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図面 (4)

課題

難治性てんかんに対する抗てんかん薬を提供する。

解決手段

式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬。式I

化1

[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R3は炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり;QはN−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基;そしてYは生理的に受容しうる陰イオンである]

概要

背景

てんかんとは「種々の成因によってもたらされる慢性脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射から由来する反復性発作主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所表出がともなう」病気と定義される。現在、世界にはおよそ4000万人のてんかん患者が存在すると推定され、そのうち20%が「側頭葉てんかん」などの「難治性てんかん」患者と考えられている。
「難治性」とは、従来の抗てんかん薬を用いる薬理学的療法や脳外科的療法が効かず、発作症状が次第に複雑化し回復がほとんど見込めないというものである。

概要

難治性てんかんに対する抗てんかん薬を提供する。式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬。式I[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R3は炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり;QはN−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基;そしてYは生理的に受容しうる陰イオンである]    なし

目的

従って、本発明の目的は、難治性てんかんに対する抗てんかん薬を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬。式I[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R3は炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり;QはN−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基;そしてYは生理的に受容しうる陰イオンである]

請求項2

生理的に受容しうる陰イオンYが、ハライドスルフェートホスフェートニトレートアセテートフマレートスクシネートトリフルオロアセテートメトスルフェートおよびp−トルエンスルホネートから選択されたものである、請求項1に記載の式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬。

請求項3

Yがハロゲンイオンであり、かつピリミジニウム対向陽イオンが1,6−ジメチル−2−メチルアミノ−4−N−メチルアニリノピリミジニウム、1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウム、1,2−ジメチル−4−(1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、2−エチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−1−メチル−6−メチルアミノピリミジニウム、1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−(3−プロピル−1−インドリル)ピリミジニウム、1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、及び1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウムから選択されたものである、請求項1に記載の式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬。

請求項4

1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウムクロリドを含む抗てんかん薬。

請求項5

抗てんかん薬が予防、緩和又は治療用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗てんかん薬。

請求項6

薬学的に許容性希釈剤または担持剤を含有してなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗てんかん薬。

技術分野

0001

本発明は、てんかん治療または防止するための薬剤に関する。とりわけ、大脳皮質側頭葉大脳辺縁系の、いわゆる小発作欠神発作などを含む側頭葉てんかん等の難治性てんかんに対する治療または防止するための薬剤に関する。

0002

てんかんとは「種々の成因によってもたらされる慢性脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射から由来する反復性発作主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所表出がともなう」病気と定義される。現在、世界にはおよそ4000万人のてんかん患者が存在すると推定され、そのうち20%が「側頭葉てんかん」などの「難治性てんかん」患者と考えられている。
「難治性」とは、従来の抗てんかん薬を用いる薬理学的療法や脳外科的療法が効かず、発作症状が次第に複雑化し回復がほとんど見込めないというものである。

0003

「てんかんの定義」からも考えられるように、その発症メカニズムが完全には解明されていないが、大脳のニューロンの異常興奮が発症の起因になっていることは確立している。
脳内には興奮性神経伝達物質抑制性神経伝達物質が使われているので、通説に従えば、その興奮性をおさえるか抑制性を高めるかという方法に帰着し、その観点から治療が行われてきた。

0004

従来の治療法には薬物療法外科的療法とがある。薬物療法には、興奮性をおさえるという観点から、睡眠薬から誘導された物質を中心として多くの優れた抗けいれん剤を用いる方法がある。また、近年には脳内の抑制系が詳細に解明され、その観点から抑制性伝達物質補強する物質やその代謝を遅延させる物質などを用いる方法がある。

0005

こうした薬物療法によって効果がもたらされ、寛解(完治ということばは使われず、白血病と同様この言葉がてんかんでも使われる)に至る発作型(てんかんは国際的におよそ30型に分類されている)は多い。しかし、薬物療法には、発作抑制効果がある場合でも、標準では最終発作から5年間は抗てんかん薬を服用し続けなければならないため、副作用の発症が大きな問題である。基本的に脳内活動を抑制させる方向の薬剤であるため、活力の低下や脱力倦怠感などさまざまな副作用があげられる。

