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技術 多岐用途型リンカー化合物及びリガンド、並びにそれらの製造方法

出願人 国立研究開発法人科学技術振興機構国立大学法人鹿児島大学
発明者 隅田泰生荒野明男林秀樹楠本正一マイケルソベール
出願日 2003年7月2日 (16年11ヶ月経過) 出願番号 2003-190637
公開日 2004年6月3日 (16年0ヶ月経過) 公開番号 2004-155762
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 光学的手段による材料の調査、分析 糖類化合物 O,S系縮合複素環
主要キーワード 集合度 クラスター効果 調整用バッファ ユニット値 pH試験紙 分岐部位 バイオプローブ 集合状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年6月3日)のものです。
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課題

タンパク質分析用支持体表面上に、糖分子再現性よく2次元的に配列し得る新規多岐用途型リンカー化合物、及び、新規なリガンドリガンド担持体、並びにこれらの製造方法、さらに、これらを用いて糖分子と他の物質との相互作用を測定する方法を提供する。

解決手段

多岐用途型リンカー化合物は、下記一般式(1)

化26

(式中、YはO又はNHで表される構造を有する)にて表される構造を備えている。上記Xは、末端芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、4鎖含んでなる多分岐部位である構造を備えている。また、リガンドは、上記多岐用途型リンカー化合物に糖分子が導入されてなるものである。

概要

背景

生体内に存在する種々の糖は、特定のタンパク質相互作用して、生物の活動や生命を維持するためのメカニズムの中で重要な役割を果たしている。そのため、糖とタンパク質との相互作用を調べることは、糖の生物活性を調べる上で重要となる。

概要

タンパク質分析用支持体表面上に、糖分子再現性よく2次元的に配列し得る新規多岐用途型リンカー化合物、及び、新規なリガンドリガンド担持体、並びにこれらの製造方法、さらに、これらを用いて糖分子と他の物質との相互作用を測定する方法を提供する。多岐用途型リンカー化合物は、下記一般式(1)(式中、YはO又はNHで表される構造を有する)にて表される構造を備えている。上記Xは、末端芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、4鎖含んでなる多分岐部位である構造を備えている。また、リガンドは、上記多岐用途型リンカー化合物に糖分子が導入されてなるものである。 なし

目的

本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、タンパク質分析用の支持体上に糖を再現性よく2次元的に配列し得る新規な多岐用途型リンカー化合物、及び、該リンカー化合物に糖分子が導入されてなる新規なリガンド、リガンド担持体、並びにこれらの製造方法、さらに、これらを用いて糖分子と他の物質との相互作用を測定する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一般式(1)(式中、YはO又はNHで表される構造を有する)にて表される構造を備え、上記Xは、末端芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、4鎖含んでなる多岐部位である構造を備えていることを特徴とする多岐用途型リンカー化合物

請求項2

上記Xは、一般式(2)(式中、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とする請求項1記載の多岐用途型リンカー化合物。

請求項3

請求項1又は2記載の多岐用途型リンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子を導入してなることを特徴とするリガンド

請求項4

一般式(3)(式中、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とするリガンド。

請求項5

一般式(4)(式中、YはO又はNHで表される構造を有し、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数である)にて表される構造を備えていることを特徴とするリガンド。

請求項6

ビオチン化合物と、芳香族アミノ基末端保護基によって保護された分岐鎖を4鎖有するアミン化合物との縮合反応を行うステップと、上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護するステップとを含んでいることを特徴とする多岐用途型リンカー化合物の製造方法。

請求項7

請求項1又は2記載の多岐用途型リンカー化合物と、糖分子とを用いて、還元アミノ化反応を行うことを特徴とするリガンドの製造方法。

請求項8

糖分子を支持体の表面に配列させる糖分子の導入方法であって、請求項3ないし5の何れか1項に記載のリガンドを含む溶液と、表面にストレプトアビジンまたはアビジンが固定されている支持体とを接触させることを特徴とする糖分子の導入方法。

請求項9

請求項3ないし5の何れか1項に記載のリガンドを、ビオチン部位又はイミノビオチン部位と、ストレプトアビジン又はアビジンとの結合であるビオチン−アビジン結合を介して支持体の表面に固定化させてなることを特徴とするリガンド担持体

請求項10

支持体表面に糖分子が固定化されているセンサチップを用いて、糖分子の相互作用を検出する表面プラズモン共鳴測定方法であって、末端構造が異なる糖分子が導入されてなる少なくとも2つのセンサチップを用いて、上記少なくとも2つセンサチップは、第1の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第1のセンサチップと、上記第1の糖分子とは末端構造が異なる第2の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第2のセンサチップとを含み、第1のセンサチップを用いて得られた検出結果と、第2のセンサチップを用いて得られた検出結果との差を測定することを特徴とする表面プラズモン共鳴の測定方法。

請求項11

上記センサチップに、請求1または2に記載の同一の構造のリンカー化合物を用いて糖分子が固定化されることを特徴とする請求項10に記載の表面プラズモン共鳴の測定方法。

技術分野

0001

本発明は、チップテクノロジークロマトグラフィバイオプローブ等にて糖を使用する際に、糖の導入を好適にかつ効率よく行うために用いられる多岐用途型リンカー化合物、及び該多岐用途型リンカー化合物に糖を導入してなるリガンドリガンド担持体、並びにこれらの製造方法に関するものである。

0002

生体内に存在する種々の糖は、特定のタンパク質相互作用して、生物の活動や生命を維持するためのメカニズムの中で重要な役割を果たしている。そのため、糖とタンパク質との相互作用を調べることは、糖の生物活性を調べる上で重要となる。

0003

糖と相互作用するタンパク質は、例えば、以下の手法によって検出される。すなわち、表面プラズモン共鳴(以下、SPRと記載する)法によれば、表面に糖が固定されているセンサチップを用いて、該糖とタンパク質との生化学的結合を調べることができる。また、アフィニティクロマトグラフィ担体に糖を固定すれば、糖と特異的に相互作用するタンパク質を分離精製することができる。さらに、遺伝子工学にて用いられるバイオプローブとして糖を用いれば、糖と相互作用するタンパク質を検出することができる。

0004

本発明者らは、これまでに、上記SPRのセンサチップやアフィニティクロマトグラフィの担体等のタンパク質分析用支持体に、種々のオリゴ糖一段階にて導入して固定可能なリンカー化合物及び該リンカー化合物にオリゴ糖を導入してなるリガンドを見出している(例えば、非特許文献1等を参照)。

0005

上記リンカー化合物は、芳香族アミン部位とビオチン部位とを有している。このうち、上記芳香族アミン部位は、オリゴ糖を導入するために用いられる。また、上記ビオチン部位は、ビオチン−ストレプトアビジン(又はアビジン)結合を利用して、タンパク質分析用の支持体表面に固定化するために用いられる。従って、このリンカー化合物を介することによって、オリゴ糖をタンパク質分析用の支持体に固定化することができる。

0006

ところで、オリゴ糖は1分子だけでは活性がそれほど高くないため、オリゴ糖の生物活性を評価する場合には、通常、上記タンパク質分析用の支持体に3単位以上のオリゴ糖を集合化させて導入することが必要となる。そこで、上記リンカー化合物を介して、オリゴ糖を上記支持体に固定化する場合には、上記リンカー化合物に糖が導入されてなるリガンドを上記支持体表面上に集合化させることによって、3単位以上のオリゴ糖を集合化させなければならない。

0007

【特許文献1】
特開2002−080488号公報(2002年3月19日公開

0008

【特許文献2】
特開2003−83969号公報(2003年3月19日公開)

0009

【非特許文献1】
「日本化学会第79回年会講演予稿集II」、社団法人日本化学会、2001年3月15日、p.1042

0010

【非特許文献2】
H. Mach, D. B. Volkin, C. J. Burke, C. R. Middaugh, R. J. Linhardt, J.R. Fromm, D. Loganathan, Biochemistry, 32, 5480−5489 (1993)

0011

【非特許文献3】
Eric K. Wollker and Marry J. Cloninger, Org. Lett., 4, 7−10 (2000)

0012

【非特許文献4】
K. Matuura, H. Kitakouji, A. Tsuchida, N. Sawada, H. Ishida, M. Kiso and K. Kobayashi, J. Am. Chem. Soc., 122, 7406−7407 (2000)

0013

【非特許文献5】
S. Koshida, Y. Suda, Y. Fukui, J. Ormsby, M. Sobel, S. Kusumoto, Tetrahedron Lett., 40 5725−5728 (1999)

0014

【非特許文献6】
D. H. Tomalia, H. Barker and J. Roeck, Polymer. Jornal., 17, 117−132 (1985)

背景技術

0015

【非特許文献7】
Christof Worner and Rolf Mulhaupt, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 32, 1306−1311 (1993)

0016

しかしながら、上記従来のリンカー化合物を含んでなるリガンドを用いた場合、オリゴ糖の糖鎖センサチップ表面に2次元的に集合化させて配列させることは可能であるが、その集合状態を制御して、再現性よく配列させることが困難であるという技術的課題が残されている。

0017

すなわち、タンパク質分析用の支持体表面上に固定化されたオリゴ糖を用いて、該オリゴ糖の生物活性を精度よく観測するためには、オリゴ糖の糖鎖の集合状態を同一にし、オリゴ糖とタンパク質との間の相互作用を再現性よく観測することが求められる。ところが、上記従来のリガンドを用いた場合、3単位以上のオリゴ糖の糖鎖の集合状態は、リガンドの集合状態に依存することになり、3単位以上のオリゴ糖の糖鎖の集合状態を常に同一にすることができない可能性がある。オリゴ糖の糖鎖の集合状態が異なれば、観測されるオリゴ糖とタンパク質との相互作用も異なることになり、オリゴ糖の生物活性を再現性よく評価することが困難となる。

発明が解決しようとする課題

0018

本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、タンパク質分析用の支持体上に糖を再現性よく2次元的に配列し得る新規な多岐用途型リンカー化合物、及び、該リンカー化合物に糖分子が導入されてなる新規なリガンド、リガンド担持体、並びにこれらの製造方法、さらに、これらを用いて糖分子と他の物質との相互作用を測定する方法を提供することにある。

0019

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、4単位以上の糖分子を導入可能な部位として4つの芳香族アミノ基を有し、かつ、糖分子と特異的に相互作用するタンパク質の検出や分離を行う際に用いられるタンパク質分析用の支持体に結合可能な部位としてビオチン部位又はイミノビオチン部位(以下、ビオチン部位と総称して記載する)を有する新規な多岐用途型リンカー化合物を用いることによって、上記支持体に4単位以上の糖分子を再現性よく2次元的に配列させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0020

すなわち、本発明の多岐用途型リンカー化合物(以下、リンカー化合物と記載する)は、上記課題を解決するために、一般式(1)

0021

【化5】

0022

(式中、YはO又はNHで表される構造を有する)にて表される構造を備え、上記Xは、末端に芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、4鎖含んでなる多分岐部位である構造を備えていることを特徴としている。

0023

上記炭化水素誘導鎖とは、炭素及び水素からなる炭化水素鎖にて、一部の炭素や水素が、他の原子置換基に置き換わっていてもよいものを指すものとする。すなわち、上記炭化水素誘導鎖とは、末端に芳香族アミノ基を有し、炭化水素鎖の主鎖構造である炭素−炭素結合(C−C結合)の一部が炭素−窒素結合(C−N結合)、炭素−酸素結合(C−O結合)やアミド結合(CO−NH結合)に置き換わっていてもよいものを指す。

0024

上記の構成によれば、上記リンカー化合物は、上記タンパク質分析用の支持体に固定可能な部位として、ビオチン部位を有している。このビオチン部位は、ストレプトアビジン又はアビジン(以下、アビジンと総称して記載する)に高い親和性を示す。そのため、アビジンが固定されている支持体表面にて、ビオチン−アビジン結合が形成されるので、上記リンカー化合物を、上記支持体表面上に簡単に固定化することができる。

0025

また、上記リンカー化合物は、種々の糖分子を簡便に導入できる部位として、芳香族アミノ基を有している。上記芳香族アミノ基は、各炭化水素誘導鎖に含まれているので、上記リンカー化合物には、4単位以上の糖分子を導入することができる。また、導入された糖分子は、一つのリンカー化合物に導入されているので、導入された4単位以上の糖分子間を所定の間隔に保つことができる。これにより、上記リンカー化合物を介して、タンパク質分析用の支持体上に導入される糖分子の配列を再現性よく得ることができる。

0026

さらに、上記リンカー化合物を用いれば、上記支持体表面に4単位以上の糖分子を集合化させることができるので、糖分子を再現性よく配列させることができ、それによって糖分子の十分な生物活性を得ることができる。これにより、糖分子とタンパク質との相互作用を検出することが可能になり、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。

0027

上記一般式(1)にて表されるリンカー化合物において、上記Xは、一般式(2)

0028

【化6】

0029

(式中、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。

0030

上記リンカー化合物のXは、上記炭化水素誘導鎖を4鎖有しているので、このリンカー化合物を介して、上記支持体上に4単位以上の糖分子を導入することが可能である。そのため、上記リンカー化合物を用いることによって、上記支持体表面にて導入された糖分子間の間隔を制御して、これらの糖分子を集合化させることができる。そのため、上記支持体表面上にて、糖分子の配列を再現性よく得ることができる。

0031

従って、上記リンカー化合物を用いることにより、再現性のよい糖分子の生物活性を得ることが可能となる。これにより、糖分子の生物活性を利用するSPRやアフィニティクロマトグラフィ、バイオプローブ等にて、種々の糖分子とタンパク質との特異的な相互作用を好適に検出することが可能になる。

0032

また、本発明のリガンドは、上記の課題を解決するために、上記したいずれかのリンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子を導入してなるものであることを特徴としている。

0033

上記リガンドは、具体的には、一般式(3)

0034

【化7】

0035

(式中、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。

0036

あるいは、上記リガンドは、一般式(4)

0037

【化8】

0038

(式中、YはO又はNHで表される構造を有し、m1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。

0039

上記リガンドのいずれかを用いることにより、上記タンパク質分析用の支持体表面に、4単位(一般式(4)にて表される構造を備えるリガンドの場合)又は4単位以上(一般式(3)にて表される構造を備えるリガンドの場合)の糖分子を固定化することができる。また、一つのリガンドは、4単位以上の糖分子を有しているので、上記支持体表面に2次元的に4単位以上の糖分子を集合化させることができるとともに、再現性よく配列させることができる。それゆえ、上記リガンドを用いることにより、SPRやアフィニティクロマトグラフィ、バイオプローブ等にて、種々の糖分子とタンパク質との特異的な相互作用を効率よく検出することが可能になる。

