一つはホウ素含有置換基である。また、その他は水素原子または非置換または置換されたアルキル基(炭素数1〜20)、アルケニル基(炭素数2〜25)、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基アリールオキシ基アリールチオ基ヘテロ環基アミノ基、アシル基アルコキシカルボニル基アリールオキシカルボニル基アシルオキシ基アシルアミノ基ヒドロキシル基イミノ基シアノ基ニトロ基、ハロゲン基、スルホニル基もしくはシリル基のうちのいずれかである。

0067

R1〜R8で表されるアルキル基としては、炭素配列が直鎖状のものの他に、分鎖状および環状のものが含まれる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基シクロペンチル基、n−オクタデシル基またはn−ドデシル基等が挙げられる。また、R1〜R8に表されるアルキル基の中では、炭素数1〜10の直鎖状のもの、シクロヘキシル基またはt−ブチル基が好ましい。

0068

R1〜R8で表されるアルケニル基としては、少なくとも置換基の一つにフェニル基を有するフェニルアルケニル基、ジフェニルアルケニル基またはトリフェニルアルケニル基等が好ましい。アルケニル基は非置換のものであってもよい。

0069

R1〜R8で表されるアリール基としては、単環または多環のいずれでもよく、縮合環または環集合も含まれる。アリール基の総炭素数は6〜30のものが好ましく、さらに置換基を有していてもよい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、(o−,m−,p−)ビフェニル基、(o−,m−,p−)N−置換アニリノ基、フルオリル基、ターフェニル基、(1−、および2−)ナフチル基アントリル基ピレニル基ペリレニル基およびフェナントリル基等が挙げられる。

0070

R1〜R8で表されるアシル基としては、例えばアセチル基ベンゾイル基、ピバロイル基およびホルミル基等が挙げられる。

0071

上記ホウ素含有置換基は、下記式(2)の分子構造を有する。

0072

0073

式(2)中のR11およびR12は、それぞれ水素原子または置換基である。置換基としては、例えば、非置換または置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、環数が2〜4個の縮合環基、ヘテロ環基またはアリールオキシ基等が挙げられる。また、R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよい。

0074

なお、R11およびR12は、ともに炭素数3〜10の分鎖状のアルキル基あるいはアルキル基で置換されたアリール基であることが好ましく、イソプロピル基、t−ブチル基、フェネチル基、テキシル基、(o−,m−,p−)トリル基、メシチル基、トリピル基またはアントラニル基であることがさらに好ましい。

0075

式(1)中のLは配位子である。配位子は、単座配位子に限られず、二座配位子等の多座配位子であってもよい。また、金属錯体を形成し得るものであれば特に限定されない。

0076

上記配位子には、例えば、塩素配位子等のハロゲン配位子、ピコリン酸配位子もしくはサリチル酸配位子等のカルボン酸配位子、N−置換サリチルイミン配位子等のイミン配位子、ビピリジル配位子もしくはフェナントロリン配位子等の含窒素ヘテロ環配位子、アセチルアセトン配位子、ジベンゾイルメタン配位子もしくはマロニルエチル配位子等のジケトン配位子、トリフェニルホスフィン配位子、トリブチルホスフィン配位子もしくはトリメチルホスファイト配位子等のリン配位子、t−ブチルイソシアニド配位子等のイソシアニド配位子、フェニルピリジン配位子等のオルトカルボメタル化配位子、ヘキサフルオロホスフィン(PF6)子、シクロペンタジエニル配位子もしくは一酸化炭素配位子等が挙げられる。

0077

なお、式(1)中のLに表される配位子は、ジケトン配位子またはカルボン酸配位子であることが好ましい。また、ジケトン配位子の中でもアセチルアセトン配位子であることがより好ましく、カルボン酸配位子の中でもピコリン酸配位子であることがより好ましい。

0078

式(1)中のLに示される配位子が複数存在する場合、配位子の種類に限定は無く、1種類または2種類以上であってもよい。しかしながら、配位子の種類は1種類であることが好ましい。

0079

式(1)中のMはイリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)およびレニウム(Re)のうちいずれかの金属である。これら金属のうち、Mはイリジウム、白金またはレニウムであることが好ましく、この中でもイリジウムであることがさらに好ましい。

0080

上記金属の価数は、特に限定されない。しかしながら、Mがイリジウム、ロジウムおよびレニウムのいずれかである場合は3価であることが好ましく、Mが白金またはパラジウムの場合は2価であることが好ましい。式(1)中のmは0〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。

