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課題
解決手段
インドール誘導体三量体(A)を、水、有機溶媒などの溶媒中で、酸化剤により酸化することを特徴とするインドール誘導体三量体酸化体の製造方法およびそれにより得られた新規インドール誘導体三量体酸化体、積層構造を持つインドール誘導体三量体酸化体。
概要
背景
概要
インドール誘導体三量体酸化体を高収率、高純度で大量合成することができる工業的な製造方法及びその方法により得られた導電性を有する酸化還元電位、酸化還元容量、サイクル特性が良好な新規なインドール誘導体三量体酸化体を提供。インドール誘導体三量体(A)を、水、有機溶媒などの溶媒中で、酸化剤により酸化することを特徴とするインドール誘導体三量体酸化体の製造方法およびそれにより得られた新規インドール誘導体三量体酸化体、積層構造を持つインドール誘導体三量体酸化体。 なし
目的
本発明の目的は、インドール誘導体三量体酸化体を高収率、高純度で大量生産することができる工業的な製造方法およびその方法によって得られた、高導電性を有し、高い酸化還元電位、高い酸化還元容量、サイクル特性が良好な新規なインドール誘導体三量体酸化体を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
下記一般式(1)(上記式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体(A)を、溶媒中で酸化することを特徴とする下記一般式(2)(これら式中、R1〜R12は各々一般式(1)中のR1〜R12に対応する置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体酸化体の製造方法。
請求項2
インドール誘導体三量体酸化体が、積層構造を有することを特徴とする請求項1記載のインドール誘導体三量体酸化体の製造方法。
請求項3
下記一般式(3)(これら式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体酸化体。
請求項4
インドール誘導体三量体酸化体が、積層構造をもつことを特徴とする請求項3記載のインドール誘導体三量体酸化体。
技術分野
0001
本発明はインドール誘導体三量体酸化体(以下三量体酸化体ともいう)の製造方法およびそれにより得られた新規なインドール誘導体三量体酸化体に関するものである。該三量体を主成分とする組成物は、各種帯電防止、制電、コンデンサ、電池、EMIシールド、化学センサー、表示素子、有機EL材料、非線形材料、防錆剤、接着剤、繊維、帯電防止塗料、電着塗装、メッキプライマー、静電塗装用導電性プライマー、電気防食等に適用可能である。
0002
これまでに、インドールの重合反応例としては、例えば、インドールの化学重合法として、特開平5−148320号公報で酸化剤溶液中にインドール溶液を滴下する方法が提案されている。この方法は、無置換のインドールを原料とする場合についてのみ提案されているものであり、置換基を持つインドール誘導体については何ら記載されていない。また、生成物はインドールを繰り返し単位とするポリマーであり、三量体及びその三量体酸化体の生成に関しては何ら記載されていない。
0003
一方、インドールを単量体として用いた環状三量体の製造方法としては、例えば、J.Electroanal.Chem.,414(1996)197頁に、無置換インドール、4—ニトロインドール、5—ニトロインドールの電解反応によるポリマーの合成が、また、J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,93(1997)3791頁には、無置換インドール、5—シアノインドールの電解反応による三量体の合成についてそれぞれ報告されている。これらの文献に記載されている方法で取得した無置換インドールや置換インドールでは、酸化還元テスト(サイクルテスト)を行うと、三量体の劣化が進行し、結果としてサイクル特性が悪く、導電性デバイスへの適用が困難であった。さらに電解反応では三量体を一度に大量合成することは困難で、工業的製法としては適用し難いと言う問題点も有している。また、これら報告においても三量体酸化体の生成に関しては何ら記載されていない。
0004
Heterocycles,12(1979)471頁、Chem.Pharm.Bull.,29,(1981)3499頁に、TiCl3あるいはFeSO4とH2O2を用いた無置換インドール三量体の合成が報告されている。しかしながら、報告論文中にも記載されている通り、数種類の副生成物が混在していること、及び目的とする三量体の収率が低いなどの課題点が多かった。また、これら報告においても三量体酸化体の生成に関しては何ら記載されていない。
0005
同様に、J.Org.Chem.1998,63,7002頁には、5−アセチルインドール、5−メトキシインドールを酸性条件下、過硫酸アンモニウムを用いて反応させてインドール三量体を合成する方法について報告されている。しかしながら、得られるインドール三量体は低収率であり、しかも、不純物として対称型インドール三量体(インドール単量体が全て同方向に結合してできた三量体化合物)などの副生物が存在するなどの課題を残している。また、これら報告においても三量体酸化体の生成に関しては何ら記載されていない。
0006
また、Synthetic Metals,80(1996)309頁でも,電解反応による無置換インドール三量体の合成が報告されており、その物性は、層間隔:0.658nm、導電率:0.03S/cmと報告されている、三量体酸化体の生成に関しては何ら記載されていない。
