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課題

複雑な形状を有する場合でも十分な強度を持ち、かつ、十分な耐水性、非常に良好な生分解性、および優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を、簡便にかつ良好な寸法精度で製造できる生分解性成形物の製造方法およびそれに用いる成形型を提供する。

解決手段

凸型片21aおよび凹型片22aからなる金型20aを用い、凸型片21aと凹型片22aとの間に、1対の被覆フィルム12間に挟持した成形用原料14を配置し、型締めした後、成形用原料14および被覆フィルム12を加熱することにより、生分解性発泡成形物水蒸気発泡成形すると同時に、被覆フィルム12を軟化させて生分解性発泡成形物表面に圧着する。そして、凸型片21aおよび凹型片22aに排気孔31aおよび排気孔32aを設け、加熱成形時に、被覆フィルム12と金型20a表面との間に介在する気体を、排気孔31aおよび排気孔32aを通して金型20aの外部に排出させる。

概要

背景

成形物処分方法として、微生物を利用した生分解による成形物の処分技術が開発され脚光を浴びている。特に、上記生分解による処分技術では、実用性の面から、デンプンタンパク質などの天然高分子を利用する技術が注目されている。これは、上記各種生分解性プラスチックが、従来の各種プラスチック非分解性または難分解性)とほぼ同様の優れた品質を性能を有しているものの、実際には、生分解速度が遅いという問題点を有しているためである。

たとえば生分解性プラスチックで成形された成形物の厚み(肉厚)が大きければ、完全に分解されるまでに非常に長時間を要することになって、実用的な範囲では成形物の体積を大きくすることができない。また、上記生分解性プラスチックからなる成形物を、特に使い捨て食器などとして使用した場合には、食品残渣一緒コンポスト化することが最も環境に負荷のかからない処理方法となる。ところが上記生分解性プラスチックの分解速度は食品残渣よりもはるかに分解速度が遅いために、コンポスト処理することは難しい。しかも、一般に、成形物に厚みや強度がある場合には粉砕処理が難しいため、生分解性プラスチックの分解速度を向上させるための粉砕も困難となり、それゆえ、生分解性プラスチックからなる成形物をコンポスト処理することは、事実上不可能となる。

これに対してデンプンやタンパク質などは、良好な生分解性を有しており、体積を大きくしても非常に容易に分解される、農業などによって大量生産される植物デンプンなどを利用できるので、資源の確保が困難ではない、発泡成形物として利用することがほとんどであるので、適度な厚みと断熱性を兼ね備えた成形物を得ることができるといった利点があり、特に注目されている。

上記デンプンやタンパク質などを用いた生分解による処分技術としては、たとえば、特許文献1(特開平5−320401号公報)、特許文献2(特開平7−224173号公報)、特許文献3(特開平7−10148号公報)、特許文献4(特開2000−142783号公報)、特許文献5(特開平7−97545号公報)などの各技術が挙げられる。

まず、特許文献1および特許文献2の技術では、主原料としてデンプンの天然物を用いているので、生分解性プラスチックに比べて良好な分解性を発揮できるとともに、紙・パルプと比較しても成形形状多様性に優れるといった利点があるが、耐水性耐湿性に乏しく、用途が限定されたり、防湿保管が必要であるなどの問題点を招来する。

次に、特許文献3および特許文献4の技術では、デンプンまたはこれに類似する各種多糖類を主原料として成形物を成形しているとともに、耐水性を向上させるために、成形物表面天然樹脂ダンマル樹脂シェラック樹脂など)を塗布して、耐水被膜を形成している。

ところが、デンプンを主原料として成形して得られる成形物(発泡成形物も含む)では、表面が完全な平滑状態とはならずに微細凹凸が生じるため、単純な塗布方法では、耐水被膜における凹凸部分に対応する位置に微細なピンホールが発生し易くなる。それゆえ、ある程度の撥水効果は期待できても完全な耐水性を付与することは困難となっている。特に、耐湿性が要求される場合には、上記耐水被膜のピンホールから湿気が吸収され易くなり、成形物が容易に変形するなどの問題点を招来する。

しかも、上記ダンマル樹脂やシェラック樹脂などは、塗布のためにたとえばアルコール類などの有機溶媒に溶解させなければならない。そのため、塗布処理後に有機溶媒を除去する際には、空気中にこれら有機溶媒が拡散して大気周囲環境汚染させないための大規模な装置が必要となるなど、製造設備上の問題点を招来する。

次に、上記特許文献5の技術では、前記特許文献3や特許文献4の技術と同様、デンプンなどからなる耐水性の乏しい生分解性素材の表面に対して、脂肪族ポリエステルハロゲン化炭化水素に溶解してなる生分解性コーティング剤を塗布している。この技術では、具体的な塗布方法してディップ法(浸漬塗布法)を用いているため、複雑な形状の成形物に対しても適度な耐水被膜を形成することは可能である。

ところが、この技術では、コーティング剤の溶解に用いたハロゲン化炭化水素を除去する必要があり、前記特許文献3や特許文献4の技術と同様、ハロゲン化炭化水素の拡散を防止するための装置を必要とするなどの問題点を招来する。しかも、ハロゲン化炭化水素は人体や環境に好ましくないものが多く、特に特許文献5の技術で具体的に挙げられているハロゲン化炭化水素はフロン系であることから、大気中にはできる限り飛散させてはならない。その結果、上記装置として、大がかりな気密室回収装置が必要となるという問題点も招来する。

上述した各技術の他にも、ワックス疎水性タンパク質塗布液として調製した上で成形物の表面に塗布する方法があるが、一般に、成形物の表面全体に耐水被膜を十分均一かつ完全に塗布することは困難である。平板のような平らな成形物であれば塗布は比較的容易であるが、上記のようにデンプンを主原料とする成形物ではその表面に凹凸が生じ易く均一な膜形成の妨げになる上に、カップ形状やボウル形状などその断面が略円形の成形物であれば、成形物や塗布装置を回転させる必要があり、塗布の困難度はさらに増大する。

さらに、たとえばディップ法などを用いて塗布液を十分に均一に塗布できたとしても、塗布後の塗布液が固化して被膜に形成されるまでに流れ落ち、被膜にムラが発生し易いという問題点も招来する。

また、上記ワックスは、その融点が比較的低いため、耐熱性に劣るという問題点がある。さらに上記疎水性タンパク質は、耐熱性も比較的良好で有機溶媒を使用する必要がないものの、水系の溶媒を使用することが多いため、塗布過程で成形物が水分を吸収して軟化・変形を起してしまうという問題点もある。

