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課題

標的のポリヌクレオチド配列中に含まれる多型部位塩基配列を迅速、かつ簡便に決定する方法の提供。

解決手段

1.核酸試料標的配列ハイブリダイズし該配列の多型部位と相補的な配列を末端に有する第一のプローブ、並びに第一のプローブと末端同士が隣接して前記多型部位に隣接した配列にハイブリダイズする第二のプローブを含み、かつ第一、または第二のプローブのどちらか一方または両方が蛍光標識されている複数のプローブと核酸試料とをハイブリダイゼーションさせる工程と、2.前記標的配列とハイブリダイゼーションした前記第一、および第二のプローブをライゲーション反応させる工程と、3.前記ライゲーション反応生成物を標的配列から解離させる工程と、4.蛍光標識した前記第一及び前記第二のプローブの蛍光強度揺らぎを検出し、蛍光分光分析法によりライゲーションの有無を判定することによって標的配列を決定する方法を提供する。

概要

背景

近年のゲノムサイエンス進展により、特定の疾病と遺伝子の多型との関連が急速に明らかになりつつあり、遺伝子の多型分析は、遺伝的疾患診断する上で極めて有用となるものと期待されている。ヒトの場合、各個体のゲノムDNAの同一性は99%を超え、ヒトの多型遺伝子には、ごく僅かな塩基配列相違が存在するにすぎないため、ヒトの多型分析としては、単ヌクレオチド多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)の分析が特に注目されている。現在、遺伝子の多型分析法としては、血清学的な方法とDNAを使用した方法が主に使用されているが、後者は前者に比べて判定に試験者熟練を要さず、検査工程の自動化が可能であるという利点を有している。このようなDNAを使用した代表的な方法として、プライマーエクステンション法、およびライゲーション方法がよく知られている。プライマーエクステンション法は、標的ヌクレオチドに隣接する部分にプライマーをハイブリダイゼーションさせた後、PCR増幅を行って増幅産物の有無を検出する方法である。この手法の詳細は、特許文献1に記載されている。しかし、この方法の欠点として、プローブを設計することが容易でないことが挙げられる。すなわち、標的部分にのみ特異的に結合し、それ以外では反応が起きないようなプローブの設計が困難なことである。

概要

標的のポリヌクレオチド配列中に含まれる多型部位の塩基配列を迅速、かつ簡便に決定する方法の提供。1.核酸試料標的配列ハイブリダイズし該配列の多型部位と相補的な配列を末端に有する第一のプローブ、並びに第一のプローブと末端同士が隣接して前記多型部位に隣接した配列にハイブリダイズする第二のプローブを含み、かつ第一、または第二のプローブのどちらか一方または両方が蛍光標識されている複数のプローブと核酸試料とをハイブリダイゼーションさせる工程と、2.前記標的配列とハイブリダイゼーションした前記第一、および第二のプローブをライゲーション反応させる工程と、3.前記ライゲーション反応生成物を標的配列から解離させる工程と、4.蛍光標識した前記第一及び前記第二のプローブの蛍光強度揺らぎを検出し、蛍光分光分析法によりライゲーションの有無を判定することによって標的配列を決定する方法を提供する。

目的

記事情に鑑み、本発明の目的は、標的のポリヌクレオチド配列(最も典型的には多型遺伝子)中に含まれる多型部位の塩基配列(多型)を迅速、かつ簡便に決定する方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

核酸試料における標的配列多型を検出するための方法であって、1.前記核酸試料の標的配列に特異的にハイブリダイズ可能で且つ前記標的配列の多型部位相補的な配列を末端に有する第一のプローブ、並びに前記多型部位に隣接した配列とハイブリダイズ可能で且つ前記第一のプローブと末端同士が隣接してハイブリダイズする第二のプローブを含み、かつ前記第一のプローブと前記第二のプローブのどちらか一方または両方が蛍光標識されている複数のプローブと、前記核酸試料とをハイブリダイゼーションさせる工程と、2.前記標的配列とハイブリダイゼーションした前記第一、および第二のプローブをライゲーション反応させる工程と、3.前記ライゲーション反応生成物を標的配列から解離させる工程と、4.前記第一の蛍光標識プローブ、および前記第二の蛍光標識プローブの蛍光強度揺らぎを検出する工程と、を含み、前記検出結果に基づいて蛍光分光分析法を使用してライゲーションの有無を判定することによって標的配列を決定する方法。

請求項2

請求項1に記載の方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのいずれか一方が蛍光標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は自己相関関数を用いた方法。

請求項3

請求項1に記載の方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのそれぞれが異なる蛍光色素で標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は相互相関関数を用いた方法。

請求項4

請求項1に記載の方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのそれぞれが同じ蛍光色素で標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は自己相関関数または蛍光強度ヒストグラム解析法を用いた方法。

請求項5

請求項3に記載の方法であって、4種類以上の異なる蛍光色素のうち2つを組み合わせることにより、一度に複数の多型検出を行うことを特徴とする方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、さらに前記標的配列の多型部位にハイブリダイズ可能な第三のプローブをハイブリダイズさせ、前記第一のプローブは、前記第三のプローブの末端に隣接した部位にハイブリダイズ可能であり、前記第二のプローブは、前記第一のプローブと逆側の末端で前記第三のプローブに隣接した部位にハイブリダイズ可能である方法。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法であって、前記プローブの5'末端塩基が、ピリミジンの5位に置換ビニル基を有するピリミジン塩基であり、かつ前記ライゲーション反応が、光反応によるライゲーション反応である方法。

技術分野

0001

本発明は、核酸試料中の多型配列を決定するための方法に関する。

0002

近年のゲノムサイエンス進展により、特定の疾病と遺伝子の多型との関連が急速に明らかになりつつあり、遺伝子の多型分析は、遺伝的疾患診断する上で極めて有用となるものと期待されている。ヒトの場合、各個体のゲノムDNAの同一性は99%を超え、ヒトの多型遺伝子には、ごく僅かな塩基配列相違が存在するにすぎないため、ヒトの多型分析としては、単ヌクレオチド多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)の分析が特に注目されている。現在、遺伝子の多型分析法としては、血清学的な方法とDNAを使用した方法が主に使用されているが、後者は前者に比べて判定に試験者熟練を要さず、検査工程の自動化が可能であるという利点を有している。このようなDNAを使用した代表的な方法として、プライマーエクステンション法、およびライゲーション方法がよく知られている。プライマーエクステンション法は、標的ヌクレオチドに隣接する部分にプライマーをハイブリダイゼーションさせた後、PCR増幅を行って増幅産物の有無を検出する方法である。この手法の詳細は、特許文献1に記載されている。しかし、この方法の欠点として、プローブを設計することが容易でないことが挙げられる。すなわち、標的部分にのみ特異的に結合し、それ以外では反応が起きないようなプローブの設計が困難なことである。

