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技術 生分解性プラスチック組成物、その成形品及びこれを利用した生分解速度制御方法

出願人 日清紡ホールディングス株式会社
発明者 高橋郁夫飯田浩貴中村典雅山崎善宏竹内剛
出願日 2002年11月8日 (16年8ヶ月経過) 出願番号 2002-325201
公開日 2004年6月3日 (15年1ヶ月経過) 公開番号 2004-155993
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の製造 高分子組成物 生分解性ポリマー
主要キーワード 周辺雰囲気中 微生物産生多糖類 生分解性プラスチック製品 生分解性プラスチック組成物 カルボジイミド触媒 フォスフォレン 生分解プラスチック 押出し成形品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年6月3日)のものです。
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課題

生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示す生分解性プラスチック組成物、その成形品及び生分解性プラスチック生分解速度制御方法を提供する。

解決手段

生分解性プラスチック(A)100重量部に対して、カルボジイミド化合物(B)を0.01〜10重量部、及びベンゾトリアゾール系、トリアジン系又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種化合物(C)を0.01〜10重量部配合してなることを特徴とする生分解性プラスチック、その成形品及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法などを提供した。

概要

背景

近年、プラスチック廃棄物による環境汚染等の問題がクローズアップされる中、環境保全に対する必要性と意義の高まりから、生分解性プラスチック研究開発が進められている。

概要

生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示す生分解性プラスチック組成物、その成形品及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法を提供する。生分解性プラスチック(A)100重量部に対して、カルボジイミド化合物(B)を0.01〜10重量部、及びベンゾトリアゾール系、トリアジン系又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種化合物(C)を0.01〜10重量部配合してなることを特徴とする生分解性プラスチック、その成形品及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法などを提供した。 なし

目的

したがって、本発明の目的は、従来技術の問題点を解消して、生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性や耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示す生分解性プラスチック組成物、その成形品及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
11件

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請求項1

生分解性プラスチック(A)100重量部に対して、カルボジイミド化合物(B)を0.01〜10重量部、及びベンゾトリアゾール系化合物トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種化合物(C)を0.01〜10重量部配合してなることを特徴とする生分解性プラスチック組成物

請求項2

ベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項3

トリアジン系化合物は、トリアジン系紫外線吸収剤、又は分子中に少なくとも一つのアミノ基を有するトリアジン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項4

ヒドロキシルアミン系化合物は、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、又はそれらの誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項5

生分解性プラスチック(A)は、脂肪族系ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項6

カルボジイミド化合物(B)は、脂肪族ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項7

脂肪族ポリカルボジイミド化合物は、その末端イソシアネート末端を有するものであることを特徴とする請求項6に記載の生分解性プラスチック組成物。

請求項8

請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性プラスチック組成物を用いてなる生分解性プラスチック成形品

請求項9

成形品の形状は、型物成形品押出し成形品ブロー成形品熱成形品、繊維、不織布、フィルム又はシート状物であることを特徴とする請求項8に記載の生分解性プラスチック成形品。

請求項10

生分解性プラスチック(A)にカルボジイミド化合物(B)及びベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を配合することによりその生分解性を調整することを特徴とする生分解性プラスチックの生分解速度制御方法

技術分野

0001

本発明は、生分解性プラスチック組成物、その成形品及びこれを利用した生分解速度制御方法に関し、さらに詳しくは、生分解性プラスチックに特定の配合剤を配合することにより、耐加水分解性耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示す生分解性プラスチック組成物、それを用いる生分解性成形品等の用途、及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法に関する。

0002

近年、プラスチック廃棄物による環境汚染等の問題がクローズアップされる中、環境保全に対する必要性と意義の高まりから、生分解性プラスチックの研究開発が進められている。

0003

生分解性を有するプラスチックは、分子骨格ポリエステルを有する脂肪族系ポリエステル微生物産生も含む)、セルロースなどの天然高分子系のもの、微生物産生多糖類ポリビニルアルコールPVA)や、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテル等に大別することができる。
これらの内、脂肪族系ポリエステルは、一般に融点が低く、製造時の熱安定性も不良であり、更には実用的な成形品に適した物性を得るために充分な分子量が得られないため、生分解性プラスチックとして利用されていなかったが、この問題点を克服するための技術開発に伴い、高分子量脂肪族系ポリエステルが登場し、農林水産用資材マルチフィルム植栽ポット釣糸魚網等)、土木工事資材保水シート、植物ネット土嚢等)、包装容器分野(土、食品等が付着してリサイクルが難しいもの)等に利用され始めている。

