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技術 パーマネントウェーブ形成能診断方法および毛髪処理剤並びに毛髪処理方法

出願人 中野製薬株式会社
発明者 鷲家真吾
出願日 2004年3月4日 (16年3ヶ月経過) 出願番号 2004-060586
公開日 2004年10月14日 (15年8ヶ月経過) 公開番号 2004-286738
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 電気化学的な材料の調査、分析 化粧料
主要キーワード 発明実験 滑り摩擦抵抗 折り返し部位 強度回復 破断強度試験 損傷要因 損傷度合い 破断強度測定
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年10月14日)のものです。
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図面 (7)

課題

化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪パーマネントウェーブ形成能診断する方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等を提供する。

解決手段

ヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000である蛋白質量を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて視覚的に定性分析することによって、パーマネントウェーブ形成能を診断する。

概要

背景

毛髪は様々な要因によって損傷を受けており、その損傷の程度を把握することは毛髪の健常化を図る上でも重要な事項である。毛髪損傷の評価は、健常な毛髪が有する物性や官能的特性を基準に評価されるのが一般的である。毛髪の物性については、毛髪の引張り破断強度毛髪表面滑り摩擦抵抗による表面の滑らかさ、電子顕微鏡によるキューティクルの状態等によって評価されている。また官能的特性については、毛髪のツヤや色の目視評価手触り感によるハリコシパサツキ等から毛髪の損傷度合い総合的に把握することが行われている。

ところで、理・美容処理としては、パーマネントウェーブ処理ヘアカラー処理ブリーチ(脱色)処理等、化学反応を伴う様々な処理が行われている。このうちパーマネントウェーブ処理は、還元剤を主成分として含むアルカリ性溶液パーマネントウェーブ第1剤として毛髪に浸透させ、所望のウェーブを得るためにロッド等に巻きつけて一定時間放置し、毛髪ケラチンジスルフィド結合開裂させた後、臭素酸ナトリウム過酸化水素等の酸化剤を主成分とするパーマネントウェーブ第2剤により、新たな位置でジスルフィド結合を再結合させ、ウェーブを固定化させるものである。この処理は、処理前の毛髪とは異なる半永久的なカール状の変形を得る方法である(例えば、非特許文献1参照)。

近年、ヘアカラーブームもあり、ブリーチ処理またはブリーチを伴う処理の頻度が増加してきている。このブリーチ処理は、過酸化水素によって毛髪中メラニン色素を分解することによって毛髪の脱色を行うものであり、還元および酸化過程を経るパーマネントウェーブ処理とは毛髪に与える損傷の性質が異なるものである。

上記のようなパーマネントウェーブ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理等の化学反応を伴う様々な処理は、繰り返して行われることになるが、それにつれて毛髪の損傷が激しくなり、パーマネントウェーブ処理によるウェーブ形成が困難になってくるのが実状である。実際のところ、理・美容室では明るく脱色された毛髪にヘアカラー処理をする習慣が広がっており、パーマネントウェーブ処理においては目的とするウェーブが得られないうえ、パーマネントウェーブ第1剤のアルカリ剤と還元剤の作用により毛髪の損傷だけが進行してしまうという問題がある。

その結果、毛髪の保湿性、柔軟性、毛髪表面の平滑性などが失われ、毛髪のパサツキ、枝毛切れ毛を発生させたり、毛髪の光沢や手触り感が損なわれるなど、物性や感触の低下に伴い、毛髪に良好なパーマネントウェーブが得られないという問題があった。

また従来の毛髪診断法では、毛髪への化学的処理を伴う理・美容処理の影響を予測することが困難であり、ヘアカラー処理やブリーチ処理を施した損傷毛安心してパーマネントウェーブ処理を施すことのできる方法が必要になっている。

化学的処理を伴う理・美容処理により損傷した毛髪の特異性に着目した診断法として、処理後の毛髪と特異的に吸着する成分により診断する方法も開発されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながらこれらの方法は、ヘアカラー処理、ブリーチ処理、パーマネントウェーブ処理等の理・美容工程における損傷要因の測定にとどまるものであり、根本的な解決策には至っていない。

また、毛髪内から自然流出する蛋白質と特異的に結合する抗体を指標とした毛髪の診断結果に基づき毛髪の改質修復を行う方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながらこの技術は、毛髪の物理的な損傷やパーマネントウェーブ処理による化学的損傷を中心に毛髪から自然流出しやすくなった蛋白質に着目しているものであり、ヘアカラー処理、ブリーチ処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能については正確に把握できないのが実状である。
日本パーマネントウェーブ液工業組合編著「サイエンスオブウェーブ」新美容出版株式会社、2002年4月10日発行、第13〜31頁
特開平8−101193号公報 特許請求の範囲等
特開平9−127105号公報 特許請求の範囲等
特開平6−265544号公報 特許請求の範囲等

概要

化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能を診断する方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等を提供する。ヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000である蛋白質量を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて視覚的に定性分析することによって、パーマネントウェーブ形成能を診断する。

目的

本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能を診断する方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

この技術が所属する分野

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請求項1

ヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000である蛋白質を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて視覚的に定性分析することによって、パーマネントウェーブ形成能診断することを特徴とするパーマネントウェーブ形成能診断方法

請求項2

ヒト毛髪から分離・精製されたゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000の蛋白質を配合したものであることを特徴とする毛髪処理剤

請求項3

ヒト毛髪から分離・精製されたゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000の蛋白質および9700の蛋白質を含有する分子量8000〜12000の蛋白質組成物を配合したものであることを特徴とする毛髪処理剤。

請求項4

請求項2または3に記載の毛髪処理剤を、毛髪に付与することによって、毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善することを特徴とする毛髪処理方法

