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技術 魚介類を素材とした発酵調味料

出願人 北海道
発明者 吉川修司太田智樹田中彰
出願日 2003年4月10日 (17年8ヶ月経過) 出願番号 2003-141145
公開日 2004年11月11日 (16年1ヶ月経過) 公開番号 2004-313138
状態 特許登録済
技術分野 醤油及び醤油関連製品 調味料
主要キーワード 持ち味 油焼け 大豆麹 塩分調整 カマンベルティ 加熱済み バラ凍結 耐塩性酵母
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年11月11日)のものです。
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課題

従来の魚醤油が持つアミン臭脂肪酸化臭などの魚臭さがなく、しかもうま味成分を多く含む水産発酵調味料簡易な製造方法で提供する。

解決手段

魚介類食塩および麹を原料とし、耐塩性を有する乳酸菌チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンディダ(Candida)属酵母の3種の微生物全てを併用して、諸味を30〜40℃に加温しながら発酵させることによって、従来にない魚介類由来臭みが無く、うま味および醤油様の香気に富んだ水産発酵調味料が得られる。

概要

背景

我が国を含むアジアでは魚介類食塩を大量に加え、魚介類の自己消化酵素や環境および原料由来微生物によって原料を分解して製造する魚醤などの水産調味料が多く作られている(日本乳酸菌学会誌第10巻第1号p19および同第2号p90、2000年)。しかし、これらの多くは製造に1年以上を要し、その間に魚介類由来脂肪酸化して油焼け臭が発生したり、原料の鮮度低下によるアミン臭が発生したりするため、クセが強く汎用性の低い製品になっていた。

概要

従来の魚醤油が持つアミン臭や脂肪酸化臭などの魚臭さがなく、しかもうま味成分を多く含む水産発酵調味料簡易な製造方法で提供する。魚介類に食塩および麹を原料とし、耐塩性を有する乳酸菌チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンディダ(Candida)属酵母の3種の微生物全てを併用して、諸味を30〜40℃に加温しながら発酵させることによって、従来にない魚介類由来の臭みが無く、うま味および醤油様の香気に富んだ水産発酵調味料が得られる。 なし

目的

本発明が解決しようとする課題は、従来の魚醤油が持つアミン臭や脂肪酸化臭などの魚臭さがなく、しかもうま味成分を多く含む水産調味料を簡易な製造方法で提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

魚介類食塩および麹を原料とし、耐塩性を有する乳酸菌チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンジダ(Candida)属酵母の3種の微生物全てを併用して、諸味を30〜40℃に加温しながら発酵させることによって得られる水産発酵調味料

請求項2

用いる麹の素材大麦、米、大豆馬鈴薯南瓜ソバダッタンソバ小豆スペルト小麦、および焙炒した小麦のいずれか、またはこれらのうち複数種類を任意に組み合わせたものである請求項1記載の水産発酵調味料。

請求項3

大麦、米、大豆、馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、トウモロコシ、小豆、スペルト小麦、および焙炒した小麦のいずれか、またはこれらのうち複数種類を任意に組み合わせた素材を粉末状に加工したもので製麹した麹を用いて製造する請求項1記載の水産発酵調味料。

請求項4

煮熟した魚介類を原料とする請求項1記載の水産発酵調味料。

技術分野

0001

本発明は、魚介類ならびに食塩および麹を原料とし、微生物を加えて加温し発酵させることにより、魚介類由来臭みが無く、しかも好ましい香気を有する新規水産調味料に関する。具体的には魚介類に食塩と麹を混合し、耐塩性を有する乳酸菌チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンジダ(Candida)属酵母を添加し加温しつつ発酵させることにより魚介類由来の臭みが無く、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料に関する。

0002

我が国を含むアジアでは魚介類に食塩を大量に加え、魚介類の自己消化酵素や環境および原料由来の微生物によって原料を分解して製造する魚醤などの水産調味料が多く作られている(日本乳酸菌学会誌第10巻第1号p19および同第2号p90、2000年)。しかし、これらの多くは製造に1年以上を要し、その間に魚介類由来の脂肪酸化して油焼け臭が発生したり、原料の鮮度低下によるアミン臭が発生したりするため、クセが強く汎用性の低い製品になっていた。

