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技術 光学多層膜及び光学素子

出願人 キヤノン株式会社
発明者 沢村光治
出願日 2002年7月8日 (17年8ヶ月経過) 出願番号 2002-199017
公開日 2004年2月12日 (16年1ヶ月経過) 公開番号 2004-045452
状態 特許登録済
技術分野 光学フィルタ 液晶4(光学部材との組合せ) 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード 薄膜群 基本膜 反射帯 透過帯 所望特性 幾何学的膜厚 各波長帯 膜厚調整
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図面 (12)

課題

特定波長域透過率が低くなる光学多層膜及び光学素子を提供する。特には、緑波長帯域の光を反射し、青、赤波長帯域の光を透過する光学多層膜を比較的少ない層数で実現する光学多層膜及び光学素子を提供する。

解決手段

各層の基本膜厚及び層構成を定めた基本構成に基づき実際の膜厚を定める光学多層膜。基本構成は、設計波長をλ0として、光学的膜厚7λ0/32の単層又は交互層からなる第1薄膜群と、7λ0/16の単層又は7λ0/32と7λ0/16との交互層からなる第2薄膜群と、7λ0/8の単層又は7λ0/32と7λ0/8との交互層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群のうち、2種類の薄膜群を5群以上備え、かつ、単層からなる薄膜群同士が隣接しない。但し、前記基本構成の区切りは第3、第2、第1薄膜群の優先順位で決定される。

概要

背景

液晶プロジェクター等の色分解(合成)光学系を、偏光ビームスプリッタ特定波長域偏光方向を変換させる光学素子色選択性位相差板)とを組み合わせて形成する点が特開2001−154152号公報において知られている。

概要

特定波長域で透過率が低くなる光学多層膜及び光学素子を提供する。特には、緑波長帯域の光を反射し、青、赤波長帯域の光を透過する光学多層膜を比較的少ない層数で実現する光学多層膜及び光学素子を提供する。各層の基本膜厚及び層構成を定めた基本構成に基づき実際の膜厚を定める光学多層膜。基本構成は、設計波長をλ0として、光学的膜厚7λ0/32の単層又は交互層からなる第1薄膜群と、7λ0/16の単層又は7λ0/32と7λ0/16との交互層からなる第2薄膜群と、7λ0/8の単層又は7λ0/32と7λ0/8との交互層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群のうち、2種類の薄膜群を5群以上備え、かつ、単層からなる薄膜群同士が隣接しない。但し、前記基本構成の区切りは第3、第2、第1薄膜群の優先順位で決定される。    

目的

本発明は、上記従来例を鑑み、緑波長帯域等の特定波長域で透過率が低くなる新規な光学多層膜を提供する

効果

実績

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請求項1

各層の基本膜厚及び層構成を定めた基本構成に基づき実際の膜厚を定めた光学多層膜であって、前記基本構成は設計波長をλ0とした時、光学的膜厚7λ0/32の単層もしくは交互層からなる第1薄膜群と、7λ0/16の単層もしくは7λ0/32と7λ0/16との交互層からなる第2薄膜群と、7λ0/8の単層もしくは7λ0/32と7λ0/8との交互層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群のうち、少なくとも2種類の薄膜群を5群以上備え、かつ、単層からなる薄膜群同士が隣接しないことを特徴とする光学多層膜。但し、前記基本構成において、第3薄膜群、第2薄膜群、第1薄膜群の優先順位で各薄膜群の区切りは決定される。

請求項2

全薄膜群の実際の総光学膜厚が前記基本膜厚の総光学膜厚の0.9〜1.05倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載の光学多層膜。

請求項3

前記第1薄膜群の実際の総光学膜厚が、前記基本構成の第1薄膜群の総光学膜厚の0.7〜1.8倍の範囲であることを特徴とする請求項2記載の光学多層膜。

請求項4

前記第2薄膜群と前記第3薄膜群との実際の総光学膜厚の和が、前記基本膜厚の第2薄膜群と第3薄膜群との総光学膜厚の和の0.9〜1.05倍の範囲であることを特徴とする請求項2記載の光学多層膜。

