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技術 送電線の故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システム

出願人 東京電力ホールディングス株式会社株式会社近計システム
発明者 山田剛史浦野昌一大浦好文徐有恒
出願日 2003年6月2日 (17年1ヶ月経過) 出願番号 2003-156471
公開日 2004年2月26日 (16年4ヶ月経過) 公開番号 2004-061497
状態 特許登録済
技術分野 非常保護回路装置(母線と配線) 故障点標定
主要キーワード 実効値計算 容量キャパシタンス 距離計算値 起動検出回路 起動レベル 起動点 集中抵抗 電気故障
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2004年2月26日)のものです。
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図面 (12)

課題

簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点を精度良く標定できると共に、分岐線路電気故障が発生してもその故障点を標定できる送電線故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムを提供する。

解決手段

送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた事故サージ波形データモード分離処理部22,32によりモード変換して、メタリックモードサージ波形データグランドモードサージ波形データを求める。上記メタリックモードサージ波形データとグランドモードサージ波形データの相関関数相関演算部25,35により演算し、相関演算された事故サージ波形データの相関係数極大値または極小値の少なくとも一方に基づいて、事故サージ波形の到着時刻を求める。そして、上記事サージ波形の到着時刻に基づいて、送電線の故障点を標定する。

概要

背景

従来、事故電圧サージまたは事故電流サージの到達時間を検出し、この検出した電圧サージまたは電流サージの到達時間に電流サージの伝搬速度を乗じ、電圧サージまたは電流サージの発生した故障点までの距離を算出することにより、故障点を標定する等の種々の故障点標定システムが開発されている。

概要

簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点を精度良く標定できると共に、分岐線路電気故障が発生してもその故障点を標定できる送電線故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムを提供する。送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた事故サージ波形データモード分離処理部22,32によりモード変換して、メタリックモードサージ波形データグランドモードサージ波形データを求める。上記メタリックモードサージ波形データとグランドモードサージ波形データの相関関数相関演算部25,35により演算し、相関演算された事故サージ波形データの相関係数極大値または極小値の少なくとも一方に基づいて、事故サージ波形の到着時刻を求める。そして、上記事サージ波形の到着時刻に基づいて、送電線の故障点を標定する。 

目的

この発明の目的は、簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点の位置を精度良く標定できると共に、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路や分岐線路の故障点を標定できる送電線の故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

送電線地絡事故または短絡事故よって発生した事故電圧サージまたは事故電流サージの少なくとも一方の波形データである事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップと、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事サージ波形データモード変換するステップと、上記モード変換された事故サージ波形データから得られたメタリックモードサージ波形データとグランドモードサージ波形データに基づいて、上記送電線の故障点標定するステップとを有することを特徴とする送電線の故障点標定方法

請求項2

送電線に地絡事故または短絡事故よって発生した事故電圧サージまたは事故電流サージの少なくとも一方の波形データである事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップと、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事故サージ波形データの相関関数演算するステップと、上記相関演算された事故サージ波形データの相関係数極大値または極小値の少なくとも一方に基づいて、上記送電線の幹線線路の両端における事故サージの到着時刻を求めるステップと、上記事故サージの到着時刻に基づいて、上記送電線の故障点を標定するステップとを有することを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項3

請求項1または2に記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記幹線線路または上記分岐線路の故障点を標定することを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項4

請求項2に記載の送電線の故障点標定方法において、上記事故サージ波形データをサンプリングデータ補間手法によってアップサンプリングするステップを有することを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項5

請求項1乃至4のいずれか1つに記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線を無損失線路と等価集中抵抗とを組み合わせた等価回路で表し、その等価集中抵抗による電圧降下に基づいて、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事故サージ波形データを整形するステップとを有することを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項6

請求項1に記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一であり、かつ、上記幹線線路で事故サージが発生したとき、上記幹線線路における故障点までの距離xは、(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、Vmはメタリックモードサージ伝播速度、Lは幹線線路の全亘長である)により求められることを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項7

請求項1に記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一であり、かつ、上記分岐線路で事故サージが発生したとき、上記分岐点から故障点までの距離Δxは、(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、Vmはメタリックモードサージ伝播速度、Vgはグランドモードサージ伝播速度、Lは幹線線路の全亘長である)により求められることを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項8

請求項1に記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なり、かつ、上記幹線線路で事故サージが発生したとき、上記幹線線路における故障点までの距離xは、(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、Mは幹線線路の区間の数、Lxは故障区間長、k’は故障区間のA端側幹線線路の区間の集合、k”は故障区間のB端側幹線線路の区間の集合(k’+k”=M−1)、Vmk(k=1,…,M)は各区間のメタリックモードサージ伝播速度、Vgk(k=1,…,M)は各区間のグランドモードサージ伝播速度、t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、Vmxは故障区間のメタリックモードサージ伝播速度である)により求められることを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項9

請求項1に記載の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なり、かつ、上記分岐線路で事故サージが発生したとき、上記分岐点から故障点までの距離Δxは、(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、Mは幹線線路の区間の数、Lxは故障区間長、Vmk(k=1,…,M)は各区間のメタリックモードサージ伝播速度、Vgk(k=1,…,M)は各区間のグランドモードサージ伝播速度、t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、Vmxは故障区間のメタリックモードサージ伝播速度、Vgxは故障区間のグランドモードサージ伝播速度である)により求められることを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項10

