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技術 プラスチック成形体のガスバリア性測定方法

出願人 鹿毛剛アドバンストマテリアルテクノロジーズ株式会社
発明者 鹿毛剛小林巧
出願日 2003年3月17日 (17年9ヶ月経過) 出願番号 2003-072838
公開日 2004年10月7日 (16年2ヶ月経過) 公開番号 2004-279281
状態 未査定
技術分野 その他の電気的手段による材料の調査、分析 粒子の特徴の調査 気密性の調査・試験
主要キーワード 実測定値 無コーティング ヘリウム分圧 ヘリウムガス濃度 ガス溶解度 見積り値 ヘリウム濃度 表裏関係
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年10月7日)のものです。
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図面 (5)

課題

本発明のガスバリア性測定方法は、容器をはじめとしてプラスチック成形体ガスバリア性をその吸湿量によらず、測定値応答が良く且つ精度良く測定することを目的とする。

解決手段

本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法は、プラスチック成形体を変形又は熱劣化させない温度範囲にて加熱してプラスチック成形体が吸湿した水分を除去する加熱乾燥工程、プラスチック成形体の壁面の一方側をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ壁面の表裏関係となる他方側をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気とする雰囲気調整工程、ヘリウムガスが前記壁面の一方側から他方側に向かってプラスチック成形体を透過し、ヘリウムガスの透過量が定常状態となったときにガス分析装置を使用してヘリウムガスの透過量を検量するヘリウムガス検量工程とを備えることを特徴とする。

概要

背景

ガスバリア性プラスチック容器は、例えば特許文献1に開示がある。特許文献1ではプラスチック容器酸素バリア性についてはMODERN CONTROL社製OX−TRANTWINを使用して、酸素の透過量を40℃で測定している。また、炭酸ガスバリア性についてはMODERNCONTROL社製PERMATRANC−4型を使用して、炭酸ガスの透過量を25℃で測定している。
【特許文献1】
特開平8−53116号公報

概要

本発明のガスバリア性測定方法は、容器をはじめとしてプラスチック成形体ガスバリア性をその吸湿量によらず、測定値応答が良く且つ精度良く測定することを目的とする。本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法は、プラスチック成形体を変形又は熱劣化させない温度範囲にて加熱してプラスチック成形体が吸湿した水分を除去する加熱乾燥工程、プラスチック成形体の壁面の一方側をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ壁面の表裏関係となる他方側をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気とする雰囲気調整工程、ヘリウムガスが前記壁面の一方側から他方側に向かってプラスチック成形体を透過し、ヘリウムガスの透過量が定常状態となったときにガス分析装置を使用してヘリウムガスの透過量を検量するヘリウムガス検量工程とを備えることを特徴とする。

目的

本発明の目的は、このいずれの状況にも対応可能なプラスチック容器のガスバリア性測定方法を確立することである

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

プラスチック容器プラスチックシート又はプラスチックフィルム等のプラスチック成形体ガスバリア性測定方法において、前記プラスチック成形体を変形又は熱劣化させない温度範囲にて加熱して前記プラスチック成形体が吸湿した水分を除去する加熱乾燥工程、前記プラスチック成形体の壁面の一方側をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ前記壁面の表裏関係となる他方側をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気とする雰囲気調整工程、前記ヘリウムガスが前記壁面の一方側から他方側に向かって前記プラスチック成形体を透過し、前記ヘリウムガスの透過量が定常状態となったときにガス分析装置を使用して前記ヘリウムガスの透過量を検量するヘリウムガス検量工程とを備えることを特徴とするプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項2

前記ガス分析装置は質量分析装置であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項3

前記ガス分析装置は四重極質量分析計(QMS)或いは磁場偏向型質量分析器であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項4

前記雰囲気調整工程及び前記ヘリウムガス検量工程において、キャリアガス雰囲気側に供給するキャリアガスの1分間あたりの流量は、前記プラスチック容器の容量の2倍以上とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項5

前記ヘリウムガス検量工程を経た後、前記ヘリウムガスの透過量を酸素ガスの透過量に換算する酸素透過量換算工程とを備えることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項6

前記プラスチック成形体はプラスチック容器若しくは内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面にガスバリア性薄膜コーティングしたガスバリア性プラスチック容器であり、前記雰囲気調整工程において、容器外部をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ容器内部をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

請求項7

前記プラスチック容器は、プラスチック容器の内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面にガスバリア性薄膜をコーティングするためのコーティングチャンバを複数配置して該コーティングチャンバを同時若しくは順次稼動させて量産したガスバリア性プラスチック容器であり、前記コーティングチャンバごとに所定本数成膜を行なう度に前記加熱乾燥工程、前記雰囲気調整工程及び前記ヘリウムガス検量工程を行なうか、或いは前記加熱乾燥工程、前記雰囲気調整工程、前記ヘリウムガス検量工程及び前記酸素透過量換算工程を行ない、次いで前記コーティングチャンバ別に前記ガスバリア性プラスチック容器のガス透過量を比較してコーティングチャンバの稼動不良を判定するチャンバ稼動判定工程を行なうことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法。

技術分野

0001

本発明は、ヘリウムガスの透過量を指標としてプラスチック容器プラスチックシート又はプラスチックフィルム等のプラスチック成形体ガスバリア性を迅速に測定、評価する方法に関し、さらにヘリウムガスの透過量から酸素ガスの透過量を推測してガスバリア性を評価する方法並びにガスバリア性プラスチック容器を量産する際のガスバリア性測定方法に及ぶ。

背景技術

0002

ガスバリア性プラスチック容器は、例えば特許文献1に開示がある。特許文献1ではプラスチック容器の酸素バリア性についてはMODERN CONTROL社製OX−TRANTWINを使用して、酸素の透過量を40℃で測定している。また、炭酸ガスバリア性についてはMODERNCONTROL社製PERMATRANC−4型を使用して、炭酸ガスの透過量を25℃で測定している。
【特許文献1】
特開平8−53116号公報

