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技術 知的財産権評価装置及び知的財産権評価プログラム

出願人 アルプス電気株式会社
発明者 近藤康夫
出願日 2002年10月31日 (18年7ヶ月経過) 出願番号 2002-317760
公開日 2004年5月27日 (17年0ヶ月経過) 公開番号 2004-152093
状態 未査定
技術分野 特定用途計算機
主要キーワード 実施製品 想定期間 ライフ期間 技術指導 影響率 実施レベル 事業性 実用新案権
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年5月27日)のものです。
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図面 (5)

課題

あらゆる分野の知的財産権の価値を客観的に評価することができる知的財産権評価装置を提供する。

解決手段

知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力部と、この知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査部と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースを参照して、対象となる製品分収入費用収益を算出して、キャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出部と、キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正部と、知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断部と、修正されたキャッシュフローとパラメータを乗算することにより知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出部とを備える。

概要

背景

従来、特許権評価方法として、民間企業、各種団体または研究機関が提案している。たとえば、コールオプション理論価格算定する公式ブラックショールズ式)を、特許の価値評価に応用したものが知られている(非特許文献1参照)。また、特許権の基本的属性例えば権利化状況、存続期間、発明の技術的性格等、権利固有評価例えば権利としての技術支配力および特許としての完成度移転流通性評価例えば技術移転信頼性および権利・権利行使の安定性事業性評価例えば発明の事業化可能性の評価を総合的にとりまとめて評価するものも知られている(非特許文献2参照)。

概要

あらゆる分野の知的財産権の価値を客観的に評価することができる知的財産権評価装置を提供する。知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力部と、この知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査部と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースを参照して、対象となる製品分収入費用収益を算出して、キャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出部と、キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正部と、知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断部と、修正されたキャッシュフローとパラメータを乗算することにより知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出部とを備える。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、あらゆる分野の知的財産権の価値を客観的に評価することができる知的財産権評価装置及び知的財産権評価プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力部と、前記権利情報入力部により特定された知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査部と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースと、前記企業情報データベースを参照して、前記企業における前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分収入費用収益を算出して、該企業のキャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出部と、前記キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、前記キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正部と、前記知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断部と、前記キャッシュフロー修正部によって修正されたキャッシュフローと前記パラメータを乗算することにより前記知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出部とを備えたことを特徴とする知的財産権評価装置

請求項2

前記キャッシュフロー算出部は、前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益の予測値を現在の価値に割り戻す割引率を求め、この割引率に基づいて前記キャッシュフローを算出することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項3

前記キャッシュフロー修正部は、前記知的財産権に関係する技術の追加開発が必要である場合は、追加開発に必要な費用を前記キャッシュフローから減算することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項4

前記キャッシュフロー修正部は、前記知的財産権に関係する代替技術出現可能性がある場合は、代替技術出現以降の年を追う毎に値が大きくなる減額率を各年のキャッシュフローに乗算することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項5

前記キャッシュフロー修正部は、前記知的財産権の収益に対する寄与率をキャッシュフローに乗算することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項6

前記権利範囲判断部は、前記知的財産権おいて、必要とする権利範囲部分が無効となる場合は、該知的財産権の評価金額がゼロとなるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項7

前記権利範囲判断部は、前記知的財産権が、この知的財産権を実施することによる製品の必須機能でない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項8

前記権利範囲判断部は、前記知的財産権がこの権利対象の目的と整合しない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項9

前記実施状況調査部は、前記知的財産権を実施または実施見込みの企業がない場合において、当該知的財産権に関係する製品の分野における、当該知的財産権所有者競合する当業者が、当該知的財産権の公表時点から所定の年数以下の間に、当該知的財産権と類似する製品を市場投入した場合は、前記知的財産権が第三者の実施を阻害する知的財産権と見なし、当該知的財産権を実施または実施見込みの企業があるものと同等の扱いをすることを特徴とする請求項1に記載の知的財産権評価装置。

請求項10

知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力処理と、前記権利情報入力処理により特定された知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査処理と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースを参照して、前記企業における前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益を算出して、該企業のキャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出処理と、前記キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、前記キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正処理と、前記知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断処理と、前記キャッシュフロー修正処理によって修正されたキャッシュフローと前記パラメータを乗算することにより前記知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする知的財産権評価プログラム

請求項11

前記キャッシュフロー算出処理は、前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益の予測値を現在の価値に割り戻す割引率を求め、この割引率に基づいて前記キャッシュフローを算出することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項12

前記キャッシュフロー修正処理は、前記知的財産権に関係する技術の追加開発が必要である場合は、追加開発に必要な費用を前記キャッシュフローから減算することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項13

前記キャッシュフロー修正処理は、前記知的財産権に関係する代替技術の出現可能性がある場合は、代替技術出現以降の年を追う毎に値が大きくなる減額率を各年のキャッシュフローに乗算することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項14

前記キャッシュフロー修正処理は、前記知的財産権の収益に対する寄与率をキャッシュフローに乗算することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項15

前記権利範囲判断処理は、前記知的財産権おいて、必要とする権利範囲部分が無効となる場合は、該知的財産権の評価金額がゼロとなるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項16

前記権利範囲判断処理は、前記知的財産権が、この知的財産権を実施することによる製品の必須機能でない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項17

前記権利範囲判断処理は、前記知的財産権がこの権利対象の目的と整合しない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

請求項18

前記実施状況調査処理は、前記知的財産権を実施または実施見込みの企業がない場合において、当該知的財産権に関係する製品の分野における、当該知的財産権所有者と競合する当業者が、当該知的財産権の公表時点から所定の年数以下の間に、当該知的財産権と類似する製品を市場投入した場合は、前記知的財産権が第三者の実施を阻害する知的財産権と見なし、当該知的財産権を実施または実施見込みの企業があるものと同等の扱いをすることを特徴とする請求項10に記載の知的財産権評価プログラム。

