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概要
背景
概要
テーパー状になった先端(9)を備える3管腔結石バルーン・カテーテル(1)である。造影剤の注入専用の管腔はカテーテルの主軸においては腎臓の形状に適合する寸法形状でまたカテーテルの先端においてはクレセントの形状に適合する。造影剤腔(24)の形状により、希望する機械的特性持を保持しつつ同時に造影剤注入を一層容易にすることができるような範囲内に壁厚を保持することが可能になる。バルーン・カテーテルの使用方法も開示する。
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請求項1
3管腔結石バルーン・カテーテルであって、シース本体と、前記シース本体から先端方向に延在するシース先端とを含むシースと、前記シース内に形成された第1の管腔であって、該第1の管腔はその第1の部分が前記シース本体を少なくとも部分的に通って延在し断面が腎臓型をしており前記第1の管腔の第2の部分が前記先端部を少なくとも部分的に通って延在し断面がクレセント型をしていることを特徴とする第1の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り、かつ、前記先端部を部分的に通って延在する第2の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り、かつ、前記先端部を部分的に通って延在する第3の管腔と、前記先端部付近に取り付けたバルーンとを含むことを特徴とする3管腔結石バルーン・カテーテル。
請求項2
請求項3
前記第1の管腔の前記第1の部分の断面積が約3.48×104から約3.15×103であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル
請求項4
前記第1の管腔の前記第2の部分の断面積が約1.42×104から約1.07×103であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
請求項5
前記第2の管腔は、少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在する第1の部分と、少なくとも部分的に前記先端を通って延在する第2の部分とを有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
請求項6
前記第2の管腔の前記第1の部分は約1.13×104から約2.07×104の断面積を有することを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
請求項7
前記第2の管腔の前記第2の部分は約2.83×105から約9.14×105の断面積を有することを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
請求項8
前記第3の管腔は、少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在する第1の部分と、少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第2の部分とを有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
請求項9
前記第3の管腔の前記第1の部分は約1.19×103から約1.59×103の断面積を有することを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
請求項10
前記第3の管腔の前記第2の部分は約1.08×103から1.20×103の断面積を有することを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
請求項11
請求項12
前記先端部は外壁と管腔間壁を有し前記外壁および管腔間壁が約0.01センチメートル(約0.004インチ)の最小厚を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
請求項13
3管腔結石バルーン・カテーテルであって、シース本体と前記シース本体から先端方向に延在するシース先端部とを含むシースと、前記シースに形成された第1の管腔は、前記第1の管腔の第1の部分が少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在し断面が腎臓型で約3.48×104から約3.15×103の断面積を有し、前記第1の管腔の第2の部分が少なくとも部分的に前記先端部を通って延在し断面がクレセント型で約1.42×104から約1.07×103の断面積を有する第1の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り、かつ、部分的に前記先端部を通って延在する第2の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り、かつ、部分的に前記先端部を通って延在する第3の管腔と、前記先端部付近に取り付けたバルーンとを含むことを特徴とするカテーテル。
