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技術 無電解めっき素材の前処理方法及びめっき被覆部材の製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社関東化成工業株式会社ユーエムジー・エービーエス株式会社
発明者 平岡基記別所毅鈴木滋鈴木浩二藤井誠三酒井比呂志
出願日 2002年10月10日 (18年1ヶ月経過) 出願番号 2002-298065
公開日 2004年4月30日 (16年7ヶ月経過) 公開番号 2004-131805
状態 特許登録済
技術分野 化学的被覆
主要キーワード Pめっき被膜 毒劇物 オゾン溶液 オゾンガス処理 凝固槽内 ゴム構造 吸着素材 触媒イオン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

エッチング処理あるいはオゾンガス処理を不要として樹脂素材を粗面化することなく、付着性に優れためっき被膜を形成できるようにする。

解決手段

ゴム成分を含むグラフト共重合体を含有する樹脂であって、ジエンゴム成分を含まないか、若しくは含まれるジエンゴム成分量が樹脂 100質量%中10質量%以下であるめっき素材を用い、オゾン溶液に接触させた後に、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む溶液を接触させる。ジエンゴム成分がオゾンにより劣化し、めっき被膜の付着強度が低下するのが防止される。

概要

背景

樹脂素材導電性金属光沢を付与する方法として、無電解めっき処理が知られている。この無電解めっきとは、溶液中の金属イオン化学的還元析出させ、素材表面金属被膜を形成する方法をいい、電力によって電解析出させる電気めっきと異なり樹脂などの絶縁体にも金属被膜を形成することができる。また金属被膜が形成された樹脂素材には電気めっきすることもでき、用途が拡大される。そのため、自動車部品家電製品などの分野に用いられる樹脂素材に金属光沢を付与したり、導電性を付与したりする方法として、無電解めっき処理は広く用いられている。

概要

エッチング処理あるいはオゾンガス処理を不要として樹脂素材を粗面化することなく、付着性に優れためっき被膜を形成できるようにする。ゴム成分を含むグラフト共重合体を含有する樹脂であって、ジエンゴム成分を含まないか、若しくは含まれるジエンゴム成分量が樹脂 100質量%中10質量%以下であるめっき素材を用い、オゾン溶液に接触させた後に、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む溶液を接触させる。ジエンゴム成分がオゾンにより劣化し、めっき被膜の付着強度が低下するのが防止される。 

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エッチング処理あるいはオゾンガス処理を不要として樹脂素材を粗面化することなく、付着性に優れためっき被膜を形成できるようにすることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

不飽和結合を有する樹脂からなるめっき素材をオゾンを含む第1溶液に接触させてオゾン処理素材とする第1処理工程と、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む第2溶液を該オゾン処理素材と接触させる第2処理工程と、を行う無電解めっき素材前処理方法であって、該めっき素材は、ゴム成分を含むグラフト共重合体を含有する樹脂であって、ジエンゴム成分を含まないか、若しくは含まれるジエンゴム成分量が樹脂 100質量%中10質量%以下であることを特徴とする無電解めっき素材の前処理方法。

請求項2

前記めっき素材はゴム弾性を有する請求項1に記載の無電解めっき素材の前処理方法。

請求項3

前記めっき素材は、ジエン強化法及びコアシェル強化法の少なくとも一方により強化されたアクリルゴムを用いたグラフト共重合体を含有する樹脂である請求項2に記載の無電解めっき素材の前処理方法。

請求項4

前記めっき素材は、ウレタン系ゴム,シリコーン系ゴム及びフッ素系ゴムの少なくとも1種を含む請求項2に記載の無電解めっき素材の前処理方法。

請求項5

前記めっき素材をオゾンを含む前記第1溶液に接触させる時間は4〜20分である請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき素材の前処理方法。

請求項6

前記第1溶液はオゾンを100ppm以上含む請求項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき素材の前処理方法。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の前処理方法を施しためっき素材に、無電解めっき処理を施すことを特徴とするめっき被覆部材の製造方法。