請求項5

前記基本構成が、2つの7λ0/32層と1つの7λ0/16層との3層からなる第2薄膜群を有することを特徴とする請求項1記載の光学多層膜。

請求項6

前記7λ0/16層が屈折率2.0以上の高屈折率膜であることを特徴とする請求項5記載の光学多層膜。

請求項7

前記基本構成が、2つの7λ0/32層と1つの7λ0/8層との3層からなる第3薄膜群を有することを特徴とする請求項1記載の光学多層膜。

請求項8

前記7λ0/8層が屈折率2.0以上の高屈折率膜であることを特徴とする請求項7記載の光学多層膜。

請求項9

前記3層からなる第3薄膜群の3層の実際の光学膜厚の和が、4λ0/4〜6.5λ0/4の範囲であることを特徴とする請求項7記載の光学多層膜。

請求項10

前記基本構成が7λ0/32の単層からなる第1薄膜群と前記3層からなる第3薄膜群を有し、前記3層からなる第3薄膜群とそれに隣接する2つの前記単層からなる第1薄膜群との3つの薄膜群の実際の光学膜厚の和が6.0λ0/4〜8.0λ0/4の範囲であることを特徴とする請求項9記載の光学多層膜。

請求項11

前記基本構成が7λ0/32の単層からなる第1薄膜群と前記3層からなる第3薄膜群を有し、前記単層からなる第1薄膜群とそれに隣接する2つの前記3層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群の実際の光学膜厚の和が11.0λ0/4〜13.0λ0/4の範囲であることを特徴とする請求項9記載の光学多層膜。

請求項12

基板上に請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学多層膜を成膜することを特徴とする光学素子

請求項13

光学多層膜の設計方法において、各層の基本膜厚及び層構成を定めた基本構成を設定する工程と、前記基本構成を元に実際の膜厚を定める工程とを有し、前記基本構成は設計波長をλ0とした時、光学的膜厚7λ0/32の単層もしくは交互層からなる第1薄膜群と、7λ0/16の単層もしくは7λ0/32と7λ0/16との交互層からなる第2薄膜群と、7λ0/8の単層もしくは7λ0/32と7λ0/8との交互層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群のうち、少なくとも2種類の薄膜群を5群以上備え、かつ、単層からなる薄膜群同士が隣接しないことを特徴とする光学多層膜の設計方法。但し、前記基本構成において、第3薄膜群、第2薄膜群、第1薄膜群の優先順位で各薄膜群の区切りは決定される。

技術分野

0001

本発明は、光学多層膜及び光学素子に関するものである。特には、液晶プロジェクター等の色分解(合成)光学系に用いられる光学多層膜に関し、緑波長帯域の光を反射し、青、赤波長帯域の光を透過するトリミングフィルターに関するものである。

0002

液晶プロジェクター等の色分解(合成)光学系を、偏光ビームスプリッタ特定波長域偏光方向を変換させる光学素子(色選択性位相差板)とを組み合わせて形成する点が特開2001−154152号公報において知られている。

0003

色選択性位相差板は、特定波長域の偏光方向を変換させることにより、偏光ビームスプリッタと組み合わせることによりその波長域の光を分離することができるが、波長域の境界付近偏光変換特性がよくなく、光を純度よく分離することが困難である。例えば、波長帯域の連続する緑色光赤色光からなるP偏光を色選択性位相差板によって赤色光のみをS偏光に変換し、偏光ビームスプリッタによって緑色光と赤色光を分離しようとしても、緑色光と赤色光の中間の波長帯域の光を純度よく分離することが困難である。

0004

そこで、光学多層膜を用いたトリミングフィルターにより緑色光を分離し、その後、青、赤色光を色選択性位相差板により分離(合成)すると、青色光と赤色光の波長帯域が離れているため青、赤色光を分離(合成)し易いという利点がある。ここでいうトリミングフィルターとは特定波長域の光を反射し、他の波長域の光を透過する光学多層膜を有する光学素子のことである。

0005

緑色光分離特性を有する膜を得るための手法としては、λ0/4の交互層を基本に、高屈折率膜低屈折率膜光学膜厚比を換え多層膜基板上に形成し、緑反射、青赤透過特性を得る方法が知られている。

0006

又、緑反射、青赤透過特性ではないが青、緑、赤の波長帯の光が主成分となるように分割するトリミングフィルターの例が特公昭60−038683号公報に提案されている。この例では、設計波長をλ0とした時、光学的膜厚λ0/4の交互層からなる第1薄膜群と、2λ0/4と4λ0/4の交互層からなる第2薄膜群の2つの薄膜群を4群以上含む構成が開示されている。