0003

また、魚醤油変敗しやすい魚介類を原料とし、伝統的な製法では防腐のため食塩または食塩水を多量に加えた状態で発酵を行っている。魚醤の熟成自己消化や微生物による分解で進むが、塩分濃度が高いため発酵に1年以上時間がかかるのが通常である。発酵を加速するためには、麹を加えてコウジカビが産生するプロテアーゼなどを作用させて素材の分解を促す必要がある。

0004

これまでに魚醤油の持つ魚臭さなどのクセを除く試みが多数行われてきた。これらを大別すると、加熱もしくは減圧工程、あるいは電気透析によって魚臭さの元になる成分を除去するもの、魚臭さを抑える成分を添加してマスキングするもの、および微生物スターターを利用するものの3つに大別される。以下にこれら従来技術とその問題点を整理して述べる。

0005

加熱、減圧工程、あるいは電気透析などにより魚臭さの元になる成分を除去する手法としては、特開2003−047433、特開2000−041619、特開2000−354468、特開平06−209738、特開平05−064563、特開平11−196815などが挙げられる。これらの手法では、臭みが除かれるものの、製造方法が煩雑であるうえに時間当たりの処理量が限られるため実用性に乏しい。

0006

魚臭さを抑える成分を添加するものとしては、酵母エキスを加える特開2001−025373とオリゴペプチド入り酵母エキスを加える特開平10−27975、香り成分を加える特開平11−075764などが挙げられる。しかし、これらの手法では、製品の製造コストがかさむとともに、添加物により魚醤油本来の風味バランスを損なう恐れがある。

0007

微生物スターターを利用する方法は、最も多く行われている手法である。利用される微生物は耐塩性乳酸菌耐塩性酵母を利用するものが多く、その例として特開2002−191321、特開2001−299267、特開2001−120220、特開2000−295971、特開平11−318383、特開平08−256727、特開平09−191850などが挙げられる。これらの手法は比較的容易に実施できるが、酵母と乳酸菌の添加タイミングや両者の菌数比率を調整する必要があり、高度な技術を伴うために容易に実施できない。

0009

次に魚醤油の製造において従来行われてきたうま味の増強法について述べる。従来法は技術的に2つに大別される。一方は麹などタンパク質分解活性のある微生物を用いる手法、他方はタンパク質分解酵素によって、素材のタンパク質の分解を促して、遊離アミノ酸を増加させる方法である。前者は味噌および醤油醸造、あるいはナチュラルチーズの製造などにおいてこれまでも広く行われてきた手法である。これまでに利用されてきた微生物以外の菌株を用いた新規技術としては、特開平2001−178398のアクチノムコールエレガンス(Actinomucor elegans)とプロテアーゼを併用した手法がある。しかし、同菌は食履歴が無く、さらにスターターとして通常利用されている菌株ではないため実施が困難である。後者は特開2002−027943、特開平11−318383、特開平10−042−828、特開平08−023917などが挙げられる。魚醤油は醤油と違いエキス分に占めるオリゴペプチドの比率が大きく、この差が醤油にはない魚醤油の奥深い美味しさの元であるとされている(魚醤油の知識 幸書房 1996年)。しかし、これら酵素を用いた手法では、遊離アミノ酸が増加することによりうま味の増加は期待できるが、その反面、魚醤油らしい奥行きのあるうま味が損なわれ、単調な風味になる傾向がある。

0008

本発明はこれらの従来技術では解決困難であった諸課題を乳酸菌と2種の耐塩性酵母をスターターとして併用することで解決した。醤油醸造においては乳酸菌とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母ならびにカンジダ(Candida)属酵母の3種を併用する技術がある。チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母は醤油に香ばしい香りを与え、カンジダ(Candida)属酵母は醤油特有の奥深く複雑な香りの形成に関与することが知られている(日本醤油研究所雑誌第23巻第5号p2371997年)。しかし、穀類を原料とする醤油と異なり、魚醤油など水産発酵調味料は魚介類を原料とする。生育ならびに発酵には糖質が不可欠であるが、魚介類は穀類に比べ含まれる糖質が少ない。また、醤油の塩分は14%程度で16%台のものは稀であるのに対し、魚醤油など水産発酵調味料は腐敗しやすい魚介類を原料とするため、塩分が15〜18%程度のものが多く、中には飽和に近い食塩含量の製品もあるなど食塩濃度が高い。15%以上の塩分濃度では微生物の生育が著しく抑制されることが知られており、実際に野菜の長期塩蔵の際は漬上がりで15%以上、経験的には17〜20%となるように塩分調整が行われている(漬物製造学 光琳 1988年)。このように魚醤油の高塩分で低糖質の環境は醤油に比べるとスターターの生育にとって過酷な条件であり、スターターが能力を十分に発揮できない可能性がある。さらに穀類と魚介類ではアミノ酸組成が大きく異なることが知られており、醤油醸造において性能が発揮されるスターターであっても、組成が異なる魚醤油の醸造においても同様の性能が得られるとは限らない。これまで魚醤油など水産発酵調味料の製造において、乳酸菌と2種の耐塩性酵母をスターターとして併用した例は存在しなかった。そこで、これら微生物を諸味に添加する際の組み合わせや諸味中での菌数の増減等を鋭意検討した結果、効果的に魚臭を低減させると同時に醤油様の香ばしさに加え、甘い香りを付与することに成功して本発明に至った。本発明は耐塩性乳酸菌と耐塩性酵母を併用するが、耐塩性酵母を複数種併用することを特徴とする。このことにより、効果的に魚臭を低減させると同時に醤油用の香ばしさに加え、甘い香りを付与可能であり、従来の魚醤油など水産発酵食品とは異なる好ましい香りを有する点で新規である。