技術分野

0001

本発明は、化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪パーマネントウェーブ形成能診断する方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等に関するものである。

背景技術

0002

毛髪は様々な要因によって損傷を受けており、その損傷の程度を把握することは毛髪の健常化を図る上でも重要な事項である。毛髪損傷の評価は、健常な毛髪が有する物性や官能的特性を基準に評価されるのが一般的である。毛髪の物性については、毛髪の引張り破断強度毛髪表面滑り摩擦抵抗による表面の滑らかさ、電子顕微鏡によるキューティクルの状態等によって評価されている。また官能的特性については、毛髪のツヤや色の目視評価手触り感によるハリコシパサツキ等から毛髪の損傷度合い総合的に把握することが行われている。

0003

ところで、理・美容処理としては、パーマネントウェーブ処理ヘアカラー処理ブリーチ(脱色)処理等、化学反応を伴う様々な処理が行われている。このうちパーマネントウェーブ処理は、還元剤を主成分として含むアルカリ性溶液パーマネントウェーブ第1剤として毛髪に浸透させ、所望のウェーブを得るためにロッド等に巻きつけて一定時間放置し、毛髪ケラチンジスルフィド結合開裂させた後、臭素酸ナトリウム過酸化水素等の酸化剤を主成分とするパーマネントウェーブ第2剤により、新たな位置でジスルフィド結合を再結合させ、ウェーブを固定化させるものである。この処理は、処理前の毛髪とは異なる半永久的なカール状の変形を得る方法である(例えば、非特許文献1参照)。

0004

近年、ヘアカラーブームもあり、ブリーチ処理またはブリーチを伴う処理の頻度が増加してきている。このブリーチ処理は、過酸化水素によって毛髪中メラニン色素を分解することによって毛髪の脱色を行うものであり、還元および酸化過程を経るパーマネントウェーブ処理とは毛髪に与える損傷の性質が異なるものである。

0005

上記のようなパーマネントウェーブ処理、ヘアカラー処理、ブリーチ処理等の化学反応を伴う様々な処理は、繰り返して行われることになるが、それにつれて毛髪の損傷が激しくなり、パーマネントウェーブ処理によるウェーブ形成が困難になってくるのが実状である。実際のところ、理・美容室では明るく脱色された毛髪にヘアカラー処理をする習慣が広がっており、パーマネントウェーブ処理においては目的とするウェーブが得られないうえ、パーマネントウェーブ第1剤のアルカリ剤と還元剤の作用により毛髪の損傷だけが進行してしまうという問題がある。

0006

その結果、毛髪の保湿性、柔軟性、毛髪表面の平滑性などが失われ、毛髪のパサツキ、枝毛切れ毛を発生させたり、毛髪の光沢や手触り感が損なわれるなど、物性や感触の低下に伴い、毛髪に良好なパーマネントウェーブが得られないという問題があった。

0007

また従来の毛髪診断法では、毛髪への化学的処理を伴う理・美容処理の影響を予測することが困難であり、ヘアカラー処理やブリーチ処理を施した損傷毛安心してパーマネントウェーブ処理を施すことのできる方法が必要になっている。

0008

化学的処理を伴う理・美容処理により損傷した毛髪の特異性に着目した診断法として、処理後の毛髪と特異的に吸着する成分により診断する方法も開発されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながらこれらの方法は、ヘアカラー処理、ブリーチ処理、パーマネントウェーブ処理等の理・美容工程における損傷要因の測定にとどまるものであり、根本的な解決策には至っていない。

0009

また、毛髪内から自然流出する蛋白質と特異的に結合する抗体を指標とした毛髪の診断結果に基づき毛髪の改質や修復を行う方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながらこの技術は、毛髪の物理的な損傷やパーマネントウェーブ処理による化学的損傷を中心に毛髪から自然流出しやすくなった蛋白質に着目しているものであり、ヘアカラー処理、ブリーチ処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能については正確に把握できないのが実状である。
日本パーマネントウェーブ液工業組合編著「サイエンスオブウェーブ」新美容出版株式会社、2002年4月10日発行、第13〜31頁
特開平8−101193号公報 特許請求の範囲等
特開平9−127105号公報 特許請求の範囲等
特開平6−265544号公報 特許請求の範囲等

発明が解決しようとする課題

0010

本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能を診断する方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成することができた本発明のパーマネントウェーブ形成能診断方法とは、ヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000である蛋白質を、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)−ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて視覚的に定性分析することによって、パーマネントウェーブ形成能を診断する点に要旨を有するものである。尚、本発明における平均分子量とは、「質量平均分子量」の意味である。

0012

一方、本発明の毛髪処理剤とは、ヒト毛髪から分離・精製されたゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000の蛋白質を配合したものである点に要旨を有するものである。また、本発明の毛髪処理剤としては、ヒト毛髪から分離・精製されたゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000の蛋白質および9700の蛋白質を含有する分子量8000〜12000の蛋白質組成物を配合したものも有用である。上記のような毛髪処理剤を、毛髪に付与することによって、毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善することができる。

発明の効果

0013

本発明では、ヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000である蛋白質を用いることによって、化学的処理を伴う理・美容処理により低下する毛髪のパーマネントウェーブ形成能を診断する有用な方法、および毛髪のパーマネントウェーブ形成能を修復・改善する為の毛髪処理方法、並びにこうした毛髪処理に用いる毛髪処理剤等が実現できた。