そこで、上記成形物表面に対して耐水被膜を塗布するのではなく、耐水被膜を積層する技術も、従来より提案されている。具体的には、たとえば、特許文献6(特開平11−171238号公報)、特許文献7(特開平5−278738号公報)、特許文献8(特開平5−294332号公報)などの技術が挙げられる。

上記特許文献6の技術では、デンプンを成形するのではなくパルプモールド法により得られた容器非通水性または非吸収性の保護層で被覆している。この技術では、従来から実施されている紙容器へのプラスチック被覆技術をほぼそのまま応用できるという利点があるが、パルプモールドの主体が繊維であることから、生分解速度が遅く、食品の残渣などと合わせて廃棄することができない、容器に厚みをつけることが困難な上、深絞り成形に向かず、多種多様な成形物の製作に向かない、などの問題点がある。

一方、上記特許文献7および特許文献8の技術では、天然多糖類やタンパク質、あるいはこれらを生分解可能な範囲で化学修飾したものからなる生分解性容器の表面に生分解性プラスチックの薄膜を被覆して、生分解性容器を製造している。

この技術では、生分解性プラスチックが薄い耐水被膜として利用されている一方、容器本体は、天然多糖類やタンパク質などで十分な厚みを有する容器として成形されているので、十分な耐水性を発揮しつつ、十分な生分解性をも発揮することができる。それゆえ、デンプンやタンパク質などを用いた生分解による処分技術としては、特に有望な技術である。

また、他の生分解性容器あるいは生分解性成形物も知られている(特許文献10〜12参照)。

また、袋体を用いたポリウレタンフォーム充填方法が知られている(特許文献13参照)。

また、一般的な発泡樹脂真空成形時に、圧抜きを行うことが知られている(特許文献14〜17参照)。

ところで、既に、本発明者らは、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料と、生分解性プラスチックを主成分とし、少なくとも疎水性を有している被覆フィルムとを用い、上記成形用原料および被覆フィルムを成形型中で加熱して、所定形状の生分解性発泡成形物水蒸気発泡成形すると同時に、被覆フィルムを加熱、軟化して圧着することによって、最終的に該被覆フィルムを、上記生分解性発泡成形物の表面に貼り付ける成形同時貼り付け工程を含む生分解性成形物の製造方法の発明を出願済みである(本願の優先権主張の基礎となる出願の出願日の時点では未公開で、その後に公開された特許文献9参照)。

上記先願発明は、生分解性および耐水性に優れた生分解性成形物を製造できると共に、製造工程数を削減し、製造時間を短縮することができる優れた発明である。

概要

複雑な形状を有する場合でも十分な強度を持ち、かつ、十分な耐水性、非常に良好な生分解性、および優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を、簡便にかつ良好な寸法精度で製造できる生分解性成形物の製造方法およびそれに用いる成形型を提供する。

凸型片21aおよび凹型片22aからなる金型20aを用い、凸型片21aと凹型片22aとの間に、1対の被覆フィルム12間に挟持した成形用原料14を配置し、型締めした後、成形用原料14および被覆フィルム12を加熱することにより、生分解性発泡成形物を水蒸気発泡成形すると同時に、被覆フィルム12を軟化させて生分解性発泡成形物表面に圧着する。そして、凸型片21aおよび凹型片22aに排気孔31aおよび排気孔32aを設け、加熱成形時に、被覆フィルム12と金型20a表面との間に介在する気体を、排気孔31aおよび排気孔32aを通して金型20aの外部に排出させる。

目的

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、複雑な形状を有する場合でも十分な強度を持ち、かつ、十分な耐水性、非常に良好な生分解性、および優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を、簡便にかつ良好な寸法精度で製造できる生分解性成形物の製造方法およびそれに用いる成形型を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

この技術が所属する分野

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請求項1

デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料と、生分解性プラスチックを主成分とし、疎水性を有する被覆フィルムとを用い、所定形状のキャビティーを持つ成形型中で成形用原料および被覆フィルムを加熱成形することにより、成形用原料を水蒸気発泡成形すると同時に、水蒸気発泡成形により得られた生分解性発泡成形物の表面に被覆フィルムを軟化させて圧着する生分解性成形物の製造方法であって、上記成形型排気孔を設け、加熱成形時に、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通してキャビティー外に排出させることを特徴とする生分解性成形物の製造方法。

請求項2

上記成形型の内部に、上記排気孔を介してキャビティーに通じた空間を形成し、加熱成形時に、上記空間を、成形型外部に対して閉鎖した閉鎖空間とすることを特徴とする請求項1記載の生分解性成形物の製造方法。

請求項3

上記閉鎖空間の体積を、加熱成形前におけるキャビティー内の空隙の容積に対して、1/3倍以上2倍以下に設定することを特徴とする請求項2記載の生分解性成形物の製造方法。

請求項4

加熱成形時に、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通して成形型の外部に排出させることを特徴とする請求項1記載の生分解性成形物の製造方法。

請求項5

上記排気孔の断面積が、0.12mm2以上1.13mm2以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生分解性成形物の製造方法。

請求項6

デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料を内部で加熱することにより、水蒸気発泡成形するための成形型であって、互いに勘合して所定形状のキャビティーを内部に形成しうる複数の型片からなり、上記各型片には、キャビティー内の気体をキャビティー外に排出させるための排気孔が貫通されていることを特徴とする成形型。

請求項7

上記成形型の内部には、上記排気孔を介してキャビティーに通じ、かつ、成形型外部に対して閉鎖された閉鎖空間が形成されていることを特徴とする請求項6記載の成形型。

請求項8

上記排気孔は、キャビティー内の気体を成形型外部に排出させるために、成形型外部に通じていることを特徴とする請求項6記載の成形型。

請求項9

上記排気孔の断面積が、0.12mm2以上1.13mm2以下であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の成形型。

請求項10

上記各型片は、金属からなり、上記型片間には、型片同士を絶縁するための絶縁体が配設されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の成形型。

技術分野

0001

本発明は、デンプン主原料とし、生分解性を有する発泡成形物生分解性成形物)の製造方法に関するものであり、特に、食品用容器成形緩衝材、ゲス、包装用トレイなど、使用後に廃棄される使い捨ての各種発泡成形物として好適に利用可能な生分解性成形物の製造方法およびそれに用いる成形型に関するものである。