請求項14
前記第2の管腔は、少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在する第1の部分と、少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第2の部分とを有し、前記第2の管腔の前記第1の部分の断面積が約1.13×104から約2.07×104であって前記第2の管腔の前記第2の部分の断面積が約2.83×105から約9.14×105であることを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
請求項15
前記第3の管腔は、少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在する第1の部分と、少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第2の部分とを有し、前記第3の管腔の前記第1の部分の断面積が約1.19×103から約1.59×103であって前記第3の管腔の前記第2の部分の断面積が約1.08×103から約1.20×103であることを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
請求項16
前記シース本体は外壁と管腔間壁を有し前記外壁および管腔間壁の最小壁厚が約0.015センチメートル(約0.006インチ)であることを特徴とする請求項15に記載のカテーテル。
請求項17
前記先端部は外壁と管腔間壁を有し前記外壁および管腔間壁の最小壁厚が約0.01センチメートル(約0.004インチ)であることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル。
請求項18
請求項19
シースであって、シース本体と、前記シース本体から先端方向に延在するシース先端部と、前記シース内に形成された第1の管腔であって、前記第1の管腔の第1の部分は少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在し断面が腎臓型で前記第1の管腔の第2の部分は少なくとも部分的に前記先端部を通って延在し断面がクレセント型である第1の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り部分的に前記先端部を通って延在する第2の管腔と、を含むことを特徴とするシース。
請求項20
前記第2の管腔は、少なくとも部分的に前記シースを通って延在し直径が約0.1025センチメートル(約0.041インチ)の第1の部分と、少なくとも部分的に前記先端部を通って延在し直径が約0.0925センチメートル(約0.037インチ)の第2の部分とを有することを特徴とする請求項19に記載のシース。
請求項21
前記先端部付近に取り付けられたバルーンをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のシース。
請求項22
共幹胆管などの閉塞した体腔を内視鏡的に評価治療する方法であって、シース本体を有するシースと、前記シース本体から先端方向に延在する先端部と、内表面を有し前記先端部付近に取り付けられたバルーンと、断面が腎臓型で少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在する第1の部分と断面がクレセント型で少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第2の部分とを有する造影剤用の第1の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在し部分的に前記先端部を通って延在しており、かつ、前記バルーンの前記内表面と膨張剤を受け入れるための基端側ポートと連通する先端側ポートを有する第2の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第3の管腔であって、前記先端部に先端側ポートを有しガイドワイヤを受け入れるのに適した第3の管腔と、を含む少なくとも3本の管腔を有するバルーン・カテーテルを提供するステップと、作業チャンネルを有する内視鏡を提供するステップと、体腔内へ前記内視鏡を挿入するステップと、前記内視鏡の前記作業チャンネルからガイドワイヤを導入して前記体腔内に前記ガイドワイヤを配置するステップと、前記第3の管腔の前記先端側ポートに前記ガイドワイヤを配置して前記ガイドワイヤ上に沿って前記内視鏡を通って前記カテーテルを滑り込ませるステップと、前記体腔内に前記カテーテルを配置するステップと、前記第1の管腔から造影剤を注入するステップと、前記第2の管腔内へ膨張剤を注入して前記バルーンを膨張させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
