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解決手段

基板と、該基板上にマイクロマシンド・メンブレンを作成するこによって形成されたダイヤフラムとを具えている音響トランスデューサである。ダイヤフラムは、CMOSMEMS(マイクロエレクトロメカニカル・システム)の半導体作製方法を用いて、単一シリコンチップとして形成される。製造工程中のダイヤフラムのカーリングは、長アーム短アームを交互に具えるサーペンチンばねの形態を有するダイヤフラム用マイクロマシンド・メンブレンを作成することによって低減される。マイクロスピーカとして、本発明の音響トランスデューサは、デジタル音声信号音波直接変換するから、従来の音響トランスデューサと比べて、製造コストがより安価であり、非常に高品質の音を再生できる。マイクロマシンド・ダイヤフラムは、マイクロホンとしても用いることができる。

概要

背景

概要

基板と、該基板上にマイクロマシンド・メンブレンを作成するこによって形成されたダイヤフラムとを具えている音響トランスデューサである。ダイヤフラムは、CMOSMEMS(マイクロエレクトロメカニカル・システム)の半導体作製方法を用いて、単一シリコンチップとして形成される。製造工程中のダイヤフラムのカーリングは、長アーム短アームを交互に具えるサーペンチンばねの形態を有するダイヤフラム用マイクロマシンド・メンブレンを作成することによって低減される。マイクロスピーカとして、本発明の音響トランスデューサは、デジタル音声信号音波直接変換するから、従来の音響トランスデューサと比べて、製造コストがより安価であり、非常に高品質の音を再生できる。マイクロマシンド・ダイヤフラムは、マイクロホンとしても用いることができる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
9件

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請求項1

基板と、マイクロマシンド・メンブレンを基板上に作成するこによって形成されたダイヤフラムと、を具えている音響トランスデューサ

請求項2

ダイヤフラムは、電気音声入力で作動したとき、音声周波数音響波を発生するように構成されている請求項1に記載の音響トランスデューサ。

請求項3

ダイヤフラムは、その近傍での空気圧の変化を、アナログ電気信号出力に変換するように構成されている請求項1に記載の音響トランスデューサ。

請求項4

基板はシリコンを含んでいる請求項1に記載の音響トランスデューサ。

請求項5

ダイヤフラムは、電気音声入力に応答し、z軸に沿う位置変化によって音声周波数音響波を発生する請求項2に記載の音響トランスデューサ。

請求項6

マイクロマシンド・メンブレンは、CMOSMEMSメンブレンを含んでいる請求項1に記載の音響トランスデューサ。

請求項7

マイクロマシンド・メンブレンは、複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねから形成される請求項1の音響トランスデューサ。

請求項8

複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねは各々が、少なくとも1つの長アームと、少なくとも1つの短アームと、を含んでおり、前記の少なくとも1つの短アームは、対応するマイクロマシンド・サーペンチンばねの中で交互に配置される請求項7に記載の音響トランスデューサ。

請求項9

少なくとも1つの長アームと少なくとも1つの短アームは、各アームが略矩形箱型形状である請求項8に記載の音響トランスデューサ。

請求項10

少なくとも1つの長アームは、長さが約50μmよりも短い請求項8に記載の音響トランスデューサ。

請求項11

複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねの各々における隣接する長アーム間の最大間隔は約3μmである請求項9に記載の音響トランスデューサ。

請求項12

ダイヤフラムに連結された入力手段をさらに具えており、該入力手段は電気音声入力でダイヤフラムを作動させるように構成されている請求項2に記載の音響トランスデューサ。

請求項13

入力手段は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでおり、該プロセッサは、外部音声源からの第1デジタル音声信号及び第2デジタル音声信号を受信するように構成された第1入力端子と、第1デジタル音声信号に応答して、ダイヤフラムの実際の位置変化を表すデジタルフィードバック信号を受信するように構成された第2入力端子であって、ここで、第1デジタル音声信号の後に、第2デジタル音声信号が直ちに追随するようになっている第2入力端子と、第1出力端子であって、DSPは、デジタルフィードバック信号に基づいて第2のデジタル音声信号を修正することにより、第1出力端子でデジタル差信号が発生するように構成された第1出力端子と、第1出力端子に連結され、デジタル差信号を受信するための第3入力端子と、ダイヤフラムに連結された第2出力端子とを含むパルス幅変調器であって、デジタル差信号を1ビットパルス幅変調(PWM)信号に変換するように構成されると共に、第2の出力端子を経由して1ビットPWM信号を電気音声入力としてダイヤフラムへ送るように構成されたパルス幅変調器と、を具えている請求項12に記載の音響トランスデューサ。

請求項14

DSP及びダイヤフラムに連結されたフィードバック手段をさらに含んでおり、電気音声信号に応答してダイヤフラムの実際の位置変化を表すデジタルフィードバック信号を発生させると共に、デジタルフィードバック信号をDSPへ送信するように構成された請求項13に記載の音響トランスデューサ。

請求項15

デジタル音声信号、デジタルフィードバック信号及びデジタル差信号は、パルスコード変調(PCM)信号である請求項13に記載の音響トランスデューサ。

請求項16

フィードバック手段は、ダイヤフラムに連結されたセンス増幅器と、該センス増幅器に連結されたA/D変換器を含んでいる請求項14に記載の音響トランスデューサ。

請求項17

センス増幅器は圧力センサーを含んでいる請求項16に記載の音響トランスデューサ。

請求項18

圧力センサーは、CMOSMEMS(マイクロエレクトロメカニカル・システム)マイクロホンである請求項17に記載の音響トランスデューサ。

請求項19

センス増幅器は位置センサーを含んでいる請求項16に記載の音響トランスデューサ。

請求項20

基板、ダイヤフラム、少なくとも1つのDSP、パルス幅変調器、及びA/D変換器をカプセル化するハウジングをさらに具えている請求項16に記載の音響トランスデューサ。

請求項21

少なくとも1つのDSP、パルス幅変調器、及びA/D変換器は、基板上に作製される請求項16に記載の音響トランスデューサ。

請求項22

CMOSMEMSメンブレンの頂部に作成された少なくとも1層のシーラントをさらに具えている請求項6に記載の音響トランスデューサ。

請求項23

シーラントは、ポリアミド及びラミネーション膜からなる群から選択される請求項22に記載の音響トランスデューサ。

請求項24

基板と、基板上に形成された複数のダイヤフラムであって、各々が、基板上に形成されたマイクロマシンド・メンブレンを含んでいるダイヤフラムと、を具えている音響トランスデューサのアレイ

請求項25

基板はシリコンを含んでいる請求項24のアレイ。

請求項26

マイクロマシンド・メンブレンは、CMOSMEMSメンブレンを含んでいる請求項24に記載のアレイ。

請求項27

マイクロマシンド・メンブレンは、複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねから形成される請求項24に記載のアレイ。

請求項28

複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねの各々は、少なくとも1つの長アームと、少なくとも1つの短アームを含んでおり、少なくとも1つの長アーム及び少なくとも1つの短アームは、対応するマイクロマシンド・サーペンチンばねの中で交互に配置されている請求項27に記載のアレイ。

請求項29

少なくとも1つの長アームと少なくとも1つの短アームは、各アームが略矩形の箱型形状である請求項28に記載のアレイ。

請求項30

基板上に作製された複数の入力手段をさらに具えており、該入力手段の各々は、複数のダイヤフラムのうちの対応する1つのダイヤフラムに連結され、電気音声入力で対応するダイヤフラムを作動させるように構成されている請求項24に記載のアレイ。

請求項31

基板上に作製された複数のフィードバック手段をさらに具えており、複数のフィードバック手段の各々は、複数の入力手段のうちの対応する1つの入力手段及び該手段に連繋された複数のダイヤフラムの内の1つに連結され、複数のフィードバック手段の各々は、電気音声信号で作動したとき、入力手段に連繋された複数のダイヤフラムの内の1つの位置変化を監視し、これに応答してフィードバック信号を発生し、該フィードバック信号を、複数の入力手段のうちの対応する1つの入力手段へ送信するようにしている請求項30に記載のアレイ。

請求項32

複数のダイヤフラムの各々は、デジタル音声入力から直接、音声周波数音響波を発生させるように構成される請求項24に記載のアレイ。

請求項33

複数のダイヤフラムの各々を構成する複数のマイクロマシンド・サーペンチンばねの頂部に作成された少なくとも1層のシーラントをさらに具えている請求項27に記載のアレイ。