0040

また、本発明のリンカー化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、ビオチン系化合物と、芳香族アミノ基末端保護基によって保護された分岐鎖を4鎖有するアミン化合物との縮合反応を行うステップと、上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護するステップとを含んでいることを特徴としている。

0041

上記ビオチン系化合物とは、アミン化合物の二級アミノ基と反応し得るように、ビオチン構造又はイミノビオチン構造に置換基を導入して活性化されているものを指す。

0042

上記の方法によれば、アビジンが固定されているタンパク質分析用の支持体に固定可能なビオチン部位と、糖分子を簡便に導入できる芳香族アミノ基とを有している、本発明のリンカー化合物を得ることができる。

0043

また、本発明のリガンドの製造方法は、上記リンカー化合物のいずれかと、糖分子とを用いて、還元アミノ化反応を行うことを特徴としている。

0044

上記の方法によれば、還元アミノ化反応により、リンカー化合物に簡便に糖分子を導入して、本発明のリガンドを得ることができる。

0045

また、本発明の糖分子の導入方法は、上記のリガンドを含む溶液と、表面にストレプトアビジンまたはアビジンを固定化した支持体とを接触させることを特徴としている。

0046

上記の方法によれば、上記リガンド(リガンドに含まれるリンカー化合物)のビオチン部位又はイミノビオチン部位と、上記支持体表面のストレプトアビジン又はアビジンとを結合させることによって、支持体表面に上記リガンドを固定することができる。従って、リガンドを含む溶液と支持体とを接触させるという簡便な方法で、リンカー化合物に結合した糖分子を支持体の表面に配列させることができる。

0047

また、本発明のリガンド担持体は、リガンドを、ビオチン部位又はイミノビオチン部位と、ストレプトアビジン又はアビジンとの結合であるビオチン−アビジン結合を介して表面に固定化させてなることを特徴としている。

0048

上記の構成によれば、ビオチン部位又はイミノビオチン部位と、ストレプトアビジン又はアビジンとの結合であるビオチン−アビジン結合を介して、支持体表面にリガンドを強固に固定することができるので、支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列させてなるリガンド担持体を提供することができる。従って、上記リガンド担持体を用いれば、リガンドに含まれる糖分子と、該糖分子と相互作用するタンパク質等の物質との相互作用を再現性よく観測することができるので、糖分子の生物活性の定量的な評価が可能になる。

0049

また、本発明の表面プラズモン共鳴の測定方法は、末端構造が異なる糖分子が導入されてなる少なくとも2つのセンサチップを用いて、上記少なくとも2つセンサチップは、第1の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第1のセンサチップと、上記第1の糖分子とは末端構造が異なる第2の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第2のセンサチップとを含み、第1のセンサチップを用いて得られた検出結果と、第2のセンサチップを用いて得られた検出結果との差を検出し、糖分子の相互作用を測定することを特徴としている。

0050

また、本発明の表面プラズモン共鳴の測定方法は、上記センサチップに、上記の同一の構造のリンカー化合物を用いて糖分子が固定化されることを特徴とする。

課題を解決するための手段

0051

上記方法によると、糖分子以外は同じ構造のリガンドを有する少なくとも2つのセンサチップを用いて、表面プラズモン共鳴(SPR)測定をすることができるため、少なくとも2つのセンサチップ相互作用の差は、糖分子に起因したものとして観測される。従って、上記測定方法を用いれば、糖分子以外の部分と、他の物質との非特異的な相互作用を低減させ、糖分子と他の物質との特異的な相互作用を観測することができる。

0052

以下、本発明について詳細に説明する。

0053

本発明の多岐用途型リンカー化合物(以下、リンカー化合物)は、オリゴ糖等の糖(以下、糖分子と記載する)の生物活性を利用するSPRやアフィニティクロマトグラフィ、遺伝子工学でのバイオプローブ等のように、糖分子と特異的に相互作用するタンパク質の検出や分離を行う場合に、タンパク質分析用の支持体に糖分子の導入を好適に行うために用いられるものである。また、上記リンカー化合物は、タンパク質との非特異的な相互作用を有していないため、上記のようなタンパク質の検出や分離に好適に用いることができる。

0054

すなわち、本発明のリンカー化合物は、具体的には、前記一般式(1)にて示すように、上記タンパク質分析用の支持体に固定可能な部位として、ビオチン部位又はイミノビオチン部位(以下、ビオチン部位と総称)を有し、糖分子を導入可能な部位として、芳香族アミノ基を有している。

0055

ビオチン又はイミノビオチン(以下、ビオチンと総称)は、塩基性糖タンパク質であるストレプトアビジン又はアビジン(以下、これらを総称して、アビジンと記載する)と特異的に相互作用することが知られている。そのため、アビジンが固定されている支持体表面に、ビオチン部位を有する上記リンカー化合物を接触させると、ビオチン−アビジン結合が形成されて、上記リンカー化合物を上記支持体表面に簡単に固定化することができる。

0056

また、上記リンカー化合物は、前記一般式(1)にてXで表される構造を備え、末端に芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素−窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、4鎖含んでなる多分岐部位を有している。この多分岐部位に含まれる芳香族アミノ基のアミノ基(−NH2基)は、糖分子中の平衡によって生じるアルデヒド基(−CHO基)又はケトン基(−CR’O基、R’は炭化水素基)と反応する。そして、この反応によって形成されたシッフ塩基を引き続き還元することによって、芳香族アミノ基に糖分子が導入されることになる。上記Xは、4つの芳香族アミノ基末端を有しているので、上記リンカー化合物には、後述するように、4単位以上の糖分子を導入することができる。

0057

上記Xは、具体的には、前記一般式(2)にて示すように、2鎖の炭化水素誘導鎖が、芳香族アミノ基とは反対側の末端にて、1つの窒素(N)に結合した2分岐構造を2つ有している。そして、この2つの2分岐構造の上記窒素が、−CO−(CH2)m−(ここで、mは1〜6の整数である)を介して、1つの窒素(N)に結合することによって多分岐構造を形成している。なお、上記一般式(2)において、m1,m2は、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。このうち、製造の簡便性の点から、m1,m2は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に2であることが好ましい。また、n1,n2は、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。このうち、製造の簡便性の点から、n1,n2は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に2であることが好ましい。また、p1〜p4は、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。このうち、上記多分岐部位を有する化合物の製造時の簡便さの点から、上記p1〜p4は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に2であることが好ましい。

0058

このように、上記Xは、炭素や窒素等の原子にて、上記炭化水素誘導鎖を複数結合して分岐構造を形成している多分岐部位である構造を備えている。なお、上記Xに含まれる複数の炭化水素誘導鎖は、すべて同じであることが好ましいが、末端に芳香族アミノ基を有していれば、互いに異なる構造を備えていてもよい。

0059

以上のように、一般式(1)にて表される構造を備えているリンカー化合物は、ビオチン部位と芳香族アミノ基末端とを有している。これにより、上記リンカー化合物を介して、上記タンパク質分析用の支持体上に、糖分子を強固にかつ簡単に結合させることができる。

0060

また、上記リンカー化合物は、多分岐部位を有し、該多分岐部位の各末端に芳香族アミノ基を有している。そのため、上記リンカー化合物に糖分子を導入してなるリガンド(後述)を用いることにより、上記支持体表面に効率よく4単位以上の糖分子を集合化させることができる。また、一つのリンカー化合物には4単位以上の糖分子を導入することができるので、上記リガンドを支持体表面に結合させた場合に、複数の糖分子を再現性よく配列させることができる。

0061

さらに、上記リンカー化合物は、タンパク質との非特異的な相互作用の影響をほぼ無視することができる。それゆえ、本発明のリンカー化合物を用いることによって、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。

0062

上記リンカー化合物は、以下に示す製造方法によって製造される。すなわち、上記リンカー化合物は、ビオチン系化合物と、芳香族アミノ基末端が保護基によって保護された分岐鎖を4鎖有するアミン化合物との縮合反応を行い、その後、上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護することによって製造される。

0063

上記ビオチン系化合物としては、下記一般式(5)

0064

【化9】

0065

にて表される構造を備えている化合物を挙げることができる。上記ビオチン系化合物は、ペンタフルオロフェニル基(Pfp)又はスクシンイミド基(Su)を有するエステル化合物である。そのため、上記ビオチン系化合物は、これらの置換基によって活性化されているので、アミン化合物の二級アミノ基(−NH基)と反応することができる。

0066

また、上記アミン化合物は、二級アミノ基と、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有する分岐鎖とを含んでいれば特に限定されるものではなく、上記したリンカー化合物の多分岐部位(一般式(1)のX)に相当する構造を有していればよい。

0067

従って、上記分岐鎖は、上記した炭化水素誘導鎖に含まれる芳香族アミノ基の代わりに、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有する以外は、上記炭化水素誘導鎖に含まれる構造を有していればよい。つまり、上記分岐鎖は、炭素及び水素からなる炭化水素鎖にて、一部の炭素や水素が他の原子や置換基に置き換わっていてもよいものである。より具体的には、上記分岐鎖は、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有するとともに、炭化水素鎖の主鎖構造である炭素−炭素結合(C−C結合)の一部が炭素−窒素結合(C−N結合)、炭素−酸素結合(C−O結合)、アミド結合(CO−NH結合)に置き換わっていてもよいものである。

0068

また、上記保護基とは、芳香族アミノ基のアミノ基が上記縮合反応によって反応しないように導入される置換基である。このような保護基は、二級アミノ基の保護基を脱保護する際に影響を受けないものであれば、特に限定されるものではない。上記保護基としては、例えば、t−ブトキシカルボニル基(−COOC(CH3)3基;Boc基と記載する)、ベンジル基アリルカルバメート基(−COOCH2CH=CH2、Alloc基)等を挙げることができる。

0069

上記アミン化合物としては、例えば、下記一般式(6)

0070

【化10】

0071

にて表される構造を備えている化合物を挙げることができる。なお、このアミン化合物の合成方法については、後の実施例にて詳述する。

0072

上記ビオチン系化合物とアミン化合物との縮合反応により、ビオチン系化合物のPfpやSu等の置換基と、アミン化合物の二級アミノ基とが縮合して、アミド結合が形成される。その後、芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護して、保護基を取り外し、芳香族アミノ基にすることによって、上記したリンカー化合物を得ることができる。

0073

次に、上記リンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子が導入されてなるリガンドについて説明する。本発明のリガンドは、リンカー化合物のアミノ基が、糖分子中の平衡によって生じるアルデヒド基又はケトン基と反応し、この反応によって形成されたシッフ塩基を引き続き還元することによって、芳香族アミノ基に糖分子が導入されることになる。

0074

本発明のリガンドに含まれる糖分子は、還元糖であれば特に限定されない。糖分子としては、例えば、グルコースガラクトースマンノース等の単糖類、結合している糖の数が2糖〜10糖であるマルトースラクトース、後述する硫酸化オリゴ糖等のオリゴ糖類、単糖類やオリゴ糖類が組み合わされて糖数が11以上であるヘパリンコンドロイチン硫酸ヘパラン硫酸等の多糖類を挙げることができる。

0075

また、上記オリゴ糖類として、抗血液凝固活性を有することで知られている硫酸化多糖ヘパリン中の下記一般式(7)

0076

【化11】

0077

にて表される特定の部分二糖構造(GlcNS6S−IdoA2S)を有する硫酸化オリゴ糖や、該硫酸化オリゴ糖の還元末端にグルコースを結合させてなる下記一般式(8)

0078

【化12】

0079

にて表される構造を備えているオリゴ糖を挙げることができる。

0080

なお、上記オリゴ糖類や多糖類は、同一の単糖分子からなる単一オリゴ糖や単一多糖であってもよく、種々の単糖分子やその誘導体からなる複合糖質や、種々の単糖分子やその誘導体、オリゴ糖類を含んでなる複合多糖類であってもよい。また、上記糖分子は、いずれも、自然界から単離・精製して得られる種々の天然の糖であってもよく、人工的に合成された糖であってもよい。

0081

本発明のリガンドは、具体的には、前記一般式(3)にて表される構造を備えているものである。この一般式(3)にて表される構造を備えているリガンドは、前記一般式(1)にて表され、Xが前記一般式(2)にて表される構造を備えているリンカー化合物に、糖分子としてグルコースまたはマルトースまたはラクトースを導入してなるものである。一般式(2)にて表されるXは、4鎖の炭化水素誘導鎖を含む構造を備えている。この各炭化水素誘導鎖の芳香族アミノ基には、1単位又は2単位の糖分子を導入することができる。そのため、一般式(3)にて表される構造を備えているリガンドは、上記リンカー化合物に4単位以上8単位以下の糖分子が結合したものとなる。なお、上記一般式(3)において、m1,m2は、一般式(2)中のm1,m2と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。また、n1,n2は、一般式(2)中のn1,n2と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。また、p1〜p4は、一般式(2)中のp1〜p4と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。

0082

上記リンカー化合物の炭化水素誘導鎖の芳香族アミノ基に導入される糖分子としては、グルコース、マルトース、ラクトースからなる群から選ばれる1つ以上の糖分子を挙げることができる。従って、一般式(3)にて表される構造を備えているリガンドは、一般式(3)のR7〜R10の構造に応じて、上記リンカー化合物に、グルコース、マルトース、ラクトースからなる群から選ばれる糖分子が、4単位以上8単位以下導入されている構造を有している。

0083

なお、上記リンカー化合物の炭化水素誘導鎖の各芳香族アミノ基に導入される糖分子は、互いに異なっていてもよく、一部または全てが同じであってもよいが、糖分子の導入の簡便性の点から、全て同じであることが好ましい。それゆえ、例えば、一般式(3)におけるm1,m2,n1,n2,p1,p2,p3,p4が全て2で、リンカー化合物に4単位の糖分子が導入される場合に、糖分子がグルコースであれば、下記一般式(16)で表されるリガンドが好ましい。同様に、4単位の糖分子が導入される場合に、糖分子がマルトースであれば、下記一般式(17)で表されるリガンドが好ましく、糖分子がラクトースであれば、下記一般式(18)で表されるリガンドが好ましい。

