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技術 有害金属除去方法

出願人 マリン・サイエンス株式会社
発明者 平田博文熊谷光洋
出願日 2003年3月27日 (17年9ヶ月経過) 出願番号 2003-089197
公開日 2004年10月21日 (16年2ヶ月経過) 公開番号 2004-290898
状態 特許登録済
技術分野 飼料(2)(一般) 消化剤;有害な化学剤の無害化 肉類、卵、魚製品 固体廃棄物の処理
主要キーワード 使用済水 許容基準値 カドミウム蒸気 脱液処理 カドミウム量 カドミウム含有量 中和水溶液 周辺海域
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年10月21日)のものです。
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図面 (1)

課題

最小限の溶出液使用量で、ホタテ貝内臓組織中のカドミウム飼料基準値の2.5ppm以下、望ましくは食品用基準値の0.8ppm以下の濃度まで効率良く除去する。

解決手段

(イ)内臓組織無機酸水溶液に十分に含浸させる工程、(ロ)無機酸を含浸した内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ハ)無機酸を含浸した内臓組織を、その内臓組織に存在する液中の無機酸及び有害金属よりも小さい濃度あるいは含まない水と接触させ、無機酸及び有害金属を外部に浸出させる工程、(ニ)有害金属を低濃度とした内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ホ)有害金属を低濃度にした内臓組織にアルカリ水溶液を加えて内臓組織内に含まれる無機酸を外部に浸出させ、それを中和するとともに内臓組織内の有害金属をさらに除去する工程、及び(ヘ)アルカリ中和水溶液から、有害金属を除去した内臓組織を分離回収する工程を順次行う。

概要

背景

北海道、青森地方では、食用として供するために大量のホタテ貝養殖されているが、ホタテ貝の中で食用に供されるのは、貝柱のみであり、それ以外の部分は未利用のまま処分されている。

概要

最小限の溶出液使用量で、ホタテ貝内臓組織中のカドミウム飼料基準値の2.5ppm以下、望ましくは食品用基準値の0.8ppm以下の濃度まで効率良く除去する。(イ)内臓組織無機酸水溶液に十分に含浸させる工程、(ロ)無機酸を含浸した内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ハ)無機酸を含浸した内臓組織を、その内臓組織に存在する液中の無機酸及び有害金属よりも小さい濃度あるいは含まない水と接触させ、無機酸及び有害金属を外部に浸出させる工程、(ニ)有害金属を低濃度とした内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ホ)有害金属を低濃度にした内臓組織にアルカリ水溶液を加えて内臓組織内に含まれる無機酸を外部に浸出させ、それを中和するとともに内臓組織内の有害金属をさらに除去する工程、及び(ヘ)アルカリ中和水溶液から、有害金属を除去した内臓組織を分離回収する工程を順次行う。 なし

目的

本発明は、これらの従来方法がもつ欠点を克服し、できるだけ少ない溶出液を使用して、高い効率でホタテ貝内臓組織中のカドミウムを飼料用として使用可能な基準値2.5ppm以下、望ましくは食品として使用可能な基準値0.8ppm以下の濃度まで除去しうる新規な方法を提供することを目的としてなされたものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

軟体動物内臓組織に含まれる有害金属を除去するに当り、(イ)該内臓組織を無機酸水溶液に浸漬し、内臓組織内無機酸を十分に含浸させる工程、(ロ)無機酸を十分に含浸した内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ハ)無機酸を含浸した内臓組織を、その内臓組織に存在する液中の無機酸及び有害金属よりも小さい濃度で無機酸又は有害金属あるいはその両方を含む水若しくはこれらを含まない水と接触させ、内臓組織の内部と外部の無機酸又は有害金属あるいはその両方の濃度差を利用して、内臓組織から無機酸及び有害金属を外部に浸出させ、有害金属が低濃度の内臓組織とする有害金属の溶出工程、(ニ)有害金属を低濃度とした内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、(ホ)有害金属を低濃度にした内臓組織にアルカリ水溶液を加えながら内臓組織内に含まれる無機酸を外部に浸出させ、それを中和するとともに内臓組織内の有害金属をさらに除去する工程、及び(ヘ)アルカリ中和水溶液から、有害金属を除去した内臓組織を分離回収する工程を順次行うことを特徴とする有害金属除去方法