0003

一方、ライゲーション法は、二種のプローブを使用し、第1のプローブを標的のヌクレオチドに直ちに隣接する部分にハイブリダイゼーションさせるとともに、第2のプローブを、標的のヌクレオチドを含み、かつ第一のプローブとは反対側へ伸びる部分にハイブリダイゼーションさせた後、ライゲーション反応を行う。その結果、二つのプローブが連結された合成ポリヌクレオチドが生成されたかどうかを検出する方法である(この方法の詳細は、特許文献2、3、4に記載されている)。ライゲーション検出の方法としては、放射線を使用する方法、および酵素標識を使用する方法が知られている(これらの方法については、上述の特許文献2、3、4に記述されている)。また、ライゲーション法の変形として、3種のプローブを使用して特異性を高める方法も提案されている(特許文献5を参照)。これらのライゲーション法では、複数のプローブを使用するために、特異性を高めるための設計が比較的容易であるといった利点を有する反面、ライゲーション検出の方法に関しては、多くの障害がある。たとえば、放射線を使用した検出方法は、放射線の取扱いが非常に困難であり、また、標識酵素を使用した比色測定では、結合に関与しなかった遊離のプローブを分離(BF分離)する必要がある。このため、ライゲーション検出過程が障害となり、ライゲーション法による多型分析の自動化が遅れ要因になっている。

0004

このような欠点を解消するために、全ての測定を溶液中で行うことが可能で、BF分離が不要な新しい方法として、FRET(蛍光共鳴エネルギー移転)を使用したライゲーション法も提案されている。この方法は、波長特性オーバーラップした2つの蛍光色素を使用し、両者が非常に近距離に存在する場合にはエネルギー移動が起こり、蛍光波長が変化することを利用した方法である(特許文献6,7において、これらの方法が紹介されている)。

0005

しかし、FRETを使用したライゲーション法では、エネルギー移転が起こる距離に二つの蛍光色素を配置しなければならないため、位置的・構造的な制限があるとともに、使用できる蛍光色素の波長特性についても、エネルギー移転が可能な組合せを選ばなければならないなど、種々の制限が多いといった欠点を有している。

0006

したがって、これら従来法の欠点を解消し、分析過程が簡単で、かつ自由度の高い蛍光色素の標識に対応する分析法の開発、およびこのような分析法を使用した自動分析装置の開発が望まれている。

0007

【特許文献1】
特許第2853864号明細書

0008

【特許文献2】
米国特許第4,883,750号明細書

0009

【特許文献3】
米国特許第4,988,617号明細書

0010

【特許文献4】
米国特許第5,242,794号明細書

0011

【特許文献5】
仏国特許第2,747,396号明細書

0012

【特許文献6】
米国特許第5,945,283号明細書

0013

【特許文献7】
米国特許第6,177,249号明細書

背景技術

0014

非特許文献1】
L.M.Skobeltsyna et.al.、Development of a Colorimetric Test System for Detection of Point Mutations via Ligation of a Tandem of Short Oligonucleotides on Methacrylate Beads.、“Molecular Biology”、2000年、34巻、p.321-327

発明が解決しようとする課題

0015

記事情に鑑み、本発明の目的は、標的のポリヌクレオチド配列(最も典型的には多型遺伝子)中に含まれる多型部位の塩基配列(多型)を迅速、かつ簡便に決定する方法を提供することにある。

0016

本発明者は、鋭意研究を行った結果、上述のライゲーション法による多型分析において蛍光相関分光分析法を応用することにより、迅速、かつ簡便に多型部位の塩基配列を決定し得る新しい方法(系)の開発に成功し、本発明を完成させるに至った。

0017

本発明は、複数の核酸プローブを用い多型部分を含む標的部分に特異的に結合させるとともに、ライゲーション反応によりこれらのプローブを相互に連結し、連結されたプローブの反応物の有無を揺らぎ解析に基づく蛍光分光分析法により検出するものである。

0018

すなわち、本発明は、核酸試料における標的配列の多型を検出するための方法であって、
1.前記核酸試料の標的配列に特異的にハイブリダイズ可能で且つ前記標的配列の多型部位と相補的な配列を末端に有する第一のプローブ、並びに前記多型部位に隣接した配列とハイブリダイズ可能で且つ前記第一のプローブと末端同士が隣接してハイブリダイズする第二のプローブを含み、かつ前記第一のプローブと前記第二のプローブのどちらか一方または両方が蛍光標識されている複数のプローブと、前記核酸試料とをハイブリダイゼーションさせる工程と、
2.前記標的配列とハイブリダイゼーションした前記第一、および第二のプローブをライゲーション反応させる工程と、
3.前記ライゲーション反応生成物を標的配列から解離させる工程と、
4.前記第一の蛍光標識プローブ、および前記第二の蛍光標識プローブの蛍光強度の揺らぎを検出する工程と、
を含み、前記検出結果に基づいて蛍光分光分析法を使用してライゲーションの有無を判定することによって標的配列を決定する方法を提供する。

0019

また、本発明は上記方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのいずれか一方が蛍光標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は自己相関関数を用いた方法を提供する。

0020

さらに、本発明は上記方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのそれぞれが異なる蛍光色素で標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は相互相関関数を用いた方法を提供する。

0021

さらに、本発明は上記方法であって、前記第一のプローブと前記第二のプローブのそれぞれが同じ蛍光色素で標識されており、かつ前記蛍光分光分析法は自己相関関数または蛍光強度ヒストグラム解析法を用いた方法を提供する。