背景技術

0009

また、本発明はタンパク質分解酵素を用いないので魚醤油の持ち味を損なわず、しかも従来食用に供されてきたコウジカビの菌株を使用可能であり、さらに従来技術では魚醤油用の麹素材に利用されていない馬鈴薯南瓜ソバダッタンソバトウモロコシ小豆、およびスペルト小麦を使用することで、これら麹素材由来の風味をも付加できる点において、従来技術とは異なり新規である。小麦麹は小麦に含まれるグルテンがタンパク質分解酵素で分解された際に、うま味物質であるグルタミン酸遊離することから、古くから醤油醸造に用いられてきたが、製麹の際の発熱激しく熟練を積まなければ麹作りは容易ではなかった。そこで、本発明は小麦を焦げないように炒って、コウジカビの菌糸が小麦に侵入し生育し易くなるよう処理した後、小麦を粉末状に細かく粉砕したもの(以下、焙炒小麦)を使用することで、うま味の付与と同時に諸味の液状化を促進することを可能とした点で新規である。

0010

本発明が解決しようとする課題は、従来の魚醤油が持つアミン臭や脂肪酸化臭などの魚臭さがなく、しかもうま味成分を多く含む水産調味料を簡易な製造方法で提供することにある。

0011

【課題を解決するための手法】
本発明者らは上記目的を達成するため、麹の種類ならびに添加する微生物スターターの種類と組み合わせについて鋭意研究を行い、発酵の際に魚介類に麹と食塩の他に、耐塩性乳酸菌ならびにチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、ならびにカンジダ(Candida)属に属する耐塩性酵母各1種の計3種類の微生物スターターを加えることにより、魚の臭みが無く、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料が製造できることを見いだし、本発明に至った。

0012

具体的には魚介類に食塩と麹を混合し、耐塩性を有する乳酸菌、例えばテトラゲノコッカスハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、例えばチゴサッカロマイセスルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)ならびにカンジダ(Candida)属酵母、例えばカンジダ・バーサティリス(Candida versatilis)、あるいはカンジダ・エシェルシ(Candida etchellsii)の3種の微生物を同時にスターターとして添加して諸味とし、さらに諸味を35〜40℃±2℃で加温しつつ発酵させて製造する、魚介類由来の臭みを伴わず、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料に関する。

0013

本発明において、加える乳酸菌は腐敗菌の生育が抑制される塩濃度10%以上の条件下で生育可能な耐塩性を有すればその種を問わない。望ましくは食履歴のあるテトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、およびラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌株が該当する。例えばテトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcuspentosaceus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)などが挙げられる。

0014

用いる麹は大麦、米、大豆、馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、小豆、スペルト小麦、および焙炒小麦のいずれか、またはこれらのうち複数種類を任意に組み合わせたもの全てが該当し、その混合比率を問わない。

0015

さらに、原料となる魚介類の種類および凍結もしくは加熱の有無、ならびに発酵期間長短、さらにオリ下げもしくは清澄濾過処理の有無を問わない。

発明が解決しようとする課題

0016

麹の製造に使用する菌株は食履歴のあるアスペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属、モナスカス(Monascus)属、およびリゾープス(Rhizopus)属、ユーロティウム属(Eurotium)の菌株が該当する。例えばアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus soyae)、アスペルギルス・シロウサミ(Aspergillus sirousamii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、モナスカス・アンカ(Monascus anka)、モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)、リゾープス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、ならびにユーロティウム・ハーバリオラム(Eurotium herbariorum)などが挙げられる。これらの菌株は単独、もしくは複数を使用してもよい。

