図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2004年10月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
課題
解決手段
概要
背景
概要
600ギガビット/平方インチ以上の高面記録密度で、磁気ヘッドの安定な浮上姿勢が保て、長期的な耐摺動特性が保証される記憶装置を提供する。600ギガビット/平方インチ以上の面記録密度で記録される垂直磁気記録方式の円盤状磁気記録媒体と、記録再生を行うための磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドと上記磁気記録媒体を相対運動させるための回転手段と、磁気ヘッドの位置を半径方向に位置決めするための駆動手段と、これらを収容する筐体とを有する磁気記憶装置であって、筐体内部に平均分子量22以下の気体を充満させ封止する。磁気ヘッドの安定な浮上姿勢が保て、長期的な耐摺動特性が保証される。 なし
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
基板と、該基板上に直接または間接的に形成され且つPdとSi、B、C及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種とから形成されたシード層と、該シード層上に直接形成されPt及びPdの少なくとも一方の白金族層とCo層とを交互に積層して形成され且つ酸素を含まない磁気記録層と、保護層及び潤滑層とを、この順に備える600ギガビット/平方インチ以上の面記録密度で記録される円盤状の磁気記録媒体と、記録再生を行うための磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドと上記磁気記録媒体を相対運動させるための回転手段と、磁気ヘッドの位置を半径方向に位置決めするための駆動手段と、これらを収容する筐体とを有する磁気記憶装置であって、筐体内部に平均分子量22以下の気体を充満させ封止したことを特徴とする磁気記憶装置。
請求項2
上記磁気ヘッドは、上記磁気記録媒体から5nm以下で浮上しながら相対運動を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
技術分野
0002
近年、磁気記録媒体の面記録密度を高めるためにヘッドの低浮上量化が求められており、近い将来極低浮上領域あるいは間欠的なコンタクトレコーティングになると予測される。この点に関する本発明者らの試算では、特に600ギガビット/平方インチ以上の面記録密度では、ヘッド浮上量は4nm以下とする必要があり、これに伴ない、磁気記録媒体としては、保護層厚は3nm以下望ましくは2nm以下,潤滑層厚は2nm以下望ましくは1nm以下に仕上げる必要があるとの結論を得た。
0003
600ギガビット/平方インチ以上の面記録密度を実現するために、本発明者らは、まず記録層の生成過程における結晶成長を制御して、記録層の結晶粒の微細化・規則化を図るべく非磁性基板上に、Pdと、Si、B、C及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種とから形成されたシード層上に直接Pt及びPdの少なくとも一方の白金族層とCo層とを交互に積層して形成した酸素を含まない磁気記録層とした。
0004
この磁気記録層の詳細は本発明者らにより特願2002−325107号明細書に記載されている。本発明の磁気記録層は、Co層とPd等の白金族層との人工格子層であることが好ましく、更に添加元素を含むことが好ましい。このように、添加元素を含ませることによって組成の揺らぎが発生し、記録層の面内方向の磁気的交換結合力を低減することができる。本発明のシード層の膜厚は1nm〜30nmの範囲内にあることが好ましい。この範囲で、上記記録層の結晶配向を良好に制御できる。
0005
ところで、この記録層がもつ高い面記録密度の可能性は、磁気ヘッドの浮上姿勢の安定化が前提条件となる。即ち、磁気ヘッドの浮上姿勢が不安定では、ヘッドの浮上姿勢が変動し,ディスク表面を打撃することにより,記録層が破損したり,潤滑層の飛散により動摩擦力が上昇して,長期的にデータエラーが増大して,ついには使用不能となる。