0003

プラスチック容器、プラスチックシート又はプラスチックフィルム等のプラスチック成形体のガスバリア性測定は、特許文献1に開示された方法が主に使用されている。プラスチック容器の場合、肉厚が厚く、容器の形状が複雑なため測定値が安定するまで1週間程度の時間を要する。特に容器内部は複雑な三次元形状をしているので容器内部を完全にガス置換するまで時間がかかる。通常、ガス置換が完全に終了するまでは透過したガス量は安定化しない。特許文献1に記載されている測定器では、キャリアガス流量を多く流すと安定に精度良くガス透過量を測定することが難しいため、キャリア流量を少なく設定せざるを得ない。したがって、迅速にガスバリア性を評価できる方法が今までなかった。

0004

また、ポリエチレンテレフタレート(PET)製容器は、樹脂吸湿性が大きく、20℃での相対湿度60〜80%で平衡吸水率0.4〜0.5重量%である。本発明者らは、樹脂中に吸湿された水分子が存在すると、検出器に悪影響を与え、測定値も変わることを見出した。

0005

プラスチック容器成形直後の樹脂の水分含量は少なく、例えばPETボトルの場合では、50ppmである。一方、プラスチック容器成形後、容器を倉庫等に保管した場合には、容器は吸湿してしまうこととなる。本発明の目的は、このいずれの状況にも対応可能なプラスチック容器のガスバリア性測定方法を確立することである。

0006

すなわち本発明の目的は、プラスチック成形体のガスバリア性測定方法において、プラスチック成形体中を透過させるガスを酸素ガスの替わりに拡散係数及び透過係数が大きいヘリウムガスとすることで、(1)ガス透過状態の安定化を早期に達成すること、(2)ヘリウムガスはガス透過量が多いのでキャリアガスを多く流してもキャリアガス中ヘリウムガス濃度を高くできるので微量検出を行なわずに済むこと、及び(3)ガス分析装置、例えば質量分析装置、好ましくは四重極質量分析計(QMS)或いは磁場偏向型質量分析器を使用することでキャリアガスを多く流しても測定精度を低下させないこと、が実現できることに着目して、高精度且つ高速のガスバリア性測定方法を提供することである。特許文献1で示されているMODERN CONTROL社製OX−TRANTWINを代表とする酸素バリア性測定装置は、キャリアガスを多く流すと測定精度が低下する。キャリアガス流量は最大50ml/分まで可能であるが、10ml/分程度で測定することが多い。一方、QMSを検出器として使用するとキャリアガス流量を最大5000ml/分まで可能であり、通常のボトル容量(500ml)の場合、500〜1000ml/分程度で測定する。このように、特許文献1で使用されている測定方法と比較して本発明ではキャリアガス(パージガス)を50〜100倍程度多く流すことができるので、早期に定常状態にすることができる。特に内部が複雑な立体形状であるプラスチック容器のガスバリア性を評価するときに容器内部でのガス滞留を抑制してガス置換を速く行なうことができ、早期安定化に寄与すると期待される。また、プラスチック成形体を変形又は熱劣化させない温度範囲にて加熱してプラスチック成形体が吸湿した水分を除去することで、水分子による検出器の不安定性事前に除去して、測定精度を高めることを目的とする。

0007

さらに前記雰囲気調整工程及び前記ヘリウムガス検量工程において、キャリアガス雰囲気側に供給するキャリアガスの1分間あたりの流量を前記プラスチック容器の容量の2倍以上とすることで、測定条件を一定に保ったままガス置換を早期に終了して、より高速のガスバリア性測定方法を提供することを目的とする。

0008

また本発明の目的は、ヘリウムガスの透過量を酸素ガスの透過量に変換する酸素透過量換算工程を設けることで、酸素透過量の推定値を算出できるガスバリア性測定方法を提供することである。

0009

本発明の目的は、プラスチック成形体が容器形状である場合について適切な測定方法を提供することである。

0010

また本発明の目的は、ガスバリア性薄膜を容器に量産的にコーティングする場合において、ガスバリア性プラスチック容器のガスバリア性の良否及び装置の稼動状態を迅速に判断する測定方法を提供することである。従来のように1週間以上の評価時間を要する測定方法では、製造ライン上での評価は不可能である。

発明が解決しようとする課題

0011

ガスバリア性プラスチック容器を量産する場合には、ガスバリア性薄膜を容器にコーティングするためのコーティングチャンバが1つのみでは対応できず、複数のコーティングチャンバを同時に稼動させるか若しくは順次交代して稼動させることが現実的である。そこで、本発明の目的は、ガスバリア性プラスチック容器を量産機、特に複数のコーティングチャンバを同時若しくは順次稼動させて、成膜工程を高速大量に行なう量産機を用いて製造するような場合において、ガスバリア性プラスチック容器のガスバリア性能を評価するとともに、コーティングチャンバごとの容器のガスバリア性能を比較して、コーティングチャンバの作動の良否も同時に判断することが可能なガスバリア性測定方法を提供することである。成膜したガスバリア薄膜品質はコーティングチャンバが正常に作動しているか否かに依存することが多いからである。特にプラスチック容器を成形し続いてコーティングした直後にガスバリア性を評価する場合と、倉庫に保管されたあとのガスバリア性プラスチック容器のように、オフラインにある容器のガスバリア性能を迅速に評価する場合の両方に対応しうる測定方法を提供する。後者の場合は容器の受入検査方法として適する方法として期待できる。