0017

本発明の水産発酵調味料は生あるいは加熱した魚介類をミンチ状にし、食塩と麹を加えた後に乳酸菌とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、さらにカンジダ(Candida)属酵母の3種類のスターターを加えてよく混合して諸味とし、この諸味を30〜40℃で加温しつつ発酵熟成して製造される。

0018

【実施例】
以下に魚介類を素材とした発酵調味料の製造方法の概略を示す。

0019

魚介類に大麦麹、食塩の他に、耐塩性を有する乳酸菌とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンジダ(Candida)属酵母の3属に属する微生物3種類の微生物スターターを加えることにより、魚の臭みが無く、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料が製造可能である。

0020

以下に魚介類を素材とした発酵調味料の製造方法を詳細に示す。

0021

具体的には魚介類に食塩と麹を混合し、耐塩性を有する乳酸菌、例えばテトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、例えばチゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)ならびにカンジダ(Candida)属酵母、例えばカンジダ・バーサティリス(Candida versatilis)あるいはカンジダ・エシェルシ(Candida etchellsii)の3種の微生物を同時にスターターとして添加し諸味とし、さらに諸味を33〜40℃で加温しつつ発酵させて製造する、魚介類由来の臭みを伴わず、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料に関する。

0022

以下実施例により本発明の内容を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されない。

0023

【実施例1】
シロサケを素材とした発酵調味料の製造

0024

細切したシロサケ後をチョッパーによりミンチ状にし、原料の20%重量の塩、および麹をそれぞれ加え、よく混合して諸味とした。諸味を35〜40℃で3ヶ月発酵した後、遠心分離して得た液体を80〜90℃30分加熱後、1%重量のセライトを加えてよく撹拌し、放冷後、吸引濾過して試作品を得た。麹は米麹、または大麦麹、もしくは大豆麹を加えたものを試作した。麹はいずれも(株)ビオックより購入したもので、使用されているコウジカビはアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)である。

0025

米麹、大麦麹、および大豆麹の3種類の麹を用いて試作した水産発酵調味料の諸味のpH変化を図1に、試作した調味料の分析値を表1にそれぞれ示した。麹を加えることによっていずれの麹を用いても発酵が促進され、麹無添加区に比べpHの低下が早まることがわかった。諸味から得られた調味料のpHは米麹および大麦麹はほぼ同じ値で、大豆麹はやや高い値を示した。うま味の指標である遊離アミノ酸量グルタミン酸量は大豆麹を使用したものが最も多かったが、豆類特有の香りが強過ぎ、風味を損なった。米麹を使用したものは遊離アミノ酸量とグルタミン酸量が大豆麹のほぼ半分の値で、乳酸は大豆麹を使用したものに近い値であった。さらに甘みは最も強かったがサケ本来の風味があまり感じられず、風味のバランスが悪かった。大麦麹を使用したものは遊離アミノ酸量とグルタミン酸量が最も少なかったが、好ましい香りを有し、最もサケ本来の風味が感じられた。よって、風味のバランスに優れた大麦麹が適していると判断した。

0026

次いで、大麦麹を製麹直後の水分まで復水した麹を用いて試作を行い、麹の復水処理の有無が品質に与える影響を調べた。復水処理は大麦麹700gに水300mlを加えて時々撹拌しながら1時間かけて行った。復水した大麦麹を用いて製造した水産発酵調味料は、復水しなかった麹を用いたものに比べ、遊離アミノ酸量、グルタミン酸量、ならびに乳酸量がそれぞれ2.5、2.7、1.8倍に増加した(表1)。よって、麹の復水処理が水産発酵調味料のうま味を増加させる有効な手段であることがわかった。

