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技術 高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物及び光学素子

出願人 富士ゼロックス株式会社
発明者 筒井浩明明石量磁郎
出願日 2002年12月18日 (18年2ヶ月経過) 出願番号 2002-366244
公開日 2004年7月15日 (16年7ヶ月経過) 公開番号 2004-196929
状態 特許登録済
技術分野 レンズ以外の光学要素 光の変調 光の可変吸収、エレクトロクロミック表示素子 光学要素・レンズ エレクロ、電気泳動、可変反射吸収素子 高分子組成物
主要キーワード 透過光量差 金属フイルム 親水性高分子ゲル 隔離部材 アクリル酸ユニット 回転式攪拌装置 内部液体 刺激応答性ゲル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年7月15日)のものです。
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図面 (5)

課題

刺激応答性高分子ゲル体積変化特性を維持し、刺激によって光学濃度が大きく変化することが可能な高分子ゲル固定用樹脂組成物高分子ゲル硬化性組成物高分子ゲル組成物、及び光学素子を提供すること。

解決手段

吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物であって、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を少なくとも含むことを特徴とする高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物、及び光学素子である。

概要

背景

近年、外界の変化に対応して光の透過量を可逆的に制御するような調光素子等の光学素子研究開発活発に行われている。このような光学素子はたとえば省エネ調光ガラスプライバシー調光ガラスや屋外広告案内板などの大面積表示素子として有用なものである。

概要

刺激応答性高分子ゲル体積変化特性を維持し、刺激によって光学濃度が大きく変化することが可能な高分子ゲル固定用樹脂組成物高分子ゲル硬化性組成物高分子ゲル組成物、及び光学素子を提供すること。吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物であって、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を少なくとも含むことを特徴とする高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物、及び光学素子である。

目的

本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、刺激応答性高分子ゲル、特に水素結合力の変化を利用して体積変化する刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性の顕著な低下を防止することが可能な、高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物、及びこれを用いた光学素子を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物であって、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を少なくとも含むことを特徴とする高分子ゲル固定用樹脂組成物。

請求項2

記架橋性高分子が、酸性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。

請求項3

前記酸性高分子がアクリル酸ユニットを含むことを特徴とする請求項2に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物

請求項4

前記架橋性高分子をその固形分で0.5〜15質量%と、水を45〜99.5質量%と、有機溶剤を0〜40質量%とを含んで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物

請求項5

前記有機溶剤が一価アルコールであることを特徴とする請求項4に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。

請求項6

pHが1.5以上7.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物と、吸脱液体と、前記吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルをと、を含んで構成することを特徴とする高分子ゲル硬化性組成物

請求項8

請求項7に記載の高分子ゲル硬化性組成物を、硬化させたことを特徴とする高分子ゲル組成物

請求項9

請求項7に記載の高分子ゲル硬化性組成物を、硬化させた高分子ゲル組成物を有することを特徴とする光学素子

請求項10

一対の基板間と、前記一対の基板間に、請求項7に記載の高分子ゲル硬化性組成物を封入し、硬化させた高分子ゲル組成物と、を備えることを特徴とする光学素子。

技術分野

0001

本発明は、外部刺激応答して液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを利用した高分子ゲル組成物に関するものであり、より詳細には、高分子ゲル固定用樹脂組成物高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物これを用いた光学素子に関するものである。

0002

近年、外界の変化に対応して光の透過量を可逆的に制御するような調光素子等の光学素子の研究開発活発に行われている。このような光学素子はたとえば省エネ調光ガラスプライバシー調光ガラスや屋外広告案内板などの大面積表示素子として有用なものである。

0003

このような光学素子としては、非イオン性界面活性剤やLCST(下限臨界共融温度)を有する高分子化合物溶液ガラスなどの基板中に封入したものが知られている(例えば、特許文献1−3)。これらの調光ガラスでは、内部に封入された界面活性剤や高分子が、温度の上昇に伴い、水溶液中から析出し、ガラス全面が白濁することによって光を遮光できることが述べられている。しかしながらこれらの光学素子では任意の色に着色することが困難であったり、透過率変化幅が小さいなどの問題があった。

0004

一方、本発明者らによって刺激応答性高分子ゲル隔離部材である樹脂中に分散した高分子ゲル組成物を利用した光学素子(特許文献4)が提案されており、熱や光、電流電場等の多様な刺激によって大きく光透過率を変化させることができる素子が実現されており、この光学素子も調光素子として使用できる。

0005

刺激応答性高分子ゲルを樹脂組成物中に分散した高分子ゲル組成物、あるいは、刺激応答性高分子ゲルを利用した光学素子は、使用する刺激応答性高分子ゲルを選択することにより、熱、光、電場等の多様な刺激に対して応答(すなわち、体積変化による光透過率の変化)することが可能である。また、前記光学素子を用いて、大面積化が容易で、低コストであり、且つ、光透過率の変化幅が大きい調光ガラスや調光フィルム表示装置を作製できる。

0006

一方、樹脂組成物中に刺激応答性高分子ゲルを分散させた場合、刺激応答性高分子ゲルが本来有する体積変化特性(体積変化量)は、ある程度低下する傾向にあるが、光学素子として利用する場合、体積変化量が多少低下しても実用上、特に問題とはならない。

0007

しかしながら、このような樹脂組成物中に刺激応答性高分子ゲルを分散させた高分子ゲル組成物を利用した光学素子においては、使用する刺激応答性高分子ゲルの種類により、十分な光学濃度変化(光透過率の変化幅)が得られなくなる程に、樹脂組成物中に分散させた刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性が顕著に低下する場合があった。

背景技術

0008

【特許文献1】
特開昭52−73957号公報
【特許文献2】
特開昭61−7948号公報
【特許文献3】
特開平05−181167号公報
【特許文献4】
特開平11−228850号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、刺激応答性高分子ゲル、特に水素結合力の変化を利用して体積変化する刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性の顕著な低下を防止することが可能な、高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物、及びこれを用いた光学素子を提供することにある。