0012

本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法は、プラスチック容器、プラスチックシート又はプラスチックフィルム等のプラスチック成形体のガスバリア性測定方法において、前記プラスチック成形体を変形又は熱劣化させない温度範囲にて加熱して前記プラスチック成形体が吸湿した水分を除去する加熱乾燥工程、前記プラスチック成形体の壁面の一方側をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ前記壁面の表裏関係となる他方側をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気とする雰囲気調整工程、前記ヘリウムガスが前記壁面の一方側から他方側に向かって前記プラスチック成形体を透過し、前記ヘリウムガスの透過量が定常状態となったときにガス分析装置を使用して前記ヘリウムガスの透過量を検量するヘリウムガス検量工程とを備えることを特徴とする。ここで、前記ガス分析装置は質量分析装置であることが好ましい。さらに、前記ガス分析装置は四重極質量分析計(QMS)或いは磁場偏向型質量分析器であることがより好ましい。

0013

本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法では、前記雰囲気調整工程及び前記ヘリウムガス検量工程において、キャリアガス雰囲気側に供給するキャリアガスの1分間あたりの流量は、前記プラスチック容器の容量の2倍以上とすることが好ましい。

0014

本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法では、前記ヘリウムガス検量工程を経た後、前記ヘリウムガスの透過量を酸素ガスの透過量に換算する酸素透過量換算工程とを備えることが好ましい。

0015

また本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法では、前記プラスチック成形体はプラスチック容器若しくは内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面にガスバリア性薄膜をコーティングしたガスバリア性プラスチック容器であり、前記雰囲気調整工程において、容器外部をヘリウムガス含有雰囲気とし且つ容器内部をアルゴンガス等のキャリアガス雰囲気とすることが好ましい。

課題を解決するための手段

0016

さらに本発明に係るプラスチック成形体のガスバリア性測定方法では、前記プラスチック容器は、プラスチック容器の内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面にガスバリア性薄膜をコーティングするためのコーティングチャンバを複数配置して該コーティングチャンバを同時若しくは順次稼動させて量産したガスバリア性プラスチック容器であり、前記コーティングチャンバごとに所定本数の成膜を行なう度に前記加熱乾燥工程、前記雰囲気調整工程及び前記ヘリウムガス検量工程を行なうか、或いは前記加熱乾燥工程、前記雰囲気調整工程、前記ヘリウムガス検量工程及び前記酸素透過量換算工程を行ない、次いで前記コーティングチャンバ別に前記ガスバリア性プラスチック容器のガス透過量を比較してコーティングチャンバの稼動不良を判定するチャンバ稼動判定工程を行なうことが好ましい。

0017

以下、本発明について実施形態及び実施例を示しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。

0018

本発明に係るプラスチック成形体は、プラスチック容器、プラスチックシート又はプラスチックフィルムが例示できる。本実施形態ではプラスチック容器、特に飲料用容器を例に挙げて説明する。プラスチックフィルムのように数十μmのフィルム厚さのガスバリア性を測定するような場合では、フィルム厚さが薄いために比較的短時間で済むこともある。プラスチック容器を測定対象とする場合には樹脂肉厚が0.3〜1mmであるため、フィルムの場合と比較して迅速測定が要求される。さらに飲料用容器は立体的形状であり、容器内部の形状が複雑で、キャリアガスを流してガス置換を完全に行なうためには長時間を要する。したがって、高速且つ高精度でガスバリア性を評価することが難しい対象である。本発明は容器の形状に左右されず、また容器の用途はビール等の炭酸飲料果汁飲料栄養ドリンク剤又は医薬品が例示できる。

0019

本実施形態に係るプラスチック成形体は内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面にガスバリア性薄膜をコーティングしたガスバリア性プラスチック容器であっても良い。プラスチック容器の壁面にコーティングするガスバリア性薄膜として、SiOx、DLC、ポリマーライクカーボン酸化アルミニウム、ポリマーライク窒化珪素アクリル酸系樹脂コートが例示できる。この中でDLCは酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れ、化学的に不活性炭素及び水素を主成分とする為、プラスチックと同様の処分が可能であること、柔軟であるのでプラスチックの伸縮に追随性があることから特に好ましい。本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H) と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜も含まれる。またDLC膜はアモルファス状炭素膜であり、SP3結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面又は外表面のいずれか一方若しくはその両面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイリターナブル使用可能な容器を得る。

0020

なお、ガスバリア性薄膜は、プラスチック容器の内表面或は外表面又はその両方にコーティングすることが可能であるが、ガスバリア性を確保して且つプラスチックへの充填物収着若しくはプラスチック中に含まれる微量成分の充填物への溶出をそれぞれ防止すること且つ経済的であることを考慮すると、ガスバリア性薄膜を内表面に成膜することが特に好ましい。またDLC膜の成膜方法としては、例えば特許文献1に記載された成膜方法である。

0021

(作用)
プラスチックのガス透過係数P〔cm3(STP)cm/cm2・sec・cmHg〕は、プラスチック中のガス拡散速度D(cm2/sec)とプラスチックへのガス溶解度係数S〔cm3(STP)/cm3・cmHg〕を用いて式1で示される。
【式1】
P=D×S

0022

プラスチックの気体透過量Q(cc/m2・atm・日)は、ガス透過係数P、透過面積A(m2)、透過時間t(24時間(1日)当り)及び圧力p(atm)を用いて式2で示される。
【式2】
Q=P×A×t×p

0023

プラスチックの気体透過量Qは、式2で表すことができるが、実際の測定では、プラスチック容器の外部のヘリウムガス濃度と容器内部のヘリウムガス濃度との濃度勾配が一定となる定常状態でなければ測定誤差を生じてしまう。プラスチック中を気体分子拡散していき、プラスチック中の気体分子の濃度勾配が定常状態になるまでの時間を「遅れ時間」という。遅れ時間は、式3に示す如く、プラスチックの厚みの二乗に比例し、拡散係数に反比例する。
【式3】
遅れ時間=(プラスチックの厚み)2/(6×拡散係数D)