0004

しかし、上記脂肪族系ポリエステルを始めとする生分解性プラスチックは、使用中においては従来のプラスチックと同レベルの機能(例えば強度、耐水性成形加工性耐熱性)を有し、且つ、廃棄時には自然界に一般に存在する微生物により速やかに分解される必要がある。

0005

このような事情から、これまでに生分解性プラスチックの生分解速度の制御に関する提案がいくつかなされており、例えば、加水分解酵素を添加して分解時間を短縮することを目的としたもの(例えば、特許文献1参照。)や、逆にポリマー中の未反応モノマ−や不純物鎖状・環状のオリゴマー等の低分子量化合物を低減し、分解時間を延長することを目的としたもの(例えば、特許文献2参照。)が知られている。

0006

しかしながら、これらの提案にも拘わらず、現状では、従来技術による脂肪族ポリエステルからなる生分解性プラスチックは、例えばプラスチック製品原料となるペレットを製造したり、該ペレットから製品を製造したりする工程で、周辺雰囲気中の水分に晒されたり、熱が加えられることにより、脂肪族ポリエステル中加水分解反応が進行し、成形品の初期物性が低下したり、ばらついたりすると共に、製品の生分解性が不安定であるという問題点を抱えており、生分解性、すなわち生分解速度の調節は未だ十分とはいえなかった。
そこで、本出願人は、先に、生分解性プラスチックにカルボジイミド化合物を配合することにより、生分解速度を調節した生分解性プラスチック組成物など(例えば、特許文献3参照。)を提案したが、この提案では、耐加水分解性や生分解性の調節機能は、向上するものの、未だ十分ではなかった。さらに、耐加水分解性を高めるために、カルボジイミド化合物の添加量を増加させたが、その添加量の増加に従い、特にポリ乳酸系生分解性プラスチック製品の透明性が失われていくという問題があった。
また、生分解性ポリマーに、加水分解安定剤として芳香族カルボジイミドを添加して、分解時間の延長を目的としたもの(例えば、特許文献4参照。)が提案されているが、耐加水分解性は、向上するものの、未だ十分ではなく、さらに、その添加量の多少にかかわらず生分解性プラスチック製品が透明性を失い、また耐候性が劣るという問題があった。

0007

さらに、生分解性ポリマーである乳酸系ポリマー100重量部に対し、紫外線吸収剤及び光安定剤から選ばれた少なくとも一種添加剤0.001〜5重量部を含むことを特徴とする乳酸系ポリマー組成物などが提案されている(例えば、特許文献5参照。)が、これは太陽光等による分解を抑制することが目的であり、加水分解性を抑制させるものではない。
一方、生分解性プラスチックではないが、比較的耐熱性の高い熱可塑性ポリエステル樹脂の耐候性、耐アルカリ性、耐加水分解性を高めるために、熱可塑性ポリエステル樹脂中に、樹脂型紫外線吸収剤及び脂肪族系ポリカルボジイミド化合物を含有することを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)が、該特許で記載されている樹脂型紫外線吸収剤では、生分解性プラスチックとの相溶性が悪いという問題がある。

背景技術

0008

【特許文献1】
特開平4−168149号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平9−12688号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】
特開平11−80522号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】
特表2001−525473号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献5】
特開平6−184417号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献6】
特開2002−114893号公報(特許請求の範囲等)

発明が解決しようとする課題

0009

したがって、本発明の目的は、従来技術の問題点を解消して、生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性や耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示す生分解性プラスチック組成物、その成形品及び生分解性プラスチックの生分解速度制御方法を提供することにある。

0010

本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性プラスチック、特に脂肪族系ポリエステルに対し、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)と特定の化合物とを併用し、それらを特定量配合することにより、得られた生分解性プラスチック組成物は、耐加水分解性と耐候性の向上がみられ、特にカルボジイミド化合物と特定の化合物との相乗効果により耐加水分解性に優れ、その結果、生分解性プラスチックの生分解速度を調節できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。

0011

すなわち、本発明の第1の発明によれば、生分解性プラスチック(A)100重量部に対して、カルボジイミド化合物(B)を0.01〜10重量部、及びベンゾトリアゾール系化合物トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を0.01〜10重量部配合してなることを特徴とする生分解性プラスチックが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、トリアジン系化合物は、トリアジン系紫外線吸収剤、又は分子中に少なくとも一つのアミノ基を有するトリアジン誘導体であることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。
またさらに、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、ヒドロキシルアミン系化合物は、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、又はそれらの誘導体であることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。