0027

【図1】
枠01

0028

【表1】
枠02

0029

復水した大麦麹を使用してうま味成分が増加したので、さらに魚醤油特有のクセを低減化するために、耐塩性乳酸菌と耐塩性酵母のスターターを添加して発酵させた。具体的には細切したシロサケ後をチョッパーによりミンチ状にし、原料の20%重量の塩、および復水処理した大麦麹、さらに微生物スターターをそれぞれ加え、よく混合して諸味とした。諸味を35〜40℃で90日間発酵した後、遠心分離して得た液体を85℃30分加熱後、1%量のセライトを加えてよく撹拌し、放冷後、吸引濾過して試作品を得た。なお、微生物スターターは耐塩性乳酸菌としてテトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、耐塩性酵母としてチゴサッカロミセス・ルキシ(Zygosaccharomyces rouxii)ならびにカンジダ・バーサティリス(Candida versatilis)の3種の微生物をそれぞれの初発菌数を106CFU/kgとなるよう添加した。

0030

発酵中の諸味のpH変化を図2に示した。微生物スターターを加えることによって、単に復水した大麦麹を使った場合に比べて発酵が促進され、pHの低下が早まることがわかった。これは加えた微生物スターター、特に乳酸菌スターターが諸味中で作用していることを示すものである。

0031

【図2】
枠03

0032

微生物スターターを加えて試作した水産発酵調味料の分析値を表2に示す。品質の評価はpH、Brix、全窒素、塩分、アミノ酸量、乳酸量、アルコール色度、および赤味度について行った。Brixは屈折計、全窒素はケルダール法、アルコールはF−kit(ベーリンガー)、赤味度(a*)は色差計を用いて測定した。遊離アミノ酸は魚醤油にエタノールを加えて除タンパク減圧乾燥し、0.02N塩酸に溶解したものを試料として全自動アミノ酸分析計で測定した。乳酸は蒸留水で5倍に希釈して、HPLC法により測定した。得られた分析値を表2に示す。pH、Brixと窒素利用率、全窒素はそれぞれ4.96、39.3、78%、1.99を示し、諸味の発酵が十分に進んでいた。一般に遊離アミノ酸含量が5.0g/100ml以上でうま味を感じるとされるが、試作品の遊離アミノ酸含量はその値を超える8.9g/100mlであり、そのうち代表的なうま味成分であるグルタミン酸がほぼ10%を占め、うま味豊富な調味料であることがわかった。また、エタノールや味を引き締める作用のある乳酸の双方がバランスよく含まれた組成となっていた。

0033

【表2】
枠04

0034

パネル10人による官能評価によって、試作品の風味を市販の魚醤および醤油と比較した。試作品は従来の魚醤より魚臭さがかなり少ない上に、香りは醤油様の香り、ならびに甘い香りが醤油よりやや強く、香ばしさも感じられた。うま味は醤油と同程度に強いうえに、醤油より甘味が若干強かった。また、乳酸菌を添加しているにもかかわらず酸味は醤油よりも少ないまろやかな味となっていた。色はタンパク質やペプチドが多いにも関わらず醤油よりやや薄いと評価された(図3)。以上より、本発明によって製造された水産発酵調味料は従来の魚醤油よりもクセが無く、うま味と香りに優れていることが判明した。

0035

【図3】
枠05

0036

さらに、試作を10kg規模で行った際のpH変化を図4に示した。pHの低下は図2とほぼ同様に発酵期間10日目までに急激に進み、以後は緩やかに低下した。このことは加えたスターターが諸味中で確実に作用し、発酵が順調に行われたことを示すものである。

0037

【図4】
枠06

0038

続いて発酵中の諸味中の耐塩性細菌数と耐塩性酵母数を測定した。耐塩性細菌数はGAMブイヨン(日水製薬)に食塩を10%、炭酸カルシウム0.5%をそれぞれ添加し、続いて水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8.0に調製してから寒天を2%加え、121℃15分滅菌後、最後にシクロヘキシイミド培地中の終濃度が100mg/lになるよう無菌的に加えてよく混和し、シャーレ流し込んで調製した平板培地を用いて測定した。耐塩性酵母数はポテトデキストロース培地(日水製薬)に食塩を10%、炭酸カルシウム0.5%、寒天を2%をそれぞれ添加し、121℃15分滅菌した後、クロラムフェニコールを培地中の終濃度が100mg/lになるよう無菌的に加えてよく混和し、シャーレに流し込んだ平板培地を用いて測定した。発酵中の諸味を適宜0.85%生理食塩水を用いて段階的に希釈し、用意した平板培地に塗抹後、30℃で7〜10日間培養した。発酵期間中の耐塩性細菌数および耐塩性酵母数を測定した。発酵中の諸味中の耐塩性細菌数と耐塩性酵母数の変化を図5に示した。耐塩性細菌数は発酵30日目まで減少を続けた。これは乳酸菌が発酵初期に作用するためと考えられる。耐塩性酵母は発酵30日目まで減少を続け、一度検出されなくなった後、発酵56日目から再度検出されるようになった。醤油製造においてチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母とカンジダ(Candida)属酵母を併用した場合、前者が発酵初期に作用するのに対し、後者は発酵後期に作用するとの報告があり(日本醤油研究所雑誌第23巻第5号p237 1997年)、基質が醤油原料の穀類とは組成が大きく異なる動物性タンパク質でも、同様の現象が見られたと考えられた。