0010

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、刺激応答性高分子ゲルを固定するための硬化性樹脂組成物に比較的高分子量架橋性高分子を利用することによって、刺激応答性高分子ゲルの特性を維持することができることを見出した。すなわち本発明は以下の構成からなる。

課題を解決するための手段

0011

(1)吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物であって、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を少なくとも含むことを特徴とする高分子ゲル固定用樹脂組成物。
(2)前記架橋性高分子が、酸性高分子であることを特徴とする前記(1)に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。
(3) 前記酸性高分子がアクリル酸ユニットを含むことを特徴とする前記(2)に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物
(4) 前記架橋性高分子をその固形分で0.5〜15質量%と、水を45〜99.5質量%と、有機溶剤を0〜40質量%とを含んで構成されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物
(5) 前記有機溶剤が一価アルコールであることを特徴とする前記(4)に記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。
(6) pHが1.5以上7.0以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載の高分子ゲル固定用樹脂組成物と、吸脱液体と、前記吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルをと、を含んで構成することを特徴とする高分子ゲル硬化性組成物。
(8) 前記(7)に記載の高分子ゲル硬化性組成物を、硬化させたことを特徴とする高分子ゲル組成物。
(9) 前記(7)に記載の高分子ゲル硬化性組成物を、硬化させた高分子ゲル組成物を有することを特徴とする光学素子。
(10) 一対の基板間と、前記一対の基板間に、前記(7)に記載の高分子ゲル硬化性組成物を封入し、硬化させた高分子ゲル組成物と、を備えることを特徴とする光学素子。

0012

以下、本発明を詳細に説明する。
(高分子ゲル組成物の基本的構成)
以下に、本発明に係わる高分子ゲル組成物の基本的構成について説明するが、本発明は、この基本的構成のみに限定されるものではない。図1は、本発明に係わる高分子ゲル組成物の構成例を示す模式断面図であり、具体的にはフィルム状に形成された高分子ゲル組成物の模式断面図を示したものである。

0013

図1において、符号1は、高分子ゲルを表し、符号2(符号2a及び符号2b)は、硬化後の高分子ゲル固定用樹脂組成物(以下、「硬化樹脂組成物」と略す場合がある)を表す。また、符号3は、高分子ゲル組成物を表し、高分子ゲル1、及び、硬化樹脂組成物2からなる。図1中、高分子ゲル1は、硬化樹脂組成物2中に分散した状態で固定されている。また、少なくとも、高分子ゲル1、及び、高分子ゲル1に隣接する領域の硬化樹脂組成物2aは、不図示の溶液を含んでおり、前記溶液は、高分子ゲル1内部の領域と、硬化樹脂組成物2aの領域と、の間で、その溶液組成が均一に保たれるように移動可能である。また、高分子ゲル1に隣接する領域以外の硬化樹脂組成物2bが、不図示の溶液を含んでいてもよい。なお、以下の本発明の説明において、少なくとも、高分子ゲル1及び硬化樹脂組成物2aの領域内に含まれる溶液を吸脱液体と称す場合がある。

0014

但し、高分子ゲル1及び硬化樹脂組成物2aの領域に存在する溶液と、硬化樹脂組成物2bの領域に存在する溶液と、が前者及び後者の領域間で相互に移動可能であり、実質的に同一の組成からなるものであってよく、前者及び後者の領域間で実質的に相互に移動不可能であり、実質的に同一あるいは異なる組成からなるものであってもよい。

0015

次に、図1に示す高分子ゲル組成物3中の高分子ゲル1が、膨潤状態から収縮状態、あるいは、収縮状態から膨潤状態、へと変化する場合について説明する。図2は、図1に示す高分子ゲル組成物中の高分子ゲルが膨潤及び収縮した状態を示した模式断面図であり、図2(a)は、高分子ゲルが膨潤した状態を表し、図2(b)は、高分子ゲルが収縮した状態を表す。

0016

高分子ゲル1の膨潤状態から収縮状態、あるいは、収縮状態から膨潤状態への体積変化は、高分子ゲル1への不図示の外部刺激の付与によって起こる。但し、この外部刺激は、熱、光、電場、磁場等の高分子ゲル1を体積変化させるための何らかのエネルギーであり、該エネルギーの種類は、高分子ゲル1の種類に応じて選択される。

0017

高分子ゲル1の膨潤状態から収縮状態への体積変化は、外部刺激が付与された際に高分子ゲル1内部に含まれる吸脱液体が、高分子ゲル1外部に放出することにより起こる。また、高分子ゲル1の収縮状態から膨潤状態への体積変化は、外部刺激が付与された際に、高分子ゲル1と隣接する領域の吸脱液体を吸収することによりことにより起こる。

0018

なお、本発明において、高分子ゲル組成物3は、高分子ゲル1を高分子ゲル固定用樹脂組成物中に分散させて高分子ゲル硬化性組成物を調製した後に、前記高分子ゲル固定用樹脂組成物を硬化させることにより作製されるものであるが、硬化樹脂組成物2は、高分子ゲル1を固定することができるように非流動性であることが必要である。但し、本発明において「高分子ゲルを固定する」とは、高分子ゲル1が、高分子ゲル組成物3中において、ほぼ一定の位置に固定された状態を意味する。

0019

また、「非流動性」とは、流動性が失われた状態であり、上記したように高分子ゲル1をほぼ一定の位置に安定して固定できる程度に流動性が失われた状態であれば特に限定されず、例えば硬化樹脂組成物2が、ゲル状や、多少のせん断力を加えても流動しない高粘度の液体(半固体)状態であってもよい。

0020

以下に本発明を、上記に説明した高分子ゲル組成物の基本的構成を前提として説明する。なお、以下の説明において図1及び図2の説明に用いた用語に付された符号は省略する場合がある。

