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技術 数値解計算装置及び電力系統制御装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 中村静香
出願日 2002年10月8日 (18年2ヶ月経過) 出願番号 2002-294336
公開日 2004年4月30日 (16年8ヶ月経過) 公開番号 2004-133492
状態 特許登録済
技術分野 知識ベースシステム 交流の給配電 複合演算
主要キーワード 修正量計算 ラグランジュ関数 最大値α 出力下限値 出力上下限値 ベクトル関数 スラック変数 正定値行列
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

非線形最適化問題の解が満たすべきKarush−Kuhn−Tucker(KKT)条件を満たす方程式数値解を安定にして求めることができる数値解計算装置を得る。

解決手段

一般変数xに対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数λhに対する修正量とを求める一次方程式行列に関して、ステップS2において、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分(全ての要素が0の正方行列)から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列D2を引くとともに、ラグランジュ関数グラディエントに対する一般変数の感度を示す部分(H)に全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている別の対角行列D1を加えて一次方程式を修正して一次方程式の行列を正定値行列にして、一次方程式を安定に解くことを可能とし、KKT条件を満たす方程式の数値解を安定して求めることができる。

概要

背景

図4は、従来の電力系統制御装置としての負荷配分制御装置の構成図である。図4において、電力系統は、発電機1及び発電機2がそれぞれ送電線3及び4を介して負荷5に電力を供給する。また、負荷5に供給される電力を負荷電力力測定手段8にて測定する。この電力系統において、経済負荷配分制御装置、すなわち発電コストの総和が最小になるように各発電機1,2の出力を決定し、発電機1及び2の出力を制御する負荷配分制御装置90について考える。この問題は、2つの発電機1,2の出力の総和が、「負荷量」と「送電線3及び4の抵抗により発生する送電損失」との総和に等しいという条件の下で、発電コストの総和を最小にするように各発電機1,2の出力を決定する問題となっている。なお、各発電機1,2の出力には上下限値が存在する。

概要

非線形最適化問題の解が満たすべきKarush−Kuhn−Tucker(KKT)条件を満たす方程式数値解を安定にして求めることができる数値解計算装置を得る。一般変数xに対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数λhに対する修正量とを求める一次方程式行列に関して、ステップS2において、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分(全ての要素が0の正方行列)から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列D2を引くとともに、ラグランジュ関数グラディエントに対する一般変数の感度を示す部分(H)に全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている別の対角行列D1を加えて一次方程式を修正して一次方程式の行列を正定値行列にして、一次方程式を安定に解くことを可能とし、KKT条件を満たす方程式の数値解を安定して求めることができる。    

目的

この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、非線形最適化問題の解が満たすべきKarush−Kuhn−Tucker条件を満たす方程式の数値解を安定して求めることができる数値解計算装置を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

修正量計算手段と変数修正手段とを有するものであって、上記修正量計算手段は、線形及び非線形最適化問題の解が満たすべきカルシュ−クーン−タッカー(Karush−Kuhn−Tucker)条件を満たす方程式数値解ニュートンラフソン(Newton−Raphson)法により求めるために一般変数に対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量とを求める一次方程式行列に関して、等式制約に対する上記等式制約に対応するラグランジュ乗数の感度を示す部分から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列を引いて上記一次方程式を修正して、上記一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とを求めるものであり、上記変数修正手段は、上記一般変数に対する修正量の上記数値解と上記等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数に対する修正量の上記数値解とに基づき上記一般変数及び上記等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数の修正を行うものである線形及び非線形最適化問題の数値解計算装置

請求項2

修正量計算手段と変数修正手段とを有するものであって、上記修正量計算手段は、線形及び非線形最適化問題の解が満たすべきカルシュ−クーン−タッカー(Karush−Kuhn−Tucker)条件を満たす方程式の数値解をニュートン−ラフソン(Newton−Raphson)法により求めるために一般変数に対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量とを求める一次方程式の行列に関して、等式制約に対する上記等式制約に対応するラグランジュ乗数の感度を示す部分から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列を引くとともに、ラグランジュ関数グラディエントに対する一般変数の感度を示す部分に全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている別の対角行列を加えて上記一次方程式を修正して、上記一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とを求めるものであり、上記変数修正手段は、上記一般変数に対する修正量の上記数値解と上記等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数に対する修正量の上記数値解とに基づき上記一般変数及び上記等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数の修正を行うものである線形及び非線形最適化問題の数値解計算装置。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の数値解計算装置と発電機出力指令手段とを有するものであって、上記数値解計算装置は、上記変数は電力系統に接続された複数の発電機の出力であり、上記方程式は上記複数の発電機の発電コストの合計を最小にするための数値解を求めるためのものであり、上記方程式の上記数値解は上記複数の発電機の発電コストの合計を最小にするために上記発電機がおのおの出力すべき出力値であり、上記発電機出力指令手段は、上記方程式の上記数値解に基づいて上記複数の発電機におのおの上記出力値を出力するように指令するものであることを特徴とする電力系統制御装置