0039

【図5】
枠07

0040

得られた試作品は

0029

に記載した方法で試作したものと同様の風味を示した。また、遊離アミノ酸含量は10.1g/100ml、そのうち代表的なうま味成分であるグルタミン酸は0.91g/100mlを占め、試作品のうま味が豊富であることがわかった。よって、本発明の技術を適用した場合良好な品質が再現性よく得られることが示された。

0041

以上の結果から、本発明によれば、水産原料に麹と耐塩性乳酸としてチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母とカンジダ(Candida)属酵母の計3種のスターターを加えればうま味と香りに富み、しかも魚介類由来のクセが感じられない汎用性のある調味料が製造可能であることが示された。

0042

なお、本実施例で用いた(株)ビオック製の米麹の場合は麹800gに対し水200ml、同社製の大豆麹の場合は麹600gに対して水400mlを加え、大麦麹と同様に復水処理を行い、

0029

記載の方法で水産発酵調味料を製造した場合も同様の効果がある。また、同社製以外の麹を用いた場合でも、仕込みに用いる麹の水分量を製麹終了直後の水分量となるように復水処理した場合に同様の効果を認めた。

0043

【実施例2】
スケトウダラ内臓と骨、および皮を素材とした発酵調味料の製造

0044

スケトウダラの内臓、骨、および皮を細切した後にチョッパーによりミンチ状にし、原料の20%重量の塩、および原料の20%重量の

0026

記載の方法で復水処理した大麦麹をそれぞれ加え、よく混合して諸味とした。諸味には耐塩性乳酸菌のスターターとしてテトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、および耐塩性酵母のスターターとしてチゴサッカロマイセス・ルキシ(Zygosaccharomycesrouxii)ならびにカンジダ・バーサティリス(Candida versatilis)を以下の組み合わせで添加した。すなわち、スターター無添加区(以後、無添加区)、乳酸菌添加区、乳酸菌とチゴサッカロミセス添加区(以後、チゴサッカロミセス区)、乳酸菌とカンジダ添加区(以後、カンジダ区)、微生物全種類添加区(以後、全添加区)である。スターターは初発菌数がそれぞれのスターターが106CFU/kgとなるよう添加した。スターターを添加後に諸味をよく混合し、33〜40℃で加温しながら10週間発酵させた。

0045

発酵中のpHの変化を図6に示した。カンジダ区はスターター無添加区よりもpHが常に高めに推移していた。他の試験区はスターター無添加区よりもpHが常に低い値を示した。

0046

【図6】
枠08

0047

0038

記載の方法と同様に測定した発酵期間中の耐塩性細菌数の変化を図4に、耐塩性酵母数の変化を図5に示した。無添加区では発酵期間中に耐塩性細菌および耐塩性酵母は検出されなかった。スターターとして加えた乳酸菌は発酵開始後10日以内に検出されなくなり、発酵の初期に作用することが示唆された。また、耐塩性乳酸菌は単独ではなく、耐塩性酵母と併用した方が、発酵期間中の菌数が高くなることがわかった。耐塩性酵母数は、発酵の前半においては全添加区で最も菌数が高かった。よって、発酵は耐塩性乳酸菌単独で添加するのではなく、耐塩性酵母2種と併用することによって菌数が高い状態が続き、発酵が促進されることが示された。

0048

【図7】
枠09

0049

【図8】
枠10

0050

次にボイルしたスケトウダラのミンチを放冷してから食塩と復水処理した大麦麹、および微生物スターター全種類を添加し、

0044

記載の方法で発酵させた(以後、ボイル区)。

0051

発酵中のpHの変化を図9に、発酵期間中の耐塩性細菌数および耐塩性酵母数の変化を図10に示した。ボイル区は全添加区に比べ発酵初期のpHの低下が促進された。また、ボイル区の耐塩性細菌数および耐塩性酵母数は全添加区に比べ多く推移した。以上より、ボイル処理によって微生物スターターの菌数が全添加区より高めに維持される結果、発酵が促進されることがわかった。この現象はボイル処理により魚肉タンパク質熱変性し、コウジカビやスターターのタンパク質分解酵素の作用を受け易くなった結果、スターターの生育に必要な栄養成分が諸味中に多く供給されたため生じたと考えられた。