0007
環状三量体の酸化体については、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,2(2000)2337頁には、無置換インドール三量体と二酸化鉛を用いた無置換三量体酸化体の合成が報告されている。しかしながら、得られる無置換三量体酸化体は低収率で得られ工業的に適しているとは言い難い。また、記載されている方法で取得した無置換インドール三量体酸化体は、インドール骨格内の窒素原子の水素結合位置が異なり、これらの無置換インドール三量体酸化体では、酸化還元テスト(サイクルテスト)を行うと、三量体酸化体の劣化が進行し、結果としてサイクル特性が悪く、導電性デバイスへの適用が困難であった。
背景技術
0008
このように、従来技術で得られる無置換インドール三量体や置換インドール三量体及び無置換インドール三量体酸化体はサイクル特性、工業的製造への適用が不充分であり、高酸化還元電位、高酸化還元容量、高サイクル特性を有するインドール誘導体三量体酸化体の開発と、これらの工業的な製造法の開発が当該分野では重要な課題となっていた。
【特許文献1】
特開平5−148320号公報
【非特許文献1】
J.Electroanal.Chem.,414(1996)197頁
【非特許文献2】
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,93(1997)3791頁
【非特許文献3】
Heterocycles,12(1979)471頁
【非特許文献4】
Chem.Pharm.Bull.,29,(1981)3499頁
【非特許文献5】
J.Org.Chem.1998,63,7002頁
【非特許文献6】
Synthetic Metals,80(1996)309頁
【非特許文献7】
J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,2(2000)2337頁
発明が解決しようとする課題
0009
本発明の目的は、インドール誘導体三量体酸化体を高収率、高純度で大量生産することができる工業的な製造方法およびその方法によって得られた、高導電性を有し、高い酸化還元電位、高い酸化還元容量、サイクル特性が良好な新規なインドール誘導体三量体酸化体を提供することにある。
0010
本発明者らは、高導電性を有し、高い酸化還元電位、高い酸化還元容量、サイクル特性が良好なインドール誘導体三量体酸化体の製法を鋭意検討した結果、インドール誘導体三量体(A)を、溶媒中で酸化することにより、高収率で反応が進行することを見い出した。しかも、得られたインドール誘導体三量体酸化体は、高導電性、高酸化還元電位、高酸化還元容量、高サイクル特性を示すと共に水溶液にも良く溶解し、更に有機溶剤にも優れた溶解性を示した。
0011
すなわち本発明の第一は、下記一般式(1)
【化4】
(上記式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体(A)を、溶媒中で酸化することを特徴とする下記一般式(2)
【化5】
(これらの式中、R1〜R12は各々一般式(1)中のR1〜R12に対応する置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体酸化体の製造方法に関する。
0012
本発明の第二は、下記一般式(3)
【化6】
(これらの式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)で示されるインドール誘導体三量体酸化体に関する。
課題を解決するための手段
0014
以下、本発明のインドール誘導体三量体酸化体の製造方法について詳細に説明する。
0016
本発明では、特に、下記一般式(4)
【化7】
(上記式中、R13〜R16は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボキシル基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基である。)で示される少なくとも一種のインドール誘導体を、少なくとも一種の酸化剤と少なくとも一種の溶媒を含む反応混合物中において反応させることにより得られるインドール誘導体三量体(A)が好ましく用いられる。
0017
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いられる一般式(4)で示されるインドール誘導体は、具体的には、4—メチルインドール、5—メチルインドール、6—メチルインドール、7—メチルインドール、4—エチルインドール、5—エチルインドール、6—エチルインドール、7—エチルインドール、4—n−プロピルインドール、5—n−プロピルインドール、6—n−プロピルインドール、7—n−プロピルインドール、4—iso−プロピルインドール、5—iso−プロピルインドール、6—iso−プロピルインドール、7—iso−プロピルインドール、4—n−ブチルインドール、5—n−ブチルインドール、6—n−ブチルインドール、7—n−ブチルインドール、4—sec−ブチルインドール、5—sec−ブチルインドール、6—sec−ブチルインドール、7—sec−ブチルインドール、4—t−ブチルインドール、5—t−ブチルインドール、6—t−ブチルインドール、7—t−ブチルインドールなどのアルキル基置換インドール類、4—メトキシインドール、5—メトキシインドール、6—メトキシインドール、7—メトキシインドール、4—エトキシインドール、5—エトキシインドール、6—エトキシインドール、7—エトキシインドール、4—n−プロポキシインドール、5—n−プロポキシインドール、6—n−プロポキシインドール、7—n−プロポキシインドール、4—iso−プロポキシインドール、5—iso−プロポキシインドール、6—iso−プロポキシインドール、7—iso−プロポキシインドール、4—n−ブトキシインドール、5—n−ブトキシインドール、6—n−ブトキシインドール、7—n−ブトキシインドール、4—sec−ブトキシインドール、5—sec−ブトキシインドール、6—sec−ブトキシインドール、7—sec−ブトキシインドール、4—t−ブトキシインドール、5—t−ブトキシインドール、6—t−ブトキシインドール、7—t−ブトキシインドールなどのアルコキシ基置換インドール類、4—アセチルインドール、5—アセチルインドール、6—アセチルインドール、7—アセチルインドールなどのアシル基置換インドール類、インドール—4—カルバルデヒド、インドール—5—カルバルデヒド、インドール—6—カルバルデヒド、インドール—7—カルバルデヒドなどのアルデヒド基置換インドール類、インドール—4—カルボン酸、インドール—5—カルボン酸、インドール—6—カルボン酸、インドール—7—カルボン酸などのカルボキシル基置換インドール類及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、インドール—4—カルボン酸メチル、インドール—5—カルボン酸メチル、インドール—6—カルボン酸メチル、インドール—7—カルボン酸メチルなどのカルボン酸エステル基置換インドール類、インドール—4—スルホン酸、インドール—5—スルホン酸、インドール—6—スルホン酸、インドール—7—スルホン酸などのスルホン酸基置換インドール類及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、インドール—4—スルホン酸メチル、インドール—5—スルホン酸メチル、インドール—6—スルホン酸メチル、インドール—7—スルホン酸メチルなどのスルホン酸エステル基置換インドール類、インドール—4—カルボニトリル、インドール—5—カルボニトリル、インドール—6—カルボニトリル、インドール—7—カルボニトリルなどのシアノ基置換インドール類、4—ヒドロキシインドール、5—ヒドロキシインドール、6—ヒドロキシインドール、7—ヒドロキシインドールなどのヒドロキシ基置換インドール類、4—ニトロインドール、5—ニトロインドール、6—ニトロインドール、7—ニトロインドールなどのニトロ基置換インドール類、4—アミノインドール、5—アミノインドール、6—アミノインドール、7—アミノインドールなどのアミノ基置換インドール類、4—カルバモイルインドール、5—カルバモイルインドール、6—カルバモイルインドール、7—カルバモイルインドールなどのアミド基置換インドール類、4—フルオロインドール、5—フルオロインドール、6—フルオロインドール、7—フルオロインドール、4—クロロインドール、5—クロロインドール、6—クロロインドール、7—クロロインドール、4—ブロモインドール、5—ブロモインドール、6—ブロモインドール、7—ブロモインドール、4—ヨードインドール、5—ヨードインドール、6—ヨードインドール、7—ヨードインドールなどのハロゲン基置換インドール類、4—ジシアノビニルインドール、5—ジシアノビニルインドール、6—ジシアノビニルインドール、7—ジシアノビニルインドールなどのジシアノビニル基置換インドール類、などを挙げることができる。
0018
このなかでカルボキシル基置換インドール類及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、スルホン酸基置換インドール類及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、シアノ基置換インドール類、ニトロ基置換インドール類、アミド基置換インドール類、ハロゲン基置換インドール類などが実用上好ましく、シアノ基置換インドール類、カルボキシル基置換インドール類、スルホン酸基置換インドール類が特に好ましい。
0019
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いる酸化剤は、特に限定されないが、例えば塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硝酸第二鉄、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物塩化第二鉄六水和物などを挙げられる。好ましくは、塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硝酸第二鉄、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素、オゾンを挙げることができる。より好ましくは、塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硝酸第二鉄、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、過硫酸アンモニウム、オゾンが挙げられ、その中でも、塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、過硫酸アンモニウム、オゾンが最も実用上好ましい。なお、これらの酸化剤はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で併用して用いてもよい。
0020