請求項23
前記第3の管腔に前記ガイドワイヤを挿入し前記カテーテルと前記ガイドワイヤとの組み合わせを前記内視鏡の前記作業チャンネル内に挿入するステップを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
請求項24
前記第1の管腔の前記第1の部分が約3.48×104から約3.15×103の断面積を有しており、かつ、前記第1の管腔の第2の部分が約1.42×104から1.07×103の断面積を有していることを特徴とする請求項22に記載の方法。
請求項25
前記第2の管腔の前記第1の部分が約1.13×104から約2.07×104の断面積を有し、かつ、前記第2の管腔の前記第2の部分が約2.83×105から約9.14×105の断面積を有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
請求項26
前記第3の管腔の前記第1の部分が1.19×103から約1.59×103の断面積を有し、かつ、前記第3の管腔の前記第2の部分が約1.08×103から約1.20×103の断面積を有していることを特徴とする請求項25に記載の方法。
請求項27
前記シース本体は外壁と管腔間壁を有し前記外壁および管腔間壁の最小壁厚が約0.015センチメートル(約0.006インチ)であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
請求項28
前記先端部は外壁と管腔間壁を有し前記外壁および管腔間壁の最小壁厚が約0.01センチメートル(約0.004インチ)であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
請求項29
前記シース本体は約7/3ミリメートル(約7フレンチ)の外径を有し前記先端部が約5/3ミリメートル(約5フレンチ)の外径を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
請求項30
3管腔結石バルーン・カテーテルであって、シース本体と前記シース本体から先端方向に延在するシース先端部とを含むシースと、前記シース内に形成され造影剤を受け入れるのに適した第1の管腔であって、前記第1の管腔の第1の部分が少なくとも部分的に前記シース本体を通って延在し前記第1の管腔の第2の部分が少なくとも部分的に前記先端部を通って延在する第1の管腔と、前記第1の管腔内での前記造影剤の流動を改善するための手段と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り部分的に前記先端部を通って延在する第2の管腔と、少なくとも部分的に前記シース本体を通り部分的に前記先端部を通って延在する第3の管腔と、前記先端部付近に取り付けたバルーンと、を含むことを特徴とするカテーテル。
請求項31
前記先端部はテーパー状をなし先端方向に向かって先細になっていることを特徴とする請求項30に記載のカテーテル。
請求項32
前記先端部付近に等間隔で取り付けた複数の放射線不透過性マーカーをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載のカテーテル。
請求項33
前記先端部付近に等間隔で取り付けた複数の放射線不透過性マーカーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
目次
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0001
発明の分野
本発明は一般に複数の管腔を有するバルーン・カテーテルに関する。さらに詳しくは、本発明は3管腔式結石用バルーン・カテーテル(以下、3管腔結石バルーン・カテーテル)およびこれの製造方法に関する。
背景技術
0002
外科手術以外の方法を提供するために医療業界では内視鏡を使用することによる非侵襲的処置および製品を考案してきた。このような製品の一つが結石用バルーン・カテーテル(以下、結石バルーン・カテーテル)である。結石バルーン・カテーテルは一般に1本または複数本の管腔を有するシースまたは細長いチューブとこのシースの先端の基端側に配置した弾力性のあるバルーンとを含む。1本の管腔はバルーン内部と連通しており、カテーテルの基端に装着した液体供給源またはガス供給源を使いバルーン内部に液体またはガスを注入して膨らませることができるようにしてある。カテーテルに設けた他の管腔はガイドワイヤ用の通路(以下、チャンネル)を提供して患者体内にカテーテルを導入するなどの、多様な目的に使用できる。
