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技術 牛乳の美味しさの判別法

出願人 加藤寿次
発明者 加藤寿次
出願日 2002年12月5日 (18年0ヶ月経過) 出願番号 2002-353630
公開日 2004年7月2日 (16年6ヶ月経過) 公開番号 2004-184313
状態 拒絶査定
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード 検査用サンプル いかだ 保存作用 中心成分 最盛期 乳脂肪率 成分表示 分類表
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年7月2日)のものです。
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図面 (2)

課題

本発明は、牛乳の「美味しさ」の中心成分は「乳糖」であること及び牛乳の「美味しさ」は「乳糖率」で示されていることを明らかにした、牛乳の美味しさの判別法に関する発明である。

構成

本発明は、分娩直後からの初乳を時間の経過ごとに試飲するとともに乳成分率検査を行い、初乳の乳糖率の急速な変動とそれに伴う味の変化から牛乳の美味しさを判別することを特徴とする牛乳の美味しさの判別法の構成とした。

概要

背景

食品生産する農業において、「食品の安全性」と「食品の美味しさ」の追求は最も重要なことである。牛乳も食品である以上この例外ではなく、まず、牛乳の安全性の確保は最重要な課題である。過去において牛乳の安全性の最大の問題は、乳牛乳房炎治療に使用した抗生物質牛乳中混入することであった。そして、問題は、関係者努力によって完全に解決されてきた。

概要

本発明は、牛乳の「美味しさ」の中心成分は「乳糖」であること及び牛乳の「美味しさ」は「乳糖率」で示されていることを明らかにした、牛乳の美味しさの判別法に関する発明である。本発明は、分娩直後からの初乳を時間の経過ごとに試飲するとともに乳成分率検査を行い、初乳の乳糖率の急速な変動とそれに伴う味の変化から牛乳の美味しさを判別することを特徴とする牛乳の美味しさの判別法の構成とした。

目的

しかしながら、もう一方の課題である、「牛乳の美味しさ」は、全く追求されていない。牛乳の成分は、多い順から、「(イ)乳糖、(ロ)乳脂肪、(ハ)乳蛋白質そして(ニ)無機成分」の4種類から構成されている。そして、この成分の中に、牛乳の美味しさを作っている中心成分があると思う。だが、「乳成分率」と「美味しさ」の関係は全く知られていない。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

分娩直後からの初乳を時間の経過ごとに試飲するとともに乳成分率検査を行い、初乳の乳糖率の急速な変動とそれに伴う味の変化から牛乳の美味しさを判別することを特徴とする牛乳の美味しさの判別法。

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0001

【発明が属する技術分野】
本発明は、牛乳の「美味しさ」の中心成分は「乳糖」であること及び牛乳の「美味しさ」は「乳糖率」で示されていることを明らかにした、牛乳の美味しさの判別法に関する発明である。

背景技術

0002

食品生産する農業において、「食品の安全性」と「食品の美味しさ」の追求は最も重要なことである。牛乳も食品である以上この例外ではなく、まず、牛乳の安全性の確保は最重要な課題である。過去において牛乳の安全性の最大の問題は、乳牛乳房炎治療に使用した抗生物質牛乳中混入することであった。そして、問題は、関係者努力によって完全に解決されてきた。

0003

しかしながら、もう一方の課題である、「牛乳の美味しさ」は、全く追求されていない。牛乳の成分は、多い順から、「(イ)乳糖、(ロ)乳脂肪、(ハ)乳蛋白質そして(ニ)無機成分」の4種類から構成されている。そして、この成分の中に、牛乳の美味しさを作っている中心成分があると思う。だが、「乳成分率」と「美味しさ」の関係は全く知られていない。

0004

牛乳は、分娩直後から一週間までに分泌する初乳と、飲用に供給する常乳分類されている。乳牛は、生まれたばかりの子乳牛に与える免疫を牛乳に依存しているので、初乳には免疫成分が多く、微黄色を呈し、極めて濃厚であって、見た感じからも飲用には不適当印象が強い。

0005

従って、初乳を味わってみる人は全くいないし、食材に利用することもない。当然ながら、初乳の乳成分率検査は行わないので、乳成分率と味の関係は全く知られていない。

0006

そして、酪農は、必ず複数の乳牛の牛乳が集められて成り立っている。酪農家搾乳段階から牛乳はミルカーの中で混合されているので、乳成分率は全て平均値表現されている。今の酪農では、個体の牛乳を飲むことは全くできない。個体牛の牛乳が飲めない以上、「牛乳の乳成分率」と「牛乳の美味しさ」との関係が分からないのである。