0022

さらに、本発明は上記方法であって、4種類以上の異なる蛍光色素のうち2つを組み合わせることにより、一度に複数の多型検出を行うことを特徴とする方法を提供する。

0023

加えて、本発明は、上記方法であって、さらに前記標的配列の多型部位にハイブリダイズ可能な第三のプローブをハイブリダイズさせ、前記第一のプローブは、前記第三のプローブの末端に隣接した部位にハイブリダイズ可能であり、前記第二のプローブは、前記第一のプローブと逆側の末端で前記第三のプローブに隣接した部位にハイブリダイズ可能である方法を提供する。

課題を解決するための手段

0024

さらに、本発明は、上記方法であって、前記プローブの5'末端塩基が、ピリミジンの5位に置換ビニル基を有するピリミジン塩基であり、かつ前記ライゲーション反応が、光反応によるライゲーション反応である方法を提供する。

0025

本発明は、FCS(Fluorescent correlation Spectroscopy)の応用なので、まず、FCSによる測定原理を簡単に説明する。

0026

分子ブラウン運動動きは分子の大きさに依存して遅くなったり速くなったりする。蛍光相関分光は、蛍光色素の蛍光強度のゆらぎからこのような分子の動きと分子の数を測定する方法である。

0027

FCSの基本的な特徴は、顕微鏡視野下のごく小領域における平均数個の蛍光分子のブラウン運動に由来する蛍光の「ゆらぎ」を通して、均一系の溶液に含まれる蛍光分子の濃度や分子間作用を、物理的な分離過程を経ずに、しかもほぼ実時間でモニターできることである。このように、FCSは溶液中の自由な分子運動を検出しているため、幅広い研究対象への応用が期待されている技術である。

0028

従来FCSの原理に基づいて種々の生物学的な結合反応を検出する方法が報告されている。これは、分子同士が結合して分子量が大きくなると、溶液中の分子のブラウン運動が小さくなって、一定の測定領域中の分子数の変動が小さくなるので、複数の経過時間における蛍光強度の変化を測定すれば、結合の有無が判断できるという考え方である。これに対して、本発明者は、このFCSの原理をポリヌクレオチドの結合(ライゲーション)に適用することに着眼した。すなわち、本発明は、短いプローブ分子同士が結合(ライゲーション)されると結合されたプローブ分子の分子量が増加し、溶液中のブラウン運動に由来するゆらぎが、結合していない十分小さな分子量を有するプローブ分子のゆらぎと比較して小さくなるなることを応用したものである。このゆらぎの変動の有無により、プローブ分子の結合の有無を検出することが可能となる。結合の前後におけるプローブ分子の分子量の差が大きいほど、変動の大きさが変化し、分子のブラウン運動速度の差が大きくなると共に、一定の測定領域における分子の出入りの頻度差も大きくなる。したがって、本発明で使用するプローブの分子量は、結合の前後で充分なブラウン運動の相違が生じるように設定される。また、結合されたプローブ分子を追跡するために、少なくとも結合すべきプローブの一部または全部が測定可能標識物質(たとえば、蛍光色素)によって標識されていることが重要である。プローブ分子の結合反応に起因する一定領域中での蛍光の変化は、プローブ分子が結合したことを証明する。本発明の検出方法は、後述の実施例で示すように、従来の結合反応の検出に適用していたFCSの測定装置をそのまま適用できる点で有利である。

0029

基本的なFCS測定系では、レーザー光励起共焦点光学系試料測定部とし、蛍光分子の数量や大きさに起因する分子運動のゆらぎを蛍光強度変化として検出器でとらえた後、デジタル相関機でデータの記録と解析を行う。励起光であるレーザー光が試料溶液の一点に集中され、かつ共焦点光学系の特性から、その一点からの蛍光発光を検出系でとらえることになる。実際の溶液中における測定領域は、理想的な点ではなく円柱状の領域となる。その大きさは、たとえば直径約400nm、軸長約2000nm、容積フェムトリットル(10-15l)である。FCSの測定領域は溶液であり、この測定領域中に存在する蛍光分子はブラウン運動を行っている。したがって、一定の測定領域における分子の数は常に一定ではなく、ある値を中心に変動して「数揺らぎ」が起きている。さらにこの数ゆらぎに起因して、測定される蛍光の強度に「強度ゆらぎ」が発生する。この蛍光強度のゆらぎを解析することによって、拡散速度に関する情報および分子の数に関する情報を得ることができる。

0030

次に、本明細書において使用する用語について説明する。

0031

本明細書において使用する「核酸試料」の用語は、DNAもしくはRNA、または修飾されたDNAもしくはRNAを含む試料を意味する。特に、「修飾されたDNA、もしくはRNA」には、蛍光標識されたDNA、もしくはRNA、およびピリミジンの5位に置換ビニル基を有するピリミジン塩基(ウラシル、またはシトシン)を含む。

0032

前記「標的配列」とは、いずれの塩基であるかを検出したい塩基配列を含む配列を意味する。前記標的配列の例として、典型的には多型遺伝子の多型部位の塩基配列である。前記「多型遺伝子」とは、一つの遺伝子座を占める複数種対立遺伝子群、又はこのような対立遺伝子群に属する個々の対立遺伝子を指称するものとする。前記「多型部位」とは、各多型遺伝子間で塩基配列が異なる部位を意味し、連続した少なくとも1の塩基配列であればよいが、好ましくは1塩基である。「多型」とは、多型遺伝子間で異なっている塩基配列を意味する。多型部位の中で1塩基のみが異なるものは、特に「一塩基多型」と指称するものとする。また、「多型配列」とは、多型部位の塩基配列を意味する。

0033

以下、本発明の核酸試料における標的配列の多型を検出するための方法について詳細を説明する。

0034

本方法の第一の工程は、前記核酸試料の標的配列に特異的にハイブリダイズ可能であり、かつ前記標的配列の多型部位と相補的な配列を末端に有する第一の蛍光標識プローブ、並びに前記多型部位に隣接した配列とハイブリダイズ可能であり、かつ前記第一のプローブと末端同士が隣接してハイブリダイズする第二の蛍光標識プローブを、前記核酸試料とハイブリダイゼーションさせる工程である。