請求項8

前記無電解めっき処理が施された前記めっき素材に、さらに電解めっき処理を施す請求項7に記載のめっき被覆部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、樹脂素材表面無電解めっき処理を施してめっき被膜を形成する場合に、めっき被膜の付着性を向上させるために行う前処理方法と、その前処理方法が施されためっき素材を用いためっき被覆部材の製造方法に関する。

0002

樹脂素材導電性金属光沢を付与する方法として、無電解めっき処理が知られている。この無電解めっきとは、溶液中の金属イオン化学的還元析出させ、素材表面金属被膜を形成する方法をいい、電力によって電解析出させる電気めっきと異なり樹脂などの絶縁体にも金属被膜を形成することができる。また金属被膜が形成された樹脂素材には電気めっきすることもでき、用途が拡大される。そのため、自動車部品家電製品などの分野に用いられる樹脂素材に金属光沢を付与したり、導電性を付与したりする方法として、無電解めっき処理は広く用いられている。

0003

ところが、無電解めっき処理によって形成されためっき被膜は、被膜形成までに時間がかかったり、被膜の樹脂素材に対する付着性が十分でないという問題がある。そのため、先ず樹脂素材に対して化学的エッチング処理を行って表面を粗面化し、その後無電解めっき処理する工程が一般に行われている。

0004

例えば特開平01−092377号公報には、樹脂素材をオゾンガスで前処理し、その後無電解めっき処理する方法が開示されている。同公報によれば、オゾンガスによって樹脂素材の不飽和結合開裂して低分子化し、表面に化学組成の異なる分子が混在することになって平滑性が失われ粗面化する。したがって、無電解めっきによって形成された被膜が粗面にしっかり入りこみ容易に剥離しなくなる、と記載されている。

0005

上記した従来の技術では、樹脂素材を粗面化し、いわゆる投錨効果によってめっき被膜の付着性を高めている。しかしながら粗面化する方法では、樹脂素材の表面平滑度が低くなってしまう。したがって意匠性の高い金属光沢を得るためには、めっき被膜を厚くしなければならず、工数が多大となるという不具合がある。

0006

また特開平08−092752号公報には、ポリオレフィンをめっき素材とし、エッチングによる粗面化後オゾン水に接触させ、その後カチオン系界面活性剤含有溶液で処理する方法が記載されている。しかしエッチングによって粗面化する方法では、クロム酸硫酸などの毒劇物を用いる必要があり、廃液処理などに問題がある。また樹脂素材の表面平滑度が低くなるという問題も解決することができない。

背景技術

0007

【特許文献1】
特開平01−092377号
【特許文献2】
特開平08−092752号

発明が解決しようとする課題

0008

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エッチング処理あるいはオゾンガス処理を不要として樹脂素材を粗面化することなく、付着性に優れためっき被膜を形成できるようにすることを目的とする。

0009

上記課題を解決する本発明の無電解めっき素材の前処理方法の特徴は、不飽和結合を有する樹脂からなるめっき素材をオゾンを含む第1溶液に接触させてオゾン処理素材とする第1処理工程と、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む第2溶液をオゾン処理素材と接触させる第2処理工程と、を行う無電解めっき素材の前処理方法であって、めっき素材は、ゴム成分を含むグラフト共重合体を含有する樹脂であって、ジエンゴム成分を含まないか、若しくは含まれるジエンゴム成分量が樹脂 100質量%中10質量%以下であることにある。

0010

めっき素材はゴム弾性を有することが望ましい。この場合において、めっき素材は、ジエン強化法及びコアシェル強化法の少なくとも一方により強化されたアクリルゴムを用いたグラフト共重合体を含有する樹脂であることが好ましい。あるいはウレタン系ゴム,シリコーン系ゴム及びフッ素系ゴムの少なくとも1種を含む構成としてもよい。

0011

めっき素材をオゾンを含む第1溶液に接触させる時間は、4〜20分であることが望ましい。また第1溶液は、オゾンを100ppm以上含むことが望ましい。

課題を解決するための手段

0012

また本発明のめっき被覆部材の製造方法の特徴は、本発明の前処理方法を施しためっき素材に、無電解めっき処理を施すことにある。さらに、電解めっき処理を施すことも好ましい。

