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技術 有機EL素子

出願人 三星エスディアイ株式会社
発明者 多田宏小田敦石川仁志東口達森岡由紀子
出願日 2003年10月2日 (17年1ヶ月経過) 出願番号 2003-344398
公開日 2004年1月15日 (16年10ヶ月経過) 公開番号 2004-014530
状態 特許登録済
技術分野 電場発光光源(EL) エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード 塩化インジウム水溶液 慣性効果 MBE法 ドットマトリクスディスプレイ アプライドフィジックスレターズ 再結合発光 平坦層 スペーサー層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

高効率の有機EL素子を提供する。

解決手段

1層又は複数層有機薄膜層904を少なくとも一方が金属電極である一対の電極903,905で挟持してなる有機EL素子において、有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層902を有し、前記高屈折率層902に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層903が更に設けられている。

概要

背景

 有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、電界印加することにより、陽極より注入された正孔陰極より注入された電子との再結合エネルギーにより蛍光性物質発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子報告(C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、51巻、913頁、1987年など)がなされて以来、有機材料構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8−キノリノールアルミニウム発光層に、トリフェニルジアミン誘導体正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。

 しかしながら、有機EL素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性より一重項生成の確率に制限があり、したがって発光確率に上限が生じる。この上限の値はおよそ25%と知られている。さらに、有機EL素子においてはその発光体屈折率の影響のため、臨界角以上の出射角の光は全反射を起こし外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率が1.6とすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できず、エネルギーの変換効率限界としては一重項生成確率を併せ全体で5%程度と低効率とならざるをえない(筒井哲夫「有機エレクトロルミネッセンスの現状と動向」、月刊ディスプレイ、vol.1、No.3、p11、1995年9月)。発光確率に強い制限の生じる有機EL素子においては、光の取り出し効率は致命的ともいえる効率の低下を招くことになる。

 この光の取り出し効率を向上させる手法としては、従来無機エレクトロルミネッセンス素子などの、同等な構造を持つ発光素子において検討されてきた。例えば、基板集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795)や、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、発光面積の大きな素子に対しては有効であるが、ドットマトリクスディスプレイ等の画素面積微小な素子においては、集光性を持たせるレンズや側面の反射面等の形成加工が困難である。さらに、有機EL素子においては発光層の膜厚が数μm以下となるため、テーパー状の加工を施し素子側面反射鏡を形成することは現在の微細加工の技術では困難であり、大幅なコストアップをもたらす。また、基板ガラスと発光体との間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691)もあるが、この方法は前方への光の取り出し効率の改善の効果はあるが、全反射を防ぐことはできない。したがって、屈折率の大きな無機エレクトロルミネッセンスに対しては有効であっても、比較的低屈折率の発光体である有機EL素子に対しては大きな改善効果を上げることはできない。

 したがって、有機EL素子に有用な光の取り出し方法は未だ不十分であり、この光の取り出し方法の開拓が有機EL素子の高効率化に不可欠である。そこで、光の取り出し効率を向上させるために回折格子を構成要素とした有機EL素子が特開平11−283751号公報に開示されている。この手法により有機EL素子の光の取り出し効率が向上し、素子の発光効率が向上している。しかし、この場合にも光の取り出し効率は十分に高くなってはいない。

概要

高効率の有機EL素子を提供する。 1層又は複数層有機薄膜層904を少なくとも一方が金属電極である一対の電極903,905で挟持してなる有機EL素子において、有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層902を有し、前記高屈折率層902に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層903が更に設けられている。 

目的

 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、高効率の有機EL素子を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

1層又は複数層有機薄膜層が少なくとも一方が透明電極である一対の電極で挟持されてなる有機EL素子において、前記有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層と、前記高屈折率層に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層が更に設けられていることを特徴とする有機EL素子。

請求項2

 前記高屈折率層は前記透明電極と基板との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子。

請求項3

 前記高屈折率層が、金属化合物を含む前駆体を分散させた塗液を塗布した後に固化することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子。