発明を実施するための最良の形態

0014

ブリーチ処理を繰り返し受けた毛髪はパーマネントウェーブ形成能と毛髪強度が低下することになるのであるが、パーマネントウェーブ処理を繰り返し受けた毛髪は毛髪強度こそ低下するがパーマネントウェーブ形成能はそれほど低下しない。本発明者はこうした現象が生じる原因について、特に処理前・後の毛髪の蛋白質構成について検討した。その結果、健常毛やパーマネントウェーブ繰り返し処理毛中には平均分子量11000の蛋白質が本来存在しているが、ブリーチ処理毛中にはその蛋白質(以下、「特定蛋白質」と呼ぶことがある)の存在が認められないことが判明した。またブリーチ処理回数が増加し、毛髪損傷が進行すると共にこの特定蛋白質が減少することから、この蛋白質はブリーチ処理とパーマネントウェーブ処理による損傷の違いを考察する重要な因子であることが予測された。そして、この特定蛋白質の流出・欠損の程度がパーマネントウェーブ形成能と相関することから、この流出・欠損の程度を測定することによってパーマネントウェーブ形成能を診断できることを見出した。

0015

本発明で対象とする特定蛋白質は、ヒト毛髪を過酸化水素によりブリーチ処理することによって流出・欠損する毛髪蛋白質に含まれるものである。従って、この特定蛋白質は、ヒト毛髪から分離・精製することができるが、ゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000のものであって、下記表1に示されるアミノ酸組成によって特定されるものである。尚、この特定蛋白質は、パーマネントウェーブ繰り返し処理によっては欠損しないものである。

0016

0017

上記のような物性を有する特定蛋白質の存在を、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて視覚的に定性分析することによって、毛髪のパーマネントウェーブ形成能が診断できる。具体的には、パーマネントウェーブ処理をしようとする頭髪の一部をサンプリングし、毛髪構成蛋白質を分画後、Tricine−SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法により平均分子量が11000の特定蛋白質の存在を蛋白質バンドから視覚的に定性分析することによりパーマネントウェーブ形成能を診断できる。尚、本発明の特定蛋白質が完全に欠損するまで損傷を受けた毛髪は、パーマネントウェーブ剤によってウェーブを形成し難いことが判定でき、これ以上の損傷をさせない判断を可能にした。

0018

上記のような特定蛋白質を配合して毛髪処理剤を調製することによって、毛髪から欠損したパーマネントウェーブ形成能を修復・回復する毛髪処理剤が実現できる。こうした毛髪処理剤を理・美容処理の工程で使用して毛髪に付与することによって、ウェーブを形成し難くなった損傷毛髪にパーマネントウェーブ形成能を修復・改善することができる。

0019

本発明者は、毛髪中に含まれる蛋白質として、複数回のブリーチ処理によっても毛髪から流出・欠損しない蛋白質が存在することも確認している。この蛋白質はゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が9700のものであって、下記表2に示されるアミノ酸組成によって特定されるものである。

0020

0021

上記の結果から、次のように考察できた。複数回のブリーチ処理を受けても毛髪中に残存する蛋白質(平均分子量9700の蛋白質)はプロリンを多く含むものであり、このプロリンを多く含む蛋白質の立体構造は非常に強固で破壊され難いといわれている。従って、毛髪にブリーチ処理を複数回繰り返し施しても、この蛋白質が毛髪から欠損せずに残っていた原因は、この蛋白質におけるプロリンを多く含む性質がその一因であると推察できた。これに対して、ブリーチ処理によって徐々に欠損する特定蛋白質はグリシンチロシンを多く含むものであり、これらのアミノ酸は蛋白質の立体構造における折り返し部位に多く存在するといわれている。従って、欠損する特定蛋白質は折り返し部位を多く含む球状蛋白質であると推察できる。球状蛋白質はその形状から緩和な反応により影響を受けると考えられるため、この特定蛋白質がブリーチ処理によって欠損、即ち毛髪から溶出するものと推察される。

0022

尚、上記各毛髪蛋白質溶液の調製および電気泳動による蛋白質の確認、各蛋白質の精製、分子量測定、アミノ酸組成の分析は、下記の夫々の方法によるものである。

0023

(特定蛋白質を含む毛髪蛋白質溶液の調製方法
本発明における蛋白質組成物は、毛髪から製造、調製することができる。毛髪からの構成蛋白質の抽出(分画)は、従来の2−メルカプトエタノールによる還元処理を利用した方法(例えば、「Journal of Cosmetic Science」1998年、49巻、第13〜22頁)が適切である。本発明に応用した抽出方法を下記に示す。

0024

ブリーチ処理及びパーマネントウェーブ処理を受けた経験のない毛髪0.2g(長さ16cm)を脱脂用剤(クロロホルムメタノール=2/1:容積比)に24時間浸漬させることにより、毛髪表面を脱脂処理した。処理後の毛髪をドライヤにより十分乾燥させ、約1cmの長さに切断した。切断後の毛髪をビーカに入れ、毛髪蛋白質分画抽出液[2.5mol/L(リットル)の2−メルカプトエタノールと1%のSDSを含む0.025mol/Lのトリス塩酸バッファ、pH8.3]20mLと良く混合させ、50℃、72時間の条件下で浸漬させた。

0025

漬処理後の溶液を透析チューブ(分子量8000用、ナカライテスク製)に入れ、イオン交換水外液とし16時間以上(外液交換4回)の透析を行った。透析後のチューブ内液(分子量8000以上)を攪拌式セル(分子量3000以上用ミリポア製)による限外濾過処理濃縮した。濃縮により蛋白質濃度が0.1〜1.5mg/mLに調整された試料を本発明の毛髪蛋白質溶液(特定蛋白質を含む)として得た。