背景技術

0007

緑色光分離特性を有する膜を得るための手法としては、λ0/4の交互層を基本に、高屈折率膜と低屈折率膜の光学膜厚比を換えて多層膜を基板上に形成し、緑反射、青赤透過特性を得る方法が知られている。

0008

しかしながら、λ0/4の交互層を基本に、高屈折率膜と低屈折率膜の光学膜厚比を変えて多層膜を形成する構成では、所望の特性を得るためには層数が多くなる傾向があった。

0009

又、先行例の特公昭60−038683号公報のトリミングフィルターは、青、緑、赤の各波長帯の光が主成分となるように分割するものの、各成分の高透過率の得られる波長範囲は狭く、430〜480nmの範囲の高透過率、600〜650nmの範囲の高透過率は得られなかった。又、緑透過帯低透過率は得られなかった。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、上記従来例を鑑み、緑波長帯域等の特定波長域で透過率が低くなる新規な光学多層膜を提供することを目的とする。

0011

上記目的を達成するため、本発明の光学多層膜は、各層の基本膜厚及び層構成を定めた基本構成に基づき実際の膜厚を定めた光学多層膜であって、前記基本構成は設計波長をλ0とした時、光学的膜厚7λ0/32の単層もしくは交互層からなる第1薄膜群と、7λ0/16の単層もしくは7λ0/32と7λ0/16との交互層からなる第2薄膜群と、7λ0/8の単層もしくは7λ0/32と7λ0/8との交互層からなる第3薄膜群との3つの薄膜群のうち、少なくとも2種類の薄膜群を5群以上備え、かつ、単層からなる薄膜群同士は隣接しないことを特徴としている。

課題を解決するための手段

0012

なお、基本構成において、第3薄膜群、第2薄膜群、第1薄膜群の優先順位で各薄膜群の区切りは決定される。

0013

液晶プロジェクターの緑反射用トリミングフィルターには、光源ランプスペクトル特性を考慮した特性が必要となる。即ち430〜480nmの範囲の高透過率、510〜570nmの範囲の低透過率、600〜650nmの範囲の高透過率が要求される。ただし、この特定波長域、つまり高透過域の波長範囲は必ずしも上記の固定値というわけではなく、仕様によっては例えば、特定波長域を500〜600nmになる、といった具合に所望の特性によって変動する。

0014

上記特性を実現する本実施形態のトリミングフィルターは、光学的膜厚の異なる複数の薄膜を積層した多層膜を基板上に成膜した構成となっている。成膜方法真空蒸着法でも良いし、スパッタ法やその他薄膜作成方法であれば何でも良い。また、基板としては、ガラス基板をはじめプラスチック結晶基板等何でも良い。

0015

上記多層膜は、図1に示したように、まず、所望特性の特定波長域の中心波長設計波長λ0として各層の光学的膜厚を定めた基本構成が決定される。次に、基本構成の各層の光学的膜厚を透過率改善のため調整する。この調整とは、所望の特性を得るために基本構成の各層の光学的膜厚である基本膜厚を変化させることである。調整後の各層の膜厚を基本膜厚に対し、実施膜厚と呼ぶ。例えば、基本構成は等しくても仕様によって所望の特定波長域の波長範囲が異なったり、使用入射角(想定している光の入射角度)が異なれば実施膜厚も異なる。この基本膜厚から実施膜厚への変換は公知の計算手法によって行われる。

0016

基本構成は、複数の薄膜群により構成されている。薄膜群とは、光学的膜厚により分類された1層あるいは複数層からなる薄膜の集団のことである。(1層の場合は厳密には集団ではないが、ここでは1層のみでも集団に含まれるとする)薄膜群は第1薄膜群、第2薄膜群、第3薄膜群の全部で3種類ある。設計波長λ0とし、第1薄膜群は光学的膜厚7λ0/32(=ndcosθ,nは屈折率、dは幾何学的膜厚、θは屈折角)の層が1層もしくは複数層積層された薄膜群である。