請求項4

1層又は複数層の有機薄膜層が少なくとも一方が透明電極である一対の電極で挟持されてなる有機EL素子において、前記透明電極が有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層であり、前記高屈折率層に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層が更に設けられていることを特徴とする有機EL素子。

請求項5

 前記微小球の径が50nm〜5μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。

請求項6

 前記一対の電極が透明電極と金属電極とからなり、前記有機薄膜層中の正孔電子再結合発光領域が前記金属電極から100nm以上離れていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子。

請求項7

前記有機薄膜層中の発光層が前記金属電極から100nm以上離れていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子。

技術分野

0001

 本発明は、有機EL素子に関する。

背景技術

0002

 有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、電界印加することにより、陽極より注入された正孔陰極より注入された電子との再結合エネルギーにより蛍光性物質発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告(C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、51巻、913頁、1987年など)がなされて以来、有機材料構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8−キノリノールアルミニウム発光層に、トリフェニルジアミン誘導体正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。

0003

 しかしながら、有機EL素子においてはキャリア再結合の際にスピン統計の依存性より一重項生成の確率に制限があり、したがって発光確率に上限が生じる。この上限の値はおよそ25%と知られている。さらに、有機EL素子においてはその発光体屈折率の影響のため、臨界角以上の出射角の光は全反射を起こし外部に取り出すことができない。このため発光体の屈折率が1.6とすると、発光量全体の20%程度しか有効に利用できず、エネルギーの変換効率限界としては一重項生成確率を併せ全体で5%程度と低効率とならざるをえない(筒井哲夫「有機エレクトロルミネッセンスの現状と動向」、月刊ディスプレイ、vol.1、No.3、p11、1995年9月)。発光確率に強い制限の生じる有機EL素子においては、光の取り出し効率は致命的ともいえる効率の低下を招くことになる。

0004

 この光の取り出し効率を向上させる手法としては、従来無機エレクトロルミネッセンス素子などの、同等な構造を持つ発光素子において検討されてきた。例えば、基板集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795)や、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394)が提案されている。しかしながら、これらの方法は、発光面積の大きな素子に対しては有効であるが、ドットマトリクスディスプレイ等の画素面積微小な素子においては、集光性を持たせるレンズや側面の反射面等の形成加工が困難である。さらに、有機EL素子においては発光層の膜厚が数μm以下となるため、テーパー状の加工を施し素子側面反射鏡を形成することは現在の微細加工の技術では困難であり、大幅なコストアップをもたらす。また、基板ガラスと発光体との間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691)もあるが、この方法は前方への光の取り出し効率の改善の効果はあるが、全反射を防ぐことはできない。したがって、屈折率の大きな無機エレクトロルミネッセンスに対しては有効であっても、比較的低屈折率の発光体である有機EL素子に対しては大きな改善効果を上げることはできない。

0005

 したがって、有機EL素子に有用な光の取り出し方法は未だ不十分であり、この光の取り出し方法の開拓が有機EL素子の高効率化に不可欠である。そこで、光の取り出し効率を向上させるために回折格子を構成要素とした有機EL素子が特開平11−283751号公報に開示されている。この手法により有機EL素子の光の取り出し効率が向上し、素子の発光効率が向上している。しかし、この場合にも光の取り出し効率は十分に高くなってはいない。

発明が解決しようとする課題

0006

 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、高効率の有機EL素子を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

 本発明者は鋭意検討を行った結果、本発明を得るに至った。すなわち、本発明は、次に示される(1)〜(7)の有機EL素子である。

0008

(1)1層又は複数層有機薄膜層が少なくとも一方が透明電極である一対の電極で挟持されてなる有機EL素子において、
 前記有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層と、
 前記高屈折率層に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層が更に設けられていることを特徴とする有機EL素子。