請求項2

(イ)工程の無機酸水溶液がpH1.0〜2.0である請求項1記載の有害金属除去方法。

請求項3

(ハ)及び(ニ)の工程を2回以上繰り返す請求項1又は2記載の有害金属除去方法。

請求項4

軟体動物の内臓組織がホタテ内臓及びイカ内臓である請求項1、2又は3記載の有害金属除去方法。

請求項5

(イ)工程を行うに先立って該内臓組織を蒸煮する請求項1ないし4のいずれかに記載の有害金属除去方法。

請求項6

該内臓組織があらかじめ2〜50mmにカットされている請求項1ないし5のいずれかに記載の有害金属除去方法。

請求項7

除去される有害金属がカドミウムである請求項1ないし6のいずれかに記載の有害金属除去方法。

請求項8

(イ)工程の無機酸水溶液が塩酸水溶液である請求項1ないし7のいずれかに記載の有害金属除去方法。

請求項9

塩酸水溶液がpH1.0〜2.0である請求項8記載の有害金属除去方法。

請求項10

(ホ)工程におけるアルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水である請求項1ないし9のいずれかに記載の有害金属除去方法。

技術分野

0001

本発明は、軟体動物食品加工残滓、特にホタテ貝内臓組織イカの内臓組織のような、軟体動物を加工する際に排出される残滓から、カドミウム、水銀などの有害金属を効率よく除去する方法に関するものである。
ここで、ホタテ貝の内臓組織とは、ホタテ貝の中腸腺生殖巣外套膜心臓及び腎臓をいい、イカの内臓組織とはイカの肝臓、生殖巣、鰓、、心臓及び墨汁襄をいう。

0002

北海道、青森地方では、食用として供するために大量のホタテ貝が養殖されているが、ホタテ貝の中で食用に供されるのは、貝柱のみであり、それ以外の部分は未利用のまま処分されている。

0003

しかしながら、ホタテ貝の内臓組織、特に中腸腺(俗称ウロ)には、生物に対して有害なカドミウムが含まれているため、環境汚染の点でそのまま廃棄することはできず、廃棄する場合には、あらかじめカドミウムを許容基準値以下まで除去しなければならない。また、この内臓組織には、アミノ酸タンパク質不飽和脂肪酸など多くの栄養分が含まれているため、栄養剤食材飼料などの好適な原料として注目されているが、カドミウムを除去するための適切な方法が見出されず、これまで実現されていない。

0004

このため、毎年多量に発生するホタテ貝の内臓組織は、焼却法、炭化法により廃棄処分されているが、これらの方法は大規模な装置を必要とする上に、ぼう大なエネルギー消費を伴い、しかも燃焼ガス中ダイオキシンカドミウム蒸気により農作物被害を蒙るという欠点があるため、これに代るべき処理方法要望されている。

0005

このような事情のもとで、軟体動物の内臓中のカドミウムを除去することを目的として種々の研究がなされ、これまでにもいくつかの方法、例えばホタテ貝の中腸腺やスルメイカの肝臓をすり潰し、それをpH1ないし9の水溶液又は飽和硫酸アンモニウム水溶液に浸漬してカドミウムを溶出し、除去する方法(非特許文献1参照)、ホタテ貝の中腸腺を希硫酸に浸漬して、この中に重金属を溶出させたのち、この溶出液強酸性カチオン交換樹脂に接触させて、それに吸着除去する方法(特許文献1参照)、ホタテ貝の中腸腺を電解質溶液で抽出したのち、電気分解する方法(特許文献2参照)、ホタテ貝の中腸腺を0.1〜40%リン酸水溶液に24時間浸漬したのち、デカンテーション浸漬液を除き、遠心脱水する方法(特許文献3参照)などが提案されている。

0006

しかしながら、ホタテ貝の中腸腺をすり潰し、pH1〜9の水溶液や飽和硫酸アンモニウム水溶液に浸漬して溶出させる方法は、カドミウム除去率が不十分である上に、溶出液中のカドミウムの処理がむずかしく、実用的でないし、また強酸性カチオン交換樹脂を用いる方法は、効率が低く、実用的でないし、電気分解する方法は、大量に排出されるホタテ貝の中腸腺を処理するには大規模な設備を必要とする上、多量の電力消費しなければならないという欠点があった。

0007

さらに、リン酸水溶液を用いてカドミウムを溶出する方法は、溶出液の処理をカチオン性交換樹脂で行わなければならないので、上記の方法と同様の欠点を有する上に、多量のリン酸を用いるため、コスト高になるのを免れず、またリン酸含有の排水は、周辺海域富栄養化の原因となるので、工業的に実施するには必ずしも満足できる方法とはいえない。