背景技術

0002

成形物処分方法として、微生物を利用した生分解による成形物の処分技術が開発され脚光を浴びている。特に、上記生分解による処分技術では、実用性の面から、デンプンやタンパク質などの天然高分子を利用する技術が注目されている。これは、上記各種生分解性プラスチックが、従来の各種プラスチック非分解性または難分解性)とほぼ同様の優れた品質を性能を有しているものの、実際には、生分解速度が遅いという問題点を有しているためである。

0003

たとえば生分解性プラスチックで成形された成形物の厚み(肉厚)が大きければ、完全に分解されるまでに非常に長時間を要することになって、実用的な範囲では成形物の体積を大きくすることができない。また、上記生分解性プラスチックからなる成形物を、特に使い捨て食器などとして使用した場合には、食品残渣一緒コンポスト化することが最も環境に負荷のかからない処理方法となる。ところが上記生分解性プラスチックの分解速度は食品残渣よりもはるかに分解速度が遅いために、コンポスト処理することは難しい。しかも、一般に、成形物に厚みや強度がある場合には粉砕処理が難しいため、生分解性プラスチックの分解速度を向上させるための粉砕も困難となり、それゆえ、生分解性プラスチックからなる成形物をコンポスト処理することは、事実上不可能となる。

0004

これに対してデンプンやタンパク質などは、良好な生分解性を有しており、体積を大きくしても非常に容易に分解される、農業などによって大量生産される植物デンプンなどを利用できるので、資源の確保が困難ではない、発泡成形物として利用することがほとんどであるので、適度な厚みと断熱性を兼ね備えた成形物を得ることができるといった利点があり、特に注目されている。

0005

上記デンプンやタンパク質などを用いた生分解による処分技術としては、たとえば、特許文献1(特開平5−320401号公報)、特許文献2(特開平7−224173号公報)、特許文献3(特開平7−10148号公報)、特許文献4(特開2000−142783号公報)、特許文献5(特開平7−97545号公報)などの各技術が挙げられる。

0006

まず、特許文献1および特許文献2の技術では、主原料としてデンプンの天然物を用いているので、生分解性プラスチックに比べて良好な分解性を発揮できるとともに、紙・パルプと比較しても成形形状多様性に優れるといった利点があるが、耐水性耐湿性に乏しく、用途が限定されたり、防湿保管が必要であるなどの問題点を招来する。

0007

次に、特許文献3および特許文献4の技術では、デンプンまたはこれに類似する各種多糖類を主原料として成形物を成形しているとともに、耐水性を向上させるために、成形物表面天然樹脂ダンマル樹脂シェラック樹脂など)を塗布して、耐水被膜を形成している。

0008

ところが、デンプンを主原料として成形して得られる成形物(発泡成形物も含む)では、表面が完全な平滑状態とはならずに微細凹凸が生じるため、単純な塗布方法では、耐水被膜における凹凸部分に対応する位置に微細なピンホールが発生し易くなる。それゆえ、ある程度の撥水効果は期待できても完全な耐水性を付与することは困難となっている。特に、耐湿性が要求される場合には、上記耐水被膜のピンホールから湿気が吸収され易くなり、成形物が容易に変形するなどの問題点を招来する。

0009

しかも、上記ダンマル樹脂やシェラック樹脂などは、塗布のためにたとえばアルコール類などの有機溶媒に溶解させなければならない。そのため、塗布処理後に有機溶媒を除去する際には、空気中にこれら有機溶媒が拡散して大気周囲環境汚染させないための大規模な装置が必要となるなど、製造設備上の問題点を招来する。

0010

次に、上記特許文献5の技術では、前記特許文献3や特許文献4の技術と同様、デンプンなどからなる耐水性の乏しい生分解性素材の表面に対して、脂肪族ポリエステルハロゲン化炭化水素に溶解してなる生分解性コーティング剤を塗布している。この技術では、具体的な塗布方法してディップ法(浸漬塗布法)を用いているため、複雑な形状の成形物に対しても適度な耐水被膜を形成することは可能である。

0011

ところが、この技術では、コーティング剤の溶解に用いたハロゲン化炭化水素を除去する必要があり、前記特許文献3や特許文献4の技術と同様、ハロゲン化炭化水素の拡散を防止するための装置を必要とするなどの問題点を招来する。しかも、ハロゲン化炭化水素は人体や環境に好ましくないものが多く、特に特許文献5の技術で具体的に挙げられているハロゲン化炭化水素はフロン系であることから、大気中にはできる限り飛散させてはならない。その結果、上記装置として、大がかりな気密室回収装置が必要となるという問題点も招来する。

0012

上述した各技術の他にも、ワックス疎水性タンパク質塗布液として調製した上で成形物の表面に塗布する方法があるが、一般に、成形物の表面全体に耐水被膜を十分均一かつ完全に塗布することは困難である。平板のような平らな成形物であれば塗布は比較的容易であるが、上記のようにデンプンを主原料とする成形物ではその表面に凹凸が生じ易く均一な膜形成の妨げになる上に、カップ形状やボウル形状などその断面が略円形の成形物であれば、成形物や塗布装置を回転させる必要があり、塗布の困難度はさらに増大する。

0013

さらに、たとえばディップ法などを用いて塗布液を十分に均一に塗布できたとしても、塗布後の塗布液が固化して被膜に形成されるまでに流れ落ち、被膜にムラが発生し易いという問題点も招来する。

0014

また、上記ワックスは、その融点が比較的低いため、耐熱性に劣るという問題点がある。さらに上記疎水性タンパク質は、耐熱性も比較的良好で有機溶媒を使用する必要がないものの、水系の溶媒を使用することが多いため、塗布過程で成形物が水分を吸収して軟化・変形を起してしまうという問題点もある。

0015

そこで、上記成形物表面に対して耐水被膜を塗布するのではなく、耐水被膜を積層する技術も、従来より提案されている。具体的には、たとえば、特許文献6(特開平11−171238号公報)、特許文献7(特開平5−278738号公報)、特許文献8(特開平5−294332号公報)などの技術が挙げられる。

0016

上記特許文献6の技術では、デンプンを成形するのではなくパルプモールド法により得られた容器非通水性または非吸収性の保護層で被覆している。この技術では、従来から実施されている紙容器へのプラスチック被覆技術をほぼそのまま応用できるという利点があるが、パルプモールドの主体が繊維であることから、生分解速度が遅く、食品の残渣などと合わせて廃棄することができない、容器に厚みをつけることが困難な上、深絞り成形に向かず、多種多様な成形物の製作に向かない、などの問題点がある。