0009

(2)前記高屈折率層は前記透明電極と基板との間に設けられていることを特徴とする(1)の有機EL素子。

0010

(3)前記高屈折率層が、金属化合物を含む前駆体を分散させた塗液を塗布した後に固化することによって形成されたものであることを特徴とする(1)又は(2)の有機EL素子。

0011

(4)1層又は複数層の有機薄膜層が少なくとも一方が透明電極である一対の電極で挟持されてなる有機EL素子において、
 前記透明電極が有機薄膜層よりも屈折率の高い高屈折率層であり、前記高屈折率層に接して、媒質中に屈折率の異なる材料よりなる微小球を分散させた層が更に設けられていることを特徴とする有機EL素子。

0012

(5)前記微小球の径が50nm〜5μmである事を特徴とする(1)〜(4)の有機EL素子。

0013

(6)前記一対の電極が透明電極と金属電極とからなり、前記有機薄膜層中の正孔と電子の再結合発光領域が前記金属電極から100nm以上離れていることを特徴とする(1)〜(5)の有機EL素子。

0014

(7)前記有機薄膜層中の発光層が前記金属電極から100nm以上離れていることを特徴とする(1)〜(5)の有機EL素子。

0015

 つまり、有機層よりも屈折率の高い高屈折率層を設けると、横方向に伝播するEL発光が高屈折率層に集中するために電極からの伝搬損失の影響が小さくなる。
さらに基板面に平行な方向の周期構造を設けると、光取り出し効率が向上する。この周期構造として、前記高屈折率層に接して、微小球を分散させて周期構造をなしている層を挿入する。媒質と微小球の屈折率に差ができるように材料系を適宜選択することにより、屈折率差の周期構造を形成することができる。この場合、媒質と微小球のどちらの方が屈折率が大きくても構わない。微小球の径は、EL発光を効率良く取り出すために50nm〜5μmが好ましい。

0016

 高屈折率層は以下のような条件が求められる。高屈折率層の厚さは、薄すぎるとEL発光を有効に閉じ込められないため50nm以上が好ましく、200nm以上であればより好ましい。また、高屈折率層の屈折率は有機層よりも高い必要があるが、具体的には1.7以上が好ましい。また、吸収によるロスを少なくするために透明である必要がある。このような条件の膜の形成をスパッタ法等の通常の蒸着法で行うと、膜厚と透明性との両立が困難であった。つまり、蒸着法では膜厚を厚くするほど膜の均一性が低下して透明性が低下するという問題があった。また、蒸着法では設備が大掛かりになり製造コストが非常に高くなってしまうという問題があった。

0017

 そこで高屈折率層を、前記透明電極と基板との間に設ける際、金属化合物を含む前駆体を分散させた塗液を塗布した後に固化することによって設けるか、もしくは透明電極自身が高屈折率層となるよう、有機薄膜層よりも屈折率の大きなものを選択することで前述の問題を解決することができる。

0018

 前者の場合、金属化合物を含む前駆体を分散させた塗液を塗布した後に固化して高屈折率層を形成することによって、従来困難であった膜厚と透明性との両立が可能となり、かつ製造コストを低減させることができる。具体的には、ゾルゲル法塗布熱分解法有機酸塩法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような方法により、厚膜を均一に形成でき、かつ製造コストが安いというメリットが得られる。

0019

 金属化合物を含む前駆体としては、公知のものが適用可能であるが、例えば金属アルコキシド有機酸塩金属錯塩酸化物等が挙げられる。

0020

 また、透明電極の対向電極が金属電極の場合、EL発光領域と金属電極との距離を離す構成とすることによって発光場所を金属電極から離すことによって、効率よく外部に取り出すことが有効である。このため、特に出射角の大きい発光成分が効率よく外部に取り出されることによって発光効率が向上する。