請求項34

音響トランスデューサを作製する方法であって、基板を形成し、該基板上に少なくとも1層のマイクロマシンド・メンブレン作成することにより、ダイヤフラムを基板上に形成する、ことを含んでいる方法。

請求項35

ダイヤフラムを形成する工程は、サーペンチンばねの形態の少なくとも1層のマイクロマシンド・メンブレンを、基板の上に作成することを含んでいる請求項34に記載の方法。

請求項36

サーペンチンばねの頂部に少なくとも1層のシーラントを作成することをさらに含んでいる請求項35に記載の方法。

請求項37

音声処理回路を基板上に作成することをさらに含んでおり、音声処理回路は、音声入力をダイヤフラムに送信してダイヤフラムを作動させる前に、外部音声源から音声入力を受信し、音声入力を処理するように構成されている請求項34に記載の方法。

請求項38

ハウジング内で、ダイヤフラム及び基板をカプセル化することをさらに含んでいる請求項34に記載の方法。

請求項39

フィードバック手段を基板上に作成することをさらに含んでおり、フィードバック手段はダイヤフラムに連結され、ダイヤフラムが電気音声入力で作動すると、ダイヤフラムの実際の位置変化を表すフィードバック信号が発生するように構成されている請求項34に記載の方法。

請求項40

基板上に音響負荷補償機構を作成することをさらに含んでおり、音響負荷補償機構はダイヤフラム及びフィードバック手段に連結され、音響負荷補償機構は電気音声試験信号でダイヤフラムが周期的に作動するように構成され、フィードバック手段によって発生したフィードバック信号を監視し、ダイヤフラムを取り囲む音響媒体によってダイヤフラムへもたらされた音響インピーダンス補正を行なうように構成されている請求項39に記載の方法。

請求項41

音響トランスデューサのアレイを作製する方法であって、基板を形成し、該基板上に複数のダイヤフラムを形成することを含んでおり、複数のダイヤフラムの各々は、少なくとも1層のマイクロマシンド・メンブレンを基板上に作成することによって形成される方法。

請求項42

複数のダイヤフラムの各々は、サーペンチンばね形態の少なくとも1層のマイクロマシンド・メンブレンを、基板の上に作成することによって形成される請求項41に記載の方法。

請求項43

サーペンチンばねの頂部に少なくとも1層のシーラントを作成することをさらに含んでいる請求項42に記載の方法。

請求項44

基板上に複数の音声処理回路を作成することをさらに含んでおり、複数の音声処理回路の各々は、複数のダイヤフラムのうちの対応する1つに連結され、複数の音声処理回路の各々は、音声入力で複数のダイヤフラムのうちの対応する1つを作動させる前に、外部音声源から音声入力を受信し、音声入力を処理するように構成されている請求項41に記載の方法。

請求項45

音声を再生する方法であって、基板を形成し、少なくとも1層のマイクロマシンド・メンブレンを基板上に作成することにより、基板上にダイヤフラムを形成し、電気音声信号でダイヤフラムを駆動すること、を含んでいる方法。

請求項46

電気音声信号はデジタルである請求項45の方法。

請求項47

ダイヤフラムを取り囲む音響媒体によりダイヤフラムへ送られた音響インピーダンスを周期的に測定し、ここで、音響インピーダンスは電気音声入力でダイヤフラムを作動させる間、所定の間隔で測定されるようになし、前記測定毎に、音響インピーダンスの補正を行なうこと、を含んでいる方法。

請求項48

電気音声入力に応答して、ダイヤフラムの第1出力に存在するひずみを検知し、電気音声信号に応答して、ダイヤフラムの第2出力におけるひずみを実質的に修正することを含んでおり、第2出力は時間的に第1出力の後である請求項45に記載の方法。

請求項49

基板と、マイクロマシンド・メンブレンを基板上に作成するこによって形成されたダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結されたフィードバック手段とを具えており、フィードバック手段は、ダイヤフラムが電気音声入力で駆動するとき、ダイヤフラムの実際の位置変化を表すフィードバック信号が発生するように構成されている、音響トランスデューサ。

請求項50

フィードバック手段は、ダイヤフラムに連結されたセンス増幅器を含んでいる請求項49に記載の音響トランスデューサ。

請求項51

センス増幅器は圧力センサーを含んでいる請求項50に記載の音響トランスデューサ。

請求項52

圧力センサーは、CMOSMEMSのマイクロホンである請求項51に記載の音響トランスデューサ。

請求項53

センス増幅器は位置センサーを含んでいる請求項50に記載の音響トランスデューサ。

請求項54

ダイヤフラム及びフィードバック手段に連結された音響負荷補償機構をさらに含んでおり、音響負荷補償機構は電気音声試験信号でダイヤフラムが周期的に作動するように構成され、フィードバック手段によって発生したフィードバック信号を監視し、ダイヤフラムを囲む音響媒体によってダイヤフラムへもたらされた音響インピーダンスの補正を行なうように構成されている請求項49に記載の音響トランスデューサ。

0001

本発明は、広い意味において、音響トランスデューサに関し、より具体的には、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を用いて作製されたデジタル音声トランスデューサに関する。

0002

電気音響トランスデューサは、音波電気信号に変換し、また電気信号を音波に変換する。一般的に知られている電気音響又は音声トランスデューサは、マイクロホンスピーカを含んでおり、これらは近代電子通信のあらゆる分野で数多く適用されている。例えば、電話機は、相手側と話をしたり聞くことができるように、マイクロホンとスピーカの両方を含んでいる。代表的なマイクロホンは、その近傍での空気圧の変化を、その出力での電気信号の対応する変化に変換する電気機械トランスデューサである。代表的なスピーカは、その近傍での空気圧の変化により、その入力での電気音声信号を、その出力で発生した音波に変換する電気機械トランスデューサである。

0003

関連する代表的な電気音響トランスデューサは、連続的に製造される。換言すれば、スピーカとマイクロホンは、分離した異なる要素から製造され、多くの組立工程を伴う。例えば、カーボンマイクロホンを製造するには、可動金属ダイヤフラムカーボン顆粒金属ケース基体構造及びダストカバー(ダイヤフラム上の)を必要とする。コーン型移動コイルのスピーカは、誘導性音声コイル永久磁石、金属及びペーパコーン組立体などを必要とする。それゆえ、大容積の音声トランスデューサを製造する上でコスト的な利点は殆んどない。さらに、関連する電気音響トランスデューサの性能は、分離した構成要素の性能の変動により、例えば室温の変化や、組立工程の変化によって制限される。分離した構成要素の材質製作者の違いによってもまた、得られた音声トランスデューサの性能に影響を及ぼす。

0004

米国特許第4555797号は、入力としてデジタル音声信号を受信する(一般的には、従来のスピーカに入力されるアナログ音声信号とは反対である)ハイブリッドスピーカステムを開示しており、直列に接続された部分に細分された音声コイルを介して、該システムから可聴音を生成する。ボイスコイル部分は、デジタル音声入力言語における対応ビットの値によって選択的に短絡される。しかしながら、音声コイルは、製造されるスピーカ毎に正確に細分されなければならない。さらにまた、分けられた音声コイルの各部分は、デジタル音声入力における最下位ビット順に正確なインパルスを与えるために、機械スピーカ構造の一部として正確に配置される必要がある。音声コイルの分離的性質は、前述した典型的なスピーカの製造及び性能に関連する問題、例えば一貫性、コスト及び品質等に影響を及ぼす。音声コイルは、性能の一貫性を確保するために、製造が同一おの要素で連続的に作らればならない。それゆえ、分離した音声コイルを組み込んだ装置を商業的に製作するには、その複雑性や、コイル製造及び使用の一部として要求される精度を考えると、あまり利益がないかもしれない。

0005

さらにまた、ソリッドステート圧電膜超音波トランスデューサとして用いられている。しかしながら、超音波周波数は、人間のには聞こえない。超音波トランスデューサの近くの空気は、可聴音を作り出すのに十分に大きくないかもしれない。

0006

それゆえ、この分野では、製造コストがより安く、大きさがより小さい電気音響トランスデューサが要請されている。音声トランスデューサの性能を均一なものにし、例えば周囲温度の変動のような外的パラメータへの依存性をより少なくするには、分離した要素を用いることなくソリッドステート電気音響トランスデューサを作ることが望ましい。イヤホンをより軽量にするために、デジタル音声入力を可聴音波に直接変換できる音響トランスデューサに対する要請もある。さらにまた、その他の音声処理回路一体化できる電気音響トランスデューサを作ることが望ましい。