技術分野

0001

この発明は、例えば電力系統制御装置に用いられる線形及び非線形最適化問題数値解を求める数値解計算装置及び電力系統制御装置に関するものである。

0002

図4は、従来の電力系統制御装置としての負荷配分制御装置の構成図である。図4において、電力系統は、発電機1及び発電機2がそれぞれ送電線3及び4を介して負荷5に電力を供給する。また、負荷5に供給される電力を負荷電力力測定手段8にて測定する。この電力系統において、経済負荷配分制御装置、すなわち発電コストの総和が最小になるように各発電機1,2の出力を決定し、発電機1及び2の出力を制御する負荷配分制御装置90について考える。この問題は、2つの発電機1,2の出力の総和が、「負荷量」と「送電線3及び4の抵抗により発生する送電損失」との総和に等しいという条件の下で、発電コストの総和を最小にするように各発電機1,2の出力を決定する問題となっている。なお、各発電機1,2の出力には上下限値が存在する。

0003

負荷配分制御装置90は、上記のような問題を解いて、発電コストが最も安くなるように発電機1及び2の負荷配分を決定し、制御するものである。負荷配分制御装置90は、図4に示すように、発電機出力上下限値記憶手段31、発電機コスト係数記憶手段32、送電線抵抗値記憶手段33、数値解計算装置91及び発電機出力指令装置92を有する。発電機出力上下限値記憶手段31には、各発電機1,2の出力上下限値M1,m1  ,M2,m2が記憶されている。発電機コスト係数記憶手段32には、各発電機1,2のコスト係数a1,b1,c1及びa2,b2,c2が記憶されている。送電線抵抗値記憶手段33には、送電線3,4の各抵抗値R1,R2が記憶されている。

0004

次に、負荷配分制御装置90による、経済負荷配分制御について説明する。上記問題を最適化問題として表現すると、次のようになる。
ここで、
x1,x2:各発電機1,2の出力
M1,M2:各発電機1,2の出力上限値
m1,m2:各発電機1,2の出力下限値
R1,R2:各送電線3,4の抵抗
L   :負荷の大きさ
a,b,c:定数(発電機のコスト係数、添字は発電機番号を表す)
とする。

すなわち、以上のような条件にて、発電コストの総和を表すf(x)を最小にするための各発電機1及び2の負荷分担値(出力)x1,x2を求める問題に帰結する。

0005

このような非線形最適化問題の解法には、次のようなものがある(例えば、非特許文献1参照)。この解法では、次のKarush−Kuhn−Tucker(カルシュ−クーン−タッカー)条件(以下、KKT条件と記す)、
▽XL(x,λh,λg)=0
h(x)       =0
g(x)       ≦0
[λg]g(x)   =0
λg        ≧0
ただし、L(x,λh,λg)=f(x)+λhth(x)+λgtg(x)
ここに、f(x):最小化すべき評価関数
h(x):等式制約を表すベクトル関数
g(x):不等式制約を表すベクトル関数
λh   :等式制約に対応するラグランジュ乗数ベクトル
λg   :不等式制約に対応するラグランジュ乗数(ベクトル)
[‥]  :‥を対角要素に持つ対角行列を表す
x   :一般変数(例えば、電力)
▽X   :xに関するグラディエントを表す
を満たす解を、次の数式1で表される方程式解くことにより求める。

0006

【数1】

0007

ただし、
s ≧0
λg≧0
S:不等式制約を等式制約に変換するために導入するスラック変数
μ:収束計算過程で0に近づける正の値を持ったパラメータ
e:全ての要素が1のベクトル
なお、上記の方程式をNewton−Raphson(ニュートンラフソン)法による繰り返し計算で解く過程で現れる修正方程式、すなわち各変数修正量を求めるための一次方程式は、次の数式2のようになる。