0084

【化13】

0085

(一般式(16)〜(18)中、YはO又はNHで表される構造を有する)
また、本発明の他のリガンドは、前記一般式(4)にて表される構造を備えているものである。この一般式(4)にて表される構造を備えているリガンドは、前記一般式(1)にて表され、Xが前記一般式(2)にて表される構造を備えているリンカー化合物に、上記一般式(8)にて表される構造を備えている糖分子を導入してなるものである。一般式(2)にて表されるXは、4鎖の炭化水素誘導鎖を含む構造を有しているので、一般式(4)にて表される構造を備えているリガンドは、上記リンカー化合物に4単位の糖分子が結合したものとなる。なお、上記一般式(4)において、m1,m2は、一般式(2)中のm1,m2と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。また、n1,n2は、一般式(2)中のn1,n2と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。また、p1〜p4は、一般式(2)中のp1〜p4と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。

0086

上記のリガンドは、いずれもリンカー化合物と糖分子とを含んでなっているので、リンカー化合物内のビオチン部位にて、アビジンを有しているタンパク質分析用の支持体と、ビオチン−アビジン結合により結合することができる。これにより、このビオチン−アビジン結合を介して、上記支持体表面に4単位の糖分子を集合化して固定化されてなるリガンド担持体を提供することができる。よって、上記リガンドを用いることによって、例えばタンパク質分析用の支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列してリガンド担持体を得、該リガンド担持体を用いることによって、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。それゆえ、本発明のリガンドは、SPRやアフィニティクロマトグラフィ、バイオプローブ等にて、種々の糖分子を簡単に導入するために好適に用いることができる。

0087

このように、本発明のリガンドを、ビオチン−アビジン結合を介して支持体の表面に固定化させてなるリガンド担持体も本発明に含まれる。このリガンド担持体はタンパク質分析の用途に限定されず、糖分子との相互作用を調べるための、タンパク質以外の物質の分析の用途として用いることもできる。

0088

上記リガンドは、該リガンドを含むリガンド溶液に、アビジンを固定したタンパク質分析用の支持体を所定時間浸漬する、あるいは、上記支持体にリガンド溶液を注入することによって、上記支持体表面に導入することができ、上記支持体表面に4単位以上の糖分子を集合化して固定化されてなるリガンド担持体を提供することができる。

0089

例えば、SPRのセンサチップに、上記リガンドを導入してなるリガンド担持体を得る場合には、まず、アビジンを固定したセンサチップを作成する。すなわち、図1(a)に示すように、表面に金(Au)がコーティングされたガラス基板1を用いる。次いで、図1(b)に示すように、下記一般式(9)
HOOCCH2CH2CH2SH …(9)
にて表される構造を備えている4−チオ酪酸を、金−硫黄結合(Au−S結合)を利用して、ガラス基板1上に固定する。なお、この4−チオ酪酸を固定したガラス基板1に代えて、カルボキシル基を有するポリマーがコートされた基板を用いてもよい。

0090

続いて、図1(c)に示すように、カルボジイミド試薬の存在下にて、ガラス基板1上に固定された4−チオ酪酸と、N−ヒドロキシコハク酸イミドとを反応させる。その後、N−ヒドロキシコハク酸イミド部位と、アビジン2が有する末端アミノ基とを縮合させて、図1(d)に示すように、アビジン2をガラス基板1上に固定化する。これにより、アビジンをガラス基板1上に固定したセンサチップが得られる。

0091

次いで、このセンサチップを、本発明のリガンドが含まれるリガンド溶液に接触させる。具体的には、上記センサチップをリガンド溶液に浸漬する、あるいは、センサチップ表面にリガンド溶液を流す。これにより、特異的な相互作用として知られているビオチン−アビジン結合によって、図2(a)に示すように、上記センサチップ上にリガンド3を固定化したリガンド担持体4を得ることができる。

0092

なお、リガンド溶液に用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、PBSリン酸緩衝溶液)等の緩衝液を挙げることができる。リガンド溶液に浸漬する場合の浸漬時間は、0.5時間〜1.5時間程度であればよい。また、リガンド溶液を注入する場合の注入量は、0.006mg〜0.06mg程度であればよい。

0093

上記のように、リガンド3を固定化してなるリガンド担持体4を用い、該リガンド担持体とタンパク質5とを接触させ(図2(b))、常法に従って、表面プラズモン共鳴装置を用いて共鳴角度を測定すれば、該リガンド担持体4とタンパク質5との結合挙動を観測することができる。なお、SPR測定に用いるセンサチップとしては、例えば、ガラスプラスチック等を用いることができ、特にガラスが好適に用いられる。また、リガンド担持体とタンパク質の接触は、例えば、タンパク質をランニングバッファーに溶解した溶液を、該リガンド担持体の表面に流入する、あるいは、上記タンパク質をランニングバッファーに溶解した溶液中に、上記リガンド担持体を浸漬することにより行えばよい。このランニングバッファーとしては、例えば、PBS等の緩衝溶液を挙げることができる。

0094

また、例えば、アフィニティクロマトグラフィに用いるアフィニティカラムとして、上記リガンドを導入したリガンド担持体を得る場合、まず、アビジンを固定したカラムを作成する。この作成方法は、常法(例えば、文献;アマシャムファルマシアバイオテク株式会社編、「初めてのリガンドカップリングハンドブック」(2002年)等参照)にて行えばよい。例えば、アミノ基を持つ化合物を固定化させるのに適した担体を充填してあるカラム(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドが固定化されたゲル担体を充填してあるカラム)に、アビジン含有溶液を流すことで、上記担体にアビジンを固定化させることができる。このアビジンを固定化されてなる担体(以下、アビジン付加体)に、本発明のリガンドが含まれるリガンド溶液を注入する。これにより、特異的な相互作用として知られているビオチン−アビジン結合によって、アビジン付加体にリガンドを固定化してなるリガンド担持体を得ることができる。

0095

なお、上記アビジン含有溶液に用いられる溶媒としては、例えば、塩化ナトリウム含有の酢酸ナトリウム水溶液等を挙げることができる。また、上記リガンド溶液に用いる溶媒としては、例えば、PBS等の緩衝液を挙げることができる。

0096

このように、本発明のリガンドは、ビオチン部位を有しているので、上記のように例えば、タンパク質分析用の支持体表面に、一段階にて簡単に糖分子を導入して固定化することで本発明のリガンド担持体を得ることができる。

0097

上記のように、リガンドを固定化してなるリガンド担持体を有するアフィニティカラムを用いて、アフィニティクロマトグラフィを行うには、以下のようにすればよい。すなわち、アビジンを固定化してなる担体(アビジン付加体)が充填されてなるアフィニティカラムに、タンパク質溶液を注入し、常法に従って、アフィニティクロマトグラフィを行えば、リガンド担持体に結合するタンパク質と、結合しないタンパク質とを分離することができる。なお、上記タンパク質溶液に用いられる溶媒としては、例えば、PBS等の緩衝溶液が挙げられる。また、リガンド担持体に結合しないタンパク質の、アフィニティカラムからの溶出に用いられる溶出用溶液としては、例えば、PBS等の緩衝溶液を用いればよい。

0098

なお、上記のようにSPR法のセンサチップや、アフィニティカラムクロマトグラフィに用いるアフィティカラムに充填されるアビジン付加体等の支持体に糖分子を導入する方法も本発明に含まれる。

0099

以上のように、本発明のリガンド担持体は、上記リガンドを有しているので、支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列することができる。それゆえ、糖分子の生物活性を再現性よく観測でき、糖分子の構造の解明や、糖分子の生物活性について定量的な評価を行うことができる。

0100

また、支持体表面に糖分子が固定化されているセンサチップを用いて、糖分子の特異的な相互作用を検出するSPR測定方法も本発明に含まれる。これは、末端構造が異なる糖分子が導入されてなる少なくとも2つのセンサチップを用いて、糖分子とタンパク質等の物質との相互作用作用を観測する。なお、糖分子の末端とは、センサチップに固定されていない側のことである。また、糖分子との相互作用を観測する物質は、タンパク質に限定はされない。

0101

上記の方法を用いて、糖分子の種類の異なる2つのセンサチップを用いてSPR測定を行うには、例えば、以下のようにすばよい。第1の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第1のセンサチップと、上記第1の糖分子とは末端構造が異なる第2の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第2のセンサチップを用意する。これは、上記したように、センサチップ上にリガンドを固定化したリガンド担持体(センサチップ)を作成したのと同様に得られる。これらのセンサチップは、固定化される糖分子が異なっているリガンドを用いればよい。比較する糖分子には、例えば、ラクトースとグルコース、マルトースとグルコース、コージビオースとグルコース等が挙げられる。センサチップに固定化される糖分子が異なっているリガンドは、例えば、上記一般式(16)〜(18)に示すリガンドリガンドが挙げられる。なお、リガンドは本発明のものに限らず別のリガンドを用いてもかまわない。

0102

そして、例えば、第1の糖分子に特異的に作用するタンパク質等を用いて、測定条件を一定にして、上記2つのセンサチップに作用させ、両者の共鳴角度を観測する。この両者の共鳴角度の差を検出することで、糖分子とタンパク質等との特異的な相互作用として測定することができる。

0103

上記では、2つの種類のセンサチップ同時に測定したが、これに限定されることはなく、2種類以上のセンサチップを測定してもかまわないし、同時に測定しなくてもかまわない。また、少なくとも1つのセンサチップに糖分子を導入していないものを用いてもよい。例えば、リンカー化合物のみを固定化したものを用いてもよい。

0104

このように、本発明のSPR測定の方法は、非特異的な相互作用を低減して、糖分子と他の物質との特異的な相互作用を測定することができる。

0105

【実施例】
以下、本発明のリンカー化合物及びリガンドの合成について、より詳細に説明する。また、合成したリガンドを用いた、SPR測定及びアフィニティクロマトグラフィについても詳細に説明する。

0106

なお、下記の実施例において、各種のスペクトル旋光度の測定、電気泳動には次の機器を使用した。
*)核磁気共鳴(NMR)スペクトル:JEOL EX 270, JNM−LA 500 NMR spectrometer(商品名)
*)質量分析:Mariner(登録商標)Biospectrometry(登録商標)Workstation (商品名、ESI−TOF MS, PE Biosystems, CA, USA) VOYAGER−DERP(商品名、MALDI−TOF MS, PE Biosystems, CA, USA)
*)旋光度:Perkin Elmer model 241 polarimeter(商品名)
*)紫外可視分光光度計:JASCO V−530 UV/Vis spectrophometer(商品名)
*)表面ブラズモン共鳴バイオセンサー:SPR670(商品名、Nippon Laser & Electronics LAB)
*)電気泳動装置:ATTO CompactPAGEAE−7300(商品名)
*)電気泳動用既成ゲル:ATTO PAGEL−Compact AE−6000 (12.5%) Lot: 244S024(商品名)
また、クロマトグラフィーには次のシリカゲルを用いた。
*)薄層クロマトグラフィー:Merck Silica gel 60 F254 (No.5715)(商品名)
*)調製的薄層クロマトグラフィー:Merck Silica gel 60 F254 (No.5744)(商品名)
*)中圧カラムクロマトグラフィー:Merck Silica gel 60 (No.9385, 0.040−0.063mm,230−400 mesh)(商品名)
〔実施例1・リンカー化合物の合成〕
本発明のリンカー化合物は、以下の手順にて合成した。

0107

下記一般式(10)にて示すように、室温条件下メタノール(式中、MeOH)中にて、ベンジルアミン(化合物1、式中Bnはベンジル基を表す)と、6当量アクリル酸メチルとを反応させて、上記ベンジルアミンに2単位のアクリル酸メチルをマイケル付加させ、収率93%にて化合物2を得た。その後、室温条件下にて、該化合物2が含まれているメタノール中に、大過剰(50当量)のエチレンジアミンを加え、該エチレンジアミンを化合物2に縮合させて、化合物3を得た。なお、大過剰(50当量)のエチレンジアミンを加えるのは、エチレンジアミンの2つのアミノ基に同時に化合物2が縮合するのを防ぐためである。

0108

【化14】

0109

化合物2を得るために、具体的には、ベンジルアミン(4.7 mL, 44.6 mmol)のメタノール溶液(143 mL)にアクリル酸メチル(8.52 mL, 104 mmol)を加えて室温で窒素雰囲気下8時間撹拌し、アクリル酸メチルを(3.87 mL, 47 mmol)追加し12時間室温で撹拌した。この攪拌した溶液に、その後、さらにアクリル酸メチルを(7.47 mL, 94 mmol)加え終夜撹拌し、メタノール/アクリル酸メチル反応溶液を得た。メタノール/アクリル酸メチル反応溶液を減圧濃縮し、残査中圧シリカゲルクロマトグラフィー(300 g,トルエン酢酸エチル= 5 : 1 〜3 : 1)で精製して、無色オイル状溶液として化合物2を得た。

0110

得られた化合物2は、収量11.7 g(収率95%)であった。また、得られた化合物2の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.28−7.20 (5H, m, aromatic), δ4.79 (6H, s, OMe* × 2), δ3.57 (2H, d, J = 4.6 Hz,NCH2*Ph),δ2.76 (4H, td, Jgem = 4.6, Jvic = 6.8 Hz , CH2*NBn), δ2.46 (4H, td, Jgem = 4.6, Jvic = 6.8 Hz, COCH2*CH2NBn)であった。なお、各化学シフトδは、Hが複数存在するものには*を付けたプロトン、つまりH*、に対する測定値を示しており、以下の記載についても同様である。また、ESI−MS(positive)測定(飛行時間型質量分析計測定)を行ったところ、m/z(質量/電荷比)302.1[(M+Na)+]であった。

0111

続いて、下記一般式(11)にて示すように、上記化合物3が含まれているメタノール中に、室温条件下にて、11当量のアクリル酸メチルを加えて、化合物3にアクリル酸メチルを4単位付加し、収率81%にて化合物4を得た。その後、メタノールに2Mの水酸化ナトリウム水溶液を添加したアルカリ条件下にて、化合物4のメチルエステル加水分解し、末端にカルボキシル基(−COOH基)を4単位有する化合物5を収率96%にて得た。

0112

【化15】

0113

化合物4を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物2(9.97 g, 35.7 mmol)をメタノール(120 mL)に溶解させ、窒素雰囲気下0℃で5分撹拌し、これに無水エチレンジアミン(60 mL, 1.11 mol)を加え0℃で50分撹拌後、室温で終夜撹拌し、さらに無水エチレンジアミン(50 mL, 0.93 mol)を加え室温で終夜撹拌して、化合物2/無水エチレンジアミン反応溶液を得た。この化合物2/無水エチレンジアミン反応溶液を濃縮し、黄色オイル状残渣を得た。この黄色オイル状残渣に、メタノール(120 mL)を加えて溶解させ、アクリル酸メチル(19.3 mL, 234 mmol)を加えて室温で終夜撹拌し、さらにアクリル酸メチル(19.3 mL, 234 mmol)を加えて室温で終夜撹拌し、黄色オイル状残渣/アクリル酸メチル反応溶液を得た。この黄色オイル状残渣/アクリル酸メチル反応溶液を減圧濃縮し、残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(700 g,クロロホルム:メタノール = 20 : 1 〜7 : 1)で精製して、化合物4として黄色オイル状溶液を得た。