0003
結石用バルーン技術における最近の開発の幾つかには、3管腔カテーテルの使用が挙げられる。通常、このようなカテーテルはバルーンの膨張と収縮を行なわせるためバルーン内へまたはバルーンからの液体またはガスの注入と排出専用に1本の管腔がある。2本目の管腔はカテーテルを誘導するガイドワイヤを受け入れるためのものである。3本目の管腔は評価または操作を行なう対象部位の造影(fluoroscopic elucidation)が行なえるように造影剤を注入するためのものである。
0004
3管腔カテーテルは主として2つの目的で使用される:1)診断と、2)治療である。3管腔結石バルーンはとくに治療器具として使用するように設計される。その名が示しているように、結石バルーンは管腔(duct)から結晶化した物を除去するために使用される。このような管腔の一つとしては肝臓、胆嚢、膵臓からなる胆管系に共通した胆管(common bile duct)である。
0005
カテーテル技術に関連する永続的な問題の一つは希望する部位へ迅速かつ効果的に造影剤を供給する能力である。管腔寸法が限定されていることと造影剤組成物の粘性が高いこととがあいまって、高いレベルの圧力(数気圧程度)をかけないと造影剤の供給が行なえない。
0006
従って本発明の目的は造影剤の供給を容易かつ効率的に行なえるようにする一方でバルーンの膨張収縮のための注入速度および吸引速度ならびにガイドワイヤを通す管腔の寸法を維持できるようにした3管腔結石バルーンを提供することである。本発明の別の目的は3管腔結石カテーテルで希望する機械的特性を維持しつつ造影剤の流れを最大にすることである。本発明の上記およびその他の目的は後述の要約と好適実施態様の詳細な説明を熟読することで明らかになろう。
発明の要約
0007
3管腔結石バルーン・カテーテルの管腔の相互の断面積と形状のバランスを取ることにより造影剤の供給を最大にしつつ結石バルーンを拡張収縮するための膨張収縮速度を許容できる程度に維持し、かつ、ガイドワイヤのために充分なクリアランスを提供することができることが判明した。選択された形状により後述の機械的条件が確実に満たされるようになる。摺動係合による0.0875センチメートル(0.035インチ)のガイドワイヤを受け入れるガイドワイヤ腔の適合性は主軸においては公称約0.264平方センチメートル(約0.041平方インチ)、また先端部においてはで最小約0.239平方センチメートル(約0.037平方インチ)の断面積をとることにより維持された。バルーンの膨張収縮時間は、カテーテルの主軸と先端部のバルーン膨張腔の断面積を減少させることにより許容範囲内で維持した。
0008
カテーテル主軸を通して造影剤を注入するときに比較的高い圧力が必要となる高粘度の造影剤に対応できるように、造影剤注入用腔(以下、造影剤腔)の断面積を増大し造影剤腔の形状を腎臓の形状に適合するようにして断面積を最大にしつつ、剛性、押出し性能、追従性、曲げ性能、引張強度、伸び率といった機械的特性を維持するのに必要な最小限の壁厚を維持するようにした。先端部での造影剤腔の断面積を増大しつつ最小限の壁厚を維持するため、三日月(以下、クレセント)の形状に適合するように管腔を変更した。腎臓型からクレセント型への変形は、押出成型工程でのシース形成中に3本の管腔の各々個別の気圧を調節することで実現される。
0009
前述した機械的条件は次のように定義される。押出し性能は通り抜けようとする特定のチャンネルまたは管腔の中で移動したり変位できるようにカテーテルが軸方向応力を伝達する能力である。追従性は同軸配置したガイドワイヤにカテーテルが追従できる能力である。剛性は従来技術による他のカテーテルの剛性に対する本発明によるカテーテルの相対的な剛性の値である。曲げ性能は管腔がつぶれることなく180度の曲げにカテーテルの主軸および先端部(軸と先端の約5センチメートル(約2インチ))が耐えられる能力である。引張強度は1812グラム(4ポンド)より大きな軸方向の引張強度である。伸び率はカテーテルの端部に1586グラム(3.5ポンド)の負荷を装着したときにカテーテルが5%未満の延伸に抵抗する能力である。
0010
これらの目標を実現するため、カテーテルは硫酸バリウム20%含有の医療用Pebax7033から形成した。この材料は一部にはISO10993の生物学的要件に適合すると言う事実から選択した。このブレンドされた材料は引き抜きの容易さ、形状安定性があり、剛性と可撓性などの機械的特性で希望のバランスのとれたものを提供する。硫酸バリウム成分はカテーテルに被造影性能および更なる剛性を提供する。
0011