0021

また、本発明において、高分子ゲル1を分散させ、硬化させることで、硬化樹脂組成物2と成り得るのが高分子ゲル固定用樹脂組成物であり、この高分子ゲル固定用樹脂組成物に、吸脱液体、及び高分子ゲルを含ませた液状の組成物が高分子ゲル硬化性組成物であり、この高分子ゲル硬化性組成物を硬化させたものが高分子ゲル組成物である。

0022

(高分子ゲル固定用樹脂組成物)
高分子ゲル固定用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある)は、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を少なくとも含む構成となっている。重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を含むことで、刺激応答性高分子ゲルの特性を維持することが可能となる。以下、架橋性高分子について説明する。

0023

架橋性高分子の重量平均分子量は、100,000以上であることが必要であが、好ましい範囲は1.0×105〜5×106であり、より好ましくは5×105〜2×106の範囲である。2.5×105よりも分子量が小さいと後述する刺激応答性高分子ゲルの応答性が悪くなる恐れがあり、5×106よりも大きくなると高分子の溶解性が悪くなり均一な溶液にすることが難しくなること、組成物の粘度が高まり加工性が低下するなどの問題が生じる。

0024

架橋性高分子は、光、電子線、中性子線等の放射線や熱によって硬化する性質をもつ材料を示す。また、硬化反応の効率の高さから架橋性官能基を分子中に有した材料が好ましく使用される。後述する天然高分子及び/又は合成高分子に、架橋結合の形成が可能な構造を有する高分子からなる誘導体(架橋性官能基)を導入したものが特に好ましく用いることができる。これらの中でも、酸性高分子であることが好ましく、特に、アクリル酸ユニットを含むものが、後述する刺激応答性高分子ゲルの体積変化量を維持する観点から好ましい。以下、架橋性高分子を具体的に説明する。

0025

前記天然高分子としては公知の天然高分子であれば特に限定されないが、例えば、アガロースアガロペクチンアミロースアルギン酸ナトリウムアルギン酸プロピレングリコールエステルイソリケナンインスリンエチルセルロースエチルヒドロキシエチルセルロースカードランカゼインカラギーナンカルボキシメチルセルロースカルボキシメチルデンプンカロース寒天キチンキトサン絹フィブロイン、クアーガムクインスシード、クラウンゴール多糖グリコーゲングルコマンナンケラタン硫酸ケラチン蛋白質コラーゲン酢酸セルロースジェランガムシゾフィランゼラチンゾウヤシマンナンツニシンデキストランデルマタン硫酸デンプントラガカントゴムニゲラン、ヒアルロン酸ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースプスツラン、フノラン、分解キシログルカンペクチンポルフィランメチルセルロースメチルデンプン、ラミナラン、リケナン、レンチナンローカストビーンガム等があげられる。
また、合成高分子としては公知の合成高分子であれば特に限定されないが、例えば親水性高分子としてはポリメタアクリル酸及びそのエステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド)、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリスチレンスルホン酸ポリビニルピリジンポリビニルピロリドンポリプロピレンオキシドポリエチレングリコール等のホモポリマーが挙げられる。但し、これらのホモポリマーの重合に用いられるモノマーを、2種以上含む共重合体を用いることもできる。これらのポリマー親水性高分子ゲルを用いる場合には好ましく使用される。本発明の説明では親水性高分子を中心に記述するが、上記以外にも疎水性の高分子ゲルを用いる場合にはポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートなどの疎水性高分子を用いることもできる。

0026

このような高分子としては、架橋結合の形成が可能な官能基を有するものであれば特に限定されないが、透明性、耐久性などの観点から、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が好ましく、特に好ましくはポリ(メタ)アクリル酸誘導体である。
なお、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル」なる記述は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味する。

0027

架橋性高分子は、これら架橋性官能基を有する高分子が親水性の場合、通常、水などの液体に溶解した状態で使用される。溶解するための液体は水が最も好ましいが、必要に応じて水と相溶可能な液体、例えば、有機溶剤などが挙げられる。この有機溶剤は、水と相溶可能なものであり、例えば、メタノールエタノールエチレングリコールプロピレングリコールグリセリンなどの低級アルコールアセトンメチルエチルケトンなどのケトン類、THF、1,4−ジオキサンジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類酢酸エチルなどのエステル類ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドジメチルスルホキシドアセトニトリル、等が挙げられる。これらのうち、特に後に述べる刺激応答性高分子ゲルの特性の観点から、メチルアルコールエチルアルコールプロピルアルコールブチルアルコールエチレングリコールモノエチルエーテルなどの一価アルコール類が好ましい。

0028

架橋性官能基としては通常の熱や光、電子線などを利用した化学反応によって高分子間に化学結合を作るものならば、特に限定されないが、好ましくはラジカル重合性ビニル基、(メタ)アクリロイル基シンナミル基スチバゾリル基などの不飽和二重結合基が挙げられ、これらはエステル化アミド化エーテル化等の反応によって前記の高分子中に導入することが可能である。これらの架橋性官能基は光ラジカル開始剤熱ラジカル開始剤等を利用することで光、電子線や熱などの付与によってラジカル反応樹脂組成物全体を硬化させることができる。なお、架橋性官能基はこれらのラジカル反応性置換基に限定されるものではなく、それ以外にもシンナミル基、スチバゾリル基などの官能基もラジカル開始剤がなくとも光二量化することで架橋構造を形成し硬化させることができる。さらには、エポキシ基メラミン基イソシアネート基等の官能基も適用可能であり、熱付与や触媒等の添加によって硬化することが可能である。