0114

得られた化合物4の収量は、24.5 g(収率81%)であった。また、得られた化合物4の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.29−7.28 (5H, m, aromatic H), δ3.66 (12H, s, OMe*×4), δ3.27 (4H, q, J = 6.1 Hz, CH2*NHCO), δ2.81 (4H, t, J = 6.8 Hz, CH2*NBn), δ2.75 (8H, t, CH2×4, J = 6.8Hz, CH2*NCH2), δ2.52 (4H, t, CH2×2, J = 5.9, 6.1 Hz, CH2*CH2NHCO), δ2.41 (12H, t, CH2×(2+4), J = 6.8, 6.6 Hz, NCOCH2*CH2NHCO, MeOCOCH2*)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 680.4[(M+H)+]であった。

0115

また、化合物5を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物4(1.0 mg, 1.47 mmol)をメタノール(7.4 mL)に溶解させ、これに4M水酸化ナトリウム水溶液(7.4 mL)を加えてアルゴンガス雰囲気下0℃で2時間撹拌し、化合物4/水酸化ナトリウム反応溶液を得た。この化合物4/水酸化ナトリウム反応溶液に4M塩酸(7 mL)を加えてpH試験紙でpH3を確認後、化合物4/水酸化ナトリウム反応溶液を減圧濃縮し、残渣の水溶液凍結乾燥させた。得られた凍結乾燥させた残渣を、HP−20(300 mL, H2O 〜H2O : メタノール = 1 : 1 〜メタノール)で精製し、H2O/メタノールで溶出させた画分を集め減圧濃縮した。その後、減圧濃縮した残渣を凍結乾燥して、化合物5として淡黄色結晶を得た。

0116

得られた化合物5は、収量878 mg(収率96%)であった。また、得られた化合物5の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.54−7.38 (5H, m, aromatic H), δ3.60(2H, s,NCH2*Ph), δ3.58 (2H, t, J = 6.1 Hz, CH2*NHCO), δ3.34−3.24 (16H, m, CH2×8, CH2*NBn, MeOCOCH2CH2*N, NCH2CH2*NHCO), δ2.79 (4H, t, CH2×2, J = 7.0 Hz, COCH2*CH2NBn), δ2.60 (8H, t, CH2×4, J =6.4 Hz, MeOCOCH2*)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 624.3[(M+H)+]であった。

0117

なお、本実施例では、化合物5はカルボキシル基が4単位のものまでしか合成していないが、必要であれば、化合物4のメチルエステルを加水分解せずに、エチレンジアミンを再び縮合させ、アクリル酸メチルを付加させる反応を続ければ、末端に8、16、32単位のカルボキシル基を有する骨格構造を容易に合成することが可能である。

0118

次いで、下記一般式(12)にて示すように、5当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(式中、HOBt)及び、10当量のジイソプロピルエチルアミン(式中、DIPEA)を含むN,N−ジメチルホルムアミドDMF)中にて、0℃から40℃に温度変化させながら、活性化剤として5当量のo−[7−アザベンゾトリアゾール−1−イル]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(式中、HATU)を用いて、上記化合物5の末端のカルボキシル基に、一方のアミノ基がt−ブトキシカルボニル基(式中Boc、以下、Boc基と記載)にて保護されたフェニレンジアミン誘導体(化合物6、5当量)を縮合させて、化合物7を得た(収率57%)。続いて、水素雰囲気下、50℃のメタノール中にて、パラジウム(10%のPd−C)を用いて化合物7の接触還元を行って、該化合物7の二級アミノ基の保護基であるベンジル基を脱保護し、収率80%にて化合物8を得た。

0119

【化16】

0120

化合物6を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、m−フェニレンジアミン(7.81 g, 72.2 mmol)をメタノール(240 mL)に溶解させ、ジ−t−ブトキシカルボネート(16.5 mL, 71.8 mmol)と、トリエチルアミン(10 mL, 71.5mmol)とを加え、アルゴンガス雰囲気下、遮光して0℃で30分撹拌し、その後室温で終夜撹拌し、m−フェニレンジアミン反応溶液を得た。この、m−フェニレンジアミン反応溶液を減圧濃縮して、残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(500 g,クロロホルム:メタノール = 10 : 1 〜7 : 1)で精製して、化合物6として黄白色結晶を得た。

0121

得られた化合物6は、収量13.3 g(収率88%)であった。また、得られた化合物6の1H NMR(400MHz, CDCl3)測定を行ったところ、δ7.03 (1H, dd , J =7.8, 8.1 Hz, aromaticH), δ6.54 (1H, d, J = 8.1 Hz, aromatic H), δ6.36 (1H, t, J = 7.8 Hz, aromatic H), δ3.67 (2H, s, NH2), δ1.51 (9H,m, CH3×3 of BOC)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 209.1[(M+H)+]であった。

0122

また、化合物7を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物5(54.8 mg, 87.9 μmol)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(66.4 mg,492 μmol)とを無水ジメチルフォルムアミド(0.9 mL)に窒素雰囲気下で溶解させて、0℃で15分撹拌し化合物5/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール反応溶液を得た。この化合物5/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール反応溶液に、HATU(168 mg, 441 μmol)とジイソプロピルエチルアミン(150 mL, 882 μmol)と化合物6(98.2 mg, 471 μmol)とを加えて室温で終夜撹拌し、50℃で5時間撹拌して化合物5/化合物6反応溶液を得た。この化合物5/化合物6反応溶液を減圧濃縮し、残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(80 g,クロロホルム:メタノール= 15 : 1 〜5 : 1)で精製して、化合物7として白色結晶を得た。

0123

得られた化合物7は、収量69.2 mg(収率57%)であった。また、得られた化合物7の1H NMR(400MHz, CDCl3)測定を行ったところ、δ7.39 (4H, s, 1H×4, aromatic H), δ7.39−6.53 (21H, m, aromatic H), δ3.63 (2H, s,NCH2*Ph),δ3.15 (4H, d, CH2×2, J = 6.2 Hz, CH2*NHCO), δ2.76 (8H, t, CH2×4, J = 6.2 Hz, MeOCOCH2CH2*N), δ2.49 (8H, t, CH2×4, J = 6.2 Hz, MeOCOCH2*CH2N), δ2.45 (4H, t, CH2×2, J = 6.4 Hz, CH2*NBn), δ2.38 (4H, t, CH2×2, J = 6.6 Hz, NCH2CH2*NHCO), δ2.03 (4H, t, CH2×2, J = 6.4 Hz, NHCOCH2*CH2NBn), δ1.48 (36H, s, CH3×12, Me of BOC)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 693.3[(M+2H)2+]であった。

0124

化合物8を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物7(49.8 mg, 36.0 μmol)に10%Pd−C(70.2 mg)のメタノール懸濁液を加え、水素雰囲気下、室温で終夜撹拌し、化合物7反応溶液を得た。化合物7反応溶液をメンブランフィルターでろ過しろ液を減圧濃縮して、化合物8として白色結晶を得た。

0125

得られた化合物8は、収量36.8 mg(収率80%)であった。また、得られた化合物8の1H NMR(400MHz, CD3CD)測定を行ったところ、δ7.64 (4H, s, 1H×4, aromatic H), δ7.05−6.91 (12H, m, aromatic H), δ3.40 (4H, t, CH2×2, J = 5.4 Hz, CH2*NHCO), δ3.19 (8H, br, CH2×4, MeOCOCH2CH2*N), δ2.98 (4H,br, CH2×2,NCH2CH2*NHCO), δ2.89 (4H, t, CH2×2, J = 5.6 Hz, CH2CH2*NH), δ2.71−2.70 (4H, br, CH2×2, J = 5.6 Hz, MeOCOCH2*CH2N), δ2.36 (4H, t, CH2×2, J = 5.4 Hz, NHCOCH2*CH2NBn), δ1.39 (36H, s, CH3×12, Me of BOC)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 647.9[(M+2H)2+]であった。

0126

次に、下記一般式(13)にて示すように、温度50℃、トリエチルアミン(式中、TEA)の存在下、DMF中にて、脱保護されてフリーになった化合物8のアミノ基に、ペンタフルオロフェニル基(Pfp)にて活性化したビオチンを縮合させ、化合物9を得た(収率63%)。その後、0℃の温度条件下、トリフルオロ酢酸(式中、TFA)を含むCH2Cl2中にて、化合物9のBoc基を脱保護して、化合物10を本発明のリンカー化合物として得た。

0127

【化17】

0128

化合物9を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチン(80.1 mg, 0.397 mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(80.8 mg, 0.39mmol)を無水ジメチルフォルムアミド(1 mL)にアルゴンガス雰囲気下、溶解させて50℃で4時間撹拌し、ペンタフルオロフェノール(120 mg, 0.65 mmol)を加えて50℃で終夜撹拌し、ビオチン反応溶液を得た。ビオチン反応溶液に化合物8(70.6 mg, 54.5 mmol)、トリエチルアミン(60 μL, 0.811 mmol)を加え、50℃で終夜撹拌し化合物8反応溶液を得た。化合物8反応溶液を減圧濃縮し、残査を酢酸エチル100 mlに溶解し、飽和食塩水(50 mL×3)で洗浄後、有機相硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。この乾燥した残査から、乾燥剤を濾去後、濾液を減圧濃縮し、残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(25 g,クロロホルム:メタノール= 10 : 1 〜5 : 1)で精製して、化合物9として白色結晶を得た。

0129

得られた化合物9は、収量52.3 mg(収率63%)であった。また、得られた化合物9の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.61 (2H, s, aromatic H), δ7.57 (2H, s, aromatic H), δ7.06−6.95 (12H, m, aromatic), δ4.31 (1H, dd,JB7/B6 = 4.3, JB7/B3 = 6.6 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ4.09 (1H,dd, JB3/B4 = 4.5, JB3/B7 = 6.6 Hz, Biotin NHCH*CHS), δ3.35 (4H, t, CH2×2, J = 6.8 Hz, CH2CH2*NCH2CH2CONHPh), δ3.19−3.17 (4H, m, CH2×2, NCH2*CH2CONHCH2CH2), δ2.98−2.93 (1H, m, JB4/B3 = 4.5 Hz, Biotin NHCHCH*S), δ2.78−2.72 (9H, m, CH + CH2×4, JB6a/B6b = 10 Hz, JB6a/B7 = 4.3 Hz, Biotin NHCHCH2*S, NCH2*CH2CONHPh), δ2.53−2.50 (4H, br, CH2×2, CH2*CH2NCH2CH2CONHPh), δ2.44−2.40 (9H, m, CH+ CH2×4, JB6b/B6a =10 Hz, Biotin NHCHCH2*S, NCH2CH2CONHPh), δ2.20 (2H, t, JB12/B11 = 7.6 Hz, Biotin CH2CH2CH2CH2*CO), δ2.16 (4H, t, CH2×2, J = 6.8 Hz, CH2CH2*N CH2CH2CONHPh), δ1.55−1.51 (4H, br , CH2×2, Biotin CH2*CH2CH2*CH2CO), δ1.40 (36H, s, CH3×12, Me of BOC), δ1.28−1.24 (2H, m, CH2×1, Biotin CH2CH2*CH2CH2CO)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 761.4[(M+2H)2+]であった。

0130

また、化合物10を得るために、具体的に次のような操作を行った。化合物9(52.3 mg, 34.4 μmol)をジクロロメタン(1.5 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(1 mL )を加え0℃で1時間撹拌し、化合物9/トリフルオロ酢酸反応溶液を得た。この化合物9/トリフルオロ酢酸反応溶液を減圧濃縮し、残渣をLH20(140 mL,メタノール溶出)を用いて精製して、化合物10として黄色結晶を得た。

0131

得られた化合物10は、収量50.9 mg(収率94%)であった。また、得られた化合物10の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.51 (4H, s, aromatic H), 7.21 (8H, s, aromatic H), δ6.83−6.81 (4H, m, aromatic H), δ4.32 (1H, dd,JB7/B6 = 4.3, JB7/B3 = 8.0 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ4.14 (1H, dd, JB3/B4 = 4.4, JB3/B7 = 8.0 Hz, Biotin NHCH*CHS), δ3.59−3.52 (12H, m, CH2×6,NCH2*CH2CONHPh, CH2*CH2NCH2CH2CONHPh), δ3.47−3.37 (4H, m, CH2×2, CONCH2*CH2CONH), δ3.35−3.33 (4H, m, CH2CH2*NCH2CH2CONHPh), δ3.02 (1H, dt, JB4/B9 = 4.9 Hz, Biotin NHCHCH*S), δ2.92−2.89 (8H, m, CH2×4, NCH2CH2*CONHPh), δ2.79 (1H, dd, Jgem = 12.8, Jvic = 5.0 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.58 (1H, d, Jgem = 12.8 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.37 (2H,t, J = 7.0 Hz, CONCH2CH2*CONH), δ2.31 (2H, t, J = 7.1 Hz, CONCH2CH2*CONH), δ2.21 (2H, t, CH2×1, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.48−1.19 (6H, br, CH2×3, Biotin COCH2CH2*CH2*CH2*)であった。また、ESI−MS(positive)m/z1142.6[(M+Na)2+]であった。また、[a]D22 = +0.947 (c 0.972, MeOH)であった。

0132

また、得られた化合物10は、ESI−MS(positive)m/z=1120.62[M+H]+であり、一般式(13)にて化合物10として示す構造を有していることを確認した。また、NMR測定を行い、得られたNMRデータからも、上記化合物10として示す構造を有していることを確認した。

0133

〔実施例2・リガンドの合成〕
実施例1にて得られたリンカー化合物(化合物10)を用いて、前記一般式(3)にて表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0134

下記一般式(14)にて示すように、溶媒として、水:酢酸(AcOH):メタノール=12:1:15(5%の酢酸溶液、pH4)を用い、上記化合物10に対して、9当量のマルトースを加えて、室温にて1.5日間撹拌した。その後、飛行時間型質量分析計にて、4単位のシッフ塩基が形成されたことを確認した後、還元剤として20当量のNaBH3CNを2回に分けて加え、室温にて4日間撹拌し、還元アミノ化反応を行った。得られた化合物を、HP−20(ダイアイオン)を用いて精製し、本発明のリガンドとして化合物11を得た(収率89%)。この化合物11は、マルトースが5単位〜7単位集合してなる混合物として得られた。