請求項1または2に記載の送電線の故障点標定方法において、上記事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップでは、上記送電線の幹線線路の両端で波形データを第1のサンプリング回路でサンプリングしながら現サンプリング前の波形データを少なくとも第1所定サンプル数だけバッファ保管すると共に、上記第1のサンプリング回路のサンプリング周波数よりも低いサンプリング周波数の第2のサンプリング回路で上記送電線の幹線線路の両端で波形データをサンプリングし、上記第2のサンプリング回路によりサンプリングされた波形データの商用周波数成分電圧実効値または電流実効値実効値演算手段により求め、上記実効値演算手段により求められた電圧の実効値が所定電圧値以下かまたは上記実効値演算手段により求められた電流の実効値が所定電流値以上であるとき、事故発生判別手段により上記送電線の幹線線路において事故が発生したと判別し、上記事故発生判別手段が上記送電線の幹線線路において事故が発生したと判別すると、上記第1のサンプリング回路によりサンプリングされた波形データのうちの事故点前の上記バッファに保管されている波形データおよび事故点後の第2所定サンプル数の波形データのみを波形データ抽出手段により上記事故サージ波形データとして抽出することを特徴とする送電線の故障点標定方法。

請求項11

請求項1乃至10のいずれか1つに記載の送電線の故障点標定方法を用いたことを特徴とする故障点標定システム

技術分野

0001

この発明は、架空地線電気事故等によって発生する事故電圧サージ事故電流サージに基づいて、電気事故の発生した故障点標定する送電線故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムに関する。

0002

従来、事故電圧サージまたは事故電流サージの到達時間を検出し、この検出した電圧サージまたは電流サージの到達時間に電流サージの伝搬速度を乗じ、電圧サージまたは電流サージの発生した故障点までの距離を算出することにより、故障点を標定する等の種々の故障点標定システムが開発されている。

背景技術

0003

図11は、従来の2端サージ受信時間差を用いて故障点を標定する故障点標定システムの動作原理を示すものである。この故障点標定システムは、送電線の2端(A端,B端)に設置されたサージ受信装置(図示せず)と、故障点標定処理(図示せず) を行う故障点標定装置とを備えている。上記故障点標定システムでは、サージ受信装置(図示せず)間の内部時計を同期させて、サージ受信装置において、サージ波形起動レベルを超えた時点で、このサージの到着時刻を保持し、伝送路を通じて故障点標定装置に送信する。そして、上記故障点標定装置が両端のサージ受信装置のサージ受信時間差Δt=ta−tbを計算し、A端から故障点までの距離xを、
x=(L+Vp×Δt)/2
により算出する。ここで、Lは線路長、Vpはサージ伝播速度である。

0004

ところで、上記故障点標定システムでは、各サージ受信装置とも、サージの大きさが不定なので、一定のレベル起動を検出すると、ラッチされる起動時点(サージの到着時刻)に誤差が発生するため、正確なサージ到着時刻が得られないという問題がある。

0005

また、故障点で発生した事故サージ信号周波数成分は、主に1MHz以下の周波数帯域に集中する。サンプリング原理により、有効伝播できる最大周波数成分(サージ信号の周波数成分のうちの送電線を伝播可能な最高周波数)の2倍以上のレートでサンプリングすれば十分であるので、サージ信号の到着時刻を精密に測るためには、サンプリングレートが高いほど良い。従来の故障点標定システムでは、単純にサンプリングレートを最大にし、サージ信号の到着時刻の測定分解能を高めることに注目してきた。このため、高速サンプリング回路を設計する必要があり、コストが高くつくという問題がある。

0006

また、分岐線路がある場合、電気故障により分岐線路に発生したサージが分岐点に伝播され、あたかも分岐点に発生したサージと同じく、さらにA端とB端へ伝播されていく。この場合、サージ受信故障点標定装置が分岐点をサージ発生地点、すなわち故障点と誤って標定してしまう。したがって、上記2端サージ受信時間差を用いて故障点を標定する故障点標定システムでは、分岐線路に発生した電気故障によるサージ発生地点の標定ができないという問題がある。

発明が解決しようとする課題

0007

そこで、この発明の目的は、簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点の位置を精度良く標定できると共に、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路や分岐線路の故障点を標定できる送電線の故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムを提供することにある。

0008

上記目的を達成するため、請求項1の送電線の故障点標定方法は、送電線に地絡事故または短絡事故よって発生した事故電圧サージまたは事故電流サージの少なくとも一方の波形データである事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップと、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事サージ波形データモード変換するステップと、上記モード変換された事故サージ波形データから得られたメタリックモードサージ波形データとグランドモードサージ波形データに基づいて、上記送電線の故障点を標定するステップとを有することを特徴としている。

0009

上記請求項1の送電線の故障点標定方法によれば、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事故サージ波形データをモード変換して得られたメタリックモードサージ(線間波)波形データとグランドモードサージ(大地波)波形データに基づいて、上記送電線の故障点を標定するので、例えば、グランドモードサージ波形データと、事故サージ成分が一番大きいメタリックモードサージ波形データとを選択して、選択されたグランドモード相のサージ波形およびメタリックモード相のサージ波形に基づいて、事故サージが発生した故障点の位置を精度良く標定できる。