0007

そこで、本発明は、隠れている個体牛の牛乳を試飲し、牛乳の美味しさの中心成分は「乳糖」であることを明らかにした。そして、牛乳の美味しさは「乳糖率」で示されていることを提供することを目的とするものである。

0008

【課題を解決する為の手段】
本願発明は、上記の問題を解決するために、分娩直後からの初乳を時間の経過ごとに試飲するとともに乳成分率の検査を行い、初乳の乳糖率の急速な変動とそれに伴う味の変化から牛乳の美味しさを判別することを特徴とする牛乳の美味しさの判別法の構成とした。

0009

【実施例】
1.飲まないので分からない牛乳の味
牛乳は、分娩してから一週間以内に搾る牛乳を「初乳」と言い明確に区別し、飲用することはない。母乳牛は、生まれた子乳牛に与える免疫物質を、初乳に依存している割合が非常に多い。

0010

乳牛は、分娩直後から一週間までに分泌する牛乳を初乳と称し、子乳牛に与える免疫を初乳に依存している割合が大変多い。分娩直後の牛乳には、免疫物質が極めて多く、乳成分率が大変高く飲用には全く適していない。

0011

そのために、初乳は、極めて濃厚であり、微黄色を呈し、見た感じからも飲用には不適当の印象が強い。初乳の乳成分率の検査と平行し、牛乳を試飲し、乳成分率と美味しさの関係を追求することが必要である。

0012

2.常乳になってからの平均乳では、乳糖と味の関係が分からない
分娩一週間を経過し、飲用に供給する牛乳を常乳と称している。常乳になってからは、必ず複数の乳牛の牛乳が混合されるので、個体牛の牛乳を飲むことは不可能である。

0013

常乳とは、分娩後一週間を経過し、乳成分ベルがほぼ正常レベルに戻り市乳が生産されるようになった牛乳である。常乳になって、初めて飲用牛乳が生産される。

0014

平均乳とは、搾乳はミルカーが使用されているので、搾乳直後から既に多数の乳牛の牛乳が混合されている。常乳になって、市乳が生産される牛乳の乳成分率は総て平均値で表現されている。

0015

一頭の乳牛から見れば、分娩時期は違うし、乳量も違い、乳成分率も違うので、牛乳の味も皆違っていると思う。牛乳の味を理解するには、個体牛の牛乳を飲んでみる必要があろう。そこで、牛群検定検査用サンプル牛乳の一部を試飲し、成分率と味の関係を追求することが必要である。

0016

3.乳成分率の標示と牛乳の美味しさ
牛乳の成分は、多い順に乳糖、乳脂肪、乳蛋白質そして無機成分から出来ている。現在行われている乳成分率の標示は、乳脂肪率乳蛋白質率無脂固形分率の標示で進められている。

0017

牛乳の美味しさを診断する上で、一番重要な成分は乳糖である。しかし、今の乳成分表示では、乳糖率は表面に出ることがないので、牛乳の美味しさは判断出来なくなっている。

0018

そこで、本発明は、初乳の試飲及び乳成分率の検査、常乳になってからの個体牛ごとの試飲及び乳成分率の検査を行うことで、牛乳の美味しさの中心成分が乳糖率であることを明らかにした。

0019

1.飲まないから分からない初乳の味
分娩直後から乳成分率の検査を行い、乳蛋白質率と乳糖率の変動は急速であったが、乳脂肪率の変動は緩やかであった(表1)。サンプル採取時にその一部を試飲し、乳成分率の急速な変動に伴う味の変化を追求した。

0020

【表1】
初乳の乳成分率の変動

0021

分娩し、第一回に搾乳された初乳の成分上の際だった特徴は、乳蛋白質率11.62%が示すように、極めて高い乳蛋白質が含まれていることだった。高濃度蛋白質率は常乳には全く見られない高さで、分娩直後の初乳には、子乳牛に与える免疫物質が高濃度に含まれていることを示した。

0022

乳脂肪率は、初回搾乳時で6.04%あり、常乳にもしばしば見られる範囲内にあった。エネルギー保存作用が中心の働きである乳脂肪は、分娩直後の牛乳では、余り機能の必要がない成分であることを示していた。

