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技術 立毛布帛

出願人 日本エクスラン工業株式会社
発明者 安藝泰雄中島茂
出願日 2002年7月24日 (17年11ヶ月経過) 出願番号 2002-214692
公開日 2004年2月19日 (16年4ヶ月経過) 公開番号 2004-052186
状態 特許登録済
技術分野 繊維製品の化学的、物理的処理 繊維製品への有機化合物の付着処理 織物
主要キーワード 緩衝域 還元処理剤 高吸湿性繊維 ダブルラッセル編み機 晒し処理 金属塩処理 出発繊維 潮解性塩類
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目的

吸湿性繊維に要求される特性を維持しながら、従来の吸湿性繊維が抱える色が不安定であるという欠点を解決した繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛を提供する。

構成

20℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上、該繊維の白度がJIS−Z−8729に記載の表示方法において、L*85以上、a*±6の範囲内であり、かつJIS−L−0217−103法で洗濯処理した洗濯回後の繊維の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上である高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に有することを特徴とする立毛布帛。

効果

吸湿性を有するため、静電気の発生を抑えることができ、優れた審美性、清潔感を有する高白度の立毛布帛、さらに鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛をも提供することができる。

概要

背景

概要

吸湿性繊維に要求される特性を維持しながら、従来の吸湿性繊維が抱える色が不安定であるという欠点を解決した繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛を提供する。20℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上、該繊維の白度がJIS−Z−8729に記載の表示方法において、L*85以上、a*±6の範囲内であり、かつJIS−L−0217−103法で洗濯処理した洗濯回後の繊維の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上である高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に有することを特徴とする立毛布帛。吸湿性を有するため、静電気の発生を抑えることができ、優れた審美性、清潔感を有する高白度の立毛布帛、さらに鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛をも提供することができる。 なし

目的

本発明は、吸湿性繊維に要求される特性を維持しながら、かかる従来の吸湿性繊維が抱える色が不安定であるという欠点を解決した繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

20℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上、該繊維の白度がJIS−Z−8729に記載の表示方法において、L*85以上、a*±6の範囲内であり、かつJIS−L−0217−103法で洗濯処理した洗濯回後の繊維の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上である高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に有することを特徴とする立毛布帛

請求項2

高白度吸湿性合成繊維の飽和吸水率が300重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の立毛布帛。

請求項3

高白度吸湿性合成繊維が、共重合成分として(メタアクリル酸エステル化合物が5重量%未満であるアクリロニトリル系重合体からなるアクリル系繊維に、ヒドラジン系化合物による架橋導入処理加水分解還元処理を施したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の立毛布帛。

請求項4

高白度吸湿性合成繊維の洗濯5回後の白度がJIS−Z−8729に記載の方法において、L*85以上、a*±6の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の立毛布帛。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛であって、JIS−L0217−103法で洗濯処理した洗濯5回後の立毛布帛の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上であることを特徴とする立毛布帛。

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0001

本発明は、立毛布帛に関する。さらに詳しくは、難燃性抗菌性を有しながら、加工性も優れ、かつ従来品よりさらに白度が向上し染色工程での晒し処理及び洗濯を繰り返しても色がほとんど変化しない色安定性に優れる高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛に関する。

0002

【従来技術】

0003

立毛布帛は、静電気が発生しやすく、立毛布帛の製造及び立毛布帛製品を使用する際、立毛部が集束したり、埃を吸着したりするため清潔感が損なわれる問題があった。そのため、静電気を防ぎ、又使用時のムレ感を防ぐために、立毛布帛の一部に吸湿性繊維を用いることも行われている。

0004

かかる吸湿性繊維を得る手段として、潮解性塩類高吸水性繊維含浸させた特開平1−299624号公報の手段が提案されている。この手段により得られた繊維は、編物織物・不織布等への加工が容易で吸放湿速度が速く、さらに吸湿剤脱落もない実用性能を備えたものではあるが、繊維表面がヒドロゲルであるため、吸湿すると粘着性を帯び、立毛布帛への適用が困難であること、及び最近社会的ニーズとして高まりつつある難燃性や抗菌性を満たすものではなかった。