0008

【数2】

0009

ここに、Δx :一般変数xに対する修正量
Δλh:等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数λhに対する修正量
Δλg:不等式制約に対応する上記ラグランジュ乗数λgに対する修正量
Δs :不等式制約を等式制約に変換するために導入するスラック変数sに対する修正量

0010

なお、上記数式2の方程式から、簡単に消去可能な△λg,△sを消去することにより、次の数式3の一次方程式としての縮小修正方程式を得る。

0011

【数3】

0012

ただし、H =▽x2L+▽xg(x)[s−1λg]▽xg(x)t
J =▽xh(x)
tl=−▽xL(x,λh,λg)−▽xg(x)[s]−1{μe+[λg]g(x)}
t2=−h(x)

0013

この方程式を解き、解いた△xを用いて、消去した△λg,△sを下式の通り得る。
△λg=−[λg]e+[s]−1{μe−[λg]△s}
△s =−g(x)−s−▽xg(x)t△x

0014

負荷配分制御装置90は、上記の数式3で表されるような縮小修正方程式の解を求め、その結果に基づいて発電機1,2の出力x1,x2を制御する。そして、数値解計算装置91は、発電機出力上下限値記憶手段31、発電機コスト係数記憶手段32及び送電線抵抗値記憶手段33に記憶された各数値に基づいて、発電コストの総和が最も低くなるように上記数式1の数値解を求めて、発電機1及び2の出力x1,x2を決定する。発電機出力指令装置92はその結果に基いて各発電機1,2に対してその出力をx1,x2に制御するように指令する。

背景技術

0015

【非特許文献1】
EDGARDO D.CASTRONUOVO他著「OPTIMLPOWER FLOW SOLUTIONS VIA INTERIOR POINT METHOD WITH HIGH PERFORMANCE COMPUTATION TECHNIQES」、13th PSCC(Power Systems Computation Conference−Proceeding)in Trondheim、June 28−July 2nd、1999の講演予稿集第1208頁〜第1209頁。

0016

ところで、縮小修正方程式に現れる行列は、次の数式4に示す通りである。この行列は、正定値行列にはなっておらず、固有値が0に近づき一次方程式を正確に解くことが困難になる場合や、固有値が0になり一次方程式を解くことができなくなる場合がある。なお、正定値行列とは、全てのp≠0に対し、ptAp>0となる対称行列Aをいう。また、正定値行列の固有値は全て正であることが知られている。

0017

【数4】

0018

上記数式4の左辺の値は、縮小修正方程式に現れる行列が正定値行列となっていれば、正定値行列の定義から、P≠0に対し、正の値とならなければならない。しかし、上式は、これが成立しない事を示しており、縮小修正方程式に現れる行列が、正、負、0のいずれの固有値でも持ち得ることを示している。このため、固有値が0に近づき一次方程式を正確に解くことが困難になったり、固有値が0になって一次方程式を正確に解くことが不可能になったりする場合がある。この場合、数値解計算装置91は発電機1及び2に対する適正な出力の配分値x1,x2を算出できないので、発電機1及び2の出力を適切に制御することができない。

発明が解決しようとする課題

0019

この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、非線形最適化問題の解が満たすべきKarush−Kuhn−Tucker条件を満たす方程式の数値解を安定して求めることができる数値解計算装置を得ることを目的とする。また、このような数値解計算装置を用いて電力系統の発電コストを低減することのできる電力系統制御装置を得ることを目的とする。

0020

目的を達成するために、この発明に係る線形及び非線形最適化問題の数値解計算装置においては、
修正量計算手段と変数修正手段とを有するものであって、
修正量計算手段は、線形及び非線形最適化問題の解が満たすべきカルシュ−クーン−タッカー(Karush−Kuhn−Tucker)条件を満たす方程式の数値解をニュートン−ラフソン(Newton−Raphson)法により求めるために一般変数に対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量とを求める一次方程式の行列に関して、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数の感度を示す部分から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列を引いて一次方程式を修正して、一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とを求めるものであり、
変数修正手段は、一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とに基づき一般変数及び等式制約に対応するラグランジュ乗数の修正を行うものである。

課題を解決するための手段

0021

また、この発明に係る電力系統制御装置は、
数値解計算装置と発電機出力指令手段とを有するものであって、
数値解計算装置は、変数は電力系統に接続された複数の発電機の出力であり、方程式は複数の発電機の発電コストの合計を最小にするための数値解を求めるためのものであり、方程式の数値解は複数の発電機の発電コストの合計を最小にするために発電機がおのおの出力すべき出力値であり、
発電機出力指令手段は、方程式の数値解に基づいて複数の発電機におのおの出力値を出力するように指令するものである
ことを特徴とする。