0029

架橋性高分子(例えば架橋性官能基を有する高分子)を液体に溶解した溶液(即ち、液状の樹脂組成物)は酸性溶液であることが好ましい。また架橋反応によって硬化させた後の硬化物内部の液性も一般に酸性であることが好ましい。溶液の液性を酸性にするために種々の添加物として酸性化合物を加えることができる。使用する酸性化合物としては、無機酸、有機酸、酸性高分子などが挙げられる。具体的には、塩酸硫酸リン酸しょう酸等の無機酸、酢酸プロピオン酸酪酸吉草酸安息香酸フェニル酢酸、アクリル酸、マレイン酸フマル酸ジメチル硫酸ジエチル硫酸p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の有機酸、酸性高分子としては高分子鎖中にカルボキシル基スルホン基などの酸性官能基を含む高分子、例えばポリビニルスルホン酸ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸ポリマレイン酸、ポリフマル酸、またこれらを少なくとも含む共重合体等が挙げられる。これらの中でも後に述べる刺激応答性高分子ゲルの特性や耐久性の観点から、さらに、塩酸、リン酸等の無機酸や酢酸などの有機酸、例示した酸性高分子が好ましい。さらに好ましくは、繰り返し単位中にカルボキシル基を含むポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体等が好ましく用いられる。

0030

樹脂組成物に対する酸性化合物の添加量は、高分子ゲルの膨潤状態における体積変化の繰り返し特性を維持するために必要な量以上であって、所望の高分子ゲルの体積変化量、相転移点になるようにさらに調整した量が好ましい。高分子ゲルの膨潤状態における体積変化特性維持するためには、樹脂組成物溶液のpHが1.5〜7.0の範囲、好ましくは2.0〜5.5の範囲、さらに好ましくは2.5〜4.0の範囲になることが好ましい。pHが、7.0よりも大きい場合、あるいは、1.5よりも小さい場合、使用する高分子ゲルの種類によっては十分な体積変化量が得られないことがある。また、酸性化合物の添加が高分子ゲルの体積変化量を抑制する場合もある。酸性化合物の添加量の好ましい範囲は、吸脱液体に対し、0.001〜50質量%、より好ましくは0.01〜30質量%の範囲内である。0.001%では酸性化合物のpH調整の効果が十分に得られず、また50質量%以上になると刺激応答性高分子ゲルの特性を抑制してしまう恐れがある。またpHを調製するために前記酸性化合物と塩基性化合物を混合することも好ましい。

0031

なお、前記相転移点とは熱や光等の何らかの外部刺激の付与により、刺激応答性高分子ゲルが膨潤状態から収縮状態へ、あるいは、収縮状態から膨潤状態へと体積変化する際の外部刺激の閾値を意味する。例えば、刺激応答性高分子ゲルが、温度変化に応答して体積変化する場合には、前記相転移点とは相転移温度を意味する。

0032

樹脂組成物は溶液として用いられるが、その組成として、例えば、上述のように、架橋性化合物、水、有機溶剤とを含む形態が好適に挙げられる。架橋性化合物は溶液中に架橋性高分子の固形分で0.5〜15質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。0.5質量%よりも固形分濃度が低くなると樹脂組成物の硬化性を十分に得ることが難しくなり、15質量%よりも固形分濃度が高くなると後述する刺激応答性高分子ゲルの体積変化量が十分に取れなくなる恐れがある。
また、水は45〜99.5質量%含むことが好ましく、より好ましくは、70〜95質量%である。有機溶剤は0〜40質量%含むことが好ましく、より好ましくは、0〜30質量%である。

0033

樹脂組成物は、上記の構成成分のほかに酸性度を調整する目的で塩基性化合物を添加しても良い。また、必要に応じて相溶性のある各種添加剤、たとえば、着色剤可塑剤、界面活性剤、安定剤、基板、UV吸収剤酸化防止剤抗菌剤防腐剤や基板との密着性を高めるためのカップリング剤塗工方法にあった粘度にするための粘度調整剤等を適宜、添加、配合することができる。

0034

(刺激応答性高分子ゲル)
本発明において使用することができる刺激応答性高分子ゲルについて説明する。刺激応答性高分子ゲル1は、pH変化、イオン濃度変化、化学物質吸脱着、溶媒組成の変化、又は光、熱、電流もしくは電界の付与等、刺激の付与によって、液体を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)するものであり、公知の刺激応答性ゲルを使用することができる。本発明において、刺激応答性高分子ゲル1の体積変化は、一方的なものでも可逆的なものであってもよい。但し、刺激応答性高分子ゲル1をセンサー等の光学素子や装飾品、省エネ用塗装膜等として用いる場合は、可逆的であるものが好ましい。以下に、本発明において使用することのできる刺激応答性高分子ゲル1の具体例を示す。 以下に親水性高分子ゲルを中心に例示する。

0035

pH変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。

0036

耐候性、耐久性の観点から、より、好ましくは、(メタ)アクリル酸の単独共重合体あるいはそれと他のモノマーとの共重合体の架橋物屋その塩であり、特に、 (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸などの共重合体の架橋物やその塩が、好ましい。

0037

pH変化としては、液体の電気分解や添加される化合物酸化還元反応などの電極反応、あるいは、導電性高分子の酸化還元反応、更には、pHを変化させる化学物質の添加によるものであることが好ましい。用途範囲の拡大、繰り返し性の観点から、より、好ましくは、添加される化合物の酸化還元反応や導電性高分子の酸化還元反応を利用することである。

0038

イオン濃度変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、前記したpH変化による刺激応答性高分子ゲルと同様なイオン性高分子材料が使用できる。また、イオン濃度変化としては、塩等の添加、イオン交換性樹脂の使用などによるものが好ましい。用途範囲の拡大、繰り返し性の観点から、より、好ましくは、イオン交換性樹脂の使用を使用することである。

0039

化学物質の吸脱着によって刺激応答する高分子ゲル1としては、イオン性高分子ゲルが好ましく、その例として、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物や(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられる。耐候性の観点から、ポリ(メタ)アクリル酸の誘導体の架橋物が好ましい。