0006
このような長期的な耐摺動特性の低下を防ぐために,たとえば,特許文献1に開示されるように,ヘッドのスライダーの浮上面(エアベアリング面)に微細な表面形状を有する磁気ヘッドを使用した磁気記憶装置が開示されている。
背景技術
0007
【特許文献1】
特開平6−318381号公報
発明が解決しようとする課題
0008
しかし,600ギガビット/平方インチ以上の高面記録密度で予測される潤滑層厚は1nm以下であり,そのような間欠接触が許容される条件下では、上記のような表面形状をした磁気ヘッドの使用のみでは不十分であった。これは平均分子量29の空気中では、5nm以下の浮上量で、本質的に浮上姿勢を安定に保つことが困難だからである。また、ヘッドスライダーの浮上面に凹凸を形成することは、浮上量の増加につながり,磁気的スペーシングの増大により,ヘッド磁界勾配が急峻でなくなって、本質的に分解能が低下し上述した記録層がもつ高い面記録密度の可能性を没却してしまう。
0009
これに対して、本発明では、装置内に平均分子量22以下の気体を封止したことによって、磁気記憶装置を形成しているので、浮上量が5nm以下であっても特にヘッドスライダー浮上面を加工しなくても安定な浮上姿勢が保て、長期的な耐摺動特性が保証されるのである。また、本発明のヘッドは浮上姿勢が安定しているので、連続的な記録再生動作で、激しくシーク動作を長時間繰り返しても潤滑剤がはき出させることはない。よって、潤滑層厚が1nm以下であっても,長期的な耐摺動特性が維持できるのである。
0010
ここで、平均分子量22以下の気体としては,分子量4のヘリウムや分子量20のネオンが望ましい。これらは、化学的にも不活性なので、長期的な使用で潤滑剤を分解したり、反応(トライボケミカル反応)したりすることがない。
0011
封止する方法としては,筐体の組み立ての際にOリングにより内部を密封するのがよい。その際に組み立ての際に必要なビス孔より内側にOリングの溝が切ってあることが望ましい。さらに、密封性を保つためには筐体のふたをかぶせた後に隙間をレーザーなどで精密溶接したり、筐体を構成する金属の外側にプラスチックを被覆して,溶融することにより密封性を高めることも可能である。
課題を解決するための手段
0013
(実施例1)
磁気記録媒体は、密着層を有する基板上に、軟磁性層、鉄酸化物層、シード層、記録層、保護層及び潤滑層を備える。かかる積層構造を有する磁気記録媒体を次のような方法により製造した。まず、直径65mmのガラス基板を用意し、ガラス基板上に連続スパッタ装置により、密着層として厚さ5nmのTiを成膜した。次いで、密着層上に、軟磁性層として、Fe79Ta9C12を膜厚400nmにて成膜した。更に、成膜されたFe79Ta9C12を真空中でカーボンヒーターにより450℃の温度で30秒間加熱した後、徐冷した。こうしてFeの微結晶を含有する軟磁性層を形成した。
0014
つぎに、軟磁性層上に鉄酸化物層を反応性スパッタ法により成膜した。すなわち、アルゴンと酸素の混合ガス(アルゴンに対する酸素の流量比が20%)を導入しながらFeターゲットをDCスパッタした。かかる反応性スパッタにより、鉄酸化物層を5nmの膜厚で形成した。次いで、鉄酸化物層が形成された基板を、同心円のリングターゲットを用いるスパッタチャンバーに移送し、鉄酸化物層上にシード層を成膜した。シード層の成膜では、チャンバー内にアルゴンガスを導入しながら、PdターゲットとSiターゲットをそれぞれDCスパッタした。これにより、鉄酸化物層上に、74at%のPdと、26at%のSiとからなるシード層を膜厚4nmで成膜した。
0015
つぎに、シード層上に人工格子構造の記録層を成膜した。記録層の成膜では、Arガス中で、CoターゲットとPdターゲットのシャッターを交互に開閉しながらDCスパッタして、Co層とPd層とが交互に積層された人工格子構造の記録層を形成した。Co層の1層あたりの膜厚は0.11nm、Pd層の1層あたりの膜厚は0.92nmであり、Pd層とCo層の積層数は、Pd層が26層であり、Co層が25層であった。
0016