0022

図1図3は、この発明の実施の一形態を示すもので、図1は負荷配分制御装置の構成図、図2図1の数値解計算装置の詳細構成図、図3図2の数値解計算装置の動作を説明するためのフローチャートである。図1において、電力系統は、発電機1及び発電機2がそれぞれ送電線3及び4を介して負荷5に電力を供給する。また、負荷5に供給される電力は、負荷電力測定手段8にて測定される。負荷配分制御装置10は、数値解計算装置20、発電機出力上下限値記憶手段31、発電機コスト係数記憶手段32、送電線抵抗値記憶手段33及び発電機出力指令装置92を有する。負荷配分制御装置10は、負荷5の負荷量Lを、発電機1及び発電機2から供給する場合に、発電コストが最小になるように各発電機1,2の出力を決定し、発電機1及び2の出力を制御する。

0023

数値解計算装置20は、図2に示すように初期設定手段21、ミスマッチ計算手段22、縮小修正方程式作成手段23、修正量計算手段24、変数修正手段25、収束判定手段26及び繰り返し計算回数判定手段27を有する。数値解計算装置20は、一次方程式としての縮小修正方程式の数値解を求めることにより上述した数式1の数値解を求めるものである。詳細は後述するが、上述した数式3で表される縮小修正方程式に現れる行列の固有値が0近傍には存在しないよう縮小修正方程式に現れる行列を修正した縮小修正方程式(後述の数式5)を作成することによりこの修正した縮小修正方程式(数式5)の解を安定に精度高く求めることを可能とするものである。

0024

発電機出力上下限値記憶手段31には、各発電機1,2の出力上下限値M1,m1  ,M2,m2が記憶されている。発電機コスト係数記憶手段32には、各発電機1,2のコスト係数a1,b1,c1及びa2,b2,c2が記憶されている。送電線抵抗値記憶手段33には、送電線3,4の各抵抗値R1,R2が記憶されている。そして、数値解計算装置20において、発電機出力上下限値記憶手段31、発電機コスト係数記憶手段32及び送電線抵抗値記憶手段33に記憶された各数値に基づいて上記数式1を解いて、発電機1及び2の負荷配分x1,x2を決定する。発電機出力指令装置92は数値解計算装置20の計算結果に基いて各発電機1,2に対してその出力をx1,x2に制御するように指令する。

0025

全体の動作の説明に先立ち、数値解計算装置20の動作原理について説明する。
KKT条件を満たす解を上記数式1で表される方程式をNewton−Raphson(ニュートン−ラフソン)法による繰り返し計算で解く。この繰り返し計算の過程で現れる修正方程式(上述の数式2)から、簡単に消去可能な△λg,△sを消去することにより、上述した数式3で表される縮小修正方程式を得ることは、先に説明した。

0026

この実施の形態においては、上記数式3で表される一次方程式としての縮小修正方程式を下記の数式5の通り、修正する。なお、導入するDl,D2は、全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列であり、この修正によっても、本来の縮小修正方程式の解に非常に近い解を得ることができる。

0027

【数5】

0028

ただし、Dl:全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列
D2:全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列
上記の方程式から△λhを消去することにより△xが下記の通り求まり、続いて、△λhが△xから次のように求まる。
△x =(H+Dl+JD2−1Jt)−1(tl+JD2−1t2)
△λh=D2−1(Jt△x−t2)

0029

上より、△x,△λhが安定に求まる為の条件は、(H+Dl+JD2−1Jt)が0近傍の固有値を持たないことであるが、Hは与えられた最適化問題が凸な問題、つまり安定な最適解が存在する問題であれば正定値行列であり、Dlは正定値行列であり、JD2−1Jtは半正定値行列であることから、(H+Dl+JD2−1Jt)は正定値行列となり、固有値0を持つことはない。すなわち、全ての固有値は正となる。従って、縮小修正方程式の解を、つまり数式1で表される方程式の解を安定に精度高く求めることができる。なお、全てのp≠0に対し、ptAp≧0となる対称行列Aを半正定値行列と呼ぶ。