0040

この場合、化学物質としては、界面活性剤、例えば、n−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩フェニルアンモニウム塩テトラフェニルホスフォニウムクライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤を使用することができる

0041

溶媒組成の変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、一般にほとんどの高分子ゲルが挙げられ、その高分子ゲルの良溶媒貧溶媒とを利用することで膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。

0042

電流もしくは電界の付与によって、刺激応答する高分子ゲル1としては、カチオン性高分子ゲル電子受容性化合物とのCT錯体電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルアミノスチレンの架橋物、(メタ)アクリル酸及びその塩などの共重合体の架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子及び、(メタ)アクリル酸及びその塩などの共重合体は好ましい。

0043

耐候性及び応答性の観点から、より、好ましくは、(メタ)アクリル酸及びその塩の共重合体の架橋物、またポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子も好ましく使用される。
これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレンクロラニルトリニトロベンゼン無水マレイン酸ヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。

0044

光の付与によって刺激応答する高分子ゲル1としては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する置換基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。

0045

応答性の観点から、より、好ましくは、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物である。

0046

熱応答性高分子ゲルとしては、ある温度以上で疎水性相互作用によって凝集し水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、及びUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN相互侵入網目構造体)、結晶性などの凝集性の側鎖を持つ高分子ゲルなどが好ましい。

0047

上記のなかで特に本発明に使用される刺激応答性高分子ゲルは水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルであることが特に好ましい。
なお「水素結合力の変化」とは、具体的には、刺激応答性高分子ゲル内の水素結合の形成/解離を意味するものである。

0048

上記したような水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルとしては、水素結合力の変化を利用するものであれば特に限定されないが、少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲル(相互侵入網目構造体)や、少なくとも水素結合性基を有する高分子や、互いに水素結合するモノマーユニットをもつブロック共重合体ゲルなどが好ましい。これら水素結合力の変化を利用したポリマーは一般に水中や水と有機溶剤の混合溶媒中において低温で析出し高温で溶解するという特性(UCST:上限臨界溶液温度)をもつものが多い。

0049

水素結合性基を有する高分子としては、繰り返し単位中に、スルホン酸基リン酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基アミド基エステル基エチレンオキシド等を含むものである。例示すれば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基などを含むポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸等の酸性高分子、アミノ基を有するポリビニルアミンポリエチレンイミン、ポリ−L−リシン、ポリ(N−アルキル−4−ビニルピリジニウムクロライド)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、アミド基を有するポリ(メタ)アクリルアミドやポリアクリロイルグリシンアミドやその誘導体、その他ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドや、これらを含む共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0050

少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和物、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリマレイン酸などの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリフマル酸なの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリフマル酸なの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0051

少なくとも水素結合性基を有する高分子のブロック共重合体ゲルの具体例としては、少なくともポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体からなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリマレイン酸を含む共重合体からなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリフマル酸を含む共重合体からなる架橋体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0052

また、結晶性ゲルとしては、オクチル基、デシル基ラウリル基ステアリル基等の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩があげられる。

0053

LCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体であるLCSTゲルは、高温において収縮し、UCSTゲル、IPNゲル及び結晶性ゲルでは、逆に高温で膨潤する特性をもっている。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどの〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が、耐候性,体積変化特性の観点から、好ましくは、例えば、 N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩の架橋体であり、中でも、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が好ましく、特に、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドは好ましい。

0054

この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)としては、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は−30〜300℃の範囲から選択され、中でも、−20〜150℃の範囲が好ましく、特に、好ましくは−5〜80℃の範囲である。

0055

高分子ゲルとしては、上記例示した具体例の他に、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好適に使用することができる。具体的に例示すると、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのポリアルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体、などがあげられる。耐候性,の観点から、例えば、アクリル酸系誘導体重合体の架橋体のIPN体が好ましく、特に、好ましくは、ポリN−イソプロピルアクリルアミドの架橋体とポリアクリル酸の架橋体のIPN体である。これらのゲルは、温度上昇に伴い膨潤−収縮−膨潤という2つの相転移点を示すことが知られている。

0056

また、熱応答性高分子ゲルの体積変化量を増大させる目的で、イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましく実施できる。イオン性官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基りん酸基などがあげられ、耐候性、耐久の観点から、中でも、 カルボン酸、スルホン酸が好ましく、特に、カルボン酸が好ましい。イオン性官能基は、高分子ゲルを調製する際にこれら官能基をもつモノマーを共重合する方法、合成後の高分子ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする方法、前記高分子ゲル中の官能基を部分的に加水分解酸化反応などの化学反応によって変換する方法などが好ましく実施できるが、製造性の観点から、中でも、共重合する方法やIPN体とする方法が好ましく、特に、共重合する方法が好ましい。

0057

刺激応答性高分子ゲルの体積変化量は、特に限定されないが、高いほうが光学濃度変化の観点から好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比が、3以上、中でも5以上が好ましく、特に15以上が好ましい。また、本発明の刺激応答性高分子ゲルの体積変化は、可逆的であるものでも不可逆的であるものでもよいが、調光素子や表示素子、センサーなどの光学素子や装飾品として利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。

0058

高分子ゲル中にはその特性を損なわない範囲で、紫外線吸収剤光安定剤等、種々の安定剤を共重合あるいは結合させることが可能である。例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の化合物や光安定化機能を持つ化合物などを共重合あるいは結合することが好ましく実施できる。これらの化合物の共重合量あるいは結合量は、高分子ゲルに対して0.01質量%〜5質量%の範囲が好ましく、中でも、0.01〜2質量%が好ましく、特に、0.05〜1質量%が好ましい。

0059

また、本発明では、刺激応答性高分子ゲルの形態は、特に限定されないが、刺激応答特性を考慮すると、粒子の形態として使用することが特に好ましい。その粒子の形態も特に限定されないが、球体楕円体多面体多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などの形態のものを使用することができる。