0008

そのほか、ホタテ貝の内臓組織を希酸水溶液に浸漬し、その内臓組織をプレスロールで圧扁処理して破壊し、その組織液を搾液する方法(特許文献4参照)も提案されているが、内臓組織を破壊するには、超高圧プレスする必要がある上に、内臓組織が軟質なため、ロール間へ喰い込ませるのがむずかしく、工業的にはとうてい実施することはできないものであった。

背景技術

0009

【特許文献1】
特開平9−217131号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開平8−99001号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開2000−296389号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特開2002−336818号公報(特許請求の範囲その他)
【非特許文献1】
北大水産彙報」,1994年,第45巻,第4号,p.120−126

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、これらの従来方法がもつ欠点を克服し、できるだけ少ない溶出液を使用して、高い効率でホタテ貝内臓組織中のカドミウムを飼料用として使用可能な基準値2.5ppm以下、望ましくは食品として使用可能な基準値0.8ppm以下の濃度まで除去しうる新規な方法を提供することを目的としてなされたものである。

0011

本発明者らは、ホタテ貝のような軟体動物の内臓組織中に含まれる有害金属、例えばカドミウムを簡単かつ効率よく除去する方法を開発するために鋭意研究を重ねた結果、先ず、ホタテ貝の内臓組織内無機酸を十分に含浸させて、内臓組織中に結合しているカドミウムを完全に遊離させたのち、この無機酸が含浸している内臓組織をその内臓組織に存在する液中の無機酸及び有害金属の濃度よりも小さい濃度で無機酸及び有害金属あるいはその両方を含む水若しくは含まない水と接触させ、内臓組織の内部と外部の無機酸及び有害金属の濃度差を利用して、内臓組織から無機酸及び有害金属を外部に浸出させることで、内臓組織内の有害金属を低濃度にするのと同時に組織外の水又は低濃度の無機酸水溶液が組織内の高濃度の無機酸を希釈するために組織内に浸入し、組織全体膨潤させるので、次にアルカリ水溶液中和すると、組織外の無機酸と添加されたアルカリとの中和によって生成する組織外の塩の脱水効果によって、組織内の水分が組織外に浸出し、内臓組織の急激な収縮が起きる結果、カドミウムが組織外に効果的に排出されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。

課題を解決するための手段

0012

すなわち、本発明は、軟体動物の内臓組織に含まれる有害金属を除去するに当り
(イ)該内臓組織を無機酸水溶液に浸漬し、内臓組織内に無機酸を十分に含浸させる工程、
(ロ)無機酸を十分に含浸した内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、
(ハ)無機酸を含浸した内臓組織を、その内臓組織に存在する液中の無機酸及び有害金属よりも小さい濃度で無機酸又は有害金属あるいはその両方を含む水若しくはこれらを含まない水と接触させ、内臓組織の内部と外部の無機酸又は有害金属あるいはその両方の濃度差を利用して、内臓組織から無機酸及び有害金属を外部に浸出させ、有害金属が低濃度の内臓組織とする有害金属の溶出工程、
(ニ)有害金属を低濃度とした内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する工程、
(ホ)有害金属を低濃度にした内臓組織にアルカリ水溶液を加えながら内臓組織内に含まれる無機酸を外部に浸出させ、それを中和するとともに内臓組織内の有害金属をさらに除去する工程、及び
(ヘ)アルカリ中和水溶液から、有害金属を除去した内臓組織を分離回収する工程
を順次行うことを特徴とする有害金属除去方法を提供するものである。

0013

本発明は、軟体動物、例えば貝類やイカなどの内臓組織に含まれる有害金属、例えばカドミウム、水銀、特にホタテ貝の内臓組織に含まれるカドミウムを除去する方法である。

0014

水産加工場から集荷されるホタテ貝の内臓組織は、生又は蒸煮した状態であるが、水産加工場から処理場までの搬送時の悪臭発生及び腐敗劣化を考慮すると、本発明では蒸煮した内臓組織を原料として用いることが望ましい。

0015

これらの蒸煮した内臓組織は、処理される前にあらかじめ2〜50mm、好ましくは5〜20mm程度にカットしておくのがよい。このカットの長さは、短かければ短いほど内臓組織内に無機酸水溶液や水が浸透しやすくなるので好ましいが、あまり小さくすると、切断の際に生成する懸濁物質SS)の量が多くなり、後続のカドミウム吸着用カラム通液の際、目詰り起し、操作が妨げられる。したがって、カット長としては2〜50mm、好ましくは5〜20mmの範囲が選ばれる。

