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課題

本発明は、より安全性が高く、しかもメイラード反応抑制効果がより高い物質を提供すること、並びに、メイラード阻害効果と共に、AGE−タンパク質架橋物質切断活性をも有するメイラード反応抑制物質を提供すること、を目的とするものである。

解決手段

本発明は、柑橘類揮発性油状物を有効成分とするメイラード反応抑制物質を提供するものである。

概要

背景

メイラード反応は、古くから食品などの褐変化反応として知られており、アミノ酸タンパク質ペプチド等のアミノ基と、還元糖アルデヒド基非酵素的に結合する反応であって、この反応は初期段階後期段階とに分けられている(ファルマシア, Vol.28, No.5, p.466−470, 1992)。

概要

本発明は、より安全性が高く、しかもメイラード反応抑制効果がより高い物質を提供すること、並びに、メイラード阻害効果と共に、AGE−タンパク質架橋物質切断活性をも有するメイラード反応抑制物質を提供すること、を目的とするものである。本発明は、柑橘類揮発性油状物を有効成分とするメイラード反応抑制物質を提供するものである。 なし

目的

本発明は、従来の問題点を解消し、より安全性が高く、しかもメイラード反応抑制効果がより高い物質を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
7件

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請求項1

請求項2

柑橘類の揮発性油状物が、柑橘類を非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留することによって得られるものである、請求項1記載のメイラード反応抑制物質。

請求項3

揮発性油状物が、モノテルペン類セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類の中から選ばれる1種以上を含有するものである、請求項1又は2記載のメイラード反応抑制物質。

請求項4

柑橘類がユズである、請求項1〜3のいずれかに記載のメイラード反応抑制物質。

技術分野

0001

本発明は、食品生体内におけるメイラード反応を抑制する物質に関し、さらに詳しくは柑橘類揮発性油状物であるモノテルペン類セスキテルペン類モノテルペンアルコール類などを有効成分とするメイラード反応抑制物質に関する。本発明のメイラード反応抑制物質は、食品の褐変抑制剤糖尿病とその合併症の予防及び治療剤などとして有用である。

0002

メイラード反応は、古くから食品などの褐変化反応として知られており、アミノ酸タンパク質ペプチド等のアミノ基と、還元糖アルデヒド基非酵素的に結合する反応であって、この反応は初期段階後期段階とに分けられている(ファルマシア, Vol.28, No.5, p.466−470, 1992)。

0003

初期段階は、アミノ基とアルデヒド基とが反応しシッフ塩基を形成することから始まり、1,2−エナミノールを経てケトアミンなどのアマドリ化合物を形成する反応である。
また、後期段階は、前記のアマドリ化合物が脱水転移縮合など非可逆的反応を受け、非常に反応性に富みタンパク質の架橋形成を起こす3−デオキシグルコソンのようなジカルボニル化合物を経て、最終的に褐色や蛍光などの物理化学的特徴を持つペントシジンなどの後期反応産物(AGE:advanced glycation end products)に変化する反応である。

0004

これら一連の反応により、食品の色、香、物性などの品質劣化するため、メイラード反応を抑制することによって食品の品質劣化を防止することが期待できる。

0005

一方、メイラード反応は生体内でも起こっており、特に糖尿病患者においては高血糖によるメイラード反応後期反応産物とタンパク質とが架橋した架橋形成物によって、白内障腎臓血管障害などの種々の糖尿病合併症が引き起こされることが知られている。また、老化によっても、同様の反応が進行し、皮膚の角質層機能を傷害し、皺や染みなどの老化症状の原因となっているとも言われている。

0006

従って、メイラード反応の進行を阻害することによってメイラード反応産物を抑制する物質を開発することは重要であり、また、一度生成されたメイラード反応後期反応産物であるジカルボニル化合物やメラノイジンとタンパク質との架橋形成物を分解除去する物質を開発することも、糖尿病の合併症の予防や治療、老化の防止などにおいてさらに重要であると言われている。