0017

一方、上記特許文献7および特許文献8の技術では、天然多糖類やタンパク質、あるいはこれらを生分解可能な範囲で化学修飾したものからなる生分解性容器の表面に生分解性プラスチックの薄膜を被覆して、生分解性容器を製造している。

0018

この技術では、生分解性プラスチックが薄い耐水被膜として利用されている一方、容器本体は、天然多糖類やタンパク質などで十分な厚みを有する容器として成形されているので、十分な耐水性を発揮しつつ、十分な生分解性をも発揮することができる。それゆえ、デンプンやタンパク質などを用いた生分解による処分技術としては、特に有望な技術である。

0019

また、他の生分解性容器あるいは生分解性成形物も知られている(特許文献10〜12参照)。

0020

また、袋体を用いたポリウレタンフォーム充填方法が知られている(特許文献13参照)。

0021

また、一般的な発泡樹脂真空成形時に、圧抜きを行うことが知られている(特許文献14〜17参照)。

0022

ところで、既に、本発明者らは、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料と、生分解性プラスチックを主成分とし、少なくとも疎水性を有している被覆フィルムとを用い、上記成形用原料および被覆フィルムを成形型中で加熱して、所定形状の生分解性発泡成形物水蒸気発泡成形すると同時に、被覆フィルムを加熱、軟化して圧着することによって、最終的に該被覆フィルムを、上記生分解性発泡成形物の表面に貼り付ける成形同時貼り付け工程を含む生分解性成形物の製造方法の発明を出願済みである(本願の優先権主張の基礎となる出願の出願日の時点では未公開で、その後に公開された特許文献9参照)。

0023

上記先願発明は、生分解性および耐水性に優れた生分解性成形物を製造できると共に、製造工程数を削減し、製造時間を短縮することができる優れた発明である。

0024

特開平5−320401号公報(公開日:平成5年12月3日)

0025

特開平7−224173号公報(公開日:平成7年8月22日)

0026

特開平7−10148号公報(公開日:平成7年1月13日)

0027

特開2000−142783号公報(公開日:平成12年5月23日)

0028

特開平7−97545号公報(公開日:平成7年4月11日)

0029

特開平11−171238号公報(公開日:平成11年6月29日)

0030

特開平5−278738号公報(公開日:平成5年10月26日)

0031

特開平5−294332号公報(公開日:平成5年11月9日)

0032

WO 02/22353 A1(国際公開日:2002年3月21日、国際出願番号:PCT/JP01/07903、国際出願日:2001年9月12日)

0033

特表平11−512467号(国際公開番号:WO94/05492、国際公開日:平成6年(1994)3月17日)

0034

特表平8−500547号(国際公開番号:WO97/10293、国際公開日:平成9年(1997)3月20日)

0035

特開平6−125718号(公開日:平成4年10月21日)

0036

特開昭63−54217号(公開日:昭和63年3月8日)

0037

特開昭52−134670号(公開日:昭和52年11月11日)

0038

特開昭54−127476号(公開日:昭和54年10月3日)

0039

特開昭55−73535号(公開日:昭和55年6月3日)

0040

特開昭57−1712号(公開日:昭和57年1月6日)

発明が解決しようとする課題

0041

ところが、上記特許文献7の技術では、単に、生分解性容器本体に対して生分解性プラスチック薄膜を被覆している構成であり、生分解性容器の具体的な構成に関してはほとんど言及されていない。

0042

たとえば、生分解性容器本体が多糖類やタンパク質を主成分としている場合にはその強度が問題となるが、特許文献7の技術では、強度に関しては何ら説明されていない。また、生分解性プラスチック薄膜を具体的にどのように被覆するかについて、たとえば塗布法により形成するか、被覆フィルムを予め形成し貼り付けるかなどについても全く記載されていない。

0043

さらに、上記特許文献7の技術では、生分解性容器本体に対する生分解性プラスチック薄膜の被覆状態については全く規定されていない。上記生分解性プラスチック薄膜は、多糖類やタンパク質を主成分とする生分解性容器本体の耐水性を向上させるために被覆されているものであるが、上記特許文献7の技術では、単に被覆されていると述べられているだけで、被覆状態がどのようになっているかについては何ら記載されていない。

0044

生分解性容器をいくら使い捨て用途で用いるとしても、1ウェイ容器としての安定性耐久性は必要であり、生分解性容器本体から生分解性プラスチック薄膜が容易に剥離するようでは耐久性があるとはいえない。それゆえ、容器本体に対する被覆状態は重要な条件となるが、上記特許文献7の技術では、この点については何ら考慮されていない。

0045

しかも、前述したように生分解性プラスチックは生分解速度が遅いため、肉厚の成形物として利用することが困難であるが、生分解速度は、成形物の肉厚だけでなく、成形物中に含まれる総量にも大きく依存する。ここで、上記特許文献7の技術では、生分解性容器本体を発泡させると生分解性が向上すると記載しているのみであり、発泡の度合いと生分解性との関係や、生分解性プラスチックと生分解性容器本体との生分解のバランスについては何ら言及されおらず、それゆえ、一つの容器全体の生分解を良好に進行させることはできない。

0046

一方、上記特許文献8の技術は、上記特許文献7に開示されている生分解性容器の製造方法の一つに対応するものと推測されるが、この技術では、熱可塑性プラスチック溶剤に溶解して、生分解性容器本体の表面に塗布し、これを乾燥させて溶剤を揮発させた後に、熱可塑性プラスチックからなる別のコーティング薄膜を積層して熱圧着している。すなわち、コーティング薄膜(生分解性プラスチック薄膜に相当)を安定して貼り付けるために、熱可塑性プラスチックを接着剤として利用していることが開示されている。

0047

ここで、前記特許文献3ないし5の技術について述べたように、熱可塑性プラスチックを溶剤に溶解させて利用すると、溶剤の拡散を防止するための装置を必要とするなどの問題点を招来する。しかも特許文献8の技術における具体的な実施例では、溶剤としてクロロホルムを用いており、これは大気中にはできる限り飛散させてはならないため、特許文献5の技術と同様に、上記装置として、大がかりな気密室や回収装置が必要となるという問題点も招来する。