0023

分娩後、第一回に搾乳した乳成分上のもう一つの特徴は、乳糖率3.14%が示すように、常乳には全く見られない低さを示した。そして、分娩直後最初に絞った牛乳の味は、大変粘張で、濃厚であったが、甘さが全く無い無味乾燥な味であった。

0024

その後、搾乳を2度〜3度と繰り返すに従って、乳蛋白質率は急速に低下し、逆に、乳糖率は常乳の範囲まで急速に上昇していった。初乳の乳成分率の特徴は、第一回搾乳の牛乳に明確に示されていた。そして、乳糖率が4%以上に上昇すれば、牛乳に甘さを生じ、飲みやすくなり、本来の牛乳の味になった。

0025

分娩後3〜4日を経過すれば、乳蛋白質率は4.21%まで急速に低下を示したが、まだ、常乳には見られない蛋白質率の高さを示していた。初乳期間内において、子乳牛に与える免疫物質は急速に低下しているが、まだ多くの免疫成分が含まれていることを示していた。

0026

乳糖率は分娩後3〜4日で、常乳でもしばしば見られる4.0%の範囲まで急速に上昇を示した。分娩直後からの乳糖率の急速な上昇に伴って、初乳も飲み易くなって来た。この成分の変動から考えて、牛乳に甘さを与え、美味しさの主要成分は乳糖であることを示していた。

0027

初乳も、分娩後一週間を経過すると、乳蛋白質率は常乳の範囲内まで低下した。そして、乳糖率も常乳でしばしば見られる4.4%近くまで上昇した。初乳の各成分率は、常乳とほぼ同じ乳成分率まで回復し、この時点になると牛乳も何ら変わりなく飲用出来るようになった。

0028

初乳の乳成分率の急変から、初乳の一番重要な意義は、子牛に免疫物質を与えることで、乳蛋白質率の高さが物語っていた。そして、乳糖率の低さから、分娩直後の牛乳は飲みやすさを犠牲にした乳成分構成を示していた。

0029

誰も飲まない初乳を試飲して言えることは、初乳の中間期になると、乳糖率は急速な上昇を示し、初めて牛乳に甘さ、美味しさが生じ飲みやすくなった。このことから、乳糖が甘さ、美味しさの成分であり、美味しさの程度は乳糖率が示していた。

0030

初乳を試飲した結論は、牛乳の美味しさの中心成分は「乳糖」であり、美味しさの程度は「乳糖率」が示していたということである。

0031

2.飲むことが出来ない個体牛の牛乳
今の酪農は、総てミルカーで搾乳しているので、搾乳中からミルクホース内で、多くの牛の牛乳が混合されている。

0032

従って、乳成分率の標示は総て平均乳のことを意味しており、平均乳では乳成分率と味の関係が理解出来ない。乳成分率と牛乳の味の関係を知るためには、個体牛の牛乳を飲んでみる必要がある。

0033

常乳になってから平均乳で乳糖率の変動を見ると、乳成分中で一番多く含まれているにも関わらず、変動は少なく、泌乳最盛期でやや増加し最も安定した乳成分率を示していた。

0034

このことを市販牛乳の成分率で見ると、各地方で生産された牛乳の乳糖率の差はなく、味の違いは無いことを示していた。従って、高度平均乳では、乳糖率の差は表面に出ることはなかった。

0035

乳成分率向上指導過程で見る限り、個体牛の乳成分率は大きく違っていた。牛ごとの乳成分率が違うなら、乳糖率も牛ごとに違っており、牛乳の味も違うと思った。そこで、個体牛で分娩時期、乳量の違う色々な時期の牛乳を試飲し、同時に乳成分率を検査し、乳成分率と味の関係を追求した。

0036

調査の方法は、毎月行う牛群検定の検査用サンプル牛乳の一部を試飲し、同時に、乳成分率検査を行った。試飲牛乳の診断基準は、甘さの味覚から3グループに分類し、濃さの味覚から3グループに分類して、乳成分率と味の関係を追求した。試飲した時点では、検査結果が出ていないので、乳成分率は白紙の状態で試飲した。