0005

これらの問題点を解決する方法として、特開平5−132858号公報の手段も提案されている。しかしながら、この方法では塩型カルボキシル基の量が4.5meq/gを超えてしまうと引張強度が0.9cN/dtex以下となり、種々の加工に耐え得るには不十分な繊維物性となってしまい、さらに吸湿率を高める為の障壁となっていた。また、繊維強度0.9cN/dtex以上の高吸湿性繊維を得る為にヒドラジン系化合物による処理によって導入される窒素含有量の増加を8.0重量%をこえたものにした場合、加水分解後の塩型カルボキシル基の導入量が少なくなり、吸湿性が低くなってしまうという問題があった。

技術分野

0006

さらに、特開平5−132858号公報による方法で得られる繊維は、濃いピンク色から濃い色を呈する為、静電気による清潔感の低下はある程度防げるものの、利用分野が限定されてしまうという欠点があった。この欠点を克服する手段として提案されている特開平9−158040号公報の発明は、ヒドラジン系化合物による架橋処理の後に酸処理Aを行うこと、アルカリによる加水分解処理の後に酸処理Bを行うこと、を開示し相当に白度の改善を為し得ている。それでもなお、淡色〜淡褐色に着色しており、かかる吸湿性繊維を用いた立毛布帛は、該繊維の色相をそのまま保持するため、白色の立毛布帛には不向きであり、また、色物であっても、該繊維の色相のため、くすんだ色となってしまい、鮮明な色が得られず、特に淡色の立毛布帛には不向きであった。特開2000−303353号公報では白度を改善する方法として加水分解処理を無酸素雰囲気下で行うことを開示している。しかしながら、該方法で得られる繊維は染色工程での酸化晒し処理や洗濯を繰り返すことにより着色し、色安定性に乏しいという欠点を有するため、審美性や清潔感を要求される立毛布帛分野に対しては、十分満足を与えるものではないのが現状である。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、吸湿性繊維に要求される特性を維持しながら、かかる従来の吸湿性繊維が抱える色が不安定であるという欠点を解決した繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛を提供することを目的とする。

0008

上述した本発明の目的は、20℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上である吸湿性合成繊維であって、該繊維の白度がJIS−Z−8729に記載の表示方法において、L*85以上、a*±6(以下、L*及びa*は、JIS−Z−8729に記載の表示方法に従ったものである)の範囲内であり、かつJIS−L0217−103法(洗剤は花王株式会社製アタック使用)で洗濯処理した洗濯5回後の繊維の変色がJIS−L0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上である高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛によって達成することができる。

0009

さらに本発明の目的は、立毛布帛に用いる高白度吸湿性合成繊維の飽和吸水率が300重量%未満、好ましくは200重量%以下、より好ましくは150重量%以下であること、高白度吸湿性合成繊維が共重合成分として(メタアクリル酸エステル化合物が5重量%未満であるアクリロニトリル系重合体からなるアクリル系繊維に、ヒドラジン系化合物による架橋導入処理、加水分解、還元処理を施したものであること、洗濯5回後の該繊維の白度が、L*85以上、a*±6の範囲内であることにより、好適に達成することができる。

課題を解決するための手段

0010

また、かかる高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に用いた立毛布帛の、JIS−L−0217−103法で洗濯処理した洗濯5回後の立毛布帛の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上であることにより達成される。

0011

以下本発明を詳述する。本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維は、20℃65%RHにおける飽和吸湿率が10重量%以上の吸湿性合成繊維であることが必要である。さらに好ましくは15重量%以上であり、吸湿状態でべたつき感が無い限り上限を限定する必要はないが、実質的には爽やか感を維持したまま100重量%を超えるのは至難である。なお、10重量%未満の場合には、制電性能が低下する。さらに、本発明の高白度吸湿性合成繊維の白度は、JIS−Z−8729に記載の表示方法において、L*85以上a*±6の範囲内であることが必要である。好ましくは、L*86以上a*±4の範囲内である。L*85未満、a*±6の範囲外である場合には、もはや白度に優れているとはいえない。

0012

また、本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維は、洗濯処理においても、その白度の変化が極めて少ない点、すなわち洗濯耐久性に優れている点に特徴があり、具体的には、JIS−L−0217−103法(洗剤は花王株式会社製アタック使用)で洗濯処理した洗濯5回後の繊維の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上のものである。なお、洗濯処理後であっても、繊維の白度がL*85以上、a*±6の範囲内、好ましくはL*が86以上、a*が±5の範囲内であることが望ましい。また、衣料や清潔感が好まれる用途では、赤味が最も疎まれることから、赤味を表すパラメーターであるa*の値が洗濯前後における差(Δa*)が0.7以下、好ましくは、0.6以下であることが好ましい。