0024

ここで、非特許文献1に示されたデータである表1を参照すると、ヘリウムは酸素よりも拡散係数が大きく、エラストマー半結晶性ポリマーガラス状ポリマー中では、ヘリウムの拡散係数は酸素の拡散係数よりも35.3倍大きい。
【表1】

【非特許文献1】
D.W.Van Krevelen,Propertiesof Polymers,p555

0025

表1から式4の結果が導き出せる。
【式4】
DHe/DO2=35.3
式4の結果と式3から、ヘリウムの遅れ時間は理論的には酸素の遅れ時間の約1/35であるので、早期に定常状態を実現することが可能となる。

0026

また、表1と式5の結果が導き出せる。
【式5】
PHe/PO2=3.94
式5の結果から、非特許文献1で検討した樹脂については、ヘリウム透過係数酸素透過係数と比較すると約4倍であると見積もることができる。

0027

樹脂の種類によって、ヘリウムのガス透過係数及びガス拡散係数は異なる。本発明に係る測定方法では、ガス拡散係数の違いは上述したように遅れ時間に影響を及ぼすので、測定開始可能時間を樹脂毎に適切に設定すればよい。式4の結果と式3から求めたヘリウムの遅れ時間が酸素の遅れ時間の約1/35であるという見積りひとつの参考値となる。例えばPETの場合はその見積り値は5時間である。また、ガス透過係数の違いは同じく上述したようにヘリウム透過度を酸素透過量に換算する際の換算係数に影響を及ぼすので、この換算係数を樹脂毎に実測・比較して適切に設定すればよい。表1と式5から算出したヘリウム透過係数は酸素透過係数と比較すると約4倍であると見積りはひとつの参考値となる。本発明に係る測定方法では、プラスチック容器の樹脂種にかかわらず、酸素バリア性能を測定することが出来る。

0028

後述する参考例の測定から求められるように、PET樹脂におけるヘリウム透過係数は酸素透過係数と比較すると約44倍であった。この関係は、Mocon社Oxtran2/21MLを用いて定常状態のときの実測定値を比較して求めたものである。プラスチック成形体は、フィルム、シート又は容器であるから、成形体の肉厚、形状等の形態特性によってこの換算係数は変わりうるものである。したがって、測定対象の成形体それぞれについて事前に換算係数を求めてから適用することが望ましい。本実施形態ではこれ以降の説明において、換算係数を1/44倍として説明することとする。

0029

本発明では、酸素の替わりにヘリウムガスをガスバリア測定用ガスとして透過指標ガスとした。すなわち、ヘリウムガスを透過させ、ヘリウムガスの透過量を検量し、これを酸素ガス透過量に換算すること酸素ガス透過量を推測する。ヘリウムガスを透過指標ガスとすることで遅れ時間の短縮を図り、測定開始までに要する時間の大幅な短縮化を実現した。

0030

後述する比較例で示すように、Mocon社Oxtran2/21MLを用いると、測定値が安定するまで7日間を要する。実際の測定時においては、遅れ時間のみが測定を遅延させる理由ではない。すなわち、特に内部が複雑な立体形状であるプラスチック容器のガスバリア性を評価するときに容器内部でのガス滞留が起きるので、ガス滞留の影響が完全に消える状態になるまで正確な測定はできない。例えば、特許文献1で示されているMODERNCONTROL社製OX−TRANTWINを代表とする酸素バリア性測定装置は、キャリアガスを多く流すと検出器に悪影響を与えて測定精度が低下する。キャリアガス流量は最大50ml/分まで可能であるが、10ml/分程度で測定することが多い。容量が500cc程度の容器ではキャリアガス流量が10ml/分程度では容器内部をガス置換するまで相当の時間がかかる。

0031

ヘリウムガスをガスバリア測定用の透過指標ガスとすることで、遅れ時間を理論的には約1/35倍に短縮することができる。ヘリウムガスは検出器として四重極質量分析計(QMS)を使用することができる。すると、キャリアガス流量を最大5000ml/分まで可能であり、ボトル容量が500mlの場合は500〜1000ml/分程度で測定する。容器内部のガス置換効率を高めるためにキャリアガス流量を1000〜1500ml/分として測定しても良い。このように、特許文献1で使用されている測定方法と比較して本発明ではキャリアガス(パージガス)を50〜100倍程度多く流すことができるので、早期に定常状態にすることができる。内部が複雑な立体形状であるプラスチック容器のガスバリア性を評価にはガス置換を早く終えることができるので測定時間を短縮できることとなる。

0032

酸素透過量は、PET樹脂中での実測値であるヘリウム透過量を例えば1/44倍することで求めることができる。したがって、検出限界を高く、測定精度を高めることが可能である。

0033

なお、プラスチック中のガス透過係数は温度依存性及び湿度依存性があるので、恒温状態で測定を行なうことが必要である。温度依存性については、ある温度範囲でアレニウスの式(P=Poe−E/RT)が成立する。ただし、Pはガス透過率、P0は絶対零度のガス透過率、Eはガス透過の活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度である。

0034

本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂ポリエステルアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリエチレンナフタレート樹脂ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン重合)、アイオノマ樹脂ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂ポリスチレン樹脂(PS)、エチレンビニルアルコール共重合樹脂アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂ポリ塩化ビニリデン樹脂PVDC)、ポリアミド樹脂ポリアミドイミド樹脂ポリアセタール樹脂ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。本発明ではプラスチック容器としてPETボトルを例にして説明する。

0035

さらに本発明者らは、ガス検出器が水分子の影響を受けて測定データにバラツキが生じることがわかった。なお、水分子の影響を受ける程度は検出器の種類によるが、QMSは比較的影響を受けやすい。このバラツキを低減し測定精度を高めるためには、乾燥状態のプラスチック容器のガスバリア性を評価しなければならないことを見出した。