0012

本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、生分解性プラスチック(A)は、脂肪族系ポリエステルであることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、カルボジイミド化合物(B)は、脂肪族ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、脂肪族ポリカルボジイミド化合物は、その末端イソシアネート末端を有するものであることを特徴とする生分解性プラスチック組成物が提供される。

0013

一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明の生分解性プラスチック組成物を用いてなる生分解性プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、成形品の形状は、型物成形品押出し成形品ブロー成形品熱成形品、繊維、不織布、フィルム又はシート状物であることを特徴とする生分解性プラスチック成形品が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、生分解性プラスチック(A)にカルボジイミド化合物(B)及びベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を配合することによりその生分解性を調整することを特徴とする生分解性プラスチックの生分解速度制御方法が提供される。

0014

本発明は、上記した如く、生分解性プラスチック(A)に、カルボジイミド化合物(B)及び特定の化合物(C)を特定量配合してなることを特徴とする生分解性プラスチック組成物などに係わるものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、生分解性プラスチック(A)100重量部に対して、カルボジイミド化合物(B)を0.1〜5重量部、及び化合物(C)を0.1〜5重量部配合してなることを特徴とする生分解性プラスチック組成物。
(2)第3の発明において、トリアジン系化合物は、トリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする生分解性プラスチック組成物。
(3)第4の発明において、ヒドロキシルアミン系化合物は、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールであることを特徴とする生分解性プラスチック組成物。
(4)第5の発明において、脂肪族系ポリエステルは、ポリ乳酸系ポリエステルであることを特徴とする生分解性プラスチック組成物。

0015

【発明の実施の態様】
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
本発明の生分解性プラスチック組成物は、生分解性プラスチック(A)に、カルボジイミド化合物(B)、及びベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を配合してなることを特徴とするものである。

0016

1.生分解性プラスチック(A)
本発明の生分解性プラスチック組成物に用いられる、主成分の生分解性プラスチックとしては、例えば微生物によって代謝されるポリエステル系のものを挙げることができ、中でも微生物によって代謝され易い脂肪族系ポリエステルが好ましい。

0017

一般に、生分解性プラスチックは、次の過程生分解が進行するといわれている。
すなわち、環境中に放出された高分子材料(生分解性プラスチック)の分解において、▲1▼先ず、高分子分解酵素がその高分子材料の表面に吸着する。この酵素は、ある種の微生物が菌体外分泌したものである。▲2▼次に、この酵素が高分子鎖エステル結合グリコシド結合ペプチド結合などの化学結合を加水分解反応によって切断する。▲3▼その結果、高分子材料は、低分子量化され、分解酵素によりモノマー単位まで分解される。▲4▼そして、分解生成物は、さまざまな微生物により、代謝・資化され、二酸化炭素、水、菌体成分などに変換されていくというものである。
但し、ポリ乳酸に代表されるポリ(α—オキシ酸)ついては、次の2段階の過程で生分解が進行すると言われている。
すなわち、高分子量ポリ乳酸は、微生物により分解されにくく、1次分解では微生物の関与しない単純な加水分解が主体となる。そして、Mn(数平均分子量)が10,000〜20,000程度まで分解されると、単純な加水分解の他、微生物の高分子分解酵素による2次分解が進行し、モノマー単位にまで分解される。そして、分解生成物は、さまざまな微生物により、代謝・資化され、二酸化炭素、水、菌体成分などに変換されていくというものである。

0018

加水分解反応が起き、微生物によって代謝され易い脂肪族系ポリエステルとしては、
(1)ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステル、
(2)多価アルコール類多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステル、
(3)ポリヒドロキシブチレートPHB)等の微生物産生脂肪族ポリエステル、
(4)ポリカプロラクトン(PCL)系脂肪族ポリエステル、
等が挙げられ、本発明においては、生分解性プラスチックとして、上記のいずれをも、好ましく用いることができる。
また、本発明においては、生分解性プラスチックとして、上記の脂肪族ポリエステルに限定されずに、生分解性プラスチック中の高分子鎖が加水分解反応によって切断するエステル結合やグリコシド結合、ペプチド結合などの化学結合を有するものであれば用いることができる。そのようなものとして、例えば、脂肪族ポリエステルの分子鎖骨格カーボネート構造ランダムに導入した脂肪族ポリエステルのカーボネート共重合体や、脂肪族ポリエステルの分子鎖骨格にナイロンを導入し、アミド結合を有する脂肪族ポリエステルとポリアミド共重合体などが挙げられる。