0026

(毛髪蛋白質溶液のTricine−SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法
による蛋白質のバンド確認方法
毛髪蛋白質溶液と試料バッファ(0.5mol/Lのトリス塩酸バッファを2mL、10%のSDS溶液を4mL、2−メルカプトエタノールを1.2mL、グリセロールを2mL、イオン交換水を0.8mL、1%BPB(ブロモフェノールブル)を数滴加え、全量10mLにする)を1:1の割合で混合し、3分間、95℃という条件で熱変性させ、電気泳動用試料とした。

0027

下記の組成で予め作製しておいたゲルに試料をアプライし、50mAの定電流で電気泳動を行った。尚、泳動バッファの組成は、陽極のバッファとして0.2mol/LのTris(pH8.9)を、陰極のバッファとして0.1mol/LのTrisと0.1mol/LのTricine、0.1%のSDS溶液の混合溶液(pH8.25)を使用した。泳動終了後、ゲルをCBB(クマシーブリリアントブル)染色液にて蛋白質バンドを染色し、エタノール酢酸/イオン交換水を組成[エタノール/酢酸/イオン交換水=3/1/6:容積比]とする脱色液で蛋白質以外のゲル部位を脱色した。そして、Tricine−SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法によって、分子量が11000の位置にバンドがあることを再度確認した(例えば、「Analytical Biochemistry」1987年、166巻、第368〜379頁)。

0028

分離ゲル
アクリルアミド溶液(48%のアクリルアミドと1.5%のビスアクリルアミド)を6mL、ゲルバッファ(3.0mol/LのTrisと0.3%のSDS溶液の混合液、pH8.45)を10mL、グリセロールを4mL、10%過硫酸アンモニウムを0.15mL、TEMED(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)を0.15mL、残部イオン交換水からなる分離ゲルを作製した(全量30mL)。

0029

濃縮ゲル
アクリルアミド溶液(48%のアクリルアミドと1.5%のビスアクリルアミド)を1mL、ゲルバッファ(3.0mol/LのTrisと0.3%のSDS溶液の混合液、pH8.45)を3.1mL、10%過硫酸アンモニウムを0.075mL、TEMED(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)を0.005mL、残部イオン交換水からなる濃縮ゲルを作製した(全量12.5mL)。

0030

(蛋白質の精製)
カラム内部の樹脂には、DEAEジエチルアミノエチル)−セルロース(ナカライテスク製)を用いた。精製方法について下記に述べる。上記樹脂をカラム内に充填し、酸およびアルカリによる洗浄を行った後、イオン交換水によりカラム内を平衡化する。平衡化されたカラム内に上記毛髪蛋白質溶液を徐々にアプライする。アプライ後、0.1〜0.5mol/Lの塩でイオン勾配処理を行うことにより、目的の蛋白質を溶離させるという一般的な蛋白質精製方法により、毛髪蛋白質溶液の蛋白質を分離した。

0031

(分子量測定)
ゲル濾過カラムクロマトグラフィによる分子量測定を下記に述べる。高速液体カラムクロマトグラフとして「Shimadzu Liquid chromatograph LC−6A」(島津製作所製)を用い、検出器として「Shimadzu UV−VIS Spectrophotometric detector SPD−6AV」(島津製作所製)を用い、レコーダーとして「Shimadzu Chromatopac C−R6A」(島津製作所製)を用い、ガードカラムとして「TSK−GEL Guard Column SW 7.5×7.5(mm)」(東ソー製)を用い、カラムとして「TSK−GEL G3000SW 7.5×600(mm)」(東ソー製)を用いた。

0032

実験試料として複数回のブリーチ処理により欠損する蛋白質と残存する蛋白質を用いた。分析方法は、上記の機器および試料を用いて、流速0.5mL/min、測定波長280nmの条件下で、溶出バッファ(0.1mol/LのNaH2PO4/Na2HPO4(pH7.0)+0.1mol/LのNa2SO4)を使用し分析を行った。尚、この分子量測定は、分子量が既知標準マーカとして、グルタミン酸脱水素酵素(分子量290000)、乳酸脱水素酵素(分子量142000)、エノラーゼ(分子量67000)、アデニル酸キナーゼ(分子量32000)、チトクロームc(分子量12400)を用いて測定したものである。

0033

アミノ酸組成分析
測定機器として、アミノ酸分析計「Hitachi L−8500 Amino acid analyzer」(日立製作所製)を用い、実験試料として、複数回のブリーチ処理により欠損する蛋白質と残存する蛋白質を用いて分析を行った。分析方法を下記に示す。測定試料0.5mLと12規定の濃塩酸0.5mLをガラス管内で混合した後、120℃で12時間加熱し、ガラス管常温になるまで自然放置した。処理液脱塩素処理した後、高温圧乾燥機によって乾燥処理粉末状とした。それをイオン交換水0.2mLで良く溶解させ、分析試料とした。

0034

本発明の毛髪処理剤を調製する際には、ヒト毛髪から分離・精製した平均分子量11000の特定蛋白質だけでなく、平均分子量が9700の蛋白質も含有する分子量8000〜12000の蛋白質組成物(夾雑物を含む毛髪分画蛋白質)の状態で毛髪から分離し、この蛋白質組成物を配合することによって毛髪処理剤を調製することにより、特定蛋白質の欠損する損傷毛の修復・パーマネントウェーブ形成能を回復する毛髪処理剤が実現できる。

0035

尚、平均分子量が9700の蛋白質は、パーマネントウェーブ形成能を回復する効果は認められないが、強度低下した毛髪の強度回復を促進する作用が認められているため、こうした蛋白質を含む毛髪処理剤を用いることによって、毛髪強度の回復も図ることができる。