0017

第2薄膜群は、7λ0/16層の単層もしくは7λ0/16層と7λ0/32層とが交互に積層された積層膜である。

0018

第3薄膜群は、7λ0/8層の単層もしくは7λ0/8層と7λ0/32層とが交互に積層された積層膜である。

0019

また、群の切りわけは、第3、第2、第1の薄膜群の順で優先して行い、優先順位の高い薄膜群からその群の定義を逸脱しない範囲で最も層数が多くなるようにする。更に、単層からなる薄膜群同士は連続して接しない。即ち、図2(a)に示すように基板1上に基本構成2aがあるとする。第1、第2薄膜群の定義のみに基づいて薄膜群の切り分けを行うと、基本構成2aは7λ0/32層の単層からなる第1薄膜群2つと、7λ0/16層の単層からなる第2薄膜群1つの合わせて3つの薄膜群ともとれるし、7λ0/16層と7λ0/32層とが交互に積層された1つの第2薄膜群ともとれる。しかし、薄膜群の切り分けは上述のとおり第3、第2、第1の順で優先して行うので、基本構成2aは後者の1つの第2薄膜群となる。また、図2(b)に示すような基板1上に基本構成2bがあるとすると、群の切り分けは第3群より行い、3層からなる第3薄膜群2つと、7λ0/32層の単層からなる第1薄膜群1つとなる。

0020

本発明は、上記3種類の薄膜群の中から、少なくとも2種類の薄膜群を全部で5群以上有する基本構成とすることにより所望の特性を実現している。

0021

【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0022

<実施例1>
第1薄膜群を単層のTa2O5膜、第2薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜、第3薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜で構成し、11群からなる緑反射トリミングフィルターをBK7基板上に真空蒸着法により形成した。表1に、基板側を第1層とした各薄膜群を含む基本構成の基本膜厚、及び透過率改善のための調整後の実施膜厚を示す。但し、表1において、設計波長λ0は534nm、膜厚はλ0/4の倍数を示し、TaはTa2O5膜(588nmでの屈折率2.15)、SはSiO2膜(588nmでの屈折率1.46)を示す。使用入射角は45度である。

0023

【表1】

0024

更に、図3に、この時の透過率特性を示す。横軸波長縦軸は透過率を示す。図3において、点線33TS23は空気側から入射角33度、層数23層のS成分透過率特性を示し、実線45TS23は空気側から入射角45度、層数23層のS成分透過率特性を示し、破線57TS23は空気側から入射角57度、層数23層のS成分透過率特性を示す。

0025

本実施例においては、45度入射の時、430〜480nmの範囲で平均98.9%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均2.2%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均98.8%の高透過率が得られた。又、角度特性半値波長(33度の時の短波長側の半値波長と57度の時の長波長側の半値波長の差を示し、緑成分の明るさに対応)で示すと、約49nmであった。共に実用上問題無い特性が得られた。

0026

表1の結果から分かるように、本実施例の膜の特徴は、(1)全薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約1.0倍であり、(2)第1薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約1.73倍であり、(3)第2、第3薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.88倍であり、(4) 2つの7λ0/32層とそれに挟まれた1つの7λ0/8層との計3層(3層基本構成)からなる第3薄膜群において、実施膜厚が約4.2λ0/4〜6.0λ0/4の範囲であり、(5) 7λ0/32層の単層(単層基本構成)からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第3薄膜群とそれに隣接する2つの第1薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約7.3λ0/4〜7.5λ0/4の範囲であり、(6)単層基本構成からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第1薄膜群とそれに隣接する2つの第3薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約11.7λ0/4を満たしていることである。

0027

<実施例2>
実施例1と同様にして、第1薄膜群をTa2O5膜、第2薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜、第3薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜で構成し、11群からなる緑反射トリミングフィルターをBK7基板上に真空蒸着法により形成した。表2に、各薄膜群を含む基本構成の基本膜厚、及び透過率改善のための調整後の実施膜厚を示す。但し、使用入射角は0度である。

0028

更に、図4に、この時の透過率特性を示す。図4において、実線0T23は空気側から入射角0度、層数23層の透過率特性を示す。

0029

本実施例においては、0度入射の時、430〜480nmの範囲で平均97.4%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均2.9%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均98.3%の高透過率が得られ、実用上問題無い特性であった。