0035

本発明の方法によって標的配列の多型を検出するためには(たとえば、多型遺伝子の多型部位の塩基を決定するには)、まず、標的配列(たとえば、多型遺伝子)を含む検体を準備する。本発明の方法をヒトに適用する場合、典型的には、検体は血液、骨髄液脳脊髄液等を含む体液であり得るが、これらに限定されない。次いで、これら検体から標的核酸を精製する。たとえば末梢血から抽出する場合、QIAGEN社のQIAamp blood kitなどの市販のキット等を使用することにより容易に精製することができる。

0036

前記標的遺伝子は、その濃度に応じて、PCR増幅した後に使用してもよく、増幅をせずに直接使用してもよい。標的核酸の多型部位をPCR増幅する場合には、塩基を決定すべき多型部位を挟むようにプライマー対を設計し、通常の方法でPCRを行えばよい。

0037

また、標的核酸が二本鎖である場合には、一本鎖にする必要がある。この場合、たとえば以下の実施例において示したように、標的核酸配列テンプレートとして非対称PCRを行うことによって一本鎖にすることができる。得られた、一本鎖標的核酸は、エタノール沈殿、もしくはミリポア社のウルトラフリー遠心式フィルター等を使用して1本鎖DNAのみを回収することができる。

0038

次に、本方法に使用するプローブについて、図1を参照して詳細に説明する。前記第一のプローブは、前記核酸試料の標的配列に特異的にハイブリダイズ可能であり、かつ前記標的配列の多型部位と相補的な配列を末端に有する。すなわち該プローブの5’末端、または3’末端のいずれかが、多型配列に相補的な塩基配列となる(図1においては、プローブ1またはプローブ2に該当する)。前記第二のプローブは、前記多型部位に隣接した配列とハイブリダイズ可能であり、かつ前記第一のプローブと末端同士が隣接してハイブリダイズするプローブである。すなわち、前記第一のプローブの5’末端が多型部位に相補的な配列である場合、第二のプローブの3’末端は、第一のプローブの5’末端に隣接することになり、前記第一のプローブの3’末端が多型部位に相補的な場合は、第二のプローブは、第一のプローブの3’末端に隣接することになる(図1においては、プローブ3に該当する)。

0039

本方法において使用するプローブは、蛍光標識されている必要があるが、該蛍光標識は、本方法の実施態様により、いずれか一方のみ(図1に示した実施態様の場合)、または両方のプローブ(図2または3に示した実施態様の場合)が蛍光標識されていていなければならない。また、実施態様に応じて、第一のプローブと、第二のプローブが異なった蛍光(図2の場合)であるか、またはともに同種の蛍光(図3の場合)にする。蛍光標識には、たとえばTAMRA、Cy5、Cy3が好ましいが、当業者既知のいずれの蛍光分子を使用してもよい。

0040

以下、それぞれの蛍光標識を使用した実施態様(図1〜図3)について説明する。

0041

上述のプローブとしての適切な配列、および適切な長さ等は、当業者であれば、前記標的配列に基づいて容易に決定することができるであろう。また、上述のようなプローブは、蛍光標識DNAなどを使用して、化学合成方法によって容易に作成することが可能である。さらに、前記プローブは、末端を置換ビニル基等で修飾しておくことによって、以下のライゲーション工程において説明するように、光照射によって容易にライゲーションすることが可能となる。

0042

本工程では、上記第一、および第二のプローブを核酸試料にハイブリダイズさせるが、ハイブリダイゼーションのための最適なバッファー、およびハイブリダイゼーション条件は、当業者であれば前記プローブのTm(融解温度)等から容易に決定することができるであろう。

0043

ここで、図1を用いて本発明の第1の実施態様を具体的に説明する。図1の1は標的のポリヌクレオチドを示す。この試料に標的配列中の互いに隣接する部位に相補的な塩基配列を持つ3種類の核酸プローブ(図中でプローブ1、2が上述の第一のプローブに相当し、プローブ3が第二のプローブに相当する)を前記検体と混合する。プローブ1とプローブ2の2つのプローブは、1塩基多型部位のみが異なっており、それぞれ蛍光色素D1、D2で標識されている。プローブ3は、プローブ1およびプローブ2が結合する部分に直ちに隣接する配列部分に相補的な配列を持ったプローブである。プローブ3は標的部分に対する特異性を増す役割ももっている。

0044

3つのプローブは標的配列の部分でハイブリダイゼーションするが、多型のタイプにより、プローブ1、プローブ2のうちどちらか一方は完全にマッチし、他方は3’末端部分で1塩基ミスマッチ状態となる。図1の2にこの状態を示す。この状態で、以下に説明するライゲーション反応を起こさせると、図1の3に示すように、完全マッチの場合は2つのブローブが結合した長鎖のプローブに変るが、一塩基ミスマッチがある場合は、ライゲーション反応が起こらず2本のプローブのままである。これら反応生成物を、以下に説明する第三の工程に従って標的ポリヌクレオチドより解離させ、反応生成物の特定を行う。測定は、以下に説明する第四の工程に従って反応生成物の拡散時間の大小によって行う。

0045

次に、本発明の第2の実施形態を図2を参照して説明する。この例ではプローブ1、プローブ2にそれぞれD1、D2の蛍光色素で標識し、プローブ3は、D3の蛍光色素で標識してある。ハイブリダイゼーション反応、および引続きおこるライゲーション反応は、上記第1の実施態様と同様に行う。ライゲーション反応によるプローブの結合の有無は、以下に説明する第四の工程に従って蛍光色素D1とD3、およびD2とD3間の相互相関の有無で判別する。

0046

次に、本発明の実施態様3(図3)を用いた例を簡単に説明する。

0047

図3に示すように、プローブ1、プローブ2、プローブ3ともに蛍光色素D1で標識されている。ハイブリダイゼーション反応と、それに続くライゲーション反応は実施態様1と同様である。測定は、以下に説明する第四の工程に従って、1分子あたりの蛍光強度を求め、この結果から反応の有無を検出する。

0048

本方法の第二の工程は、前記標的配列とハイブリダイゼーションした前記第一、および第二のプローブをライゲーション反応させる工程である。

0049

ライゲーション反応は、通常の方法を使用して行えばよい。たとえば、New England Biolab社のTaqDNAライゲースキット(M0208S)によってライゲーション反応(50℃において30分間)を行うことにより、上記プローブを連結することができる。また、その他の商業的に入手可能なライゲーションキット等を使用してもよい。