0010

また、請求項2の送電線の故障点標定方法は、送電線に地絡事故または短絡事故よって発生した事故電圧サージまたは事故電流サージの少なくとも一方の波形データである事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップと、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事故サージ波形データの相関関数演算するステップと、上記相関演算された事故サージ波形データの相関係数極大値または極小値の少なくとも一方に基づいて、上記送電線の幹線線路の両端における事故サージの到着時刻を求めるステップと、上記事故サージの到着時刻に基づいて、上記送電線の故障点を標定するステップとを有することを特徴としている。

0011

上記請求項2の送電線の故障点標定方法によれば、従来のレベル起動検出方法の到着時刻不安定の問題を避けて、事故サージ波形データの相関演算による極大値,極小値に基づいて、事故サージ波形データ間の到着時間差を安定して検出できる。また、相関演算する事故サージ波形データの最初のサージの立ち上がりまたは立ち下り波形しか利用しないことによって、局部反射による干渉影響最大限避けられる。また、事故サージ波形データにノイズが多少混入した場合、相関演算のΣ演算処理により抑制されるので、相関演算係数出力に大きな影響を与えることがない。

0012

また、請求項3の送電線の故障点標定方法は、請求項1の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記幹線線路または上記分岐線路の故障点を標定することを特徴としている。

0013

上記請求項3の送電線の故障点標定方法によれば、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路や分岐線路の故障点を標定できる。

0014

また、請求項4の送電線の故障点標定方法は、請求項2の送電線の故障点標定方法において、上記事故サージ波形データをサンプリングデータ補間手法によってアップサンプリングするステップを有することを特徴としている。

0015

上記請求項4の送電線の故障点標定方法によれば、サンプリングされた事故サージ波形データをサンプリングデータ補間手法によってアップサンプリングして、サンプリングレートを向上することにより、サージ波形相関処理時間ステップが短縮され、サージ到着時刻の分解能と精度を向上することができる。これによってサンプリングレートを最低限度のサンプリングレートまで落としても、サンプリング補間により指定するサンプリングレートに変換できるので、サンプリング回路経済的に設計することができる。

0016

また、請求項5の送電線の故障点標定方法は、請求項1乃至4のいずれか1つの送電線の故障点標定方法において、上記送電線を無損失線路と等価集中抵抗とを組み合わせた等価回路で表し、その等価集中抵抗による電圧降下に基づいて、上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングされた上記事故サージ波形データを整形するステップとを有することを特徴としている。

0017

上記請求項5の送電線の故障点標定方法によれば、上記等価集中抵抗による電圧降下分を受信端測定電圧加算して、過渡現象の影響を取り除いて正確な事故サージ到着時刻を判定できるように、事故サージ波データを整形する。したがって、送電線両端背後のサージインピーダンスによる到達事故サージ信号の過渡現象による到着時刻判定への悪影響を取り除くことができる。

0018

また、請求項6の送電線の故障点標定方法は、請求項1の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一であり、かつ、上記幹線線路で事故サージが発生したとき、上記幹線線路における故障点までの距離xは、
【数5】
(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、
t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、
Vmはメタリックモードサージ伝播速度、
Lは幹線線路の全亘長である)
により求められることを特徴としている。

0019

上記請求項6の送電線の故障点標定方法によれば、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一のときに、上記幹線線路における故障点までの距離xを上記式により求めることができ、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路の故障点を標定できる。

0020

また、請求項7の送電線の故障点標定方法は、請求項1の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一であり、かつ、上記分岐線路で事故サージが発生したとき、上記分岐点から故障点までの距離Δxは、
【数6】
(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、
t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、
t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、
Vmはメタリックモードサージ伝播速度、
Vgはグランドモードサージ伝播速度、
Lは幹線線路の全亘長である)
により求められることを特徴としている。

0021

上記請求項7の送電線の故障点標定方法によれば、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が略同一であるときに、上記分岐点から故障点までの距離Δxを上記式により求めることができ、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も分岐線路の故障点を標定できる。なお、上記分岐点から故障点までの距離Δx=0のときは、故障点が分岐線路になく、Δx>0のときは、故障点が分岐線路の区間にある。

0022

また、請求項8の送電線の故障点標定方法は、請求項1の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なり、かつ、上記幹線線路で事故サージが発生したとき、上記幹線線路における故障点までの距離xは、
【数7】
(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、
Mは幹線線路の区間の数、
Lxは故障区間長、
k’は故障区間のA端側幹線線路の区間の集合
k”は故障区間のB端側幹線線路の区間の集合(k’+k”=M−1)、
Vmk(k=1,…,M)は各区間のメタリックモードサージ伝播速度、
Vgk(k=1,…,M)は各区間のグランドモードサージ伝播速度、
t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、
t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、
Vmxは故障区間のメタリックモードサージ伝播速度である)
により求められることを特徴としている。

0023

上記請求項8の送電線の故障点標定方法によれば、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なるときに、上記幹線線路における故障点までの距離xを上記式により求めることができ、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路の故障点を標定できる。