0007

メイラード反応を阻害する物質としては、アミノグアニジン誘導体(特開平2−765号公報)、アミジノヘテロ環誘導体(特開平6−192089号公報)やパラバン酸誘導体(特開平10−182460号公報)などのメイラード反応阻害剤が開示されている。
また、メイラード反応後期反応産物であるジカルボニル化合物などの架橋形成物を分解除去する物質としては、N−phenacylthizolium bromide(PTB)(Nature, Vol.382, p.275−278, 1996)、4,5−dimethylthiazolium derivative(ALT−711)(Proc. Natl. Acd. Sci. U.S.A., Vol.95, p.4630−4634, 1998)などが報告されている。

0008

しかし、これらはいずれも化学合成物であり、食品での安全性の点や、薬剤としての副作用の発生など、その効力について問題が指摘されている。

0009

一方、天然成分としては、プロアントシアニジン(特開平6−336430号公報)、フラボノイド化合物(特開平9−241165号公報)、フラバノン類(特開平7−324025号公報)などが開示されており、これらは比較的安全性が高いと期待されるが、一方、これらの効力は決して満足できるものではなかった。

背景技術

0010

従って、より安全性が高いと考えられる食物由来の天然成分であって、かつ、メイラード反応抑制効果がより高い物質を開発することが望まれていた。

0011

本発明は、従来の問題点を解消し、より安全性が高く、しかもメイラード反応抑制効果がより高い物質を提供することを目的とするものである。

発明が解決しようとする課題

0012

さらに、本発明は、メイラード阻害効果と共に、AGE−タンパク質架橋物質切断活性をも有するメイラード反応抑制物質を提供することを目的とするものである。

0013

本発明者らは、安全性が高い天然成分について広く検索した結果、驚くべきことに、食経験が豊富な柑橘類から、非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留によって得られる揮発性油状物、特にモノテルペン類、セスキテルペン類、モノテルペンアルコール類などが強いメイラード反応阻害効果を保有していること、さらには、この柑橘類の揮発性油状物が一度形成されたタンパク質架橋形成物を切断する能力をも保有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。

0014

なお、メイラード反応抑制作用を有する柑橘類の成分としては、特開平7−324025号公報に開示されたナリンギンナリンゲニンなどのフラバノン類や、特開平9−241165号公報に開示のフラボノイド化合物が知られているが、これらの物質は、柑橘果実果皮などからメタノールなどの極性溶媒によって抽出されるものである。

0015

これに対して、本発明の揮発性油状物も柑橘類から調製されるが、本発明の揮発性油状物は、水蒸気蒸留法エチルエーテルなどの非極性有機溶媒によって抽出されるものであり、モノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類から選ばれる1種以上を含有するものであって、上記フラバノン類やフラボノイド化合物とは全く異なる物質であり、また、一度形成されたAGE−タンパク質架橋形成物を切断する能力をも保有するなど、その効果が高いことを見出し、本発明を完成することができた。

0016

すなわち、請求項1に係る本発明は、柑橘類の揮発性油状物を有効成分とするメイラード反応抑制物質を提供するものである。

0017

請求項2に係る本発明は、柑橘類の揮発性油状物が、柑橘類を非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留することによって得られるものである、請求項1記載のメイラード反応抑制物質を提供するものである。

0018

請求項3に係る本発明は、揮発性油状物が、モノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類の中から選ばれる1種以上を含有するものである、請求項1又は2記載のメイラード反応抑制物質を提供するものである。

課題を解決するための手段

0019

請求項4に係る本発明は、柑橘類がユズである、請求項1〜3のいずれかに記載のメイラード反応抑制物質を提供するものである。

0020

以下、本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、柑橘類の揮発性油状物を有効成分とするメイラード反応抑制物質である。
請求項1に係る本発明のメイラード反応抑制物質は、柑橘類、例えば柑橘類の破砕物、搾汁液、搾汁残渣を使用し、これを請求項2に記載したように非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留することによって調製することができる。