0006

一方、そうした薬物療法が功を奏しない場合に外科的療法が用いられる。従来は大脳皮質のてんかん焦点部位切除脳梁切断などが行われていたが、近年では外科的侵襲を最小限に抑えるために焦点部位への神経線維連絡スリット状に遮断する方法などが開発されている。しかし、そのような外科的療法にも、焦点限局性のものであればまだしも瀰漫性のものであれば切除領域広がり、それとともに脱落症状の増大につながるという欠点がある。これはミクロなレベルで考えれば、限局性のものにも該当する問題である。

0007

このような従来の治療法によって寛解に至り、発作から解放される場合も多い。しかし、すでに述べたように、そうした治療法が無効になってしまう「難治性てんかん」も約20%存在する。患者数で考えれば、およそ世界に800万人いることになる。その多くが大脳皮質・側頭葉−大脳辺縁系(側頭葉内部の海馬扁桃核が含まれる)に焦点をもつものと考えられている。

0008

ところで、従来のてんかん発作発現メカニズムに関する研究によって明らかにされてきたことは、「興奮系の亢進説」若しくは「抑制減退説」という理論に集約される(The AES: An Historic Perspective on 50 Years of Advance in Research. Epilepsia, 1997)。すなわち、基本的に脳内の抑制系であるGABA系の働きが低下することによって異常興奮が惹起されるという理論である。事実、このような理論に基づき、GABA系の作用を増強する観点から抗てんかん薬の開発がなされてきた。

0009

しかし、前述のように難治性てんかんの存在は上記の理論が適用できず、上記以外の作用機序を期待させるものである。
一方で、分子レベルの研究において近年様々なイオンチャネルの種類や特性が明らかとなってきた。その内、Ih(過分極電位依存性Na/Ca電流チャネルは、Naチャネルサブタイプで過分極性電位依存性であり、特に海馬・錐体細胞尖頭樹状突起層に多く存在していることが注目される(Tsubokawa et al., J. Physiol, 1999)。

背景技術

0010

このIhチャネルに関してはインビトロ系で詳細に研究され、その機能に関しては、
i)シナプス電位減衰させる、
ii)活動電位バックプロパゲーション(すなわち、活動電位の細胞体から樹状突起への逆向性伝播)に関与する、そして
iii)膜の長期にわたる過分極状態を防ぐ、
という役割示唆されているだけで、異常興奮や発作波等てんかんに関連づけるものは報告されていない。また、CsCl、CsBr等のセシウム塩、1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウムクロリド(ゼネカ社製、以下ZD7288)が阻害剤であることが知られる。さらに、ラット海馬スライス標本において、ZD7288は、CsClと比較しIhチャネルに対して親和性が高いとされている(Gasparini. S. and DiFrancesco, D., Pflugers Arch, 435, 99−106, 1997)。

発明が解決しようとする課題

0011

従って、本発明の目的は、難治性てんかんに対する抗てんかん薬を提供することである。

0012

本発明者は、長年「てんかん発作発現メカニズム」に関する研究を行ってきた。その過程で、てんかんの動物モデルであるキンドリング燃え上がり現象)を用いて、
i)海馬における発作波に先行して抑制性介在ニューロンの長期にわたる群発放電出現し、
ii)介在ニューロン軸索は錐体細胞・尖頭樹状突起層へ投射している、
iii)発作活動と樹状突起の能動性スパイク活動)が密接に関連すること等を明らかにしてきた(Kogure, Epilepsy Res.,27,139−148, 1997; Kogure et al., Epilepsia, 41,929−932, 2000)。さらに、上述のIhチャネルが海馬・錐体細胞の尖頭樹状突起層に多く存在するという知見をもとに、本発明者は、いわゆるIh阻害剤によりIhチャネルをブロックすることによりてんかん発作を抑制することを試みた。

0013

言い換えると、インビトロ系で明らかにされてきたチャネルレベル現象を、インビボ系でしか再現されないてんかん発作という現象に結びつけることにより、難治性てんかんの予防または治療に適用され得る薬剤を提供することを試みた。