0036

本発明における毛髪処理法においては、上記構成の毛髪処理剤を用いて損傷した毛髪を修復し、パーマネントウェーブ形成能を回復する用途において、理・美容施術上のあらゆる工程で使用できるものである。

0037

本毛髪診断法に基づき、ブリーチ損傷毛に対してパーマネントウェーブ処理を行うに当たり、本発明の特定蛋白質あるいは特定蛋白質を含む蛋白質組成物を二浴式パーマネントウェーブの前処理として、またはパーマネントウェーブ第1剤に混合して適用することができる。この処理により、毛髪の損傷が認められているにも関わらず、パーマネントウェーブ形成能を、損傷を受ける前の健常な毛髪に近い状態のウェーブ形成能に回復させることができる。

0038

本発明の毛髪処理剤の一例として、パーマネントウェーブ処理剤が挙げられる。こうしたパーマネントウェーブ処理剤として使用する場合には、少なくとも特定蛋白質を含むパーマネントウェーブ第1剤を毛髪に付与し、ロッド等に巻き一定時間(1〜30分間)放置することにより毛髪強度低下を極力抑え、且つ高いウェーブ効果を得ることができる。

0039

こうしたパーマネントウェーブ処理剤を用いてパーマネントウェーブ処理を行うに当たり、毛髪損傷診断に応じて毛髪に適した濃度の還元剤、アルカリ剤を主成分としたパーマネントウェーブ第1剤が調製できる。二浴式パーマネントウェーブの第1剤として使用することを基本とし、酸化剤を含む第2剤と組み合わせて処理し、所望のウェーブを得ることができる。パーマネントウェーブ第2剤では、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤が必須成分として配合される。

0040

本発明の毛髪処理剤は、上記パーマネントウェーブ処理剤に限らず、毛髪への付与形態、処理の方法により種々の毛髪処理剤を調製することができる。即ち、本発明の毛髪修復・ウェーブ形成能の回復効果を損なわない範囲で通常使用される成分を配合し、各種毛髪処理剤として使用することができる。こうした毛髪処理剤としては、理・美容室専用のヘアカラー処理剤やその前・後処理剤毛髪改質剤毛髪保護剤を始め、日常的に行う毛髪保護剤、毛髪改質を目的にしたトリートメント剤の他、シャンプーリンススタイリング剤ヘアコンデショナ、ヘアトリートメント等のヘアケア剤が挙げられる。

0041

上記各種毛髪処理剤には、本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じて他の成分、例えば無機陽イオン、還元剤、多価アルコール低級アルコールヒドロキシカルボン酸モノエタノールアセトアミド尿素等の毛髪ケラチン親和剤、アルカリ剤、pH調整剤カチオン性両性または非イオン性高分子若しくは低分子の界面活性剤高級アルコールペプチドおよびペプチド誘導体、アミノ酸、セラミドリン脂質植物由来蛋白質、シリコーンおよびシリコーン誘導体、各種染料金属イオン封鎖剤防腐剤紫外線吸収剤酸化防止剤香料等を適宜配合することができる。

0042

本発明の毛髪処理剤は、毛髪を日常的に手入れしながら修復効果を得るために用いることができ、その剤型は液状、ミスト状、クリーム状、ゲル状、泡状、エアゾール状など種々のタイプが可能で、特に限定されるものではない。

0043

次に、実施例によって本発明をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。

0044

実施例1
[パーマネントウェーブ形成能診断方法]
(ブリーチ損傷毛の作製およびパーマネントウェーブ形成能の評価)
化学的処理を全く受けていない毛髪に下記のブリーチ処理を0〜6回夫々繰り返し処理した各種処理毛を作製し、夫々の毛髪について下記のパーマネントウェーブ処理剤を用いてパーマネントウェーブ形成能を評価した。このときのウェーブ評価方法は下記の通りである。

0045

(ブリーチ処理)
トーナーブリーチパウダ(粉末ブリーチ剤、中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイド06(過酸化水素系酸化剤、中野製薬株式会社製)を1:3となるように混合したブリーチ剤を、毛髪に質量比1:1の割合で塗布し、30℃、30分間という条件下で処理した後、10%のSDS溶液によって、洗浄し、その後乾燥した。

0046

(パーマネントウェーブ処理剤)
カールX シスポジットライト[システイン系パーマネントウェーブ剤(第1剤、第2剤)中野製薬株式会社製]
(パーマネントウェーブ形成能評価)
ブリーチ処理した各毛髪を直径9mmのロッドに巻きつけて、輪ゴムで固定し、これを上記パーマネントウェーブ第1剤に30秒間浸漬させ、40℃で15分間放置した後、十分に水洗してから、パーマネントウェーブ第2剤に30秒間浸漬させ、30℃で10分間放置した後、十分に水洗してから毛髪を吊るし、その自然長を比較することによってパーマネントウェーブ形成能について評価した(その長さが長くなるにつれて、パーマネントウェーブ形成能が低下する)。

0047

図1は、ブリーチ処理回数の異なる毛髪のウェーブ形成能を自然長にて比較した図面代用写真である。図1に基づいて、ブリーチ処理をしていない健常毛に対してパーマネントウェーブ処理剤を用いてウェーブを形成したときの長さ(自然長)を100%としたときに、各処理毛(ブリーチ処理回数の異なる毛髪)の長さを比較すると下記表3の通りとなり、ブリーチ処理回数が増えるにつれてパーマネントウェーブ形成能が低下していることがわかる。

0048

0049

上記で用いた処理毛(ブリーチ処理を0〜6回夫々繰り返し処理した毛髪)について前記の条件によって電気泳動を行い、形成されるバンドを確認した。その結果を図2(図面代用電気泳動写真)に示すが、ブリーチ処理回数が増加するにつれて平均分子量11000の特定蛋白質が毛髪中から減少していることがわかる。つまり、平均分子量が11000の特定蛋白質がウェーブ形成の保持性関与し、これによりパーマネントウェーブ形成能を知る指標を得ることができた。