0021

 つまり、有機EL素子は、有機層を一対の対向電極で挟んだ構成をしている。通常、発光の取り出しのために片側の電極にはITO等の透明電極を用いており、もう一方の電極は金属電極となっているのが一般的である。この構成において、EL発光した光が有機層中を導波するときに、金属電極からの伝搬損失を受ける(「光集積回路」,西原浩等著,オーム社)。これは、一般に光波長の領域では、金属中における電荷慣性効果によって金属は誘電率が負でかつ損失の大きい誘電体としてふるまうからである。出射角が0°に近い発光成分は、金属電極の近傍を通る距離が短いため伝搬損失の影響は小さいが、出射角が大きい成分は金属電極の近傍を通る距離が長いために伝搬損失の影響が大きい(図1)。図1において、100はITO基板、101は有機膜、102は陰極を示している。出射角がある程度以上大きくなると、空気との境界面で全反射してしまうために閉じ込められてしまい、さらに金属電極の伝搬損失の影響は大きくなる。

0022

 このように、有機EL素子においては出射角の大きい発光成分を効率よく外部に取り出すことが光取り出し効率の向上につながる。本発明者は、鋭意検討を行った結果、発光領域と金属電極とを100nm以上離すことによって発光効率が向上することを見出した。
この構成を高屈折率層、微小球を分散させた層を有する有機EL素子に用いることによって、発光効率が向上した有機EL素子を得ることが可能となった。

発明の効果

0023

 本発明の有機EL素子においては、出射角の大きい発光成分を効率よく外部に取り出すことが可能となったため、光り取り出し効率が向上した有機EL素子が得られた。

発明を実施するための最良の形態

0024

 本発明に係る有機EL素子の素子構造は、電極間に有機層を1層あるいは2層以上積層した構造であり、その例として、陽極/発光層/陰極からなる構造、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる構造、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極からなる構造、陽極/発光層/電子輸送層/陰極からなる構造等の構造が挙げられる。

0025

 通常、陽極を透明電極とし、陰極を金属電極として陽極側からEL発光を取り出すのが一般的であるが、この場合、発光領域と陰極との距離を離すことになる。発光層と陰極との間に電子輸送層を挿入している場合、電子輸送層の厚さを100nm以上にすることによって発光領域と陰極との距離を離すことができる。また、電子輸送層を、正孔や励起子のブロッキングをする層と電子輸送性スペーサー層の2層又はそれ以上から構成することもできる。スペーサー層として導電性の高い材料を用いることによって、素子の駆動電圧をあまり高くすることなく発光領域と陰極との距離を離すことができる。陽極/正孔輸送層/発光層/陰極の素子構成の場合、発光層には発光性とともに電子輸送性を有する材料が一般に用いられるが、この場合、発光層中の正孔輸送層近傍が正孔と電子の再結合発光領域となるため、発光層の膜厚を厚くすることによって発光領域は陰極から離れることになる。

0026

 陽極が金属電極である場合、発光領域と陽極とを離すことになる。発光層と陽極との間に正孔輸送層を挿入している場合、正孔輸送層の厚さを100nm以上にすることによって発光領域と陽極との距離を離すことができる。また、正孔輸送層を、電子や励起子のブロッキングをする層と正孔輸送性のスペーサー層の2層又はそれ以上から構成することもできる。スペーサー層として導電性の高い材料を用いることによって、素子の駆動電圧をあまり高くすることなく発光領域と陽極との距離を離すことができる。陽極/発光層/電子輸送層/陰極の素子構成の場合、発光層には発光性とともに正孔輸送性を有する材料が一般に用いられるが、この場合、発光層中の電子輸送層近傍が正孔と電子の再結合発光領域となるため、発光層の膜厚を厚くすることによって発光領域は陽極から離れることになる。

0027

 本発明に用いられる正孔輸送材料は特に限定されず、正孔輸送材料として通常使用されている化合物であれば何を使用してもよい。正孔輸送材料の具体例としては、例えば、下記のビス(ジ(p−トリルアミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン[01]、N,N’—ジフェニルーN,N’—ビス(3−メチルフェニル)−1,1’—ビフェニル−4,4’—ジアミン[02]、N,N’−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン[03]等のトリフェニルジアミン類や、スターバースト型分子([04]〜[06]等)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体ポリアニリン誘導体ポリチオフェン誘導体等の導電性高分子、等が挙げられる。