0014

本発明者は、上記の目的に対し鋭意検討した結果、本発明者が開発した両側海馬キンドリングモデル(若しくは、オルターイトサイト・キンドリング)及び遺伝性てんかん動物を用いて評価することにより、Ih阻害剤であるアミノピリミジン誘導体が発作波や発作症状の抑制効果、慢性投与による効果等のてんかんを治療または防止する効果を有することを見い出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。

課題を解決するための手段

0015

すなわち、本発明は、
(1) 式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬、
式I
【化2】
[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R3は炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり;QはN−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基;そしてYは生理的に受容しうる陰イオンである]
(2) 生理的に受容しうる陰イオンYが、ハライドスルフェートホスフェートニトレートアセテートフマレートスクシネートトリフルオロアセテートメトスルフェートおよびp−トルエンスルホネートから選択されたものである、(1)に記載の式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬、
(3) Yがハロゲンイオンであり、かつピリミジニウム対向陽イオン
1,6−ジメチル−2−メチルアミノ−4−N−メチルアニリノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム
1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、
2−エチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−1−メチル−6−メチルアミノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−(3−プロピル−1−インドリル)ピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、及び
1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウムから選択されたものである、(1)に記載の式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む抗てんかん薬、
(4) 1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウムクロリドを含む抗てんかん薬、
(5) 抗てんかん薬が予防、緩和又は治療用であることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の抗てんかん薬、そして
(6) 薬学的に許容性希釈剤または担持剤を含有してなることを特徴とする、(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の抗てんかん薬
を提供するものである。

0016

以下、本発明を詳細に説明する。

0017

本発明の抗てんかん薬は式Iで示されるアミノピリミジン誘導体を含む。
式I
【化3】
[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり;R3は炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり;QはN−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基;そしてYは生理的に受容しうる陰イオンである]

0018

R1及びR2の詳細なものは、例えばメチル基エチル基プロピル基のような炭素原子数1〜5のアルキル基であり、そのうちメチル基及びエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

0019

R3の詳細なものは炭素原子数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基、炭素原子数8以下のジアルキルアミノ基であり、炭素原子数1〜5のアルキルアミノ基が好ましい。

0020

アルキル基である場合のR3の詳細なものは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基であり、そのうちメチル基及びエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
アルキルアミノ基である場合のR3の詳細なものは、たとえばメチルアミノ基、エチルアミノ基プロピルアミノ基又はブチルアミノ基であり、メチルアミノ基が好ましい。

0021

R3がアミノ基又はアルキルアミノ基である場合、本発明のアミノ誘導体は式Iに示されたものに対するもう1つの互変異性体でまたは可能な互変異性体の1つ以上の混合物で存在しうることは明らかである。

0022

また、置換基の種類により、本発明の化合物キラル中心を有することができ、かつ光学活性形またはラセミ形で存在しかつ単離しうることも明らかである。本発明は、上述した有利な薬理的効果を有する式Iで示される化合物の互変異性形、光学活性形またはラセミ形を包含する。

0023

Qは、N−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基、1−インドリル基、3−メチル−1−インドリル基、3−エチル−1−インドリル基、3−プロピル−1−インドリル基を包含するが、N−メチルアニリノ基、N−エチルアニリノ基が好ましく、N−エチルアニリノ基が特に好ましい。

0024

生理的に受容しうる陰イオンYは、ハライド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アセテート、フマレート、スクシネート、トリフルオロアセテート、メトスルフェートおよびp−トルエンスルホネートを包含するが、ハライドが特に好ましく、クロリドが最も好ましい。

0025

本発明の抗てんかん薬に含まれるアミノピリミジン誘導体の例としては、Yがハロゲンイオンであり、かつピリミジニウム対向陽イオンが
1,6−ジメチル−2−メチルアミノ−4−N−メチルアニリノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、
2−エチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−1−メチル−6−メチルアミノピリミジニウム、
1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−(3−プロピル−1−インドリル)ピリミジニウム、
1,2−ジメチル−4−(3−メチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウム、及び
1,2−ジメチル−4−(3−エチル−1−インドリル)−6−メチルアミノピリミジニウムから選択されたものが挙げられる。