カテーテルの主軸は外径が7/3ミリメートル(7フレンチ)でこれが先端部の5/3ミリメートル(5フレンチ)まで先細になる。先端部は外形がまっすぐな円筒状となりバルーンおよびマーカー・バンドが取り付けられるようになっており、かつ、胆管系などの管腔系への挿入を容易にする。7/3ミリメートル(7フレンチ)の外径であるため作業チャンネルが最小2.8ミリメートルの標準型内視鏡または標準型十二指腸鏡でもカテーテルを使用することができる。カテーテルの管腔間の壁と外壁は主軸では最小約0.015センチメートル(約0.006インチ)、先端部では最小約0.01センチメートル()約0.004インチ)の壁厚を有する。
好適実施態様の詳細な説明
0012
図1、図2、図6〜図9、および図20を参照すると、一般に参照番号1として図示した3管腔結石バルーン・カテーテルは、3本の管腔を有する(図示していない)細長いシース4を備えている。シース4は基端6を有しており、この基端6はチューブ接合アセンブリ8に取り付けてあり、チューブ接合アセンブリ8は形状的に円筒状が望ましく後述するように接合アセンブリ8の先端でチューブ延長脚を受け入れるようにしてある。シース4には先端部9があり、ここにはカテーテル1を管腔内へ、特に特に人間の胆管内へ挿入するのを容易にするように丸めるのが望ましい先端10を含む。先端部9は真直ぐな円柱状の形状に適合するのが望ましく、かつ、ラテックスを基剤とするのが望ましい結石バルーン12を受け入れるようにする。結石バルーン12の基端部と先端部はLoctite(登録商標)接着剤で先端部9に固定するのが望ましい。
0013
造影性(Radio−opaque)のマーカー・バンド14(2ミリメートル(6フレンチ)未満が望ましい)は、結石バルーン12より基端側の先端部9付近に設け1センチメートル程度離すのが望ましい。しかし、マーカー・バンド14は計測器または計測機能として使用できるように何らかの既知で許容可能な距離離しておくことができる。マーカー・バンド14の配置および間隔は、マーカー・バンドを使って狭窄および結石の寸法を測定したり、管腔内のバルーンの位置を決定することができるように設定する。マーカー・バンド14は接着剤(図示していない)とエポキシ18で先端部9に固定する。Loctite(登録商標)などの接着剤を使って先端部9にマーカー・バンド14を取り付ける。Tra−Bondエポキシなどのエポキシ18は図1に図示したようにマーカー・バンド14の縁に面取りを付けるために使用する。先端部9は長さ約1センチメートル(約0.4インチ)から約5センチメートル(約2インチ)として結石バルーンおよびマーカー・バンドに対応させる(図1で“A”として図示してある)ようにするのが望ましい。
0014
先端部9から基端方向に延出しているのがテーパー部分16である。テーパー部分16は約10センチメートル(約4インチ)から約50センチメートル(約20インチ)が望ましく、約20センチメートル(約8インチ)から約40センチメートル(約16インチ)がさらに望ましい(図1で“B”として図示してある)。テーパー部分16の基端は外径が約7/3ミリメートル(約7フレンチ)で、テーパー部分16の先端は外径が約5/3ミリメートル(約5フレンチ)である。テーパー部分16はカテーテル・アセンブリが十二指腸鏡の作業チャンネルへ滑り込みさらにファーター乳頭へ滑り込み胆管系の総胆管への入口に到達し易くするのを助ける。
0015
前述のように、シース4には3つの管腔がある。第1の管腔20は基端6から先端10まで延在する。第1の管腔20は先端10から軸方向に存在する先端開口(以下、先端ポート)を有するのが望ましい。シース4の一部で第1の管腔20の基端を形成する部分はガイドワイヤ脚延長部30へ接続する。ガイドワイヤ脚延長部30は第1の管腔20と連通する管腔20a(図13に図示してある)を有する。ガイドワイヤ脚延長部30は脚延長部30を操作するためのフィンガ把持部を提供するガイドワイヤ延長脚アセンブリ31を有する。ルアー・キャップ35は螺子山を備え、これが脚延長部30の基端部にある螺子山と係合する。ガイドワイヤ脚延長部30と第1の管腔20は0.0875センチメートル(0.035インチ)のガイドワイヤを受け入れるような寸法として構成するのが望ましい。第1の管腔20とガイドワイヤ脚延長部30の管腔は約0.1025センチメートル(約0.041インチ)とするのが望ましい。見て分かる基準を提供するように、「0.0875センチメートル(0.035インチ)ガイドワイヤ」という表示をガイドワイヤ延長脚30の外表面に印刷することができる。延長脚30は0.0875センチメートル(0.035インチ)ガイドワイヤ製品の業界標準に従い紫色の色コード表示を付けることもできる。
0016