0050

しかし、このほかにも光照射により連結する方法(特許文献8を参照)を使用することもできる。該連結法は、ピリミジンの5位に置換ビニル基を有するピリミジン塩基の光反応性を利用して、可逆的に核酸を連結することが可能な方法である。該連結法を使用すれば、上記工程においてプローブをハイブリダイズした後、光(たとえば、366nmの光)を照射するだけで、容易にライゲーション反応を行うことが可能となる。該連結法を使用する場合、あらかじめ、前記第一、および第二のプローブの隣接する末端に修飾核酸を使用しなければならない。たとえば、前記第一のプローブの5’末端が多型部位に相補的な配列である場合、この末端を修飾核酸とする必要があり、前記第一のプローブの3’末端が多型部位に相補的な配列である場合、前記第二のプローブの5’末端を修飾核酸とする必要がある。また、該方法によって連結可能な塩基は、修飾されたピリミジン塩基と、隣接するピリミジン塩基とに限定されることにも留意しなければならない。このような修飾核酸を末端に有するプローブは、上記特許文献8の記載に基づいて、当業者であれば容易に製造および実施することができるであろう。

0051

本方法の第三の工程は、前記ライゲーション反応生成物を標的配列から解離させる工程である。

0052

標的配列とハイブリッドを形成しているプローブは、熱を加えることにより容易に解離させることができる。ライゲーションしたプローブは、標的配列とハイブリッドを形成しているので、これに熱を加えて解離させる。解離させた後、再びハイブリダイズする前に、標的配列から解離したプローブを分離する必要がある。分離には、たとえば標的配列にあらかじめビオチン標識をしておくことによって、ストレプトアビジン磁性ビーズで標的配列を捕獲してプローブを回収することができる(図13)。ストレプトアビジン磁性ビーズは、たとえばDynal社のDyna BeadsM280ストレプトアビジンを使用すればよい。磁性ビーズへの結合反応は、ライゲーションバッファー中で行う。一部の未反応プローブビーズについている可能性があるが、これらがFCS検出中に検出されることによって反応したプローブとの分子量識別が可能となるので、存在していてもよい。

0053

ここで、FCS検出する時に溶液を加温できれば、ライゲーションテンプレートを作製するときに、ビオチン標識したテンプレートを作製し磁性ビーズにとらえて分離する必要がない。なぜならば加温することで、より短いハイブリッドを形成しているライゲーションしていない標識プローブが離れる。この未反応プローブは、ライゲーションされた蛍光標識プローブと分子量が大きく異なるため、FCS検出したときのゆらぎに差異が見られることになり、FCSの結果から標的配列の存在、または存在を判別することができるからである(図14)。

0054

本方法の第四の工程は、前記第一の蛍光標識プローブ、および前記第二の蛍光標識プローブの蛍光強度の揺らぎを蛍光分光分析法(FCS)によって検出する工程である。

0055

まず、検出系について説明する。本発明に共通して用いられる光学系である共焦点光学系を図4に示す。この光学系の特徴として、焦点領域より外れた場所から発した光はピンホールを通過することが出来ないため、高い3次元空間分解能を有しており、高NA(Numerical Aperture)を持った対物レンズと組み合わせることにより微少な測定領域を実現している。この程度の微少領域になると、測定領域に出入りする分子の揺らぎが観察可能となり、その揺らぎを統計的に解析することにより分子の大き、濃度、明るさ等の分子レベルの違いが識別できる。

0056

また、FCSを使用した生物学的材料に関する測定データの演算手法については、標識された核酸プローブと標的核酸分子とのハイブリダイゼ−ション反応においてFCSを利用した報告(Kinjo, M., Rigler, R., Nucleic Acid Reserch, 23,1795-1799, 1995)を参照することができる。

0057

以下、図面を参照しながら上記実施形態と共に本方法に使用する測定系を説明する。

0058

測定系には、共焦点光学系を使用したが、ここで使用するレーザー光源は、使用する蛍光の数、蛍光の種類に応じて、クリプトンアルゴン(Kr-Ar)イオンレーザー、ヘリウムネオン(He-Ne)レーザー、ヘリウムカドミウム(He-Cd)レーザー等を使用すればよい。

0059

図5に、上述の実施態様1(図1)に好適な構成の測定系を示す。レーザー光源は2種類備えており、レーザー光源1、2からのレーザー光はダイクロイックミラー3で混合され、ダイクロイックミラー4で反射された後、ミラー5を介して対物レンズ6で測定領域7に集光される。測定領域に存在する蛍光色素D1はレーザー光源1から、蛍光色素D2はレーザー光源2から出たレーザー光で励起こされる。D1からは蛍光1が、D2からは蛍光2が発せられ、対物レンズ6を通し補足された後、逆の経路をたどりダイクロイックミラー4に到達する。ダイクロイックミラー4は、励起レーザー光を反射するが、対応する蛍光を透過するという特性を有するデュアルダイクロイックミラーを使用しており、蛍光のみがダイクロイックミラー4を透過する。その後フォーカシングレンズを通過したあと、ダイクロイックミラー9で、蛍光色素D1、D2に対応する蛍光に分光されたあと、ピンホール10、11を通過してそれぞれ光検出器12、13に入る。光検出器12は蛍光色素D1からの蛍光を、光検出器13は蛍光色素D2からの蛍光を検出する。光検出器の出力は相関解析器14に入り、それぞれ独立に式1に基づき自己相関関数が算出され、コンピューター15に送られる。