0050

実施例2
(毛髪蛋白質溶液の調製)
試料A:健常毛由来の毛髪蛋白質(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)
ブリーチ処理及びパーマネントウェーブ処理を受けた経験のない毛髪0.2g(長さ16cm)を脱脂用剤(クロロホルム/メタノール=2/1:容積比)に24時間浸漬させることにより、毛髪表面を脱脂処理した。処理後の毛髪をドライヤにより十分乾燥させ、約1cmの長さに切断した。切断後の毛髪をビーカに入れ、毛髪蛋白質分画抽出液(2.5mol/Lの2−メルカプトエタノールと1%のSDSを含む0.025mol/Lのトリス塩酸バッファ、pH8.3)20mLと良く混合させ、50℃、72時間の条件下で浸漬させた。

0051

浸漬処理後の溶液を透析チューブ(分子量8000用、ナカライテスク製)に入れ、イオン交換水を外液とし16時間以上(外液交換4回)の透析を行った。透析後のチューブ内液(分子量8000以上)を攪拌式セル(分子量3000以上用、ミリポア製)による限外濾過処理で濃縮した。濃縮により蛋白質濃度を1.0mg/mLに調製した試料を「試料A」とした。

0052

試料B:過度のブリーチ処理毛由来の毛髪蛋白質(平均分子量11000の特定蛋白質
を含まない)
ブリーチ処理を5回受けた毛髪0.2g(長さ16cm)を脱脂用剤(クロロホルム/メタノール=2/1:容積比)に24時間浸漬させることにより、毛髪表面を脱脂処理した。処理後の毛髪をドライヤにより十分乾燥させ、約1cmの長さに切断した。切断後の毛髪をビーカに入れ、毛髪蛋白質分画抽出液(2.5mol/Lの2−メルカプトエタノールと1%のSDSを含む0.025mol/Lのトリス塩酸バッファ、pH8.3)20mLと良く混合させ、50℃、72時間の条件下で浸漬させた。

0053

浸漬処理後の溶液を透析チューブ(分子量8000用、ナカライテスク製)に入れ、イオン交換水を外液とし16時間以上(外液交換4回)の透析を行った。透析後のチューブ内液(分子量8000以上)を攪拌式セル(分子量3000以上用、ミリポア製)による限外濾過処理で濃縮した。濃縮により蛋白質濃度を1.0mg/mLに調製した試料を「試料B」とした。

0054

[パーマネントウェーブ形成能回復評価]
上記のブリーチ処理を3回繰り返した毛髪を用い、上記試料Aまたは試料Bを用いて前処理(毛髪を試料Aまたは試料Bに6時間浸漬)し、その後、上記実施例1と同様にしてパーマネントウェーブ形成能を測定し、損傷毛髪におけるパーマネントウェーブ形成能の回復性について評価した。このとき、前記パーマネントウェーブ第1剤に試料Aまたは試料Bを混合した溶液(カールX シスポジットライトの第1剤:試料=2:1容積比)を本発明実験のパーマネントウェーブ第1剤とし、二浴式パーマネントウェーブ剤による処理(第1剤および第2剤による処理)を行ったものについても、同様の実験を行った。尚、カールX シスポジット ライトの第1剤に10%の本試料を配合した場合も、この検討と同様の検討結果になるが、混合試料による検討の方が特定蛋白質の効果が顕著に認められた。

0055

図3は、各毛髪の自然長を比較して示した図面代用写真である。図3に基づいて、前処理をしていない毛髪に対してパーマネントウェーブ剤を用いてウェーブを形成したときの長さ(自然長)を100%としたときに、各毛髪の長さを比較すると下記表4の通りとなり、平均分子量が11000の蛋白質を含む処理剤で処理(前処理およびパーマネントウェーブ第1剤を混合した毛髪処理剤による処理)した毛髪においてパーマネントウェーブ形成能が回復したことが分かる。尚、図3のNo.1〜5のものは下記の処理を行ったものを夫々示している。

0056

No.1:前処理なし
No.2:試料A(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)による前処理
No.3:試料B(平均分子量11000の特定蛋白質を含まない)による前
処理
No.4:試料Aにパーマネントウェーブ第1剤を混合した毛髪処理剤による
処理
No.5:試料Bにパーマネントウェーブ第1剤を混合した毛髪処理剤による
処理

0057

0058

これらの結果から、ブリーチ処理を3回繰り返した毛髪(ブリーチ処理により特定蛋白質が欠損している)に対して、No.2またはNo.4の処理を施すことで、No.1とNo.3、No.5の処理と比較し、明らかなパーマネントウェーブ形成能の回復が認められた。つまり、回復が認められた両処理は、平均分子量が11000の特定蛋白質を含む処理であることから、平均分子量が11000の特定蛋白質がパーマネントウェーブ形成能の回復に有効であると示唆された。今回の処理により、損傷毛により低下したパーマネントウェーブ形成能を健常毛のパーマネントウェーブ形成能に近づけることができた。

0059

耐シャンプー性試験
前記図3に示した各毛髪について、20%SDS溶液(60℃)に1時間浸漬し、パーマネントウェーブ形成能の保持性(例えば、前記非特許文献1、第34頁参照)について評価した。その結果を図4に示す(No.6〜10が図3のNo.1〜5に夫々対応する)。本発明の毛髪処理剤によるパーマネントウェーブ形成能回復効果において、耐シャンプー性試験でも平均分子量11000の特定蛋白質を含む処理が有効であることが認められたため、平均分子量11000特定蛋白質は毛髪の表面でなく毛髪の内部にまで浸透していることが考えられる。