0013

本発明の無電解めっき素材の前処理方法では、不飽和結合を有する樹脂からなるめっき素材を用いている。不飽和結合とは C=C結合、 C=N結合、 C≡N結合などをいい、このような不飽和結合を有する樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂、PS樹脂、AN樹脂などが知られている。不飽和結合を有する樹脂単体でめっき素材としてもよいし、不飽和結合を有する樹脂と不飽和結合を有しない樹脂との複合樹脂をめっき素材とすることもできる。

0014

本発明では、めっき素材として、ゴム成分を含むグラフト共重合体を含有する樹脂であって、ジエンゴム成分を含まないか、若しくは含まれるジエンゴム成分量が樹脂 100質量%中10質量%以下である樹脂を用いる。ジエンゴム成分量が10質量%を超える樹脂ではジエンゴム成分がオゾンにより劣化し、めっき素材の強度低下によってめっき被膜の付着強度が低下するからである。そのため十分な付着強度が発現するまでに、めっき後に室温にて数日の放置が必要となり、作業性に問題が生じる。なおジエンゴム成分量は、アセトンクロロホルム溶媒分別によるオゾン分解法により算出できる。

0015

めっき素材は、ゴム弾性を有することが好ましい。ゴム弾性をもたないと衝撃強度不足するので好ましくない。従来のめっき素材では、ジエンゴム成分量を多くすることでゴム弾性を付与していたが、上記したようにジエンゴム成分量を多くすると、オゾンによる劣化によってめっき被膜の付着強度が低下する。

0016

そこでジエンゴム成分量を少なく、あるいはジエンゴム成分を用いないようにするとともにゴム弾性を付与するには、ジエン強化法及びコアシェル強化法の少なくとも一方により強化されたアクリルゴムを用いたグラフト共重合体を含有する樹脂よりなるめっき素材を用いることが好ましい。

0017

ジエン強化法とは、ジエンゴム成分をゴム構造の一部として導入することをいい、例えばポリブタジエンゴムコア、アクリルゴムをシェルとしたコアシェル型ジエン成分を共重合成分として共重合型、アクリルゴムの構造の一部をジエンゴム成分のセグメントで置き換えイントラネット型、などの複合ゴムなどが例示される。

0018

コアシェル強化法とは、アクリルゴム成分の内部に芯となるポリマー成分を導入することをいい、例えば架橋スチレンアクリロニトリル共重合体を芯にもつアクリルゴムなどが例示される。

0019

このようなアクリルゴムを用いて、これにアクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体及び/又はスチレン,α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体グラフト重合することにより、本発明にいうグラフト共重合体が得られる。なおグラフト重合には、必要に応じて他の単量体を含有させてもよい。

0020

また、本発明に用いるめっき素材は、上記のグラフト共重合体に加えて他の重合体を含有する樹脂組成物であることも好ましい。好ましくは、上記グラフト共重合体5〜80質量%と、他の重合体20〜95質量%(両者の合計量が 100質量%)からなる樹脂組成物とするのがよい。

0021

この際、用いる他の重合体としては、特に限定されないが、シアン化ビニル単量体を必須成分とし、これに芳香族ビニル単量体、マレイミド系単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体を共重合した硬質重合体であることが好ましい。

0022

またジエンゴム成分量を少なく、あるいはジエンゴム成分を用いないようにするとともにゴム弾性を付与するには、ウレタン系ゴム,シリコーン系ゴム及びフッ素系ゴムの少なくとも1種を含むようにすることもできる。ウレタン系ゴムとしては、ポリエーテルウレタンゴム,ポリエステルウレタンゴムなどが例示され、シリコーン系ゴムとしては、ポリジメチルシリコーンゴム,メチルビニルシリコーンゴムメチルフェニルシリコーンゴム,フルオロシリコーンゴムなどが、フッ素系ゴムとしては、フッ化ビニリデン主モノマーとしてヘキサフルオロプロピレンペンタフルオロプロピレンクロトリフルオロエイレンなどを共重合した共重合体などが例示される。