0037

(1)牛乳の甘さ
牛乳の甘さは牛によって違い、中には大変甘さが強い牛乳があった。逆に甘さの少ない、塩味が強い牛乳も存在していた。そして、牛乳の甘さの味覚の違いから、3グループに分類出来た(表2)。

0038

(A)グループの牛乳は、砂糖を加えたような甘さがあり、塩の感じのほとんど無い味。
(B)グループの牛乳は、砂糖の甘さに僅かな塩を混合したような味。
(C)グループの牛乳は、甘さはあまり感じないで塩の味が感じられる味。

0039

【表2】
牛乳の甘さと乳成分の関連

0040

Aグループの甘さの強い牛乳の成分割合は、分娩後日数98.4日が示すように泌乳最盛期の牛が分泌している牛乳で、乳量は高く、乳糖率は4.71%でグループ中最も高い成分率を示した。乳糖率が4.7%〜4.8%以上ある牛乳は、砂糖を入れたように甘さが強い牛乳だった。

0041

Bグループの甘さが少なくなった牛乳は、乳糖率はAグループより低かった。分娩後日数111.8日で示すように、泌乳最盛期の牛で、乳量は三群の中で最も高かったが、乳脂肪率と乳蛋白質は一番低かった。

0042

Cグループの牛乳は、塩の味覚が強く、乳糖率は4.42%と3グループの中で一番低かった。分娩後日数183日で示すように、泌乳後半にある牛、あるいは乳量の低い牛が出している牛乳だった。乳脂肪率と乳蛋白質率は高かったが、乳糖率が低いので、無脂固形分率はAグループより低くなっていた。

0043

牛乳の甘さは乳糖率の高さが示していた。
3.0%付近では全く甘さは無く、味が無かった。常乳で見られるようになるのは、3%後半から4%近くなった乳糖率の牛乳で、ごく稀にしか見られない。3%近い乳糖率は初回搾乳の初乳にしかみられない。

0044

4.0%近くなれば抵抗無く飲めるが、甘さの味覚は少ない。4.0%付近の乳糖率の牛乳は、分娩直後か乾乳直前の牛乳である。乾乳期でも高乳量の牛は乳糖率の低下はない。4.5%付近が我が国酪農家の平均レベルである。4.7%以上あれば砂糖を入れたように大変甘い牛乳で、遺伝的に高い乳糖率を持つ牛に見られる牛乳である。

0045

(2)牛乳の濃さと乳成分
牛乳を飲んだ時に感じる味覚は、コクがあるかどうか、水っぽくないかだと思う。甘さを調べた同じ牛で、甘さは全く考えに入れず牛乳の濃さだけで考え
(D)大変濃い
(E)普通
(F)水っぽい牛乳の3グループに分類し、その中から更に
(G)で美味しい牛乳の4グループに分類し、乳成分率との関係を追求した。

0046

【表3】
牛乳の濃く、美味しさと乳成分率

0047

濃さだけを考えて牛乳を試飲したとき、濃いと感じた牛乳は全固形分率が高い牛乳であった。そして、水っぽいと感じた牛乳の全固形分率はグループの中で一番低かった。牛乳の濃さは、中に含まれている乳成分率(全固形分率)が多いほど濃い牛乳であった。

0048

(D)グループの濃い牛乳は、乳量が低く、それに引き替え、乳脂肪率と乳蛋白質率は三グループの中で一番高かった。濃いと感じられた牛乳は、泌乳の後半の牛が分泌している牛乳であった。逆に、乳糖率はグループの中で一番低く甘さの少ない牛乳だった。

0049

(E)グループの濃さが普通に感じられた牛乳は、Dグループに比べて、乳量が高い泌乳最盛期の牛乳で、乳脂肪率と乳蛋白質率はそれほど低下していなかった。そして、乳糖率はDグループより高くなっていた。

0050

(F)グループの水っぽい牛乳の乳成分率は、乳量は一番高く、乳脂肪率と乳蛋白質率が特に低く、その結果、全固形分率は一番低下していた。しかし、乳糖率は一番高く、甘さがある牛乳であった。牛乳の濃さは、全固形分率の高さで示されていた。

0051

(3)美味しい牛乳と乳糖率
(G)グループに示された美味しい牛乳を分泌する牛の乳成分率は、泌乳最盛期にある乳糖率が高い牛乳であった。牛乳の美味しさは乳糖率で示された。