0048

さらに、上記特許文献8の製造方法では、多糖類やタンパク質から先にシートを形成した上で、このシートを金型プレス成形することによって、生分解性容器本体を得ている。そのため、たとえばコップのような深絞り形状の容器や、仕切り付き食品トレイ包装トレイのような成形物の厚みが均一でないもの、さらには包装用緩衝材のような複雑な形状の成形物を成形することができないという問題点を招来する。

0049

特許文献9の方法では、被覆フィルムに挟持された成形用原料が、成形型内で水蒸気発泡により膨張して、被覆フィルムを成形型に押し付ける働きをする。また、成形用原料から発生した水蒸気は、被覆フィルムと被覆フィルムとの間から、成形型における型片と型片との接合部または勘合部に形成された溝状の排気部を通じて、成形型の外へ排出される。しかしながら、このとき、被覆フィルムと成形型との間に密閉空間ができると、この密閉空間に空気が溜まって逃げ切らなくなる。そのため、成形型への被覆フィルムの押し付けが、成形用原料の膨張による圧力と密閉空間に溜まった空気の圧力とのバランスがとれたところで止まってしまう。それゆえ、被覆フィルムが、成形型の隅々まで広がりきらず、この密閉空間に溜まった空気の分だけ成形型表面から浮いてしまう。それゆえ、密閉空間に溜まった空気の分だけ、生分解性成形物を、成形型のキャビティーの形状に成形できないことがある。特に、成形型において、凹形状の部分、及び滑らかな面(平面又は曲面)が一定面積以上連続している部分で、この傾向が顕著に表れる。その結果、成形される生分解性成形物において、成形型の凹形状の部分で所望の肉厚が得られなかったり、滑らかな面が一定以上連続している部分で表面に微細な凹凸が生じたりすることがあった。そのため、生分解性成形物の強度が不足したり、良好な外観および印刷適性を持つ生分解性成形物が得られないことがあった。

0050

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、複雑な形状を有する場合でも十分な強度を持ち、かつ、十分な耐水性、非常に良好な生分解性、および優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を、簡便にかつ良好な寸法精度で製造できる生分解性成形物の製造方法およびそれに用いる成形型を提供することにある。

課題を解決するための手段

0051

本発明の生分解性成形物の製造方法は、上記課題を解決するために、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料と、生分解性プラスチックを主成分とし、疎水性を有する被覆フィルムとを用い、所定形状のキャビティーを持つ成形型中で成形用原料および被覆フィルムを加熱成形することにより、成形用原料を水蒸気発泡成形すると同時に、水蒸気発泡成形により得られた生分解性発泡成形物の表面に被覆フィルムを軟化させて圧着する生分解性成形物の製造方法であって、上記成形型に排気孔を設け、加熱成形時に、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通してキャビティー外に排出させることを特徴としている。

0052

上記方法によれば、デンプンを主成分とし、これに水を混合してスラリー状またはドウ状の成形用原料を調製し、この成形用原料を用いて水蒸気発泡成形することで、非常に複雑な形状でも容易に成形できるとともに、得られる生分解性発泡成形物がある程度の含水率を保有することになり、従来のデンプン成形物に比べて優れた強度を発揮することができる。

0053

また、上記方法によれば、上記被覆フィルムは、一般的なプラスチックに近い性質を有する生分解性プラスチックを主成分とし、少なくとも疎水性を有していることから、耐水性を持つ生分解性成形物を製造することができる。また、上記方法によれば、成形型中での加熱成形により被覆フィルムを生分解性発泡成形物の表面に圧着するので、被覆フィルムが生分解性発泡成形物の表面に略密着した状態の生分解性成形物を得ることができ、生分解性発泡成形物の表面から被覆フィルムが剥離し難い。そのため、生分解性成形物の耐水性をより確実に確保することができる。

0054

また、上記方法によれば、生分解性発泡成形物は、発泡体であることから表面積が大きく、生分解反応が進行し易いので、生分解性が非常に良好である。

0055

また、上記方法によれば、成形用原料の水蒸気発泡成形と被覆フィルムの圧着とを同時に行うので、より少ない工程で生分解性成形物を製造することが可能となり、生分解性成形物を簡便な方法で製造できる。

0056

さらに、上記方法によれば、上記成形型に排気孔を設け、加熱成形時に、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通してキャビティー外に排出させたことで、被覆フィルムと成形型表面との密着性が向上する。それゆえ、優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を得ることができる。したがって、表面の光沢が良好で、美麗な生分解性成形物を得ることができる。また、平滑な表面が得られるので、生分解性成形物表面に印刷を施す場合にも、色落ち印刷ずれのない綺麗な印刷が可能となる。さらに、被覆フィルムと成形型表面との密着性が向上することで、ほぼ設計寸法通りの寸法(成形型のキャビティーとほぼ同一の寸法)を持つ生分解性成形物を得ることができ、良好な寸法精度を実現できる。

0057

上記方法において、上記成形型の内部に、上記排気孔を介してキャビティーに通じた空間を形成し、加熱成形時に、上記空間を、成形型外部に対して閉鎖した閉鎖空間としてもよい。これにより、急速成形を行う場合や、被覆フィルムの強度が低い場合においても、キャビティー内圧の急激な上昇による被覆フィルムの変形や破れを容易に回避できる。

0058

また、上記方法において、加熱成形時に、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通して成形型の外部に排出させてもよい。これにより、キャビティー内圧が比較的低い場合においても、被覆フィルムと成形型表面との間に介在する気体を十分にキャビティー外へ排出させることができ、その結果、良好な寸法精度を実現できる。

0059

なお、上記方法において、成形用原料を成形型中に供給する方法は、(1)被覆フィルムと共に成形型中に成形用原料を配置する方法、(2)被覆フィルムを成形型中に配置した後、加熱成形前に被覆フィルム上に成形用原料を投入する方法、(3)被覆フィルムを成形型中で加熱成形し始めた後、被覆フィルム上に成形用原料を投入する方法、のいずれであってもよい。これらのうち、(1)の方法が、原料の供給が1度で済むので、最も簡便である。

0060

本発明の成形型は、上記課題を解決するために、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料を内部で加熱することにより、水蒸気発泡成形するための成形型であって、互いに勘合して所定形状のキャビティーを内部に形成しうる複数の型片からなり、上記各型片には、キャビティー内の気体をキャビティー外に排出させるための排気孔が貫通されていることを特徴としている。