0024

また、請求項9の送電線の故障点標定方法は、請求項1の送電線の故障点標定方法において、上記送電線が幹線線路と分岐線路からなり、上記送電線の故障点を標定するステップにおいて、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なり、かつ、上記分岐線路で事故サージが発生したとき、上記分岐点から故障点までの距離Δxは、
【数8】
(ただし、幹線線路の両端をA端,B端とするとき、
Mは幹線線路の区間の数、
Lxは故障区間長、
Vmk(k=1,…,M)は各区間のメタリックモードサージ伝播速度、
Vgk(k=1,…,M)は各区間のグランドモードサージ伝播速度、
t1mはA端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t1gはA端側のグランドモードサージ到着時刻、
t2mはB端側のメタリックモードサージ到着時刻、
t2gはB端側のグランドモードサージ到着時刻、
Vmxは故障区間のメタリックモードサージ伝播速度、
Vgxは故障区間のグランドモードサージ伝播速度である)
により求められることを特徴としている。

0025

上記請求項9の送電線の故障点標定方法によれば、上記送電線の分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が異なるときに、上記分岐点から故障点までの距離Δxを上記式により求めることができ、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も分岐線路の故障点を標定できる。

0026

また、請求項10の送電線の故障点標定方法は、請求項1または2のいずれか1つの送電線の故障点標定方法において、上記事故サージ波形データを上記送電線の幹線線路の両端でサンプリングするステップでは、上記送電線の幹線線路の両端で波形データを第1のサンプリング回路でサンプリングしながら現サンプリング前の波形データを少なくとも第1所定サンプル数だけバッファ保管すると共に、上記第1のサンプリング回路のサンプリング周波数よりも低いサンプリング周波数の第2のサンプリング回路で上記送電線の幹線線路の両端で波形データをサンプリングし、上記第2のサンプリング回路によりサンプリングされた波形データの商用周波数成分電圧実効値または電流実効値実効値演算手段により求め、上記実効値演算手段により求められた電圧の実効値が所定電圧値以下かまたは上記実効値演算手段により求められた電流の実効値が所定電流値以上であるとき、事故発生判別手段により上記送電線の幹線線路において事故が発生したと判別し、上記事故発生判別手段が上記送電線の幹線線路において事故が発生したと判別すると、上記第1のサンプリング回路によりサンプリングされた波形データのうちの事故点前の上記バッファに保管されている波形データおよび事故点後の第2所定サンプル数の波形データのみを波形データ抽出手段により上記事故サージ波形データとして抽出することを特徴としている。

0027

上記請求項10の送電線の故障点標定方法によれば、上記第1のサンプリング回路よりもサンプリング周波数が低い上記第2のサンプリング回路でサンプリングされた波形データの商用周波数成分の電圧の実効値または電流の実効値に基づいて、上記送電線の幹線線路において事故が発生したか否かを事故発生判別手段により判別する。そして、上記事故発生判別手段が上記送電線の幹線線路において事故が発生したと判別するとき、上記第1のサンプリング回路でサンプリングされた波形データのうちの事故点前の上記バッファに保管されている波形データおよび事故点後の第2所定サンプル数の波形データのみを抽出して、上記送電線の故障点を標定するための上記事故サージ波形データを得る。これによって、アーク閃絡等が発生して、事故に至った波形変化が発生した事故点前後の波形データのみを解析することができ、事故でもないのにサージ混入だけで事故点を標定したり、サージ波形の混入点とそれに起因するアーク閃絡等の発生点が異なる場合もあるのにサージ波形の混入点を事故点と誤認して標定するということを防止できる。なお、上記第2のサンプリング回路は、第1のサンプリング回路の波形データからダウンサンプリングによって得てもよい。

0028

また、請求項11の故障点標定システムは、請求項1乃至10のいずれか1つの送電線の故障点標定方法を用いたことを特徴としている。

課題を解決するための手段

0029

上記請求項11の故障点標定システムによれば、上記いずれか1つの送電線の故障点標定方法を用いて故障点を標定することによって、簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点の位置を精度良く標定できる。

0030

以下、この発明の送電線の故障点標定方法について基本原理を説明した後、その送電線の故障点標定方法を用いた故障点標定システムを図示の実施の形態により詳細に説明する。

0031

〔1〕 モード変換されたサージ波形データによる故障点標定
送電線の地絡(または短絡)事故時の事故サージ波形データ(事故電圧サージまたは事故電流サージ)を送電線の幹線線路の両端でサンプリングし、そのサンプリングされた事故サージ波形データをモード変換して、メタリックモードサージ波形データとグランドモードサージ波形データを求める。すなわち、事故サージ波形データである3相サージ波形または6相サージ波形をモード変換し、相互独立な複数の単相回路における3相サージ波形または6相サージ波形を分離することにより、1相のグランドモードサージ波形と2相または5相のメタリックモードサージ波形が含まれたモード相サージ波形データが得られる。そうして得られたモード相サージ波形の中から、グランドモード相を選択すると共に、事故サージ成分が一番大きいメタリックモード相を選択して、選択されたグランドモード相のサージ波形およびメタリックモード相のサージ波形に基づいて、事故サージが発生した故障点を精度良く標定できる。

0032

〔2〕 サージ到着時刻の精度向上
(1) 相関演算
図1は波形相関演算によるサージ到着時刻の時間差の検出について説明する図であり、図1において、左上は、送電線のA端でサンプリングされた事故電圧サージ(または事故電流サージ)の元サージ波形A、左下は、送電線のB端でサンプリングされた事故電圧サージ(または事故電流サージ)の元サージ波形Bである。上記元サージ波形A,Bは、送電線に地絡事故または短絡事故によって発生した事故電圧サージ(または事故電流サージ)を電力系統電圧電流信号から、ハイパスフィルタにより抽出された事故サージ波形データである。