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いるインドール誘導体と、酸化剤とのモル比は、インドール誘導体:酸化剤=1:0.5〜100、好ましくは1:1〜50で用いられる。ここで、酸化剤の割合が低いと反応性が低下して原料が残存し、逆にその割合があまり高いと生成した三量体を過酸化して、生成物の劣化を引き起こすことがある
0021
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いる溶媒は、水、有機溶媒が使用できる。有機溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ—ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどが用いられる。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。これら溶媒のなかでは、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが好ましく、とくにアセトニトリルが実用上もっとも好ましい。
0022
また、前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法では水と有機溶媒を共存させて反応させることが特に好ましい。前記インドール誘導体と、水との使用モル比は、インドール誘導体:水=1:1000〜1000:1、好ましくは1:100〜100:1で用いられる。ただし、酸化剤が結晶水を持っている場合は、その結晶水量も水として計量する。ここで、水の割合が低いと反応が暴走して三量体を過酸化して構造劣化すると同時に、三量体に対してドーパントとなるXa−が効率良くドープできない場合があり、導電率が低下することがある。逆にその割合が高すぎると酸化反応の進行を妨げて反応収率が低下することがある。
0023
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法では、反応時のインドール誘導体の濃度は、溶媒に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
0024
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で得られるインドール誘導体三量体(A)は、酸化剤として過酸化水素やオゾンを用いる場合以外は通常反応時溶媒中に含まれるアニオンがドープされた状態(ドープ型)で得られる場合が一般的であり、一般式(1)で示される。
0025
【化8】
(上記式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ジシアノビニル基、アルキル(炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基)オキシカルボニルシアノビニル基、ニトロフェニルシアノビニル基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた置換基である。また、Xa−は、少なくとも1種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、mはドープ率であり、その値は0〜3.0である。)
0026
前記一般式(1)で示されるインドール誘導体三量体(A)中のXa−はドーパントであり、重合中の酸化剤等に由来するプロトン酸の陰イオンである。Xとしては、無機酸イオン、有機酸イオン、あるいは高分子酸イオンなどが用いられるが、インドール誘導体三量体(A)にドープし電気化学的活性を与えるものであれば、特に限定されない。具体的には、無機酸イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン等のハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等の窒素酸素酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過硫酸イオン、硫酸水素イオン等の硫黄酸素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等のリン酸素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン等が挙げられる。また、有機酸イオンとしては、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のアルキルあるいはアリールカルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等のアルキルあるいはアリールスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに高分子酸イオンとしては、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)等のスルホン酸基及び/又はカルボキシル基を有する導電性ポリマーイオン等が挙げられる。好ましくは、無機酸イオンあるいは、有機酸イオンであり、より好ましくは、無機酸イオンであり、最も好ましくは塩素イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等の1〜2価の無機酸陰イオンである。例えば、酸化剤として無水塩化第二鉄を選んで重合を行った場合、インドール誘導体三量体中のドーパントXa−は塩素イオンとなり、トリフルオロ酢酸第二銅を用いて重合を行った場合は、ドーパントXa−はトリフルオロ酢酸イオンとなる。
0027