0135

【化18】

0136

〔実施例3・リガンドの合成〕
実施例2にて得られたリンカー化合物(化合物10)を用いて、前記一般式(5)にて表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0137

下記一般式(15)にて示すように、マルトースに代えて、前記一般式(8)にて表される糖分子を用いた以外は、実施例2と同様に操作を行い、化合物12を得た。

0138

【化19】

0139

具体的に化合物12を得るために、以下の操作を行った。すなわち、リンカー化合物10(2.4 mg, 2.1 μmol)と、前記一般式(8)にて表される糖分子(GlcNS6S−IdoA2S−Glcと略、11.0 mg, 12.8 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 12/1/15, 0.4 mL)に溶解させ室温で2日撹拌した。リンカー化合物10/GlcNS6S−IdoA2S−Glc反応溶液に水素化シアホウナトリウム(約3 mg, 40 μmol)を加えて室温で2日撹拌後、再び水素化シアノホウ素ナトリウム(約2 mg, 40 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し、還元した。還元したリンカー化合物10/GlcNS6S−IdoA2S−Glc反応溶液を減圧濃縮し、残渣をSephadexG−50 fine[100 mL溶出液:0.85 M食塩水+PBS(1/1 vol.)混合溶液]を用いて精製し、254nmでのUV吸収が認められた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させた。ここで得た凍結乾燥させた残渣をHP−20(60 mL)を用いて脱塩し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集めて濃縮し、凍結乾燥させた。ここで得た凍結乾燥した画分をSephadexG−10(20 mL)を用いて再度脱塩し、254nmでのUV吸収が認められた画分を集めて濃縮し、凍結乾燥させて、化合物12として白色結晶を得た。

0140

得られた化合物12は、収量4.99 mg(収率42%)であった。また、得られた化合物12の1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.14−7.12 (4H, br,aromatic H), δ6.91−6.59 (12H, br, aromatic H), δ5.36−5.34 (4H, br, H−1’’), δ5.12 (4H, br, H−1’), δ4.51 (4H+1H, d, J = 2.6 Hz, H−5’, Botin NHCH*CH2S), δ4.29 (4H × 2, d, Jgem = 9.3 Hz,H−6’’b, H−2’), δ4.19 (4H×3, d, Jgem = 9.3 Hz, H−6’’a, H−3’, Biotin NHCH*CHS), δ4.05 (4H, d, J = 2.5 Hz, H−4’), δ4.00−3.93 (4H x 3, m, H−5’’, H−1b, H−6b), δ3.86−3.85(4H, m, H−5), δ3.78−3.72 (4H, m, H−4), δ3.70 (4H, t, H−3’’), δ3.67−3.59 (4H x 2, m, H−3, H−6b), δ3.56−3.52 (4H, br, Link PhNHCOCH2CH2NCH2CH2*), δ3.42 (4H, t, J = 6.6 Hz, Link COCH2CH2*NCO), δ3.36−3.30 (4H × 2+ 8H, m, H−2, H−4’’, Link PhNHCOCH2CH2*N), δ3.25 (4H, dd, J = 10.3, 3.3 Hz, H−2’’), δ3.18−3.05 (1H x 2, br, H−1a, Biotin NHCHCH*S), δ2.93−2.90 (4H, br, Link PhNHCOCH2CH2NCH2*CH2),δ2.89 (1H, br, Biotin NHCHCH2*S), δ2.82 (4H, t, J = 6.6 Hz, Link COCH2*CH2NCO), δ2.72−2.70 (1H, br, Biotin NHCHCH2*S), δ2.58 (8H, t, J = 6.6 Hz, Link PhNHCOCH2*CH2N), δ2.05(2H, br, Biotin COCH2*CH2 CH2 CH2), δ1.53 (2H, t, J = 7.6 Hz, Biotin COCH2CH2 CH2 CH2*), δ1.30 (2H, t, J = 6.9 Hz, Biotin COCH2CH2*CH2CH2), δ1.17 (2H, t, J = 7.1 Hz, Biotin COCH2CH2CH2*CH2)であった。

0141

このように、重水(D2O)中で500MHzでNMR測定を行って目的物を同定した。集合化度はNMRのイズロン酸部分の1位プロトンと、リンカー構造内の芳香族プロトン(16Hを基準)の強度比から計算した。両者の強度比は4.1:16となり、GlcNS6S−IdoA2S−Glcが平均して4.1分子集合していると見積もった。GlcNS6S−IdoA2S−Glcがn分子集合した化合物の分子量(Mw)は、化合物10の分子量1120.4とGlcNS6S−IdoA2S−Glcが1分子集合する際の分子量増加840.97とを用いて、式▲6▼のように表される。

0142

Mw=1120.4+840.97n (式▲6▼)
上式▲6▼にn=4.1を代入し、分子量4568.4を得て、これを基に収率を計算すると上記のように42%と求められた。

0143

〔実施例4・リガンドの合成〕
実施例1で得られたリンカー化合物である化合物10(以降ビオチンリンカー10と呼ぶ)に関して、糖分子の集合度の違いによるレクチンとの相互作用をSPR測定するために、リガンドを合成した。

0144

(4−1糖分子の単位を定めていないリガンドの合成)
ビオチンリンカー10を用いて糖分子を集合化させリガンドを得た。ビオチンリンカー10はメタノールには溶解するが水には不溶なため、糖を集合させる還元アミノ化反応の溶媒は、水、酢酸、メタノールの混合溶媒とし、pH4の条件で反応を行った。

0145

初めに、ビオチンリンカー10に集合させる糖分子としてグルコースを選択し、下記一般式(19)おいて化合物16にて表されるリガンドを以下の手順にて合成した。

0146

下記一般式(19)に示すように、実施例1にて得られたビオチンリンカー10に対して8当量(1−アミノ基当たり2当量、8.0 mg, 44μmol)のグルコースを用い、両者を混合溶媒に溶解させて室温で終夜撹拌し、ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を得た。反応の追跡はESI−MS測定を行った。反応中の上記ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を少量取り出しメタノールで希釈したサンプルを測定して、シッフ塩基の形成を確認したところ、この段階では大部分のビオチンリンカー10はアミノ基が遊離のままで存在し、シッフ塩基の生成率は小さかった。そこで上記ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液に、グルコースを順次追加し、最終的に28当量のグルコースを反応させると、ESI−MS測定の結果、ビオチンリンカー10は、シッフ塩基の形で存在していることが分かった。なおビオチンリンカー10に4残基あるアミノ基すべてがシッフ塩基になったわけではなく、それ以外に3、または2、または1残基のアミノ基だけがシッフ塩基になった化合物も存在していた。

0147

この段階で、ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液に還元剤として水素化シアノホウ素ナトリウムを加え、シッフ塩基を還元した。還元反応終了後、HP−20(商品名)を用いて、還元したビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を精製して、本発明のリガンドとして化合物16を得た。

0148

得られた化合物16をESI−MS測定したところ、グルコースが7または8分子集合した化合物が合成されていたことが分かった。これはグルコースを大過剰に加えたため、シッフ塩基が還元されて生じた2級アミノ基に、さらにグルコースが反応したためである。ESI−MS測定の結果から、上記化合物16は、グルコースを7または8単位(分子)有するリガンドの混合物であることがわかった。なお得られた上記化合物16の収率は、化合物が8分子集合体であると仮定した場合、42%である。この化合物16を以下8−Glcと略称する。

0149

【化20】

0150

化合物16を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー10(6.0 mg, 5.4 μmol)とグルコース(8.0 mg, 44 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 6/1/15, 0.4 mL)に溶解させて室温で終夜撹拌後、グルコース(10 mg, 55 μmol)を追加し、6時間後に再びグルコース(10 mg, 55 μmol)を加えて終夜撹拌し、ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を得た。このビオチンリンカー10/グルコース反応溶液に、水素化シアノホウ素ナトリウム(10 mg, 160 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し、還元反応させた。この還元反応させたビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集めて濃縮し、凍結乾燥させて、化合物16として白色結晶を得た。

0151

得られた化合物16は、収量5.1 mg(収率42%, 8置換体として計算)であった。また、得られた化合物16の1H NMR(400MHz, D2O)測定を行ったところ、δ6.92 (4H, d, J = 7.6 Hz, aromatic H), δ6.73 (4H, s, aromatic H), δ6.50−6.45 (8H, br, aromatic H), δ4.30−4.27 (1H, m, Biotin NHCH*CH2S), δ4.05−4.02 (1H, br, Biotin NHCH*CHS), δ3.95−3.91 (8H, m, H−2’), δ3.76−3.71(8H, m, H−5’), δ3.65−3.59 (8H×2, m, H−3’,H−6’b), δ3.58−3.45 (8H×3,m, H−6’a, H−4’, H−1’b), δ3.25 (8H, dd, Jgem = 15.0, Jvic = 9.6 Hz, H−1’a), δ3.19−3.16 (8H, br, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh, NHCOCH2CH2*NCO), δ2.96−2.86 (1H, m, Biotin NHCHCH*S), δ2.72−2.68 (9H, br, CH2×4 + 1H, Link NCH2*CH2NHCOPh, Biotin NHCHCH2*S), δ2.54−2.49 (5H, br, CH2×2 + 1H, Link CH2*NCH2CH2NHCOPh, Biotin NHCHCH2*S), δ2.41 (8H, br, CH2×4, Link NHCOCH2CH2*NCO), δ2.07 (2H, br, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ2.00 (4H, br, Link NHCOCH2CH2*NCO), δ1.32 (4H, br, Biotin COCH2CH2*CH2CH2*), δ1.17−1.16 (2H, br, Biotin COCH2CH2*CH2CH2)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 1217.5[(M8+2H)2+], 1135.0[(M7+2H)2+]であった。なお、M7:グルコースを7分子有するリガンドの分子量、M8: グルコースを8分子有するリガンドの分子量である。

0152

次に、ビオチンリンカー10にマルトースを集合化させリガンドを得た。

0153

実施例1で得られたビオチンリンカー10を用いて、前記一般式(14)にて表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0154

上記一般式(14)にて示すように、マルトースの当量(始め9当量さらに9当量用)を用いた以外は、上記実施例2と同様に操作を行い、本発明のリガンドとして化合物11を得た。

0155

得られた化合物11中のマルトースの集合化度は、その混合物のNMRを測定し、マルトース非還元末端1位プロトンとリンカー内の芳香族プロトン(16Hを基準)との強度比から計算した。両者の強度比は5.3:16となり、マルトースが平均して5.3分子集合していると見積もった。マルトースがn分子集合した化合物の分子量(Mw)はビオチンリンカー10の分子量1120.4とマルトースが1分子集合する際の分子量増加326.3とを用いて、下記の式▲1▼のように表される。

0156

Mw=1120.4+326.3n (式▲1▼)
上記式▲1▼にn=5.3を代入し、分子量2849.8を得て、これを基に上記化合物11の収率を計算すると、88%と求められた。この化合物11を以下5.3−Malと略称する。

0157

化合物11を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー10(3.2 mg, 2.9 μmol)と、マルトース(9.4 mg, 26 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 6/1/15, 0.2 mL)に溶解させて室温で8時間撹拌後、さらにマルトース(9.3 mg, 26 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し、ビオチンリンカー10/マルトース反応溶液を得た。このビオチンリンカー10/マルトース反応溶液に水素化シアノホウ素ナトリウム(約5 mg, 80 μmol)を加えて室温で終夜撹拌後、再び水素化シアノホウ素ナトリウム(約5 mg, 80 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し還元した。この還元したビオチンリンカー10/マルトース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物11として白色結晶を得た。

0158

得られた化合物11は、収量7.81 mg(収率89%, 5.3置換体として換算)であった。また、得られた化合物11の1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.31−6.51 (16H, br, aromatic H), δ5.05 (1H×5.3, br, H−1), δ4.56−4.44 (1H, br, Biotin NHCH*CH2S), δ4.25−4.20 (1H, br, Biotin NHCH*CHS), δ3.92−3.91 (1H×5.3, br, H−2’), δ3.84−3.82 (1H×5.3×3, br, H−5, H−5’,H−6b), δ3.78 (1H×5.3×2, dd, Jgem = 13.7, Jvic = 4.5 Hz, H−6a, H−6’b), δ3.72−3.69 (1H×5.3×3, br, J3/4 =8.2 Hz, H−6’a, H−3’, H−3), δ3.67−3.62 (1H×5.3, br, H−4’), δ3.53 (1H×5.3, d, J2/1 = 10.0 Hz, H−2), δ3.41 (1H×5.3, t, J4/3 = 9.5 Hz, H−4), δ3.37−3.36 (4H, br, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh), δ3.33−3.30 (4H, br, Link NHCOCH2CH2*NCO), δ3.27−3.24 (1H×5.3, br, H−1’b), δ3.17−3.05 (1H×5.3 + 1H, m, Jgem = 13.1, Jvic = 6.2Hz, H−1’a, Biotin NHCHCH*S), δ2.88−2.84 (9H, br, CH2×4 + 1H, Link NCH2*CH2NHCOPh, Biotin NHCHCH2*S), δ2.77−2.70 (1H, br, Biotin NHCHCH2*S), δ2.60−2.65 (4H, br, Link NHCOCH2*CH2NCO), δ2.56 (8H, br, CH2×4, Link NCH2CH2*CONHPh), δ2.20 (2H, t,JB12/B11 = 5.0 Hz, Biotin COCH2*CH2CH2CH2) δ2.18−2.13 (4H, br, Link CH2CH2*NCH2CH2NHCOPh), δ1.59−1.55 (2H, br,Biotin COCH2CH2*CH2CH2), δ1.54−1.43 (2H, br, Biotin COCH2CH2CH2CH2*), δ1.28−1.27 (2H, br, Biotin COCH2CH2CH2*CH2)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 1702.2[(M8+2H)2+], 1540.3[(M7+2H)2+], 1376.9[(M6+2H)2+]であった。なお、M6:マルトースを6分子有するのリガンドの分子量、M7: マルトースを7分子有するリガンドの分子量、M8: マルトースを8分子有するリガンドの分子量である。

0159

(4−2糖分子が4単位のリガンドの合成)
上記では集合させる糖をビオチンリンカー10に対して大過剰に加えたために、必要以上の糖が集合した不均一な集合体が得られた。そこで目的とする糖分子が4単位(分子)のリガンドを得るために、加える糖分子の当量を調製した。ここでは、集合化させる糖分子として、グルコース、マルトース、ラクトースの3種類を選択した。