0023

上記したアクリルゴムを用いたグラフト共重合体を含有する樹脂又はゴム類は、めっき素材中に10質量%以上含まれることが望ましい。アクリルゴムを用いたグラフト共重合体を含有する樹脂又はゴム類の量が10質量%未満では、ゴム弾性を付与することが困難となる。

0024

めっき素材には、従来と同様にジエンゴム成分を含むABS樹脂などを併用成分として用いることもできるが、めっき素材中に含まれるジエンゴム成分量がトータルとして10質量%以下となるように用いるべきである。

0025

そして本発明の前処理方法では、不飽和結合を有する樹脂からなるめっき素材をオゾンを含む第1溶液に接触させる第1処理工程を行う。この第1処理工程では、第1溶液中のオゾンによる酸化によってめっき素材表面の不飽和結合が部分的に切断され、C−OH結合又はC=O結合が生成して活性化すると考えられる。

0026

第1処理工程は、めっき素材を第1溶液に接触させる。接触の方法としては、めっき素材表面に第1溶液をスプレーしてもよいし、めっき素材を第1溶液中に浸漬してもよい。浸漬によるめっき素材の第1溶液への接触は、スプレーによるめっき素材の第1溶液への接触に比べて第1溶液からオゾンが離脱し難いため好ましい。

0027

第1溶液中のオゾン濃度はめっき素材表面の活性化に大きく影響を及ぼし、 10ppm程度から長時間の処理にて活性化の効果が見られるが、100ppm以上とすればその活性化の効果が飛躍的に高まる。また濃度が低いと劣化の方が先行するので、オゾン濃度は高い方が好ましい。

0028

なお第1処理工程における処理温度は、原理的には高いほど反応速度が大きくなるが、温度が高くなるほど第1溶液中のオゾンの溶解度が低くなり、40℃を超える温度において第1溶液中のオゾン濃度を100ppm以上とするには、処理雰囲気大気圧以上に加圧する必要があり、装置が大がかりなものとなる。したがって処理温度は、装置を大掛かりにしたくない場合には、室温程度で十分である。

0029

めっき素材をオゾンを含む第1溶液に接触させる時間は、4〜20分とするのが好ましい。4分未満では、オゾン濃度を100ppmとしてもオゾン処理した効果の発現が困難となり、20分を超えると樹脂素材の劣化が生じるようになる。

0030

第1溶液は極性溶媒を含むことが望ましい。極性溶媒を含むことで第1溶液中のオゾンの活性を高めることができ、第1処理工程における処理時間を短縮することが可能となる。この極性溶媒としては水が特に好ましいが、アルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンヘキサメチルホスホルアミドなどを単独であるいは水やアルコール系溶媒と混合して用いることもできる。

0031

本発明の無電解めっき素材の前処理方法では、オゾンを含む第1溶液で処理されたオゾン処理素材に対して、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む第2溶液をめっき素材と接触させる第2処理工程を行う。

0032

第1処理工程により、めっき素材の表面に C=O及びC−OHから選ばれる少なくとも一方の官能基が存在していると考えられる。したがってこの第2処理工程では、図1(A),(B)に示すように、界面活性剤1は、表出する上記官能基にその疎水基吸着すると考えられる。またアルカリ成分は、めっき素材の表面を分子レベルで水に可溶化する機能をもち、めっき素材表面の脆化層を除去して上記官能基をより多く表出させる。したがって、脆化層の除去により表出した新たな官能基にも界面活性剤1が吸着する。

0033

界面活性剤としては、 C=O及びC−OHからなる少なくとも一方の官能基に対して疎水基が吸着しやすいものが用いられ、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が用いられる。陽イオン性界面活性剤及び中性界面活性剤では、めっき被膜が形成できなかったり、効果の発現が困難となる。陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムラウリル硫酸カリウムステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸カリウムなどが例示される。また非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどが例示される。

0034

アルカリ成分としては、めっき素材の表面を分子レベルで溶解して脆化層を除去できるものを用いることができ、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化リチウムなどを用いることができる。