0036

プラスチックの吸水率(24時間、23℃)は、3つに分別される。
(1)吸水しにくいものとして、PE:<0.01%、PP:<0.005%、PS:0.04〜0.06%、PVDC:僅小。
(2)中間的なものとして、PET:0.3〜0.5%、PC:0.35%、ポリエーテルスルフォン0.3〜0.4%。
(3)吸水率の高いものとして、ポリイミド:2.9%、ナイロン6:9.5%、セルローズアセテート:5〜9%。

0037

たとえば、PET樹脂は、20℃での相対湿度60〜80%で平衡吸水率0.4〜0.5重量%である。この吸湿された水分子により、ガス検出器が影響を受けると推測している。

0038

プラスチック容器、特にPETボトルは成形用PETぺレットとして、水分含量が50ppm以下のものを使用する。そして、プラスチック容器成形工程及びガスバリア性薄膜成膜工程を一連に行なう製造工程中で吸湿することは皆無である。したがって、製造ラインに流れているコーティング済み容器を抜き取って迅速にガスバリア性能測定を行なえば乾燥状態のプラスチック容器を測定しているとみなすことが出来る。本発明では、ガスバリア性能を迅速に測定することが可能であるので、製造ラインで流れているコーティング済みのプラスチック容器を抜き取ってガスバリア性を測定することで、吸湿の影響を受けると無しに容器の品質確認を行なうことが出来る。

0039

コーティング済みプラスチック容器を成膜工場とは別の場所に納品する場合に、納品を受ける側が品質管理基準通りのガスバリア性を有するか否かの品質検査を行なうことは通常の作業である。ここで、製造ラインから離れたコーティング済みプラスチック容器は、吸湿を生じている場合が多い。この容器のガスバリア性能をそのまま測定すれば容器の吸湿状態に応じて測定誤差が含まれることとなる。本発明では、ガスバリア性測定前にガスバリア性プラスチック容器を劣化させずに樹脂中まで乾燥させる加熱乾燥工程を設けることが好ましい。すなわち、乾燥を早期に行なう為には乾燥窒素ガス熱風を容器に吹き付ると効果的であるが、プラスチックのガラス転移点付近より高温に加熱すると容器が収縮、変形を生してしまうこととなる。したがって本発明では、形状劣化及び薄膜劣化を生じない程度の温度以下で乾燥させることが好ましい。例えば炭酸飲料用PETボトルでは約60℃以下、耐熱飲料PETボトルでは約80℃以下で乾燥させることが好ましい。そして、PETボトルを0.1重量%以下の水分含量まで乾燥させることが好ましい。

0040

次に本発明の測定方法を説明する前に、本測定方法を行なうためのプラスチック容器のガスバリア性測定装置について説明する。この装置は、測定方法を説明するために示すものであって、この装置構成に測定方法は限定されない。

0041

図1に、プラスチック容器のガスバリア性測定装置の一形態を示す概略構成図を示した。装置は、測定用のプラスチック容器1の外部を雰囲気調整可能とするために外部空間を仕切測定チャンバ2と、プラスチック容器1の外部且つ測定チャンバ2の内部の空間22内にヘリウムガス又は希釈したヘリウムガスを供給するためのヘリウムガス系統20と、プラスチック容器1の内部まで透過したヘリウムガスを排気管15に流しだすためのキャリアガスを供給するキャリアガス系統21と、排気管15につながる排気手段11と、プラスチック容器1の壁面を透過したヘリウムガスを検量するためのヘリウム検知器14とから構成される。

0042

プラスチック容器1は、容器の内壁面、若しくは外壁面或いはその両方の壁面にガスバリア性薄膜を成膜した容器である。比較対照用として未成膜のPETボトルも使用している。本発明は容器の形状に左右されず、また容器の用途はビール等の炭酸飲料、果汁飲料、栄養ドリンク剤、医薬品が例示できる。

0043

測定チャンバ2は、測定チャンバの内部であってプラスチック容器1の外部の空間22をヘリウムガス、或いはアルゴン等で希釈したヘリウムガスにより作られるヘリウムガス含有雰囲気で満たすために外気系を遮断し、且つプラスチック容器1の内部にヘリウムガスがリークしないようにプラスチック容器1の口部を測定チャンバ2内の天面に当接保持する容器固定字具(不図示)を備える。また、測定チャンバ2はヘリウムガス含有雰囲気を加圧できるように耐圧性を与えても良い。

0044

ヘリウムガス系統20は、空間22にヘリウムガスを導入するためのガス系統であるが、ヘリウムガス源4と水分子除去等のガス精製のためのゲッター6と真空バルブ8を備える。ヘリウムガス源4としては高純度ヘリウムが好ましい。また、ヘリウム透過量を調整するためにヘリウムの分圧下げても良い。この場合、アルゴン、窒素等の不活性ガス源(不図示)をヘリウムガス源4と並列に接続してヘリウムガスを希釈しても良い。これによって、空間22をヘリウムガス含有雰囲気とすることができる。希釈したヘリウムガスとして、ヘリウム0.1〜5.0%−窒素99.9〜95.0%の混合ガスが例示できる。アルゴンは高純度アルゴン、窒素は高純度窒素を用いることが好ましい。

0045

キャリアガス系統21は、プラスチック容器1内にキャリアガスを供給するためのガス系統でキャリアガス源3と水分子等を除去してガス精製のためのゲッター5と真空バルブ7を備える。キャリアガスとしては、アルゴン又は窒素等の不活性ガスを用いる。キャリアガスとしては、高純度アルゴン、窒素は高純度窒素を用いることが好ましい。キャリアガスは、プラスチック容器1内にキャリアガス導入管9を介して供給される。