0054

【図9】
枠11

0055

【図10】
枠12

0056

以上の結果から、テトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母ならびにカンジダ(Candida)属酵母の3種の微生物スターターは全てを併用すべきであること、原料となる魚介類をボイル処理することによって発酵が促進できること、ならびにサケ以外の魚種においても本発明が適用可能なことが明らかとなった。

0057

【実施例3】
ダッタンソバ、大麦、米、大豆、ソバ、小豆、トウモロコシ、スペルト小麦、焙炒小麦、馬鈴薯、および南瓜を素材とした麹を用いた水産発酵調味料の製造

0058

シロサケの頭部以外の部分を細切した後にチョッパーによりミンチ状にし、原料の20%重量の塩、および麹をそれぞれ加え、よく混合して諸味とした。諸味を33〜40℃で加温しながら90日間発酵させた。麹は馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、小豆、スペルト小麦、および焙炒小麦を素材として以下に詳述する手法によって製造した。種麹は全て(株)ビオックより入手したアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus soyae)を用いた。

0059

ダッタンソバ麹は次のように調製した。ダッタンソバ粉1.5kgを30分間蒸した後、ダッタンソバ粉1.5kgを加えフードプロセッサ中で混合しつつ水600mlを加えて水分を35〜42%に調整した。これは本試験に伴い魚醤油用麹の製麹実験を繰り返した結果、水分範囲を超えた場合は麹の酸敗が、下回った場合はコウジカビの生育不良が起こるためである。加水したダッタンソバ粉をコウジカビ胞子の発最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.1gを馬鈴薯デンプン18.9gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて38〜40℃に加温しコウジカビ胞子の発芽を促し、加温後16時間目に空気の供給と放熱のため混合した。さらに製麹機にて8時間35℃を超えぬよう温度管理してコウジカビの生育を促した後、再度空気の供給と放熱のため混合した。最後に20時間35℃を超えぬよう温度管理して、コウジカビの生育をさらに促しダッタンソバ麹を調製した。

0060

大麦麹は次のように調製した。大麦(押麦)2.5kgを水に5分間浸漬後に3時間水切りした後、グリセリン脂肪酸エステル製剤1.5gを500mlの温湯に溶いたものを加えてよく混合した。続いて20〜50分蒸して、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。蒸した押麦をコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.5gを馬鈴薯デンプン22.5gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促して大麦麹を調製した。

0061

米麹は次のように調製した。うるち米2.5kgを水洗してを洗い流した後一晩水に浸漬させた後、3時間水切りし、グリセリン脂肪酸エステル製剤1.5gを500mlの温湯に溶いたものを加えてよく混合した。続いて20〜50分蒸して、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。蒸した米をコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.5gを馬鈴薯デンプン22.5gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促して米麹を調製した。

0062

大豆麹は次のように調製した。脱皮大豆2.5kgを数回水を交換しながら2時間半水に浸漬させた後、2時間半水切りし、続いて40〜60分蒸して、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。蒸した大豆をコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.5gを馬鈴薯デンプン22.5gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて25〜28℃に加温しコウジカビ胞子の発芽を促し、加温後16時間目に空気の供給と放熱のため混合した。なお、コウジカビの生育過剰によるアンモニアの発生を防ぐため、供給する空気を氷冷し麹の品温上昇を抑制した。さらに製麹機にて8時間22℃を超えぬよう氷冷した空気を送風しながら温度管理してコウジカビの生育を促した後、再度空気の供給と放熱のため混合した。最後に20時間35℃を超えぬよう温度管理してさらに生育を促して大豆麹を調製した。

0063

ソバ麹は次のように調製した。ソバのヌキ(ソバの種実より殻を除いたもの)2.5kgを5分間水に浸漬した後に3時間水切りし、20〜50分蒸して、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。蒸したソバのヌキをコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.1gを馬鈴薯デンプン18.9gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促してソバ麹を調製した。