技術分野

0001

本発明は、知的財産権の価値を客観的に評価する知的財産権評価装置及び知的財産権評価プログラムに関する。

0002

従来、特許権評価方法として、民間企業、各種団体または研究機関が提案している。たとえば、コールオプション理論価格算定する公式ブラックショールズ式)を、特許の価値評価に応用したものが知られている(非特許文献1参照)。また、特許権の基本的属性例えば権利化状況、存続期間、発明の技術的性格等、権利固有評価例えば権利としての技術支配力および特許としての完成度移転流通性評価例えば技術移転信頼性および権利・権利行使の安定性事業性評価例えば発明の事業化可能性の評価を総合的にとりまとめて評価するものも知られている(非特許文献2参照)。

背景技術

0003

【非特許文献1】
渡邊 俊輔著「知的財産戦略・評価・会計−」東洋経済新聞社、2002年6月13日、p.150−159
【非特許文献2】
須田 孝一郎著「知財管理 Vol.52 No.4 2002」日本知的財産協会、2002年4月20日、p.523−536

0004

しかしながら、これら方法のうち、非特許文献1の方法は、技術の市場価値の算定にあたり、ピュア・プレイ企業という会社の株式時価総額を基にしているが、客観的な評価値を得るために、技術分野ごとに最低3社以上のピュア・プレイ企業をとることにしている。したがって最低3社以上のピュア・プレイ企業が存在しないと、その分野の技術や特許権の価値を評価できないことになる。そのため、どのような分野の技術・特許権にも適用できるというわけではない。また、非特許文献2の方法は、個々の特許権を貨幣価値に置き換えるという評価を行うものではなく、権利としての強さや技術の事業性、権利および技術および流通移転性等についてランク付けの評価を行うものである。またこれらの方法はいずれも特許権者第三者も実施していないいわゆる防衛的特許権の評価が的確には行いがたいという問題もあった。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、あらゆる分野の知的財産権の価値を客観的に評価することができる知的財産権評価装置及び知的財産権評価プログラムを提供することを目的とする。

0006

本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力部と、前記権利情報入力部により特定された知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査部と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースと、前記企業情報データベースを参照して、前記企業における前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分収入費用収益を算出して、該企業のキャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出部と、前記キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、前記キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正部と、前記知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断部と、前記キャッシュフロー修正部によって修正されたキャッシュフローと前記パラメータを乗算することにより前記知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出部とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、あらゆる分野の知的財産権を客観的に評価することができる。

0007

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記キャッシュフロー算出部が、前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益の予測値を現在の価値に割り戻す割引率を求め、この割引率に基づいて前記キャッシュフローを算出することを特徴とする。
この構成によれば、予測値に基づいて算出されたキャッシュフローの精度を向上させることができる。

0008

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記キャッシュフロー修正部が、前記知的財産権に関係する技術の追加開発が必要である場合は、追加開発に必要な費用を前記キャッシュフローから減算することを特徴とする。
この構成によれば、キャッシュフローに含まれる費用の額の精度を向上させることができる。

0009

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記キャッシュフロー修正部が、前記知的財産権に関係する代替技術出現可能性がある場合は、代替技術出現以降の年を追う毎に値が大きくなる減額率を各年のキャッシュフローに乗算することを特徴とする。
この構成によれば、代替技術の出現に応じて、キャッシュフローを減額することができる。

0010

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記キャッシュフロー修正部が、前記知的財産権の収益に対する寄与率をキャッシュフローに乗算することを特徴とする。
この構成によれば、収益に対する知的財産権の寄与率を考慮してキャッシュフローを算出することができる。

0011

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記権利範囲判断部が、前記知的財産権おいて、必要とする権利範囲部分が無効となる場合は、該知的財産権の評価金額がゼロとなるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、権利状況に応じて評価金額を決定することができる。

0012

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記権利範囲判断部が、前記知的財産権おいて、必要とする権利範囲部分が無効となる場合は、該知的財産権の評価金額がゼロとなるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、実施する製品に対する権利の重要度に応じてキャッシュフローを算出することができる。

0013

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記権利範囲判断部が、前記知的財産権がこの権利対象の目的と整合しない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、権利範囲の広狭に応じたキャッシュフローを算出することができる。

0014

また、本発明の知的財産権評価装置は、前記実施状況調査部が、前記知的財産権を実施または実施見込みの企業がない場合において、当該知的財産権に関係する製品の分野における、当該知的財産権所有者競合する当業者が、当該知的財産権の公表時点から所定の年数以下の間に、当該知的財産権と類似する製品を市場投入した場合は、前記知的財産権が第三者の実施を阻害する知的財産権と見なし、当該知的財産権を実施または実施見込みの企業があるものと同等の扱いをすることを特徴とする。
この構成によれば、防衛的な権利においても権利の価値を客観的に評価することができる。

0015

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、知的財産権を特定する情報を入力する権利情報入力処理と、前記権利情報入力処理により特定された知的財産権を実施または実施見込みの企業を調査した結果を入力する実施状況調査処理と、企業のキャッシュフローを算出するための基になる情報が予め蓄積された企業情報データベースを参照して、前記企業における前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益を算出して、該企業のキャッシュフローを算出するキャッシュフロー算出処理と、前記キャッシュフローを減額させる所定の要素に基づいて、前記キャッシュフローを修正するキャッシュフロー修正処理と、前記知的財産権の権利範囲に基づいて、該知的財産権が持つ付加価値に応じたパラメータを求める権利範囲判断処理と、前記キャッシュフロー修正処理によって修正されたキャッシュフローと前記パラメータを乗算することにより前記知的財産権の評価金額を算出する権利評価金額算出処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
この構成によれば、あらゆる分野の知的財産権を客観的に評価することができる。

0016

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記キャッシュフロー算出処理が、前記知的財産権の実施または実施見込みによる製品分の収入、費用、収益の予測値を現在の価値に割り戻す割引率を求め、この割引率に基づいて前記キャッシュフローを算出することを特徴とする。
この構成によれば、予測値に基づいて算出されたキャッシュフローの精度を向上させることができる。

0017

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記キャッシュフロー修正処理が、前記知的財産権に関係する技術の追加開発が必要である場合は、追加開発に必要な費用を前記キャッシュフローから減算することを特徴とする。
この構成によれば、キャッシュフローに含まれる費用の額の精度を向上させることができる。

0018

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記キャッシュフロー修正処理が、前記知的財産権に関係する代替技術の出現可能性がある場合は、代替技術出現以降の年を追う毎に値が大きくなる減額率を各年のキャッシュフローに乗算することを特徴とする。
この構成によれば、代替技術の出現に応じて、キャッシュフローを減額することができる。

0019

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記キャッシュフロー修正処理が、前記知的財産権の収益に対する寄与率をキャッシュフローに乗算することを特徴とする。
この構成によれば、収益に対する知的財産権の寄与率を考慮してキャッシュフローを算出することができる。

0020

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記権利範囲判断処理が、前記知的財産権おいて、必要とする権利範囲部分が無効となる場合は、該知的財産権の評価金額がゼロとなるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、権利状況に応じて評価金額を決定することができる。

0021

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記権利範囲判断処理が、前記知的財産権が、この知的財産権を実施することによる製品の必須機能でない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、実施する製品に対する権利の重要度に応じてキャッシュフローを算出することができる。

0022

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記権利範囲判断処理が、前記知的財産権がこの権利対象の目的と整合しない場合は、前記キャッシュフローが減額されるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
この構成によれば、権利範囲の広狭に応じたキャッシュフローを算出することができる。

0023

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記実施状況調査処理が、前記知的財産権を実施または実施見込みの企業がない場合において、当該知的財産権に関係する製品の分野における、当該知的財産権所有者と競合する当業者が、当該知的財産権の公表時点から所定の年数以下の間に、当該知的財産権と類似する製品を市場投入した場合は、前記知的財産権が第三者の実施を阻害する知的財産権と見なし、当該知的財産権を実施または実施見込みの企業があるものと同等の扱いをすることを特徴とする。
この構成によれば、防衛的な権利においても権利の価値を客観的に評価することができる。

0024

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、知的財産権が存在する国で当該知的財産権の権利者および/または第三者が当該知的財産権をなす対象知的財産を実施してなりまたはその実施の見込みよりなり、かつ当該製品のライフサイクル期間内の各年における製品の売上総計により生じてなるキャッシュフロー(p)を総計してキャッシュフロー(P)を算出する第1の処理(A)と、前記対象知的財産の追加開発を判断して前記キャッシュフロー(P)からキャッシュフロー(Q)を算出する処理、および前記対象知的財産に対する代替知的財産出現を判断して前記キャッシュフロー(P)からキャッシュフロー(R)を算出する処理の少なくとも一方を行う第2の処理(B)と、前記第1、2の処理によって算出した前記キャッシュフロー(P)、(Q)および/または(R)と、次の処理のうち少なくとも1つの処理により定まるパラメータのうちの最低値との乗算により知的財産の評価金額を算出することを特徴とする。

0025

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記知的財産権が全体無効にならないかまたは一部無効であるも前記製品実施の上で必要な前記知的財産の有効部分があるか否かを判断し、全体無効にならないかまたは一部無効で恐れがあるも前記知的財産の有効部分があるときパラメータ(a)として1を与え、全体無効になるまたは一部無効であり当該製品実施の上で必要な前記知的財産の有効部分がないときにはパラメータ(a)としてゼロを与える第3の処理(C)と、前記知的財産権の前記知的財産がなくては前記実施製品の所望の必須機能が成り立たないのか否かを判断し、成り立たないときパラメータ(b)として1を与え、成り立つときには当該知的財産が当該実施製品に占める製品必須機能割合比率からパラメータ(b)を算出する第4の処理(D)とをさらに含むことを特徴とする。

0026

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記追加開発判断・キャッシュフロー算出処理(E)が、前記対象知的財産に対して追加開発が必要か否かを判断する処理、および前記追加開発の必要年次での前記キャッシュフロー(p)から想定追加開発費用を減算してこれら必要年次でのキャッシュフロー(q)を算出し、当該必要年次のキャッシュフローとこれら年次を除いた他の年次における前記算出したキャッシュフロー(p)とを総計してキャッシュフロー(Q)を算出する処理からなり、前記代替知的財産出現判断・キャッシュフロー算出処理(F)は、当該国において前記対象知的財産を代替する他の知的財産が出現する可能性を判断し、前記代替知的財産の出現年以後のキャッシュフロー(p)に所定減額率を乗算して各年以後のキャッシュフロー(r)を算出し、これら年ごとの算出キャッシュフロー(r)の総計と前記代替知的財産の出現年より前まで前記年ごとにおいて算出した前記キャッシュフロー(p)の総計とを合計してキャッシュフロー(R)を算出する処理からなることを特徴とする。