0007

本発明は、基板と、マイクロマシンド・メンブレン(micromachined membrane)を前記基板上に作成する(deposit)ことにより形成されたダイヤフラムとを含む音響トランスデューサであって、ダイヤフラムは、電気音声入力で作動したとき、音声周波数音響波を発生させるように構成された音響トランスデューサを提供するものである。

0008

本発明はまた、音響トランスデューサを作製する方法を提供するものである。この方法は、基板を形成し、マイクロマシンド・メンブレンの層を前記基板上に少なくとも1層作成することにより、基板上にダイヤフラムを形成することを含んでおり、ダイヤフラムは、電気音響信号入力で作動したとき、音声周波数音響波を作り出すように構成される。

0009

本発明は、これまでの電気音響トランスデューサと比べて、実質的な進歩をもたらすものである。本発明は、これまでの音響トランスデューサと比べて、より安価に製造できるという利点がある。本発明の音響トランスデューサは、デジタル音声入力信号直接音波に変換する。本発明はまた、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)を用いて電気音響トランスデューサを基板に組み付けることにより、これまでの音声トランスデューサと比べて、サイズを小さくできるという利点がある。デジタル信号プロセッサセンス増幅器アナログ−デジタル変換器及びパルス幅変調器などの追加の音声回路を、単一シリコンチップ上の音響トランスデューサと一体化することもでき、これにより非常に高品質の音声再生が得られる。周波数応答における非線形性(non-linearity)及びひずみ(distorsion)は、オンチップ負フィードバック回路修正されるので、音品質の実質的な向上が達成される。本発明の音響トランスデューサは、音響インピーダンスを変えるために、オンザフライ補償ができるので、広範囲に亘る音響負荷に対して実質的なフラット周波数応答が確実に行える。

0010

本発明のさらなる利点については、添付の図面を参照した以下の詳細な説明により、より良く理解されるであろう。

0011

図1を参照すると、本発明に係る音響トランスデューサの回路要素カプセル化するハウジング(10)を示している。図1の実施例において、ハウジング(10)の中に入れられた音響トランスデューサは、受信したデジタル音声入力を、可聴音に変換するマイクロスピーカユニットである。後で説明するように、ハウジング(10)のマイクロスピーカは、デジタル音声入力(どんな音声源であってもよく、例えばコンパクトディスクプレーヤなど)から、直接可聴音を作り出す。一実施例において、ハウジング(10)のマイクロスピーカは、アナログ音声入力(図1に示すデジタル入力に代えて)を受信し、そのアナログ入力から可聴信号を発生する。他の実施例(図1に示されていない)として、ハウジング(10)は、音波を受信し、該音波を電気信号に変換するマイクロホンユニットをカプセル化してもよい。その場合、ハウジング(10)からの出力は、回路設計者の所望により、アナログ又はデジタルのどちらの形態であってよい。

0012

図2は、図1のハウジング(10)内にカプセル化された種々の回路要素の実施例を示している。図2に示す音響トランスデューサは、マイクロマシンド・メンブレンを基板(12)上に作成することによって形成されたダイヤフラム(14)を含むマイクロスピーカユニットである。基板(12)は、例えば後で説明するバッチ式製造に用いられる基板のように、さいの目形(die)のより大きな基板であってよい。図2に示す音響トランスデューサユニットは一体的構造であるから、以下の説明において、「ハウジング」「マイクロスピーカユニット」「マイクロスピーカ」の用語については、簡素化のために同じ符号(10)を用いている。換言すれば、図2のハウジング(10)は、音声処理回路と、後記する基板(12)上に作製されたダイヤフラム(14)から形成されるマイクロスピーカユニット(又はマイクロスピーカ)を含む単一の物理カプセル体を意味することがあり、またその逆に、マイクロスピーカユニット(10)(又はマイクロスピーカ(10))は、集積回路(基板(12)、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)、及び追加の音声処理回路を具える)と、その集積回路ユニットをカプセル化するハウジングを含む物理的構造を意味することもある。さらにまた、「ハウジング」なる語は、マイクロスピーカユニットの外部物理的構造だけを意味し、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)、及びその外部物理的構造内にカプセル化されたその他の集積回路を意味しないこともある。

0013

ダイヤフラム(14)は、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)技術を用いて、基板(12)上に作製される。図2に示す実施例において、ダイヤフラム(14)に対するマイクロマシンド・メンブレンは、CMOS(相補形金属酸化膜半導体) MEMSメンブレンである。CMOS MEMS製造技術は、ダイヤフラム(14)を作製するのに用いられるもので、その一般的な説明を簡単に後記する。CMOS MEMSの製造方法は、当該分野で広く知られており、数多くの先行技術文献に記載されている。一実施例として、米国特許第5717631号(1998年2月10日発行)及び米国特許出願第08/943663号(1997年10月3日出願、1999年5月20日特許査定)に記載されたCMOSMEMS技術を用いて作ることができ、これら書類の内容については、それらの全体に対して、引用を以て本願への記載加入とする。

0014

マイクロマシニングは、一般的に、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)として知られるデバイスを製造するための半導体処理技術を用いることを意味し、その製造技術として、例えば、フォトリソグラフィー電気メッキスパッタリング蒸着プラズマエッチングラミネーションスピン又はスプレーコーティング拡散(diffusion)、その他の微細加工技術などのプロセスを含むものである。一般的に、公知のMEMS製造方法は、薄膜成膜技術及びエッチング技術を用いることにより、基板層から、CMOS材料などの材料を、所望の構造が得られるまで連続的に追加又は除去することを含んでいる。

0015

前述の如く、MEMS製造技術の多くは、半導体産業由来している。それゆえ、基板上に構造体を形成するのに、半導体製造のために開発された方法、例えばパターニング、膜作成(deposition)、エッチングなどの方法を用いることできる。例えば、真空蒸着スピンコーティング、浸漬コーティングスクリーン印刷などの種々の膜作成技術を、ダイヤフラム(14)の作製において、基板(12)上へのCMOS層の薄膜作成に用いることができる。薄膜の層は、例えば湿式又は乾式の表面エッチングにより除去されることができ、基板の部分は、例えば湿式又は乾式のバルクエッチングにより除去されることができる。

0016

マイクロマシンド・デバイスは、典型的には、バッチ式によって基板上へ作製するることができる。デバイスの基板上への作製が完了すると、ウエハーは、例えばさいの目状に切断され、個々のMEMSを多数含むデバイスが形成される。個々のデバイスは次にパッケージされ、デバイスはより大きなシステム及び要素に電気的に接続される。例えば、図2に示す実施例はそのような単一デバイスの1つであり、基板(12)は、個々のマイクロスピーカユニットの集合体のバッチ式作製に用いられるより大きな基板の切断された一部である。個々のデバイスは、例えば、リードフレームチップキャリヤその他代表的なパッケージに対する半導体ダイと同じ要領にてパッケージされる。MEMSデバイス外部パッケージングに用いられる方法もまた、半導体製造に用いられる方法とほぼ同様である。それゆえ、一実施例において、本発明はバッチ式製造技術を用いて、CMOSMEMSダイフラムのアレイを共通の基板(12)上に作製することである。

0017

基板(12)は非導電性材料であってよく、その材料として、例えばセラミックガラスシリコン印刷回路基板の他、シリコン・オンインシュレータ(SOI)半導体に用いられる材料が挙げられる。一実施例において、マイクロマシンド・デバイス(14)には、例えば、表面及びバルクマイクロマシニングを含むバッチ式マイクロマシニング加工技術により、基板(12)が一体に形成される。基板(12)は、例えば単結晶シリコンウエハーのようなウエハー上で最も下にある材料の層である。それゆえ、MEMSデバイスは、一般的には、マクロスケール比較対象物(counterparts)と同じ原理によって機能する。しかしながら、MEMSデバイスは、それらマクロスケールの比較対象物と比べて、MEMSデバイスのスケールの点で減少しているから、構造、設計及びコストの点で利点を有する。さらに、MEMS技術に適用可能なバッチ式作製技術により、単位当たりコストの有意的な低下を実現することができる。これは、例えば、高品質で頑で小サイズのソリッドステートMEMSダイヤフラム(14)を、イヤホン用として、信頼性をもって大量に製造し、製造コストの実質的低減を達成できるので、消費者電子アプリケーションにおいて特に有用である。