次いで、グラファイトカソードを用いたカソーディック・アーク法によりテトラヘドラル系非晶質炭素保護層を2nmの厚さで形成した。その後、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の溶液に浸漬し、1mm/secの引き上げ速度で引き上げることにより,潤滑層を形成した。その後、テープバニッシュ装置で表面上の微小な凹凸を除去して,磁気記録媒体を形成した。
0017
それを記録部と再生部を備える磁気ヘッドと,磁気記録媒体を回転させるスピンドルと,磁気ヘッドを位置決めするためのロータリーアクチュエーターと信号処理回路を組み合わせて筐体に収めて、最後に平均分子量4のヘリウムガスを封入し、磁気記録装置を製造した。ここで,磁気ヘッドは,600ギガビット/平方インチ対応であり、記録部は垂直記録用単磁極型、再生部はトンネル磁気抵抗(TMR)型である。記録の主磁極の飽和磁束密度は2.4T。再生に用いたトラックピッチは53nm,主磁極幅は45nmであった。また,再生のトラック幅は25nm,シールド間ギャップ長は37nmであった。ヘッドの浮上量は4nm,主磁極から磁性層表面までの磁気的間隔は7nmであった。この条件で,600ギガビット/平方インチの面密度で垂直磁気記録再生を行った。そのときの線記録密度は1250 kBPI(1329 kFCI)、トラック密度は480 kTPIであった。磁気ヘッドによって再生した信号は次のように処理される。
0018
磁気抵抗効果を利用したヘッドの再生波形は,そのヘッドの特性で正と負の大きさが非対称となったり,周波数特性の影響を受けたりする。そこで,アナログ等化器により再生波形を整え,修復してから、アナログ・デジタル・コンバータにより,デジタルに変換し、デジタル等化器により,さらに波形を整えた。そして,この信号を最尤復号器により最も確からしいデータ列に復調した。これらの信号処理系で,600ギガビット/平方インチの面記録密度において、記録再生特性の評価を行ったところ、エラーレートは10−5以下となり,良好な記録再生ができた。
0019
本実施例の磁気記憶装置を90日間データ領域内で1Hzの周波数で同じシーク動作を続けた。その後,データ領域内でエラーレートを測定したが,10−5以下であり,長期にわたって耐摺動特性が高いことが明らかになった。
0020
(実施例2)
実施例2の磁気記録媒体も実施例1と同様に作製したが、Fe79Ta9C12の軟磁性層の上にPd60B40の厚さ5nmのシード層を直接形成し、その上に人工格子層を形成した。人工格子層のCo層の1層あたりの膜厚は0.16nm、PdB層の1層あたりの膜厚は0.81nmであり、Pd層とCo層の積層数は、PdB層が25層であり、Co層が25層であった。人工格子層のPd層中のBの添加量は、11at%であった。
0021
次いで、グラファイトカソードを用いたカソーディック・アーク法によりテトラヘドラル系非晶質炭素保護層を2nmの厚さで形成した。その後、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の溶液に浸漬し、1mm/secの引き上げ速度で引き上げることにより,潤滑層を形成した。その後、テープバニッシュ装置で表面上の微小な凹凸を除去して,磁気記録媒体を形成した。
0022
それを記録部と再生部を備える磁気ヘッドと、磁気記録媒体を回転させるスピンドルと、磁気ヘッドを位置決めするためのロータリーアクチュエーターと信号処理回路を組み合わせて筐体に収めて、最後に平均分子量4のヘリウムガスを封入し、磁気記録装置を製造した。ここで,磁気ヘッドは,600ギガビット/平方インチ対応であり、記録部は垂直記録用単磁極型、再生部はトンネル磁気抵抗(TMR)型である。実施例1と同様の条件で,垂直磁気記録再生を行ったところ、エラーレートは10−5以下となり,良好な記録再生ができた。
0023
本実施例の磁気記憶装置を90日間データ領域内で1Hzの周波数で同じシーク動作を続けた。その後,データ領域内でエラーレートを測定したが,10−5以下であり,長期にわたって耐摺動特性が高いことが明らかになった。
0024
(実施例3)