0027

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記知的財産権が特許権または実用新案権であり、前記第3の処理(C)が、前記特許権または実用新案権の全請求項が無効にならないかまたは一部無効である恐れがあるも前記製品実施の上で必要な前記請求項があるか否かを判断し、全請求項が無効にならないかまたは一部無効になる恐れがあるも前記製品実施の上で必要な請求項があるときパラメータ(a)として1を与え、全請求項が無効になるまたは一部無効になる恐れがあり当該製品実施の上で必要な請求項もないときにはパラメータ(a)としてゼロを与える処理であり、前記第4の処理(D)が、前記特許権または実用新案権の所望の請求項がなくては前記実施製品の所望の必須機能が成り立たないのか否かを判断し、成り立たないときパラメータ(b)として1を与え、成り立つときには当該請求項が当該実施製品に占める製品必須機能割合比率からパラメータ(b)を算出する処理であり、さらに、前記特許権または実用新案権の請求項の範囲が、これら権利の明細書記載の発明または考案の目的と整合する範囲内か否かを判断し、当該範囲内のときパラメータ(c)として1を与え、当該範囲内にないときにはさらに請求項の範囲と明細書記載の発明または考案の目的との不整合範囲が前記実施製品に占める製品必須機能割合比率中の前記請求項の占有割合に影響あるか否かを判断して、当該影響なしならパラメータ(d)として1を与え、当該影響ありなら当該請求項が前記実施製品に占める製品必須機能割合比率から算出したパラメータ(b)に前記占有割合への影響率を乗算してパラメータ(d)を算出する第5の処理(G)を含み、前記第1、2の処理によって算出した前記キャッシュフロー(P)、(Q)および/または(R)と、前記第3,4,5の処理により定まるパラメータのうち最低のパラメータ値との乗算により知的財産の評価金額を算出することを特徴とする。

0028

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記知的財産権が意匠権であり、前記第3の処理(C)が、前記意匠権が無効にならないか否かを判断し、前記意匠権が無効にならないときパラメータ(a)として1を与え、前記意匠権が無効になるときにはパラメータ(a)としてゼロを与える処理であり、前記第4の処理(D)が、前記意匠権がなくては前記実施製品の所望の必須機能が成り立たないのか否かを判断し、成り立たないときパラメータ(b)として1を与え、成り立つときには当該意匠権が当該実施製品に占める製品必須機能割合比率からパラメータ(b)を算出する処理であることを特徴とする。

0029

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記代替知的財産の出現年以後のキャッシュフロー(p)の所定減額率は、出現年のキャッシュフローに対し5%、出現年から2年後のキャッシュフローに対し10%、出現年から3年後のキャッシュフローに対し20%、出現年から4年後のキャッシュフローに対し25%、出現年から5年以後のキャッシュフローに対し30%であることを特徴とする。

課題を解決するための手段

0030

また、本発明の知的財産権評価プログラムは、前記代替知的財産の出現年以後のキャッシュフロー(p)の所定減額率は、出現年のキャッシュフローに対し25%、出現年から2年後のキャッシュフローに対し50%、出現年から3年以後のキャッシュフローに対し100%であることを特徴とする。

0031

以下、本発明の一実施形態による知的財産権評価装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、オペレータが情報等の入力を行うためのキーボードである。符号2は、知的財産権を特定するための権利情報をキーボードから入力する権利情報入力部である。符号3は、対象となる知的財産権の実施状況を調査する実施状況調査部である。符号4は、企業に関する情報(取扱製品、製品別シェア、製品毎の売上比率等)が記憶された企業情報データベースである。この企業情報データベース4は、企業調査業者が提供するデータベースを、通信ネットワークを介して参照するようにしてもよい。符号5は、対象とする知的財産権を実施する企業の収入を予測する収入予測部である。符号6は、対象とする知的財産権を実施する企業が必要とする費用を予測する費用予測部である。符号7は、対象とする知的財産権を実施する企業の収益を予測する収益予測部である。符号8は、将来の収益を現在の価値に割り引くための指標である割引率を算出する割引率算出部である。符号9は、収入予測部5、費用予測部6、収益予測部7、割引率算出部8においてそれぞれ得られた収入、費用、収益及び割引率からキャッシュフロー(資金収支)を算出するキャッシュフロー算出部である。

0032

符号10は、対象の知的財産権を使用する製品に対して追加開発が必要な場合に、開発費用の算出を行う追加開発費用算出部である。符号11は、対象とする知的財産権の代替が可能な場合にキャッシュフローを減額する場合の減額率を算出する減額率算出部である。符号12は、減額率の年次変化が定義された減額率データベースである。符号13は、対象となる知的財産権のキャッシュフローへの寄与率を算出する寄与率算出部である。符号14は、追加開発費用算出部10、減額率算出部11、寄与率算出部13においてそれぞれ得られた追加開発費用、減額率、知的財産権寄与率に応じて、キャッシュフロー算出部9において得られたキャッシュフローの修正を行うキャッシュフロー修正部である。符号15は、知的財産権に関する情報が蓄えられた知的財産権データベースである。この知的財産権データベース15は、知的財産権に関する情報を提供する業者が有するデータベースを、通信ネットワークを介して参照するようにしてもよい。符号16は、対象となる知的財産権の権利範囲を判断して、判断結果を出力する権利範囲判断部である。符号17は、キャッシュフロー修正部14から出力されるキャッシュフローと権利範囲判断部16から出力される判断結果に基づいて権利評価金額を算出して出力する権利評価金額算出部である。

0033

次に、図2図4を参照して、図1に示す知的財産権評価装置の動作を説明する。初めに、図2を参照して、対象となる知的財産権を実施または実施見込みの会社(企業)のキャッシュフローを求める動作を説明する。図2は、図1に示す知的財産権評価装置がキャッシュフローを算出する動作を示すフローチャートである。以下の説明は、知的財産権として主に特許権、実用新案権、意匠権を例にして説明する。
まず、オペレータは、キーボード1より評価対象の権利に関する情報を入力する(ステップS1)。ここで入力する情報は、権利を一意に特定することが情報であり、例えば、特許権であれば特許番号である。ここで入力された権利情報は、権利情報入力部2に保持されるとともに、実施状況調査部3へ通知される。