0052

平均乳では、乳糖率の差が表面に出ることはなく、乳成分率と味の関係を表明できなかった。しかし、個体牛で乳成分率と味の関係を追求した結果、牛乳の味は牛ごとに皆違っていた。そして牛乳に甘さを与え、美味しさの中心成分は乳糖であり、乳糖率の高さが美味しさの度合いを示していた。

0053

牛乳の美味しさを示すのに、もう一つ牛乳らしいコクが上げられる。牛乳中に含まれている全部の成分が、牛乳のコクを作り出していると考えるのが妥当で、牛乳のコクは全固形分率が表明していた。結論として、牛乳の美味しさは乳糖率と全固形分率で表明できた。

0054

3.平均乳糖率を高めるために
(1)検定農家牛乳と市販牛乳の乳糖率の差から
実際問題として、私たちが飲んでいる牛乳は全て平均乳である。美味しい牛乳を飲むためには、平均乳の乳糖率を高める必要がある。そこで、6名の検定農家と市販牛乳の乳成分率を比較し、平均乳の乳糖率を高めるため、美味しい牛乳を生産するための方策を考えてみた。

0055

牛群検定成績から、飼養管理技術が優れている6名の成分率と、管理技術が悪く、乳成分率も最低にある一般農家まで含む市販牛乳の乳成分率を比較してみた(表4)。

0056

【表4】
検定農家牛乳と市販牛乳の乳成分率比較

0057

検定農家の平均乳量は31.71キロを示したが、この成績は一般農家よりかなり高い乳量を示していた。検定を実施していない一般農家の平均乳量は推定するしかないが、20〜24キロ位である。

0058

乳脂肪率では、検定農家と市販牛乳の差は殆どなかったが、乳蛋白質率と乳糖率は検定農家の方が大きく上回っていた(表4)。検定農家の乳糖率の明らかな高さが、牛乳の甘さは多く、美味しい牛乳であることを示していた。

0059

検定農家は乳成分率の改良目標として、無脂固形分率の向上を主とした牡牛を交配し、生まれた子牛を自家育成した結果が、乳糖率4.54%の向上で示された(表4)。

0060

このことから、乳糖率の向上には遺伝の要因が強いことを示し、その結果が、無脂固形分率の大きな差になった。よく消費者が搾乳直後の牛乳を飲んだ感想で、搾乳直後の牛乳は美味しいと言い、新鮮だから美味しいというが、美味しい原因は乳糖率の明瞭な差が示していた。

0061

高度平均乳(市乳)の平均乳糖率は4.43%を示し、検定農家の乳糖率を大きく下回っていた(表4)。検定を実施しない多くの一般農家は、牡牛の選抜には全く無関心で、その結果が、遺伝の強い乳糖率の向上が少なかったことが大きな原因になった。

0062

乳糖率に大きな差を生じたのは、6名の検定農家は4〜5年前から、乳成分率の改善で、特に無脂固形分率の向上を目指した牡牛の交配を進めてきた。その結果、初産、2産の若い牛が搾乳を開始することで、乳糖率の急速な向上に繋がり、その結果が、6名の検定農家の乳糖率の向上で示された(表4)。このことは、乳糖率は遺伝の支配が強いことを示していた。

0063

(2)の乳成分率の差から分かった乳糖の働き
乳成分率は、季節の影響を強く受けて変動している。夏になると乳成分率を低下させ、冬になると乳成分率が向上するのは良く知られている。しかし、乳糖率は夏と冬でどう違うか、牛乳の味がそれに伴って違っているかどうか全く知られていない(表5,表6)。

0064

▲1▼8月の乳成分率の低下と牛乳の味
乳牛は暑さに弱い動物であり、気温が24度以上に上昇すると乾物摂取量を低下させ体力を弱める。乾物摂取量の低下の結果、乳成分生成の原料摂取が不足し、乳成分率を低下させる。夏(8月)の6名の検定農家と市販牛乳の乳成分率の差から考えてみた(表5)。

0065

【表5】
夏(8月)検定農家牛乳と市販牛乳の乳成分比較

0066

夏(8月)の乳成分率は、検定農家の牛乳も、市販牛乳も乳脂肪率と乳蛋白質率を著しく低下させた。その結果、全固形分率を低下させたので、牛乳は水っぽくなり、薄く感じられた。