0026

この中でも、本発明の抗てんかん薬に含まれるアミノピリミジン誘導体として、特に1,2−ジメチル−6−メチルアミノ−4−N−エチルアニリノピリミジニウムクロリドが好ましい。

0027

本発明の抗てんかん薬は、式Iの化合物を経口的、静脈内に投与するか、または幾つかの医学的に許容性の経路(例えば、吸入通気下または経皮膚によって)によって投与することが予想され、したがって一般的範囲、例えば体重1kg当たり0.01mg〜10mgの投与量が、受容される。しかし、正確に投与される用量は必要に応じて、てんかんの程度、治療される患者の年齢及び性別により変動する。

0028

式Iのピリミジニウム塩が、徐脈効果を有することが特許公報第2528218号に開示されているが、上記徐脈効果が認められる投与量の数倍の投与量でイヌ生体内試験において明らかな毒性は、観察されなかったことも開示されている。
一般に、式Iのピリミジニウム塩(または関連した非イオン性無水塩基)は、通常薬学的組成物の形で、すなわち薬学的に許容性の希釈剤または担持剤と一緒に投与され得る。

0029

本発明の抗てんかん薬は、種々の投与形剤型)であることができる。例えば、この組成物は、経口投与のために錠剤カプセル剤溶液または懸濁液の形であることができ;直腸投与のために坐薬の形であることができ;静脈内または筋肉内注射による投与のために滅菌された溶液または懸濁液の形であることができ;吸入による投与のために煙霧質または噴霧質の形であることができ;通気による投与のためにラクトースのような薬学的に許容性の不活性固体希釈剤と一緒の粉末の形であることができるか;または経皮膚投与のためにスキンパッチの形であることができる。この組成物は、有利に例えば式Iの化合物5〜200mgを含有する単位用量の形であることができる。

0030

組成物は、当業界でよく知られた薬学的に許容される希釈剤及び担持剤を使用することにより常法によって得ることができる。経口投与のための錠剤及びカブセル剤は、有利にコーティング、例えば腸コーティング(例えば、セルロースアセテートフタレートをべースとするオヘ(ohe))と一緒に形成させることができ、胃内で式Iの活性成分の溶解を最小にするかまたは不快な味覚遮蔽する。

0031

てんかんに対する治療または防止の有利な効果は、次の標準実験室的方法の1つまたはそれ以上を使用することにより証明することができる。

0032

1)本発明の抗てんかん薬を急性下(麻酔人工呼吸下)において海馬内直接注入して電気刺激によるてんかん様発作波誘発閾値検討方法
方法1)では成熟ウサギを用いる。急性下(麻酔・人工呼吸下)において、ウサギの両側海馬のCA1野に同心円電極(記録・刺激及び薬液注入用)を2本ずつ刺入させる。右側海馬の前部の電極を刺激及び薬液注入用として、その先端を海馬覚醒波の位相観測しながら錐体細胞・尖頭樹状突起層に固定する。電気刺激はパルス幅ミリ秒、50Hz(したがってパルスインターバルは20ミリ秒)、1秒間で行う。電流刺激強度を100μAから徐々に増加させ、4本の電極で発作波が同時に観測されたときの刺激強度を「発作波誘発閾値(μA)」とする。
薬液(各種濃度のCsCl及びZD7288水溶液)を50μl/分の注入速度で50μl注入する。注入前及び注入後の発作波誘発閾値を観測し、それを平均化して比較する。生理的食塩水(0.9% NaCl)を注入したときの前後の発作波誘発閾値をコントロールとする。