0013

また、本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維の飽和吸水率は、300重量%未満であることが好ましい。飽和吸水率が、300重量%以上の場合には、吸水した際繊維表面がべとつくため衣料品寝装品等肌に触れる用途では好ましくない。

0014

なお、立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維としては、染色工程の酸化晒し等の処理においても、その白度が低下しないことが望ましく、具体的には、過酸化水素濃度0.5重量%、NaOHによるpH10浴比1/50、80℃、60分の条件で晒し処理した過酸化水素晒し後の繊維の変色(晒し耐久性)がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3級以上、繊維を飽和吸水量を超える水の共存下80℃16時間放置した後の変色(放置安定性)がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上であることが好ましい。

0015

ここで、晒し耐久性の値(級)は、NaOHによりpH10に調整した過酸化水素0.5重量%の水溶液中に、繊維試料と水溶液の浴比が1/50となるよう繊維試料を投入し、80℃で60分間晒し処理した繊維の、晒し処理前の繊維試料の色からの変色の程度をJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価することによって得られたものである。

0016

また、放置安定性の値(級)は、試料繊維を純水に浸漬し、十分含水させた後取出し、80℃においても飽和吸水量を超える水が維持できるように十分な量の水を保持させたまま、容器の半分以上が空間となるよう容器に密閉して、80℃に調整した恒温機に入れ、16時間後取出し、脱水、乾燥した繊維の、処理前の繊維試料からの変色の程度をJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価することによって得られたものである。
なお、飽和吸水量とは、十分含水した繊維の遠心脱水後(160G、5分間)の重量から、同じ試料繊維の乾燥(105℃、16時間)後の重量を引いた量である。また、飽和吸水率は、飽和吸水量を試料繊維の乾燥(105℃×16時間)後の重量で除した値を%で表したものである。

0017

本発明の立毛布帛は、かかる高白度吸湿性合成繊維を少なくともその一部に用いた立毛布帛であり、該高白度吸湿性合成繊維のみからなるものであっても、木綿羊毛ポリエステル繊維アクリル繊維ナイロン繊維等の他の繊維と混用したものであっても構わない。また、他の繊維と混用する場合において、他の繊維の種類や混合割合は、特に限定されるものではなく、各立毛布帛製品に必要とされる特性に応じて適宜選択すればよい。なお、高白度吸湿性合成繊維の混用形態としては紡績における混綿及び精紡撚糸工程での交撚等が例示されるが、これらに限定されるものではない。

0018

本発明の立毛布帛の製造方法としては、上記高白度吸湿性合成繊維を少なくともその一部に用いる限り特に限定されるものではなく、通常の方法が採用できる。例えば、ダブルラッセル編み機を用い、立毛布帛の原反を編み、次いでセンターカットを行った後、毛割りポリッシングシャーリングを行う製造方法が挙げられる。

0019

本発明の立毛布帛は、上記高白度吸湿性合成繊維を少なくともその一部に用いているため、優れた審美性を有する高白度の立毛布帛を得ることができ、さらに鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛をも得ることができる。例えば、高白度の立毛布帛であれば、白度の優れた繊維と混用することにより、あるいはその他の繊維と混紡紡績糸、立毛布帛原反とした後、晒し、漂白等の処理により白度を向上させることによって、上記高白度吸湿性合成繊維以上の白度を有する高白度の立毛布帛とすることができる。
また、鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛であれば、上記高白度吸湿性合成繊維以外の繊維を通常の方法により染色することによって得ることができる。

0020

かかる立毛布帛は、従来の淡桃色〜淡褐色に着色した吸湿性合成繊維の色相の影響を受けることなく、審美性、清潔感に優れたものである。なお、本発明の立毛布帛においては、JIS−L−0217−103法で洗濯処理した洗濯5回後の立毛布帛の変色がJIS−L−0805汚染用グレースケールで評価して3−4級以上であることが好ましい。従って、混用される上記高吸湿性合成繊維以外の繊維もかかる洗濯耐久性を有することが望ましい。