0081

以上のような分子構造を有する式(1)の発光素子用化合物(金属配位化合物)は中性錯体でもよく、対塩を有するイオン性錯体でもよいが、中性錯体であることがより好ましい。

0082

本実施の形態に係る発光素子用化合物は、例えば次のように生成する。図2は、第1の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。図2において示される符号Mesはメシチル基であり、メシチル基は下記式(10)で表される。以下の説明において、式(11),(12),(14)に示される符号Mesはいずれも下記式(10)で表されるメシチル基である。

0083

0084

環流管を備えた三つ口フラスコ内において、下記式(11)で表される2−[4−(ジメシチルボリル)フェニル]ピリジンKA1、三塩化イリジウム(III)n水和物(IrCl3 ・nH2 O)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および水(water)を混合する。そして、窒素雰囲気中の還流下で24時間撹拌する。これにより得られる反応物を室温まで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノール洗浄して減圧乾燥することにより下記式(12)で表される化合物TU1の黄色粉末を得る。

0085

0086

0087

続いて、環流管を備えた三つ口フラスコ内において、化合物TU1、下記式(13)で表されるピコリン酸KA2、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を混合する。そして、窒素雰囲気中の還流下で15時間撹拌する。これにより得られる反応物を室温まで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー展開溶媒ジクロロメタン)により精製して下記式(14)で表される発光素子用化合物HD1の黄色粉末を得る。

0088

0089

0090

本実施の形態に用いられる発光素子用化合物HD1には、高効率な発光特性を有しており比較的安定なイリジウム錯体等の金属錯体が用いられるとともに、金属錯体に用いられる配位子として、ホウ酸含有置換基が導入されたフェニルピリジンを基本骨格とする配位子が用いられている。

0091

これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。発光素子用化合物HD1によれば、橙色〜赤色発光を得ることができる。

0092

ところで、ホウ素は、炭素よりも電子が一つ少ないために空のp軌道を有している。例えば、中條らは、「J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 10776 等」において、ホウ素原子をπ共役系に導入すると、空のp軌道を介してπ共役系が拡張されることを報告している。

0093

また、ホウ素は、電子不足原子であるために電子に対する親和性を有している。例えば、田らは、「J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 11021.等」において、ホウ素原子を導入することにより材料の電子輸送能を向上させることができることを報告している。

0094

これらの報告から、本実施の形態に係る発光素子用化合物はホウ素含有置換基が導入されているので、発光色を変化させることに加え、電子輸送能が向上される。それにより、発光素子自体の低電圧化および高効率化が実現されている。

0095

このように、本実施の形態に係る有機EL素子100によれば、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率を得ることができる。

0096

(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る有機EL素子は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0097

本実施の形態において、発光層5に用いられる発光素子用化合物は、例えば次のように生成する。図3は、第2の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。図3において、符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。なお、以下の説明において、式(16)に示される符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。

0098

第2の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成には、第1の実施の形態において生成される化合物TU1が用いられる。化合物TU1の生成は第1の実施の形態と同様の手順で行われる。

0099

環流管を備えた三つ口フラスコ内において、化合物TU1、下記式(15)で表されるアセチルアセトンKA3、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を混合する。そして、窒素雰囲気中の還流下で15時間撹拌する。これにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)により精製して下記式(16)で表される発光素子用化合物HD2の黄色粉末を得る。

0100

0101

0102

本実施の形態に用いられる発光素子用化合物HD2には、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。発光素子用化合物HD2によれば、橙色〜赤色発光を得ることができる。

0103

また、ホウ素含有基が導入されているので、発光色を変化させることに加え、電子輸送能が向上される。それにより、発光素子自体の低電圧化および高効率化が実現されている。

0104

(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る有機EL素子は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0105

本実施の形態において、発光層5に用いられる発光素子用化合物は、例えば次のように生成する。図4は、第3の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。図4において、符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。なお、以下の説明において、式(17),(18)に示される符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。

0106

環流管を備えた三つ口フラスコ内において、グリセリンを140℃〜150℃に熱して1時間N2バブリングを行った後、室温まで冷却する。その後、グリセリンに下記式(17)で表される2−[(4−(ジメシチルボリル)フェニル)ピリジンKA4およびイリジウム(III)アセチルアセトネート(Ir(acac)3 )を加える。そして、窒素雰囲気中の還流下で5時間撹拌する。これにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とメタノールで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)により精製して下記式(18)で表される発光素子用化合物HD3の黄橙色粉末を得る。