0033

2)遺伝性てんかんモデル動物に対する、本発明の抗てんかん薬の慢性投与による方法
方法2)において、遺伝性てんかんモデル動物として、モンゴリアン・ジャービル(w.J.Loskota, P.Lomax, The Mongolian gerbil (Meriones Unguiculatus)as a model for the study of the epilepsies: EEG records of seizures. Electroencephal. Clin. Neurophysiol. 38, 597−604, 1975)、E1マウス(J.Suzuki, Experientia, 32, 336, 1976)、ワカヤマ・エピレプティック・ラット(Wakayama Epileptic Rat)等公知いかなるものでもよいが、モンゴリアン・ジャービル、E1マウスが好ましく、モンゴリアン・ジャービルが特に好ましい。

0034

モンゴリアン・ジャービルは遺伝的にてんかん様発作を起こすことが知られている。ケージからの移し替えなど新しい環境に遭遇したときに全身けいれん発作を起こしたり、落下させたり回転させるなどのハンドリングにより容易に発作が起こる。また、E1マウスは放り上げ等の加速度運動刺激等を繰り返すことによって、頻度が高く、症状が重い発作を起こすようになり、自発性発作も起こるようになることが知られている。

0035

方法2)において、てんかん様発作誘発刺激は、ケージ移し替え、ハンドリングによる回転、又は落下、放り上げ等の加速度運動等いかなる方法でもよく、特に落下、放り上げ等の加速度運動刺激が好ましい。

0036

方法2)の好ましい実施態様の一例を以下に示す。
9匹の雌雄の成熟した発作感受性のモンゴリアン・ジャービルを使用する。
該ジャービルに対して、本発明の抗てんかん薬の投与前にコントロールとして約5週間、週2回の割合で10回にわたって「落とし刺激」を与え、それに対する発作行動の強度を4段階の基準で評価する。その後100μMの本発明の抗てんかん薬を含む水溶液を飲料水として慢性的に投与し、投与開始3日目からコントロールと同様の刺激で10回にわたり計測して、薬物投与前・後の発作強度の変化を検討する。
ここで、「落とし刺激」とは、高さ80cmからの自由落下を意味する。また、4段階の発作行動の強度とは、強度3を全般化発作、強度2を部分発作、強度1を弱い部分発作、そして強度0を発作症状が発現しない状態とする。

0037

3)キンドリングモデル動物に対する、本発明の抗てんかん薬の慢性投与による方法
方法3)において、評価系としてキンドリングを用いる。
ゴッダードの最初の報告以来、キンドリングはてんかんの動物モデルとして確立してきた(Goddard, Nature 214, 1020−1021, 1967)。キンドリングとは、ラット、ネコヒヒ等の大脳辺縁系等に対し、何らの発作症状はともなわない、弱い強度の電気刺激を1日1回1秒間(1ミリ秒のパルス幅で50回、したがって20ミリ秒間隔;以後、この電気刺激を「1ミリ秒2相性パルス(50Hz)1秒間」刺激とする)加えることにより、次第に症状が現れ始め、刺激を繰り返すに従いその症状が全般化し、最後には全身けいれんまでに至る、という現象である。
刺激強度を変えていないにもかかわらず、発作波の出現時間は次第に延長し、発作症状は複雑化・全般化し、その後、刺激を中断してもその効果はほぼ永続的で、自発的に発作が出現したり、たとえば中断してから半年後に同じ強度で電気刺激すると最終発作が再現するということが確認されている。
上記「1ミリ秒2相性パルス(50Hz)1秒間」刺激は、一般的に用いられるキンドリング刺激であり、前述のように1日1回1秒間だけ刺激し、各1ミリ秒の正パルス及び負パルスの2相性パルスである。

0038

しかし、従来の「片側海馬キンドリング」では完成率が59%で、自発性発作も観測されないなどモデルとしての不備があった。
この方法3)では、本発明者が開発した両側海馬キンドリング(Kogure et al., Epilepsia, 41, 929−932, 2000)、又はオルターネイトサイト・キンドリング(alternate−site kindling)を使用することが好ましい。上記両側海馬キンドリングは、片側海馬キンドリングに比べ刺激回数は増加するが、すべての動物が最終の全般化発作や全身けいれんに至るという点で(完成率100%)、種々の新規抗てんかん薬のスクリーニングのための好適なモデルである。また、オルターネイトサイト・キンドリングは、左右海馬を隔日に刺激することにより各々の海馬に対する刺激回数が両側キンドリングの時の刺激回数の半分にもかかわらず、完成率100%を達成した最適なモデルである(M. Yano et al., Proceedingsof 37th Meeting of the Canadian Congress of Neurological Science. S.1, 54 2002)。