0018

前述したように、MEMSデバイスは、単一ウエハー上で多くの独立要素を処理することにより、1回のバッチ処理で同時に数多く作ることができるという望ましい特徴を有している。現在のアプリケーションにおいて、数多くのCMOSMEMSダイヤフラム(14)を、単一シリコン基板(12)の上に形成することができる。このように、数多くのダイヤフラム(14)(それゆえ、マイクロスピーカ又はマイクロホン)を1回のバッチ処理で作ることができるので、これまで連続的に作られていた音声トランスデューサと比べて、コストの節約になる。

0019

前述したように、単位当たりのコスト低減の他に、MEMS作製技術は、マクロスケールの比較対象物と比べて、MEMSデバイスの相対的サイズを小さくすることができる。それゆえ、MEMS技術に基づいて製造された音響トランスデューサ(マイクロスピーカ又はマイクロホン)は、ダイヤフラム(14)をより小さくでき、該ダイヤフラムは、拡散層厚さ減少によって、応答時間がより速くなる。後記するように、本発明に係る電気音響トランスデューサは、例えばイヤホン又は音声記録用のマイクロホンのような様々な用途に最適である。

0020

マイクロスピーカユニット(10)は、図2に示すCMOSMEMSダイヤフラム(14)と共に基板(12)の上に配備された追加の音声回路をさらに含んでいる。音声回路は、デジタル信号プロセッサ(DSP)(16)、パルス幅変調器(PWM)(18)、センス増幅器(20)及びアナログ−デジタル(A/D)変換器(22)を含むこともできる。この周辺回路の全ては、拡散、マスキング、エッチング、及び導電性をもたらすためのアルミニウム又は金を用いた金属配線技術(metallization)を含む周知の集積回路形成技術を用いて、基板(12)上に作製することができる。

0021

図2のマイクロスピーカ(10)は、外部ピン(24)でデジタル音声入力を受信する。外部ピン(24)は、例えばアルミニウムから作られ、マイクロスピーカユニットの部品として供される。外部ピン(24)は、例えばコンパクトディスクプレーヤユニット(図示せず)上に設けられた出力ジャックの中へ挿入され、デジタル音声入力信号を受信する。これにより、マイクロスピーカ(10)は、デジタルフォーマット、例えば当該分野で知られている数多くのPCM(パルスコード変調)フォーマットの1つのフォーマットで音声信号直接受信する。デジタル音声入力信号は、例えばコンパクトディスクプレーヤのような外部音声源からのデジット(digits)(音声成分を含む)の流れである。DSP(16)は、ピン(24)で外部で音声信号に対する入力と、A/D変換器(22)からのデジタルフィードバック信号に対する入力の2つの入力を有するように構成される。

0022

デジタルフィードバック信号は、電気機械トランスデューサとしても機能するセンス増幅器(20)によって作り出される。センス増幅器(20)は、例えば加速度計又は位置センサーとして提供されてもよく、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)の実際の動きを、その出力で対応するアナログ信号に変換する。或いはまた、センス増幅器(20)は、例えばマイクロホン(又は圧力センサー)及びアナログ増幅器組合せとして提供されてもよい。センス増幅器(20)内の圧力センサー又は位置センサー(電気機械トランスデューサとして機能する)は、CMOSMEMS技術を用いて作ることもできる。センス増幅器(20)の出力に現れるメンブレン動作のアナログ信号又はフィードバック信号は、A/D(アナログ−デジタル)変換器回路(22)の中へ供給され、そこからデジタルフィードバック信号が作り出される。一実施例において、デジタルフィードバック信号は、DSP(16)内で処理する信号を簡素化するために、デジタル音声入力と同じPCMフォーマットである。DSPの内部では、A/D変換器(22)からのデジタルフィードバック信号は、ピン(24)でのデジタル音声入力信号と比較され、その差は、ピン(24)でのデジット(つまりピン(24)でのデジタル音声入力)の直後に、外部ピン(24)に現れる次の音声入力から減算される。この負のフィードバック動作は、DSP(16)の出力でデジタル音声差信号を生成し、該信号はパルス幅変調器ユニット(18)へ供給される。一実施例において、デジタル音声差信号もまた、回路内の他のデジタル信号、例えば、A/D変換器(22)からのデジタルフィードバック信号及びピン(24)でのデジタル音声入力信号と同じフォーマットにある。

0023

PWM(18)は、デジタル音声差信号を受信し、1ビットパルス幅変調された出力を生成する。単一ビットの出力パルスの幅は、デジタル音声差信号のエンコーディングに依存する。PWM(18)からの1ビットパルス幅変調された出力は、このようにして、その中に、ピン(24)で入力されDSP(16)に現れる音声情報と、全ての非直線性に対して修正されたアルバイト(albeit)と、ダイヤフラム(14)からの出力に存在しセンス増幅器(20)で測定されたひずみとを搬送する。

0024

PWM(18)からのパルス幅変調された出力ビットは、ローパスフィルターを通すことなく、音声再生のためのCMOSMEMSダイヤフラム(14)へ直接適用される。マイクロマシンによるダイヤフラム(14)の慣性力(inertia)により、ローパスフィルターの処理とデジタル−アナログ変換のために追加の電子回路を必要とすることなく、ダイヤフラム(14)は、積分器(ダイヤフラム(14)内で内部キャパシタによって符号表示される)として作用することができる。このように、ダイヤフラム(14)は、アナログフィルター(1ビットパルス幅変調された入力のローパスフィルターを行なう)と、PWM(18)から受信したデジタル1ビットパルス幅変調音声入力からの可聴音を生成する電気音響トランスデューサとして作用する。

0025

図3A乃至図3Dを参照して後述するように、ダイヤフラム(14)は、PWM(18)からの1ビットパルス幅変調音声入力の幅に比例して、z方向(ダイヤフラム(14)がx−y平面内に含まれていると仮定したとき)に振動する。ダイヤフラム(14)の振動により、隣接する空気中に可聴音波が作り出され、ピン(24)でのデジタル音声入力は、外部の使用者に対して可聴となる。前述したように、ピン(24)で与えられたデジタル音声入力に応答してダイヤフラム膜が振動すると、その振動はセンス増幅器(20)及びA/D変換器(22)を含むフィードバックネットワークを用いて、検知され、DSP(16)へ報告される。共通のシリコン基板上で音声ドライバ回路(PWM(18)とDSP(16)を具える)とフィードバック回路(センス増幅器(20)とA/D変換器(22)を含む)が一体化するので、ダイヤフラム(14)の正確な監視フィードバックが可能となり、それゆえ、音声出力における全ての非線形性とひずみの修正が可能となる。

0026

このように、マイクロスピーカ(10)は、基板(12)に作製された中間デジタルアナログ変換回路(例えばローパスフィルター回路)を追加することなく、デジタル音声入力信号を、音響出力に直接変換するデジタル音響トランスデューサとして機能する。例えば、ポータブルCD(コンパクトディスク)プレーヤに適用する場合、マイクロスピーカユニット(10)は、一般的にはCDプレーヤの中に含められるヘッドホン増幅器チップ及びD/A(デジタル−アナログ)変換器チップと置き換えられる。デジタル入力のひずみの大きさは、従来の電気機械トランスデューサよりも数オーダ小さいので、マイクロスピーカ(10)は、そのデジタル入力から非常に高品質の音声を作り出すことができる。それゆえ、マイクロスピーカ(10)は、オーディオマニア用イヤホン、補聴器携帯式を含む電話受信機などの音声再生ユニットに用いることができる。

0027

ピン(24)での音声入力がアナログ(前述したデジタルに代えて)であるとき、DSPユニット(16)、パルス幅変調器(18)及びA/D変換器(22)を省くことにより、簡素化された構造のマイクロスピーカユニット(10)を用いることができる。この実施例において、センス増幅器(20)のアナログ出力は、外部音声源からのアナログ音声入力と共に、アナログ差動増幅器(図示せず)へ直接送られる。差動増幅器(difference amplifier)の出力は、アナログ増幅器の出力をダイヤフラム(14)へ送信する前に、追加のアナログ増幅器(図示せず)を通じて、ピン(24)のアナログ入力へ加えられる。