0028

0029

 導電性高分子は一般に導電性が高いため、正孔輸送性のスペーサー層として有効である。また、FeCl3等のルイス酸と正孔輸送材料との混合膜も適用可能である。

0030

 本発明に用いられる電子輸送材料は特に限定されず、電子輸送材料として通常使用されている化合物であれば何を使用してもよい。電子輸送材料の具体例としては、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール[07]、ビス{2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール}−m−フェニレン[08]等のオキサジアゾール誘導体トリアゾール誘導体([09]、[10]等)、キノリノール系の金属錯体([11]〜[14]等)、バソフェナントロリン[15]、バソクプロイン[16]、等が挙げられる。

0031

0032

 電子輸送材料と金属との混合膜は、膜厚を厚くしても駆動電圧が低く抑えられるため電子輸送性のスペーサー層として有効である。この場合、電子輸送材料としては、公知の電子輸送材料から適宜選択することができる。また金属としては、公知の金属から適宜選択することができるが、電子輸送性を持たせるためにイオン化ポテンシャルの小さい金属を用いることが好ましい。例えば、Mg、Ca、Li、Cs、Al、等が挙げられる。

0033

 本発明に用いられる発光材料は特に限定されず、発光材料として通常使用されている化合物であれば何を使用してもよい。例えば、ジスチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報、特開平5−17765号公報)、クマリン誘導体ジシアノメチレンピラン誘導体ペリレン誘導体(特開昭63−264692号公報)、また、芳香環系材料(特開平8−298186、特開平9−268284号公報)やアントラセン系化合物(特開平9−157643号公報、特開平9−268283号公報、特開平10−72581号公報)、キナクリドン誘導体(特開平5−70773号公報)、等が挙げられる。

0034

 有機EL素子の陽極は、正孔を正孔輸送層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、金等が挙げられる。また、陰極としては、電子輸送帯又は発光層に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等を使用できる。

0035

 本発明の有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択できる。例えば、真空蒸着法分子線蒸着法MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液ディッピング法スピンコーティング法キャスティング法バーコート法ロールコート法等の塗布法、等が挙げられる。

0036

0037

 以下、本発明の実施例について詳細に説明する。

0038

 本実施例に係わる有機EL素子の断面図を図2に示した。Ti(i−OC3H7)4を無水エタノール希釈し、攪拌しながら塩酸を無水エタノールで希釈した溶液を滴下して透明なゾル(塗布液)を調製し、さらにSiO2の微小球(平均粒径280nm)を分散させて、これをガラス基板900上にディップコートによって成膜した後、高温処理することによって、SiO2の微小球を分散した酸化チタン層901を形成した。その上にさらに、Ti(i−OC3H7)4を無水エタノールで希釈し、攪拌しながら塩酸を無水エタノールで希釈した溶液を滴下して透明なゾル(塗布液)を調製し、これをガラス基板900上にディップコートによって成膜した後、高温処理することによって、酸化チタン膜を形成した。このコーティング工程を10回程度繰り返すことにより、高屈折率層となる膜厚0.9μmの酸化チタン層よりなる高屈折率層902を形成した。

0039

 次に、ITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように成膜し、陽極903とした。その上に有機層904として以下の2層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、電子輸送層として化合物[16]とマグネシウムを蒸着速度比2:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を400nm形成した。

0040

 次に、陰極905としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作成した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、391cd/m2の発光が得られた。

0041

(比較例)
 本比較例に係わる有機EL素子の断面図を図3に示した。ガラス基板300上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように成膜し、陽極301とした。

0042

 その上に有機層302として以下の3層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、電子輸送層として化合物[16]とマグネシウムを蒸着速度比2:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を400nm形成した。

0043

 その後、陰極303としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作製した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、143cd/m2の発光が得られた。