0030

更に、本実施例2の0度入射フィルターと実施例1の45度入射フィルターを組み合わせる事により、コントラストを向上させる事が出来た。即ち、45度入射フィルターの後に0度入射フィルターを設置する事により、入射角度に依存する不要な光(図3において、入射角33度の時の約500〜515nmの透過光、及び入射角57度の時の約565〜580nmの透過光)をカットする事が出来た。この時の特性を図4に示す。図4において、0T23*33Tsは入射角33度と0度で透過したS成分を示し、0T23*57Tsは入射角57度と12度で透過したS成分を示す。

0031

【表2】

0032

表2の結果から分かるように、本実施例の膜の特徴は、(1)全薄膜群の総光学膜厚が実施膜厚が基本膜厚の約0.98倍であり、(2)第1薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.76倍であり、(3)第2、第3薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約1.02倍であり、(4)3層基本構成からなる第3薄膜群において、実施膜厚が約4.8λ0/4〜5.9λ0/4の範囲であり、(5)単層基本構成からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第3薄膜群とそれに隣接する2つの第1薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約6.5λ0/4〜6.8λ0/4の範囲であり、(6)単層基本構成からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第1薄膜群とそれに隣接する2つの第3薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約12.0λ0/4を満たしていることである。

0033

<実施例3>
実施例1と同様にして、第1薄膜群をTiO2膜、第2薄膜群をAl2O3膜とTiO2膜、第3薄膜群をAl2O3膜とTiO2膜で構成し、11群からなる緑反射トリミングフィルターをBK7基板上に真空蒸着法により形成した。表3に、各薄膜群を含む基本構成の光学膜厚、及び透過率改善のための調整後の実施した光学膜厚を示す。但し、表3において、TiはTiO2膜(588nmでの屈折率2.30)、AはAl2O3膜(588nmでの屈折率1.63)を示す。

0034

更に、図5に、この時の透過率特性を示す。図5において、点線33TS23は空気側から入射角33度、層数23層のS成分透過率特性を示し、実線45TS23は空気側から入射角45度、層数23層のS成分透過率特性を示し、破線57TS23は空気側から入射角57度、層数23層のS成分透過率特性を示す。

0035

【表3】
表3

0036

本実施例においては、45度入射の時、430〜480nmの範囲で平均98.1%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均2.0%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均98.8%の高透過率が得られた。又、角度特性を半値波長巾で示すと、約50nmであつた。共に実用上問題無い特性が得られた。

0037

表3において、第3薄膜群を構成する1層目のAl2O3膜の実施膜厚が0となっている。しかし、これは透過率改善のための調整後、基板に接する層として全体特性の上から0が好ましいという事であり、基本構成(第3群の基本膜厚合計は約5.25/4λ0)を逸脱するものではない。

0038

表3の結果からわかるように、本実施例の膜の特徴は、(1)全薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.97倍であり、(2)第1薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の合計の約0.87倍であり、(3)第2、第3薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の合計の約0.98倍であり、(4) 3層基本構成からなる第3薄膜群において、実施膜厚が約4.6λ0/4〜6.1λ0/4の範囲であり、(5) 単層基本構成からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第3薄膜群とそれに隣接する2つの第1薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約6.9λ0/4〜7.0λ0/4の範囲であり、(6) 単層基本構成からなる第1薄膜群と3層基本構成からなる第3薄膜群において、1つの第1薄膜群とそれに隣接する2つの第3薄膜群の3群の合計の実施膜厚が約12.6λ0/4を満たしていることである。

0039

<実施例4>
第2薄膜群を単層のTa2O5膜、第3薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜で構成し、5群からなる緑反射トリミングフィルターをBK7基板上に真空蒸着法により形成した。表4に、基板側からの各薄膜群を含む基本構成の光学膜厚、及び透過率改善のための調整後の実施した光学膜厚を示す。使用入射角は45度である。

0040

【表4】
表4

0041

更に、図6に、この時の透過率特性を示す。図6において、点線33TS15は空気側から入射角33度、層数15層のS成分透過率特性を示し、実線45TS15は空気側から入射角45度、層数15層のS成分透過率特性を示し、破線57TS15は空気側から入射角57度、層数15層のS成分透過率特性を示す。