0016

そして、本発明の(イ)工程においては、原料として供給される軟体動物の内臓組織を無機酸水溶液に浸漬する。この際の無機酸としては、塩酸硫酸硝酸、リン酸などを用いることができるが、取り扱いやすく安全なこと、使用済廃液処理が容易なこと、価格が安いことなどを考慮して、工業的には塩酸が最も好ましい。

0017

また、この無機酸水溶液の濃度としては、pHが1.0〜2.0の範囲になる濃度が選ばれる。この濃度は、だいたい塩酸の場合0.04〜0.5質量%(0.01〜0.13M)に相当する。この無機酸水溶液の使用量は少ないとカドミウムの溶出効率が低くなるし、また多すぎると使用済水溶液廃棄処理のための設備を大きくしなければならないため、内臓組織100質量部当り100〜500質量部、好ましくは200〜300質量部の範囲内で選ばれる。

0018

この処理により、内臓組織中に十分に無機酸水溶液が浸透するまでに要する時間は、酸濃度液比処理条件などにより左右されるが、通常12〜24時間の範囲である。この処理によって、内臓組織は2〜10質量%程度膨潤し、内臓組織中のpHは0.3〜0.9まで低下する。このことにより、無機酸中の無機酸が内臓組織内に濃縮されることが分る。

0019

次に、本発明方法の(ロ)工程において得られる無機酸を十分に含浸させ、膨潤した内臓組織から余剰の無機酸水溶液を脱液する。この脱液は、単にデカンテーションしてもよいが、遠心脱水か粗い目のろ材を通して軽くプレスしながらろ過するのが有利である。

0020

次に、(ハ)工程においては、このようにして脱液した内臓組織を、有害金属の溶出の障害になる不純分を含まない水中に浸漬する。このような水としては、水道水天然水浄化処理水脱イオン水蒸留水などいわゆる純水と称されるものが好ましいが、そのほか内臓組織内に存在する液中の無機酸濃度又は有害金属濃度よりも低い濃度であるならば、無機酸又は有害金属あるいはその両方を含むものであってもよい。

0021

したがって、(イ)工程で用いた無機酸水溶液よりも低濃度の無機酸水溶液で、有害金属が除かれたもの、例えばこの(ハ)工程を2回以上繰り返す際に得られる使用済の処理水を再利用することもできる。このように、使用済の処理水を再利用することにより、本発明方法における水の消費量の節減をはかることができる。

0022

この(ハ)工程において、内臓組織内の有害金属、例えばカドミウムを効率的に溶出させるために用いるこの水の使用量は、通常内臓組織100質量部当り100〜500質量部、好ましくは200〜300質量部の範囲で選ばれる。この際、内臓組織を被覆している膜や細胞膜を夾んで、その内側には比較的濃度の高い無機酸水溶液が存在し、外側にはこの水が存在することになるので、浸透圧の差を生じ、外側に存在するこの水が内側に導入され、内側に存在する比較的高い濃度の無機酸水溶液を希釈する結果、内臓組織は質量で20〜30%程度膨潤する。

0023

また、この際、内臓組織内に保持されていた比較的高い濃度の無機酸及びカドミウムが濃度勾配により外側に浸出するため、内側に導入されずに外側に残留する水に無機酸が混入し、経時的にその濃度が上昇し、最終的にはpH1.8以上になる。そして、このpHが2.2以上になると、カドミウムの溶出作用が極端に低下するので、pHが上昇し、pH2.2以上に達した場合には、新たに無機酸を追加して、pH1.8〜2.0の範囲に維持する必要がある。

0024

このカドミウム溶出処理は、条件によって30分以下で終了させることができるが、通常は2〜3時間を要する。この場合、内臓組織と水との接触を促進し、溶出時間を短縮するために、所望に応じゆるやかなかきまぜを行ったり、60℃を超えない範囲の温度で加温することもできる。

0025

このようにして、溶出処理によりカドミウムを低減させた内臓組織を、次に(ニ)工程において脱液処理して、内臓組織内に保持されている無機酸水溶液以外の余剰の水溶液を除去する。この際の脱液処理は、(ロ)工程の脱液処理と全く同様にして行うことができる。