0021

ここで柑橘類としては、ユズ、ハッサクナツミカン、オレンジレモンミカンなどが挙げられ、これらの中でも、請求項4に記載したように、特にユズが最も好ましい。

0022

このような柑橘類の破砕物、搾汁液、搾汁残渣を使用し、これを非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留することによって、目的とする柑橘類の揮発性油状物が得られる。

0023

非極性有機溶媒抽出の場合に用いる抽出溶媒としては、エチルエーテル、n−ヘキサンシクロヘキサンn−ペンタンなどの非極性有機溶媒の1種、又は2種以上の混合物が挙げられる。
溶媒の使用量は特に制限はないが、一般に柑橘類の破砕物、搾汁液、搾汁残渣100質量部に対して、1〜1000質量部程度である。
抽出条件は、室温程度で10〜300分間程度であるが、これに限定されるものではない。
柑橘類の破砕物、搾汁液、搾汁残渣に所定量の非極性有機溶媒を加え、還流して抽出し、得られた抽出液から溶媒を留去することにより、非極性有機溶媒抽出による柑橘類の揮発性油状物が得られる。

0024

また、水蒸気蒸留による場合、公知の水蒸気蒸留装置を用いて柑橘類の破砕物、搾汁液、搾汁残渣を水蒸気蒸留し、得られた水蒸気蒸留液遠心分離し、上層回収することにより、水蒸気蒸留による柑橘類の揮発性油状物が得られる。

0025

このようにして得られる柑橘類の揮発性油状物について、更に各種有機溶媒による分画や、シリカゲルによるクロマト分画などによって精製をした後に、溶媒を除去して用いることができる。また、必要に応じて化学合成物を利用することもできる。

0026

このようにして得られる本発明の柑橘類の揮発性油状物は、請求項3に記載したように、モノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類の中から選ばれる1種以上を含有するものである。
このようにして得られる本発明の柑橘類の揮発性油状物は、モノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類が主要な有効成分となっているが、この他に、アルデヒド類エステル類が含まれていてもよい。但し、少なくともモノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類の中から選ばれる1種以上を含有していることが必要である。

0027

ここでモノテルペン類としては、様々なものがあるが、特にオシメン、d−リモネン、α−テルピネンカレンカンフェン、或いはこれらの2種以上の混合物が好ましい。
また、セスキテルペン類としては、様々なものがあるが、特にβ−ファルネセン、β−ビサボレン、或いはこれらの混合物が好ましい。
さらに、モノテルペンアルコール類としては、様々なものがあるが、特にテルピネン−4−オール、α−テルピネオールトランスカルベノール、ボルネオール、或いはこれらの2種以上の混合物が好ましい。

0028

本発明のメイラード反応抑制物質は、上記した如き柑橘類の揮発性油状物を有効成分とするものである。
本発明のメイラード反応抑制物質を食品等の製品に添加して、褐変などの品質劣化の抑制を目的として使用する場合の食品への添加量は、食品成分によって異なるため、一義的に決定することは困難であり、特に限定されない。一つの目安としては、例えば、ドレッシングで効果を発揮させるためには、一般に0.01〜5%の範囲、更に望ましくは0.01〜0.1%の範囲となるように設計することが望ましい。

0029

また、本発明のメイラード反応抑制物質を糖尿病の合併症の予防、治療を目的として使用する場合、投与量は、年齢、症状程度などによって異なるため特に限定されない。なお、摂取形態としては、錠剤でも液剤でも、製剤として許容され得る形態で投与することができる。さらに、非経口的に皮下注射経鼻投与などの形態で投与することでも効果が得られ、摂取、投与方法に限定はない。