0021

なお、本発明の立毛布帛としては、人造毛皮フリース等の衣料品、毛布パッドシーツ等の寝具類タオルマット化粧パフ等の生活雑貨やぬいぐるみなどが挙げられる。

0022

なお、上述したように、本発明の立毛布帛において、高白度吸湿性合成繊維の量に限定はないが、立毛布帛として該繊維の特徴が明確に発現するという意味で、5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上含有されるのがよい。一方高白度吸湿性合成繊維以外の繊維素材残余を占めることは言うまでもないが、必ずしも1種の素材である必要はなく、2種以上の素材を混用することも当然行ない得る。

0023

かかる、本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維の製造方法としては、共重合成分として(メタ)アクリル酸エステル化合物が5重量%未満であるアクリロニトリル系重合体からなるアクリル系繊維に、ヒドラジン系化合物による架橋導入処理、加水分解、還元処理を施すことを特徴とする高白度吸湿性合成繊維の製造方法が推奨される。以下該方法について詳述する。

0024

出発アクリル系繊維(以下、アクリロニトリル系繊維と呼ぶこともある)としてはアクリロニトリル(以下、ANという)を40重量%以上、好ましくは50重量%以上含有するAN系重合体により形成された繊維であり、短繊維トウ、糸、編織物、不織布等いずれの形態のものでも良く、また、製造工程中途品、廃繊維などでも構わない。AN系重合体は、AN単独重合体、ANと他の単量体との共重合体のいずれでも良いが、ANと共重合する単量体として(メタ)アクリル酸エステル化合物は最も好ましくは使用を避けたいが、やむを得ず用いる場合は、5重量%未満さらに好ましくは4.0重量%以下である必要がある。尚、(メタ)を付した表記は、アクリル酸エステルメタアクリル酸エステルの双方を表わしている。また、5重量%未満であれば共重合成分としてもかまわない該エステル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。それ以外の共重合成分としてはメタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体及びその塩;スチレン酢酸ビニル等の単量体等、ANと共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系化合物を5〜20重量%共重合させることが望ましい。かかるビニルエステルとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル酪酸ビニル等が挙げられる。

0025

該アクリル系繊維は、ヒドラジン系化合物により架橋導入処理を施され、アクリル系繊維の溶剤では最早溶解されないものとなるという意味で架橋が形成され、同時に結果として窒素含有量の増加が起きるが、その手段は特に限定されるものではない。この処理による窒素含有量の増加が1.0〜10重量%に調整し得る手段が好ましいが、窒素含有量の増加が0.1〜1.0重量%であっても、本発明で採用しうる高白度吸湿性合成繊維が得られる手段である限り採用し得る。なお、窒素含有量の増加を1.0〜10重量%に調整し得る手段としては、ヒドラジン系化合物の濃度5〜60重量%の水溶液中、温度50〜120℃で5時間以内で処理する手段が工業的に好ましい。尚、窒素含有量の増加を低率に抑えるには、反応工学の教える処に従い、これらの条件をよりマイルドな方向にすればよい。ここで、窒素含有量の増加とは原料アクリル系繊維の窒素含有量とヒドラジン系化合物による架橋が導入されたアクリル系繊維の窒素含有量との差をいう。

0026

ここに使用するヒドラジン系化合物としては、特に限定されるものでなく、水加ヒドラジン硫酸ヒドラジン塩酸ヒドラジン臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネート等、この他エチレンジアミン硫酸グアニジン塩酸グアニジンリン酸グアニジンメラミン等のアミノ基を複数含有する化合物が例示される。

0027

かかるヒドラジン系化合物による架橋導入処理工程を経た繊維は、酸処理を施しても良い。この処理は、繊維の色安定性の向上に寄与がある。
ここに使用する酸としては、硝酸硫酸塩酸等の鉱酸の水溶液、有機酸等が挙げられるが特に限定されない。この処理の前に架橋導入処理で残留したヒドラジン系化合物は、十分に除去しておく。該酸処理の条件としては、特に限定されないが、大概酸濃度5〜20重量%、好ましくは7〜15重量%の水溶液に、温度50〜120℃で0.5〜10時間被処理繊維を浸漬するといった例が挙げられる。