0026

そして、本発明において、前記(イ)工程、(ロ)工程、(ハ)工程及び(ニ)工程を行うことにより、内臓組織中のカドミウム含有量を10分の1以下に減少させることができるが、所望ならば、(ハ)工程及び(ニ)工程を2回以上、好ましくは3回若しくはそれ以上繰り返すことにより100分の1又はそれ以下に減少させることができる。

0027

次いで、このようにして脱液処理した内臓組織を(ホ)工程において内臓組織から浸出する無機酸をアルカリ水溶液で中和する。このアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化アンモニウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウムアンモニア水などが好ましい。これらのアルカリ水溶液は、例えば水酸化ナトリウムの場合、4〜8質量%(1〜2M)濃度に相当する。

0028

そして、(イ)工程の無機酸水溶液として塩酸を用いた場合、この工程のアルカリ水溶液として、水酸化ナトリウムを用いれば、中和により塩化ナトリウムすなわち食塩を生じるので、カドミウム除去後の固形分を食材とするとき、特に除去する必要はなく、そのまま用いることができるという利点がある。

0029

この(ホ)工程におけるアルカリ水溶液への浸出により、内臓組織内の無機酸水溶液は、中和反応消尽され、そのほとんどが内臓組織外のアルカリ水溶液と置換されるが、その際、内臓組織に残留しているカドミウムは無機酸水溶液に随伴して溶出するので、内臓組織内のカドミウムはほとんど完全に除去される。

0030

この(ホ)工程は、例えば(ニ)工程で得られるカドミウムを低濃度にした内臓組織を水に浸漬し、アルカリ水溶液をかきまぜながら滴下し、液体部分中性になるまで継続するか、あるいはこの内臓組織中に含まれる無機酸水溶液を中和するのに必要な計算量のアルカリを含む水溶液中に上記内臓組織を浸漬し、必要に応じかきまぜながら液体部分が中性を示すまで処理することによって行われる。この中和反応に要する時間は12〜24時間である。

0031

この中和により、内臓組織内に取り込まれていた無機酸水溶液は、内臓組織外に排出され、収縮する結果、固形部分の質量は約20〜40%減量する。そして、この際、内臓組織内に残留していたカドミウムは、無機酸水溶液に随伴して除去され、内臓組織内のカドミウム含有量は1ppm以下になる。

0032

次に、このようにして中和させた(ホ)工程の固形分は、(ヘ)工程において液体部分から分離され、回収される。この分離は、デカンテーション、ろ過、遠心分離など、通常の固液分離の際に慣用されている方法によって行うことができるが、内臓組織からなる固形分から、カドミウムを含有している液体部分を除くために、プレスろ過機を用いて分離するのが好ましい。このようにして、液体部分をプレスろ過して搾液することにより、内臓組織の固形部分のカドミウム含有量を多くの場合、乾燥質量で0.8ppm以下、必要ならば0.4ppm以下まで減少させることができる。

0033

そして、このプレスろ過の目的の1つは、ここで分離されたろ液を後続の工程でカドミウムを吸着剤に接触させて除去する際、吸着カラムの目詰りを起さないように1μm以上の懸濁成分を除去することにある。したがって、ろ過材としては、1μm以上の懸濁物を通過しないものを用いる必要がある。このようなものとしては、粒径1μm未満通過のふるい目をもつ織布、編布を挙げることができるが、セルロース系材料からなるものを用いると、同時に油成分を除くことができるので有利である。

0034

本発明により処理された内臓組織、例えばホタテ内臓組織の固形部分は、表1に示す物質を、表1に示す割合で有しており、食材、動物飼料として好適に使用することができる。

0035

【表1】

0036

また、この内臓組織から分離された各工程の液体部分は、1μm以上の懸濁成分を除去したのち、イオン交換繊維又はキレート繊維充てんしたカラムに通してカドミウムを除去するか、あるいは液体中に多量に含まれる塩化ナトリウムを晶析させて除いたのち、電気分解法又は電気透析法によりカドミウムを除去することにより、カドミウム含有量を0.1ppm以下に減少させることができるので、そのままで液肥として利用したり、あるいはエバポレーターで濃縮して、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質などの有用成分を回収することにより有効利用することができる。