0067

しかし、検定農家の夏(8月)の乳糖率は、冬よりも0.05%高かった。その結果、夏の検定農家牛乳はやや薄く感じたが、甘さがある飲みやすい牛乳であった。市販牛乳の場合も、乳糖率は冬より0.02%高くなっていたが、その差0.02%では明瞭に区別出来なかった。

0068

夏の検定農家の牛乳を飲んで言えることは、濃さは少なくなるが、牛乳の甘さを増し美味しい牛乳と言えた。このことは、ローファット牛乳の美味しさと共通している部分があると思う。このことから、牛乳の美味しさは乳糖にあることを示していた。

0069

▲2▼冬の検定農家牛乳と市販牛乳の乳成分率
冬期の検定農家牛乳と市販牛乳の乳成分率の差を示した(表6)。

0070

【表6】
冬(1月)の検定農家牛乳の市販牛乳の乳成分比較

0071

冬期の牛乳の乳成分率の特徴は、検定農家牛乳も、市販牛乳も乳脂肪率を著しく向上させた。例えば、市販牛乳で冬期限定の標示がある牛乳も、或いは、乳脂肪率3.6%の成分表示のままの牛乳も、冬期の平均脂肪率は4.12%であった。そして、標準偏差の下限値も4.03%以上を示しており、冬期の市販牛乳には乳脂肪率が4.0%以下の牛乳は殆どなかった。

0072

冬期の検定農家牛乳の乳蛋白質率は、3.39%と夏よりも大きく向上を示した。市販牛乳でも、乳蛋白質率は3.29%と向上を示した。乳蛋白質率は、乳成分中で最も飼養管理に左右されて決まる乳成分なので、検定農家の飼養管理の方が、一般農家をかなり上回ることを示していた。

0073

冬期の検定農家の乳糖率は4.51%であり、夏よりも0.05%低くなっていた。市販牛乳の場合も、冬期の乳糖率は0.02%低くなっていた。検定農家の牛乳を飲むと、冬期の牛乳はコクは十分であったが、甘さは夏期牛乳の方が優れていた。市販牛乳の場合は、乳糖率の差0.02%と少ないので、味の違いは感じなかった。

0074

乳糖は、乳成分間のバランスを調整する作用も持っている。例えば、乳脂肪率、乳蛋白質率の著しい向上がある場合、乳成分感のバランスを修正する意味から乳糖率を低下させる方向に機能していた。その結果、夏と冬の牛乳の味は違っている。

0075

この項で新たに見出したことは、▲1▼乳糖率は、乳成分中で遺伝の支配が一番強い。そこで、乳糖率の向上を目指すためには、無脂固形分率の向上を主とした牡牛を選択し、その雌牛から生まれた子牛を育成し搾乳することが一番早く良い。▲2▼乳糖は、乳成分間のバランスを修正する働きを持っていることである。

0076

4.乳糖率の遺伝の診断法
最初に、6名の検定農家の一年間に渡る成績から、乳量、乳成分率は分娩後どう変動しているのか分析してみた。乳量は、分娩後16日〜75日間で最も高く、この期間が泌乳最盛期であることを示し、この間における乳脂肪率と乳蛋白質率は最も低下を示していた。だが、乳糖率の変動は前者の二成分率とは逆であって、泌乳最盛期には増加し、殆ど変動しない安定した推移を示していた(表7)。

0077

【表7】
常乳の乳量、乳成分率の月間平均値

0078

乳糖率は、乳成分の中で一番遺伝の要因が主体で決まる以上、まず最初に、個体牛が持っている遺伝因子を診断する必要がある。その牛の乳糖率が、遺伝によって決まっているなら、12ヶ月間に渡る乳糖率の検定成績が大きく変動することはない。

0079

個体牛が持っている乳糖率の遺伝因子を診断する方法として、診断対象牛の12ヶ月間に渡る乳糖率の実数を表7の基準成績と比較し、多いか少ないかを三色カラー分類して示した(図1)。カラー分類で示されたその牛の乳糖率は、殆ど一定した乳糖率のまま流れていた。

0080

乳糖率のカラー分類の実例を、「3102−228」検定農家の成績から示した。検定月ごとの乳糖率が、基準成績の平均+0.5標準偏差を上回る場合は、乳糖率を青プリントで示した{白黒プリントでは乳糖率の右側に(+)マークを印した}。