0107

0108

0109

本実施の形態に用いられる発光素子用化合物HD3には、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。発光素子用化合物HD3によれば、橙色〜赤色発光を得ることができる。

0110

また、ホウ素含有基が導入されているので、発光色を変化させることに加え、電子輸送能が向上される。それにより、発光素子自体の低電圧化および高効率化が実現されている。

0111

(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る有機EL素子は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0112

本実施の形態において、発光層5に用いられる発光素子用化合物は、例えば次のように生成する。図5は、第4の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。図5において、符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。なお、以下の説明において、式(19),(20),(21)に示される符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。

0113

環流管を備えた三つ口フラスコ内において、下記式(19)で表される4−(ジメシチルボリル)−2−[(4−(ジメシチルボリル)フェニル)ピリジンKA5、三塩化イリジウム(III)n水和物(IrCl3 ・nH2 O)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および水(water)を混合する。これにより得られる混合物を窒素雰囲気中の還流下で20時間撹拌する。それにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールとで洗浄して減圧乾燥し、下記式(20)で表される化合物TU2の黄色粉末を得る。

0114

続いて、環流管を備えた三つ口フラスコ内において、化合物TU2、上記式(13)で表されるピコリン酸KA2、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を混合する。これにより得られる混合物を窒素雰囲気中の還流下で12時間撹拌する。それにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールとで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)で精製することにより下記式(21)で表される発光素子用化合物HD4の黄橙色粉末を得る。

0115

0116

0117

0118

本実施の形態に用いられる発光素子用化合物HD4には、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。発光素子用化合物HD4によれば、橙色〜赤色発光を得ることができる。

0119

また、ホウ素含有基が導入されているので、発光色を変化させることに加え、電子輸送能が向上される。それにより、発光素子自体の低電圧化および高効率化が実現されている。

0120

(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る有機EL素子は、以下の点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0121

本実施の形態において、発光層5に用いられる発光素子用化合物は、例えば次のように生成する。図6は、第5の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。図6において、符号Mesは上記式(10)に表されるメシチル基である。なお、以下の説明において、式(22),(23),(24)に示される符号Mesは上記式(10)で表されるメシチル基である。

0122

環流管を備えた三つ口フラスコ内において、下記式(22)で表される4−(ジメシチルボリル)−2−[4−(N,N'−ジフェニルアミノ)フェニル]ピリジンKA6、三塩化イリジウム(III)n水和物(IrCl3 ・nH2 O)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および水(water)を混合する。これにより得られる混合物を窒素雰囲気中の還流下で24時間撹拌する。それにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールとで洗浄して減圧乾燥し、下記式(23)で表される化合物TU3の黄色粉末を得る。

0123

続いて、環流管を備えた三つ口フラスコ内において、化合物TU3、上記式(15)で表されるアセチルアセトンKA3、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)および炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を混合する。これにより得られる混合物を窒素雰囲気中の還流下で15時間撹拌する。それにより得られる反応物を室温にまで冷却した後、析出する固体を濾取する。濾取した固体を水とエタノールとで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)で精製することにより下記式(24)で表される発光素子用化合物HD5の黄橙色粉末を得る。

0124

0125

0126

0127

本実施の形態に用いられる発光素子用化合物HD5には、ホウ酸含有置換基が導入された配位子が用いられている。これにより、発光スペクトルが広範囲にわたって広がることなく、発光極大波長が長波長側に移行された発光を得ることができる。発光素子用化合物HD5によれば、橙色〜赤色発光を得ることができる。

0128

また、ホウ素含有基が導入されているので、発光色を変化させることに加え、電子輸送能が向上される。それにより、発光素子自体の低電圧化および高効率化が実現されている。

0129

第1〜第5の実施の形態において、発光層5に添加される発光素子用化合物(発光ドーパント)の量は所定の範囲内であることが望ましい。発光層5に発光ドーパントが過剰に添加されると、発光強度の低下および発光効率の低下等が引き起こされる場合があるからである。

0130

具体的には、発光層5に添加される発光素子用化合物の量は、発光層5に対し0.1重量%以上30重量%とすることが好ましい。これにより、発光素子用化合物による良好な発光が得られる。