0037

【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。

0038

参考例
蒸煮したホタテ貝内臓組織[水分74.5質量%、カドミウム含有量13.93ppm(乾燥質量換算54.64ppm)]を10mmにカットし、その500gをトレー(22×30×8cm)に入れ、蒸留水1500gを加え、濃塩酸を用いてpH1.5となるように調整し、30rpmで振とうしながら、所定時間経過ごとに液体部分を5gずつ採取し、その中のカドミウム量原子吸光法により測定し、カドミウムの経時的変化を求めた。その結果をグラフとして図1に示す。
この図からも分るように、塩酸浸漬の際、塩酸水溶液に溶出されるカドミウム量は5〜8時間までは急速に増大し、それ以降も増加傾向を示している。
このことから、pH1.5の塩酸水溶液3倍量を用いた場合の塩酸浸漬時間として12〜24時間必要なことが分る。

0039

実施例1
蒸煮したホタテ貝内臓組織[水分75.9質量%、カドミウム含有量16.36ppm(乾燥質量換算67.28ppm)]を10mmにカットし、その500gをトレー(22×30×8cm)に入れ、蒸留水1500gを加え、濃塩酸を用いてpH1.5となるように調整し、30rpmで振とうしながら24時間酸浸漬処理した。

0040

次いで、処理物からデカンテーションにより液体部分を除去し、固形分について水分及びカドミウム含有量を測定したところ、水分は81.5質量%、カドミウム含有量3.09ppm(乾燥質量換算16.72ppm)であり、この処理により内臓組織は膨張し、その質量は処理前に比べ約6%増加した。

0041

次に、この固形分に対し、3倍量の蒸留水を加え、濃塩酸を用いてpH1.8に調整し、30rpmで振とうしながら2時間、カドミウム溶出処理したのち、上記と同様にして固液分離した。

0042

次いで、上記の固液分離で得られた液体分のカドミウム除去を行い、この固形分に対し、この水を3倍量となるように加え、濃塩酸を用いてpH1.8に調整し、30rpmで振とうしながら2時間、カドミウム溶出処理したのち、上記と同様にして固液分離した。このようなカドミウム溶出処理をさらに3回繰り返し得られた固形分の水分は83.7質量%、カドミウム含有量0.06ppm(乾燥質量換算0.34ppm)であった。

0043

次に、この固形分に対し、3倍量の蒸留水を加え、30rpmで振とうしながら1モル濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH6〜7となるように調整し、24時間中和したのち、上記と同様にして固液分離した。このような中和処理して得られた固形分の水分は79.2質量%、カドミウム含有量0.05ppm(乾燥質量換算0.24ppm)であり、この処理により内臓組織は収縮し、その質量は処理前に比べ約30%減少した。

0044

実施例2
蒸煮したホタテ貝内臓組織[水分75.9質量%、カドミウム含有量16.36ppm(乾燥質量換算67.28ppm)]を10mmにカットし、その500gをトレー(22×30×8cm)に入れ、蒸留水1500gを加え、濃塩酸を用いてpH1.5となるように調整し、30rpmで振とうしながら24時間酸浸漬処理した。

0045

次いで、処理物からデカンテーションにより液体部分を除去し、固形分について水分及びカドミウム含有量を測定したところ、水分は80.9質量%、カドミウム含有量3.09ppm(転燥質量換算16.17ppm)であり、この処理により内臓組織は膨張し、その質量は処理前に比べ約3%増加した。

0046

次に、上記のデカンテーションで得られた液体分のカドミウム除去を行い、この固形分に対し、この水を3倍量となるように加え、濃塩酸を用いてpH1.8に調整し、30rpmで振とうしながら4時間、カドミウム溶出処理したのち、上記と同様にして固液分離した。このようなカドミウム溶出処理をさらに2回繰り返し得られた固形分の水分は81.0質量%、カドミウム含有量0.14ppm(乾燥質量換算0.75ppm)であった。

発明を実施するための最良の形態

0047

次に、この固形分に対し、3倍量の蒸留水を加え、30rpmで振とうしながら1モル濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH6〜7となるように調整し、24時間中和したのち、上記と同様にして固液分離した。このような中和処理して得られた固形分の水分は79.1質量%、カドミウム含有量0.08ppm(乾操質量換算0.40ppm)であり、この処理により内臓組織は収縮し、その質量は処理前に比べ約16%減少した。

図面の簡単な説明

0048

本発明方法によると、ホタテ貝やイカの内臓組織中に含まれる有害金属、例えばカドミウムを、簡単な操作で効率よく除去することができ、肥料、飼料、食材などに十分に使用可能な有用な材料を提供することができる。

図1
ホタテ貝内臓を酸浸漬する際の経時的なカドミウム溶出量の変化を示すグラフ。

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