0060

本発明において用いられる刺激応答性高分子ゲルは、乾燥状態平均粒径が0.01μm〜5mmの範囲、中でも、0.01μm〜3mmの範囲、特に、0.01μm〜1mmの範囲の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満となると、光学的な特性を得ることができなくなり、凝集等を起こしやすくなり、かつ、使用する場合にその扱いが困難となる。一方、5mmを超えると、応答速度が遅くなってしまう問題が生じる。

0061

これらの高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲル粒子を製造することも可能である。これらの方法は、目的用途に応じて種々適宜選択することができる。

0062

刺激応答性高分子ゲルは、それ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光性能を示すが、より大きな調光特性色変化発現するためは、刺激応答性高分子ゲルが調光用材料を含むことが好ましい。

0063

−調光用材料−
高分子ゲル組成物を、表示素子もしくは調光素子等に用いる場合には、これらの高分子ゲルに調光用材料を添加することが好ましい。添加する調光用材料としては、染料顔料などの色材光散乱材などが挙げられ、高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。

0064

調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は刺激応答性高分子ゲルの内部及び/又は表面に物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。染料の好適な具体例としては、例えば、黒色ニグロシン系染料や赤、緑、青、シアンマゼンタイエローなどのカラー染料であるアゾ染料アントラキノン系染料インジゴ系染料フタロシアニン系染料カルボニウム染料キノンイミン染料、メチン染料キノリン染料ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。

0065

また、染料を高分子ゲルに固定するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3質量%から50質量%の範囲であり、特に好ましくは5質量%から30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。

0066

一方、顔料及び光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉チタンブラック、各種カーボンブラックチャネルブラックファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタンシリカなどの金属酸化物炭酸カルシウム金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料ベンジジン系のイエロー顔料ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。

0067

例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。

0068

例えば、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物レーキ顔料ナフトール化合物ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。

0069

例えば、シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。

0070

また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。粒径が0.01μm以下では、高分子ゲル中に含まれる顔料や光散乱材の流出が起こりやすくなる場合があり、0.5μm以上では発色特性が悪くなる場合がある。

0071

上記したような高分子ゲル中に含まれる顔料や光散乱材の流出は、確実に防止されることが好ましい。そのためには、高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子ゲルの網目構造中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。

0072

例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基不対電子ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料グラフト結合したものなどが挙げられる。

0073

このような調光用材料の添加量としては、高分子ゲルの乾燥時又は収縮時に、飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる量を添加することが好ましい。ここで、飽和吸収(あるいは飽和散乱)濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れる領域のことを示す。高分子ゲル1に、前記濃度以上となるように調光用材料を添加することによって、高分子ゲル1が膨潤・収縮を起こし、その結果光学濃度及び/又は散乱を変化させることができる。

0074

飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる調光用材料の濃度は、一般に3質量%以上であり、中でも、3質量%〜95質量%の範囲を高分子ゲルに添加することが好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲であり、特に好ましくは、10質量%〜50質量%の範囲である。3質量%未満となると、調光用材料を添加した効果が十分に得られず、95質量%を超えると、高分子ゲルの特性が低下してしまう恐れがある。

0075

(高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物及びその作製方法
高分子ゲル硬化性組成物は、上記高分子ゲル固定用樹脂組成物に、刺激応答性高分子ゲルを分散させたものであり、この高分子ゲル硬化性組成物を、光、電子線、放射線や熱などの架橋性高分子を架橋させる硬化方法を用いて硬化させることにより、高分子ゲル組成物を作製することができる。このような作製方法を経ることにより、前記高分子ゲル硬化性組成物の高分子ゲル固定用樹脂組成物部分(架橋性高分子)が硬化し、流動性を失うことにより刺激応答性高分子ゲルが高分子ゲル硬化組成物中に固定される。なお、前記高分子ゲル組成物の形状は特に限定されないが、光学素子として利用するにはフイルム状であることが好ましい。

0076

これらの高分子ゲル組成物は、少なくとも上記したように作製されるものであれば、その作製方法は特に限定されないが、具体的には以下に示すように作製することができる。まず、高分子ゲル固定用樹脂組成物中に、刺激応答性高分子ゲルを分散させた高分子ゲル硬化性組成物を調整する。次に、この高分子ゲル硬化性組成物を基材(基板)上に塗布あるいは少なくとも2枚の基板間により形成された空間に注入することにより形成された層状の高分子ゲル硬化性組成物を熱、光、電子線や放射線などの硬化方法を用いて硬化することにより刺激応答性高分子ゲルが硬化樹脂組成物中に固定された高分子ゲル組成物を得ることができる。

0077

なお、前記硬化方法としては、光や電子線等の放射線を照射する方法が、前記塗布層中に含まれる液体を蒸発させることなく短時間で硬化可能なため特に好ましい。また、微粒子状の刺激応答性高分子ゲルを用いる場合には、分散液に界面活性剤等の分散剤を添加し、前記刺激応答性高分子ゲルを前記分散液中に良く分散させておくことが好ましい。

0078

基板間に高分子ゲル硬化性組成物を注入し、高分子ゲル固定用樹脂組成物を硬化させる方法によって高分子ゲル組成物を作成する場合には、スペーサーを利用して基板間の厚みを保持しておくことが好ましい。スペーサーとしてはガラスビーズポリスチレンビーズなどの粒子、又は基板上に配置された凹凸部などを用いることができる。基板上の凹凸は例えば、基板上に硬化性の樹脂を印刷、硬化させることなどによって作製することができる。

0079

高分子ゲル硬化性組成物の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ロールコーティング法、グラビアコーティング法キャストコーティング法スプレーコーティング法リバースコーティング法ディップコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコーティング法などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。