0160

初めに、実施例1にて得られたビオチンリンカー10を用いて、前記一般式(16)にてYがOで表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0161

下記一般式(20)に示すように、グルコースをビオチンリンカー10に対してまず6当量加え、グルコースを順次加え合計で12当量加えたとき、未反応のリンカーがまだ残存しても還元剤を加えた以外は、上記実施例4の(4−1)と同様に操作を行い、本発明のリガンドとして化合物19を得た。

0162

【化21】

0163

終夜還元したビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を、HP−20を用いて同様に精製して得られた生成物は、ESI−MS測定の結果、グルコースが4または5分子集合した化合物の混合物であることが確認された。グルコースの集合化度はこの生成物のNMRを測定し、グルコース還元体であるグルシトールの1位プロトンとリンカー内の芳香族プロトン(16Hを基準)の強度比から計算した。両者の強度比は4.2:16となり、グルコースが平均して4.2分子集合していると見積もった。グルコースがn分子集合した化合物の分子量(Mw)はビオチンリンカーの分子量1120.4とグルコースが1分子集合した際の分子量増加164.1を用いて式▲2▼のように表される。

0164

Mw=1120.4+164.1n (式▲2▼)
上記(式▲2▼)にn=4.2を代入し分子量1809.2を得て、これを基に計算すると、化合物19の収率は24%と求められた。収率が低いのはHP−20を用いた精製の際に損失があったためである。このように当量を調整することでグルコースがほぼ4分子集合した化合物を合成することができた。以下、末端にグルシトール型の化合物を4.2分子持つ化合物19を4−Glcと略称する。

0165

化合物19を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー10(4.91 mg, 3.11 mmol)と、グルコース(3.45 mg, 19.2 mmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 12/1/15, 0.2 mL)に溶解させ、室温で8時間撹拌し、ビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を得た。このビオチンリンカー10/グルコース反応溶液に、さらにグルコース(1.64 mg, 9.1 mmol)を加えて室温で終夜撹拌後、水素化シアノホウ素ナトリウム(4 mg, 48 mmol)を加えて室温で終夜撹拌し、還元した。還元したビオチンリンカー10/グルコース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、メタノールで溶出させた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物19として白色結晶を得た。

0166

得られた化合物19は、収量2.77 mg(収率35%)であった。また、得られた化合物19の1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.05−7.02 (4H, m, aromatic H), δ6.86−6.52 (12H, m, aromatic H), δ4.44 (1H, dd,JB7/B6= 5.3, JB7/B3 = 7.5 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ4.17 (1H, dd, JB3/B4 = 4.5, JB3/B7 = 7.9 Hz, Biotin NHCH*CHS), δ3.92 (4H, td, J = 8.6, 4.7 Hz, H−2), δ3.80−3.73 (12H, m, H−3, 6b, 5), δ3.68−3.60 (8H, m, 1H×4×2,H−6a, 4), δ3.30−3.25 (20H, m, 1H×4+ CH2×2×2, H1a, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh, CONCH2*CH2CONH), δ3.07 (4H, 1H×4, dd, Jgem = 13.2, Jvic = 8.2 Hz,H1b), δ3.06−3.04 (1H, m, Biotin NHCHCH*S),δ2.86−2.83 (8H, CH2×4, br,Link NCH2*CH2CONHPh), δ2.63−2.61 (4H, m, 2H×2, Link CONCH2CH2*CONH), δ2.54−2.53 (8H, br, CH2×4, Link NCH2CH2*CONHPh), δ2.21−2.06 (6H, br, CH2×3, Link CH2CH2*NCH2CH2CONHPh, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.55 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2*CH2CH2), δ1.43−1.42 (2H, br, CH2×1, BiotinCOCH2CH2CH2*CH2), δ1.30−1.23 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2CH2CH2*)であった。また、ESI−MS (positive)m/z 911.4[(M+2Na)2+]であった。[a]D22 = +0.373 (c 0.0295, H2O)であった。

0167

次に、実施例1にて得られたビオチンリンカー10を用いて、前記一般式(17)にてYがOで表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0168

上記一般式(20)に示すように、グルコースに変えてマルトースを8当量用いた以外は、上記実施例4の(4−1)と同様に操作を行い、本発明のリガンドとして化合物20を得た。得られた化合物20は、そのNMRにおいて末端グルコース1位プロトンと、芳香族プロトンの強度比が4.1:16となり、平均してマルトースが4.1分子集合した化合物であると見積もられた。化合物20の収率は上記(式▲1▼)に集合化度4.1を代入して化合物19の場合と同様に計算すると、69%と求められた。以下、末端にα−グルコースを4.1分子持つ化合物20を4−Malと略称する。

0169

化合物20を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー10(25.0 mg, 15.8 μmol)と、マルトース(34.3 mg, 95.1 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 15/1/15, 0.55 mL)に溶解させて、室温で9時間撹拌し、ビオチンリンカー10/マルトース反応溶液を得た。ビオチンリンカー10/マルトース反応溶液に、さらにマルトース(10.7 mg, 29.7 μmol)を加えて室温で終夜撹拌後、水素化シアノホウ素ナトリウム(15 mg, 240 μmol )を加えて室温で終夜撹拌し、還元させた。還元させたビオチンリンカー10/マルトース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1及びメタノールで溶出された画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物20として白色結晶を得た。

0170

得られた化合物20は、収量26.7 mg(収率70%)であった。また、得られた化合物20の」1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.06−7.01 (4H, m, aromatic H), δ6.78−6.77 (4H, m, aromatic H.), δ6.70−6.66 (4H, m, aromatic H.), δ6.51−6.50 (4H, m, aromatic H), δ5.04 (4H, d, 1H×4, Jvic =2.7 Hz, H−1), δ4.43 (1H, dd,JB7/B6 = 8.0, JB7/B3 = 4.9 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ4.19−4.17 (1H, br, Biotin NHCH*CHS), δ3.92−3.90 (8H, m, CH×4×2, H−2’,5’), δ3.83−3.80 (8H, m, CH×4×2, H−5, 6’a), δ3.73 (8H, dd,CH×4×2, J3/2 = 5.2, J3’/2’ = 5.0 Hz, H−3, 3’), δ3.60 (4H, dd, CH×4,J = 7.4, 11.7 Hz, H−4’), δ3.53 (4H, dd, CH×4, J2/3 = 8.0, J2/1 = 3.7Hz, H−2), δ3.41 (4H, t, CH×4, J = 9.5 Hz, H−4), δ3.30−3.22 (12H, m,1H×4 + CH2×2×2, H1’b, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh, CONCH2*CH2CONH), δ3.14 (4H, dd, 1H×4, Jgem = 12.9, Jvic = 8.0 Hz, H1’a), δ3.06 (1H, m, Biotin NHCHCH*S),δ2.84−2.83 (9H, br, CH+CH2×4, Link NCH2*CH2CONHPh, Biotin NHCHCH2*S), δ2.70−2.66 (5H, br, CH+CH2×4, Link CONCH2*CH2CONH, Biotin NHCHCH2*S),δ2.62−2.60 (4H, br, CH2×2, Link CONCH2CH2*CONH), δ2.53−2.52 (8H, br, CH2×4, Link NCH2CH2*CONHPh),δ2.20−2.04 (6H, br, CH2×3, Link CH2CH2*NCH2CH2CONHPh, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.55 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2*CH2CH2), δ1.43−42 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2CH2*CH2), δ1.30−1.23 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2CH2CH2*)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 817.0[(M+3H)3+]であった。[a]D22= +5.11(c 0.243, H2O)であった。Calcd for C104H165N15O48S・11.9 H2O: C, 47.30;H7.16; N, 7.96%. Found: C, 47.30; H, 6.88; N, 7.86%。

0171

次に、実施例1にて得られたビオチンリンカー10を用いて、前記一般式(18)にてYがOで表される構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。

0172

上記一般式(20)に示すように、グルコースに代えて、ラクトースを8当量用いた以外は、上記(4−1)と同様に操作を行い、本発明のリガンドとして化合物21を得た。得られた化合物21は、NMR測定において、ガラクトース1位プロトンと芳香族プロトン強度比は4.2:16となり、ラクトースが平均4.2分子集合した化合物であると見積もられた。この場合も上記式▲1▼による分子量の計算が可能となり、集合化度4.2を代入し分子量2477.8を得て、これをもとにして計算すると収率は57%と求められた。以下、末端にβ−ガラクトースを4.2分子持つ化合物21を4−Lacと略称する。

0173

化合物21を得るために、具体的に次のような操作を行った。ビオチンリンカー10(7.88 mg, 5.0 μmol)、ラクトース(10.6 mg, 29.4 μmol)を混合
溶媒(水/酢酸/メタノール= 20/1/15, 0.4 mL)に溶解させて、室温で10時間撹拌し、ビオチンリンカー10/ラクトース反応溶液を得た。このビオチンリンカー10/ラクトース反応溶液に、さらにラクトース(3.59 mg, 10.0 μmol)を加え室温で終夜撹拌後、水素化シアノホウ素ナトリウム(5 mg, 80 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し還元した。還元したビオチンリンカー10/ラクトース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1及びメタノールで溶出させた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物21として白色結晶を得た。

0174

得られた化合物21は、収量7.08 mg(収率59%)であった。得られた化合物21の1H NMR(600MHz, D2O)測定を行ったところ、δ6.99 (4H, d, J = 8.3 Hz, aromatic H), δ6.72 (4H, d, J = 6.9 Hz, aromatic H.), δ6.65 (4H, d, J = 8.3 Hz, aromatic H), δ6.47 (4H, t, J = 6.2 Hz, aromatic H), δ4.38 (4H, d, 1H×4, Jvic = 7.7 Hz, H−1), δ4.35 (1H, m, Biotin NHCH*CH2S), δ4.09 (1H, dd,JB3/B4 =4.4, JB3/B7 =7.9 Hz, Biotin NHCH*CHS), δ3.97−3.94(4H, m, CH×4, H−2’), δ3.84−3.81 (8H, m, CH×4×2, H−5, 5’), δ3.79 (8H, d, CH×4×2, J4/3 =3.0 Hz, H−4, 6a), δ3.75−3.73 (12H, m, CH×4×3, H−3’, 6’a, 6b), δ3.63 (4H, dd, CH×4, J4’/3’= 6.1 Hz, H−4’, 6’b), δ3.57−3.56 (4H, m, CH2×4, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh ), δ3.52 (4H, dd, J3/2 = 10.0, J3/4 = 3.5 Hz, H−3), δ3.49 (4H, t, CH2×2, J = 6.3 Hz, Link CH2CH2*NCH2CH2CONHPh), δ3.46 (4H, dd, J2/1 = 7.7, J2/3 = 10.0 Hz, H−2), δ3.29−3.19 (12H, br, CH×4 + CH2×4, Link NCH2*CH2CONHPh, H−1’b), δ3.02−2.98 (5H, m, Biotin NHCHCH*S, H−1’a), δ2.81−2.75 (9H, br, CH+CH2×4, Link NCH2*CH2CONHPh, Biotin NHCHCH2*S), δ2.59 (1H, d, Jgem = 13.2 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.48 (8H, br, Link NCH2CH2*CONHPh), δ2.13−2.03 (6H, br, Link CONCH2CH2*CONH, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.47 (2H, br, CH2×1,Biotin COCH2CH2*CH2CH2), δ1.35 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2CH2CH2*), δ1.18 (2H, br, CH2×1, Biotin COCH2CH2CH2*CH2)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 831.3[(M+3Na)3+]であった。[a]D22 = −11.3 (c 0.292,H2O)であった。Calcd for C104H165N15O48S・10.4 H2O: C, 47.78; H7.12; N, 8.04%. Found: C, 47.78; H, 6.95; N, 8.00%。

0175

〔比較例1・アセチルリンカーを用いたリガンド〕
本実施例では対照化合物として、ビオチンのかわりにアセチル基を導入したリンカー化合物を合成した。すなわち、下記一般式(21)に示すように、ビオチンを導入する前の2級アミンである化合物8に、ピリジン無水酢酸を反応させてアセチル化し、化合物14を得た。その後、化合物14の末端のBoc基を先と同じ条件で脱保護してリンカー化合物15を定量的に得た。以下このリンカー化合物15をアセチルリンカー15と略称する。

0176

【化22】

0177

化合物14を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物8(13.1 mg, 54.5 μmol)をピリジン(0.5 mL)に溶解させ、これに無水酢酸(0.5 mL, 5.3 mmol)を加えて室温で4時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、トルエンで2回共沸し、残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(5 g,クロロホルム:メタノール= 10 : 1 〜5 : 1)で精製して、化合物14として黄色結晶を得た。

0178

得られた化合物14は、収量12.8 mg(収率95%)であった。また、得られた化合物14の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.60 (4H, s, aromatic H), 7.09−6.97 (12H, m, aromatic H), δ3.32 (4H, t, J = 6.6 Hz, AceNCH2*CH2CONH), δ3.19−3.17 (4H, br, AceNCH2CH2CONHCH2*), δ2.77 (8H, t, J = 6.1 Hz, NCH2CH2*CONHPh), δ2.52 (4H, t, J = 6.4 Hz, AceNCH2CH2CONHCH2CH2*), δ2.42 (8H, d, J = 6.1 Hz, NCH2*CH2CONHPh), δ2.12 (4H, t, J = 6.6 Hz, AceNCH2CH2*CONH), δ1.90 (s, 3H, Me of Ace), δ1.40 (s, 36H, Me of Boc)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 668.9[(M+2H)2+]であった。

0179

また、アセチルリンカー15を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、化合物14(12.8 mg, 9.6 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.5 mL)を加えて0℃で1時間撹拌し、化合物14/トリフルオロ酢酸反応溶液を得た。この化合物14/トリフルオロ酢酸反応溶液を減圧濃縮し、残渣をLH20(140 mL,メタノール溶出)を用いて精製して、アセチルリンカー15として黄色結晶を得た。

0180

得られたアセチルリンカー15は、収量14.9 mg(100%)であった。また、得られたアセチルリンカー15の1H NMR(400MHz, CD3OD)測定を行ったところ、δ7.50 (4H, s, aromatic H), δ7.27−7.19 (8H, m, aromatic H),δ6.86−6.81 (4H, m, aromatic H), δ3.57−3.51 (12H, br, AceNCH2CH2CONHCH2*, NCH2*CH2CONHPh),δ3.40 (4H, dd, J = 6.4 Hz, AceNCH2*CH2CONH), δ3.35−3.32 (4H, br, J5/4 = 5.1 Hz, AceNCH2CH2CONHCH2CH2*), δ2.91 (4H, t, J7/6 = 6.1 Hz, NCH2CH2*CONHPh), δ1.88 (s, 3H, Me of Ace)であった。ESI−MS(positive)m/z 647.8[(M+2H)2+]であった。