0033

図1に示すように、上記元サージ波形A,Bの到着時刻を正確に識別するため、サージ波形の立ち上がりまたは立ち下りからサージ波形の最大値または最小値までの波形を、元サージ波形またはその他のサージ波形と相関演算し、相関係数の極大値から、サージ波形の到着時刻を検出する。これにより、従来のレベル起動検出方法の到着時刻不安定の問題を避けて、事故サージ波形データの相関演算による極大値に基づいて、事故サージ波形データ間の到着時間差を安定して検出できる。また、相関演算する事故サージ波形データの最初のサージの立ち上がりまたは立ち下り波形しか利用しないことによって、局部反射による干渉影響が最大限避けられる。なお、相関係数の極大値からサージ波形の到着時刻を検出したが、相関係数の極小値からサージ波形の到着時刻を検出してもよく、極大値,極小値の両方を用いてもよい。

0034

(2) 事故サージ波データのアップサンプリング
また、従来の送電線の故障点標定方法では、一定のサンプリングレートfでサンプリングしたサージ波形データを時間ステップT=1/fで相関演算処理してサージの到着時間差を検出する方法の時間軸の分解能がTであるので、サージ到着時刻の時間差の最大検出精度が時間ステップTである。これに対して、この発明の送電線の故障点標定方法では、サンプリングした事故サージ波形データをサンプリングデータ補間手法によってアップサンプリングして、サンプリングレートを向上することにより、サージ波形相関処理の時間ステップが短縮され、サージ到着時刻の分解能と精度を向上することができる。

0035

これによってサンプリングレートを最低限度のサンプリングレートまで落とされても、サンプリング補間により指定するサンプリングレートに変換できるので、サンプリング回路を経済的に設計することができる。

0036

(3) 事故サージ波形データの整形
図2は無損失線路と等価集中抵抗とを組み合わせた送電線の等価回路を示しており、図2において、Zoは線路固有インピーダン、Lは単位長線路のインダクタンス、Cは単位長線路の静電容量、Rは全体線路の抵抗である。

0037

図2に示すように、送電線が単純な時間遅延ラインDLA,DLBと線路固有インピーダンスZoと線路抵抗kR/2,kR/2,(1−k)R/2,(1−k)R/2の直列からなる集中定数表現できる。故障点電圧サージをa’点電圧近似することで、サージ受信点背後インピーダンスによるサージ波形のひずみ分がある程度除去でき、事故サージ信号の到着時刻の検出精度を向上させることができる。上記電圧サージ波形の元波形の形状に近いa’点の電圧Va’を(式1a)で近似算出できる。同様に、b’点の電圧Vb’も(式1b)で近似算出できる。
【数9】
………………… (式1a)
【数10】
………………… (式1b)

0038

ここで、Lは線路全体のインダクタンス、Cは線路全体の静電容量キャパシタンス、kはそれぞれ故障点とA端とB端との間の伝播時間比または距離比、Rは線路全体の抵抗、Va(t),Vb(t)は時刻tのA端電圧とB端電圧、ia(t),ib(t)は時刻tのA端電流とB端電流である。

0039

これにより、サージ受信端の電圧電流から、故障点における事故電圧サージをできるだけ忠実復元できる。

0040

〔3〕 分岐線路を有する送電線の故障点標定
次に、幹線線路と分岐線路とを有する送電線において、分岐点により区分された各区間のサージ伝播速度が同様の場合、送電線両端におけるメタリックモードサージ到着時刻とグランドモードサージ到着時刻による幹線線路故障点または分岐線路故障点を標定する方法について説明する。

0041

まず、メタリックモードサージ伝播速度とグランドモードサージ伝播速度をそれぞれVm,Vgとし、故障点からA端までのメタリックモードサージ到着時刻とグランドモードサージ到着時刻をそれぞれt1m,t1gとし、B端への各モードサージ到着時刻をそれぞれt2m,t2gとし、故障発生時刻点をtとする。

0042

幹線線路故障のA端からの故障点標定距離は(式2)で算出できる。
【数11】
(ただし、Lは幹線線路の全亘長である)
………………… (式2)

0043

図3のように、故障点が分岐線路の区間(C端側)にある場合、故障点からA端への伝播距離は、次の(式3a)で与えられ、故障点からB端への伝播距離は、次の(式3b)で与えられる。
【数12】
………………… (式3a)
【数13】
………………… (式3b)
(ただし、Δxは分岐点距離(故障点が分岐区間にある場合はΔx>0、故障点が幹線線路の区間にある場合はΔx=0)、t1m,t2mはメタリックモードサージ到着時刻、t1g,t2gはグランドモードサージ到着時刻、Vmはメタリックモードサージ伝播速度、Vgはグランドモードサージ伝播速度、Lは幹線線路の全亘長)

0044

この(式3a)と(式3b)の連立方程式解くと、分岐線路故障の分岐点からの故障点距離Δxは、次の(式4)で算出できる。
【数14】
………………… (式4)
(ただし、t1m,t2mはメタリックモードサージ到着時刻、t1g,t2gはグランドモードサージ到着時刻、Vmはメタリックモードサージ伝播速度、Vgグランドモードサージ伝播速度、Lは幹線線路の全亘長)