0028

ヒドラジン系化合物による架橋導入処理工程を経た繊維、或いはさらに酸処理を経た繊維は、続いてアルカリ性金属塩水溶液により加水分解される。この処理により、アクリル系繊維のヒドラジン系化合物処理による架橋導入処理に関与せずに残留しているCN基、及び架橋処理工程後酸処理を施した場合には残留しているCN基と一部酸処理で加水分解されたCONH2基の加水分解が進められる。これらの基は加水分解によりカルボキシル基を形成するが、使用している薬剤がアルカリ性金属塩であるので、結局金属塩型カルボキシル基を生成している。ここで使用するアルカリ性金属塩としては、アルカリ金属水酸化物アルカリ土類金属水酸化物アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。使用するアルカリ性金属塩の濃度は特に限定されないが、1〜10重量%さらに好ましくは1〜5重量%の水溶液中、温度50〜120℃で1〜10時間以内で処理する手段が工業的、繊維物性的にも好ましい。

0029

ここで金属塩の種類即ちカルボキシル基の塩型としては、Li,Na,K等のアルカリ金属、Mg,Ca,Ba等のアルカリ土類金属を挙げることが出来る。加水分解を進める程度即ち金属塩型カルボキシル基の生成量は4〜10meq/gに制御すべきであり、これは上述した処理の際の薬剤の濃度や温度,処理時間の組合せで容易に行うことができる。尚、かかる加水分解工程を経た繊維は、CN基が残留していてもいなくてもよい。CN基が残留していれば、その反応性を利用して、さらなる機能を付与する可能性がある。

0030

次いで行なわれる還元処理において使用する還元処理剤としてはハイドロサルファイト塩、チオ硫酸塩亜硫酸塩亜硝酸塩二酸化チオ尿素アスコルビン酸塩、ヒドラジン系化合物からなる群より選ばれた1種類または2種類以上を組み合わせた薬剤が好適に使用できる。該還元処理の条件としては、特に限定されないが、概ね薬剤濃度0.5〜5重量%の水溶液に、温度50℃〜120℃で30分間〜5時間被処理繊維を浸漬するといった例が挙げられる。なお、該還元処理は前述の加水分解時に同時に行ってもよいし、加水分解後に行なってもよい。

0031

かくして、本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いられる高白度吸湿性合成繊維が得られるが、より色を安定化させるため、前述の還元処理工程を経た繊維に、酸処理を施し、該金属塩型カルボキシル基をH型化し、Li、Na、K、Ca、Mg、Ba、Alから選ばれる金属塩処理により、該H型カルボキシル基の一部を金属塩型化(塩型調整処理)してH型/金属塩型のモル比を90/10〜0/100に調整することが好ましい。

0032

ここに酸処理に使用する酸としては、硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸の水溶液、有機酸等が挙げられるが特に限定されない。該酸処理の条件としては、特に限定されないが、大概酸濃度1〜10重量%、好ましくは2〜10重量%の水溶液に、温度50〜120℃で2〜10時間被処理繊維を浸漬するといった例が挙げられる。

0033

また塩型調整処理に採用される金属塩の金属種類としては、Li、Na、K、Ca、Mg、Ba、Alから選ばれるが、Na、K、Ca、Mg等が特に推奨される。又塩の種類としては、これらの金属の水溶性塩であれば良く、例えば水酸化物ハロゲン化物硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩等が挙げられる。具体的には、夫々の金属で代表的なものとして、Na塩としてはNaOH、Na2CO3、K塩としてはKOH、Ca塩としてはCa(OH)2、Ca(NO3)2、CaCl2が好適である。

0034

カルボキシル基のH型/金属塩型モル比は上述した範囲内であるが、繊維に与えようとする機能により、金属の種類と共に適宜設定する。塩型調整処理の具体的な実施にあたっては、処理槽に金属塩の0.2〜30重量%の水溶液を準備し、20℃〜80℃において0.25〜5Hr程度被処理繊維を浸漬する、あるいは該水溶液を噴霧する等の方法がある。上述の比率に制御するには、緩衝剤共存下での塩型調整処理が好ましい。緩衝剤としてはpH緩衝域が5.0〜9.2のものが好適である。また、金属塩型カルボキシル基の金属塩の種類は1種類に限定されるわけではなく、2種類以上が混在してもかまわない。