0181

上記のように得られたアセチルリンカー15を用いて、マルトースを集合化させリガンドを得た。下記一般式(22)に示すように、ビオチンリンカー10にグルコースを反応させたのに代えて、アセチルリンカー15に対して合計で27当量のマルトースを反応させた以外は、上記実施例4の(4−1)と同様に操作を行い、化合物18を得た。

0182

【化23】

0183

得られた化合物18は、そのNMRにおいてマルトース非還元末端1位プロトンとリンカー由来の芳香族プロトンの強度比が7.9:16となり、平均してマルトースが7.9分子集合した化合物であると見積もった。マルトースがn分子集合した化合物の分子量(Mw)は、アセチルリンカー15の分子量936.1とマルトースが1分子集合する際の分子量増加326.3を用いて、式▲3▼のように表される。

0184

Mw=936.1+326.3n (式▲3▼)
上記(式▲3▼)にn=7.9を代入し、分子量3562.8を得て、これを基に化合物18収率を計算すると50%と求められた。以下この化合物18をAce−8−Malと略称する。

0185

化合物18を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、アセチルリンカー15(3.73 mg, 7.3 μmol)と、マルトース(11.5 mg, 33.6 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 6/1/15, 0.25 mL)に溶解させて室温で終夜撹拌後、さらにマルトース(13.0 mg, 38.0 μmol)を加えて室温で撹拌し、7時間後に再びマルトース(14.7 mg, 42.9 μmol)を加えてから、水素化シアノホウ素ナトリウム(20 mg, 320 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し、反応溶液を得た。この反応溶液に、水素化シアノホウ素ナトリウム(20 mg,320 μmol)を再び加えて室温で終夜撹拌した。この再び水素化シアノホウ素ナトリウムを加えた反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集め濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物18として白色結晶を得た。

0186

得られた化合物18は、収量7.02 mg(50%, 8置換体として換算)であった。また、得られた化合物18の1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.09−7.04 (4H, br, J = 7.6 Hz, aromatic H), δ6.93−6.91 (4H, br, aromatic H), δ6.65−6.58 (8H, br, aromatic H), δ5.05 (1H×8, d, J1/2 = 2.3 Hz, H−1), δ3.88 (1H×8×2, br, H−2’, 5’), δ3.83 (1H×8, br, H−5), δ3.82 (1H×8, br,H−6b), δ3.74 (1H×8×2, dd, Jgem = 12.4, Jvic = 5.5 Hz, H−6’b, H−6a), δ3.69 (1H×8, br, J3/4 = 9.4 Hz, H−3), δ3.67−3.64 (1H×8×2, br, H−3’, 6’a), δ3.59−3.57 (1H×8, br, H−4’), δ3.53 (1H×8, dd, J2/1 =9.9, J2/3 = 3.5 Hz, H−2),δ3.41 (1H×8, t, J4/3 = 9.6 Hz, H−4), δ3.30 (8H, br, Link CH2*CH2NCH2CH2CONHPh, NHCOCH2CH2*NCO), δ3.24 (1H×8, br, H−1’b), δ3.15 (1H×8, br, H−1’a), δ2.87−2.82 (8H, br, Link NCH2*CH2CONHPh), δ2.66 (4H, br, J = 8.0 Hz, Link CH2CH2*NCH2CH2CONHPh), δ2.57 (8H, br, Link NCH2CH2*CONHPh), δ2.10−2.08 (4H, br, J = 7.1 Hz, Link NHCOCH2*CH2NCO), δ1.88 (3H, s, Me of Ace)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 1190.4 [(M8+2Na+H)3+], 1081.1 [(M7+2H+Na)3+]であった。なお、M7:マルトースを7分子有するリガンドの分子量、M8: マルトースを8分子有するリガンドの分子量である。

0187

〔比較例2・芳香族アミノ基を2残基有するビオチンリンカーを用いたリガンド〕
比較対照のために、下記一般式(23)に示すように特許文献2に記載の末端に芳香族アミノ基を2残基もつリンカー化合物22(divalent type、ビオチンリンカー22と呼ぶ)を用い、糖分子を2単位(分子)集合させ、リガンドを合成した。

0188

【化24】

0189

上記実施例4の(4−2)で得た糖分子4単位を集合させたリガンドの場合と同様にして、ビオチンリンカー22を用いて糖分子を2単位集合させたリガンドを合成した。なお、2単位集合させる糖にはグルコースとマルトースを選択した。

0190

初めに、ビオチンリンカー22にグルコースを集合させ、リガンドである化合物23を得た。下記一般式(24)に示すように、ビオチンリンカー10に対してグルコースを反応させるのに代え、ビオチンリンカー22に対して4当量のグルコースを反応させた以外は、上記実施例4の(4−1)と同様に操作を行い、化合物23を得た。化合物23の集合化度は、化合物23のNMR測定においてグルコース還元体であるグルシトール1位プロトンとビオチンリンカー22内の芳香族プロトン(8Hを基準)の強度比から計算した。両者の強度比は2.1:8となり、化合物23にはグルコースが平均して2.1分子集合していると見積もった。グルコースがn分子集合した化合物の分子量(Mw)はビオチンリンカー22の分子量567.7とグルコースが1分子集合する際の分子増加164.1を用いて式▲4▼のように表される。

0191

Mw=567.7+164.1n (式▲4▼)
上記(式▲4▼)にn=2.1を代入し、分子量912.3を得て、これを基に化合物23の収率を計算すると73%と求められた。以下、化合物23を2−Glcと略称する。

0192

次に、ビオチンリンカー22にマルトースを集合させ、リガンドである化合物24を得た。下記一般式(24)に示すように、グルコースに代えマルトースを用いた以外は、上記化合物23を得た操作と同様にマルトースを集合化させ、化合物23を得た。化合物24のNMR測定において、末端グルコース1位プロトンとビオチンリンカー22内の芳香族プロトン(8Hを基準)の強度比は2.0:8となり、化合物24には、マルトースが平均して2.0分子集合していると見積もられた。マルトースがn分子集合した化合物の分子量(Mw)は、ビオチンリンカー22の分子量567.7とマルトースが1分子集合する際の分子量増加326.3を用いて式▲5▼のように表される。

0193

Mw=567.7+326.3n (式▲5▼)
上記(式▲5▼)にn=2.0を代入して、分子量1207.2を得て、これを基に化合物24の収率を計算したところ、76%と求められた。以下、化合物24を2−Malと略称する。

0194

【化25】

0195

化合物23を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー22(4.14 mg, 7.3 μmol)と、グルコース(3.84 mg, 21.3 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 6/1/15, 0.25 mL)に溶解させて、室温で6時間撹拌し、ビオチンリンカー22/グルコース反応溶液を得た。このビオチンリンカー22/グルコース反応溶液に、さらにグルコース(1.38 mg, 7.66 μmol)を加えて室温で終夜撹拌後、水素化シアノホウ素ナトリウム(6 mg, 96 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し還元した。この還元したビオチンリンカー22/グルコース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物23として白色結晶を得た。

0196

得られた化合物23は、収量4.84 mg(収率74%)であった。得られた化合物23の1H NMR(600MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.51 (4H, d, J = 6.6 Hz, aromatic H), δ6.62 (4H, d, J = 9.1 Hz, aromatic H), δ4.33 (1H, dd,JB7/B4 = 3.0, JB7/B6 = 5.0 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ3.88 (2H, dd, J2/1 = 4.4, J2/3 = 4.9 Hz, H−2), δ3.84 (1H, dd, JB3/B4 = 4.4, JB3/B7 = 3.7 Hz, Biotin NHCH*CHS), δ3.75 (2H, dd, J3/2 = 4.9, J3/4 = 3.2 Hz, H−3), δ3.74−3.72 (2H, m,H−6b), δ3.72−3.69 (4H, br, CH2×2, LinkNCH2CH2*NHCOPh),δ3.69−3.67 (2H, m, H−5), δ3.64 (4H, t, CH2×2, J = 4.6 Hz, Link NCH2*CH2NHCOPh), δ3.60 (2H, dt, J4/3 = 2.5, J4/5 = 7.7 Hz, H−4), δ3.53 (2H,dd, J = 2.2, 6.0 Hz, H−6a), δ3.33−3.29 (2H, dt, Jgem = 13.7, Jvic = 4.7 Hz, H−1a), δ3.11 (2H, dt, Jgem = 11.2, JvIc = 3.3 Hz, H−1b), δ2.72 (1H, dd, Jgem =12.9, Jvic =5.0 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.57 (1H, d, Jgem= 13.2 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.55−2.53 (1H, m, J = 3.3 Hz, Biotin NHCHCH*S), δ2.14 (2H, t, JB12/B11 = 7.0 Hz, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.22−1.10 (4H, m, CH2×2, Biotin COCH2CH2*CH2CH2*)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 470.7[(M+2Na)2+]であった。[a]D22 = +6.61(c 0.145,H2 O)であった。Calcd for C40H61N7O14S・6.5 H2O: C, 47.45; H, 7.31; N, 9.69%. Found: C, 47.44; H,6.580; N, 9.60%。

0197

また、化合物24を得るために、具体的に次のような操作を行った。すなわち、ビオチンリンカー22(4.12 mg, 7.3 μol)とマルトース(7.9 mg, 22.1 μmol)とを混合溶媒(水/酢酸/メタノール= 12/1/15, 0.25 mL)に溶解させて室温で終夜撹拌しビオチンリンカー22/マルトース反応溶液を得、その後水素化ホウ素シアノナトリウム(6 mg, 96 μmol)を加えて室温で終夜撹拌し還元した。この還元したビオチンリンカー22/マルトース反応溶液を減圧濃縮し、残渣をHP−20(70 mL)を用いて精製し、水/メタノール=1/1で溶出させた画分を集めて濃縮し、残渣を凍結乾燥させて、化合物24として白色結晶を得た。

0198

得られた化合物24は、収量6.71 mg(収率75%)であった。また、得られた化合物24の1H NMR(500MHz, D2O)測定を行ったところ、δ7.60 (4H, d, J = 4.5 Hz, aromatic H), δ6.74 (4H, d, J = 8.8 Hz, aromatic H), δ5.09 (2H, d, J1/2 = 3.7 Hz, H−1), δ4.44 (1H, dd,JB7/B6 = 4.8, JB7/3 = 3.1 Hz, Biotin NHCH*CH2S), δ3.95−3.93 (2H, br, H−2’), δ3.91−3.90 (2H, br, H−5’),δ3.90−3.89 (2H + 1H, br, Biotin NHCH*CHS, H−3’), δ3.87−3.86 (2H, br, H−5), δ3.82 (2H, d, Jgem =12.7 Hz,H−6a), δ3.76 (2H, dd, Jgem =12.5, Jvic =5.2 Hz, H−6b), δ3.72 (4H, m, 1H×2×2, Jgem = 12.1, J3/4 = 9.3 Hz,H−6’a, H−3), δ3.66 (4H, br, CH2×2, LinkNCH2CH2*NHCOPh), δ3.62 (4H,d, Jgem = 11.8 Hz, H−6’b, H−4’), δ3.58−3.54 (6H, m, CH2×2 + 1H×2, Link NCH2*CH2NHCOPh, H−2), δ3.42 (2H, t, J4/3 = 9.6 Hz, H−4), δ3.37 (2H,dt, Jgem = 13.7, Jvic = 4.8 Hz, H−1’b), δ3.29 (2H, td, Jgem = 7.4, Jvic = 3.0 Hz, H−1’a), δ2.83 (2H, dd, Jgem = 13.0, Jvic = 5.1 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.67 (2H, d, Jgem = 12.8 Hz, Biotin NHCHCH2*S), δ2.65−2.62(2H, m, Biotin NHCHCH*S), δ2.24 (2H, t, JB12/B11 = 7.0 Hz, Biotin COCH2*CH2CH2CH2), δ1.31−1.19 (4H, m, CH2×2, JB11/B12 = 7.0, JB9/B10= 7.4 Hz, Biotin COCH2CH2*CH2CH2*), δ0.95−0.91 (2H, m, Biotin COCH2CH2CH2*CH2)であった。また、ESI−MS(positive)m/z 632.8[(M+2Na)2+]であった。[a]D22= +6.95 (c 0.222, H2O)であった。Calcd for C52H81N7O24S・9.1 H2O: C, 45.13; H, 7.17; N, 7.09%.Found: C, 45.13; H, 6.63; N, 7.37%。

0199

以上のように、糖分子を4単位あるいは2単位集合させたリガンドを合成した。以下これらのリガンドを用いてタンパク質との相互作用をSPR測定により解析した。

0200

〔実施例5・SPR法を用いた糖分子とタンパク質との特異的相互作用
SPR測定ではアナライトがリガンド以外の分子と非特異的に相互作用する場合が多い。そのため実際の測定では、特異的な相互作用と非特異的なものとが合わさった共鳴角度変化を観測している。非特異的な相互作用を低減し、特異的な相互作用を観測するということが測定上の最大の問題点となる。本発明者らは、この問題点を次の方法(2チャンネル解析法と称する)により解決できるのではないかと考えた。

0201

本実施の形態で用いるSTR測定を行う装置SPR670(商品名、Nippon Laser & Electronics LAB)には、(S),(R)という2つのチャンネルがあり、図3に示すように、それぞれの表面上のリガンドとアナライトとの相互作用を同時に観測できる。例えば、一方の表面は4−Malを、他方には4−Glcを固定化し、グルコースに結合するレクチンであるコンカナバリンA(Concanavalin A,Con A)をこれら2つの表面に同時に同条件で流すとする。Con Aは4−Malの末端に存在するグルコピラノースと結合するが、これを持たない4−Glcとは結合しにくいと考えられる。4−Malと4−Glcとは、末端に存在する糖の有無以外は同じ構造なので、Con Aとの相互作用に差があるとすれば、4−Malに存在するグルコピラノースに起因すると考えられる。すなわち観測される(S),(R)の共鳴角度変化の差がグルコピラノースとCon Aとの特異的な相互作用に相当する。

0202

このように2種類の異なるリガンドを(S)と(R)とにそれぞれ固定化し、両者の相互作用の差を観測するという従来の手法を応用し、末端の糖の有無以外は同じ構造を持つ化合物をリガンドとして用いることによって、糖分子とタンパク質との特異的な相互作用が検出できることを本発明者らは見いだした。