0060

【数1】

0061

一方、共焦点光学系を使用した測定系での蛍光強度の揺らぎは式2で与えらる。

0062

【数2】

0063

簡単の為、蛍光色素D1について説明する。実測で得られた、蛍光色素D1の蛍光強度揺らぎを式1で自己相関関数に変換し、式2と比較演算(今後フィッティングと称する)することにより、蛍光色素D1の拡散速度を示すパラメーターτ0と、測定領域に於ける当該分子の平均の個数Nを求めることができる。図6に結合反応の有無と自己相関関数の関係をイラストで示す。図6に示すように、結合反応が有る場合、分子量が増えているため、結反応がない場合と比べ、自己相関関数が右の方にシフトする。図6では自己相関カーブの違いで説明したが、装置内での評価は、前記フィッティングを行い蛍光色素D1について、Nとτ0求め、その結果に基づいて結合の有無の評価を行う。蛍光色素D2についても全く同様の手順で結合の有無が評価される。このようにして、1回の測定で、蛍光色素D1、D2について自己相関分析を行うことにより、蛍光標識プローブ1、蛍光標識プローブ2の結合の有無が判別でき、ひいては標的核酸が、どちらの多型に属するかを判別することができる。

0064

ここでは、蛍光標識プローブ1、蛍光標識プローブ2にそれぞれ異なる蛍光色素で標識したが、同じ蛍光色素で標識してもよい。この場合、1回の測定で識別できないため、蛍光標識プローブ1とプローブ3を使用した測定と、蛍光標識プローブ2とプローブ3を使用した測定と、2回の測定に分けて実施する。また、プローブ1、プローブ2は標識せず、プローブ3のみを標識してもよく、プローブと標識の組合せは実施例に関わらず自由に組み合わすことができる。

0065

次に、実施態様2に好適な検出系を図7に示す。レーザー光源は、蛍光色素D1からD3に対応してレーザー光源21、22、23の3種を備えている。測定は蛍光色素D1-D3の相互相関測定と、蛍光色素D2-D3の相互相関測定と、2回に分けて測定を行う。簡単の為、D-D3測定について説明を行う。

0066

D1-D3測定の測定時には、レーザー光源22は内蔵のシャッターを閉じ、レーザー光源21、23で発振されレーザーのみを使用する。これらのレーザー光は、ダイクロイックミラー24、25で混合され、ダイクロイックミラー26で反射された後、ミラー27を介して対物レンズ28で測定領域29に集光される。測定領域29に存在する蛍光色素D1は、レーザー光源21のレーザーで、蛍光色素D3はレーザー光源23のレーザーでそれぞれ励起こされる。そして、蛍光色素D1からは蛍光1が、蛍光色素D3からは蛍光3が発せられ、対物レンズ28を通し補足された後、実施形態1と同様にダイクロイックミラー26を通過する。ダイクロイックミラー26はそれぞれのレーザー光を反射し、対応する蛍光のみを透過する特性を持っているデュアルダイクロイックミラーを使用する。ダイクロイックミラー26を通過した蛍光はフォーカシングレンズ30を通過したあと、ダイクロイックミラー31で、蛍光色素D1、D3に対応する蛍光に分光されたあと、ピンホール32、33を通過してそれぞれの光検出器34、35に入る。光検出器34は蛍光色素D1からの蛍光を、光検出器35は蛍光色素D3からの蛍光揺らぎを検出する。二つの光検出器の出力は相関解析器36に入力される。相関解析器では、相関実施例1と同様、蛍光色素D1、D3の蛍光強度揺らぎは式1を用いそれぞれ、独立して自己相関関数に変換する。更に、蛍光色素D1、D3の双方の蛍光強度揺らぎを式3に従い相互相関関数が得られ、コンピューター37に送られる。

0067

【数3】

0068

図8に結合反応の有無と相互相関関数の関係をイラストで示す。図に示すように、結合反応が有る場合には、蛍光色素D1、D3が連結して動くため、D1、D3間に相関関係が現れるが、結合がない場合、両者は相関関係が現れないことより識別可能である。図8では相互相関カーブの違いで説明したが、装置内での評価は、フィッティングを行いうことにより結合の有無の評価を行う。相互相関関数のフィッティングには式4を用い、D1,D2それぞれの自己相関分析により既に求めてある、それぞれについてのNを式5に代入することにより、結合している分子のN数を求めることができる。それぞれの自己相関関数のように、相関関数から得られるパラメーター値、Nとτ0と併せて演算することにより定量的な評価が行える。

0069

【数4】

0070

【数5】

0071

蛍光色素D2-D3の組合せについても全く同様の手順で結合の有無が評価される。このようにプローブ1、プローブ2の結合の有無が判別でき、ひいては標的核酸が、どちらの多型に属するかを判別することができる。

0072

実施態様2では、2回の測定で識別を行ったが、光検出器をそれぞれのレーザー毎に設けることにより、1回の測定で行うことも可能である。図9にこの場合の装置構成を示す。

0073

以上の例は蛍光色素を3種類使用したが、蛍光色素の種類を4種類以上用いると、一度に多数の異なる多型の分析が可能になる。例えば、4種類用いると6通りの色素の組合せ(4C2)、5種類用いると10通りの組合せ(5C2)が識別でき、効率の良い測定が可能になる。

0074

次に、本発明の実施態様3(図3)、および測定系(図10)を用いた例を説明する。

0075

図3に示すように、プローブ1、プローブ2、プローブ3ともに蛍光色素D1で標識されている。ハイブリダイゼーション反応と続くライゲーション反応は実施態様1と同様である。図3では、結合反応が起きた場合は反応生成物の1分子当り2個の蛍光色素D1を持つのに対し、反応が起きなかった場合は、1分子当り1個の蛍光色素しかもたない。このヒストグラム解析を行うことにより、1分子当りの蛍光強度を求め、この結果より反応の有無を検出するものである。

0076

図10に、実施態様3に使用する測定系の例を示したが、ヒストグラム解析を行うための分布解析器49を備えている。その他は、図5に示したものと同様の測定系である。図11はこの解析結果のイラストを示す。結合反応が起きた場合は、1分子当りの蛍光強度が高い部分の度数上がり、結合反応が起きなかった場合は、低い蛍光強度のところにピークが現れる。このように1分子当りの蛍光強度の解析によって反応の有無を識別することができる。

0077

以上の例はプローブ2個でライゲーション反応をする例について説明したが、プローブの数も2個に限定されるものではない。プローブの数が増えても全く同様の手法で検出可能である。

0078

最後に、本発明のもう一つの態様において、上記核酸試料における標的配列の多型を検出するための方法であって、さらに前記標的配列の多型部位にハイブリダイズ可能な第三のプローブをハイブリダイズさせ、前記第一の蛍光標識プローブは、前記第三のプローブの末端に隣接した部位にハイブリダイズ可能であり、前記第二の蛍光標識プローブは、前記第一のプローブと逆末端側の前記第三のプローブに隣接した部位にハイブリダイズ可能である方法について、図12を参照して詳細に説明する。