0030

【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0031

実施例1(柑橘類の非極性有機溶媒による揮発性油状物の調製)
ユズ500gを水道水洗浄後、フードカッター粉砕した。粉砕物をサラシで絞り搾汁液とした。この搾汁液300mlに対し200mlのエチルエーテルを添加し1L容量の分液ロートに入れ、室温で30分間振盪した後、エチルエーテル層を回収した。残った水層に対して同様の操作を2回繰り返して、計600mlのエチルエーテル層を得た。
このエチルエーテル層を20℃でエバポレーターにて減圧を低く抑えながらエチルエーテルを蒸発させて、低沸点で、かつ、低極性である、非極性有機溶媒による揮発性油状物約10mlを得た。

0032

実施例2(柑橘類の水蒸気蒸留による揮発性油状物の調製)
ユズ100gを水道水で洗浄後、フードカッターで粉砕した。粉砕物をサラシで絞った後、遠心分離(3000rpm、15分間)し、上清液70mlを得た。この上清液を水蒸気蒸留装置〔柴田科学社製セミミクロ水蒸気蒸留装置(小林式)〕を用いて蒸留し、約200mlの水蒸気蒸留液を得た。
得られた水蒸気蒸留液を遠心分離(7000rpm、30分間)し、その上層の油状物を回収して、最終的にユズの水蒸気蒸留による揮発性油状物約3mlを得た。

0033

実施例3(実施例1で調製した揮発性油状物のペントシジン生成阻害活性
実施例1で調製したユズの非極性有機溶媒による揮発性油状物について、AGEの一つであるペントシジンの生成阻害活性を測定した。
測定方法は、以下の表1に示す組成反応溶液を1.5ml容量のプラスチックチューブに調製し、60℃、24時間、ヒートブロック上でインキュベートした。

0034

【表1】

0035

反応終了後、反応溶液100μlに400μlの蒸留水を加え、HPLC分析により得られたクロマトグラムピーク面積からペントシジン生成阻害活性を、阻害率(%)として算出した。なお、HPLC測定条件は、以下の通りであった。

0036

〔HPLCの測定条件〕
ポンプ;HP1100(Agilent technology社製)
カラム;RP−18,4.6×250mm(関東化学社製)
・溶媒;3%CH3CN/0.1%TFA
流速;1ml/min.
・温度;40℃
検出器;ex.335nm,em.380nm
試料注入量;10μl
・保持時間;12min.

0037

なお、ペントシジンはSellらの方法(J. Biol. Chem., Vol.264, p.21597−21602, 1989)に基づいて調製したものを用い、HPLC分析により得られたクロマトグラム上のピークがペントシジンであることを確認した後、使用した。
市販試薬アミノグアニジン・硫酸塩を蒸留水に溶解し、1mMと10mMの濃度にそれぞれ調製して、ペントシジン生成阻害の対照試料溶液とした。また、実施例1で調製したユズの非極性有機溶媒による揮発性油状物を蒸留水で適宜希釈し、試料溶液とした。
ペントシジン生成阻害活性は、阻害率として算出したが、算出方法は以下の通りである。ペントシジン生成阻害活性を表2に示す。

0038

阻害率(%)=100−[(各試料溶液のペントシジン量/蒸留水を試料溶液とした時のペントシジン量)×100]

0039

【表2】
(ペントシジン生成阻害活性)

0040

以上の結果、ユズの非極性有機溶媒による揮発性油状物には、AGEの一種であるペントシジンの生成を阻害する強い活性があることが確認できた。

0041

実施例4(実施例2で調製した揮発性油状物のペントシジン生成阻害活性)
実施例2で調製したユズの水蒸気蒸留による揮発性油状物について、実施例3と同様にして、AGEの一つであるペントシジンの生成阻害活性を測定した。
すなわち、前記表1に示す組成の反応溶液を1.5ml容量のプラスチックチューブに調製し、60℃、24時間、ヒートブロック上でインキュベートした。反応終了後、反応溶液100μlに400μlの蒸留水を加えてHPLC分析し、その結果得られたクロマトグラムのピーク面積から、実施例3と同様にして、ペントシジン生成阻害活性を阻害率(%)として算出した。なお、HPLCの測定条件は、前記の通りであった。
また、ペントシジンは、実施例3で調製したものを用い、市販試薬アミノグアニジン・硫酸塩を蒸留水に溶解し、1mMと10mMの濃度にそれぞれ調製して、ペントシジン生成阻害の対照試料溶液とした。一方、実施例2で調製したユズの水蒸気蒸留による揮発性油状物を蒸留水で適宜希釈したものを試料溶液とした。
ペントシジン生成阻害活性を表3に示す。