0035

又、塩型調整処理をCa,Mg,Ba等の金属塩化合物の如き水溶解度が低い物質で行う場合には、該工程においてH型カルボキシル基からH型/金属塩型のモル比を、金属塩型を高める方向にするのに幾分難がある。かかる場合には、酸処理の後で塩型調整処理の前処理として、酸処理工程においてH型化されているカルボキシル基を、苛性ソーダあるいは苛性カリ等の水溶液で該カルボキシル基の示すpHを調整即ち中和処理(pH=5〜11位)しておくことが推奨される。かかる処方により、中和処理後のカルボキシル基はH型とNa又はK型が共存する状態になっているので、次の塩型調整処理はCa等とNa又はKとの交換となって容易に進行するので、提起した難点が解消する。

0036

なお、出発原料であるアクリル系繊維の製造手段は特に限定されるものではなく、通常の衣料用繊維の製造に採用される手段を用いることができる。
また、このような繊維を出発繊維として用いる事が好ましいが、必ずしも最終工程まで済んでいる必要はなく、アクリル系繊維製造工程途中のものであっても、あるいは最終繊維に紡績加工等を施した後のものでも良い。中でも出発アクリル系繊維として、アクリル系繊維の製造工程途中である延伸後熱処理前の繊維(AN系重合体の紡糸原液を常法に従って紡糸し、延伸配向されてはいるが、乾燥緻密化、湿熱緩和処理等の熱処理の施されてない繊維、中でも湿式又は乾/湿式紡糸、延伸後の水膨潤ゲル状繊維:水膨潤度 30〜150%)を使用すると、処理液中への繊維の分散性、繊維中への処理液の浸透性などが改善され、以て架橋結合の導入や加水分解反応が均一かつ速やかに行われるので望ましい。

0037

なお、これらの出発アクリル系繊維を、攪拌機能温度制御機能を備えた容器内に充填し、前述の工程を順次実施する、あるいは複数の容器を並べて連続的に実施する等の手段をとることが、装置上、安全性、均一処理性等の諸点から望ましい。かかる装置としては染色機が例示される。

0038

本発明の立毛布帛の少なくとも一部に用いる高白度吸湿性合成繊維を製造する他の方法としては、アクリル系繊維に、上述してきたヒドラジン系化合物による架橋導入処理、加水分解、還元処理、酸処理を施し、更に還元処理、酸処理を繰り返す方法が挙げられる。還元処理、酸処理を繰り返すことにより、白度及び色安定性が向上し、L*85以上、a*±6の範囲内であり、且つ洗濯耐久性が3−4級以上という高白度吸湿性合成繊維が得られる。本方法によると、アクリル系繊維を形成するアクリロニトリル系重合体の共重合成分として、(メタ)アクリル酸エステル化合物が5重量%以上であっても、本発明に採用しうる高白度吸湿性合成繊維を得ることが出来るが、還元処理、酸処理を繰り返すことが必要であることから、繊維物性が低下したり、生産コストが高くなったりするため、上述した本発明が推奨する製造方法を採用する方が有利である。

0039

本発明の立毛布帛は上述した高白度吸湿性合成繊維を少なくともその一部に採用したものであり、吸湿性を有するため、静電気の発生を抑えることができ、さらに優れた審美性、清潔感を有する高白度の立毛布帛、さらに鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛をも提供することができる。

0040

【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中の部及び百分率は、断りの無い限り重量基準で示す。なお、金属塩型カルボキシル基量、白度及び飽和吸湿率等は、以下の方法により求めた。また、実施例中の洗濯は、JIS−L0217−103法(洗剤は花王株式会社製アタック使用)に従って行い、これを5回繰り返した。

0041

(1)金属塩型カルボキシル基量(meq/g)
十分乾燥した試料繊維約1gを精し(Xg)、これに200mlの水を加えた後、50℃に加温しながら1mol/l塩酸水溶液を添加してpH2にし、次いで、0.1mol/lNaOH水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からカルボキシル基に消費されたNaOH水溶液消費量(Yml)を求め、次式によってカルボキシル基量(meq/g)を算出した。
(カルボキシル基量)=0.1Y/X
別途、上述のカルボキシル基量測定操作中の1mol/l塩酸水溶液の添加によるpH2への調整をすることなく同様に滴定曲線を求めH型カルボキシル基量(meq/g)を求めた。これらの結果から次式により金属塩型カルボキシル基量を算出した。
(金属塩型カルボキシル基量)=(カルボキシル基量)−(H型カルボキシル基量)