0079

上述した方法では、第一、および第二の二種類のプローブを使用したが、本方法では、さらに第三のプローブをハイブリダイズさせる。第三のプローブは、標的核酸の多型部位に相補的な配列を有し、多型部位にハイブリダイズすることができる(図13のプローブ3)。また、第一、および第二のプローブは、前記第三のプローブと隣接した部位にハイブリダイズ可能なように設計される。したがって、標的配列に相補的な配列である場合は、プローブ1、2、3が、一列に連続して標的配列にハイブリダイズすることになり、次のライゲーション工程において一本にライゲーションされることになる(図13の3左)。しかし、多型部位の配列が、プローブ3と相補的でない場合は、プローブ3は標的配列にハイブリダイズすることができず、その後のライゲーション工程においてもプローブ1、2、3は、ライゲーションされない(図13の3右)。

0080

その後の工程は、上述した二種のプローブを使用した方法の場合と同様であり、プローブの蛍光の自己相関関数、相互相関関数によってライゲーションの有無を判断する。

0081

本方法は、上述の二種のプローブを使用した方法とプローブの数が異なるだけであるが、これにより、ライゲーション部位が二箇所となり、ライゲーションされる部位が多くなるので検出の精度を高めることができる。すなわち、二種のプローブの場合には、相補的でない配列が誤ってライゲーションされると蛍光の自己相関関数、または相互相関関数が、プローブが相補的な場合と同じ結果となってしまうが、三種のプローブであれば、前記第三のプローブは、両端がライゲーションされなければならず、一方が誤ってライゲーションされたとしても蛍光の自己相関関数、または相互相関関数は、プローブが相補的な場合と比較して異なったものとなる。

発明を実施するための最良の形態

0082

また、二種のプローブの場合と比較して、ライゲーション後の分子量がより大きくなるので、自己相関関数、相互相関関数に差異が出やすくなり測定の精度を高めることができる。

0083

本発明の方法は、任意の多型遺伝子の多型部位に含まれる塩基配列を明らかにするために、すなわち多型遺伝子の型を決定するために用いることができる。

0084

上述のように、本発明を用いると、使用する蛍光色素も装置に合わせ自由に選択することが可能になるとともに、蛍光標識の部位や、プローブの長さに制約がなくプローブの設計の自重度が増える。また、要求される分析速度により、処理速度が遅くても構わない用途では蛍光色素が1つだけの方法を選択し、速い処理速度が要求される場合には、複数の蛍光色素を組合わせて1回の測定で複数の多型判定を行う方法を選択するといったことも可能であり、用途に合わせて広範囲分析手法が選択できるようになる。

0085

また、相互相関分析手法を使用した場合、使用する蛍光色素を3種類以上組み合わせることにより、多数の異なる多型の検出を同時に行うことができる利点を有する。さらに、三種のプローブを使用する方法によれば、測定の精度を高めることができる。

0086

本発明の方法によれば、結合に関与しなかった遊離のプローブを分離(BF分離)するの行程が不要であり、自動化に適する自由度の高い遺伝子多型の分析法を提供することができ、自動機に好適な測定環境を提供可能になる。

0087

ライゲーション反応に光反応を利用すれば、より簡便な操作で測定可能となり、より自動機に好適な測定環境を提供可能になる。

0088

【実施例】
FCS-ligation実施例
ライゲーション反応により遺伝子多型を検出する反応の手順について述べる。最初にゲノムDNAから1本鎖DNAを増幅調製し、ライゲーションテンプレートを作製する。このあと、ライゲーション反応しテンプレートをストレプトアビジン磁性ビーズに回収して熱をかけてライゲーション産物を回収する。これをFCSで観察し標的SNPの有無を検出する。検出対象のSNP、プライマー、プローブ配列論文(Hatta et al., Genes and Immunity, 1, 53-60 (1999) )を参考に選択した。

0089

1.ライゲーションテンプレート調製(図13)
ターゲット遺伝子ヒト遺伝子FCGR2A(FcガンマレセプターIIa)である。QIAGEN社のQIAamp blood kitにより末梢血から抽出したヒトゲノム10ngをテンプレートとして1次PCR増幅を行い260塩基対のDNAを得る。このPCRで得られた産物をテンプレートに非対称PCRを行う。これで生成するのは長さ85塩基の5’がビオチン修飾された1本鎖DNAで数pmolが得られる。PCRを2回に分けるのはFCGR2A遺伝子がファミリを構成しており、1回のPCRでは類似配列を増幅してしまう可能性があるからである。1次PCR反応は次の要領で行う。

0090

PCR反応液組成反応溶液50μl中)
テンプレートゲノムDNA 10ng
プライマー1 (配列1) 5pmol
プライマー2 (配列2) 5pmol
dNTP(各2.5mMの混合物) 0.2mM (最終濃度)
Takara rTaqポリメラーゼ1.25U
MgCl2 1.5mM (最終濃度)
キット添付10xバッファー5μl
タカラバイオのrTaq PCRキットを使用。
溶液の容量が足りない分は超純水で補い50μlにする。容器は薄壁タイプのPCR用チューブを使用する。

0091

温度サイクル
1. 94℃ 30秒
2. 94℃ 10秒
3. 60℃ 30秒 2, 3, 4を30サイクルμ
4. 72℃ 60秒
5. 72℃ 600秒
サーマルサイクラーは、MJリサーチ社のPTC-200を使用する。このPCR反応で得られた260bpのPCR産物1μlをとり、そのまま次の非対称PCRのテンプレートとする。

0092

非対称PCR反応液組成(反応溶液50μl中)
テンプレート1μl
プライマー3 (配列3) 5’ビオチン修飾 25pmol
プライマー4 (配列4) 0.25pmol
dNTP(各2.5mMの混合物) 0.2mM(最終濃度)
Takara rTaqポリメラーゼ1.25U
MgCl2 1.5mM(最終濃度)
キット添付10xバッファー5μl
タカラバイオのrTaq PCRキットを使用。溶液の容量が足りない分は超純水で補い50μlにする。容器は薄壁タイプのPCR用チューブを使用する。