0080

高分子ゲル組成物中に含まれる高分子ゲル固定用樹脂組成物と刺激応答性高分子ゲルとの組成比はその質量比[(高分子ゲル固定用樹脂組成物+液体)/(刺激応答性高分子ゲル+液体)]で、1/30〜30/1の範囲内であることが好ましい。さらに、前記質量比は、1/10〜1/1の範囲内がより好ましい。なお、前記質量比を表す式中の「液体」とは、高分子ゲル組成物中に含まれる全ての液体を意味する。1/30以下になると所望の光学特性が得られない恐れがあり、30/1以上になると高分子ゲル組成物の物理的強度が得られないことがある。

0081

(高分子ゲル組成物の具体的構成・動作)
上記したような高分子ゲル組成物の具体的な構成の一例について、既述した図1を利用して以下に説明する。図1に示したようなフィルム状に形成された高分子ゲル組成物3の厚みは特に限定されないが、1μm〜3mmの範囲内が好ましく、20μm〜1000μmの範囲内がより好ましい。厚みが、1μmよりも薄くなると機械的な強度が弱くなる場合や、厚み方向の光路長が短いために所望の光学濃度が得られないなどの問題が生じる場合があり、3mmよりも厚くなると高分子ゲル組成物3中に含まれる刺激応答性高分子ゲル1の応答性が悪くなる場合や、刺激応答性高分子ゲル1が厚み方向に必要以上に積層してしまい、十分な透過率が得られないなどの問題が生じる場合がある。
また、フィルム状に形成した高分子ゲル組成物の表面には、その目的に応じてさらに保護層、紫外線吸収層蒸発防止層などを設けることができる。

0082

次に、高分子ゲル組成物の動作について、図2を用いて説明する。既述したように高分子ゲル組成物3は、硬化樹脂組成物2中の刺激応答性高分子ゲル1が、外部刺激によって、不図示の吸脱液体を吸収・放出し、図2(a)に例示するように膨潤し、あるいは、図2(b)に例示するように収縮して、体積変化を引き起こすことができる。そしてこの際の体積変化に応じて、光の透過性等が、散乱や回折によって変化する。

0083

また、刺激応答性高分子ゲル1に、飽和吸収濃度又は飽和散乱濃度以上の調光用材料を含有させた場合は、刺激応答性高分子ゲル1の体積変化に応じて光の吸収効率が変化し、光学濃度を変化させることができる。具体的には高分子ゲル1の膨潤時には光学濃度が高くなり、収縮時には光学濃度が低くなる。

0084

上記に示したような光学的特性を有する本発明に係わる高分子ゲル組成物は、調光素子、表示素子などの光学素子として利用することができる。

0085

高分子ゲル組成物は、図1に示したようなフイルム状以外にも、繊維状など様々な構造体として利用することができる。特にフイルム状の高分子ゲル組成物を利用する場合には、種々のフイルム基材(基板)上あるいは複数枚のフイルム基材(基板)間に高分子ゲル組成物を特定の厚みで形成することで、安定かつ耐久性に優れる調光フイルムを得ることができる。以下に、本発明の光学素子の具体例について図を用いて説明する。

0086

図3は、本発明の光学素子の一例を示す模式断面図であり、具体的にはフィルム状の高分子ゲル組成物を2枚の基材(基板)間に挟持した光学素子の模式断面図を示したものである。図4は、本発明の光学素子の他の例を示す模式断面図であり、図3に示す光学素子の端面を封止材により封止した構成を有する光学素子の模式断面図を示したものである。

0087

図3及び4中、1〜3は、図1及び図2中と同様であり、4及び4’は、基材(基板)を表し、10及び20は、光学素子(調光フィルム)を表す。また、図4中、5は封止材を表す。

0088

基材4、4’としては、例えばガラスなどの透明基板を用いることができるが、可とう性のあるフイルム基板を用いた場合には、可とう性のある光学素子(調光フィルム)10及び20を得ることができる。なお、基材4、4’上には保護層、吸脱液体の蒸発防止層など他の構成層が形成させていても構わない。なお、図4に示す封止材5は、必要に応じて設けることが好ましいが、図3に示す光学素子10のように、封止材5を有さないものであってもよい。

0090

本発明の高分子ゲル組成物をフイルム状にして用いる場合の基材となるフイルム基材としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂、金属フイルムなどが使用できる。図3及び図4に示す光学素子10及び20において、基材4、4’の厚みは、10μm〜10mmの範囲内から選択され、高分子ゲル組成物3の厚みは5μm〜10mmの範囲から選択されることが好ましい。

0091

なお、基材4あるいは基材4’の少なくともいずれか一方は光学的に透明であることが必要である。また、光学素子10及び20が、透過型光学素子である場合には、基材4及び基材4’は透明であるこが好ましい。基材4、4’の厚みや大きさは、特に限定されないが、光学素子10や光学素子20を用いて作製される表示素子のサイズに合わせて様々なものが利用でき、厚みに関しては、10μmから20mmの範囲内が好ましい。

0092

本発明の光学素子は、例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に既述したような外部刺激を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル窒化タンタル酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。またその他にも、光付与の場合は、レーザーLED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル電極等を設けることで実現できる。

0093

また、前記した熱刺激付与手段はパターン化セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して特定の特性を有する高分子ゲルを分散させた高分子ゲル組成物を配置することも好ましく実施される。

0094

また、本発明の光学素子は、図3図4に示した構成のみに限定されるものではなく、図3図4に示す高分子ゲル組成物3や基材4、4’以外の様々な構成を有してもよい。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、反射防止層、紫外線吸収層、帯電防止層内部液体の蒸発防止層などを必要に応じて設けることができる。