本発明において前記一般式(1)のような外部ドーパントXa−がドープされたインドール誘導体三量体(A)をそのまま用いてもよいし、インドール誘導体三量体(A)に脱ドーピング処理を施し外部ドーパントを取り除いた脱ドープ型に変換してからも用いることができる。この場合、単にドープ型から脱酸処理または還元処理によって脱ドープ型にすることにより酸化剤を用いることなく酸化反応がより効率的に進行し、インドール誘導体三量体酸化体が得られる場合があり、工業的に非常に適した製造方法である。
0028
脱ドーピング処理の方法としては特に限定されるものではないが、例えば、脱酸処理または還元処理などの従来から各種導電性ポリマー、電荷移動錯体の脱ドーピング工程として公知の方法が用いられる。脱酸処理としては、塩基性化合物などのアルカリ性溶液中にドープ型インドール誘導体三量体を懸濁または溶解させてドーパントXa−を除去する方法が挙げられる。
0029
脱酸処理に用いられる塩基性化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類、それらのアンモニウム化合物類、及び無機塩基などが好ましく用いられる。
0030
本発明の前記塩基性化合物として用いられるアミン類の構造式を下記一般式(5)に示す。
【化9】
式中、R17〜R19は各々互いに独立に選ばれた水素、炭素数1〜4(C1〜C4)のアルキル基、CH2OH、CH2CH2OH、CONH2またはNH2を表す。
0031
本発明の前記塩基性化合物として用いられるアンモニウム化合物類の構造式を下記一般式(6)に示す。
【化10】
式中、R20〜R23は各々互いに独立に選ばれた水素、炭素数1〜4(C1〜C4)のアルキル基、CH2OH、CH2CH2OH、CONH2またはNH2を表し;Y−はOH−、1/2・SO42−、NO3−、1/2CO32−、HCO3−、1/2・(COO)22−、またはR‘COO−[式中、R‘は炭素数1〜3(C1〜C3)のアルキル基である]を表す。
0033
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
0035
これら塩基性化合物の濃度は0.05mol/l以上、15mol/l以下、好ましくは0.1〜10.0mol/l、更に好ましくは0.2〜8.0mol/lの範囲で用いられる。この際、塩基性化合物が少なすぎる場合は、脱酸処理が不十分であることがあり、逆に多すぎる場合は、導電性が低下する傾向を示す。前記塩基性化合物は、それぞれ任意の割合で混合して用いることもできる。
0036
前記インドール誘導体三量体(A)と塩基性化合物との重量比は1:100〜100:1、好ましくは10:90〜90:10が用いられる。ここで、塩基性化合物の割合が低すぎると脱酸処理が不十分であり、反応性が低下する傾向を示す。逆に割合が高すぎる場合は塩基性化合物が塩を形成する割合が高くなり導電性が低下することがある。
0038
本発明の反応は、インドール誘導体三量体(A)を、溶媒中で酸化することにより行う。
0039
本発明の、インドール誘導体三量体酸化体の合成法で用いる酸化反応は、酸化剤を用いて行うことができる。酸化剤の種類は、特に限定されないが、例えば塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硝酸第二鉄、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物塩化第二鉄六水和物などを挙げられる。好ましくは、塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、硝酸第二鉄より等の鉄系酸化剤、硫酸第二銅、塩化第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅等の銅系酸化剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸系酸化剤、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、を挙げることができる。なお、これらの酸化剤はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で併用して用いてもよい。
0040
前記のインドール誘導体三量体(A)の合成法で用いるインドール誘導体と、酸化剤とのモル比は、インドール誘導体:酸化剤=1:0.5〜100、好ましくは1:1〜50で用いられる。ここで、酸化剤の割合が低いと反応性が低下して原料が残存し、逆にその割合があまり高いと生成した三量体を過酸化して、生成物の劣化を引き起こすことがある
0041
本発明の酸化反応は、空気酸化やオゾン酸化を用いて行うこともできる。反応は空気中またはオゾン中に溶媒中で進行するが、溶媒中にばバブリングさせることにより効率的に反応は進行する。この様な酸化反応は、反応終了後の酸化剤由来の廃液処理が必要なく、環境性、工業的に有効な反応手段である。
0042
前記のインドール誘導体三量体酸化体の合成法で用いる溶媒は、水、有機溶媒が使用できる。有機溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ—ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどが用いられる。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。これら溶媒のなかでは、水、アセトン、アセトニトリル、メタノール、1,4−ジオキサン、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルオキシドなどが好ましく、とくに水、アセトニトリル、メタノールが実用上もっとも好ましい。