0093

温度サイクル
1. 94℃ 30秒
2. 94℃ 10秒
3. 62℃ 30秒 2, 3, 4を30サイクル
4. 72℃ 60秒
5. 72℃ 600秒
サーマルサイクラーは、MJリサーチ社のPTC-200を使用する。ここで得られた1本鎖DNAはPCRバッファーに入っており次の反応のために溶液から抽出する必要がある。抽出方法のひとつとして、そのままストレプトアビジン磁性ビーズに回収してライゲーション反応に用いてもかまわない。しかしこの方法では1本鎖テンプレートが固相固定されてライゲーションの効率が若干下がるので溶液に分散した状態で反応させるのが好ましい。このために、エタノール沈殿もしくは、ミリポア社のウルトラフリー遠心式フィルターにて1本鎖DNAのみを回収する。

0094

2.ライゲーション反応(図13)
反応液組成(溶液50μl中)
テンプレート1本鎖DNA 1で回収したもの
プローブ1 (配列5) 5’TAMRA修飾 10pmol
プローブ2 (配列6) 5’リン酸修飾10pmol
Taqライゲース5U
キット添付10xバッファー5μl
ライゲース酵素にはNew England Biolab社のTaqDNAライゲースキット(M0208S)を使用した。溶液の容量が足りない分は超純水で補い100μlにする。容器は薄壁タイプのPCR反応用チューブを使用する。以降の実験中は反応溶液に強い光などが当たって蛍光標識が劣化しないように気をつける。また、反応温度はプローブのハイブリダイゼーション、ライゲースの至適温度を考えて50℃とした。反応時間は30分である。

0095

3.プローブ回収反応
ここでライゲーションしたプローブはテンプレートとハイブリッドを形成しているのでストレプトアビジン磁性ビーズによりテンプレートと連結したプローブを回収する。ストレプトアビジン磁性ビーズにはDynal社のDyna BeadsM280ストレプトアビジンを用いる。このビーズにはビオチンが表面についており、ビオチン修飾した核酸を捕らえることができる。磁性ビーズへの結合反応は、ライゲーションバッファ中で行う。ビーズの原液50μlをとり、洗浄してからビーズのみを磁石で分離する。分離したビーズの入っているチューブにライゲーションの済んだ反応溶液を入れてよく混ぜ、時々沈殿するビーズをかき混ぜて溶液に分散させながら10分間結合反応をする。結合反応が済んだらDynal社指定のウォッシングバッファー100μlにて3回洗い、結合していない余分なリガーゼ酵素、プローブなどを洗い流す。

0096

次にビーズに捕らえられたテンプレートとプローブのハイブリッドDNAからプローブを回収する。一部の未反応のプローブがビーズについている可能性があるが、これらがFCS検出中に検出されることは、反応したプローブとの分子量識別ができるので存在した方が好ましい。ウォッシングバッファーは塩濃度が高いので熱をかけてもDNAハイブリッド融解しにくいので、塩濃度の低いバッファーに置換する。この置換するバッファーにはFCS検出に適したバッファーを選択し、回収したプローブがFCSに適した濃度になるように量を決める。ここでは100μlのTEに置換する。TEに置換した後溶液を70℃に熱し3分経過したら磁石で磁性ビーズを分離して上清を回収する。これをFCS検出する。最後に未反応プローブ3が分子量比較のために必要であれば適量加えても良い。ここで、FCS検出する時に溶液を加温できれば、ライゲーションテンプレートを作製するときにビオチン標識したテンプレートを作製し磁性ビーズにとらえて分離する必要がない。なぜならば加温することで、より短いハイブリッドを形成しているライゲーションしていない標識プローブが離れる。この未反応プローブはFCS検出したときにライゲーションした蛍光標識プローブとは分子量が大きく異なるため、標的SNPが存在するもしくは存在しないかがわかるからである(図14)。

0097

一方のリン酸標識しただけのプローブの長さを十分長くすれば、ライゲーションした場合のハイブリッドの長さがより長くなり、2重鎖ハイブリッドが熱に対して安定になる。すなわち、FCS検出時の加温が少々いい加減で温度が高めになっても安定なのでより分子量の差ははっきり見極められる上に温度制御を精密にする必要がなくなる。

発明の効果

0098

ウォッシングバッファーの組成
NaCl 1M
Tris-HCl pH8.0 10mM
EDTA1mM
塩基配列(5’ -> 3’の順)
プライマー1(配列番号1):ccaggagggagaaaccatca
プライマー2(配列番号2):ctcttctcccctccctacat
プライマー3(配列番号3):aaggacaagcctctggtcaa
プライマー4(配列番号4):ggatggagaaggtgggatccata
プローブ1(配列番号5):aggtgggatccaaac
プローブ2(配列番号6):gggagaatttctggg

図面の簡単な説明

0099

配列表


図1
本発明の一実施形態に係る測定原理の模式図。
図2
本発明の一実施形態に係る測定原理の模式図。
図3
本発明の一実施形態に係る測定原理の模式図。
図4
本発明に共通して用いられる共焦点光学系を示す図。
図5
図1の形態に好適な構成の測定系を示す図。
図6
結合反応の有無と自己相関関数の関係を示す図。
図7
図2の形態に好適な構成の測定系を示す図。
図8
結合反応の有無と相互相関関数の関係を示す図。
図9
図2の形態に好適な構成の測定系を示す図。
図10
図3の形態に好適な構成の測定系を示す図。
図11
結合反応の有無とヒストグラム解析の関係を示す図。
図12
三種のプローブを使用した場合の測定原理の模式図。
図13
標的核酸の分離法を示す模式図。
図14
加温した場合の測定原理を示す模式図。
【符号の説明】
1、2.21、22、23、41:レーザー光源、3、4、9、24、25、26、31、42:ダイクロイックミラー、5、27、43:ミラー、6、28、44:対物レンズ、7、29、45:測定領域、8、30、46:フォーカシングレンズ、10、11、32、33、47:ピンホール、12、13、34、35、39、48:光検出器、14、36:相関解析機、49:分布解析機、15、37、50:コンピューター

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