0030

また、Dl=0としても、(H+Dl+JD2−1Jt)は正定値行列となる。そして、より確実に(H+Dl+JD2−1Jt)を正定値行列にするために、D2に加えて正定値行列であるDlを導入してもよい。なお、Dl=0かつD2=0の場合が、従来の非線形最適化問題の数値解法に相当する。

0031

次に、図3のフローチャートにより、具体的な動作を説明する。図3において、ステップS1において、初期設定手段21にてKKT条件を満たす値として知りたい変数x,λh,λg,sならびに、徐々に0に近づける正のパラメータμの初期設定を行う。なお、s≧0,λg≧0であることが要求されていることより、s>0,λg>0と設定し、λgs=μが要求されていることより、μ=λgsと設定する。また、λhの正負は不明であるため、0と設定する。

0032

ステップS2において、ミスマッチ計算手段22により、次の数式6にて表されるKKT条件のミスマッチF(x,s,λh,λg)を計算する。このKKT条件のミスマッチF(x,s,λh,λg)は、最適解が満たすべきKKT条件(F=0)からの乖離量を表している。

0033

【数6】

0034

ステップS3において、縮小修正方程式作成手段23はミスマッチF(x,s,λh,λg)を0にするために要求される変数x,λhの修正量Δx,Δλhを求めるべき、数式3の縮小修正方程式を修正して、次の数式7にて表される修正された縮小修正方程式を作成する。

0035

【数7】

0036

ただし、Dl:全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列
D2:全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列
である。すなわち、数式3の縮小修正方程式に、対角項の全ての要素が正の微小値から成る対角行列Dlならびに対角行列D2を導入する。すなわち、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分(すなわち全ての要素が0の正方行列)から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列D2を引くとともに、ラグランジュ関数のグラディエントに対する一般変数xの感度を示す部分(H)に全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている別の対角行列D1を加えて上記一次方程式を修正する。

0037

修正量計算手段24は次のステップS4及びS5の動作を行う。ステップS4において、上記数式7にて表される縮小修正方程式を解き、各修正量△x,△λhの数値解を求める。ステップS5において、解いた△xを用いて、修正量△s,△λgを求める。変数修正手段25は、ステップS6において、以上で求めた修正量をα倍して各変数を修正しようとした場合に、λg+α△λg>0かつ、s+α△s>0が満たされるαの最大値αMを求める。ステップS7において、1≧αMの場合α=αM、その他の場合α=1として、求めた各変数x,s,λh,λgの修正を行う。これにより、要求されているs≧0,λg≧0の条件が満たされた形で、各変数の修正が行われる。

0038

ステップS8において、収束判定手段26により収束判定が行われ、KKT条件のミスマッチF(x,s,λh,λg)、及び、徐々に0に近づけるパラメータμが、共に十分小さい場合、すなわちF<Dでかつμ<k(但し、Dは十分に小さい正の値を各要素に持つ収束判定のための所定のベクトル、Kは十分に小さな正の値を持つ収束判定のための所定の値)であれば、正常に解が求まったと判定し、求まった変数x,s,λh,λgを解として出力し、処理を終了する。ステップS8において、F<Dでかつμ<kの条件を満たさなければ、処理をステップS9に移す。ステップS9において、繰り返し計算回数判定手段28によりステップS2〜S7の繰り返し計算回数が所定値N(一般には数十回)を越えたか否かが判定され、越えていない場合は、ステップS10へ行く。

0039

ステップS10において、パラメータμを0.1倍する等により、0に近づけ、再度処理をステップS2に戻し、所定回数Nまで収束計算を繰り返す。ステップS9において、繰り返し計算回数が所定値Nを越えた場合には、ステップS11にて可能解なしという情報を付けて一応上記ステップS7にて得られた変数x,s,λh,λgを出力し、処理を終了する。この場合は、要すれば、最適化問題の制約を緩めたり、制約条件の幾つかを外すなどして、再度数値解を求める。以上のようにして、数値解計算装置20は、修正量計算手段24にて計算される修正量に基づいて変数修正手段25により変数の修正を繰り返す収束計算により、KKT条件を示す方程式の数値解を求める。

0040

なお、上記実施の形態では、より確実に(H+Dl+JD2−1Jt)を正定値行列にするために、対角行列D2に加えて正定値行列である対角行列Dlを導入したものを示した。この場合がこの発明の請求項2である。しかし、対角行列Dl=0としても、すなわち対角行列D1を導入しなくても、(H+Dl+JD2−1Jt)は正定値行列となる。この場合がこの発明の請求項1である。