0019

次に、脂肪族系ポリエステルについて、さらに詳細に説明する。
(1)ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステル
ポリ乳酸(ポリラクチド)系脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチド類が挙げられ、具体的には、乳酸リンゴ酸グリコール酸等のオキシ酸の重合体又はこれらの共重合体、例えば、ポリ乳酸、ポリ(α−リンゴ酸)、ポリグリコール酸、グリコール酸−乳酸共重合体などであり、特にポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルを挙げることができる。

0020

上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルは、通常、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類開環重合による方法、いわゆるラクチド法により、また、ラクチド法以外では、乳酸の通接脱水縮合法やホルマリン炭酸ガスとの重縮合法により得ることができるものである。

0021

また、上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルを製造するための触媒としては、錫、アンチモン亜鉛チタン、鉄、アルミニウム化合物を例示することができ、中でも錫系触媒アルミニウム系触媒が好ましく、オクチル酸錫アルミニウムアセチルアセトナートが特に好適である。

0022

上記ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルの中でも、ラクチド開環重合により得られるポリL−乳酸が、加水分解されてL−乳酸になると共にその安全性も確認されているために好ましいが、本発明で使用するポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルは、これに限定されることはなく、従ってその製造に使用するラクチドについても、L体に限定されない。

0023

(2)多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステル多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族系グリコール類と脂肪族多塩基酸(又はその無水物)とを、触媒の存在下に反応させることにより得られる脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステル、或いは、必要に応じ少量のカップリング剤を使用して反応させることにより得られる、高分子量の脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを例示することができる。

0024

本発明で使用される脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するための脂肪族系グリコール類としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオールデカメチレングリコールネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ、エチレンオキシドを使用することもできる。尚、これらのグリコール類は、その2種以上を併用してもよい。

0025

上記脂肪族系グリコール類と反応して脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを形成する脂肪族多塩基酸及びその酸無水物としては、コハク酸アジピン酸スベリン酸セバシン酸ドデカン酸無水コハク酸や無水アジピン酸等、一般的に市販されているものを使用することができる。尚、これら多塩基酸やその酸無水物は、その2種以上を併用してもよい。

0026

上記グリコール類及び多塩基酸は、脂肪族系のものであるが、少量の他成分、例えば芳香族系グリコール類及びテレフタル酸無水トリメリット酸無水ピロメリット酸等の芳香族系多塩基酸を併用することもできる。

0027

また、上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するための触媒としては、チタン、スズ、アンチモン、セリウム、亜鉛、コバルト、鉄、鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウムゲルマニウム等の金属の有機酸塩アルコキサイド酸化物を例示することができ、これらのうち、スズ系又はアルミニウム系の化合物が好適である。

0028

上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルを製造するには、当量の脂肪族系グリコール類及び脂肪族多塩基酸と触媒とを、必要であれば原料化合物に応じて適宜に選択した溶媒を使用し、加熱して反応させればよく、反応の進行程度を抑制することにより、重合度の低いプレポリマーを製造することができる。

0029

上記のような脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルの製造においては、更に数平均分子量を高めるために、特に重合度の低いプレポリマーに対し、カップリング剤を使用することもでき、このカップリング剤としては、例えばジイソシアネートオキサゾリンジエポキシ化合物、酸無水物等を挙げることができるが、特にジイソシアネートの使用が好適である。

0030

上記カップリング剤としてのジイソシアネートは、その種類に特に制限はないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートキシリレンジイソシアネート水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートイソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができ、特にへキサメレンジイソシアネ−トが、得られる脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルの色相や、前記プレポリマーへの配合時の反応性等の点から好ましい。

0031

上記カップリング剤の配合量は、例えば前記プレポリマー100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部であり、0.1重量部未満ではカップリング反応が不十分であり、5重量部以上ではゲル化が起こり易くなる。

0032

また、上記脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルは、二重結合ウレタン結合尿素結合等を介して、他の化合物により末端のヒドロキシル基封止したものや、変性された脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステルであってもよい。

0033

多価アルコール類と多塩基酸類との縮合反応物である脂肪族ポリエステルについて、具体的に市販されているものとしては、例えば、ポリブチレンサクシネートPBS)やポリエチレンサクシネート(PES)等が挙げられる。
そのポリブチレンサクシネート(PBS)系脂肪族ポリエステルとしては、例えばブタンジオールとコハク酸からなるポリブチレンサクシネート(PBS)、又は生分解性を加速させるためにアジピン酸を共重合させたアジペート共重合体(PBSA)、さらにテレフタール酸を共重合させたアジペートテレフタレート共重合体が挙げられ、市販品としては、例えば、昭和高分子株式会社販売の「ビオノーレ」(商品名)、イーレ・ケミカル製の「エンポール」(商品名)、BASF製の「エコフレックス」(商品名)、デュポン社製の「バイオマックス」(商品名)等がある。
また、ポリエチレンサクシネート(PES)も市販され、市販品としては、例えば、日本触媒株式会社販売の「ルナーレSE」(商品名)がある。