0042

【表3】
(ペントシジン生成阻害活性)

0043

以上の結果、実施例1,2で調製したいずれの揮発性油状物においても、ほぼ濃度依存的にペントシジン生成阻害活性があることが確認できた。

0044

実施例5(揮発性油状物のAGE−タンパク質架橋形成物モデル切断活性)
S.Vasanらの方法(Nature, Vol.382, p.275−278, 1996)に従って、AGE−タンパク質架橋形成物モデルの切断活性を測定した。すなわち、リン酸緩衝液中でタンパク質架橋形成物モデルであるジカルボニル化合物 1−フェニル−1,2−プロパンジオン試料を加えて反応させ、発生する安息香酸をHPLCで定量した。なお、反応液は以下の表4に示した組成とした。

0045

【表4】
反応液組成

0046

上記組成の反応液を1.5ml容のプラスチックチューブに調製し、37℃、4時間振盪機でインキュベートした。
なお、比較試料として100mMのPTB溶液を用いたが、PTBは文献(Nature, Vol.382, p.275−278, 1996)に記載の通りに調製した。また、実施例1で調製した揮発性油状物を蒸留水で適宜希釈し試料溶液とした。
反応終了後、2N−HClを200μl加えて攪拌し反応を停止させた。その後、本溶液を0.45μmのフィルター濾過HPLC測定溶液とした。なお、HPLCの測定条件は以下の通りである。

0047

〔HPLC測定条件〕
・ポンプ;HP1100(Agilent technology社製)
・カラム;RP−18,4.6×250mm(関東化学社製)
・溶媒;40%MeOH/0.1%TFA
・流速;1ml/min.
・温度;40℃
・検出器;254nm
・試料注入量;20μl

0048

以上の方法で実験した結果を表5に示す。なお、切断率は全ての1−フェニル−1,2−プロパンジオンが切断された場合には10mMの安息香酸が遊離すると仮定できるので、以下の式に従って算出した。
切断率(%)=(各試料溶液から発生する安息香酸量/10mM安息香酸量)×100

0049

【表5】
(AGE−タンパク質架橋形成物モデル切断活性)

0050

以上の結果、揮発性油状物中には、一旦生成したAGE−タンパク質架橋形成物の架橋を切断、分解する活性が、比較試料であるPTBと同等以上に強い物質が含有されていることが推定できた。

0051

実施例6(精油成分によるペントシジン生成阻害活性及びAGE−タンパク質架橋形成物切断活性)
ユズの揮発性油状物に含有されている精油成分の内、主な物質について、実施例3と同様の方法でペントシジン生成阻害活性を、また、実施例5と同様の方法でAGE−タンパク質架橋形成物モデル切断活性をそれぞれ測定した。対照としては、アミノグアニジン及びPTBを用いた。結果を表6に示した。

0052

【表6】
(精油成分によるAGE生成阻害活性及び切断活性)

0053

以上の結果、柑橘類の揮発性油状物に含有されている精油成分の内、モノテルペン類、セスキテルペン類、モノテルペンアルコール類のいずれにおいても、ペントシジン生成を阻害する強い活性が認められ、また、同時にAGEとタンパク質の架橋を切断する強い活性も保有することが推定できる結果が得られた。