0034

次に、実施状況調査部3は、権利情報入力部2より通知された権利情報で特定される権利の実施状況を入力する指示を図示しないディスプレイに表示する。これを受けて、オペレータは市場調査の結果等に基づきキーボード1から実施状況を入力する(ステップS2)。ここで入力するのは、対象の権利を実施しているまたは実施見込みの会社である。ここでいう実施とは、特許法で規定される実施のことである。

0035

次に、実施状況調査部3は、キーボード1から入力された内容に基づいて、対象となる権利範囲に含まれる製品の実施または実施見込みの会社はあるか否かを判断する(ステップS3)。この判断の結果、実施または実施見込みの会社がある場合、実施状況調査部3は、会社を特定することができる情報(例えば、会社名と住所)を収入予測部5、費用予測部6、収益予測部7、割引率算出部8にそれぞれ通知する。

0036

これを受けて収入予測部5は、通知された会社の収入を予測して算出する(ステップS4)。ここでいう収入予測とは、特許権、実用新案権、意匠権等の知的財産権が存在する国でこの権利が関与する製品によりどれだけの売上(収入)を期待できるかを計数化したものである。収入予測部5は、実施状況調査部3より通知された会社の売上を企業情報データベース4を参照して予測する。このとき、予測する売上は、原則として、対象となる権利を実施しているまたは実施していると見込まれる製品分の売上のみを予測する。企業情報データベース4に対象製品分の売上額が蓄積されている場合は、この売上額を予測額とする。一方、対象の製品についての売上額が不明な場合は、製品の売上が既知である会社の売上額と対象製品のシェアとの関連から割り出して算出する。例えば、A会社の製品シェアが50%で、B会社の製品シェアが25%である場合において、A会社の売上額が既知である場合は、B会社の売上額をA会社の半分と予測する。また、実施見込みが不明の場合は、対象製品の権利存在国での売り上げ規模を算出し、さらに製造が見込まれる会社の対象製品または類似した製品の売上を算出し、所定の係数(例えば0.5)を乗算した額を売り上げ予測額とする。また、売上の予測額算出時においては、対象製品の成長率に反映させるため、以下の式を用いて売上予測額を算出するようにしてもよい。
当該年度の売上予測額=前年度の売上高×(1+(当該製品のプラスまたはマイナス成長率(%)/100))
続いて、収入予測部5は、得られた収入予測値をキャッシュフロー算出部9へ通知する。

0037

次に、費用予測部6は、実施状況調査部3より通知された会社の費用を企業情報データベース4を参照して予測する(ステップS5)。費用予測とは、対象権利が関与する製品の製品化にどれくらいの費用がかかるのかを計数化したもので、いわゆる売上原価および一般管理費、あるいは事業関連損失(たとえばロイヤルテイ)などに該当する。費用予測についても収入予測と同様に、対象製品を実施しているまたは実施が見込まれる会社の費用について予測する。また、費用が未知の会社については、収入予測と同様に費用が既知の会社の額と対象製品のシェアとの関連から割り出して算出する。一方、実施しているまたは実施が見込まれる会社すべてにおいて、具体的費用が全く予測がつかない場合は、これら会社の分野にて実際的に行われていると考える売上に対する費用の割合を用いて費用の予測値とする。続いて、費用予測部6は、得られた費用予測値をキャッシュフロー算出部9へ通知する。

0038

次に、収益予測部7は、実施状況調査部3より通知された会社の収益を企業情報データベース4を参照して予測する(ステップS6)。収益予測とは、対象権利を実施している実施が見込まれる製品により結果的にどの程度の収益を獲得できるかを計数化したものである。収益予測についても収入予測と同様に、対象製品を実施しているまたは実施が見込まれる会社における対称製品分の収益について予測する。収益予測をする場合において、対象製品についての収益予測が分からない会社がある場合は、当該会社の直近での当該製品類似の製品の平均利益率をそれら製品の総売上高に乗算して算出するか、またそれもわからない場合は当該会社の総売上に対する当該製品または当該類似の製品の売上高を当該会社の売上品目割合等から割り出し、その売上高に当該会社の総売上に対する総利益率を乗算し営業利益を算出し、これに実効税率を乗算して実効税金を算出し、営業利益から実効税金を減算することにより収益予測値を算出する。続いて、収益予測部7は、得られた収益予測値をキャッシュフロー算出部9へ通知する。

0039

次に、割引率算出部8は、得られた収益について割引率を算出する(ステップS7)。割引率とは、将来の収益を現在の価値に割り引くための指標である。収入予測部5、費用予測部6、収益予測部7のそれぞれで得られた予測値は、あくまで予測値にすぎないので、現在の価値に割り戻す必要がある。そのために用いる係数を「割引率」と呼ぶ。「割引率」は、以下の計算式により算出する。この計算式に基づく割引率を算出できないまたは困難なときは、所定の数値たとえば5−10%を適用するようにしてもよい。
割引率(Discount Rate)
=WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト
インフレ率(物価上昇率)+リスク・プレミアム

0040

WACCは以下の式によって算出する。
WACC
株主資本コスト×株主資本比率+引き後負債コスト×負債比率
ここで、株主資本比率は、株主資本総額/(負債総額+株主資本総額)によって得られ、負債比率は、負債総額/(負債総額+株主資本総額)によって得られる。