0045

上記(式4)で算出した故障点標定距離Δxが0でない場合、故障点がある分岐区間にあることを示している。さらに、分岐線路の区間を(式2)の計算結果割り出し、最終故障距離を算出する。標定結果のまとめを表1に示している。

0046

【表1】

0047

次に、 分岐線路のサージ伝播速度が幹線線路のサージ伝播速度と異なる場合、送電線両端におけるメタリックモードサージ到着時刻とグランドモードサージ到着時刻による幹線線路の故障点または分岐線路の故障点を標定する方法について説明する。

0048

送電線AB端の幹線線路が線路定数の異なるM区間からなる。各区間のメタリックモードサージ伝播速度とグランドモードサージ伝播速度をそれぞれVmk,Vgk(k=1,…,M)とし、故障点からA端までのメタリックモードサージ到着時刻とグランドモードサージ到着時刻をそれぞれt1m,t1g、B端への各モードサージ到着時刻をそれぞれt2m,t2g、故障区間の線路サージ伝播速度をVmx,Vgx、故障の発生時刻点をtとする。

0049

線路故障が幹線線路に発生した場合、A端からの故障点距離xを、
【数15】
(ただし、Lxは故障区間長、k’は故障区間のA端側幹線線路の区間の集合、k”は故障区間のB端側幹線線路の区間の集合であり、k’+k”=M−1)
………………… (式5)
により計算できる。

0050

一方、線路事故サージが分岐線路に発生した場合、事故電圧サージまたは事故電流サージのメタリックモードサージ到着時刻t’mが(式6a)により計算でき、グランドモードサージ到着時刻t’gが(式6b)により計算できる。
【数16】
………………… (式6a)
【数17】
………………… (式6b)

0051

分岐点からの故障点標定距離Δxが、次の(式7a)の連立方程式から算出された(式7b)で与えられる。

………………… (式7a)
【数18】
………………… (式7b)

0052

線路故障が幹線線路の区間にあるか、または、分岐線路の区間にあるかの判定、および故障点の総合標定は、表1の「故障点の総合標定」の規則に従って行う。

0053

〔4〕 故障点標定システム
次に、この発明の実施の一形態のサージ受信型の故障点標定システムについて説明する。

0054

図4はこのサージ受信型の故障点標定システムの構成を示しており、図4において、1aはA端側母線、1bはB端側母線、2a,2bは平行2回線の3相不平衡送電線の幹線線路の区間、3は分岐線路の区間、4a,4bは幹線線路の両端の電圧を検出する電圧変成器、5a,5bは幹線線路の両端の電流を検出する電流変成器、6a,6bはGPSアンテナ、7a,7bは幹線線路の両端に配置され、電圧変成器4a,4bからの電圧信号および電流変成器5a,5bからの電流信号を受けるサージ受信装置、8は上記サージ受信装置7a,7bからのサージ情報を受けて、故障点を標定する故障点標定手段および事故サージの到着時刻を求める到着時刻演算手段を含む故障点標定サーバーである。なお、送電線の各区間の線路定数は略同一とする(サージ伝播速度が略同一)。

0055

上記送電線の幹線線路の区間2a,2bの両端のサージ受信装置7a,7bは、送電線の両端の電圧信号と電流信号を、電圧変成器4a,4bと電流変成器5a,5bを介して10MHzのサンプリングレートで高速サンプリングして、サージ受信装置7a,7b内部の多重リンク構造(複数のリングバッファで構成)の波形データバッファの一つに常時保存する。このサージ受信装置7a,7bは、衛星から送出される標準時計信号をGPSアンテナ6a,6bにより受信し、その標準時計信号に同期しながら、高速サンプリングを行う。

0056

そして、高速サンプリングと同時に、電気故障によって送電線の幹線線路の区間2a,2bおよび分岐線路の区間3に発生する電圧変化を検出する。その検出された電圧変化を用いて安定的な起動検出を図るため、電圧の実効値変化で起動検出を行う。上記サージ受信装置7a,7bにおいて、電気故障によって電圧の実効値低下(電圧実効値が所定電圧値以下のとき)により起動検出した場合、起動点から設定された所定時間のサンプリングを続けて同一の波形データバッファにサンプリングデータを継続保存する。そして、設定された所定時間を超えると、この波形データバッファのサンプリングデータの記録を終了し、サンプリングデータの記録を次の波形データバッファに切り替えて、次の電気故障の発生に備える。なお、この実施の形態では、電気故障によって送電線の幹線線路に発生する電圧の実効値が所定電圧値以下のときに起動検出としたが、電気故障によって送電線の幹線線路に発生する電流の実効値が所定電流値以上のときに起動検出としてもよい。

0057

ここで、10MHzサンプリングのデータで実効値を演算するには、常用DSP(またはCPU)の演算能力では不足である。そこで、この実施の形態のサージ受信装置7a,7bの起動検出は、図5ブロック図に示す事故サージ波形データサンプリング手段の一例としての実効値起動検出回路により行う。