0042

(2)繊維の白度
カード機にて開繊した試料繊維4.0gを回転式色セル(35mlの透明円筒セル)に充填し、東京電色社製色差計TC−1500MC−88型(D65光源)にて、60回/分の割合で回転させながら測色した。この測定を3回繰り返し、L*、a*の値(平均値)を求めた。
(3)飽和吸湿率(%)
試料繊維約5.0gを熱風乾燥機で105℃、16時間乾燥して重量を測定する(W1g)。次に試料を温度20℃で65%RHの恒温槽に24時間入れておく。このようにして吸湿した試料の重量を測定する(W2g)。以上の測定結果から、次式によって算出した。
(吸湿率 %)={(W2−W1)/W1}×100
(4)飽和吸水率(%)
試料繊維を純水に十分浸漬し、含水させた後取り出し遠心脱水後(160G×5分間)の重量から同じ試料繊維の乾燥(105℃×16時間)後の重量を差し引いて得られる吸水量を、左記乾燥後重量で除した値を%で表したものである。
(5)立毛布帛の白度
立毛布帛の立毛面を測色面として円筒セルに貼り付け、マクベス社製色差計(M2020PL型)で測定した。この測定を3回繰り返し、L*、a*の値(平均値)を求めた。
(6)審美性
5名のパネラーで、立毛布帛試料の審美性を目視により評価した。優れているを1点、劣っているを0点として、以下の基準で判定した。
○:優れている(4点以上)
△:どちらともいえない(3点又は2点)
×:劣っている(1点以下)

0043

実施例1
AN96重量%、アクリル酸メチル(以下、MAという)4重量%からなるAN系重合体(30℃ジメチルホルムアミド中での極限粘度[η]:1.2)10部を48%のロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、常法に従って紡糸、延伸した後乾球湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥、湿熱処理して単繊維繊度1.7dtexの原料繊維を得た。

0044

該原料繊維に、水加ヒドラジンの20重量%水溶液中で、98℃×5時間架橋導入処理を行った。本処理により、架橋が導入され、窒素含有量が増加する。なお窒素増加量は、原料繊維と架橋導入処理後の繊維を元素分析にて窒素含有量を求め、その差から算出した。
次に、苛性ソーダの3重量%水溶液中で、90℃×2時間加水分解処理を行い、純水で洗浄した。この処理により、繊維にNa型カルボキシル基が5.5meq/g生成していた。

0045

該加水分解後の繊維を、ハイドロサルファイトナトリウム塩(以下SHSという)の1重量%水溶液中で、90℃×2時間還元処理を行い、純水で洗浄した。続いて、硝酸の3重量%水溶液中、90℃×2時間酸処理を行った。これにより5.5meq/g生成していたNa型カルボキシル基は全量がH型カルボキシル基になっていた。該酸処理後の繊維を純水中に投入し、濃度48%の苛性ソーダ水溶液をH型カルボキシル基に対し、Na中和度70モル%になるように添加し、60℃×3時間塩型調整処理を行った。以上の工程を経た繊維を水洗油剤付与、脱水、乾燥し、2dtex×47mmの高白度吸湿性合成繊維(吸湿性繊維A)を得た。得られた繊維の飽和吸湿率、白度(原綿及び洗濯5回後)、色安定性(各種の条件下における変色のし難さ)を調べ、塩型カルボキシル基量、窒素増加量とともに表1に示した。

0046

【表1】

0047

得られた高白度吸湿性合成繊維(吸湿性繊維A)を33重量%、非収縮アクリルステープル東洋紡績(株)製タイプK815−0.9dtex×51mm)33重量%、98℃熱湯での収縮率が20%のアクリルステープル(東洋紡績(株)製タイプK80−1.5dtex×51mm)を34重量%の割合で混紡し、合繊紡績の常法に従い紡績を行い2/36番手の紡績糸を得た。
該紡績糸を98℃の熱水で収縮を発現させた後、収縮を発現させた紡績糸をパイル糸に用い、ボア編み機パイル布帛原反を編成し、パッキングを施した後、毛割、ポリッシング、シャーリングを行い立毛布帛を作成した。得られた立毛布帛の白度、洗濯耐久性、審美性を測定し、結果を表2に示した。