0034

(3)微生物産生脂肪族系ポリエステル
ある種の微生物は、ポリエステルを菌体内蓄積する。微生物産生ポリエステルは、生体由来の融点をもつ熱可塑性ポリマーである。また、このようなポリエステルは、自然界で微生物が菌体外に分泌する酵素により分解され、分解生成物が微生物によって資化されるため完全に消滅する。
このような微生物産生(脂肪族系)ポリエステルとしては、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸ヒドロキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸)共重合体などが挙げられる。

0035

(4)ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル
脂肪族ポリエステルの一種であるポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの開環重合により得ることができ、水不溶性高分子でありながら、多くの菌により分解される。
ポリカプロラクトンは、一般式:−(O(CH2)5CO)n−で表される脂肪族ポリエステルであり、このようなポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルの市販品としては、例えば、日本ユニカー株式会社販売の「トーン」(商品名)がある。

0036

2.カルボジイミド化合物(B)
本発明において用いられる、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)としては、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができ、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70度以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができるものを挙げることができる。

0037

上記カルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドジイソプロピルカルボジイミドジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易であるという面から、ジシクロヘキシルカルボジイミド或いはジイソプロピルカルボジイミドが好適である。

0038

また、上記カルボジイミド化合物に含まれるポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には、従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。

0039

ポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート脂肪族ジイソシアネート脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。

0040

また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、重合反応を冷却等により、途中で停止させ適当な重合度に制御することができる。この場合、末端はイソシアネートとなる。更に、適当な重合度に制御するには、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、または、一部を封止する方法もある。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性向上や保存安定性を高めたりすることなどができ、品質向上の点で好ましい。

0041

このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネートトリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を例示することができる。

0042

また、ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって−OH基を有する、メタノールエタノールフェノールシクロヘキサノールN−メチルエタノールアミンポリエチレングリコールモノメチルエーテルポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミンジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH2基を有するブチルアミンシクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を持つエチルメルカプタンアリルメルカプタンチオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸メチルテトラヒドロ無水フタル酸メチルヘキサヒドロ無水フタル酸のような酸無水物等を例示することができる。

0043

上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うものであり、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)4[Mは、チタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等を、Rは、炭素数1〜20までのアルキル基又はアリール基を示す]で表されるもの)が好適であり、特に活性の面から、有機リン系化合物ではフォスフォレンオキシド類が、また、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が好ましい。

0044

上記フォスフォレンオキシド類としては、具体的には、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド又はこれらの二重結合異性体を例示することができ、中でも工業的に入手の容易な3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。

0045

本発明の生分解性プラスチック組成物において、本発明者らによれば、カルボジイミド化合物(B)の機能は、添加後初期の段階では、加水分解を促進させると考えられる生分解プラスチック内に残存する水酸基カルボキシル基と反応して加水分解を抑制し、その後は、加水分解反応によって切断された生分解性プラスチックの結合に付加して、再結合させるものとして働くものである。
そのための、カルボジイミド化合物としては、上記のような機能を有する分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物であれば、特に限定されないが、安全性・安定性・相溶性の点から、脂肪族ポリカルボジイミド化合物が好ましい。
さらに、脂肪族カルボジイミド化合物の末端がイソシアネート末端を有するものが、耐加水分解性の点から特に好ましい。
また、耐加水分解性、耐候性、相溶性の点からは、芳香族カルボジイミド化合物よりも、脂肪族カルボジイミド化合物の方が好ましい、

0046

カルボジイミド化合物(B)の配合量は、生分解性プラスチック100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。配合量が0.01重量部未満であると、生分解性プラスチック組成物の生分解速度調節や制御可能の効果は見られず、一方、10重量部を超えると生分解性プラスチックの生分解性を損なう場合があり、さらに、透明性を必要とする用途では、透明性が悪化する恐れがある。

0047

3.化合物(C)
本発明の生分解性プラスチック組成物において、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物又はヒドロキシルアミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)が用いられる。
この化合物(C)は、生分解性プラスチック組成物に、カルボジイミド化合物(B)と併用することにより、生分解性プラスチックの加水分解を防止し、耐加水分解性に顕著な効果を発揮するものである。