0035

界面活性剤とアルカリ成分とを含む第2溶液の溶媒としては、極性溶媒を用いることが望ましく、水を代表的に用いることができるが、場合によってはアルコール系溶媒あるいは水−アルコール混合溶媒を用いてもよい。また第2溶液をオゾン処理素材と接触させるには、オゾン処理素材を第2溶液中に浸漬する方法、オゾン処理素材表面に第2溶液を塗布する方法、オゾン処理素材表面に第2溶液をスプレーする方法などで行うことができる。

0036

第2溶液中の界面活性剤の濃度は、0.01〜10g/Lの範囲とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が0.01g/Lより低いとめっき被膜の付着性が低下し、10g/Lより高くなると、めっき素材表面に界面活性剤が会合状態となって余分な界面活性剤が不純物として残留するため、めっき被膜の付着性が低下するようになる。この場合には、前処理後にめっき素材を水洗して余分な界面活性剤を除去すればよい。

0037

また第2溶液中のアルカリ成分の濃度は、pH値で12以上が望ましい。pH値が12未満であっても効果は得られるが、表出する上記官能基が少ないために、所定膜厚だけめっき被膜を形成するための時間が長大となってしまう。

0038

第2溶液とめっき素材との接触時間は特に制限されないが、室温で1分以上とするのが好ましい。接触時間が短すぎると、官能基に吸着する界面活性剤量が不足してめっき被膜の付着性が低下する場合がある。しかし接触時間が長くなり過ぎると、 C=O及びC−OHから選ばれる少なくとも一方の官能基が表出した層まで溶解して無電解めっきが困難となる場合がある。1〜5分間程度で十分である。また温度は高い方が望ましく、温度が高いほど接触時間を短縮することが可能であるが、室温〜60℃程度で十分である。

0039

第2処理工程は、アルカリ成分のみを含む水溶液で処理した後に界面活性剤を吸着させてもよいが、界面活性剤を吸着させるまでの間に再び脆化層が形成されてしまう場合があるので、第2処理工程は本発明のように陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とが共存する状態で行うことが望ましい。

0040

また第1処理工程の後に第2処理工程を行うのが好ましいが、場合によっては第1処理工程と第2処理工程を同時に行うことも可能である。この場合には、第1溶液と第2溶液の混合溶液を調製し、その混合溶液中にめっき素材を浸漬する、又は混合溶液をめっき素材表面にスプレーすることで行う。この場合にはオゾンとめっき素材表面との反応が律速となるので、処理時間は混合溶液中のオゾン濃度に応じて決められる。

0041

なお第2処理工程後、水洗してアルカリ成分を除去する工程を行ってもよい。界面活性剤は官能基に強固に吸着しているので、水洗する程度では除去されず吸着した状態が維持されることがわかっている。したがって、本発明によって前処理されためっき素材は、無電解めっき工程までに時間が経過しても効果が失われることがない。

0042

そして無電解めっき工程では、界面活性剤が吸着しためっき素材が触媒と接触される。すると、図1(C)に示すように、触媒2が上記官能基に吸着している界面活性剤1の親水基に吸着すると考えられる。

0043

そして触媒が十分に吸着しているめっき素材に対して無電解めっき処理を施すことにより、界面活性剤が官能基から外れるとともに金属が C−O基及び/又は C=O基と結合すると考えられ、付着性に優れためっき被膜を形成することができる。

0044

触媒としては、Pd2+など、従来の無電解めっき処理に用いられる触媒を用いることができる。触媒をめっき素材の表面に吸着させるには、触媒イオンが溶解している溶液を付着素材の表面に接触させればよく、上記した第2溶液の接触と同様に行うことができる。また接触時間、温度などの条件も、従来と同様でよい。

0045

また無電解めっき処理の条件、析出させる金属種なども制限されず、従来の無電解めっき処理と同様に行うことができる。

0046

無電解めっき処理工程後の樹脂素材に、さらに電解めっきを施す電解めっき処理工程を行うことが望ましい。これにより金属光沢を付与することができ、意匠性が格段に向上する。