0044

(参考例1)
 本参考例に係わる有機EL素子の断面図を図4に示した。水酸化インジウム無水塩化第二スズからなるコロイド粒子塩化インジウム水溶液超音波分散し、酢酸ポリビニルアルコールを添加して調製した塗布液を作成し、これをガラス基板500上にディップコートによって成膜した後、高温処理することによって、高屈折率層となる膜厚1.3μmのITO膜501を形成した。その上にSiOを真空蒸着法にて50nm形成した後、反応性ガスエッチングを行い、SiOからなる回折格子502を形成した。回折格子は、ピッチ700nm、ラインスペース=1:1とした。

0045

 その上に有機層503として以下の2層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて80nm形成した。

0046

 次に、陰極504としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作成した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、287cd/m2の発光が得られた。

0047

(参考例2)
 本参考例に係わる有機EL素子の断面図を図4に示した。参考例1と同様にしてITO、SiOを形成した。その上に有機層503として以下の3層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、電子輸送層として化合物[16]とマグネシウムを蒸着速度比2:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を400nm形成した。

0048

 次に、陰極504としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作成した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、368cd/m2の発光が得られた。

0049

(参考例3)
 本参考例に係わる有機EL素子の断面図を図4に示した。参考例1と同様にしてガラス基板500上に高屈折率層となる膜厚1.3μmのITO膜を形成した。その上に、ITOをスパッタリングによって80nm成膜し、ITO膜501とした。

0050

 その上にSiOを真空蒸着法にて50nm形成した後、反応性ガスエッチングを行い、SiOからなる回折格子502を形成した。回折格子は、ピッチ700nm、ライン/スペース=1:1とした。

0051

 その上に有機層503として以下の2層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、電子輸送層として化合物[16]とマグネシウムを蒸着速度比2:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を400nm形成した。

0052

 次に、陰極504としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作成した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、418cd/m2の発光が得られた。

0053

(参考例4)
 本参考例に係わる有機EL素子の断面図を図5に示した。Ti(i−OC3H7)4を無水エタノールで希釈し、攪拌しながら塩酸を無水エタノールで希釈した溶液を滴下して透明なゾル(塗布液)を調製し、これをガラス基板600上にディップコートによって成膜した後、高温処理することによって、酸化チタン膜を形成した。このコーティング工程を10回程度繰り返すことにより、高屈折率層となる膜厚0.9μmの酸化チタン層601を形成した。

0054

 次に、ITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように成膜し、陽極602とした。その上にSiOを真空蒸着法にて50nm形成した後、反応性ガスエッチングを行い、SiOからなる回折格子603を形成した。回折格子は、ピッチ700nm、ライン/スペース=1:1とした。

0055

 その上に有機層604として以下の2層を形成した。まず正孔輸送層として、化合物[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層として化合物[11]を真空蒸着法にて60nm形成した。次に、電子輸送層として化合物[16]とマグネシウムを蒸着速度比2:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を400nm形成した。

0056

 次に、陰極605としてマグネシウム−銀合金を蒸着速度比10:1で真空蒸着法にて共蒸着した膜を150nm形成して有機EL素子を作成した。この素子に5mA/cm2の直流電圧を印加したところ、431cd/m2の発光が得られた。

図面の簡単な説明

0057

有機EL素子の断面図である。
本発明に係わる有機EL素子の一例の断面図である。
比較例の有機EL素子の断面図である。
参考例1〜3の有機EL素子の一例の断面図である。
参考例4の有機EL素子の一例の断面図である。

符号の説明

0058

100ITO基板
101有機膜
102陰極
300ガラス基板
301陽極
302有機層
303 陰極
500 ガラス基板
501ITO膜
502 SiO
503 有機層
504 陰極
600 ガラス基板
601酸化チタン層
602 ITO膜
603 SiO
604 有機層
605 陰極
900 ガラス基板
901 SiO2の微小球を分散した酸化チタン層
902 高屈折率層
903 ITO膜
904 有機層
905 陰極

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