0081

逆に、乳糖率が平均−0.5標準偏差を下回れば、乳糖率を赤プリントで示した{白黒プリントでは乳糖率の右側に(−)マークを印した}。高い乳糖率の遺伝子を持つ牛は、10ヶ月〜12ヶ月間の乳糖率は殆ど青プリントで示されていた。そして、途中で青プリント乳糖率の牛が、赤プリント乳糖率に変わることは殆どなかった(図1)。

0082

3102−228の検定農家の345号乳牛、348号乳牛は12ヶ月に渡る検定成績の乳糖率が、総て4.8%以上を示していた。カラー分類で見ると、乳糖率は総て青プリントで示され、高い乳糖率の遺伝を持つ乳牛であることを示していた。

0083

逆に、300号乳牛、304号乳牛の一年間の乳糖率は、赤プリント乳糖率で示され、低い乳糖率の遺伝を持つ乳牛であることを示していた。その乳牛が持っている乳糖率は、遺伝によって高い乳牛と低い乳牛に大別されていた。

0084

一年間の検定成績から、個体牛の毎月の乳糖率を平均した場合には、その牛が持っている固有の乳糖率を良く表現していた。その牛の一年間の乳糖率は、その牛が遺伝によって定まった、固有の乳糖率を持っていることを示していた(図1)。

0085

資料から乳糖率の平均値を計算する場合、資料の一番多い数字を表現するものであって、その牛の一泌乳期の平均乳糖率が、高いか低いかは平均値からでは診断できない。

0086

本発明の重要な点は、個体牛の検定成績を一年間に渡って観察することで、それぞれの乳牛は、固有の乳糖率を持っていることを確認できた。そして、遺伝形質発現は、遺伝と環境の両方が関与しているが、乳糖率の決定は遺伝の関与が強く働いて決まる。

0087

乳成分率と味の関係について
(1)牛乳は、分娩直後から一週間までに出す牛乳を初乳と明確に区別している。初乳を飲用したり、食材にする習慣が全くないので、初乳の味は全く知られていない。そこで、初乳の乳成分率の変動と味の関係を追求した。

0088

分娩後、第一回に搾乳した初乳中の乳糖率は3.14%で、常乳には全く見られない異常な低さであった。しかし、分娩後の経過日数が増えるに従い、乳糖率は急速に上昇し、普通の乳糖率まで上昇すると牛乳は飲み易くなった。このことから、牛乳に甘さを与え、美味しく飲めるようにする成分は乳糖であることを示した。

0089

(2)常乳になり、飲用に供給される牛乳は総て複数の牛の平均乳である。当然、個体牛の牛乳を飲むことは不可能であり、乳成分率と味の関係が明確に分からなくしている。

0090

そこで、牛群検定の乳成分検査用サンプル牛乳の一部を試飲し、各乳成分率と美味しさの関係を追求し、甘さ、美味しさを左右するのは乳成分中の乳糖であることが確認できた。そして、牛乳の甘さ、美味しさは、乳糖率により示される。

0091

(3)常乳になってからの乳糖率の変動を見る限り、その変動は非常に少なく、安定した変動の少ない乳成分と思われている。その結果、現在の乳成分率の標示は、乳脂肪率、乳蛋白質率、無脂固形分率の標示で行われている。牛乳の美味しさの中心成分である、乳糖率を直接標示していないので、牛乳の美味しさと乳糖率の関係を分からなくしてきた。

発明が解決しようとする課題

0092

(4)美味しい牛乳を生産するためには、平均乳の乳糖率を向上させなければならない。乳糖率は、乳成分の中で一番遺伝の要因で決まる成分である。乳牛一頭ごとの分娩後の乳糖率の推移を観察すると、一泌乳期を通じ、高い乳糖率で推移する高乳糖率の遺伝を持つ牛と、低い乳糖率で推移する低乳糖率の牛に二分化された。平均乳糖率の変動が少ない中でも、高い乳糖率を持つ牛と低い乳糖率を持つ牛に二分されるものである。

図面の簡単な説明

0093

本発明により、牛乳の美味しさの判別は、乳糖率で単純明解に示すことができる。また、牛乳の美味しさが乳糖率で診断できるので、美味しい牛乳を生産する乳牛を育成することができる。

図1
本発明である牛乳の美味しさの判別法を診断する乳糖率の実数の三色カラー分類表を示した図である。

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