0131

有機EL素子は、電子注入電極8を透明電極または半透明電極とすることにより、発光層5において発生された光をホール阻止層6、電子注入層7および電子注入電極8を介して取り出すトップエミッション構造を有してもよい。

0132

発光層5は、異なる発光色を発生する2層の発光層により形成されてもよい。例えば、2層の発光層のうち一方に第1〜第5の実施の形態に用いられる橙色〜赤色発光を得ることが可能な発光素子用化合物を添加し、他方に青色発光を得ることが可能な発光素子用化合物を添加することで、白色発光を得ることができる。この場合、白色発光を得ることが可能な有機EL素子に赤色、緑色および青色のフィルタを設けることで光の3原色の表示(RGB表示)が可能となり、フルカラー表示が実現する。

0133

第1〜第5の実施の形態により作製される橙色〜赤色発光を得ることが可能な有機EL素子を緑色発光を得ることが可能な有機EL素子および青色発光を得ることが可能な有機EL素子とともに用いてもよい。この場合、第1〜第5の実施の形態により作製される有機EL素子を赤色に発光する画素(R画素)として用い、緑色に発光する有機EL素子を緑色に発光する画素(G画素)として用い、青色に発光する有機EL素子を青色に発光する画素(B画素)として用いることにより光の3原色の表示(RGB表示)が可能となり、フルカラー表示が実現する。

0134

第1〜第5の実施の形態に係る有機EL素子においては、有機EL素子100が有機発光素子に相当し、ホール注入電極2がホール注入電極に相当し、電子注入電極8が電子注入電極に相当し、ホール注入層3、ホール輸送層4、ホール阻止層6および電子注入層7がキャリア輸送層に相当し、発光層5が発光層に相当する。

0135

(第6の実施の形態)
第6の実施の形態に係る有機EL素子は、発光層5がホスト材料、発光ドーパントおよび補助ドーパントからなる点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0136

発光層5の母材を形成するホスト材料には、例えば、上記式(3)で表されるCBP等の有機化合物が用いられる。

0137

発光ドーパントとしては、赤色の光を発生する有機材料が望ましい。例えば、下記式(25)で表される(2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−lII,5II−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4−イリデンプロパンジニトリル(以下、DCJTBと略記する)等の一重項有機材料または下記式(26)で表されるビス(2−2'−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3イリジウム(アセチルアセトネート)(以下、btp2Ir(asas)と略記する)もしくは下記式(27)で表されるイリジウム(III)トリス(2−ナフタレン−1−イル−キノリナト)−N,C2(以下、Ir(Naphq)3と略記する)等の三重項有機材料が挙げられる。

0138

0139

0140

0141

ここで、一重項有機材料とは一重項励起エネルギーを発光に変換しうる有機材料をいい、三重項有機材料とは三重項励起エネルギーを発光に変換しうる有機材料をいう。

0142

補助ドーパントは、上記ホスト材料で励起されたエネルギーを発光ドーパントへ移動させるためのものである。本実施の形態では、このような補助ドーパントとして上記第1〜第5の実施の形態に係る発光素子用化合物を用いる。なお、本実施の形態においては、発光ドーパントが赤色の光を発生する場合、上記の発光素子用化合物からなる補助ドーパントの発生する光は橙色〜赤色であることが好ましい。

0143

ホスト材料の発光波長に比べて発光ドーパントの発光波長は長い。ホスト材料の発光波長と発光ドーパントの発光波長との間隔が短い場合、ホスト材料により発生される励起エネルギーが有効に発光ドーパントへ移動される。

0144

しかしながら、ホスト材料の発光波長と発光ドーパントの発光波長との間隔が長い場合、ホスト材料により発生される励起エネルギーが発光ドーパント側へ移動されることが困難となる。

0145

そこで、ホスト材料の発光波長と発光ドーパントの発光波長との間に発光波長を有する補助ドーパントが添加されると、補助ドーパントによりホスト材料において発生される励起エネルギーが発光ドーパントへ橋渡し的に移動される。これにより、発光ドーパントによる良好な発光が得られ、有機EL素子自体の発光効率も向上する。

0146

以上のように、本実施の形態に係る有機EL素子は、発光素子用化合物を発光させない場合であっても、補助ドーパントに発光素子用化合物を用いることで発光ドーパントの発光強度および発光効率を向上させることができる。