シード層をPdCを用いて形成し、記録層をCo層とPdC層とを交互に積層した人工格子層とした以外は、実施例2と同様にして磁気記録媒体を作製した。シード層の成膜方法は実施例2と同様であり、Pd67C33のシード層を膜厚5nmにて形成した。記録層であるCo/PdC人工格子層は、Co層の1層あたりの膜厚を0.16nm、PdC(Pd88C12)層の1層あたりの膜厚を0.80nmとし、Co層とPdC層の積層数をともに25層とした。
0025
それを記録部と再生部を備える磁気ヘッドと、磁気記録媒体を回転させるスピンドルと、磁気ヘッドを位置決めするためのロータリーアクチュエーターと信号処理回路を組み合わせて筐体に収めて、最後に平均分子量4のヘリウムガスを封入し、磁気記録装置を製造した。ここで,磁気ヘッドは,600ギガビット/平方インチ対応であり、記録部は垂直記録用単磁極型、再生部はトンネル磁気抵抗(TMR)型である。実施例1と同様の条件で,垂直磁気記録再生を行ったところ、エラーレートは10−5以下となり,良好な記録再生ができた。
0026
本実施例の磁気記憶装置を90日間データ領域内で1Hzの周波数で同じシーク動作を続けた。その後,データ領域内でエラーレートを測定したが,10−5以下であり,長期にわたって耐摺動特性が高いことが明らかになった。
0027
(実施例4)
本実施例では、鉄酸化物層の膜厚を2nmとし、シード層をPdZrを用いて形成し、記録層をCo層とPdZr層とを交互に積層した人工格子層とした以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。シード層の成膜では、スパッタガスとしてアルゴンを用い、Pd90Zr10ターゲットをDCスパッタした。シード層の膜厚は5nmとした。記録層の成膜では、スパッタガスとしてアルゴンガスを用い、CoターゲットとPd90Zr10ターゲットのシャッターを交互に開閉しながら、それらのターゲットをDCスパッタした。記録層のCo層の1層あたりの膜厚を0.17nmとし、PdZr層の1層あたりの膜厚を0.85nmとし、Co層とPdZr層の積層数をともに25層とした。
0028
それを記録部と再生部を備える磁気ヘッドと、磁気記録媒体を回転させるスピンドルと、磁気ヘッドを位置決めするためのロータリーアクチュエーターと信号処理回路を組み合わせて筐体に収めて、最後に平均分子量4のヘリウムガスを封入し、磁気記録装置を製造した。ここで,磁気ヘッドは,600ギガビット/平方インチ対応であり、記録部は垂直記録用単磁極型、再生部はトンネル磁気抵抗(TMR)型である。実施例1と同様の条件で,垂直磁気記録再生を行ったところ、エラーレートは10−5以下となり,良好な記録再生ができた。
0029
本実施例の磁気記憶装置を90日間データ領域内で1Hzの周波数で同じシーク動作を続けた。その後,データ領域内でエラーレートを測定したが,10−5以下であり,長期にわたって耐摺動特性が高いことが明らかになった。
0030
(比較例1)
実施例1と同様な方法で磁気記憶装置を作製した。ただし,本比較例では、筐体に通常の塵埃用フィルターを設置し,装置内に空気が入るようにした。磁気ヘッド、スピンドル,アクチュエーター,信号処理装置などは同じである。この比較例の磁気記憶装置で600ギガビット/平方インチの面記録条件で記録再生実験を行ったところ、エラーレートは10−2以上であり、良好な記録再生ができなかった。これは、平均分子量29の空気では浮上量5nmでは安定な浮上姿勢を保つことが困難であることに起因する。
発明を実施するための最良の形態
0031
また、本比較例の磁気記憶装置を実施例1と同様なシーク動作を90日間続けて長期間の耐摺動特性を評価した。その結果,本比較例の磁気記憶装置では,38日後にヘッドクラッシュが発生した。これは、連続的なシーク動作においても平均分子量29の空気ではヘッド浮上姿勢が不安定になるので,ヘッドエッジによる潤滑剤のはき出しや保護膜表面の磨耗によって,耐摺動特性が急速に低下することを示している。
発明の効果
0032
以上に詳述したように、本発明の磁気記憶装置では、磁気記録媒体等を収容する筐体内部に平均分子量22以下の気体を充満させ封止したことにより、ヘッドの安定な浮上姿勢が保て、長期的な耐摺動特性が保証される。