第2の管腔22は基端6から先端10より基端側のある一点まで延在するのが望ましい。第2の管腔22は結石バルーン12の軸方向に沿った長さの両端の間に配置したバルーン先端ポート23を有することにより第2の管腔22が結石バルーン12の内表面と連通するようにする。第2の管腔22の基端部を形成するシース4の一部はバルーン延長脚32に接続する。バルーン延長脚32は第2の管腔22と連通する管腔22a(図13に図示してある)を有する。バルーン延長脚32はバルーン延長脚アセンブリ33を備え、これが操作を行ない易くするためのフィンガ把持部を提供する。バルーン延長脚アセンブリ33もバルーン膨張/収縮器(図示していない)を受け入れるために、一方通行であるのが望ましい活栓34とルアー・ロック部37を含む。
0017
第3の管腔24は基端6から結石バルーン12より基端側のある一点まで延在するのが望ましい。第3の管腔24は結石バルーン12より基端側に配置された造影剤先端ポート25を有する。別の実施態様では(図13に図示してあるように)、先端ポート25を結石バルーン12より先端側に配置することができる。第3の管腔24の基端部を形成するシース4の一部は造影剤延長脚38に接続する。造影剤延長脚38は第3の管腔24と連通する管腔24a(図13に図示してある)を有する。造影剤延長脚38は注入脚アセンブリ39を備え、これが操作を容易にするフィンガ把持部を提供する。注入脚アセンブリ39も注射薬注入器(図示していない)を受け入れるための注射ルアーロック40を備える。
0018
図3から図5を参照すると、チューブ接合アセンブリ8は延長脚30、32、38へシース4を固定する外側三叉スナップ・カバー43を含む。スナップ・カバー43はシース4の周囲にぴったり嵌合するように直径の小さくなったスナップ・カバー先端部44を備える。テーパー状カラー46はスナップ・カバー先端部44を主スナップカバー本体48に連結する。スナップ・カバー43の基端部は軸方向の管腔(図示していない)を備えて延長脚30、32、38を受け入れるようにしてあるスナップ・キャップ50により包まれる。スナップ・キャップ50はLoctite(登録商標)接着剤54でスナップ・カバー43に接着するのが望ましい。ポリオレフィン製収縮チューブ52をシース4の基端6と延長脚30、32、38の先端部との周囲に設ける。収縮チューブ52をシースと延長脚にかぶせて加熱することで部材の素材を融合させシース4と延長脚30、32、38との間にシームレス接続を形成する。
0019
好適実施態様において、シース4の主軸の(管腔間の壁および外壁の)壁厚は最小約0.015センチメートル(約0.006インチ)に維持する。先端部9の壁厚は最小約0.01センチメートル(約0.004インチ)に維持する。これらの値は押出し性能、追従性、剛性、曲げ性能、引張強度、伸び率の機械的特性を許容可能な程度に維持するために必須である。これらの壁厚を維持しながら第3の管腔である造影剤腔38の断面積を最大にすることができ、これがカテーテル1を通る造影剤の流れ具合の向上を提供することを発見した。造影剤の流れを最適化するため、第1の管腔20を通るガイドワイヤ60の自由な動きができるのに充分となるように、主軸では第1の管腔20の直径を約0.1025センチメートル(約0.041インチ)まで、また先端部では最小0.0925センチメートル(0.037インチ)まで減少させた。
0020
バルーン膨張/収縮腔である第2の管腔22も膨張または収縮率に対して何ら明らかな作用が起こらない直径まで減少させた。この小径化により造影剤腔である第3の管腔38をさらに拡大する空間が得られた。希望する流れを確実にするため、第2の管腔22の基端部の直径は0.035センチメートル(0.014インチ)直径のピン(針)が挿入できるように維持した。第2の管腔22の断面形状は円形を保つ必要はなく、楕円などのその他の不定形的形状または定型的形状を取ることができる。
0021
シース4の主軸内で第3の管腔38(テーパー状の先端部を含まないシース4の一部)について腎臓の形状に合致するような断面形状が第3の管腔内の造影剤の流量を最大にすることを発見した。腎臓型の管腔は図12に図示してある。また、シース4の先端部9においては第3の管腔38にクレセント型の形状に合致するような断面形状がシース4のその部分での造影剤流量を最大にしつつ最小限の壁厚で済むことも発見した。クレセント型の形状の管腔は図11に図示してある。
0022
本発明の効果を示すため、従来技術の製品との比較試験を実施した。従来技術の3管腔カテーテルAを図14に図示する。従来技術の3管腔カテーテルBを図15に図示する。本発明のカテーテルは図11と図12に図示してある。これら3本は全て本体の外径が7/3ミリメートル(7フレンチ)で、先端の外径が5/3ミリメートル(5フレンチ)まで細くなっている。各々カテーテル先端より基端寄りに11.5ミリメートルのバルーンが装着してある。図面から明らかに分かるように、本発明のカテーテルはバルーン膨張腔がもっとも小さな断面積となっており、造影剤腔でもっとも大きな断面積となっている。