0041

また、WACCは以下の式によって算出してもよい。
WACC=Ke×E+Kd×D
ここで、
Ke:自己資本コスト=Rf+a(Rm−Rf)
Rf:リスクフリー証券収益率Ex.長期国債(10年)
a:システマティック・リスク
Rm:市場一般の収益率
Kd:税引き後借入金コスト
E:自己資本比率(自己資本/総資本) ・・ 市価ベース
D:借入金比率(借入金/総資本) ・・ 市価ベース
である。

0042

割引率算出部8は、上記の式を計算することにより算出した割引率をキャッシュフロー算出部9へ通知する。

0043

次に、キャッシュフロー算出部9は、キャッシュフローを算出する(ステップS8)。キャッシュフローの算出は、まず、次の式によって当該年度のキャッシュフローを算出する。
売上高[収入予測部5の出力]
−売上原価
販売管理費[費用予測部6の出力]
±事業関連損益
小計)営業利益
−実効税金(税率:40%と仮定
(小計)税引後営業利益
+非現金費用(減価償却費等)
控除項目(増加運転資本設備投資、その他)
(合計)当該年度キャッシュフロー(収益) [収益予測部7の出力]
なお、上式において、実効税率は日本でのものであり、外国では当該外国での実効税率を使用して算出する。

0044

そして、得られた当該年度キャッシュフローと割引率に基づいて、割引現在価値のキャッシュフローを以下の式で計算する。
割引現在価値のn年度キャッシュフローXn=当該n年度キャッシュフロー/(1+割引率)n
続いて、キャッシュフロー算出部9は、権利者および第三者の実施の場合、想定実施者それぞれの所定想定期間のキャッシュフローを以下の式によって算出する。
一の実施者の所定想定期間のキャッシュフロー=Σ当該年度キャッシュフローXn
ここで、nは、所定想定期間を表し、当該権利の対象の技術的ライフサイクルまたは意匠ライフサイクルでの想定ライフ期間を意味する。この期間は年で表わす。何ヶ月の場合は何ヶ月/12ヶ月の比率を使用し、その場合の年度キャッシュフローは、(当該年度のキャッシュフロー)×(何ヶ月/12ヶ月の比率)から算出する。もし当該想定実施者の実施能力がその想定ライフ期間より短い場合には、nはその当該想定実施者による実施の期間とする。この場合の期間の年および月の扱いは、上記の通りとする。

0045

一方、ステップS3の判断の結果、権利者および第三者とも対象となる権利を実施していないおよび当該権利を実施する見込みのない場合、実施状況調査部3は、当該権利がその権利国で当該権利者所有の関連する他の権利のいわゆる防衛的な権利に該当するか否かを判断する(ステップS9)。この結果、防衛的権利でない場合、実施状況調査部3は、その旨をキャッシュフロー算出部9へ通知する。続いて、防衛的権利である場合、実施状況調査部3は、当該権利がその権利国で第三者の実施を阻害する権利になりうるか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、企業情報データベース4を参照し、当該権利に関連する製品の分野における、当該権利所有者ライバル会社の上位数社(例えば3社)のいずれもが、当該権利の公表(出願公開を含む)時点から所定年(例えば3年)以下の間に、当該国にて、当該権利と類似する製品(この類似の意義は、当該権利に抵触しない範囲とする)を市場投入してきたか否かで判断し、投入してきたなら阻害権利に該当と判断し、否なら阻害権利に非該当と判断する。このとき、所定年は、当該所定超ではライバルが開発・市場投入するにしては長すぎるか否かを判断して決定する。市場投入は、当該類似製品の市場出荷自体を含むことはもちろんのこと、宣伝等により当該類似製品を出荷することを予期する行為をも含む。

0046

なお、上記否の場合、当該権利がライバル会社の当該権利実施製品および上記類似製品の開発・市場投入化自体を阻害することもありうるが、現実的にはこれら事実を把握できないので、阻害権利に非該当とする。
この判断(ステップS10)の結果、第三者の実施を阻害する権利となりえない場合、実施状況調査部3は、その旨をキャッシュフロー算出部9へ通知する。そそして、キャッシュフローを0(ゼロ)と算定する(ステップS11)一方、第三者の実施を阻害する権利となりえる場合、その第三者が実施したらという想定でステップS4〜S8の処理によって想定キャッシュフローを算出する。

0047

次に、図3を参照して、キャッシュフロー算出部9において算出されたキャッシュフローを権利の内容に応じた額に修正する動作を説明する。
まず、キャッシュフロー修正部14は、キャッシュフロー算出部9よりキャッシュフローの値を取得する(ステップS21)。そして、キャッシュフロー修正部14は、対象権利の技術について追加開発が必要な否かを判断する(ステップS22)。ここでいう追加開発とは、対象権利の延長線上の開発であるが、新たな技術を必要としない(新たな発明や考案が出てこない)開発のことである。この判断の結果、追加開発が必要な場合、追加開発費用算出部10は、キーボード1から入力される情報に基づいて、追加開発費用を算出し、キャッシュフローを修正修正部14へ通知する。これを受けて、キャッシュフロー修正部14は、追加開発が必要な、割引現在価値の該当年次のキャッシュフローを(追加開発が必要な年次における割引現在価値でのキャッシュフロー)−(当該年次での追加開発費用)とし、得られたキャッシュフローから追加開発費用を減算して、キャッシュフローを修正する(ステップS23)。

0048

次に、キャッシュフロー修正部14は、対象権利について代替技術の出現可能性はあるかを否かを判断する(ステップS24)。この結果、代替技術出現の可能性がある場合、減額率算出部11は、減額率データベース12を参照して、キャッシュフローの減額率を算出し、算出した減額率をキャッシュフロー修正部14へ通知する。これを受けて、キャッシュフロー修正部14は、キャッシュフローを減額率に基づいて減額することにより修正する(ステップS25)。