0064

小豆、もしくはトウモロコシ麹は次のように調製した。小豆、もしくはホミニコーン(乾燥トウモロコシを3つ割りもしくは4つ割程度に挽き割ったもの)2.5kgを一晩水に浸漬後、4時間水切りを行い、20〜50分蒸して、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。処理した小豆、もしくはトウモロコシをコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.5gを馬鈴薯デンプン22.5gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促して小豆、もしくはトウモロコシ麹を調製した。

0065

スペルト小麦麹は次のように調製した。市販のスペルト小麦(ボイル後バラ凍結品)3.5kgを熱湯に30秒浸漬後に湯切りして、

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。処理したスペルト小麦をコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹3.5gを馬鈴薯デンプン31.5gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促してスペルト小麦麹を調製した。

0066

焙炒小麦麹は次のように調製した。焙炒小麦粉末2.5kgをフードプロセッサ中で混合しつつ水875mlを加えた。加水は焙炒小麦の種麹の摂取前の水分の水分が

0059

記載の範囲になるよう調整するため行った。処理した焙炒小麦を50分間蒸した後、コウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹2.1gを馬鈴薯デンプン18.9gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促して焙炒小麦麹を完成した。

0067

馬鈴薯、もしくは南瓜麹は次のように調製した。ボイル後凍結品の馬鈴薯、もしくは南瓜2kgを熱湯に30秒浸漬してから湯切りした後、等量のデンプンを加えて水分を

0059

と同様の水分範囲になるよう調整した。処理した馬鈴薯、もしくは南瓜をコウジカビ胞子の発芽最適温度である34〜36℃まで冷却し、希釈した種麹(種麹4.0gを馬鈴薯デンプン36.0gと混合したもの)を均一に振りかけ、よく混合した。これを製麹機にて

0059

記載の方法と同様の温度管理を行い、コウジカビの生育を促して馬鈴薯、もしくは南瓜麹を調製した。

0068

各種麹を用いて試作した水産発酵調味料の諸味のpH変化を図11、12、および13に示した。麹を添加した試験区はいずれも麹を添加しなかった区よりも低いpHを示した。よって、麹により発酵が促進されていることがわかり、各種麹の製麹が良好に行われたことが示された。

0069

【図11】
枠13

0070

【図12】
枠14

0071

【図13】
枠15

0072

各種麹を用いて試作した水産発酵調味料の分析値を表3に示した。どの麹を用いても遊離アミノ酸含量がうま味を感じるとされる5.0g/100mlを上回り、しかも麹を用いない場合よりも遊離アミノ酸量ならびに遊離グルタミン酸量ともに高い値を示した。このことから米、大麦、大豆、馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、小豆、スペルト小麦、および焙炒小麦のいずれからも良質な麹が製造できることがわかった。さらに、これらの麹から試作した水産発酵調味料はうま味に富んだものであることが示された。

0073

【表3】
枠16

0074

以上より、馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、小豆、スペルト小麦、および焙炒小麦を素材とした麹を用いても、水産発酵調味料が製造可能であることが示された。また、
【実施例1】
記載の復水処理した大麦麹の例と本実施例の大麦麹(復水処理済み)を比較し、麹の菌株がアスペルギルス・オリゼであるか、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus soyae)であるかに関わらず、うま味に富んだ水産発酵調味料が製造可能であることが示された。なお、これらの麹と耐塩性を有する乳酸菌、例えばテトラゲノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)とチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、例えばチゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)ならびにカンジダ(Candida)属酵母、例えばカンジダ・バーサティリス(Candida versatilis)の3種の微生物を同時にスターターとして添加することも可能であり、
【実施例1】
記載の効果と同様の効果が得られた。

発明を実施するための最良の形態

0075

以上3例の実施例により、本発明の水産発酵調味料は従来の魚醤や魚醤油のような魚介類由来の臭みが無く、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだものであることが確認された。

発明の効果

0076

本発明に従い、加熱済みもしくは非加熱の魚介類に食塩および大麦、米、大豆、馬鈴薯、南瓜、ソバ、ダッタンソバ、小豆、スペルト小麦、および焙炒小麦のいずれかを素材とする麹を1種もしくは複数種添加し、さらに耐塩性を有する乳酸菌、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属酵母、ならびにカンジダ(Candida)属酵母の3種の微生物全てをスターターとして添加し、諸味を30〜40℃に加温しながら発酵させることによって従来の魚醤や魚醤油のような魚介類由来の臭みが無く、しかも醤油様の香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料が製造可能である。

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