0046

排気管15は、プラスチック容器1の内部まで透過したヘリウムガスとキャリアガスとを配管10を介して排気手段11に導く。排気手段11は、空間22をヘリウムガス雰囲気にガス置換する場合と排気管15以降を減圧する場合に作動させる。測定中の容器内部圧力大気圧、ヘリウム検知管センサー部は減圧状態であることが好ましい。なお、容器内部圧力は大気圧、排気管15内を減圧として圧力差を設けるために真空バルブ25を設置する。

0047

ヘリウム検知器14は、感度が良いものを選択し、電場型であるQMS(4重極質量分析計、例えば英国ハイデン社HPR−30:10‐4〜5×10‐1mbar(10−2〜50Pa))若しくは磁場偏向型質量分析器が好ましい。また飛行時間差型質量分析計であっても良い。あるいは、トロコイド型質量分析器、オメガトロン等の偏向型質量分析装置で行なっても良い。

0048

加熱乾燥工程において、プラスチック成形体を加熱する手段は、成形体を加熱室に入れて熱風を吹き付ける装置(不図示)、プラスチック成形体にヒーターを巻き、アルミ箔等の熱伝導体で包んで成形体全体を加熱する装置(不図示)などが例示できる。プラスチック成形体を熱劣化、変形させない程度に全体的に加熱できる装置であればいずれでも良い。

0049

次に図1に示したプラスチック容器のガスバリア性測定装置を参照して、本発明に係るガスバリア性能の測定方法を説明する。まず、製造ライン上でのガスバリア性プラスチック容器、すなわち、プラスチック容器を成形し、続いて前記プラスチック容器の壁面にガスバリア性薄膜をコーティングして形成したガスバリア性プラスチック容器のガスバリア性測定方法について説明する。プラスチック容器の成形は、例えばブロー成形法が一般的である。またDLC膜の成膜方法としては、例えば特許文献1に記載された成膜方法である。

0050

(加熱乾燥工程)
製造ラインから離れ、吸湿を生じたガスバリア性プラスチック容器のガスバリア性能を測定する場合には、最初にガスバリア性プラスチック容器を劣化させずに樹脂中まで乾燥させる加熱乾燥工程を設ける。乾燥方法としては、作用の欄で述べた通り、形状劣化及び薄膜劣化を生じない程度の温度以下で、乾燥窒素ガスの熱風を容器に吹き付けながら乾燥させることが好ましい。例えば炭酸飲料用PETボトルでは約60℃以下で乾燥させることが好ましい。耐熱飲料PETボトルでは約80℃以下で乾燥させることが好ましい。そして、PETボトルは、水分含量を0.1重量%以下まで乾燥させることが好ましい。

0051

本発明の測定方法では、ガスバリア性プラスチック容器の樹脂の吸湿量に応じて加熱乾燥工程を行なうかを判断しているといえる。したがって、ガスバリア性プラスチック容器形成後に、ガスバリア性プラスチック容器の吸湿有無判断工程を設けても良い。吸湿がない場合又は吸水しにくいPE、PP、PS或いはPVDCをプラスチック成形体の材料とする場合には加熱乾燥工程を省略できる。

0052

(雰囲気調整工程)
真空バルブ25を開、真空バルブ7を閉、真空バルブ8を閉、真空バルブ23を開、真空バルブ24を開とする。排気手段11のロータリーポンプを作動させて測定チャンバ2内の空間22及びプラスチック容器1の内部を10‐2〜100Paまで真空とする。

0053

次に真空バルブ23を閉、真空バルブ24を閉とした後、真空バルブ7を開、真空バルブ8を開として、ヘリウムガスを空間22内に導入して空間22内をヘリウムガス含有雰囲気に置換し、同時に窒素、アルゴン等のキャリアガスを、キャリアガス導入管9を介してプラスチック容器1内に導入して容器内をキャリアガス雰囲気に置換する。空間22及び容器内部をそれぞれほぼ大気圧に調節する。なお、キャリアガス流量は、容器内をより完全にガス置換するために容器の容量に対して1分間当たり2倍以上の流量を流すことが好ましい。

0054

ガス置換した後、真空バルブ23を開とする。さらに真空バルブ25を調節して、空間22及び容器内部をそれぞれほぼ大気圧に保ちながら、排気管15以降排気手段11までを10−2〜100Pa程度に調節する。

0055

なお、プラスチック容器1が変形しない条件下で、空間22を大気圧よりも加圧側、プラスチック容器1の内部を大気圧よりも減圧側に調整して、容器内外の圧力差を設けて、ガス透過速度加速させても良い。

0056

(ヘリウムガス検量工程)
上記の雰囲気調整工程を経ることで、プラスチック容器1の樹脂中を容器の外壁面から内壁面に向かってヘリウムガスの拡散浸透が開始される。プラスチック容器1の壁面まで透過したヘリウムガスは、キャリアガスとともに排気管15を介して排気手段11によって排気される。そして、ヘリウムの濃度勾配が定常状態となるまでの待ち時間待機する。なお、待ち時間、すなわち待機時間は、プラスチック容器の樹脂によって適宜調整し、例えば上述のPETボトルでは理論的には5時間である。