0023
バルーン膨張/収縮率を試験するため、1.5ccの空気を11.5ミリメートル・バルーンへ装着済みシリンジから注入した。従来技術のバルーン・カテーテルで3回の試験を行ない、また本発明のバルーン・カテーテルでは30回以上の試験を行なった。従来技術のカテーテルAは平均膨張速度が1.18秒で標準偏差は0.13だった。従来技術のカテーテルBは平均膨張速度が0.92秒で標準偏差は0.13だった。本発明のカテーテルは平均膨張速度が0.74秒で標準偏差は0.08だった。
0024
従来技術のカテーテルAは平均収縮速度が1.00秒で標準偏差は0.03だった。従来技術のカテーテルBは平均収縮速度が0.94秒で標準偏差は0.14だった。本発明のカテーテルは平均収縮速度が0.57秒で標準偏差は0.08だった。
0025
造影剤腔への注入速度を試験するため約4.22kg/cm2(60psi)で造影剤腔へ水を注入する試験を行なった。カテーテル先端部で回収された水の量を時間で除して速度を決定した。試験は、バルーンより基端側に造影剤腔先端ポートを有するバルーン・カテーテルとバルーンより先端側に先端ポートを有するカテーテルで行なった。
0026
バルーンより先端側に造影剤腔を有するカテーテルの場合は、従来技術のカテーテルAは平均流量が21.7ml/分で、標準偏差は0.6だった。従来技術のカテーテルBは平均流量が43.7ml/分で、標準偏差は0.6だった。本発明のカテーテルは平均流量が48ml/分で、標準偏差は2だった。
0027
バルーンにより基端側に造影剤腔を有するカテーテルの場合は、従来技術のカテーテルAは平均流量が23.0ml/分、標準偏差は1.7だった。従来技術のカテーテルBは平均流量が44.3ml/分で、標準偏差は1.5だった。本発明のカテーテルは平均流量が52ml/分で、標準偏差は2だった。
0028
後述のチャートは本発明の3管腔バルーン・カテーテルについて好適な最小および最大の断面積を示す。これらの値はPebax7033製のカテーテルの場合の最高値であることが理解されるべきである。他の材料を用いることにより最大値を大きく最小値を小さくするようにしながら本明細書で説明した流量や機械的特性を達成し維持することもできる。希望する管腔断面積や改善された流量を変化させることなく、また本発明の範囲から逸脱することなく、他の材料を使用してたとえば追従性や曲げ性能など機械的特性を変更することもできる。
0029
図16は本発明の一つの実施態様に従って作成したカテーテルの先端の断面で、造影剤腔がバルーン腔やガイドワイヤ腔に対して最大になっているものである。図17は本発明の別の実施態様に従って作成したカテーテルの先端の断面で、造影剤腔がバルーン腔やガイドワイヤ腔に対して最小になっているものである。図18は本発明の一つの実施態様に従って作成したカテーテルの主軸の断面で、造影剤腔がバルーン腔やガイドワイヤ腔に対して最小になっているものである。図19は本発明の別の実施態様に従って作成したカテーテルの主軸の断面で、造影剤腔がバルーン腔やガイドワイヤ腔に対して最大になっているものである。図面に示した数字は以下のチャートに反映されている。
0030
希望する管腔の形状は、引き抜き工程を使用してシース4を製造する時に管腔毎に圧力を変化させることで実現される。引き抜き工程のときに管腔内の圧力差を変化させることにより断面形状を変化させられる。主軸では一組の圧力差を使用し、また先端部では別の組合せを使用する。この方法と「バンプ」チュービング引き抜き工程として業界で周知となっている方法を組み合わせて円筒状の先端チップのあるテーパー状先端部を作成した。テーパー状先端部はシース4の形成時に適当な時点で引き抜き速度を増加させることで形成する。
0031
この工程は工程全体を通して一定のセットポイントで操作することができないものであることが当業者には理解されよう。マルチポイント排出速度制御により断面が円形であるのが望ましいシースの外径寸法のスムースな変化が行なえる。マルチポイント圧力制御は3管腔の希望する断面積および形状を得るためには必須である。
0032
工程を示すと、クレセント型の造影剤腔を先端部で作成するには、ガイドワイヤ腔の圧力を、主軸で用いている約7.5ないし約20センチメートルH2O(約3ないし約8インチH2O)程度また約10ないし約15センチメートルH2