0048

比較例1
AN94重量%、MA6重量%からなるAN系重合体を用いた以外は実施例1と同様にして2dtex×47mmの吸湿性合成繊維(吸湿性繊維B)を得た。得られた繊維の吸湿率、白度、色安定性を調べ、塩型カルボキシル基量、窒素増加量とともに表1に示した。得られた吸湿性合成繊維(吸湿性繊維B)を用いる以外は実施例1と同様にして、比較例1の立毛布帛を得た。評価結果は表2に併記した。

0049

実施例2、比較例2
実施例1に記載の2/32番手の紡績糸を用い、ダブルラッセル編み機で立毛布帛(マイヤー毛布)原反を作成し、スクリーン捺染機でサックス色の印捺を施し、スチーミング、脱洗浄及び乾燥等を行い、毛割、ポリッシング、シャーリングを行い立毛布帛(マイヤー毛布)を作成した。得られた立毛布帛(マイヤー毛布)の洗濯耐久性、審美性を評価し、結果を表2に併記した。比較例2は、吸湿性繊維Bを使用した以外は実施例2と同様にて得られた、立毛布帛(マイヤー毛布)であり、評価結果は表2に併記した。

0050

実施例3
水加ヒドラジンによる架橋導入処理工程を経た繊維を、加水分解する前に10重量%の硝酸水溶液中、90℃で2時間酸処理した以外は実施例1と同様の方法で、2dtex×37mmの高白度吸湿性合成繊維(吸湿性繊維C)を得た。この繊維の特性も表1に示した。

0051

該高白度吸湿性合成繊維(吸湿性繊維C)を30重量%、木綿70重量%で混紡し、常法の綿紡績で紡出し、綿番手20/1の紡績糸を得た。該混紡糸チーズ状で晒し処理を行った後、タオル織機を用い立毛布帛である実施例3のタオルを作成した。

0052

比較例3
還元処理、酸処理及び塩型調整処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で、2dtex×37mmの吸湿性合成繊維(吸湿性繊維D)を得た。得られた吸湿性合成繊維(吸湿性繊維D)を用いる以外実施例3と同様にして、比較例3のタオルを作成した。この試料の特性も表2に併記した。

0053

【表2】

発明を実施するための最良の形態

0054

高白度吸湿性合成繊維である吸湿性繊維Aを用いた実施例1の立毛布帛は優れた白度を有し、洗濯耐久性も優れたものであり、洗濯前後の審美性も優れていた。これに対し、白度及び白度の安定性に劣る吸湿性繊維Bを用いた比較例2の立毛布帛は、白度はそこそこであるものの、審美性に劣り、洗濯により吸湿性繊維が着色するため、洗濯耐久性も悪く、洗濯後の審美性はさらに悪化した。また、実施例2はアクリル繊維に印捺を施したものであるが、高白度吸湿性合成繊維である吸湿性繊維Aを用いることで鮮明なサックス色の色相の立毛布帛が得られ、審美性に優れたものであった。また、吸湿性繊維Bを用いた比較例2の立毛布帛は、該繊維自体の持つベージュ色の色相のため、実施例2と同様の処方で印捺したにもかかわらず、赤味のあるくすんだサックス色で鮮明といえるものではなく、審美性に劣るものであった。実施例3のタオルは、白度に優れ、洗濯後もほとんど変色せず清潔感のある白度を維持しており、審美性に優れたものであった。最も白度に劣る吸湿性繊維Dを用いた比較例3のタオルは、本発明の立毛布帛に比べ白度に劣り、吸湿性繊維Dの色相のため審美性にも劣るものであった。

発明の効果

0055

本発明の立毛布帛は、高白度吸湿性合成繊維を少なくとも一部に用いたことで、立毛布帛に要求される基本物性並びに吸湿特性を維持しながら、従来の吸湿性繊維の色が不安定であるという欠点の改良を可能としたものであり、優れた審美性、清潔感を有する高白度の立毛布帛、さらに鮮明な色、特に鮮明な淡色の立毛布帛をも提供することができる。

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