0048

(1)ベンゾトリアゾール系化合物
本発明の生分解性プラスチック組成物において、化合物(C)の一つとして用いられるベンゾトリアゾール系化合物としては、通常、有機系紫外線吸収剤として用いられているものや、ペプチド縮合反応の際に用いられるものなどが挙げられ、単にベンゾトリアゾールやその誘導体であってもよい。

0049

紫外線吸収剤(UVA)として用いられているベンゾトリアゾール系化合物としては、通常、紫外線吸収剤として用いられているものならば特に制限なく、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
具体的には、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン(TINUVIN)234」、「チヌビン320」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」、「チヌビンP」や、住友化学株式会社製の「Sumisorb340」などが挙げられる。

0050

また、ペプチド縮合反応の際に用いられるベンゾトリアゾール系化合物としては、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)や、その誘導体などが挙げられる。

0051

(2)トリアジン系化合物
本発明において、化合物(C)の一つとして用いられるトリアジン系化合物としては、通常、有機系紫外線吸収剤として用いられているものや、分子中に少なくとも一つのアミノ基を有するトリアジン誘導体などが挙げられる。

0052

紫外線吸収剤(UVA)として用いられているトリアジン系化合物としては、通常紫外線吸収剤として用いられているものならば特に制限なく、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシルオキシ]フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]フェノールなどを挙げることができ、具体的には、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン(TINUVIN)1577」や、サイテックインダストリー社製の「Cyasorb(サイアソーブ) UV−1164」などが挙げられる。

0053

また、分子中に少なくとも一つのアミノ基を有するトリアジン誘導体としては、例えば、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン(又はメラミン)、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(又はベンゾグアナミン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−(ドデカシルアミノ)エチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(o−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−1,2ージヒドロ−2,2−ジメチル−1−(2,6−キシリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−メトキシエチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−エチル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−エチル−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−エチル−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。具体的には、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「IRGANOX565」、「CHIMSSORB119FL」などが挙げられる。本発明で使用するトリアジン誘導体は、これらに限定されるものではなく、分子中に少なくとも一つのアミノ基を有するトリアジン誘導体であれば、いずれも使用することができる。

0054

(3)ヒドロキシルアミン系化合物
本発明において、化合物(C)の一つとして用いられるヒドロキシルアミン系化合物としては、ペプチド縮合反応の際に用いられるものなどが挙げられ、例えば、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、N−ヒドロキシスクシンイミド、それらの誘導体などが挙げられる。尚、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールは、前記のベンゾトリアゾール系化合物にも例示しているものである。

0055

本発明の生分解性プラスチック組成物において、化合物(C)は、カルボジイミド化合物(B)と併用して、耐加水分解性と耐候性への改善効果、特に、耐加水分解性に対して相乗効果を得ることができる量で使用される。
そのため化合物(C)の配合量は、生分解性プラスチック100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。配合量が0.01重量部未満であると、生分解性プラスチック組成物の生分解速度調節や制御可能の効果は見られず、また、カルボジイミド化合物(B)との相乗効果が得られず、一方、10重量部を超えると生分解性プラスチックの生分解性を損なう場合があり、さらに、添加割合に見合う効果が得られない。

0056

本発明において、上記カルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)の生分解性プラスチック(A)への混合は、3者を有機溶剤に溶解した後に当該有機溶剤を留去することにより行うことができ、この場合の有機溶剤としては、生分解性プラスチックを溶解することは、もちろんのこと、更には非重合性活性水素を持たない有機溶剤を使用することが望ましく、具体的にはクロロホルムテトラヒドロフラン(THF)を例示することができる。

0057

また、上記カルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)の生分解性プラスチック(A)への混合方法は、押出機による溶融混練りによる方法や、生分解性プラスチックの合成終了後にカルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)を混入する方法を使用することもできる。
押出機による溶融混練り方法の場合、次のいずれの方法でも良い。
▲1▼カルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)を混ぜ合わせた後、生分解性プラスチック(A)に混合する。
▲2▼生分解性プラスチック(A)にカルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)のいずれか一つを混合し、その後、残りの一つを混合する。
▲3▼生分解性プラスチック(A)にカルボジイミド化合物(B)を混合したものと生分解性プラスチック(A)に化合物(C)を混合したものを混合する。
▲4▼カルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)及び生分解性プラスチック(A)を同時に混合する。

0058

尚、本発明に係る生分解性プラスチックの生分解速度は、配合するカルボジイミド化合物(B)及び化合物(C)の種類及び配合量により、その遅延を調節することができるので、目的とする製品に応じ、配合するカルボジイミド化合物の種類及び配合量を決定すればよい。