0047

【実施例】
以下、試験例により本発明を具体的に説明する。

0048

(試験例1)
固形分含有量が35%,平均粒子径0.36μmのポリブタジエンゴムラテックス20部(固形分)を反応釜に入れ、不均化ロジン酸カリウム1部,イオン交換水 150部,及び下記単量体混合物を加え、窒素置換を行い、50℃(内温)に消音した。これに、10部のイオン交換水に硫酸第一鉄0.0002部,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガリット0.25部を溶解した溶液を加えた。

0049

n−ブチルアクリレート         80部
アリルメタクリレート         0.32部
エチレングリコールジメタクリレート  0.16部
反応終了後の内温は75℃になるが、さらに80℃に昇温し、1時間反応を続けると、重合率は98.8%に達し、肥大ジエン系ゴムポリアルキルアクリレート系のゴムの複合ゴムを得た。

0050

この複合ゴムラテックス50部(固形分)を反応釜に取り、イオン交換水 140部を加えて希釈し、70℃に昇温した。

0051

別にアクリロニトリル/スチレン=29/71(重量比)からなるグラフト単量体合物を50部調製し、ベンゾイルパーオキサイド0.35部を溶解した後、窒素置換した。定量ポンプを使用し、この単量体混合物を15部/時間の速度で上記反応釜内に加えた。全量混合後、系内温度を80℃に昇温し、30分撹拌を続けグラフト共重合体ラテックスを得た。重合率は99%であった。

0052

得られたラテックスを、全ラテックス量の3倍量の硫酸 0.5%水溶液(90℃)中に撹拌しながら投入し、凝固させた。全ラテックスの添加終了後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、このまま5分間放置した。これを冷却後、遠心分離機により脱液・洗浄を行い、これを乾燥してグラフト共重合体( A−1)の乾燥粉末を得た。

0053

アクリロニトリル            30部
スチレンモノマー            70部
アゾビスイソブチロニトリル      0.15部
t−ドデシルメルカプタン       0.40部
リン酸カルシウム           0.50部
蒸留水                 150部
上記組成物を 100リットルオートクレーブ仕込み激しく撹拌した。系内分散を確認後、75℃に昇温し3時間かけて重合させた。その後 110℃まで昇温し30分間熟成させた。冷却後に脱水,洗浄,乾燥して粉末状の硬質共重合体を得た。

0054

上記グラフト共重合体( A−1)を30重量部、硬質共重合体を70部の割合で配合し、それらに、
抗酸化剤                0.2部
金属石鹸                0.2部
BS                 0.4部
シリコーンオイル           0.05部
を加え、ヘンシェルミキサーで5分間( 3000rpm)混合した後、シリンダー温度230℃で押し出してペレット化した。このペレット成形材料とし、スクリュー式射出成形機(シリンダー温度 230℃、金型温度 60℃)を用いて平板成形し、これをめっき素材とした。

0055

上記めっき素材を用い、150ppmのオゾンを含有するオゾン水溶液に室温で1〜30分間浸漬する第1処理工程を行って、オゾン処理素材を得た。浸漬時間を1分,2分,4分,8分,12分,20分,30分の7水準とし、それぞれのオゾン処理素材を作成した。

0056

次に、NaOHを50g/L溶解するとともに、ラウリル硫酸ナトリウムを1g/L溶解した混合水溶液を60℃に加熱し、そこへ各オゾン処理素材を2分間浸漬して陰イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を吸着させた(第2処理工程)。

0057

界面活性剤が吸着した各オゾン処理素材を引き上げ、水洗・乾燥後、3N塩酸水溶液塩化パラジウムを 0.1重量%溶解するとともに塩化錫を5重量%溶解し50℃に加熱された触媒溶液中に3分間浸漬し、次いでパラジウムを活性化するために、1N塩酸水溶液に3分間浸漬した。これにより触媒が吸着した各吸着素材を得た。

0058

その後、40℃に保温されたNi−P化学めっき浴中に各吸着素材を浸漬し、10分間Ni−Pめっき被膜を析出させた。析出したNi−Pめっき被膜の厚さは各々 0.5μmである。さらに硫酸銅系Cu電気めっき浴にて、各Ni−Pめっき被膜の表面に銅めっきを 100μm析出させた。