0057

所定時間待機した後、真空バルブ13を開として排気管15中のヘリウムガスを、配管12を介してヘリウム検知器14に導く。ヘリウム検知器14であるQMSにより、プラスチック容器1の内部まで透過したヘリウムガスの透過量を検量する。この工程までの所要の時間は、従来の酸素バリア性測定方法と比較して理論的に約1/35に短縮される。そして、空間22のヘリウム分圧、プラスチック容器1内部のキャリアガス流量、プラスチック容器1内の圧力の条件を、例えば、空間22のヘリウム濃度を100%、プラスチック容器1内部のキャリアガス流量を1000sccm、プラスチック容器1内の圧力を1atmの条件となるように規格化する。この条件は一例であるので他の条件に規格化しても良い。そして、ヘリウム透過量〔cc/(day・容器1本)〕を算出する。例えば式6により、ヘリウム透過量を算出しても良い。
【式6】
x=A・P(x)/P(a)
但し、キャリアガス流量をA[cc/day]、ボトルからのHe透過量をx[cc/day/pkg]、QMS測定値としてキャリアガス分圧をP(a)[Pa]、Heガス分圧をP(x)[Pa]とする。なお、本発明では容器1本あたりの壁面の表面積は320cm2であり、本発明のヘリウム透過量を容器の単位表面積あたりに換算する場合は、〔cc/(day・容器1本)〕を〔cc/(day・壁面表面積320cm2)〕と考えて換算すればよい。なお、ヘリウムガス検量工程中からヘリウム透過度をモニタリングしていても良い。このような作業により、短時間で精度良くプラスチック容器のヘリウムガスバリア性を評価することができる。

0058

(酸素透過量換算工程)
ヘリウムガスの透過量〔cc/(day・容器1本あたり)〕をパラメータとしてプラスチック容器の酸素透過量に換算する。すなわち、PETボトルの場合には、酸素のガス透過量はヘリウムのガス透過量の1/44倍とする。なお、容器の容量、容器の肉厚又は容器の形状で換算係数が変わるので、所望形状の容器の酸素透過係数とヘリウム透過係数を共に測定した後、換算係数を求めて適用することが好ましい。他樹脂製容器を測定する場合には、同様に所定条件下で同一容器のヘリウム透過係数と酸素透過係数を実測定して、2つの透過量の関係から換算係数を求める。これにより本発明に係る測定方法では、プラスチック容器の容器形状、樹脂種に対応して酸素バリア性能を測定することが出来る。

0059

(ガスバリア性プラスチック容器の量産時におけるガスバリア性能測定)
プラスチック容器1が、プラスチック容器の壁面にガスバリア性薄膜をコーティングするためのコーティングチャンバを複数配置して該コーティングチャンバを同時若しくは順次稼動させて量産した容器である場合のプラスチック容器のガスバリア性測定方法を説明する。図2に量産機のコーティング装置装置を示す概念構成図を示し、図3にコーティング装置部分のコーティングチャンバ配置の概念図を示した。コーティングチャンバを同一サークル状に配置している。この場合、図3のコーティングチャンバ1〜32を順次稼動させて量産させるのが適している。なお、コーティングチャンバに付したA,Bの記号は、稼動させる高周波電源の種類を示しており、高周波電源A(不図示)と高周波電源B(不図示)が順次コーティングチャンバに高周波を供給する。

0060

コーティングチャンバごとに所定本数の成膜を行なう度にプラスチック容器のガスバリア性能測定を行なう。所定本数が1本である場合には、いわゆる全数測定を行なうこととなる。本発明では、待ち時間内に製造する本数毎に測定することが良い。また各コーティングチャンバについてほぼ同時間帯にコーティングした容器をサンプリングして測定しても良いし、各コーティングチャンバについてそれぞれ一定間隔ずらして容器をサンプリングして測定しても良い。前者のサンプリング方法の場合、所定時間帯の容器の品質確認と各コーティングチャンバの稼動具合の良否が確認できる。後者のサンプリング方法の場合、量産装置全体として経時的な作動状況を確認できる。ここで、ガスバリア性を測定する容器についてガスバリア性を測定するに先立って、前述した加熱乾燥工程をそれぞれ行なう。

0061

加熱乾燥工程を経た後、前記雰囲気調整工程、及び前記ヘリウムガス検量工程を行なう。次いで、コーティングチャンバごとに対応する容器のガスバリア性を比較してコーティングチャンバの稼動不良を判定するチャンバ稼動判定工程を行なう。これにより容器の品質確認ができる他、コーティングチャンバ間の相互比較を行なうことでコーティングチャンバの稼動不良を発見することができる。量産装置では、製造不良がコーティングチャンバ単位で起こる場合が多いので、稼動不良のコーティングチャンバを早期に発見することは、良品製造率を高めるためには有意義である。

0062

酸素ガスバリア性として評価したい場合は、前記酸素透過量換算工程をさらに行なう。

0063

本発明では、容器の樹脂種類、コーティング面、ガスバリア性薄膜の種類に限定されないが、容器内壁面にDLC膜を成膜したPET製容器のガスバリア性を評価する場合に適している。すなわちこの容器は未コーティングのPETボトルと比較して、ガスバリア性が10倍以上高くすることも可能であるため特にガスバリア性の迅速測定が要求されるからである。

0064

【実施例】
(実施例1)
実施例では高さ157mm、胴径68mm、口径28mm、肉厚0.3mm、容量350ml、表面積320cm2の耐熱用PETボトルの内壁面に特許文献1と同様の方法でDLC膜を15nmの厚さで均一に成膜(成膜時間1.5秒)し、その後23℃×70%RHの雰囲気下に1週間置いた容器(吸湿量0.4wt%)とし、これを80℃、乾燥窒素雰囲気下に1時間置いて乾燥させた容器(吸湿量0.1wt%)を測定用容器とした。測定機器としては、図1に示したガス系統を有する装置を自作した。ヘリウム検出器として、4重極型質量分析計(電場型、英国ハイデン社製)を使用した。測定条件としては、容器内側を23℃、キャリアガスとして高純度アルゴン、アルゴンガス流量を2000sccmとした。一方容器外側を23℃、透過ガスとして高純度ヘリウム、ヘリウムガス流量を200sccm、ヘリウムガス濃度を100%とした。容器内外ともにガス置換は充分に行った。水分子を除去し且つキャリアガスであるアルゴンガス流量を2000sccmとしたので、検出器の値は10分程度で早期に安定した。また、理論的には待ち時間は5時間と推定されたが実待ち時間は理論値よりも短時間であり、おおよそ3時間であった。本容器のヘリウム透過係数は、0.2200cc/(day・容器1本)であった。測定全体で要した時間はおおよそ4時間であった。