0059

4.その他の添加剤等
本発明の生分解性プラスチック組成物には、上記のカルボジイミド化合物(B)と化合物(C)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記カルボジイミド化合物(B)と化合物(C)以外の補強材クレイ層状ケイ酸塩無機有機フィラーアミン系やフェノール系又はリン系酸化防止剤熱安定剤ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等の他、難燃剤滑剤ワックス類着色剤結晶化促進剤デンプンのような分解性を有する有機物等を併用することもできる。

0060

本発明の生分解性プラスチック組成物は、生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性や耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示すために、農林水産用資材(マルチフィルム、マルチシート、植栽ポット、釣糸、魚網等)、土木工事資材(保水シート、植物ネット、土嚢等)、型物成形品、押出し成形品、ブロー成形品、熱成形品、繊維、不織布、包装・容器分野のフィルムなど、特に、フィルム、シートや繊維、ボトルトレイなどの生分解性プラスチック成形品に、好適に用いることができる。

0061

【実施例】
以下、本発明について実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の物性は、次の方法で測定し、評価したものである。

0062

[耐加水分解性]
供試試料試験片について、80℃、90%の恒温恒湿機中に、一定時間(200、150又は100時間)放置した後の引張り強度伸び伸度)を、放置前の引張り強度と伸び(伸度)に対する割合(%)として算出した。耐加水分解性は、引張り強度と伸び(伸度)の割合(%)が高いのが良好と判断される。

0063

[耐候性]
供試試料の試験片について、キセノンBPT50℃×60%の条件で、照射時間2000時間後の引張り強度と伸び(伸度)を、照射前の引張り強度と伸び(伸度)に対する割合(%)として算出した。耐候性は、引張り強度と伸び(伸度)の割合(%)が高いのが良好と判断される。

0064

実施例、比較例の前に、先ず、末端がイソシアネート末端である脂肪族カルボジイミド化合物を合成した。
[カルボジイミド化合物の合成例1]
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100重量部と、カルボジイミド触媒として3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドを0.5重量部加え、185℃で24時間カルボジイミド化反応を行なった。得られたイソシアネート末端を有するカルボジイミド化合物のNCO%は、2.4であり、平均重合度は15であった。

0065

[実施例1〜3]
生分解性プラスチック(A)として、主成分がポリブチレンサクシネート/アジペートである脂肪族系ポリエステル樹脂を用い、生分解性プラスチック(脂肪族系ポリエステル)100重量部に対して、実施例1では、カルボジイミド化合物(B)として、日清紡績株式会社製の脂肪族カルボジイミド化合物である「カルボジライトHMV−10B」を1重量部と、化合物(C)として、ベンゾトリアゾール系化合物の2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールであるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン234」を0.5重量部、実施例2では、カルボジイミド化合物(B)として、日清紡績株式会社製の脂肪族カルボジイミド化合物である「カルボジライトHMV−8CA」を1重量部と、化合物(C)として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン234」を0.5重量部、実施例3では、カルボジイミド化合物(B)として、バイエル社製の芳香族カルボジイミド化合物である「スタバクゾールP」を1重量部と、化合物(C)として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン234」を0.5重量部となるようドライブレンドした後、二軸押し出し機により混練し、Tダイにより厚さ200μmのフィルムを作製した。これらのフィルムよりJIS4号ダンベルを打抜き、これを試験片とし、耐候性と耐加水分解性(試験時間:200時間)を評価した。組成と評価結果を表1に示す。

0066

[比較例1〜3]
化合物(C)を配合しないこと以外は、実施例1〜3と同じ操作を行い、フィルムを作製し、耐候性と耐加水分解性(試験時間:200時間)を評価した。組成と評価結果を表1に示す。

0067

【表1】

0068

実施例1〜3と比較例1〜3の対比を示す表1の結果から、耐加水分解性と耐候性に対するカルボジイミド化合物(B)と化合物(C)の併用効果は、明らかである。

0069

[実施例4〜11]
実施例4では、生分解性プラスチックとして、主成分がポリ乳酸である脂肪族系ポリエステル樹脂を用い、カルボジイミド化合物(B)として、合成例1で合成したイソシアネート末端を有するカルボジイミド化合物と、化合物(C)として、ベンゾトリアゾール系化合物の2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールであるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン326」を用い、表2に示す割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐候性と耐加水分解性(試験時間:150時間)を評価した。組成と評価結果を表2に示す。

0070

実施例5〜11も、表2に示す組成、割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐候性と耐加水分解性(試験時間:150時間)を評価した。組成と評価結果を表2に示す。
尚、実施例10と実施例11では、化合物(C)として、トリアジン系化合物の2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]フェノールであるサイテック・インダストリー社製の「Cyasorb(サイアソーブ) UV−1164」を用いている。