0039

方法3)の好ましい実施態様の一例を以下に示す。
10匹の成熟ウサギを用いて、両側海馬のオルターネイトサイト・キンドリングを行う。隔日に左右の海馬を「1ミリ秒2相性パルス(50Hz)1秒間」(刺激強度は発作波誘発閾値:通常6〜8V)刺激を行うと、開始後1ヶ月ほどで全身けいれん発作を起こす完成段階となる。
この発作を5回経験させた後、飲料水に各種濃度のZD7288水溶液を加えて与える。その状態で、同じ刺激強度のキンドリング刺激を加えて、誘発される発作症状を観測する。それらを完成段階で観測された全般化発作と比較し、経口的に与えられたZD7288の効果を検討する。

0040

【実施例】
以下、本発明のてんかんに対する予防または治療での有効性を参考例及び実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0041

参考例1
急性下(麻酔・人工呼吸下)においてCsCl(1mM、10mM及び100mM)を海馬内に直接注入して電気刺激によるてんかん様発作波誘発閾値検討
ウサギ左右海馬のCA1野・尖頭樹状突起層にそれぞれ2本ずつ同心円電極(外径500μm、インターメディカル社製)を刺入し、右側海馬前部の電極は薬液注入用と電気刺激・脳波記録にも用い、他は脳波記録用とした。ここで、刺激直後の脳波も記録するため、注入電極より後部1.5mmの同じ層に記録用同心円電極をおいた。
発作波を誘発させるための電気刺激は「1ミリ秒パルス(50Hz)1秒間」刺激の条件で、刺激強度を100μAから20〜30μAずつ上げていき、発作波が起きた強度を発作波誘発閾値とした。

0042

コントロールとして生理的食塩水を用いて、薬液と同様50μl/minで50μl注入した。
図1は発作波の典型例として、100mMCsCl注入前後の脳波記録である。
注入前では100μAの強度で図1Aに示したような発作波が誘発された。
CsCl注入後、図1Bに示したように100μAの強度では発作波は誘発されず、図1Cに示したように260μAの強度で注入前と同じ様な発作波が誘発された。すなわち、発作波誘発閾値が2.6倍に上昇した。

0043

次に、生理的食塩水(n=10)、1mMCsCl(n=4)、10mMCsCl(n=6)、100mM(n=7)の注入前後での発作波誘発閾値をまとめたものが図2である。図2において、白塗り棒グラフは注入前の、斜線の棒グラフは注入後の発作波誘発閾値を示す。以後、nは実験回数を示す。動物1個体で1回の実験であるから(例えば、1mMCsClの注入1回だけ)、テストに要した動物個体数でもある。ここでの発作波誘発閾値は、nでの平均値を示した。これらの結果のうち、10mM及び100mMCsCl注入後の発作波誘発閾値は、注入前の閾値や生理的食塩水注入前後の閾値と比較して約2倍に上昇させるというものであり、有意な差(p<0.01)を示した(Kitayama et al., Epilepsia, 42(s.2), 20, 2001)。ここで、p<0.01とは、危険率1%以下を示し、p<0.05は危険率5%以下を示す。どちらも、比較する両者間(例えば、薬剤注入前と後)に有意差があることを示す。以後同様とする。

0044

実施例1
急性下(麻酔・人工呼吸下)においてZD7288(10μM、100μM及び1mM)を海馬内に直接注入して電気刺激によるてんかん様発作波誘発閾値検討
オスの成熟ウサギを使用した。
参考例1と同様な方法に従い、急性下(麻酔・人工呼吸下)において、ウサギの両側海馬CA1野内に電極を刺入し、「1ミリ秒パルス(50Hz)1秒間」刺激によっててんかん様発作波を誘発させて薬物投与前の閾値を測定した。
次に10μM、100μM又は1mMのZD7288水溶液50μlを微小薬液注入装置(インターメディカル社製)を使用して注入し、参考例1と同様な方法により注入後の発作波の閾値上昇を測定した。