0028

マイクロスピーカユニット(10)はその他にも、種々の音響インピーダンスに対して、「オンザフライ(on-the fly)」、つまりリアルタイムで又は動的に補償を行なうことができる。周囲環境が異なると、電気音響トランスデューサに作用する負荷が異なることは知られている。例えば、マイクロスピーカユニット(10)が使用者の耳に連結されているとき、耳と、耳に隣接するハウジング(10)の表面との間が密着していると、ダイヤフラムに及ぼす音響負荷に影響を与え、ダイヤフラム(14)の周波数応答を変化させることがある。他の例として、電話(電話機にスピーカが内蔵されている)で話をするとき、耳と電話機との間で様々な量のリークが起こることは知られている。一実施例において、音響負荷が変動する状態の改善は、マイクロスピーカユニット(10)が最初に駆動され、その後、所定の間隔、例えば、連続するデジタル音声入力ビットの2つの流れの間隔で駆動されると直ちに、オンチッププログラム制御を用いて、試験周波数スイープが発生するようにDSPを構成することにより達成される。

0029

試験周波数は、一般的には、可聴周波数範囲にある。所望の音声成分信号は、音響インピーダンスのオンザフライ補償のために、試験周波数信号として用いられる。試験周波数スイープが送られる毎に、DSP(16)は、フィードバックネットワークの補助を受け、試験周波数に応答してダイヤフラムの振動及び動きを監視すると共に、周囲の空気圧又はダイヤフラムを囲むその他音響媒体によってダイヤフラム(14)へ送られる音響インピーダンスを測定する。DSP(16)は、音響インピーダンスの測定値を考慮して、この音響インピーダンス(又は負荷)の補償を行ない、広範囲の音響負荷に亘って、ダイヤフラム(14)によるフラット周波数応答が確実に行われるので、高品質音声再生のための負荷感応型音響トランスデューサを作り出すことができる。

0030

ハウジング(10)(図2に示すCMOSMEMSダイヤフラム(14)を有する音声回路を含む)は、プラスチック又はセラミックなどの非導電性材料から作られた一般的な集積回路のハウジングであってよい。ハウジング(10)と基板(12)が両方ともセラミックから作られる場合、マイクロマシンによるダイヤフラム(14)、集積された音声処理回路及びハウジング(10)は、バッチ式に作製され、バッチ式に結合されることにより、密閉パッケージされた装置が作られる。一実施例において、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)を電気磁気干渉から保護するために、ハウジング(10)の全体又は一部分を、例えば金属のような導電性材料から作っている。どの場合にも、ハウジング(10)は、音の放出(マイクロスピーカの場合)又は音の入力(マイクロホンの場合)が可能となるように、適当な開口又は孔を有している。

0031

一実施例において、CMOSMEMSダイヤフラム(14)は、追加の音声処理回路を設けることなく、単一シリコンチップとして製造される。換言すれば、図2に示されるように、全体が単一基板と共に完全に一体化された回路構成は形成されない。しかしながら、音声処理回路(PWM(18)、DSP(16)、A/D変換器(22)及びセンス増幅器(20)を含む)の残部は、異なるシリコンチップとして製造される。これらの2つのシリコンチップは、次に、分離した音響トランスデューサチップ上で結合され、ハウジングの中にカプセル化されて、図2に示されるものと同じ様に、完全なマイクロスピーカユニットを作ることができる。

0032

さらに他の実施例において、CMOSMEMSダイヤフラム(14)だけがハウジング(10)の中でカプセル化されて作製される。音声回路の残部は、ハウジングに配備された単一経路外部接続され、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)はハウジング(10)外部の音声回路と電気的に接続される。外部回路は、分離した要素から作ることもできるし、一体化された形態であってもよい。ハウジング(10)のパッケージングとして、例えば、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ、ピングリッドアレイ(PGA)パッケージ、デュアルインライン・パッケージ(DIP)、小型(small outline)パッケージ(SOP)、又は小型のJ字型リードパッケージ(SOJ)などであってよい。この中で、BGAは、他のパッケージングに比べて、信号リード線の長さをかなり短くすることができるので、信号リード線の長さに関連するキャパシタンス効果を低減することにより、より高い周波数におけるCMOS MEMSダイヤフラム(14)の性能全体を向上させることができる利点がある。

0033

或いはまた、CMOSMEMSダイヤフラム(14)(追加の音声処理回路を含まず)を、基板(12)のストレッチ上に作ることもできる。作製後、基板(12)を、例えばウエハーつまり基板を切断するときのように、数多くのダイヤフラム(14)に切断される。次に所望のカプセル化を行なうことができる。さらに他の実施例として、マイクロスピーカユニット(10)(各ユニットはCMOS MEMSダイヤフラム(14)及び前述した周辺音声回路を含む)を、単一基板(12)の上に作製することもできる。次に、各々のマイクロスピーカユニット(10)を実装する所望のウエハーが切断され、各マイクロスピーカユニット(10)のカプセル化が実行される。

0034

ダイヤフラム(14)は、マイクロホン用のダイヤフラムとして用いられ、空気圧の変化は、ダイヤフラムの出力におけるアナログ電気信号の対応する変化に変換される。その場合、図2の基板と同じ基板上に作製された音声回路(ユニット(16)(18)(20)(22))はなくてもよい。その代わりに、ダイヤフラムに衝突する音声周波数音響波によるダイヤフラムの動きに応答して変動するダイヤフラムのキャパシタンスを検出するための検出機構を、基板(12)の上に作製することができる。ダイヤフラムのキャパシタンスの変化は、検出機構を通じて、ダイヤフラムに印加されたアナログ電気信号の対応する変化に変換される。一般的なマイクロホン処理回路、例えばアナログ増幅器及び/又はA/D変換器は、ダイヤフラム(14)と可変キャパシタンス検出機構(図示せず)と共に、基板(12)の上に作製される。説明は、簡素化又は簡略化のために、ここでは、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)をデジタルスピーカユニットに適用した場合についてのみ行なう。しかしながら、以下の説明についても前述の説明と同様、マイクロホン用のCMOSMEMSダイヤフラム(14)にも適用されることは理解されるべきである。

0035

図3Aは、マイクロスピーカ及びマイクロホンのダイヤフラム用として、マイクロマシン構造メッシュレイアウト(40)の一例を示している。レイアウト(40)は、CMOSMEMS作製方法を用いて基板(12)に形成されたダイヤフラム(14)の詳細な構造を示している。前述したように、音響トランスデューサを作製するために用いられる本発明の方法は、基板(12)を形成すること、及び、マイクロマシンド・メンブレンの少なくとも1つの層を基板(レイアウト(40)によって表される)の上に作成することにより、基板(12)上にダイヤフラム(14)を形成することを含んでいる。しかしながら、レイアウト(40)は単なる例示にすぎず、また縮尺通りに描かれていない。また、レイアウト(40)は、マイクロマシンド・ダイヤフラム(14)だけに対するもので。図2のダイヤフラム(14)と一体化された音声回路は、図3Aにおいてレイアウト(40)の一部として示されていない。

0036

前述したように、可聴音を発生させるには、ダイヤフラム近傍での空気移動を大きくする必要がある。大きなCMOSマイクロマシン構造は、2層以上のCMOS材料から形成することができる。しかしながら、CMOSMEMSの大きな構造体は、CMOS構造の層の相違による応力の違いにより、製造中に(z方向に)カールする。金属層酸化物層は、一般的には、熱膨張係数が異なっているので、これらの層は、処理/膜作成温度から室温に冷却された後、異なる応力を有することになる。CMOSメンブレンのz方向へのカーリング(curling)は、後記するように、レイアウト(40)のメッシュにサーペンチンばね(serpentine spring)を用いることにより最小化される。さらにまた、レイアウト(40)のメッシュ構造は、x−y平面と同一に作られているので、作製工程における冷却段階中でのダイヤフラム構造の「バックリング(buckling)」又は全体的な収縮(shrinkage)(x−y平面内)を避けることができる。

0037

図3Bは、図3Aのマイクロマシン構造メッシュの拡大図である。図3Bの底部(42)は、CMOSMEMS作製方法を用いて作製したメッシュ構造の幾つかを拡大して示している。上部(44)は、異なるメンブレン長さを有する異なるメッシュ構造(43)の拡大図である。例えば、メンブレン(43A)(43B)(43C)は、異なる数の部材を有しており、各部材は長さが異なっている。しかしながら、レイアウト(40)(及び、ひいてはダイヤフラム(14))は、底部(42)の中の拡大図によって示されるメッシュ(43B)と同様な数多くのメッシュで作製される。