0043
また、本発明のインドール誘導体三量体酸化体の合成法に用いられるインドール誘導体三量体(A)が、前述したとおりドープ型インドール誘導体三量体として得られる場合が多いため、本反応に脱ドープ型のインドール誘導体三量体(A)(m=0の場合)を用いる場合、上記酸化時の溶媒で脱ドーピング処理をし、そのまま単離することなく酸化反応を連続的にすることができる。その場合、溶媒中には脱ドーピング処理に用いられた前記塩基性化合物を含有していても構わない。
0044
前記のインドール誘導体三量体酸化体の製造法では、反応時のインドール誘導体三量体(A)の濃度は、溶媒に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
0045
本発明の製造法における反応温度は、−20〜120℃の範囲で行うのが好ましく、より好ましくは0〜100℃の範囲が適用される。−20℃以下では酸化反応の進行が極めて遅く、また120℃以上では三量体の構造劣化が進行し、導電性が低下する傾向にある。
0046
また、本発明の製造法における反応方法は任意に選ぶことができる。例えば、インドール誘導体三量体(A)の溶液中に、酸化剤(ハ)の溶液を添加する方法も可能であり、この逆の方法も適用可能である。酸化剤(ハ)溶液の添加時間は特に限定されないが、通常は、15分以上であり、好ましくは30〜720分、より好ましくは30〜180分である。オゾン酸化あるいは空気酸化を行う場合は、オゾンあるいは空気雰囲気下で溶液中、溶解または懸濁し、攪拌してもよいし、好ましくはインドール誘導体三量体(A)の溶液中に、空気、オゾンを吹き込む方法も可能である。空気酸化やオゾン酸化の反応時間は特に限定されないが、通常は、15分以上であり、好ましくは30〜720分、より好ましくは30〜300分である。
0047
本発明の製造法で得られる一般式(2)または(3)で示されるインドール誘導体三量体酸化体は、外部ドーパントを付加することもできる。Xとしては、無機酸イオン、有機酸イオン、あるいは高分子酸イオンなどが用いられるが、インドール誘導体三量体酸化体にドープし電気化学的活性を与えるものであれば、特に限定されない。具体的には、無機酸イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン等のハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等の窒素酸素酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過硫酸イオン、硫酸水素イオン等の硫黄酸素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等のリン酸素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン等が挙げられる。また、有機酸イオンとしては、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のアルキルあるいはアリールカルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等のアルキルあるいはアリールスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに高分子酸イオンとしては、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)等のスルホン酸基及び/又はカルボキシル基を有する導電性ポリマーイオンなどが挙げられる。好ましくは、無機酸イオンあるいは、有機酸イオンであり、より好ましくは、無機酸イオンであり、最も好ましくは塩素イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等の1〜2価の無機酸陰イオンである。
0048
本発明の製造法で得られるインドール誘導体三量体酸化体は、酸化剤として過酸化水素を用いる場合以外はドープ型のインドール誘導体三量体酸化体であり、その繰り返し単位に対する外部ドーパントXa−のモル比(ドープ率)mは0.001〜3.0である。また、空気酸化またはオゾン酸化を用いる場合もm=0となる。
0049
本発明のインドール誘導体三量体酸化体を電池、コンデンサ等の電極に使用する場合、サイクル特性が良好であることが必要不可欠である。サイクル特性は外部ドーパントXa−の種類によってその優劣が影響する場合もある。サイクル特性が良好なインドール誘導体三量体酸化体を与える外部ドーパントXa−は、無機酸イオンあるいは、有機酸イオンであり、より好ましくは、無機酸イオンであり、最も好ましくは塩素イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等の1〜2価の無機酸陰イオンである。
0050
また、本発明のXa−成分の存在下における反応方法により得られた外部ドープ型酸性基置換複素環式化合物三量体は、従来から各種導電性ポリマー、電荷移動錯体の脱ドープ工程として公知の方法、すなわち、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ性溶液中に三量体をケン濁させて外部ドーパントXa−を除去することができる。
0051
