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課題
解決手段
概要
背景
概要
含水廃棄物中に動・植物や活性汚泥の微生物のような内部水を有するものが含まれている場合にも、効率的な乾燥ができる方法を提供する。食品残渣、農産廃棄物や汚泥等の含水廃棄物を、無機塩又は無機酸の存在下に乾燥させることを特徴とする含水廃棄物の乾燥方法。 なし
目的
減圧乾燥は、熱効率を高めるために、通常、被乾燥物を攪拌しながら行われるが、被乾燥物の内部に含まれる水分の蒸散に時間が掛かり、乾燥時間が長くなり、熱効率を悪化させていた。特に、被乾燥物が農・畜産廃棄物や活性汚泥等の場合には、動・植物細胞や微生物細胞中に含まれる水分が、細胞膜を通過するのに長時間を要し、乾燥操作の障害になっていた。
従って、本発明の目的は、含水廃棄物中に動・植物や活性汚泥の微生物のような内部水を有するものが含まれている場合にも、効率的な乾燥ができる方法を提供することである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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技術分野
0001
本発明は各種含水廃棄物から効果的に水分を乾燥させる方法に関する。
背景技術
0002
食品残渣、農産物廃棄物、魚・肉畜産残渣や汚泥等の含水廃棄物を飼料や肥料等として再利用するため、あるいは減容して廃棄するために、これらを加熱し、水分を蒸発させて乾燥させることが従来から行われている。
乾燥には、悪臭の発生を防止し、除去水分の処理を容易にするために、減圧乾燥機(真空乾燥機)が使用される場合が多くなりつつある。
0003
減圧乾燥は、熱効率を高めるために、通常、被乾燥物を攪拌しながら行われるが、被乾燥物の内部に含まれる水分の蒸散に時間が掛かり、乾燥時間が長くなり、熱効率を悪化させていた。特に、被乾燥物が農・畜産廃棄物や活性汚泥等の場合には、動・植物細胞や微生物細胞中に含まれる水分が、細胞膜を通過するのに長時間を要し、乾燥操作の障害になっていた。
従って、本発明の目的は、含水廃棄物中に動・植物や活性汚泥の微生物のような内部水を有するものが含まれている場合にも、効率的な乾燥ができる方法を提供することである。
0004
被乾燥物の固形分周辺にある外部水と動・植物あるいは微生物等の内部に含まれる内部水では、外部水の蒸発速度の方が格段に速い。
この理由は、(1)外部水は固形物の外側にあるため、乾燥用熱風あるいは伝熱面との接触効率がよいこと、(2)内部水は細胞膜で囲まれており、細胞膜が内部水の拡散を阻害するためである。
発明が解決しようとする課題
0005
本発明者は、内部水の乾燥を促進すべく種々検討した結果、被乾燥物を無機塩又は無機酸の存在下に乾燥させると、先ず被乾燥物に付着した外部水が蒸発するが、外部水の蒸発に伴い、無機塩又は無機酸の濃度が上昇して外部水の浸透圧が高くなり、植物や微生物の内部水が外部水側に移行することにより、内部水の蒸発速度が上昇することを見いだし、本発明を完成するに至った。
課題を解決するための手段
0006
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明によれば、含水廃棄物を、無機塩又は無機酸の存在下に乾燥させることを特徴とする含水廃棄物の乾燥方法が提供される。
0007
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明が対象とする含水廃棄物としては、例えば、おから、酒粕、お茶やコーヒー等の使用滓、家庭及び飲食店等からの生ごみ等の食品残渣;魚肉・畜産廃棄物;野菜くず、野菜・果物搾り滓等の農産廃棄物;活性汚泥等の各種汚泥;加圧浮上スカム;牛・豚・鶏等の家畜の糞尿;各種濃厚廃液等が挙げられる。含水廃棄物の種類は特に限定されず、又、含水率も限定されない。
本発明は動・植物の残渣や微生物を含む汚泥等の内部水を有する物体を含む含水廃棄物の乾燥に好適である。
0008
本発明の特徴は、上記のような含水廃棄物を乾燥して水分を除去する際に、無機塩又は無機酸(鉱酸)を共存させることである。