0058

まず、図5に示すように、第1のサンプリング回路の一例としてのA/D変換器11によりA/D変換された10MHzのサンプリングデータを第2のサンプリング回路の一例としての同期アンダーサンプリング部12によりアンダーサンプリングして、2.5kHzサンプリングデータに変換する。そして、アンダーサンプリングデータに対して実効値演算手段の一例としての実効値演算部13により実効値を高速演算する。上記実効値演算部13により演算された実効値について事故発生判別手段の一例としての起動検出部14により起動検出を行って起動検出されると、起動検出部14からの起動検出信号がオフディレー遅延部15により第2所定サンプル数に相当する所定時間遅延され、その遅延された起動検出信号によりバッファ切替スイッチ16の切り替えを行う。例えば、始めにバッファ切替スイッチ16が波形バッファ#1(17)を選択しているとき、A/D変換器11からの波形データがリングバッファとして動作する波形バッファ#1(17)に所定時間分取り込まれる。そして、起動検出信号によりバッファ切替スイッチ16が波形バッファ#2(18)に切り替わると、波形バッファ#1(17)には、起動前後の事故サージ波形データが記録される。すなわち、事故点前の波形バッファに保管されている第1所定サンプル数の波形データおよび事故点後の第2所定サンプル数の波形データを事故サージ波形データとして抽出するのである。同様にして、起動検出毎に、バッファ切替スイッチ16が切り替わって、波形バッファ#2(18)〜波形バッファ#4(20)に事故サージ波形データが夫々記録される。上記オフディレー遅延部15とバッファ切替スイッチ16で波形データ抽出手段を構成している。

0059

この実効値演算部13による実効値の演算は、前後電気角90度間隔の2点データで実効値を演算して、さらに、4つの実効値データを次の(式8)で計算して平均移動処理をする。この平均移動処理後の実効値VRMSを起動検出用データとする。
【数19】
………………… (式8)

0060

ただし、100SPC(1周期当りのサンプル数)の場合、90度は25サンプルである。

0061

図6(A)は実効値計算と起動点検出の例を示しており、図6(B)は図6(A)の要部の時間軸拡大図である。故障発生位相によって、起動検出の最大遅延時間が90度に達することがある。また、図6(B)に示すように、実効値での起動検出遅延が最大90度と大きいので、サージ信号の含まれる波形データは、図7のように確保しなければならない。図7はサージ波形切り出し処理前の最小限必要とするサージデータ記録長を示しており、実効値起動検出方法の遅延時間が5msで、サージの反射波も集録する場合、この反射波の線路上のサージ伝播往復時間(線路長が最大300kmの場合)が2msである。また、確実に事故サージ発生時点を集録するために、サージ波形データ記録の前後1ms長の波形データを余分に記録している。

0062

起動検出遅延による無駄の記録時間を削減するため、サージ受信装置7a,7bに内蔵CPUによるサージデータ起動検出点を再び精密に検出し、有効なサージ波形データを切り出して、故障点標定サーバー8(図4に示す)に送信する。

0063

サージデータ起動点の精密検出は、次の(式9)により方形波関数相関演算によって行う。事故サージを確実に収録するには、起動前後の記録時間を十分に確保しなければならない。これらの波形データをそのまま送信すると、送信時間がかかるので、(式9)により相関関数s(k)を求め、サージ受信装置7a,7b内部で事故サージ検出精度を向上する処理を行う。
【数20】
………………… (式9)

0064

図8は、M=20、SPC=1000の場合の相関演算例である。図8に示すように、信号波形にノイズが多少混入した場合、Σ演算処理により抑制されるので、相関演算係数出力に大きな影響を与えない。相関演算の時間幅を調整することによって、事故サージ検出感度ノイズ耐性調合を図ることができる。

0065

次に、サージ起動点を精密に検出できたら、図9に示すように、事故サージの発生時点の前後一部を取り出す。図9はサージ受信形故障点標定処理の最小限必要とするサージデータ記録長を示しており、事故サージ発生時点が検出されたら、事故サージの反射波の遅延時間(線路長が最大300kmの場合)に0.1msの前後記録余裕時間を設け、切り出しサージ波形データの記録長とする。そうして、最小限のサージ波形を切り出して故障点標定サーバー8(図4に示す)に送信できる。これによって、実効値起動データより、起動検出遅延分の無駄な転送を省くことができる。

0066

図10は故障点標定サーバー8(図4に示す)の要部のブロック図を示しており、図10において、21,31は上記サージ受信装置7a,7b(図4に示す)からの3相波形データに含まれるサージ成分を抽出するハイパスフィルタ(HPF)、22,32は上記ハイパスフィルタ21,31により抽出された事故サージ波形データをモード変換するモード変換手段および事故サージ波形データ整形手段の一例としてのモード分離処理部、23,33は上記モード分離処理部22,32により分離された相互独立な3相サージ波形データ(または6相サージ波形データ)をアップサンプリングする事故サージ波形データアップサンプリング手段の一例としての補間処理部、24は上記補間処理部23によりアップサンプリングされた3相サージ波形データ(または6相サージ波形データ)から先頭サージ波形を切り出すサージ波形切出部、25は上記サージ波形切出部24により切り出された先頭サージ波形でA端のサージ波形との自己相関演算する相関演算部、35は上記サージ波形切出部24により切り出された先頭サージ波形でB端のサージ波形とのクロス相関演算する相関演算部である。