0061

上記構成によれば、各型片に排気孔を設けたので、上記成形用原料を内部で加熱することにより、生分解性発泡成形物を水蒸気発泡成形すると、成形時に、キャビティー内の気体を、上記排気孔を通してキャビティー外に排出させることができる。これにより、成形物と成形型表面との密着性が向上する。それゆえ、優れた表面平滑性を持つ生分解性成形物を得ることができる。したがって、表面の光沢が良好で、美麗な生分解性成形物を得ることができる。また、平滑な表面が得られるので、生分解性成形物表面に印刷を施す場合にも、色落ちや印刷ずれのない綺麗な印刷が可能となる。さらに、成形物と成形型表面との密着性が向上することで、ほぼ設計寸法通りの寸法(成形型のキャビティーとほぼ同一の寸法)を持つ生分解性成形物を得ることができ、良好な寸法精度を実現できる。

0062

また、上記構成によれば、上記各型片に排気孔が貫通されているので、型片と型片との接合部にのみ排気孔が形成されている場合と比較して、生分解性成形物における平面部分の表面平滑性や寸法精度が向上する。

0063

また、型片のキャビティーを形成する面に排気溝(溝状の排気部)を設けた場合、生分解性成形物の表面に排気溝が浮き彫りとなって現れてしまうが、上記構成では、各型片を貫通する排気孔を用いているので、排気孔が生分解性成形物の表面形状に影響を与えることはないか、あっても実用上問題のないレベルである。

0064

本発明の成形型では、上記各型片が金属からなり、型片同士を絶縁するための絶縁体が上記型片間に配設されていることが好ましい。

0065

上記構成によれば、各型片を電極として用いて高周波誘電加熱通電加熱等の手法により上記成形用原料を加熱することが可能となる。それゆえ、成形用原料を短時間で均一に加熱することができ、良好な成形物が短時間で得られる。また、上記構成によれば、前記の製造方法で生分解性成形物を製造する場合、被覆フィルムが成形型で直接加熱されないので、比較的融点の低い被覆フィルムを用いることが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0066

本発明の実施の一形態について図1ないし図18に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。

0067

まず、本発明の製造方法で製造される生分解性成形物について説明する。

0068

本発明の製造方法で製造される生分解性成形物は、後述する成形用原料の水蒸気発泡成形により得られる所定形状の生分解性発泡成形物と、その表面に貼り付けられる被覆フィルムとを含み、該被覆フィルムが、生分解性プラスチックを主成分とし、少なくとも疎水性を有している生分解性成形物である。

0069

上記生分解性成形物においては、生分解性発泡成形物中に含まれる空気相の体積の割合が、生分解性成形物の全体積に対して30容量%より大きいことが好ましい。これにより、生分解性発泡成形物の表面積が大きくなり、生分解性発泡成形物を生分解する微生物が取り込まれ易くなる。それゆえ、生分解性発泡成形物が生分解され易くなり、その結果、生分解性成形物の生分解性をより一層向上させることができる。

0070

なお、以下の説明では、上記生分解性発泡成形物を、適宜「発泡成形物」と略記する。また、上記スラリー状とは、少なくともデンプンに水を加えた状態で十分な流動性を有している状態を指す。したがって、デンプンは水に溶解している必要はなく、懸濁液に近い状態となっていればよい。一方、上記ドウ状とは、上記スラリー状よりも流動性が低い状態で、半固形に近い状態となっている。

0071

生分解性成形物の一例としては、具体的には、どんぶり形状の容器(以下、どんぶり型容器と称する)が挙げられる。図2に示すように、どんぶり型容器10aは、上記生分解性発泡成形物である容器本体11aと、その表面を被覆するように直接、略密着して貼り付けられている被覆フィルム12とを有している。

0072

どんぶり型容器10aは、上方に向かって広がる円錐台状の側壁10aaと、側壁10aaの下端に形成された底部10abと、側壁10aaの上端に外方へ向かって伸びるように設けられた円環状のフランジ部10acとを備えている。底部10abには、円環状の凸部である糸尻部(高台部)10adが形成されており、したがって、底部10abにおける糸尻部10aaの内側および外側にはそれぞれ、凹部10aeおよび凹部10afが形成されている。

0073

生分解性成形物の他の例としては、丸皿型の容器(以下、丸皿型容器と称する)が挙げられる。図3に示すように、該丸皿型容器10bも、容器本体11bおよび被覆フィルム12からなっている。

0074

丸皿型容器10bは、平板状の底部10baと、底部10baから延設され上方に向かって滑らかに曲がった曲面部10bbと、曲面部10bbの上端に外方へ向かって伸びるように設けられた円環状のフランジ部10bcとを備えている。

0075

生分解性成形物のさらに他の例としては、コップ型の容器(コップ型容器)が挙げられる。図4に示すように、コップ型容器10bも、上記生分解性発泡成形物である容器本体11bおよび被覆フィルム12からなっている。図4においては、上方の図がコップ型容器10bの縦断面図であり、下方の図が上方の図に対応する平面図(コップ型容器10bを上方から俯瞰した図)である。

0076

なお、後述するように、容器本体11aの表面は、全て被覆フィルム12で覆われている必要はなく、部分的に覆われる状態であってもよい。

0077

本発明にかかる生分解性成形物の製造方法は、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料と、生分解性プラスチックを主成分とし、疎水性を有する被覆フィルム12とを用い、成形型中で成形用原料および被覆フィルム12を加熱成形することにより、成形用原料を水蒸気発泡成形すると同時に、水蒸気発泡成形により得られた発泡成形物の表面に被覆フィルム12を軟化させて圧着する方法である。

0078

本発明にかかる生分解性成形物の製造方法は、成形用原料の水蒸気発泡成形と同時に被覆フィルム12を発泡成形物に直接貼り付ける方法であるので、先に成形用原料から所定形状の発泡成形物を水蒸気発泡成形させた後に、接着剤を用いて被覆フィルムを貼り付ける方法(以下、後貼り付け法と称する)と比較した場合、次のような利点を有している。

0079

まず第1の利点として、工程数を削減することができるという点が挙げられる。つまり、この方法では、最小1工程で被覆フィルム12を貼り付けることができるので、少なくとも2工程は必要である上記後貼り付け法に比べて工程数を削減することができる。また、1工程で貼り付けが可能であることから、製造に要する時間を短縮することもできる。したがって、本発明にかかる生分解性成形物の生産効率を向上させることができる。