0041

上記では、一般化して説明したが、図1に示した発電機1及び発電機2の2台が設けられた電力系統の場合、数値解計算装置20は発電コストの総和が最小になるように各発電機1及び2が出力すべき電力x1,x2を算出することになる。そして、発電機出力指令装置92は、発電機1及び発電機2にそれぞれの出力をx1,x2とするように指令を出す。

0042

以上の実施の形態においては、数値解計算装置20を電力系統制御装置に使用した例を示したが、電力系統において発電コストの総和を最小にするための制御に用いるものに限られるものではなく、他の用途に用いることができる。例えば、複数の浄水場から所定の地域に給水する問題や、所在地の異なる複数の倉庫から所定の消費地に要求された商品配送する問題などにも適用できる。

0043

以上のように、この実施の形態によれば、縮小修正方程式の、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分から全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列D2を引き、縮小修正方程式の行列を正定値行列にしているので、縮小修正方程式を安定に精度高く解くことを可能となり、安定してKKT条件を満たす非線形最適化問題の数値解を得ることができる。

0044

また、縮小修正方程式の、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分から、全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列D2を引き、さらに、ラグランジュ関数のグラディエントに対する一般変数xの感度を示す部分に、全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列D1を加え、より確実に縮小修正方程式の行列を正定値行列にしているため、修正方程式を安定に精度高く解くことを可能となり、安定してKKT条件を満たす非線形最適化問題の解を得ることができるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0045

さらに、縮小修正方程式の、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数λhの感度を示す部分から、全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列D2を引き、縮小修正方程式の行列の対角項の全てをとならないようにしているため、一次方程式である縮小修正方程式を三角分解手法を用いて解く場合に、三角分解による出現要素数が減るよう対称行列を保つ形で自由に行・列を入れれ替えることが可能となり、三角分解・一次方程式の求解高速化され、高速にKKT条件を満たす非線形最適化問題の解を得ることができる。

0046

この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。

発明の効果

0047

この発明に係る線形及び非線形最適化問題の数値解計算装置は、
修正量計算手段と変数修正手段とを有するものであって、
修正量計算手段は、線形及び非線形最適化問題の解が満たすべきカルシュ−クーン−タッカー(Karush−Kuhn−Tucker)条件を満たす方程式の数値解をニュートン−ラフソン(Newton−Raphson)法により求めるために一般変数に対する修正量と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量とを求める一次方程式の行列に関して、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数の感度を示す部分から全ての対角項要素が所定の微少な正の値となっている対角行列を引いて一次方程式を修正して、一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とを求めるものであり、
変数修正手段は、一般変数に対する修正量の数値解と等式制約に対応するラグランジュ乗数に対する修正量の数値解とに基づき一般変数及び等式制約に対応するラグランジュ乗数の修正を行うものであるので、
一次方程式の、等式制約に対する等式制約に対応するラグランジュ乗数の感度を示す部分から全ての対角項要素が微小な正の値となっている対角行列を引き、一次方程式の行列を正定値行列にしているので、一次方程式を安定解くことを可能となり、安定してKKT条件を満たす非線形最適化問題の数値解を求めることができる。

図面の簡単な説明

0048

また、この発明に係る電力系統制御装置は、
数値解計算装置と発電機出力指令手段とを有するものであって、
数値解計算装置は、変数は電力系統に接続された複数の発電機の出力であり、方程式は複数の発電機の発電コストの合計を最小にするための数値解を求めるためのものであり、方程式の数値解は複数の発電機の発電コストの合計を最小にするために発電機がおのおの出力すべき出力値であり、
発電機出力指令手段は、方程式の数値解に基づいて複数の発電機におのおの出力値を出力するように指令するものである
ことを特徴とするので、
電力系統の発電コストを低減することができる。

図1
この発明の実施の一形態を示す負荷配分制御装置の構成図である。
図2
図1の数値解計算装置の詳細構成図である。
図3
図2の数値解計算装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4
従来の負荷配分制御装置の構成図である。
【符号の説明】
1,2 発電機、3,4 送電線、5 負荷、10 負荷配分制御装置、
20 数値解計算装置、22 ミスマッチ計算手段、
23 縮小修正方程式作成手段、24 修正量計算手段、25 変数修正手段、26 収束判定手段、27 繰り返し回数判定手段、
92 発電機出力指令装置。

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