0054

実施例7(揮発性油状物のAGE−タンパク質架橋切断活性の効果確認
S.Vasanらの方法(Nature, Vol.382, p.275−278, 1996)により、実施例1で調製したユズの揮発性油状物のAGE−タンパク質架橋切断活性を確認した。
すなわち、コラーゲン(Cellmatrix type I−C,3mg/ml:新田ゼラチン社製)を10mMリン酸バッファー(pH7.0)(以下、PBS)を用いて10μg/mlに希釈し、96穴プレートに100μl/wellずつ分注し、シールで蓋をして、37℃、4時間インキュベートして、コラーゲンを吸着させた。
その後、S.Vasanらの方法(Nature, 382, 275−278, 1996)で調製したAGE−牛血清アルブミンBSA)架橋形成物(AGE−BSA)を10μg/ml濃度でPBSに溶解して調製した溶液を、100μl/wellずつ分注し、シールで蓋をし、さらに37℃で4時間インキュベートして、コラーゲンにAGE−BSAを結合させた。
そして、さらに各wellには、PBSに溶解させた測定試料を分注し、シールで蓋をして、37℃で4時間インキュベートした後、PBSで3回wellを洗浄し、0.1%カゼインコーティングバッファー(15mM Na2CO3,30mM NaHCO3)を200μl/wellずつ分注して、37℃で4時間インキュベートした。

0055

なお、測定試料としては、PTBを2mMと20mM添加したものを対照とし、ユズの揮発性油状物を5%、10%及び20%添加したものを用いた。
次に、PBSで3回洗浄後、wellに最終的に残存したBSA量を分析した。すなわち、ラビット抗BSA1次抗体〔Anti−bovine serum albumin, rabbit IgG fraction(anti−BSA):Molecular Probe社製〕を50μl/wellで分注し、室温で1時間インキュベートし、引き続きPBSで3回洗浄後、ビオチン抗ラビットIgG2次抗体(Biotinylated−goat anti−rabbit IgG(H+L):Zymed社製)を50μl/wellで分注し、室温で20分間インキュベートした。

0056

その後、PBSで3回洗浄後、ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ溶液(Alkaline−phosphatase−conjugated streptavidin:Jakson ImmunorResearch Laboratory社製)を50μl/wellずつ分注し、室温で20分間インキュベートした。
さらに、pNPP発色溶液(10mM 4−nitrophenylphosphate, 50mM MgCl2/1M diethanolamine)を200μl/wellずつ分注し、室温で10分間反応後に、1N NaOHを50μl/wellずつ分注して反応を停止し、マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度を測定した。

0057

以上の方法で測定された各測定試料の吸光度(Ab405nm:試料)と、測定試料の代わりにPBSを添加して得られた吸光度(Ab405nm:PBS)をもとにして、BSA放出率(%)を以下の式で算出した。
BSA放出率(%)=[(Ab405nm:PBS−Ab405nm:試料)/Ab405nm:PBS]×100

発明を実施するための最良の形態

0058

このBSA放出率を図1に示した。
その結果、揮発性油状物は、実際のAGE−タンパク質の架橋を分解、切断し、BSAを放出する活性が強いことが確認できた。

発明の効果

0059

本発明によれば、より安全性が高いと考えられる食物由来の天然成分であって、かつ、メイラード反応抑制効果がより高い物質が提供される。
さらに、本発明によれば、メイラード阻害効果と共に、AGE−タンパク質架橋物質切断活性をも有するメイラード反応抑制物質が提供される。

図面の簡単な説明

0060

本発明の柑橘類の揮発性油状物、特にモノテルペン類、セスキテルペン類及びモノテルペンアルコール類の中から選ばれる1種以上を含有する柑橘類の揮発性油状物は、食品のメイラード反応による品質劣化の抑制、及び糖尿病合併症の発病などメイラード反応に起因する疾病の予防、治療を可能にするものである。
従って、本発明は、色調、香味品質のより優れた食品の提供や、白内障、腎臓、血管障害などの種々の糖尿病合併症の予防、治療、さらには老化による皺や染みなどの老化症状の抑制等に、安全に利用することが期待される。

図1
実施例5におけるBSA放出率の結果、つまり揮発性油状物のAGE−タンパク質架橋切断活性を示すグラフである。

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