0080

第2の利点として、貼り付け型を使用する必要がないという点が挙げられる。つまり、成形型(金型20aなど)により発泡成形物(容器本体11aなど)を成形すると同時に被覆フィルム12も貼り付けるので、後貼り付け法のように、被覆フィルム12を貼り付けるための貼り付け型が必要ない。そのため、製造設備にかかるコストも低減することができるとともに、上記貼り付け型を含む貼り付け用設備も必要なくなるため、製造設備の省スペース化を図ることができる。

0081

第3の利点として、接着剤を使用する必要がないという点が挙げられる。したがって、接着剤分原材料費を抑えることができるとともに、接着剤を使用しないことから得られる生分解性成形物におけるデンプンの含有比率を高めて生分解性をより一層向上させることができる。

0082

第4の利点として、この方法では、発泡成形物(容器本体11a・11b)の表面に直接被覆フィルム12が形成され、被覆フィルム12が発泡成形物に略密着して貼り付けられるため、被覆フィルム12の貼り付け状態が安定した状態となる点が挙げられる。

0083

本発明の製造方法においては、少なくとも被覆フィルム12の主成分となる生分解性プラスチックの軟化点軟化開始温度)以上融点未満の温度で、成形用原料の水蒸気発泡成形と同時に被覆フィルム12を貼り付けている。そのため、被覆フィルム12は、発泡成形過程にある発泡成形物に対して加熱・加圧された状態で直面することになり、軟化状態で外部から成形型による圧力を受け、内部から発泡成形過程にある発泡成形物の圧力を受けつつ、該発泡成形物に密接した状態となる。その結果、被覆フィルム12は発泡成形物の表面に融着するようなかたちで貼り合わせられる。

0084

これによって、得られる生分解性成形物の断面においては、被覆フィルム12の層と発泡成形物11の表面との境界面が、単純に貼り付ける方法(後貼り付け法)の場合のような平滑な面とはならず、たとえば凹凸のある不規則な面となり、被覆フィルム12が発泡成形物11に対して十分に密着した状態となる。その結果、被覆フィルム12の貼り付け状態は非常に強固なものとなり、貼り付け状態の安定性も接着剤層を備える場合と同じレベルとなる。それゆえ、得られる生分解性成形物の耐水性やガスバリア性をより一層向上させることができる。

0085

なお、被覆フィルム12の層と発泡成形物11の表面との境界面は、被覆フィルム12の成分や発泡成形物11に含まれる成分や製造条件などによって、様々な形状の境界面となり得る。

0086

上記4つの利点を総合すれば、本発明にかかる製造方法によって、後貼り付け法よりも、効率的かつ低コストで生分解性成形物を製造することができるので、該生分解性成形物をより低価格で提供することができる。したがって、本発明にかかる生分解性成形物を使い捨て用途により使用し易くすることができる。

0087

次に、本発明で用いる成形用原料について説明する。本発明で用いる成形用原料は、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるものである。

0088

上記成形用原料の主原料として用いられるデンプンとしては特に限定されるものではない。たとえば、馬鈴薯トウモロコシコーン)、タピオカ、米、小麦、さつまいもなど、主要穀物として世界的に生産されている農産物から容易に得られるデンプンを好適に用いることができる。上記デンプンは、特定の農産物から製造されたものであってもよいし、複数の農産物から製造されたものを混合してもよい。

0089

また、上記デンプンの誘導体は、生分解性を阻害しない範囲でデンプンを修飾したものを指し、具体的には、たとえばα化デンプン、架橋デンプン変性デンプンなどが挙げられる。さらに、上記修飾されていないデンプンと上記デンプンの誘導体とを混合した混合物を用いることもできる。したがって、広義には、本発明におけるデンプンとは、何ら修飾されていないデンプン(狭義のデンプン)と、上記デンプンの誘導体と、これらの混合物を含むことになる。なお、以下の説明では特に断らない限り「デンプン」と記載していれば広義のデンプンを指すものとする。

0090

上記成形用原料に含まれるデンプンの含有量としては、該成形用原料の主要固形分の総量を100重量%とした場合、50重量%以上100重量%以下の範囲内であることが好ましい。また、水も加えた成形用原料全体を100重量%とした場合には、20重量%以上70重量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内にあることで、本発明にかかる生分解性成形物は、その主成分がデンプンであると見なすことが可能となり、良好な生分解性を発揮することができる。なお、本願明細書では、主原料であるデンプンと、添加剤のうち増量性添加剤である増量剤とをまとめて「主要固形分」と称する。

0091

上記成形用原料には、上記デンプン以外に、各種添加剤が含まれていてもよい。この添加剤としては、具体的には、増量剤、強度調整剤可塑剤乳化剤、安定剤、均質性調整剤、保湿剤ハンドリング調整剤、導電率調整剤誘電損失調整剤、膨化剤、着色剤などが挙げられる。

0092

これら添加剤は、生分解性成形物の製造効率を向上させたり、製造過程における問題点を回避したりするような製造過程上で利点のあるものや、得られる生分解性成形物の品位を向上させたり、生分解性成形物のコストを低減したりするといった完成品である生分解性成形物において利点のあるものを挙げることができる。これら添加剤は、発泡成形物および生分解性成形物の品質を大幅に低下させないようなものであれば、特に限定されるものではない。

0093

上記増量剤は、成形用原料に加えることで該成形用原料を増量させて、主原料であるデンプンの使用量をできる限り減らしコストダウンを図る添加剤である。そのため、デンプンより安価なものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、廃棄物処理も兼ねた食品等の加工・製造に伴う副生物を好適に用いることができる。

0094

具体的には、たとえば、(1)セロリニンジントマト柑橘類ミカンレモングレーフルーツなど)、リンゴブドウベリー類パイナップルサトウキビてんさいなどの野菜果物を原料とする食品(飲食物)の製造・加工時などで産出される搾かすや搾りかす、あるいはこれらの混合物;(2) おからなどの豆腐などの穀物を原料とする加工食品の製造時に産出される副生物;(3)日本酒焼酎ビールワインなどの酒類の製造時に産出される酒粕焼酎粕ビール酵母かす、ワイン酵母かす、あるいはこれらの混合物;(4)コーヒー紅茶麦茶緑茶ウーロン茶などといった茶類などの嗜好品類の抽出残渣茶殻、あるいはこれらの混合物;(5)大豆、トウモロコシ、菜種ゴマなどを搾油した後の搾油かすあるいはこれらの混合物;(6)ふすまぬか、もみがらなどの穀物精製時に産出される副生物あるいはこれらの混合物;(7)グルテンミールなどデンプン生産時に産出される副生物;(8)コーンカップビスケットウエファーワッフルなど製菓製パン製品の製造時に産出するベーキングあるいはこれらの混合物;(9) 上記各副生物などを乾燥処置および/または粉砕処理したもの;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0095