0042

本実施例においては、45度入射の時、430〜480nmの範囲で平均94.7%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均6.1%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均97.1%の高透過率が得られた。緑領域のモレ透過光がやや多いが、実用上は問題無かった。又、角度特性を半値波長巾で示すと、実施例1と同様約49nmであつた。
表4において、第2の第3薄膜群は5層目〜11層目までの交互層で構成されるが、第3薄膜群は必ずしも該3層基本構成で構成されるものではない。
表4の結果からわかるように、本実施例の膜の特徴は、(1)全薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.93倍であり、(2)第2、第3薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.93であることである。

0043

<実施例5>
実施例2と同様にして、第1薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜、第2薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜、第3薄膜群をSiO2膜とTa2O5膜で構成し、7群からなる緑反射トリミングフィルターをBK7基板上に真空蒸着法により形成した。表5に、各薄膜群を含む基本構成の光学膜厚、及び透過率改善のための調整後の実施膜厚を示す。但し、使用入射角は0度である。更に、図7に、この時の透過率特性を示す。

0044

【表5】
表5

0045

図7において、実線0T25は空気側から入射角0度、層数25層の透過率特性を示す。本実施例においては、0度入射の時、430〜480nmの範囲で平均97.5%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均3.7%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均98.5%の高透過率が得られ、実用上問題無い特性であった。

0046

表5の結果から分かるように、本実施例の膜の特徴は、(1)全薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約1.01倍であり、(2)第1薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約1.21倍であり、(3)第2、第3薄膜群の総光学膜厚の実施膜厚が基本膜厚の約0.88倍であり、(4)3層基本構成からなる第3薄膜群において、実施膜厚が約4.6λ0/4〜5.0λ0/4の範囲であることである。

0047

次に、本発明の比較対照として、本発明とは異なる基本構成の比較例を示した。

0048

<比較例1>
Ta2O5膜とSiO2膜のλ0/4の交互層を基本に、高屈折率膜と低屈折率膜の光学膜厚比を換えて多層膜をBK7基板上に形成し、緑反射、青赤透過トリミングフィルターを得た。表6に、透過率改善のための調整後の実施膜厚を基板側から第1層の光学膜厚を示す。使用入射角は45度である。

0049

表6において、1、2層目と25〜28層目は青、赤領域の透過率(リップル)改善のための調整層であり、3〜24層目までが緑領域で高反射率を得るための交互層である。交互層の基本構成は1:1であるが、反射帯の半値波長巾を満たすためには約1.7:0.3程度の膜厚比の交互層が好ましいことがわかる。

0050

【表6】

0051

更に、図8に、この時の透過率特性を示す。図8において、点線33TS28は空気側から入射角33度、層数28層のS成分透過率特性を示し、実線45TS28は空気側から入射角45度、層数28層のS成分透過率特性を示し、破線57TS28は空気側から入射角57度、層数28層のS成分透過率特性を示す。

0052

本比較例においては、45度入射の時、430〜480nmの範囲で平均91.4%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均3.2%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均95.5%の高透過率が得られた。又、角度特性を半値波長巾で示すと、約49nmであった。角度特性は本実施例と同等であるが、透過率特性では劣り、青、赤領域で明るさが不足する結果となり実用上問題であった。

0053

<比較例2>
比較例1の青、赤領域の透過率を改善するため、約1.7:0.3程度の膜厚比の交互層を基本に膜厚調整して、多層膜をBK7基板上に同様に形成し、緑反射、青赤透過トリミングフィルターを得た。表7に、透過率改善のための調整後の実施した基板側からの光学膜厚を示す。使用入射角は45度である。

0054

【表7】

0055

更に、図9に、この時の透過率特性を示す。図9において、点線33TS30は空気側から入射角33度、層数30層のS成分透過率特性を示し、実線45TS30は空気側から入射角45度、層数30層のS成分透過率特性を示し、破線57TS30は空気側から入射角57度、層数30層のS成分透過率特性を示す。

0056

本比較例においては、45度入射の時、430〜480nmの範囲で平均99.0%の高透過率、510〜570nmの範囲で平均2.1%の低透過率、600〜650nmの範囲で平均98.8%の高透過率が得られた。又、角度特性を半値波長巾で示すと、約49nmであつた。角度特性、透過率特性は本実施例と同等であるが、層数が多く、製造上好ましくなかった。