0203

(5−1リガンド導入チップの作製)
初めに、SPR測定により糖分子とタンパク質との相互作用解析を行うために、センサチップにリガンドを固定化した。すなわち、実施例4で合成したリガンドをビオチン−アビジンの結合を利用してチップ上に固定化させ、リガンド導入チップ(リガンド担持体)を得た。なお、アビジンをSPRセンサチップ上に固定化させてから、リガンドを固定化した。

0204

具体的にリガンド導入チップを得るために、以下のような操作を行った。すなわち、初めに、13×20×0.7mmのガラス基盤に50nmの金薄膜蒸着した日本レーザ電子株式会社製のセンサチップを、UVオゾンクリーナー(商品名:NL−UV253、日本レーザー電子株式会社)に入れて紫外線を20分間照射し、オゾンでセンサチップの表面を洗浄した。次に、このセンサチップを100μMの4,4’−ジチオ酪酸エタノール溶液の入ったシャーレに浸し、室温で30分間緩やかに振とうさせた(商品名:Bio Dancer、New Brunswick Scientific社)。チップに4−チオ酪酸を、金−硫黄結合を用いて固定させた。このチップをエタノールで3回洗浄したのち、160mM水溶性カルボジイミド水溶液1mLと13mMのN−ヒドロキシスクシンイミド1,4−Dioxan溶液9mLとの混合溶液の入ったシャーレに浸し、室温で30分間緩やかに振とうさせた。シャーレに水10mLを加え室温で5分間振とうさせて、活性化反応を終了させた。チップを水で4回洗浄し風乾後、SPR670のセンサチップカートリッジに取り付けた。センサチップカートリッジに取り付けたチップにランニングバッファーを流し、レーザー光金膜に照射させ、そのとき観測される表面プラズモン共鳴角度変化をモニターした。なお、ランニングバッファーは、pH7.4のリン酸緩衝溶液(PBS)を用い、サンプルを流すとき以外は、常にランニングバッファーを流速5mL/minでチップ上に流した。またSPR測定はすべて一定温度(25℃)で行い、測定で用いるサンプル溶液は全て、シリンジフィルター(Whatman(copyright) PURADISC(登録商標) 25TF 0.2 mmPTFE Membrane filter)を用いてろ過してから使用した。

0205

上記チップにランニングバッファーを流し、共鳴角度変化が一定になってから、0.1mg/mLニュートロアビジン(PIERCE, NeutrAvidin(登録商標),CA47105 )酢酸ナトリウム水溶液(10 mM, pH 5.5)を,流速5μL/minで60μLずつ3回流した。SPRでサンプル溶液を流した後はランニングバッファーに切り替え、余分なサンプルを洗い流して、共鳴角度変化が一定になってから次の操作を行った。残存する活性エステル不活性化キャッピング)するために、1.0Mアミノエタノールを含むPBS溶液(pH 8.5)を流速5μL/minで60μLずつ2回流し、アビジン付加チップ(アビジン付加体)を得た。

0206

続いて、種々の濃度の実施例4で得たリガンドのPBS溶液を、流速10μL/minで60μLずつ順に流し、上記アビジン付加チップ上にリガンドを固定化させ、リガンド導入チップ(リガンド担持体)を得た。なお、リガンドの固定化はSPRセンサーグラムレゾナンスユニットの上昇が認められなくなるまで繰り返えした。

0207

リガンドを固定化させるまでのSPRセンサーグラムの一例を図4に示す。ここではSチャンネル(以下(S)と略称する)には上記実施例4の(4−3)で得た4−Mal、Rチャンネル(以下(R)と略称する)には4−Glcを固定化させた時のセンサーグラムを表示した。センサーグラムは、横軸は時間、縦軸は共鳴角度変化(Response(RU;Response Unit))を示している。

0208

アナライトを添加する時以外は、チップ上にランニングバッファーとしてリン酸緩衝溶液(pH 7.4, 以下PBSと略称する)が流速5μL/minで絶えず流れている。チップ上へのアナライトの添加が終了すると、自動的にPBSが流れて、結合に関与しなかった余分なアナライトを洗浄するようにした。0.1mg/mLのニュートロアビジン酢酸ナトリウム溶液(10 mM 酢酸ナトリウム,pH 5.5)を流速5μL/minで60μL流すと、共鳴角度の増加が観測され、ニュートロアビジンが上記チップに固定化されたことが分かった。

0209

その後チップ上に残存する活性エステルをキャッピングするため、1.0Mエタノールアミンを含むPBS溶液を、流速5μL/minで60μL流した。キャッピングの後、共鳴角度変化が一定になった時点と、ニュートロアビジン溶液を流す前と後との共鳴角度変化量を固定化量とした。このセンサーグラムでの固定化量は(S)が3690RU、(R)が3480RUとなった。

0210

次に、(S)には4.9μM、16.3μM、49μMの4−Mal溶液を、(R)には0.49μM、4.9μM の4−Glc溶液を流速10μL/minで60μL流して固定化した。固定化されなかった過剰なリガンドを洗い流し、共鳴角度変化が一定になった時点と、固定化前との共鳴角度変化量をリガンドの固定化量とした。なおリガンドの固定化は、集合体を流しても固定化量が増えない状態に達するまで繰り返し行った。このセンサーグラムでの4−Malの固定化量は220RU、4−Glcの固定化量は220RUとなり、2種類の異なるリガンドが同程度に固定化されたリガンド導入チップが作製できた。同様の手法でリガンドの異なる種々のリガンド導入チップを作製した。

0211

(5−2リガンドの固定化についての検証)
合成したリガンドが、ビオチン−ニュートロアビジンの結合によりチップ上に固定化されているかどうかを、ビオチンを持たない比較例1で得たアセチルリンカー15によりマルトースを集合化させた化合物18(Ace−8−Mal)を用いてSP測定で検証した。すなわち、5.3−Malと同じ条件で、Ace−8−Malをニュートロアビジンが固定化されたチップ上に流し、これが固定化されなければ、非特異的なリガンドの固定化がないことを確認できる。

0212

まず、上記(5−1)と同様にニュートロアビジンを固定化させたアビジン付加チップを作製した。このときのニュートロアビジンの固定化量は、(S)が6620RU、(R)が6330RUであった。このチップの(S)に順に、0.61μMのAce−8−Mal溶液、5.48μMのAce−8−Mal溶液、0.61μMの5.3−Mal溶液、5.48μMの5.3−Mal溶液を、流速10μL/minで60μL流し、(R)にはPBSだけを流し続けた。このときの(S)と(R)との差に相当する(D)のセンサーグラムを重ねて描いたのが、図5である。なお、同図では、Ace−8−MalはAce−Ma1と、5.3−MalはBio−Malと表記している。

0213

図5に示すように、SPR測定の結果からビオチンを含む5.3−Malが特異的にチップ上に固定化され、ビオチンを含まないAce−8−Malは、全く固定化されなかった。したがって、ビオチンリンカーを用いて糖分子を集合化した化合物(リガンド)は、ビオチン−アビジン(ニュートロアビジン)の結合によって特異的にチップ上に固定化することができた。

0214

(5−3リガンド導入チップを用いた糖分子とレクチンとの相互作用)
上記(5−1)で得られたリガンド導入チッップに、種々の濃度のタンパク質のPBS溶液を、流速20μL/minで60μLずつ流し、SPR測定により、リガンド導入チップとタンパク質との結合及び解離の挙動を観測した。

0215

なお用いたタンパク質は以下の通りである。
*)BSA(SIGMALUBMUN,BOVINE)
*)Concanavalin A(コンカナバリンA,SEIKAGAKU KOGYO)
*)Pea Lectin(エンドウマメレクチン,SEIKAGAKU KOGYO)
*)Peanut Lectin(ピーナッツレクチン,SEIKAGAKU KOGYO)
*)RCA120(ヒママメレクチン,SEIKAGAKU KOGYO)
なお、上記タンパク質が導入されたリガンド導入チップは、該リガンド導入チップ表面に、10mMの水酸化ナトリウム水溶液を60μL/minで60μL流すことによって解離させ再生させて、再使用した。この操作もセンサーグラムでレクチンを流す前のレゾナンスユニット値(Response(RU;Response Unit))になるまで、1〜3回繰り返して行った。

0216

初めに、上記(5−1)で得られた、5.3−Malと8−Glcとを用いたリガンド導入チップで、Con Aとの相互作用を調べた。まず、上記(5−1)と同様にチップにニュートロアビジンを固定化させ、アビジン付加チップを得た。このときのニュートロアビジンの固定化量は、(S)が5470RU、(R)が4380RUであった。その後、アビジン付加チップの(S)に5.3−Malを、(R)に8−Glcを固定化し、リガンド導入チップを得た。なお、リガンドの固定化量は、(S)は390RU、(R)は390RUであった。

0217

このように作成したリガンド導入チップに、1.0MのCon A溶液を流速10μL/minで60μL流した。このとき観測された(S)、(R)および両者の差に相当する(D)の共鳴角度変化を図6に示す。図6に示すように、Con A溶液を流すとリガンド導入チップ上のリガンドとCon Aとが結合して、(S)、(R)とも共鳴角度が上昇した。次に結合に関与しなかったCon Aを洗い流してPBSを流速10μL/minで約1000秒流した後、10mM水酸化ナトリウム水溶液を流速60μL/minで60μL流し、リガンドに結合したCon Aを解離させた。解離にともなう共鳴角度の急激な減少が見られ、共鳴角度がCon Aを流す前のベースラインと同じレベルで一定になったことから、Con Aが完全に解離したことが分かった。同図中の(D)は、結合、解離を表す典型的なSPRセンサーグラムと同様になった。すなわちこの系でCon Aとグルコピラノースとの特異的な相互作用を観測できた。

0218

さらに、上記リガンド導入チップに様々な濃度のCon Aを作用させ相互作用をSPR測定した。また、BSA、およびPSAとの相互作用についてもSPR測定し共鳴角度変化観測した。

0219

以上の結果から、次の以下のことが明らかとなった。すなわち、合成したビオチンリンカーによって糖分子を集合化させたリガンドは、アビジン(ニュートロアビジン)を固定化させたチップ上に固定化することができる。またCon Aとグルコピラノースとの特異的な相互作用を解析することができる。

0220

また、リガンド導入チップを用いた「2チャンネル解析法」によって、タンパク質との非特異的な相互作用を打ち消すことができると結論した。また、ConAと同様に、グルコピラノース認識レクチンであるPSAが特異的に相互作用しなかったことから、糖認識能をもつレクチンでも、チップ上に固定化された糖分子とは結合の程度に差が出るということが分かった。

0221

また、本発明の4−Mal及び4−Glcと、比較例である2−Mal及び2−Glcとを固定化させたリガンド導入チップを作製し、これを用いて様々な濃度の、Con A,BSA, PSA,RCA120, PNA溶液を流し、SPR測定して共鳴角度変化観測した。

0222

糖分子の集合化の度合いによるレクチンとの相互作用の違いについて、得られた結果をまとめて表1に示した。

0223

【表1】

0224

表1より、解離定数(KD)は値が小さいほど分子間の結合が強いことを表している。表1を用いて、同じアナライトに対する解離定数を比較すると、4単位の糖分子が集合した系が、2単位の系の約2/3の値であることがわかる。すなわち糖をより多く集合化させたことにより、Con Aとの結合が強くなったことが確認された。

0225

さらに詳細な検討をするためにCon Aとリガンドとの結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)を比較すると次のことが明らかになった。すなわち両者の結合速度には差がないが、解離速度は、糖分子を4単位有するリガンドが2単位のもの約1/2の値であり、比較的大きな差が見受けられた。つまり糖分子を4単位有するリガンドでは、結合したCon Aが解離しにくい状況にあるということが分かった。集合化させる糖分子の数を増やすと、結合速度には変化は出ないが、一度結合したCon Aが解離した後に再結合する機会が増えて解離速度が低下し、この影響により解離定数が小さな値になったと考えられる。この結果から本発明のリンカー化合物は糖分子を集合化させ、クラスター効果によって相互作用する分子との結合を強めることが確認された。

0226

次に、糖分子を変えて、ガラクトースとガラクトース認識レクチンの相互作用を解析した。上記(5−1)で得た末端のガラクトースの有無だけが異なる4−Lacと4−Glcとをニュートロアビジンチップに固定化したリガンド導入チップを用いた。濃度の異なるRCA120、また、PNAを用いて上記と同様のSPR測定を行った。また、4−Lacと4−Glcとのリガンド導入チップに、様々の濃度のCon A,BSA, PSA, RCA120 , PNA溶液を流してSPR測定を行い、共鳴角度変化(D)を観測した。これらの観測結果から、ラクトースを集合化させたリガンドを用いれば、ガラクトースとガラクトース結合レクチンRCA120及びPNAとの特異的な相互作用を解析することができることが明らかになった。

0227

以上により得られたSPR測定の結果から以下のことが言える。
1)本研究で合成したリンカーを用いて糖分子を集合化させたリガンドを、ビオチン−アビジン(ニュートロアビジン)の結合によってSPRセンサチップ上に固定化させることができた。
2)「2チャンネル解析法」と称される、末端の糖分子以外が同じ構造である対照リガンドを用いる方法によって、SPR測定で一番問題となる非特異的な相互作用を相殺して、糖とタンパク質との特異的な相互作用を検出することを可能にした。
3)集合化度の異なる糖リガンドを固定化させた糖チップを用いることによって、クラスター効果による糖分子とレクチンとの結合の増強を観察することができた。

0228

以上のように、本発明のリンカー化合物は、糖分子を集合化し、得られる集合体(リガンド導入チップ)は、SPR測定によるレクチンと糖との相互作用解析に充分適用できるものである。

0229

〔実施例6・アフィニティクロマトグラフィ〕
(6−1アフィニティカラム作製)
実施例4で合成したリガンドを用いてアフィニティカラムを作製した
一般に行われているアフィニティカラムの作製法に従い、実施例4で得られたリガンド4−Malを固定化したアフィニティカラムを作製した。カラム担体はAmersham社製Hitrap NHS−activated Hp (カラム体積1 mL)を用いた。これはゲルマトリックススペーサを介して活性基としてN−ヒドロキシスクシンイミドが固定化されており(ゲル1 mL 当たり10 mmol NHS 基)、アミノ基を持つ化合物を担体上に固定化させるのに適している。アフィニティーカラム作製手順の概略を図6に示す。

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