0060

(強度回復評価)
前記図3に示した毛髪のNo.1〜3について、毛髪引張り強度試験法による破断強度を測定し、損傷毛に前処理を施したことによる強度回復評価を実施した。このときの破断強度測定方法は下記の通りである。尚、上記No.2で用いた試料Aは平均分子量11000および9700の蛋白質を含む蛋白質溶液であり、No.3で用いた試料Bは平均分子量11000の特定蛋白質が欠損し、平均分子量9700の蛋白質の濃度が相対的に高くなっている蛋白質溶液である。

0061

(破断強度の測定方法
テンシロンUTM−II−20(オリエンテック製)を用い、上記の毛髪試料の水中における毛髪引張り試験を実施し破断強度測定を行った。尚、破断強度は、破断応力(cN)を毛髪の長さと重量から算出した繊度(dtex)で割り算出した。この破断強度を測定することにより強度回復効果を評価した。

0062

その結果を図5に示すが、平均分子量11000の蛋白質を含む蛋白質溶液で前処理した毛髪(No.2)の強度は、前処理を施していない毛髪(No.1)の強度よりも高かった。また、平均分子量9700の蛋白質を含む蛋白質溶液で前処理した毛髪(No.3)の強度がこの試験の中で最も高かった。以上の結果より、平均分子量11000および9700の蛋白質を含む蛋白質溶液(No.2)での処理も有効であるが、平均分子量11000の特定蛋白質が欠損し、平均分子量9700の蛋白質の濃度が相対的に高くなっている蛋白質溶液(No.3)での処理もさらに有効であることがわかった。

0063

実施例3
実施例2では、パーマネントウェーブ形成能が低下したブリーチ損傷毛に夾雑物を含む毛髪分画蛋白質を作用させる(パーマネントウェーブ前処理剤およびパーマネントウェーブ第1剤の添加剤として)ことで、パーマネントウェーブ形成能の回復効果が認められたものである。本発明者は、前記毛髪分画蛋白質をDEAEカラムクロマトグラフィにより精製し、平均分子量11000または平均分子量9700の蛋白質のみからなる溶液を毛髪処理剤とし、ブリーチ損傷毛を処理したときの効果について確認した。

0064

(毛髪蛋白質の調製)
実施例2によって得られた毛髪蛋白質分画抽出液をDEAEカラムクロマトグラフィによって精製し、平均分子量11000または平均分子量9700の夫々の蛋白質のみからなる濃縮溶液(0.5mg/mL)を調製した。得られた蛋白質溶液はTricine−SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法によって夫々の蛋白質の分子量を確認した。以下では、平均分子量が9700蛋白質溶液を「試料C」、平均分子量が11000の蛋白質溶液を「試料D」と呼ぶ。

0065

(ブリーチ損傷毛の作製およびパーマネントウェーブ形成能評価)
実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛を作製し、上記試料Cまたは試料Dを用いて前処理(毛髪を試料Cまたは試料Dに6時間浸漬)し、その後、上記実施例1と同様にしてパーマネントウェーブ形成能を測定し、損傷毛髪におけるパーマネントウェーブ形成能の回復性について評価した。このとき、前記パーマネントウェーブ第1剤に試料Cまたは試料Dを混合した溶液(カールX シスポジットライトの第1剤:試料=2:1容積比)を本実験のパーマネントウェーブ第1剤とし、二浴式パーマネントウェーブ剤による処理(第1剤および第2剤による処理)を行ったものについても、同様の実験を行った。尚、カールX シスポジット ライトの第1剤に10%の本試料を配合した場合も、この検討と同様の検討結果になるが、混合試料による検討の方が特定蛋白質の効果が顕著に認められた。

0066

図6は、各毛髪の自然長を比較して示した図面代用写真である。尚、図6のNo.11〜14は、下記の処理を行ったものを夫々示している。
No.11:試料C(平均分子量9700の蛋白質溶液)による前処理
No.12:試料D(平均分子量11000の蛋白質溶液)による前処理
No.13:試料Cとパーマネントウェーブ第1剤を混合した溶液による処理
No.14:試料Dとパーマネントウェーブ第1剤を混合した溶液による処理
No.11のときの長さ(自然長)を100%としたときに、No.12の自然長は94.3%であり、No.13の自然長を100%としたときに、No.14の自然長は93.3%となっていた。

0067

これらの結果から、平均分子量が9700の蛋白質溶液で処理した(No.11、No.13)ときよりも平均分子量11000の蛋白質溶液で処理した(No.12、No.14)ときの方が、ウェーブの自然長が短くなっており、平均分子量11000の特定蛋白質がパーマネントウェーブ形成能に深く関わっていることが示唆された。また、ウェーブの形成においてはパーマネントウェーブ前処理剤とするよりも、パーマネントウェーブ第1剤の構成成分として処理剤を添加することが好ましいことがわかる。尚、これらの結果は、前処理の浸漬時間が6時間としたものであるが、第1剤混合使用においてより好ましいウェーブが得られていることから、パーマネントウェーブ第1剤塗布の直前に処理を行っても同様の効果が得られることを示唆している。

0068

実施例4
前記実施例2で用いた試料Aを用い、下記表5に示す各種配合割合(処理例1〜3)で各種原料を配合して、各種ヘアワックスを調製し、各項目(1ヶ月間継続使用した場合のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性)について調査した。このときの、各項目の調査方法および評価基準は下記の通りである。