0067

図10に示すように、故障点標定サーバー8(図4に示す)に送られたサージを含む3相波形データ(または6相サージ波形)を、まずハイパスフィルタ21,31を通してサージ部分のみを抽出する。

0068

次に、抽出されたサージ部分をモード分離処理部22,32において、送電線を等価集中抵抗と無損失送電線路とを組み合わせた等価回路とし、3相サージ波形(または6相サージ波形)が電圧波形であるとき、過渡現象による影響を取り除いて正確な事故サージ到着時刻を判定できるように、その等価集中抵抗による電圧降下分を加算することにより事故サージ波データを整形する。

0069

また、上記モード分離処理部22,32において、3相サージ波形(または6相サージ波形)をモード変換し、相互独立な3相サージ波形または6相サージ波形を分離する。この分離されたモード相サージ波形は、1相のグランドモードサージ波形と2相または5相のメタリックモードサージ波形が含まれる。そのモード相サージ波形の中から、グランドモード相を選択すると共に、事故サージ成分が一番大きいメタリックモード相を選択して、選択されたグランドモード相のサージ波形およびメタリックモード相のサージ波形に基づいて故障点の標定計算を行う。

0070

また、上記補間処理部23,33では、サンプリングデータ補間処理することにより、サージ波形のサンプリングレートを10Mサンプル/秒から40Mサンプル/秒に変換し、サンプリング時間分解能を上げる。

0071

そして、A端を基準とする場合、A端のサンプリング時間分解能を上げたサージ波形からサージ波形からサージ波形切出部24により切り出された先頭サージ波形で、相関関数演算手段の一例としての相関演算部25によりA端のサージ波形との自相関演算(自己相関関数の演算)する一方、相関関数演算手段の一例としての相関演算部35によりB端のサージ波形とのクロス相関演算(相互相関関数の演算)を行う。

0072

図1に示すように、自相関係数出力とクロス相関係数出力の最大値を探し出し、その最大値のサンプリング地点をサージ到着時刻とする。その検出されたサージ到着時刻を上記(式2)と(式3b)に代入し、幹線線路における故障点距離計算値と分岐線路における故障点距離計算値が得られる。さらに、この二つの距離計算値を上記表1の「故障点の総合標定」の規則に従って処理して、真の故障点位置を決定する。

0073

上記実施の形態では、送電線の各区間のサージ伝播速度が略同一としたが、送電線の各区間のサージ伝播速度が異なってもよく、その場合、上記〔3〕の(式5),(式6a),(式6b),(式7a)および(式7b)により故障点を標定する。

発明を実施するための最良の形態

0074

また、上記実施の形態では、「〔1〕モード変換されたサージ波形データによる故障点標定」において、「〔2〕(1)相関演算」を行ったが、いずれか一方のみを故障点の標定に用いてもよい。また、サンプリングレートが十分な高速サンプリング回路を低コストで実現できる場合は、「〔2〕(2)事故サージ波データのアップサンプリング」を行わなくてもよい。また、送電線両端背後のサージインピーダンスによる到達事故サージ信号の過渡現象による到着時刻判定への悪影響がない場合は、「〔2〕(3)事故サージ波形データの整形」を行わなくてもよい。

図面の簡単な説明

0075

上より明らかなように、この発明の送電線の故障点標定方法およびそれを用いた故障点標定システムによれば、送電線の幹線線路の両端のみでサンプリングされた事故電圧サージまたは事故電流サージの少なくとも一方の波形データに基づいて、簡単な構成でかつ低コストで、事故サージが発生した故障点の位置を精度良く標定することができると共に、送電線が幹線線路と分岐線路とからなる場合も幹線線路や分岐線路の故障点を標定することができる。

図1
図1はこの発明の送電線の故障点標定方法の波形相関演算によるサージ到着時刻の時間差の検出について説明する図である。
図2
図2は無損失伝送回路による送電線の等価回路を示す図である。
図3
図3は分岐線路の区間における故障時のサージ伝播を示す図である。
図4
図4はこの発明の実施の一形態の送電線の故障点標定方法を用いたサージ受信型の故障点標定システムの構成を示す図である。
図5
図5は実効値起動検出回路のブロック図である。
図6
図6(A)は実効値計算と起動点検出を示す図であり、図6(B)は図6(A)の要部の時間軸拡大図である。
図7
図7はサージ波形切り出し前波形記録内容を示す図である。
図8
図8は方形波関数による事故サージ相関検出を説明する図である。
図9
図9は切り出し処理後のサージ波形記録内容を示す図である。
図10
図10はサージ波形の補間処理と相関演算を行う故障点標定サーバーの要部のブロック図である。
図11
図11は従来の両端サージ受信故障点標定図である。
【符号の説明】
1a,1b…母線
2a,2b…幹線線路の区間、
3…分岐線路の区間、
4a,4b…電圧変成器、
5a,5b…電流変成器、
6a,6b…GPSアンテナ、
7a,7b…サージ受信装置、
8…サージ受信型故障点標定装置、
11…A/D変換器、
12…同期アンダーサンプリング部、
13…実効値演算部、
14…起動検出部、
15…AND回路
21,31…ハイパスフィルタ、
22,32…モード分離処理部、
23,33…補間処理部、
24…サージ波形切出部、
25,35…相関演算部。

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