0147

(第7の実施の形態)
第7の実施の形態に係る有機EL素子は、ホール阻止層6に第1〜第5の実施の形態に係る発光素子用化合物を用いる点を除き第1の実施の形態に係る有機EL素子と同様の構成を有する。

0148

上述のように発光素子用化合物は電子輸送能を有する。このような発光素子用化合物をホール阻止層6に用いた場合、発光素子用化合物は電子を輸送するとともにホールの移動を阻止する。

0149

一般に、ホール阻止層6は電子輸送能がない有機材料を用いる場合、電子を輸送させるために薄く形成される。しかしながら、本実施の形態におけるホール阻止層6は、電子輸送能を有する発光素子用化合物が用いられているので、厚く形成することができる。

0150

これにより、ホール阻止層6を厚く形成し、歩留まりの高い有機EL素子を作製することができる。それにより、信頼性の高い有機EL素子が作製される。

0151

また、ホール阻止層6を厚く形成できるので、精密な厚みの調整等を行う必要が無く、生産性が向上する。

0152

以下、本発明の実施の形態に基づいて実施例1、比較例1および比較例2の有機EL素子を作製し、作製された有機EL素子に対して駆動電圧を印加することにより発光特性の測定を行った。

0153

[実施例1]
実施例1の有機EL素子は、上記第1の実施の形態と同様の構造を有する。実施例1の有機EL素子は、基板1としてガラス基板を用い、ホール注入電極2としてITOを用いた。また、ホール注入層3としてCuPc(厚み100Å)を用い、ホール輸送層4としてNPB(厚み500Å)を用い、発光層5としてCBPおよび上記第1の実施の形態の発光素子用化合物HD1を用いた。発光層5の厚みは250Åであった。さらに、ホール阻止層6としてBAlq(厚み100Å)を用い、電子注入層7としてAlq(厚み400Å)を用い、電子注入電極8としてフッ化リチウムおよびアルミニウムからなる陰極電極(厚み2000Å)を用いた。

0154

なお、発光層5において、CBPはホスト材料として用い、発光素子用化合物HD1は発光ドーパントとして用いた。発光素子用化合物HD1は発光層5に対し6.5重量%添加した。

0155

実施例1の有機EL素子は、次のよう作製した。

0156

初めに、予めホール注入電極2(ITO)が形成された基板1(ガラス基板)に対してイソプロピルアルコールによる5分間の超音波洗浄を2回行い、オゾンクリーナによる基板1およびホール注入電極2の表面の洗浄を行った。

0157

その後、ホール注入電極2(ITO)上に、ホール注入層3(CuPc)、ホール輸送層4(NPB)、発光層5(CBPおよび発光素子用化合物HD1)、ホール阻止層6(BAlq)、電子注入層7(Alq)および電子注入電極8(フッ化リチウムおよびアルミニウム)をこれらの順に真空蒸着法により積層した。

0158

有機EL素子を形成する各層の蒸着は、真空度1×10-6Torr、かつ温度制御をしない条件で行った。

0159

ここで、発光層5に用いられる発光素子用化合物HD1の生成手順について説明する。発光素子用化合物HD1は第1の実施の形態と同様の手順により作製した。

0160

環流管を備えた三つ口フラスコ内(200ml)において、上記式(11)で表される2−[4−(ジメシチルボリル)フェニル]ピリジンKA1:3.22g(8.00mmol)、三塩化イリジウム(III)n水和物(IrCl3 ・nH2 O):0.600g(2.00mmol)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol):60mlおよび水(water):20mlを混合した。そして、窒素雰囲気中の還流下で24時間撹拌した。これにより得られる反応物を室温まで冷却した後、析出する固体を濾取した。濾取した固体を水とエタノールで洗浄して減圧乾燥することにより上記式(12)で表される化合物TU1の黄色粉末1.26g(収率61%)を得た。

0161

続いて、環流管を備えた三つ口フラスコ(200ml)内において、化合物TU1:0.414g(0.200mmol)、下記式(13)で表されるピコリン酸KA2:0.061g(0.513mmol)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol):20mlおよび炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ):0.25gを混合した。そして、窒素雰囲気中の還流下で15時間撹拌した。これにより得られた反応物を室温まで冷却した後、析出する固体を濾取した。濾取した固体を水とエタノールで洗浄して減圧乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)により精製して上記式(14)で表される発光素子用化合物HD1の黄色粉末0.301g(収率67%)を得た。以上が発光素子用化合物HD1の生成手順である。