0069

(1ヶ月間継続使用した場合のウェーブ形成能の回復性)
実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛に各種処方例で配合した試料を1ヶ月間継続使用し、継続使用した毛髪に二浴式パーマネントウェーブ剤(カールX シスポジットライト)による処理(第1剤および第2剤による処理)を行うことにより、1ヶ月間継続使用した場合のウェーブ形成能の回復性を調査し、下記の基準で視覚的に評価した。
◎:非常にウェーブ形成力が回復した。
○:ウェーブ形成力が回復した。
△:処理前の毛髪のウェーブ形成力と同程度であった。
×:処理前の毛髪のウェーブ形成力よりも低下した。

0070

(1ヶ月間継続使用した場合のハリ・コシ感)
実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛は、非常にハリ・コシ感を失っており、手触りが非常に悪くなっている。各種処理例で配合した試料を1ヶ月間継続使用し、処理後の毛髪のコンデションを官能的に評価することにより、1ヶ月間継続使用した場合のハリ・コシ感を調査し、下記の基準で評価した。
◎:非常にハリ・コシ感が回復した。
○:ハリ・コシ感が回復した。
△:処理前の毛髪のハリ・コシ感と同程度であった。
×:処理前の毛髪のハリ・コシ感よりも低下した。

0071

(1ヶ月間継続使用した場合の強度回復性)
実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛は、毛髪の破断強度が低下している。各種処理例で配合した試料を1ヶ月間継続使用し、上記図5で用いた破断強度試験を同様の方法により、1ヶ月間継続使用した場合の強度回復性を調査し、下記の基準で評価した。
◎:処理前の毛髪と比較し、10%以上強度が回復した。
○:処理前の毛髪と比較し、10%未満強度が回復した。
△:処理前の毛髪と比較し、同程度であった。
×:処理前の毛髪と比較し、強度が低下した。

0072

その結果を下記表5に併記するが、試料A(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)を配合していない処方例2のみ1ヶ月継続使用後のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が、他の処方例と比較して悪いという評価であった。即ち、ヘアワックスに試料Aを配合することによって、1ヶ月間継続使用(毎日1回、毛髪全体への塗布)後のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が向上することが分かる。

0073

0074

実施例5
前記実施例2で用いた試料Aを用い、下記表6に示す各種配合割合(処理例1〜3)で各種原料を配合して、各種ヘアトリートメントを調製し、各項目(1ヶ月間継続使用した場合のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性)について、実施例4と同様にして調査した。

0075

その結果を下記表6に併記するが、試料A(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)を配合していない処方例2のみ1ヶ月継続使用後のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が、他の処方例と比較して悪いという評価であった。即ち、ヘアトリートメントに試料Aを配合することによって、1ヶ月間継続使用(毎日1回、シャンプー後に使用)後のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が向上することが分かる。

0076

0077

実施例6
前記実施例2で用いた試料Aを用い、下記表7に示す各種配合割合(処理例1〜3)で各種原料を配合して、各種パーマネント前処理剤を調製し、各項目(ウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性)について、実施例4と同様にして調査した。但し、本調査項目は、上記評価項目のように1ヶ月間継続使用せず。実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛に各種パーマネントウェーブ前処理剤を毛髪に数分間処理し、毛髪に二浴式パーマネントウェーブ剤(カールX シスポジットライト)による処理(第1剤および第2剤による処理)を行うことにより、パーマネントウェーブ処理後の評価を行った。

0078

その結果を下記表7に併記するが、試料A(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)を配合していない処方例2のみウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が、他の処方例と比較して悪いという評価であった。即ち、パーマネントウェーブ前処理剤に試料Aを配合することによって、パーマネントウェーブ処理後のウェーブ形成能の回復性、ハリ・コシ感、強度回復性が向上することが分かる。

0079

0080

実施例7
前記実施例2で用いた試料Aを用い、下記表8に示す各種配合割合(処理例1〜3)で各種原料を配合して、各種パーマネント後処理剤を調製し、実施例1に示した方法によって、ブリーチ処理を3回繰り返し施したブリーチ損傷毛に、二浴式パーマネントウェーブ剤(カールX シスポジットライト)による処理(第1剤および第2剤による処理)を行い、調製した各種パーマネントウェーブ後処理剤を毛髪全体に塗布し、ウェーブ形成力の保持性の評価を行った。このときにおけるウェーブ形成力の保持性の調査方法および評価基準は下記の通りである。

0081

(ウェーブ形成力の保持性)
上記図4で用いた耐シャンプー性試験と同様の試験を、各種パーマネントウェーブ後処理剤で処理した後の毛髪で行い、下記の基準で評価した。
○:処方例2で処理した毛髪と比較し、ウェーブ形成力の保持効果が高まった。
△:処方例2で処理した毛髪と比較し、ウェーブ形成力の保持効果が若干高まった。

0082

その結果を下記表8に併記するが、試料A(平均分子量11000の特定蛋白質を含む)を配合していない処方例2のみウェーブ形成力の保持性が、他の処方例と比較し、保持効果が発揮されていないという評価であった。即ち、パーマネントウェーブ後処理剤に試料Aを配合することによって、パーマネントウェーブ処理後のウェーブ形成力の保持性が向上することが分かる。

0083

図面の簡単な説明

0084

パーマネントウェーブ形成能評価結果を示す図面代用写真である。
ブリーチ処理を施した各種毛髪について電気泳動を行ったときの各バンドを示す図面代用電気泳動写真である。
パーマネントウェーブ形成能回復評価試験結果を示す図面代用写真である。
耐シャンプー性試験結果を示す図面代用写真である。
破断強度の測定結果を示すグラフである。
パーマネントウェーブ形成能回復評価試験の他の結果を示す図面代用写真である。

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