0057

<比較例3>
特公昭60−038683の図4に示される11層特性のものを実施例1と同様にして形成した。但し、第1薄膜群をSiO2膜とZrO2膜、第2薄膜群をSiO2膜とZrO2膜とし、設計波長λ0は540nm、使用入射角は0度とした。第1薄膜群はλ0/4の交互層であり、第2薄膜群は4λ0/4−2λ0/4−4λ0/4の基本構成である。この基本構成膜厚の時の特性を図10に示す。図10において、実線0T11は空気側から入射角0度、層数11層の透過率特性を示す。
図10から、430〜480nmの範囲の高透過率、600〜650nmの範囲の高透過率が得られず、本比較例の構成では、緑反射トリミングフィルターとして実用に適しない。

0058

<液晶プロジェクターの実施例>
次に、本実施形態の光学多層膜を用いたトリミングフィルターを有する液晶プロジェクターの実施例を示す
図11は本実施形態の光学多層膜を用いたトリミングフィルターを有する液晶プロジェクターの図である。図11において、101は光源、102は偏光板、103は本実施形態の光学多層膜を用いた、緑波長帯域の光(G)を反射し、青波長帯域の光(B)と赤波長帯域の光(R)を透過するトリミングフィルターである。104a、は青色光の偏光方向を90度変換し、赤色光の偏光方向は変換しない第1の色選択性位相差板、104bは青色光の偏光方向は変換せずに、赤色光の偏光方向を90度変換する第2の色選択性位相差板、105a、105b、105cは夫々P偏光を透過し、S偏光を反射する第1、第2及び第3の偏光ビームスプリッタである。106R、106G、106Bは夫々入射した光を反射するとともに画像変調する赤用反射型液晶表示素子緑用の反射型液晶表示素子、青用の反射型液晶表示素子である。108は投射レンズである。

0059

光源101から出射した無偏光の光は、偏光板102によって直線偏光(S偏光)とされ、トリミングフィルター103に入射する。トリミングフィルター103によって、緑色光は反射されるが、青色光と赤色光は透過する。これにより、緑色光と青、赤色光とが色分解される。

0060

緑色光は第1の偏光ビームスプリッタ105aで反射して緑用の反射型液晶表示素子106Gに入射する。一方、トリミングフィルター103を透過した青色光と赤色光は第1の色選択性位相差板104aに入射して、ここで青色光の偏光方向のみが90度回転させられP偏光となる。

0061

第2の偏光ビームスプリッタ105bは、P偏光である青色光を透過し、S偏光である赤色光を反射することでこれらを色分解し、青色光および赤色光はそれぞれ青用の反射型液晶表示素子106B及び赤用の反射型液晶表示素子106R入射する。

0062

緑用の反射型液晶表示素子106Gで変調された光のうちP偏光成分は第1の偏光ビームスプリッタ105aを透過し、第3の偏光ビームスプリッタ105cも透過して投影光となる。

0063

青用の反射型液晶表示素子106Bで変調された光のうちS偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ105bで反射し、第2の色選択性位相差板104bを透過し、第3の偏光ビームスプリッタ105cで反射して、投影光となる。

0064

赤用の反射型液晶表示素子106Rで変調された光のうちP偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ105bを透過し、第2の色選択性位相差板104bによって偏光方向が90度回転し、P偏光となり、第3の偏光ビームスプリッタ105cで反射して、投影光となる。第3の偏光ビームスプリッタ105cで1つに合成された緑色光と青色光と赤色光は、投射レンズ108より投射されることによってカラー画像を表示する。

発明を実施するための最良の形態

0065

本実施例の液晶プロジェクターは、本実施形態の光学多層膜を用いることによって、少ない層数で緑色光を反射し、青、赤色光を透過するトリミングフィルターを実現している。

図面の簡単な説明

0066

本発明により、比較的少ない層数で、特定波長域で透過率が低くなる光学多層膜を実現することが可能となった。

図1
本発明の概略を示す図である
図2
薄膜群の切り分け方を示す図である
図3
本発明の実施例1の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図4
本発明の実施例2の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図5
本発明の実施例3の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図6
本発明の実施例4の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図7
本発明の実施例5の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図8
本発明の比較例1の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図9
本発明の比較例2の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図10
本発明の比較例3の光学多層膜の透過率特性を示す図である
図11
本実施形態のトリミングフィルターを有する液晶プロジェクターの図である

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