0065

(参考例)
PETシート(厚み0.307mm)とこのPETシートの片面にDLC膜を高周波プラズマCVD法により成膜した。DLC膜の膜厚は20nmとした。これらのシートについて差圧法ガス透過試験(差圧法ガス透過試験機、東洋精機製)にてガスバリア性を測定した。試験温度は23℃、湿度は0%RHとした。結果を表2に示す。
【表2】
表2において酸素ガス透過係数ヘリウムガス透過係数とを比較して、ヘリウムガス透過係数から酸素ガス透過係数への変換係数は、PETシートでは1/39、DLC膜成膜PETシートでは1/44であった。

0066

DLC膜成膜PETシートで換算係数を1/44であるから、この値を利用すると、換算後の酸素透過量は、実施例1は、0.0050cc/(day・容器1本)と求めることができる。

0067

実施例1について特許文献1記載の測定方法(MOCON装置による測定)を行なったところ、定常状態で酸素ガス透過係数は実施例1の容器では0.0045cc/(day・容器1本)であった。

0068

(比較例1、2、及び3)
高さ157mm、胴径68mm、口径28mm、肉厚0.3mm、容量350ml、表面積320cm2の耐熱用PETボトルの無コーティングプラスチック容器の内壁面に特許文献1と同様の方法でDLC膜を10nmの厚さで均一に成膜(成膜時間1.0秒)したものを比較例1、DLC膜を15nmの厚さで均一に成膜(成膜時間1.5秒)したものを比較例2、DLC膜を19nmの厚さで均一に成膜(成膜時間1.9秒)したものを比較例3とした。なお、比較例1〜3について、1日間放置した後、Mocon社Oxtran2/21MLを用いて、容器内部を23℃−55%RH,容器外部23℃−100%RH、酸素分圧21%として酸素透過量(cc/day/pkg)の測定を行なった。pkgはpackageの略で容器1本に付という意味である。この結果を表3に示した。
【表3】

0069

無コーティングのボトル単体の酸素ガス透過係数は0.0220(cc/day/pkg)であった。

0070

図4に、比較例1〜3について測定日数とそのときの酸素透過量との関係について示した。比較例1〜3では、キャリアガスであるアルゴンガスを多量に流すことができず、容器内部がガス置換されるまで長時間を要すると推測している。また、図4を参照すると待ち時間は、比較例1〜3のDLC膜の膜厚に応じて多少変化するもののおおよそ7日間であることがわかった。また、待ち時間後の酸素透過量は、比較例1は、0.0054cc/(day・容器1本)、比較例2は、0.0038cc/(day・容器1本)、比較例3は、0.0029cc/(day・容器1本)、であった。実施例1において測定開始後4時間でヘリウムガスバリア性を測定終了できることと比較して非常に評価時間がかかることがわかる。

発明を実施するための最良の形態

0071

(比較例4)
高さ157mm、胴径68mm、口径28mm、肉厚0.3mm、容量350ml、表面積320cm2の耐熱用PETボトルの内壁面に特許文献1と同様の方法でDLC膜を15nmの厚さで均一に成膜(成膜時間1.5秒)し、その後23℃×70%RHの雰囲気下に1週間置いた容器(吸湿量0.4wt%)とした。これ以外は実施例1と同条件にてヘリウムガス透過性の測定を行った。測定値が安定せず、測定できなかった。

0072

本発明では、検出器としてキャリアガス流量を多く流すことができるQMSを使用するので、複雑な内部形状を有する容器についても短時間でガス置換を済ませて早期に定常状態とさせることが可能であり且つプラスチック成形体中を透過させるヘリウムガスは酸素ガスよりも拡散係数及び透過係数が大きいため、キャリアガスを多く流してもキャリアガス中のヘリウムガス濃度を高くできるので微量検出を行なわずに済む。したがって、高精度且つ高速のガスバリア性測定方法を提供することができた。ここで加熱乾燥工程を設けたので、樹脂の吸湿による検出器の精度低下を防止できた。

0073

さらに本発明によりキャリアガスの1分間あたりの流量を前記プラスチック容器の容量の2倍以上とすることで、測定条件を一定に保ったままガス置換を早期に終了して、より高速のガスバリア性測定方法を提供することができた。

発明の効果

0074

また本発明では酸素透過量換算工程を設けることで、酸素透過量の推定値を算出できる。

図面の簡単な説明

0075

また本発明では、ガスバリア性薄膜を容器に量産的にコーティングする場合において、ガスバリア性プラスチック容器のガスバリア性の良否及び装置の稼動状態を迅速に判断する測定方法を提供することができる。受入検査時の評価方法としても使用しうる。

図1
プラスチック容器のガスバリア性測定装置の一形態の概略構成図を示した。
図2
量産機のコーティング装置の一形態を示す概念構成図である。
図3
コーティング装置のコーティングチャンバ配置の一形態を示す概念図である。
図4
比較例1〜3について測定日数とそのときの酸素ガス透過係数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1,ガスバリア性を測定するプラスチック容器
2,測定チャンバ
3,キャリアガス源
4,ヘリウムガス源
5,6,ゲッター
7,8,13,23,24,25,真空バルブ
9,キャリアガス導入管
10,12,配管
11,排気手段
14,ヘリウム検出器
15,排気管
20,ヘリウムガス系統
21,キャリアガス系統
22,容器外部空間

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