0038

図3Cは、図3Bに示されるメッシュ(43A)の構造を詳細に示す図である。マイクロマシンド・メッシュ(43A)は、数多くのサーペンチンCMOSばね部材からなるファブリックを用いて形成される。このような微細機械サーペンチンばね部材(50)の1つが、図4に示されている。大きなマイクロマシンド・ダイヤフラム(14)の(z方向の)カーリングは、ダイヤフラム・メンブレンを短い部材から作ることによって実質的に少なくすることができ、カーリングによって生ずる傾斜は、方向変化を頻繁に行なうことによってほぼなくすことができる。サーペンチンばね部材(50)は、図4に示されるように、長いアーム(52)と短いアーム(54)を交互に用いることによってこの条件を満たすことができる。

0039

図示のメッシュ(43A)は、4つの単位セル(48)から構成され、各単位セルは、4つのサーペンチンばね部材を有している。各々の単位セルは、図3Cに示されるx−y面において四角の形状であってよい。或いはまた、単位セル(48)の形状は、最終レイアウト(40)の形状に応じて、矩形正方形円形等の異なる形状の組合せであってよい。例えば、幾つかの単位セルはレイアウト(40)の中央部が矩形であるのに対し、その他の単位セルはレイアウトの縁部に沿う正方形状であってよい。図3A乃至図3Cのメッシュ構造は、ダイヤフラムのレイアウト(40)を含むx−y平面に沿って存在するものと考えられる。単位セル(48)の長いアーム(52)と短いアーム(54)の各アームは、ダイヤフラムがPWM(18)からパッケージ幅変調音声信号を受信すると、z軸に沿って移動する。図3Aに示す実施例(及び図3Bの拡大図)において、メンブレンレイアウト(40)の縁部(又は境界部)にあるそれら単位セル(48)の外縁部(46)は固定されるので、それゆえ振動しない。これは、実際の使用中、ダイヤフラム・メンブレンを適所に保持するのに望ましい。しかしながら、境界部以外のその他全ての単位セル(48)の外縁部(46)は固定されていないので、自由に振動することができる。しかしながら、外縁部(46)を共通する隣接ユニットセルが反対向きのトルクを及ぼすから、全ての単位セルの外縁部(46)を平均すると、かなり平坦な儘である。

0040

図3Dは、図3Cに示されたメッシュ(43A)における単位セル(48)のMEMCADカールシミュレーションを示している。長アーム(52)と短アーム(54)の各アームの形状は、単位セル(48)の三次元図に示される矩形の箱である。これらの矩形箱状又は棒状の部材の全ては、CMOS MEMS作製工程中に接合され、ダイヤフラム(14)を形成する。図示の最大カーリング(図3Dの三次元シミュレーションにおいて白色領域として示される)は、単位セル部材をサーペンチンばねで作製することにより、実質的に短くなっている(平均約0.7μm)。外縁部(46)(単一の単位セル(48)のシミュレーションに対してだけ固定されている)は、図3Dでは見えないが、その理由は、外縁部(変位の大きさを表す底部のインジケータの中で黒色で表される)ではカーリングは殆んどないからである。一般的に、製造工程中のカーリングによって生ずるCMOSダイヤフラム構造の粗さ(roughness)は、CMOSダイヤフラム膜に対してサーペンチンばね部材を用いると、約2μm以下に抑えられる。

0041

図4は、図3Bのメッシュ(43B)における個々のサーペンチンばね部材(50)の三次元図を示している。図3Bに示されるように、このような各サーペンチンばね部材は、より大きなメッシュ構造に対する基本構造ユニットである。数多くのサーペンチンばね部材は、対応する長アーム(52)を通じて接合され、稠密にパックされた単位セルのネットワークを形成し、これにより、図3Bの底部(42)の拡大図に示されるメッシュを形成することができる。メッシュの大きさ、個数、隣接するメッシュ間ギャップ、メッシュ中の隣接部材間のギャップ、メッシュの幅及び長さ等のファクターについては、設計上の事項である。

0042

図3Aのレイアウト(40)の場合、バネ(50)において、隣接する長アーム(52)(52)間のギャップ、長アームと短アームとの幅、長アームと短アームの個数については、MEMS作製工程によって作られる最終ダイヤフラムにおける(z方向の)カールに及ぼす影響を調べるために、カールシミュレーション工程中で変化させる。例えば、一実施例(試験目的のみ)において、長アームと短アームの幅、及び長アーム間のギャップは、ダイヤフラム(14)のダイの縁部近傍のメッシュの場合、(所望されるカールに応じて)0.9、1.6又は3.0μmの組合せである。この試験実施例において、ダイヤフラム(14)の中央の大きな、四角形状のメッシュは、1.4416mm×1.4416mmである。この中央メッシュを構成する長アームと短アームの各アームの幅は1.6μmであり、この中央メッシュにおける各々の長アーム間のギャップもまた1.6μmである。しかしながら、実際のイヤホン又は商業用マイクロスピーカでは、CMOSMEMSダイヤフラム(14)のサーペンチンばねは、長アームと短アームの幅を第1の固定寸法とし、長アーム間のギャップを第2の固定寸法とすることができる。

0043

例えば、MOSIS(金属酸化物半導体実装システム)の方法を用いて作製し、CMOSMEMSダイヤフラム(14)を解放した後、1層又は2層以上のシーラント、例えばポリアミド(パイラリンが望ましい)を、CMOS MEMSダイヤフラム構造の頂部に作成し、気密構造のダイヤフラムを作製する。シーラントは所望される厚さに応じて、過剰のものをエッチングで取り除く。隣接する2つの長アーム間のギャップは、作製工程中に制御可能であるから、その下にあるシリコン基板(シーラント形成のために)のエッチング速度に及ぼすギャップの影響は容易に観察することができる。さらにまた、設計者は、シーラントが(基板(12)の方へ)ドリップする前及び積層の後に、どれくらいの大きさのギャップ(隣接する長アーム(52)(52)間)が許容されるかを確認することができる。それゆえ、シーラントの粘度は、このような「ドリッピング(dripping)」を制御する上で重要なファクターである。他の実施例において、解放された(released)CMOS MEMSダイヤフラム構造は、Kapton(登録商標)膜(又は他の同様なラミネーション膜)を、MEMSダイヤフラムのダイの頂部に作成することにより積層化される。また、ラミネーション膜は、CMOSダイヤフラム・メンブレンの所望される最終厚さに応じて、エッチングにより部分的に取り除くことができる。
サンプル用MEMSダイヤフラムユニットに関する数学挙動のモデリング

0044

下記の説明では、測定される量が少ない次元に基づいた単位系を使用する。したがって、「質量」はナノグラム(ng)で測定され、「長さ」はミクロンメータ(μm)で測定され、「時間」はマイクロセカンド(μs)で測定され、電荷ピコクーロン(pC)で測定される。

0045

下記の量は上記の「基準」単位を使用して導かれる。「力」[=(質量×長さ)/(時間)2]はマイクロニュートン(μN)で測定され、「エネルギー」[=力×距離]はピコジュール(pJ)で測定され、「圧力」[=力/面積]及びヤング率メガパスカル(MPa)で測定され、「密度」[=質量/体積]はng/(μm)3で測定され、「電位」[=エネルギー/電荷]はボルト(V)で測定され、「キャパシンタンス」はピコファラッド(pF)で測定され、「抵抗」[=電圧電流]はメガオーム(MΩ)で測定され、「電流」[=電荷/時間]はマイクロアンペア(μA)で測定され、「角周波数」はラジアン/マイクロセカンド=rad/μsで測定され、「音圧レベル」[=20ログ(圧力/P0)]は基準圧力P0=20μPaを用いてデシベル(dB)で測定される。単位表示されていない量は、上記の量から導かれた単位を有するものとされることがある。

0046

下記の定数は関連計算において使用される。標準状態での「空気の密度」(ρa
ir)=1.2×10-6、「音速」(c)=343、「空気の音響インピーダンス」[=(空気密度)×(音速)]=412×10-6、「空気の粘度」[=力/面積/(速度勾配)](μair)=1.8×10-5、「シリコンの密度」(ρS1)=2.3×10-3、「ポリイミドの密度」(ρpoly)=1.4×10-3、ポリイミドのヤング率(E)=3000、ポリイミドのポアソン数(v)=0.3、「自由空間の透過性」(ε0)=8.85×10-6pF/μm、「外耳道内における空気の音響コンプライアンス」[外耳道の容積を2cm3と仮定する]=(容積)/(ρair×c2)=1.4×10-1
3である。