また、再度任意の種類、任意の量のドープ剤による処理により任意の外部ドーパントを任意のドープ率で付加することもできる。つまり、反応終了後に生成したインドール誘導体三量体酸化体に対して、酸性溶液を用いてドーピング処理を行うことで、ドープ率が向上して導電性を向上させることができる。酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸およびこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸や、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸およびこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水—有機溶媒の混合溶液である。なお、これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
0052
また、本発明の方法により得られたインドール誘導体三量体酸化体を、インドール誘導体三量体酸化体単独の導電性組成物として、あるいは導電補助剤として各種カーボン、あるいは添加剤としてコロイダルシリカ、各種バインダーと混練・複合させてインドール誘導体三量体酸化体複合体の導電性組成物として使用することができる。そのなかでも特に粒径0.1〜50μmの粒子を使用した導電性組成物が好ましい。この粒径調製方法は特に限定されないが、一般的にはスラリー洗浄後にスプレードライを行うか、あるいは乾燥後の粉体を乳鉢、インドール誘導体三量体酸化体の粒径が50μmを超えたものを使用して前述の導電性組成物を成型すると、成型品の機械的強度が脆くなる傾向にある。
0053
さらに、本発明のインドール誘導体三量体酸化体は、積層構造を有することにより導電機能が発現する。特に、層間隔0.1〜2.0nmである積層構造を有していることが好ましい。一般的に、超微細積層構造をもつ化合物は、剛性、強度、耐熱性などの物性が良好である。ただし、層間隔が0.1nm未満であると積層構造が不安定となる傾向にある。また2.0nmよりも層間隔が広がると、三量体相互間での電子ホッピング伝導に悪影響を与え、導電性が低下する傾向にある。
0055
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、インドール誘導体三量体合成例において、元素分析測定は、サーモクエスト社製 EA1110で測定した。導電率測定は、三菱化学製ロレスター計 MCP−T350(4端子法:電極間距離1mm)で測定した。さらに、X線回折解析(XRD)は、理学電機株式会社製RINT−1100(管球:CuKαX線)で、1H−NMRおよび1H−1HCOSYは、日本電子製JNM GX−270、およびVARIAN製INOVA−500で測定した。
0056
合成例1
ドープ型インドール−5−カルボン酸三量体の合成
200mlの三ツ口フラスコにアセトニトリル10mlを入れ、インドール−5−カルボン酸1.42gを溶解した。一方、酸化剤溶液の調製はアセトニトリル40mlに対して、無水塩化第二鉄16.2g、水5.4gを溶解して10分間攪拌した。次に、インドール−5−カルボン酸水溶液に30分間かけて、調製した酸化剤溶液を滴下した後、60℃で10時間攪拌した。反応溶液は若干の発熱を伴いながら薄黄色から淡緑色に変化し、そのpHは1以下であった。反応終了後、桐山漏斗で吸引濾過し、アセトニトリル次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、淡緑色の6,11−ジヒドロ−5H—ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボン酸、(インドール−5−カルボン酸三量体)1.12g(収率79%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.41S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.98N1.00O1.98Cl0.13)3であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.48nmであった。
0057
合成例2
ドープ型インドール−5−カルボニトリル三量体の合成
合成例1においてインドール−5−カルボン酸の代わりにインドール−5−カルボニトリルを使用する以外は合成例1と同様な方法で重合を行った。緑色の6,11−ジヒドロ−5H—ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボニトリル、(インドール−5−カルボニトリル三量体)1.22g(収率86%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.50S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.03N1.97Cl0.10)3であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.44nmであった。
0058
実施例1
インドール−5−カルボニトリル三量体酸化体(ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体の脱酸処理後に空気酸化する例)の合成
合成例2にて合成したドープ型インドール−5−カルボニトリル三量体1.00gを、1Mアンモニア水中で分散させ、1時間攪拌し、酸化をした。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、黒色の脱ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体酸化体0.95gを得た。得られた三量体酸化体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、10−6S/cm以下であった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.44nmであった。