0162

このように作製された有機EL素子のホール注入電極2を正に、電子注入電極8を負にバイアスして、駆動電圧を印加し、発光特性の測定を行った。

0163

この結果、発光極大波長が580nmの橙色発光を得ることができた。発光スペクトルの半値幅は70nmであった。

0164

[比較例1]
比較例1の有機EL素子は、実施例1の有機EL素子と、発光層5の発光ドーパントに用いられる発光素子用化合物が異なる点を除き同様の構成を有する。

0165

比較例1の発光ドーパントには、下記式(28)で表されるイリジウム(III)ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト)−N,C2'−アセチルアセトネート(以下、(bt)2 Ir(acac)と略記する)(S. Lamansky, et al, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4304.に開示)を用いた。

0166

0167

作製された有機EL素子のホール注入電極2を正に、電子注入電極8を負にバイアスして、駆動電圧を印加し、発光特性の測定を行った。

0168

この結果、発光極大波長が558nmの橙色発光を得ることができた。発光スペクトルの半値幅は100nmであった。

0169

[比較例2]
比較例2の有機EL素子は、実施例1の有機EL素子と、発光層5の発光ドーパントに用いられる発光素子用化合物が異なる点を除き同様の構成を有する。

0170

比較例2の発光ドーパントには、下記式(4)で表されるイリジウム(III)トリス(2−フェニルピリジナト)−N,C2 (以下Ir(ppy)3と略記する)を用いた。

0171

0172

作製された有機EL素子のホール注入電極2を正に、電子注入電極8を負にバイアスして、駆動電圧を印加し、発光特性の測定を行った。

0173

この結果、発光極大波長が515nmの緑色発光を得ることができた。発光スペクトルの半値幅は60nmであった。

0174

[評価]
実施例1、比較例1および比較例2における有機EL素子の発光特性の測定結果から、実施例1と比較例1とを比較し、実施例1と比較例2とを比較した。下記表1に実施例1、比較例1および比較例2の発光極大波長および半値幅を示す。

0175

0176

図7は、実施例1および比較例1により得られた発光特性を示すグラフである。縦軸に発光強度が示され、横軸に発光波長が示されている。実線J1に実施例1の有機EL素子の発光特性が示され、破線J2に比較例1の有機EL素子の発光特性が示されている。

0177

表1および図7によれば、実施例1の発光極大波長は、比較例1および比較例2の発光極大波長に比べてより長波長側に位置している。このように発光極大波長が長波長側へ移動すると、純度のよい橙色の発光色を得ることができる。

0178

また、実施例1の半値幅は、比較例1に比べてより小さく、小さい半値幅を有する比較例2と比較してほぼ同等である。このように、発光スペクトルの半値幅が小さい場合、可視光域での十分な発光が行われる。

0179

その結果、ホウ素含有置換基の導入された発光ドーパントを用いた有機EL素子によれば、優れた色純度を得ることができるとともに、優れた発光効率が得られることが明らかとなった。

0180

本発明は、光源または表示装置利用可能である。

図面の簡単な説明

0181

第1の実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。
第1の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。
第2の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。
第3の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。
第4の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。
第5の実施の形態に係る発光素子用化合物の生成手順の一例を示す模式図である。
実施例1および比較例1により得られた発光特性を示すグラフである。

符号の説明

0182

1基板
2ホール注入電極
3ホール注入層
4ホール輸送層
5発光層
6ホール阻止層
7電子注入層
8電子注入電極
10有機化合物層
100 有機EL素子

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 新山兵治の「 自家発電照明器具」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題・解決手段】電力の供給を受けて発光する照明用の光源と、光エネルギーを吸収して発電する透明太陽電池と、前記光源に供給する電力を制御するとともに、制御の対象とする電力の1つに商業用電力を含む電力制御... 詳細

  • 東洋インキSCホールディングス株式会社の「 有機EL表示装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】高輝度かつ高色再現性を有し、高品位な有機EL表示装置を提供する。【解決手段】駆動素子が形成されたシリコン基板上に、有機EL層と、カラーフィルタとを有する、有機EL表示装置であって、前記カラーフ... 詳細

  • 株式会社ジャパンディスプレイの「 表示装置及びカバーパネル」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】 画像の視認性の低下を抑制することのできる表示装置及びカバーパネルを提供する。【解決手段】 表示装置DSPは、画像を表示する表示パネルPNLと、カバーパネルCOと、を備える。カバーパネルC... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