0059

めっき被膜の形成後に70℃で2時間乾燥させた後、得られためっき被膜にめっき素材に達する切り込みを1cm幅で入れ、引張り試験機にてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。

0060

(試験例2)
試験例1と同様のめっき素材を用い、10〜200ppmのオゾンを含有するオゾン水溶液に室温で4分間浸漬する第1処理工程を行って、オゾン処理素材を得た。オゾン水溶液のオゾン濃度を 10ppm, 20ppm, 50ppm,100ppm,150ppm,200ppmの6水準とし、それぞれのオゾン処理素材を作成した。

0061

その後試験例1と同様にして前処理を行い、同様に触媒吸着と無電解めっき及び銅めっきを行って、めっき被膜の付着強度を測定した。結果を表2に示す。

0062

(試験例3)
固形分含有量が35%,平均粒子径0.28μmのポリブタジエンゴムラテックス50部(固形分)を反応釜に入れ、さらに
不均化ロジン酸カリウム         2.0部
ピロリン酸ソーダ            0.2部
硫酸第一鉄              0.01部
キストローズ            0.35部
水(ラテックスからくるものも含む)   200部
を投入し、重合開始温度40℃にして、下記単量体混合物を 120分かけて滴下した後1時間保持することでグラフト重合を行った。

0063

スチレンモノマー            35部
アクリロニトリル            15部
クメンハイドロパーオキサイド     0.15部
得られた重合体ラテックスに抗酸化剤としてブチル化ヒドロキシトルエン2部,ジラウリルチオプロピオネート 0.5部を加え、5%硫酸水溶液で凝固させ、洗浄,乾燥して、グラフト共重合体( A−2)の乾燥粉末を得た。

0064

上記グラフト共重合体( A−2)を30重量部、試験例1と同様の硬質共重合体を70部の割合で配合し、それらに、
抗酸化剤                0.2部
金属石鹸                0.2部
EBS                 0.4部
シリコーンオイル           0.05部
を加え、ヘンシェルミキサーで5分間( 3000rpm)混合した後、シリンダー温度230℃で押し出してペレット化した。このペレットを成形材料とし、スクリュー式射出成形機(シリンダー温度 230℃、金型温度 60℃)を用いて平板を成形し、これをめっき素材とした。

0065

このめっき素材を用いたこと以外は試験例1と同様にして前処理を行い、同様に触媒吸着と無電解めっき及び銅めっきを行って、めっき被膜の付着強度を測定した。結果を表1に示す。

0066

(試験例4)
試験例3と同様のめっき素材を用いたこと以外は試験例2と同様にして前処理を行い、同様に触媒吸着と無電解めっき及び銅めっきを行って、めっき被膜の付着強度を測定した。結果を表2に示す。

0067

<評価>

0068

【表1】

0069

【表2】

0070

表1,2より、ASA系樹脂をめっき素材とすることで、ジエンゴム成分濃度が15質量%のABS樹脂に比べてめっき被膜の付着性が大きく向上していることがわかる。

0071

そしてASA系樹脂をめっき素材とした場合には、オゾン処理時間が2分以下と短いと、めっき被膜が形成されないか付着強度が小さく、20分を超えると樹脂自体の劣化によって付着強度が低下している。したがってオゾン処理時間は4〜20分とするのが好ましいことが明らかである。

発明を実施するための最良の形態

0072

またASA系樹脂をめっき素材とした場合には、オゾン処理濃度が 50ppm以下では樹脂が活性化されないために付着強度が小さく、100ppm以上のオゾン濃度とするのが好ましいことが明らかである。

図面の簡単な説明

0073

すなわち本発明の無電解めっき素材の前処理方法によれば、付着強度に優れためっき被膜を容易に形成することができる。また樹脂素材表面を粗面化する必要がないので、高い金属光沢を有するめっき被膜を薄い膜厚で形成することができ、かつクロム酸などが不要となるので廃液処理も容易である。

図1
本発明の推定される作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1:界面活性剤      2:触媒

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