本発明で使用する無機塩は、無機酸(鉱酸)のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましく、例えば、NaCl、Na2SO4、NaNO3、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、CaCl2、Ca(NO3)2、MgCl2等が挙げられる。無機酸(鉱酸)としては、硫酸、塩酸、硝酸、りん酸等が挙げられる。無機塩又は無機酸は、乾燥された含水廃棄物の再利用を考慮して選択することが望ましい。
0009
含水廃棄物を乾燥する際には、含水廃棄物の形態(含水固形物、固形物のスラリー、液体等)に応じた乾燥機が使用されるが、乾燥機は特に限定されない。例えば、通気箱形乾燥機、通気バンド乾燥機、回転乾燥機(通常真空式で、円筒状乾燥機自体が回転する。加熱方式に、直接加熱式と間接加熱式とがある。)、噴霧乾燥機(スプレードライヤー)、蒸発缶、回転しない円筒状乾燥機内に設けた攪拌羽根の回転によって被乾燥物を攪拌して乾燥を促進する(間接加熱方式の場合は乾燥機壁面と、直接加熱方式では加熱媒体(通常は水蒸気又は加熱空気等)との、絶えず更新される被乾燥物との接触により)とともに、乾燥した被乾燥物を粉砕する撹拌型真空乾燥機等が挙げられる。本発明における好ましい乾燥機は、密閉式で悪臭が外部へ漏れず、悪臭の吸着等による除去や水分の回収及び処理が容易な上記の撹拌型真空乾燥機である。真空乾燥機を使用し、真空度を調製することで、例えば、50℃程度の低温での含水廃棄物の乾燥が可能である。真空乾燥機の運転条件は、特に限定されず、含水廃棄物の含水率に応じて適宜設定することができる。
0010
含水廃棄物を真空乾燥する際、含水廃棄物の含水率に応じて無機塩又は無機酸の使用量を調整する。通常、無機塩又は無機酸は含水廃棄物の含有水分に対して0.001〜10重量%となる量で使用することが好ましく、更に好ましくは0.01〜10重量%である。含水廃棄物中に動・植物や微生物が含まれていたり、あるいは内部に水分を吸収している固形物が含まれている場合には上記の量を更に10〜50重量%程度増量することが好ましい。
含水廃棄物への無機塩又は無機酸の添加は、予めそれらを含水廃棄物に混合及び溶解してから真空乾燥機に投入しても、あるいは含水廃棄物を真空乾燥機に投入してから無機塩又は無機酸を添加、溶解させてもよい。
0011
真空乾燥機を使用することにより、回収された水分は、そのまま、あるいは必要により処理して再利用したり、河川に放水することができる。一方、乾燥した粉末状の廃棄物は、その種類によっては、飼料や肥料として再利用することができる。
0012
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
0013
実施例1、比較例1
図1に概略断面図を示す撹拌型円筒状真空乾燥機(実容積0.33m3、伝熱面積4.99m2、撹拌動力2.2kw)を用いて下記の含水廃棄物の乾燥を行なった。
含水率83重量%の活性汚泥ケーキ200kgを真空乾燥機に投入し、次いで塩化カルシウム(CaCl2)を0.5kg(水分に対して0.3重量%)投入して乾燥を開始した。真空度75mmHg(10kPa)、内温55℃の条件で6時間乾燥させた。乾燥した廃棄物は粉末状で、含水率は4.8重量%であった。
又、塩化カルシウムを使用しない以外は上記と同じ含水廃棄物を同じ条件で乾燥させた。乾燥廃棄物の含水率は28重量%で、粉末化も不充分であった。上記と同じ含水率となるまでの全乾燥時間は11時間であった。
発明を実施するための最良の形態
0014
実施例2、比較例2
実施例1と同じ真空乾燥機を用い、含水率96重量%の野菜くず120kgを投入し、次いで、りん酸0.3kg(水分に対して0.27重量%)投入して実施例1及び比較例1と同じ条件で6時間乾燥させた。本発明方法による乾燥廃棄物は、粉末状で、含水率は8.2重量%であった。一方、比較例の乾燥廃棄物は含水率が33重量%であり、上記と同じ含水率となるまでの全乾燥時間は13時間であった。
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