0071

[比較例4〜8]
比較例4〜8も、表2に示す組成、割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐候性と耐加水分解性(試験時間:150時間)を評価した。組成と評価結果を表2に示す。
尚、比較例4〜6は、特定の化合物(C)を配合せず、比較例8は、カルボジイミド化合物(B)を配合せず、また、比較例7は、特定の化合物(C)とカルボジイミド化合物(B)を配合せずに、それらの代わりにオキサゾリン系化合物を配合している。

0072

【表2】

0073

[実施例12〜13]
実施例12は、生分解性プラスチック(A)として、主成分がポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレートであるポリエステル樹脂(商品名:イーレ・ケミカル製の「エンポールG8002」)を用い、カルボジイミド化合物(B)として、日清紡績株式会社製の脂肪族カルボジイミド化合物である「カルボジライトHMV−8CA」を用い、化合物(C)として、ベンゾトリアゾールを用い、表3に示す割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐加水分解性(試験時間:100時間)を評価した。組成と評価結果を表3に示す。

0074

また、実施例13は、生分解性プラスチック(A)として、主成分がポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレートであるポリエステル樹脂を用い、カルボジイミド化合物(B)として、日清紡績株式会社製の脂肪族カルボジイミド化合物である「カルボジライトHMV−8CA」を用い、化合物(C)として、ベンゾトリアゾール系化合物の2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールであるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン327」を用い、表3に示す割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐加水分解性(試験時間:100時間)を評価した。組成と評価結果を表3に示す。

0075

[比較例9〜12]
比較例9〜12も、表3に示す組成、割合で、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、耐加水分解性(試験時間:100時間)を評価した。組成と評価結果を表3に示す。

0076

尚、比較例9は、特定の化合物(C)とカルボジイミド化合物(B)を配合せずに、それらの代わりにエポキシ化合物を配合している。また、比較例10は、カルボジイミド化合物を配合せずに、その代わりにエポキシ化合物を配合している。さらに、比較例11は、特定の化合物(C)を配合せずに、その代わりにベンゾフェノン系紫外線吸収剤の2,2’−ジハイドロオキシ−4−メトキシベンゾフェノンであるサイテック・インダストリー社製の「サイアソーブ UV−24」を用いている。また、比較例12は、比較例8と同様にカルボジイミド化合物(B)を配合せず、化合物(C)として、ベンゾトリアゾール系化合物の2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールであるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン327」を配合している。

0077

【表3】

課題を解決するための手段

0078

表1〜3に示される実施例、比較例の結果から明らかなように、生分解性プラスチック(A)に、カルボジイミド化合物(B)と特定の化合物(C)を配合してなる本発明の生分解性プラスチック組成物では、カルボジイミド化合物(B)又は特定の化合物(C)を配合していない生分解性プラスチック組成物、例えば比較例1〜6や比較例8、12に比較して、その耐加水分解性や耐候性、特に、加水分解に基づく生分解性に対する耐性が著しく向上していることが判明した。さらに、カルボジイミド化合物の配合量を変更した実施例5〜8では、耐加水分解性が、概略配合量に比例して、良好となっていることから、カルボジイミド化合物の配合量の増減により、生分解速度を安定的に調節できることも判明した。
一方、カルボジイミド化合物又は特定の化合物(C)と類似の化合物を配合した比較例は、例えば、オキサゾリン系化合物を配合した比較例7、エポキシ化合物を配合した比較例9、10、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤を配合した比較例11では、耐加水分解性が良好とならないことも判明した。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した実施例13とベンゾフェノン系紫外線吸収剤の比較例11との対比では、特定の化合物(C)であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した実施例13が、耐加水分解性が良好となっていることも判明した。

発明の効果

0079

本発明の生分解性プラスチック組成物は、生分解性プラスチック(A)に、カルボジイミド化合物(B)及び特定の化合物(C)を特定量配合してなることを特徴としているために、生分解速度を安定的に調節でき、耐加水分解性や耐候性、とりわけ耐加水分解性が著しく向上し、それに伴って優れた耐久性を示すという顕著な効果を奏する。
このような優れた性能を有しているために、農林水産用資材(マルチフィルム、マルチシート、植栽ポット、釣糸、魚網等)、土木工事資材(保水シート、植物ネット、土嚢等)、型物成形品、押出し成形品、ブロー成形品、熱成形品、繊維、不織布、包装・容器分野のフィルムなど、特に、フィルム、シートや繊維、ボトル、トレイなどの生分解性プラスチック成形品に、好適に用いることができる。

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