O(約4ないし約6インチH2O)が望ましいとされる圧力から僅かに減少させることにより、0.1025センチメートル(0.041インチ)から0.0925センチメートル(0.037インチ)まで内径の縮小を実現する。バルーン膨張腔の圧力は先端部でのバルーン膨張腔の寸法的一貫性に何らの悪影響を与えることなくゼロ付近まで減少できた。造影剤腔の圧力は約7.5ないし約20センチメートルH2O(約3ないし約8インチH2O)程度また約10ないし約15センチメートルH2O(約4ないし約6インチH2O)が望ましいとされる圧力範囲内で僅かに増加させた。相対的な管腔内圧力の変動により造影剤腔がそれまでバルーン腔によって占有されていた部分にまで拡大した。
0033
当業者にはこのようなカテーテルの作成に使われる化学組成物、材料、および方法は公知であろう。シース4の組成物は本発明の一部を構成するものではないことが理解されるべきである。本明細書に記載した材料は単に説明を目的としたものである。
0034
選択した材料のバッチ間の変化や、異なる材料間での変化のため、本明細書で記載したような希望の寸法形状を実現するには圧力設定および速度設定に関してある程度の経験が必要であることは理解されるべきである。本明細書に記載した圧力範囲は開示したPebax材料でのものである。別の材料で希望する形状寸法を実現するには別の範囲が必要となろう。希望の形状寸法の形成で重要なことは、引き抜き工程中のあらゆる段階での管腔間での圧力差のバランス、および引き抜き工程の進み方に合わせた個々の管腔での圧力変化である。
0035
図10に図示した装置はシース4を製造するために使用する。樹脂68を受け入れるための中空チャンバ71を備える樹脂ドライヤ70に樹脂68を配置することから工程を開始する。樹脂68をドライヤ70に一晩置いておき樹脂に含まれる水分を全て除去する。ドライヤ70は、スクリュー・フィード74を受け入れる中空部分73を有する加熱チャンバ72に取り付ける。スクリュー・フィード74は加熱チャンバ72の内部で回転する。中空部分73は中空チャンバ71と連通する。スクリュー・フィード74は第1の温度に設定されたスクリュー・フィード前端である基端部75、第2の温度に設定されたスクリュー中間部であるスクリュー・フィード中央部76、および第3の温度に設定された引き抜きダイ端であるスクリュー・フィード先端部77を有する。温度は、当業者には周知のように、樹脂の溶解特性に合わせて設定する。
0036
3本の管腔を形成するには、第1の空気調整器80、第2の空気調整器81、第3の空気調整器82の、3個の高速超低圧空気調整器を3管腔引き抜きダイ90とプログラム・コントローラ92に接続する。カスタム・ソフトウェアをプログラム・コントローラ92に読み込み、5本の出力、即ち処理速度、3本の管腔内の圧力、および出来上がり製品の長さを制御する。プログラム・コントローラは5つの出力設定について32個の調節ポイントを有する。
0037
加熱した樹脂68を引き抜きダイ90から供給する。形成されたカテーテルを水槽100に通して引き抜き成型したカテーテル・シースを冷却する。次にシースをローラ104でもって、コンピュータ操作の切断ブレード102を越えさせて所定の長さにチューブを切断する。カテーテルの長さに切断したチューブをトレイ106に落し込むようにすればさらに組み立てるためにカテーテルを集めることができる。
0038
工程を開始するには、引き抜き作業を開始して寸法サンプルを取り希望通りの寸法パラメータに適合しているかどうかを判定する。希望する寸法が得られるまで装置の調節を行なう。引き抜き作業は作業全体で寸法的にモニタする。各ロットのデータを送信して製品の一貫性および基準適合性(acceptability)を保証する。
0039
本明細書に記載した本発明のカテーテルは以下の方法で使用することでたとえば胆管部の評価を行ない狭窄部または閉塞部を治療するためにバルーンを配置できる。十二指腸鏡などの内視鏡を消化管からファーター乳頭(Papilla of Vater)まで前進させる。内視鏡の作業チャンネルから0.0875センチメートル(0.035インチ)のガイドワイヤを導入して内視鏡の先端から出しファーター乳頭を越えて共幹胆管(common bile duct)まで前進させる。ガイドワイヤ基端をカテーテル1のガイドワイヤ腔の先端ポート内に挿入する。カテーテル1をガイドワイヤに沿って内視鏡作業チャンネルから導入し、共幹胆管またはその他希望する体腔内に配置する。これ以外に、ガイドワイヤをカテーテルにあらかじめ装填しておき、内視鏡を通して、カテーテルとガイドワイヤの組み合わせを希望の体腔内部位まで前進させても良い。次に本発明の造影剤腔から造影剤を注入して体腔の形状および内容を確認できるようにして何らかの体腔の閉塞部または結石と思われる部分に対してカテーテル位置を調節する。X線不透過性マーカー、造影剤またはその両者の組み合わせによりバルーンの配置を決定したら、膨張剤を膨張/収縮腔から注入してバルーンを拡大する。次にカテーテルを操作して閉塞または狭窄を除去する。
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