0047

下記の基本的音響公式は、電気回路と同じように使用される。ここで、「音響抵抗」(R)=(ρm×c)/Aであって、Aは音波を搬送する媒体「m」の管の断面積であり、「音響インダクタンス」(L)=(ρm×l)/Aであって、Aは音波を搬送する媒体「m」及び長さ「l」の管の断面積であり、「音響コンプライアンス」(C)(電気キャパシタンスと同様)は=(容積)/(ρair×c2)であって、「容積」は音波を伝える管内の空気の容積を表し、「容積速度」(電流と同様)(U)=p/Zであって、「p」は圧力(AC又は信号接地に対する電位差と同様)、「Z」は単位が[ng/(μs×μm4]の「音響インピーダンス」である。

0048

次に図5を参照すると、これは、使用者の耳に配置された本発明のMEMSダイヤフラム(14)を示す断面図である。前述の如く、ダイヤフラム・メンブレン(14)を気密構造とするために、該メンブレンの上に作成されたシーラント(例えばポリイミド)を有している。ここで、図5に示すように、メンブレン厚さ「t」は厚さ6ミクロンのポリイミドの層である。完全な組立体(即ちダイヤフラム(14)と基板(12))の横断面(図5紙面の中)は四角形の形状である。ダイヤフラム(14)は、音声再生のための有効領域は四角形の形状であって、この四角形の各辺の長さ「a」=1.85mmである。基板(12)の厚さは500μmであり、ダイヤフラム膜は、その下にある基板(12)から約10μmの距離(d)の位置で吊り下げられており、図5に示す基板とダイヤフラムとの間にギャップ(62)を形成している。

0049

図示の基板(12)は、その背面(即ち、使用者とは反対側の面)に通気用の孔(60)を有している。一実施例において、基板(12)は2以上の孔(図5には示されていない)を有しており、該孔は、その背面、例えば「a」を辺とする正方形に等しい領域に亘って拡がっている。これら背面側の孔は、ハウジング(例えばイヤホン)が外耳道に挿入されるとき、ダイヤフラムのハウジング上に、音声伝達用の外耳道に面する方向に設けられるどんな孔とも異なっている。本計算によれば、単一の背面孔(60)(複数の背面孔の如何に拘わらず)の領域は、ダイヤフラム(14)のメンブレン領域全体の1/4に等しいと推定される。

0050

図5に示す構成において、例えば、電池その他の電力源がダイヤフラムを励磁するときのように、メンブレンに電位差(又はバイアス)が加えられるとき、ダイヤフラム・メンブレン(14)は、基板(12)の方へ(即ち、z方向)(ギャップ(62)の内部で)静電気で引かれる。本実施例において、DCバイアス電圧は9.9ボルトである。ダイヤフラム(14)は、AC音声信号(例えば図2中の1ビットPWM信号)が存在しない場合、基板(12)の方向に引かれた儘であるが、受信した電気音声信号に応答してz方向に移動する。AC音声信号は、DCバイアス電圧に重ね合わされたピーク値振幅(peak-to-peak)は5ボルトである。

0051

マイクロスピーカユニット(基板(12)とダイヤフラム(14)を含む)は、図5に示されるように、メンブレンが外耳道に面するように使用者の耳の中に配置される。マイクロスピーカユニットはイヤホン(耳栓)として製造されるから、例えばコンパクトディスクプレーヤで音楽を聴くとき、使用者は耳の中へイヤホンを挿入することができる。理想的には、最高ヒヤリング性能が得られるのは、ダイヤフラム(14)の4箇所の全ての縁部と、これらダイヤフラムの縁部を取り囲む耳の皮膚との間で、ぴったりと(気密状態で)フィットした場合である。しかしながら、現実には、フィッティング状態不完全さによる音漏れが生じることになる。したがって、計算によれば、音漏れ領域は完全なダイヤフラム(14)の表面(2mm平方)の周囲(=8mm)に等しい断面を有すると考えられ、それは周囲の漏れギャップ約0.2mm(これもまた計算のために仮定された)によって乗算されたものである。

0052

ダイヤフラム・メンブレン(或いは単に「メンブレン」)(14)の周波数応答を計算するには、真空中のメンブレン(14)の挙動(不減衰バネ質量系と同様)及びその周囲の音響挙動を考慮に入れることが望ましい。適用されたDCバイアス及び適用されたAC信号強度の場合、メンブレン(14)は、電流源(図6に示される電気的等価モデルの中で)として扱われ、それは駆動周波数と同様、その間に生じる電圧差に依存している。この挙動は、メンブレン(14)を、(一方向に向かう)正弦波電気力(sinusoidal electrical forces)と、2つの面の圧力差で生じる経験力(experiencing forces)(同じ方向、例えばz方向)とによって駆動するバネ質量系として記載する式にまとめることができる。正弦波電気力に基づいた計算モデルは、パルス(例えば図2の1ビットPWM音声信号)がダイヤフラム・メンブレンに加えられるとき、パルスは1又はそれより多くの正弦波周波数を有しているから、ダイヤフラムの挙動をかなり正確に表すことができる。ニュートン運動の第2法則を利用したバネ質量系などに関する周波数領域(frequency-domain)の関係式は下記の通りである。
−mω2y=−ky−(p'−p)S+f (1)

0053

なお、式(1)において、「m」は質量、「ω」は角周波数、「y」はメンブレンの変位(内向きの変位、即ち外耳道から離れるか又はギャップ(62)へ入る場合は正の値、外向きの変位、即ち外耳道に向かう場合は負の値)、「k」はメンブレンが図5のギャップ(62)の中間点へ変位するときの有効バネ定数、「p'」はギャップ(62)におけるメンブレン(14)と基板(12)との間の空気圧力、「p」は外耳道内の空気圧力、「S」はメンブレンの断面積(=a2)、「f」はメンブレン(14)と基板(12)との間に作用した静電気力である。式(1)は、或いはまた、[(質量×加速)=メンブレンの静電気力+圧力差により生ずる力+電気力]のように表されることができる。式(1)において、「y」、「p」、「p'」及び「f」はいずれもフェイザー量(phasor quantities)である。さらに着目されることは、音の波長は最も高い音声周波数を除く全ての場合において外耳道の一般的長さより非常に長いから、最も高い音声周波数を除く全ての場合において、圧力「p」は外耳道全体で均一なものと取り扱われる。

0054

次に図6を参照すると、図5に示された配置構成の音響RCモデルが示されている。背面孔(複数であってよい)(60)と周辺部の漏れの両方についての音響イナータンスは、音声周波数では無視してよいことが示されている。前述のように、ここでの分析はメンブレンを真空中のバネ質量系として利用している。それゆえ、バネ質量系を減衰させるために抵抗を導入することが必要である。(空気圧による)有意的な力は、ダイヤフラムによって感知されるように、抵抗は、ダイヤフラム(14)の表面の近くにあるのが望ましい。そのような抵抗の一つは、基板(12)の背面孔(60)と、該背面孔(60)に最も近いダイヤフラム(14)の表面との間のギャップ(62)の中で作られる空気抵抗である。

0055

図6において、「R1」は背面孔(60)(複数であってよい)により、ダイヤフラム表面へ与えられた音響抵抗であり、「C1」はギャップ(62)内部に閉じ込められた空気コンプライアンス(即ち、幅「d」のギャップ内の空気)である。同様に、「R2」はダイヤフラム組立体(即ち、図5中のダイヤフラム(14)及び基板(12))の周辺部における漏れの音響抵抗であり、「C2」は外耳道内の空気のコンプライアンスである。外耳道は、端部が閉じたシリンダーを、シリンダ内ピストンとして作用するダイヤフラム(14)(有効音響寸法は「a」)をもって形成するものとして観察されることもできる。(音声入力により)ダイヤフラム(14)が動くと、空気圧が振動し、それゆえ、使用者は生じた音声音を認識することができる。