この三量体酸化体0.95gを1M硫酸中100g中で2時間攪拌した。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、緑黒色のドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体酸化体0.95gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.55S/cmであった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は0.44nmであった。
0059
実施例2
インドール−5−カルボニトリル三量体酸化体(ドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体の脱酸処理後に酸化剤にて酸化する例)の合成
合成例2にて合成したドープ型インドール−5−カルボニトリル三量体1.00gを、1Mアンモニア水中で分散させ、10分攪拌した。一方、水10gに過硫酸アンモニウム2.8gを溶解し、酸化剤溶液を調製した。次に、三量体溶液に酸化剤溶液を30分かけて滴下し、1時間攪拌した。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、水、アセトニトリル、次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、緑黒色のドープ状態のインドール−5−カルボニトリル三量体酸化体0.95gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.50S/cmであった。
0060
実施例3
脱ドープ状態のインドール−5−カルボン酸アンモニウム三量体酸化体(ドープ状態のインドール−5−カルボン酸三量体の脱酸処理後に脱ドープ状態インドール−5−カルボン酸アンモニウム三量体を酸化する例)の合成
合成例1にて合成したドープ型インドール−5−カルボン酸三量体1.00gを、0.5Mアンモニア水中で溶解させ、1時間攪拌した後、アセトニトリル1000gに滴下し、1時間攪拌した。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥して、黒色の脱ドープ状態のインドール−5−カルボン酸アンモニウム三量体酸化体0.95gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、10−6S/cm以下であった。この三量体酸化体0.95gを1M硫酸中100g中で2時間攪拌した。攪拌後、桐山漏斗で吸引濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、緑黒色のドープ状態のインドール−5−カルボン酸三量体酸化体0.95gを得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.55S/cmであった。また、X線回折結晶解析の結果、層間隔は1.95nmであった。
発明を実施するための最良の形態
0061
比較例1
J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,2(2000)2337頁に記載の方法で無置換インドール三量体1.00gを二酸化鉛にて酸化したところ、無置換インドール三量体0.5gを得た。
図面の簡単な説明
0062
以上のように、本発明によれば、導電性を有する酸化還元容量、サイクル特性が良好なインドール誘導体三量体酸化体の高純度、高収率での製造が容易に可能となる。本発明の化学酸化法は大量生産が可能であり、一度に多量の三量体酸化体を取得でき、工業的生産に非常に適しており、更に、不純物の少ない、導電性の良好な三量体酸化体を取得することができる。また、本発明の製造法で得られたインドール誘導体三量体のなかで、インドール−5−カルボニトリル誘導体三量体酸化体、インドール−5−カルボン酸誘導体三量体酸化体及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、インドール−5−スルホン酸誘導体三量体酸化体及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、は従来知られている無置換インドール誘導体三量体酸化体と比較して、導電性、酸化還元電位及び/または酸化還元容量、サイクル特性が優れている。これらのインドール誘導体三量体酸化体は、各種帯電防止、静電、コンデンサ、電池、EMIシールド、化学センサー、表示素子、有機EL材料、非線形材料、防錆剤、接着剤、繊維、帯電防止塗料、メッキプライマー、静電塗装の下地、電気防食等に幅広く適用可能である。
【図1】
図1は、実施例1にて製造したインドール−5−カルボニトリル三量体酸化体の1H−NMRスペクトルを示す(測定溶媒:ジメチルスルオキシド)。
【図2】
図2は、実施例3にて製造したインドール−5−カルボン酸アンモニウム三量体酸化体の1H−NMRスペクトルを示す(測定溶媒:ジメチルスルオキシド)。
【図3】
図3は、合成例1にて製造したインドール−5−カルボン酸三量体の1H−NMRスペクトルを示す(測定溶媒:ジメチルスルオキシド)。
【図4】
図4は、実施例3にて製造したインドール−5−カルボン酸アンモニウム三量体の1H−1HCOSYスペクトルを示す(測定溶媒:ジメチルスルオキシド)。