0049

対象権利の代替技術の出現年以後のキャッシュフローの減額率は、次の通りとする。減額率は、以下に示す2つの場合分けごとに減額率データベース12に定義されている。
(1)代替技術出現により売上が次第に減少する場合
出現年のキャッシュフローは、割引現在価値での当該年度キャッシュフローの5%減とする。出現年から2年後のキャッシュフローを10%減とする。以下同様に、出現年から3年後は20%減、出現年から4年後は25%減、出現年から5年後は30%減とし、これ以後のキャッシュフローは、一定とし、割引現在価値での算出当該年度キャッシュフローの30%減とする。

0050

(2)代替技術出現により売上が短期間に急激に減少し、ついにはゼロとなる場合
出現年のキャッシュフローは、割引現在価値での当該年度キャッシュフローの25%減とする。以下同様に、出現年から2年後は50%減、出現年から3年以後は100%減とする。

0051

次に、キャッシュフロー修正部14は、対象となる権利がキャッシュフローに対して寄与した割合である寄与率に基づいてキャッシュフローを修正する(ステップS26)。寄与率は、一般に超過利益が、資本力・営業力・特許発明の三要素の相乗効果によるもので、それぞれの比重に応じて資本提供者、営業実施者、特許権者に配分されるべきといういわゆる「利益三分説」に基づいて決定する。寄与率算出部13は、寄与率を(知的財産権)/((資本力)+(営業力)+(知的財産権))の式によって算出する。このとき、寄与率算出部13は、資本力・営業力・知的財産権のそれぞれの割合を企業情報データベース4を参照するか、オペレータがキーボード1より入力した値に基づいて決定する。ただし、資本力・営業力・知的財産権のそれぞれの割合の詳細が不明である場合は、資本力=1、営業力=1、知的財産権=1とする。ここ得られた寄与率は、キャッシュフロー修正部14へ通知され、キャッシュフローの値に乗算される。

0052

なお、対象とする特許がパリ条約上の第1国出願に基づく特許であり、対応特許が当該特許に基づく第2国出願に基づく特許である場合は、キャッシュフローを以下のように算出する。
(1)当該第1国出願特許により生じるキャッシュフローが、当該第1国出願特許に基づく製品の輸出および対応特許が存在する第2国への同製品の輸入の関係により、当該対応特許または対応特許出願により生じるキャッシュフローと全部または一部重複する場合は、当該第2国でのキャッシュフローからそれらと重複する第1国でのキャッシュフローを減算して、当該対応特許が存在する第2国でのキャッシュフローを算出する。
(2)当該第1国出願特許により生じるキャッシュフローが、第2国での対応特許に基づく製品の輸出および第1国特許が存在する国への同製品の輸入の関係により、当該対応特許により生じるキャッシュフローと全部または一部重複する場合は、当該第1国でのキャッシュフローからそれらと重複する対応特許の第2国でのキャッシュフローを減算して、当該第1国特許が存在する第1国でのキャッシュフローを算出する。

0053

また、対応特許が複数ある場合は、ある一つの対応特許が所在する一の国にて当該対応特許により生じるキャッシュフローが、当該対応特許に基づく製品の輸出および前記複数の対応特許のうちの他の対応特許が所在する他の国への同製品の輸入の関係により、当該他の対応特許により生じるキャッシュフローと全部または一部重複する場合は、当該他の国でのキャッシュフローからそれらと重複する前記一の対応特許存在の前記一の国でのキャッシュフローを減算して、当該他の対応特許が存在する前記他の国でのキャッシュフローを算出する。

0054

また、当該特許がそれが存在する国での先の出願に基づく国内優先出願から生じたものである場合は、当該国内優先出願から生じた特許に基づくキャッシュフローは、先の出願に基づく特許(取り下げ)により生じるキャッシュフローと同一とみなして算出し、別途キャッシュフローを算出しない。

0055

次に、図4を参照して、知的財産権の評価金額を求める動作を説明する。
まず、権利範囲判断部16は、知的財産権データベース15を参照して、対象の権利全体が無効にならない、または一部無効になる恐れがあるものの当該製品実施の上で必要な請求項があるか否かを判断する(ステップS31)。この判断の結果、全権利範囲(請求項)が無効になるまたは一部無効になる恐れがあり当該製品実施の上で必要な請求項もないときにはパラメータaを0(ゼロ)とし(ステップS32)、権利評価金額算出部17は、キャッシュフロー修正部14から通知されたキャッシュフローにパラメータaを乗算し、評価金額を0(ゼロ)とする(ステップS33)。一方、全権利範囲(請求項)が無効にならないかまたは一部無効になる恐れがあるものの製品実施の上で必要な請求項があるときパラメータaを1とする(ステップS34)。必要性は、上記キャッシュフローを生むのに必要な権利範囲である場合をいう。

0056

次に、権利範囲判断部16は、権利範囲が製品または設備もしくは方法に関する場合、これらの権利範囲がなくては製品自体または設備もしくは方法による製品の所望必須機能が成り立たないか否かを判断する(ステップS35)。この判断の結果、必須機能が成り立たない場合、権利範囲判断部16は、対象の権利範囲が製品に占める技術割合比率からパラメータb(例えば1/50〜1/100)を算出する(ステップS36)。技術割合比率は、対象権利が例えば発明や考案である場合以下の式によって算出する。
技術割合比率=((発明・考案実施部分)/(該当製品))×((設備の発明・考案部分または方法の発明部分(工程))/(その設備の全体または方法の全工程))