0056

音響抵抗R1の一方の端部は、図6では接地されているが、(背面(60)の)抵抗R1のメンブレン側への圧力p'は、背面孔(60)の他方の側(即ち、ダイヤフラムと基板とのギャップ(62)から離れる方の側)に対して、周囲空気から作用するいかなる圧力よりも実質的に大きいからである。同様に、音響漏れ抵抗R2の一方の端部も接地された状態が表されている。前述の如く、ダイヤフラム(14)の偏り「y」は、ダイヤフラムが基板(12)の方(即ち、外耳道から離れる方向)へ移動するとき、正の値をとる。しかしながら、図6で電流源としてモデル化された容積速度「U」は、それとは反対に、空気が外耳道の中へ移動するときに、容積速度「U」は正の値となる。したがって、「jωy(周波数領域内でのメンブレンの速度)」と「U」は、図6では符号が反対となる。

0057

容積速度「U」と変位量「y」とは、U=−jωSy/3という関係を有している。1/3のファクターは、ダイヤフラム・メンブレンが変位するときのダイヤフラムの形状を考慮したものである。上記の如く、「y」はf、p及びp'に依存する。図6から、p及びp'の値は次のように与えられる。

0058

式(1)(2)(3)について、作用力fを音圧レベル(即ち、p及びp')に到達させるための解を得るには、コンピュータプログラム(例えば、Maple(商標名)のワークシートプログラム)を用いて行なうことができる。しかしながら、それは依然として、印加電圧(AC入力の場合ては文字「v」、DCバイアスの場合は「V」として表される)、有効質量(「m」)及びバネ定数(「k」)に対するfの関係を見つけることである。加えられた力fは、小信号に対しては、AC音声入力「v」に比例し、下記式で表される。

0059

なお、式(4)中、F=k1y+k3y3(力「F」は偏り「y」の関数として表される)であって、また次の式としても表される。

0060

なお、式(5)において、Fは印加されたDCバイアス電圧Vに対する偏り「y」での静電気力である。下記のMaple(商標名)ワークシートの計算において、「F」、「y」及び「V」の値は、夫々、f0、y0及びV0と称され、それらは作用位置に対する値であることを示す。さらにまた、y0=d/2(但し「d」は図5に示されるギャップの幅を表す)と推定される。換言すると、メンブレン(14)は、基板−メンブレンの間のギャップ(62)の中央にある位置の周辺で作用を受ける。したがって、f0はメンブレンを位置y0にもっていくために必要な静電気力を表し、V0は力f0を生成するのに必要な静電気電位差である。

0061

作用位置y0における有効バネ定数「k」は、力F(即ち、F=k1y+k3y3)に対する上記式から計算され、次のとおり与えられる。

0062

式(6)において、k1及びk3の値は、例えば「Roarkの応力と歪みに関する公式集」等のハンドブックから得ることができる。正方形プレート(即ち、ダイヤフラム・メンブレン(14)の形状)に対しての簡単な式はないが、k1及びk3の値は、次の式を用いることにより、縁部が固定された半径Rの円形メンブレンに対する値から推定することができる。

0063

式(7)において、「E」は(ポリイミドに対する)ヤング率を表し、「v」(nu)は(ポリイミドの)ポアソン数である。式(7)の半径「R」を「a/2」(即ち、外耳道へ入れられる正方形形状メンブレン表面の1辺の長さの半分)で置き換えることにより、正方形メンブレンの挙動をモデリングする際、k1及びk3に対して合理的な近似を行なうことができる。得られた式は次の通りである。

0064

メンブレン(14)の有効質量がメンブレンの総質量より幾分少ないのは、位置「y」を決定するメンブレンの中央部での位置変化が、縁部(即ち、図3Cの拡大図に示される縁部(46))近傍の領域よりも大きいからである。メンブレンの有効質量の推定値は次の式で表される。

0065

式(10)において、ρpolyはポリイミドの濃度、「t」はメンブレンの厚さ(図5に示されている)、「S」は音響目的のためのメンブレン(14)の有効面積である(=a2=(1.85mm)2)。

0066

前述の式及びパラメータは、数学的計算のソフトウェアパッケージ(例えば前記のMaple(商標)ワークシートプログラム)に入力され、様々な値(例えばR
1、C1、R2等に関する値)が計算され、メンブレン周波数応答及び可聴周波数範囲における変位量が決定され、プロットされる。Maple(商標)ワークシートを用いて実行された計算を以下に示す。
Maple(商標名)ワークシートによる計算
メンブレンパラメータの特定:
>再起動
>a:=1850; t=6; E:3000; v:=0.3; ρpoly=1.4x10-3
>S:=a2; メンブレンの面積
S:=3422500
ギャップ間隔、(平衡位置から測定した)作用位置を特定
>d:=10; y0:=d/2=5;
メンブレンをy0まで引き下げるのに必要な力:
>f0:=k1y0+k3y03
f0:=118.7680107
メンブレンをy0まで引き上げるのに必要なバイアス電圧検索
>ε0=8.85x10-6;真空の透磁率(permeability)
DCバイアス電圧に重ね合わされた信号(AC音声入力)の振幅を特定
>v:=5(ピークツウピーク)
電気的信号によって発生した力の振幅を計算
有効質量を計算;ファクターとして1/3を推定
作用位置における有効バネ定数を計算
>k:=k1+3k3yo2;
k:=35.89047913
推定された共振周波数(単位:ヘルツ)(計算不要)
>p':=-UZ1;p:=UZ2;容積速度及び音響インピーダンスに関する圧力は、メンブレン特性駆動力及びメンブレンの両面への圧力の関数として、振幅フェイザーを得る。
変位に関するU(容積速度)を得る
>y:=solve(expr,y);(expr,y)を解く
外耳道、装置内部のインピーダンス
音響パラメータ:デバイスコンプライアンス、抵抗、外耳道コンプライアンス、リーク抵抗
>ρair=1.2x10-6; c:=343;空気密度、音速
0dBの定義
>p0:=2x10-11;
メンブレンの変位量、外耳道の圧力、デバイスの内圧の振幅を得る
>yamp:=evalc(abs(y));pamp:=evalc(abs(p));p'amp:=evalc(abs(p'));
1/μS中のωを周波数(単位:ヘルツ)に変換
>ω:=2π(周波数)(10-6);
ω:=(0.628318)x10-5x(周波数)
>with(plots):semilogplot(20log10(pamp/p0);外耳道内部での片対数グラフ
>semilogplot(yamp, freq=10..40000); メンブレンの振幅(d/2を越えることができない)

0067

前記の数学的計算から得られた結果を、図7及び図8にプロットしている。図7は可聴周波数の範囲に応答したMEMSダイヤフラムの位置変化を示すグラフであり、図8は本発明に係るCMOS MEMSダイヤフラム(14)の周波数応答を示す片対数グラフである。前述の如く、図7のy軸はメンブレンの変位量をミクロン単位で表しており、図8のy軸は20μPaを基準とする(外耳道内の)音圧レベルをデシベル(dB)で表している。両図において、x軸は周波数をヘルツ単位で表している。

0068

前述の記載は、マイクロスピーカ又はマイクロホンに使用することのできる電気音響トランスデューサの構成及び性能のモデリングについて説明したものである。音響トランスデューサは、CMOSMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)作製方法を用いて、単一チップとして製造されており、従来の音響トランスデューサと比べて、より安価に製造される。本発明による音響トランスデューサは、デジタル音声入力信号を、音波に直接変換する。音響トランスデューサを構成するCMOS部材をサーペンチンばねから構成しているので、製造時のカーリング(メンブレン部材の)を小さくすることができる。また、音響トランスデューサのサイズは従来の音響トランスデューサと比べて小さくすることができる。また、デジタル信号プロセッサ、センス増幅器、アナログ−デジタル変換器及びパルス幅変調器を含む追加の音声回路を、単一シリコンチップ上で音響トランスデューサと一体化することができるから、非常に高品質の音再生が得られる。周波数応答の非線形性とひずみは、オンチップの負フィードバックで修正され、音質の実質的な改善がもたらされる。本発明の音響トランスデューサは、音響インピーダンスを変化させるためのオンザフライ補償が可能であり、それによって、広範囲に亘る音響負荷についてほぼフラットな周波数応答を確実に得ることができる。

0069

本発明の幾つかの望ましい実施例について説明してきたが、当該分野の専門家であれば、本発明の利点の一部又は全部を得る上で、それら実施例に対して、様々な変更、改変及び改造をなし得ることは明らかであろう。それゆえ、本発明は、請求の範囲によって規定される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく行われるそのような変更、改変及び改造も包含するものと解されるべきである。

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