0095

以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で、様々な変形や変更が可能である。

0096

【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。

0097

[実施例]
(高分子ゲル固定用樹脂組成物の調製)
表1に示した種々の分子量を有するポリアクリル酸の30wt%水溶液、20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この溶液に対して光開始剤(チバスシャリティケミカルイルガキュア2959)を0.8gと純水60gとを加え、樹脂組成物Aを調製した。このときの樹脂組成物のpHは約2.2であった。この樹脂組成物を、ガラス基板間に100μmの厚さに保持したものを調整し、紫外線を照射(高圧水銀灯、160W/cm,150sec,照射距離40cm)ところ、樹脂組成物全体がゲル化し自己保持製のある硬化物が得られた。

0098

なお、重量平均分子量1,250,000のポリアクリル酸を用いた場合のみ30wt%の水溶液を作ることは溶解度の点で困難であったため、5wt%の水溶液を用いて上記と同様の反応により、樹脂組成物全体がゲル化し自己保持製のある硬化物を得た。

0099

刺激応答性高分子ゲル粒子の作製)
色材を含有した刺激応答性(高温膨潤型)高分子ゲルの粒子を、以下のようなプロセスにより製造した。

0100

アクリルアミド1.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド1.0mg、蒸留水0.575g、色材としての青色顔料(大日本インキ社製:マイクロカプセル化青色顔料、MC blue 182−E)13.5質量%の水分散液3.425g、を攪拌混合した水溶液Bを調製した。

0101

ソルビトール系界面活性剤(ソルゲン50:第一工業製薬(株)製)2.375gをトルエン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させ、懸濁液Bを得た。得られた懸濁液Bをフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加し、70℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて、色材を含有したアクリルアミドゲルの粒子を得た。

0102

次に、アクリル酸1.5g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.0015g、及び蒸留水5.5gを混合し、窒素置換後、これに過硫酸アンモニウム0.006gを水0.5gに溶解したものを添加し、混合液を得た。この混合液に上記得られたアクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて70℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲル粒子を調製した。

0103

得られたIPN高分子ゲル粒子(アクリル酸−アクリルアミド相互侵入網目構造体ゲル粒子)を大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行いゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。得られたIPN高分子ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は、約15μmであった。このIPN高分子ゲル粒子を、大量の純水に加えて膨潤させた。このIPN高分子ゲル粒子の10℃における平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約80g/gの吸水量を示すことがわかった。この相転移点は30−40℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であり、収縮時に比べ膨潤時の高分子ゲル粒子の粒子径が約3倍まで変化し、すなわち、体積で約27倍の変化が得られた。

0104

(分散液(高分子ゲル硬化性組成物)の調製)
先に作製した樹脂組成物を所定濃度にて蒸留水/メタノール=7/3(質量比)になるよう希釈したものそれぞれ10gに対し、先に作製した刺激応答性高分子ゲル粒子を一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度2.5%)10mlを加え、さらに水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pH3.8になるように調製した。この分散液を遊星式攪拌機(紡績(株)製KK−100)で10分間分散して高分子ゲル粒子を溶液中に均一に分散した。また有機溶剤の効果を見るために蒸留水/メタノール=3/7となるように希釈した溶液でも同様の操作により分散液を調整した。

0105

(高分子ゲル組成物の作製)
各分散液ブレードコーターを用いてPET基板上に厚さ150μmに成形し、もう一枚のPETフイルムラミネートした。紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、照射距離20cm,120秒間照射)によって硬化した。さらに周囲を熱可塑性感光性のアクリル系接着剤日本化薬製KAYARADR381I)で周囲を封止し、高分子ゲル組成物を作製した。

0106

機能評価
作製した高分子ゲル組成物の温度変化による可視光透過率変化幅と膨潤時、収縮時の体積変化量を測定した。顕微鏡観察による内部ゲル粒子が刺激応答した時の膨潤時と収縮時の体積変化量、発色時と消色時における可視光線(400〜800nmの平均)の透過光量差((収縮時の可視光線透過率)−(膨潤時の可視光線透過率)。結果を表1に示した。なお可視光線透過率は実施例、及び比較例と同じ基板をPET基板を刺激応答性高分子ゲルを含まない状態のものを参照として用いた。

0107

【表1】

0108

表1の結果から、実施例1〜6に示したように、重量平均分子量が本発明の範囲にある樹脂組成物を用いた場合、刺激応答性高分子ゲルは樹脂組成物中への分散、硬化の後でもその体積変化特性を維持しており、高分子ゲル組成物全体の透過率変化幅も40%以上と大きいことがわかる。また、樹脂中の高分子(ポリアクリル酸濃度)を上げた場合(実施例2、6)には、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性が若干ではあるが、十分な透過率変化量であるが実施例1と比べて低下していることがわかる。一方、重量平均分子量が本発明の樹脂組成物よりも小さい樹脂組成物を用いた場合には(比較例1、2)硬化後の高分子ゲル組成物中で、刺激応答性ゲルは収縮したままの状態となり、温度変化による体積変化特性をほとんど示さず、透過率変化幅は非常に小さいことがわかる。

発明を実施するための最良の形態

0109

これらの結果は、高分子ゲル固定用樹脂組成物における架橋性高分子として、重量平均分子量が高いものを用いることで、当該樹脂組成物中でも刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を損なうことがなく、優れた調光性能を維持できることを示している。

図面の簡単な説明

0110

以上、本発明によれば、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を維持し、刺激によって光学濃度が大きく変化することが可能な高分子ゲル固定用樹脂組成物、高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物、及び光学素子を提供することができる。

図1
本発明に係わる高分子ゲル組成物の構成例を示す模式断面図である。
図2
図1に示す高分子ゲル組成物中の高分子ゲルが膨潤及び収縮した状態を示した模式断面図であり(a)は、高分子ゲルが膨潤した状態を表し、(b)は、高分子ゲルが収縮した状態を表す。
図3
本発明の光学素子の一例を示す模式断面図である。
図4
本発明の光学素子の他の例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 高分子ゲル
2硬化樹脂組成物
3 高分子ゲル組成物
4基材
5封止材
10、20 光学素子(調光フィルム)

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