0057

一方、必須機能が成り立つ場合、権利範囲判断部16は、対象の権利範囲が所望の必須機能の改良技術ではないかを判断する(ステップS37)。この判断の結果、改良技術である場合(Noの場合)、権利範囲判断部16は、所望の必須機能中の改良技術が占める技術割合比率からパラメータb(例えば1/50〜1/100)を算出する(ステップS38)。続いて、権利範囲判断部16は、改良技術ではない場合、パラメータBを1とする(ステップS39)。

0058

次に、権利範囲判断部16は、権利範囲が目的と整合するか否かを判断する(ステップS40)。この判断の結果、目的と整合している場合は、権利範囲の広い権利と見なし、パラメータcを1とする。そして、権利範囲判断部16は、先に算出したパラメータa、b、cを権利評価金額算出部17へ通知する。これを受けて、権利評価金額算出部17は、通知されたパラメータa、b、cのうち最も小さい値を持つパラメータとキャッシュフロー修正部14から出力されるキャッシュフローとを乗算することにより知的財産権の評価金額を求める(ステップS42)。

0059

一方、権利範囲と目的が整合しない場合、権利範囲判断部16は、権利範囲が狭くなったと見なし、権利範囲と目的との不整合範囲が対象製品中の所望必須機能、所望必須機能中の技術割合比率または製品の技術割合比率に悪影響を与えるか否かを判断する(ステップS43)。この判断の結果、悪影響はない場合、権利範囲判断部16は、パラメータcを1とする(ステップS44)。そして、権利範囲判断部16は、先に算出したパラメータa、b、cを権利評価金額算出部17へ通知する。これを受けて、権利評価金額算出部17は、通知されたパラメータa、b、cのうち最も小さい値を持つパラメータとキャッシュフロー修正部14から出力されるキャッシュフローとを乗算することにより知的財産権の評価金額を求め(ステップS42)、図示しない表示装置へ出力する。

0060

一方、悪影響がある場合、権利範囲判断部16は、先に求めたパラメータbに対して悪影響率を乗算することによりパラメータcを算出し(ステップS45)、権利評価金額算出部17へ通知する。悪影響率は、オペレータがキーボード1より入力する。これを受けて、権利評価金額算出部17は、通知されたパラメータcとキャッシュフロー修正部14から出力されるキャッシュフローとを乗算することにより知的財産権の評価金額を求め(ステップS46)、図示しない表示装置へ出力する。

0061

一般的に、無形資産金額評価する手法として、一般的に取引事例比較法マーケットアプローチ)、原価法(コスト・アプローチ)、または収益還元法インカム・アプローチ)等がある。取引事例比較法は、不動産等の有形固定資産には従来からよく適用されている手法であり、最近取引されている事例の売買価格と比較して評価対象不動産の価値を求める手法であるが、類似事例の知的財産権に関する取引事例データが少なく、知的財産権の金額評価には適用しづらい。原価法も、不動産等の有形固定資産には適用されている手法であり、知的財産権を生み出すために費やされた経費(コスト)を評価金額とみなすものであるが、その経費把握が難しいこと、および経費と知的財産権との評価金額との関連性が低いという課題がある。また、収益還元法も、不動産等の有形固定資産にはよく適用されている手法であり、知的財産権から将来の各年度における純収益現在価値を求め、それを当該知的財産権の価値とする方法であり、条件設定を誤らなければ最も信頼性がある方法といえる。しかし、この方法では知的財産権自体の貢献度寄与度の評価を反映しづらいという課題も含んでいる。これに対して、本発明では、比較的信頼性高く評価できる方法として、キャッシュフローを使用したため、無形資産を客観的に評価することが可能となる。

0062

また、本発明では、キャッシュフローに知的財産権自体の貢献度、寄与度の評価を反映させるために、知的財産権がもたらすパラメータという概念を導入するとともに、キャッシュフロー自体に、当該知的財産権に関連するリスクすなわち追加開発による変動および代替技術の出現という要素を反映させるようにしたため、より的確にかつ客観的なキャッシュフローを算出することができる。

0063

さらに、知的財産権がもたらす貢献度、寄与度の評価要素としては、知的財産権の権利化状況、存続期間、追加開発の必要性、技術導入時の技術指導の有無、代替技術の出現可能性、権利範囲の広狭、基本か改良か、侵害事実の把握の容易性実施レベル、ライフサイクル等があるが、従来はこれらを5段階の点数化をしてランク分けしていたのに対して、本発明ではこれらのうち、知的財産権自体の本質的価値に寄与する要素を選択し、かつこれら要素を知的財産権の価値としてキャッシュフローに反映させられるようにパラメータという新たな概念を導入したため、評価金額算定のばらつきを小さくすることができる。

0064

なお、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより知的財産権評価処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワーク電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。

発明を実施するための最良の形態

0065

また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル差分プログラム)であっても良い。

図面の簡単な説明

0066

以上説明したように、この発明によれば、あらゆる分野の知的財産権の価値を客観的に評価することができるという効果が得られる。また、この発明によれば、評価金額の算定をデータベースに蓄積されている情報に参照することにより行うようにし、主観的評価の部分を最小限にしたため、評価金額算定のばらつきを小さくすることができるという効果が得られる。

図1
本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
図2
図1に示す知的財産権評価装置の動作を示すフローチャートである。
図3
図1に示す知的財産権評価装置の動作を示すフローチャートである。
図4
図1に示す知的財産権評価装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・キーボード
2・・・権利情報入力部
3・・・実施状況調査部
4・・・企業情報データベース
5・・・収入予測部
6・・・費用予測部
7・・・収益予測部
8・・・割引率算出部
9・・・キャッシュフロー算出部
10・・・追加開発費用算出部
11・・・減額率算出部
12・・・減額率データベース
13・・・寄与率算出部
14・・・キャッシュフロー修正部
15・・・知的財産権データベース
16・・・権利範囲判断部
17・・・権利評価金額算出部

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