0045

図3に、t検定で評価した生理的食塩水(n=10)、10μMZD7288(n=3)、100μMZD7288(n=5)、1mMZD7288(n=4)の注入前後での発作波誘発閾値を示している。白塗りの棒グラフは注入前の、斜線の棒グラフは注入後の発作波誘発閾値を示す。
その結果から、濃度100μMと1mMのZD7288は、ウサギ海馬CA1領域の電気刺激で誘発されたてんかん様発作の誘発閾値を約2倍に上昇させ、発作波を抑制した(P<0.05)。また、同様の方法で行われた参考例1のCsClの結果と比較し、ZD7288では1000分の1の低濃度ながら高い発作波抑制効果が得られた。

0046

したがって、CsClと同様に、100μM及び1mMのZD7288水溶液の直接投与よって、ウサギ海馬CA1野における発作誘発閾値が有意に上昇したことから、ZD7288がてんかんに対し治療または予防の効果があることが分かった。

0047

実施例2
遺伝性てんかんモデル動物に対するZD7288の慢性投与実験
9匹の雌雄の成熟した発作感受性のモンゴリアン・ジャービルを使用した。
該ジャービルに対して、ZD7288の投与前にコントロールとして約5週間、週2回の割合で10回にわたって(詳細には32日間、2〜3日に1回の割合で)前述の「落とし刺激」を与え、それに対する発作行動の強度を前述の4段階の基準で評価した。
その後100μMのZD7288水溶液を飲料水として慢性的に投与し、投与開始3日目からコントロールと同様の刺激で10回にわたり計測して、薬物投与前・後の発作強度の変化を検討した。

0048

その結果を図4に示した。図4において、「全試行に対する発作頻度」とは、全てのジャービルに対する落下刺激の全試行のうち、強度0〜3の発作各々の起こる割合を示している。図4に示すようにスチューデント式t検定により評価したところ、ZD7288投与前では、強度0、強度1、強度2及び強度3がそれぞれ、24%、59%、7%、10%であったのに対し、投与後では、43%、57%、0%、0%となった。すなわち、ZD7288の投与によって発作強度3の全般化発作及び強度2の部分発作が有意に抑制された一方、発作が見られない強度0が投与後では上昇した(p<0.01)。
また、ZD7288投与中、モンゴリアン・ジャービルは行動異常ならびに食欲不振下痢等の副作用が観察されなかった。

0049

したがって、ZD7288は、てんかん原性を持つモデル動物に対する慢性経口投与でも発作抑制効果が得られたので、てんかんを治療または予防する効果を有することが分かった。

発明を実施するための最良の形態

0050

本発明のアミノピリミジン誘導体によるてんかんを治療または予防する効果についての機構は定かではないが、抑制性介在ニューロンによる過剰抑制が、錐体細胞・尖頭樹状突起層の長期にわたる過分極状態を招き、それにより上記IhチャネルによるIhが異常興奮や発作波となるものを本発明のアミノピリミジン誘導体がIhをブロックすることによると推定される。

図面の簡単な説明

0051

本発明のアミノピリミジン誘導体は、てんかんを治療または予防する優れた活性を有する。

図1
図1は、100mMCsCl注入前後における発作波誘発閾値変化を示す脳波記録図である。A:注入前に100μAの電気刺激をしたとき。B:注入後30分100μAの電気刺激をしたとき。C:注入後30分260μAの電気刺激をしたとき。
図2
図2は、種々の濃度のCsCl又は生理的食塩水の注入前後での発作波誘発閾値(μA)の変化を示す図である。
図3
図3は、種々の濃度のZD7288又は生理的食塩水の注入前後での発作波誘発閾値(μA)の変化を示す図である。
図4
図4は、全試行に対する発作頻度の割合と発作強度の関係を示す図である。

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