上記強度調整剤は、発泡成形物および生分解性成形物の強度を調整する(特に、強度を向上させる)添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上記増量剤として挙げた(1) 〜(9) の各種副生物;(10)ブドウ糖グルコース)、デキストリン、または異性化糖などの糖類あるいはこれらの混合物;(11)ソルビトールマンニトールラクチトールなどの糖アルコールあるいはこれらの混合物;(12)植物性油脂動物性油脂、それらの加工油脂などの油脂あるいはこれらの混合物;(13)カルナウバワックスカンデリラろうみつろうパラフィンマイクロクリスタリンワックスなどのワックス(ろう)類あるいはこれらの混合物;(14)キサンタンガムジェランガムグアーガムローカストビーンガムペクチンアラビアガムカラヤガムタラガムカラギーナンファーセルラン、寒天アルギン酸、およびその塩など、微生物生産多糖類または植物由来多糖類などの増粘多糖類あるいはこれらの混合物;(15)カルシウムナトリウムカリウムアルミニウムマグネシウム、鉄などの金属の塩化物硫酸塩、有機酸塩炭酸塩水酸化物リン酸塩などの金属塩類、あるいはこれらの混合物;(16)石英粉珪藻土タルクシリコンなどの不溶性鉱物類あるいはこれらの混合物;(17)セルロース微結晶セルロース、紙、パルプ(古紙パルプバージンパルプとも)、カルボキシメチルセルロースメチルセルロースアセチルセルロースなどの植物性繊維やその誘導体、あるいはこれらの混合物;(18)ガラス、金属、炭素セラミックなどの無機物やこれらからなる繊維などの各種構造物;(19)貝殻骨粉卵殻、葉、木粉などの天然素材類あるいはこれらの混合物;(20)炭酸カルシウム、炭素、タルク、二酸化チタンシリカゲル酸化アルミニウム、非繊維フィラー、あるいはこれらの混合物;(21)ステアリン酸乳酸ラウリン酸などの脂肪酸またはこれらの金属塩などの塩類、または酸アミドエーテルなどの脂肪酸誘導体、あるいはこれらの混合物;(22)グリセリンポリグリセリンプロピレングリコールエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステルポリグリセリン脂肪酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステルシュガーエステルレシチンソルビタン脂肪酸エステルポリソルベートなど、その他の食品添加物、あるいはこれらの混合物;(23)シェラックロジンサンダラック樹脂グッタペルカ、ダンマル樹脂などの天然樹脂、あるいはこれらの混合物;(24)ポリビニルアルコールポリ乳酸などの生分解性樹脂、あるいはこれらの混合物;(25)アセチルトリブチルサイトレートジルコニウム塩溶液アンモニウムジルコニウムカーボネートアルカリ水溶液、あるいはこれらの混合物;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0096

上記可塑剤は、成形用原料の流動特性を改善し、得られる発泡成形物および生分解性成形物に柔軟性を与える添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上記増量剤で挙げた(1) 〜(9) の各種副生物;強度調整剤として挙げた(10)〜(21)および(23)並びに(24)の各種化合物;(26)アセチルポリブチルサイトレート、またはグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールなどの糖アルコール類、あるいはこれらの混合物;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0097

上記乳化剤は、成形用原料に油性の添加剤が添加される場合に、該油性の添加剤を十分混合させて水中油滴型乳液状にするための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、(27)グリセリン酸エステルポリグリセリン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、シュガーエステル、ソルビタンエステル、レシチン、ポリソルベートなどの界面活性剤、あるいはこれらの混合物が挙げられる。

0098

上記安定剤は、調製された成形用原料の状態を安定化させるための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上述した主原料としてのデンプン(狭義・修飾なし)またはその誘導体;上記強度調整剤で挙げた(10)糖類;(11)糖アルコール;(14)増粘多糖類;(17)植物性繊維やその誘導体(ただし紙を除く);(21)脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸誘導体;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0099

上記均質性調整剤は、スラリー状またはドウ状の成形用原料における均質性、すなわち、成形用原料の「キメ」(この場合、スラリー状態またはドウ状態にあるを形成する固形分の粒子など)をできる限り細かく、均一で滑らかな状態とするための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上述した主原料としてのデンプン(狭義・修飾なし)またはその誘導体;増量剤で挙げた(1) 〜(9) の各種副生物;強度調整剤で挙げた(10)〜(25)の各種化合物;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0100

上記保湿剤は、発泡成形物に一定の水分を含ませるためのものであり、上記可塑剤と同様の機能を有する。つまり、デンプンを主成分とする発泡成形物がある程度の水分を含んだ状態(保湿状態)にあれば、アルファ化したデンプンの脆さ(脆性)が低下する一方、その強度や柔軟性が向上するという効果が得られる。そのため、保湿剤は可塑剤や強度調整剤としても機能する。

0101

上記保湿剤としても特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上述した主原料としてのデンプン(狭義・修飾なし)またはその誘導体;増量剤で挙げた(1) 〜(9) の各種副生物;強度調整剤で挙げた(10)糖類;(11)糖アルコール;(12)油脂;(13)ワックス;(14)増粘多糖類;(15)金属塩類;(17)植物性繊維やその誘導体;(19)貝殻、骨粉、卵殻、葉、木粉などの天然素材類;(22)食品添加物類;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0102

上記ハンドリング調整剤は、スラリー調整剤として機能するものであり、スラリー状またはドウ状である成形用原料のハンドリング性を向上させる添加剤であって、特に限定されるものではないが、上記可塑剤・乳化剤・安定剤として挙げた全ての材料や化合物などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0103

上記導電率調整剤は、発泡成形物を成形する際に、後述するように内部発熱させる場合、特に通電加熱によって内部発熱させて加熱成形する場合に、発熱状態を制御するためのファクターの一つである、成形用原料の誘電率を調整するための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上記強度調整剤で挙げた(12)油脂;(13)ワックス;(14)増粘多糖類;(15)金属塩類;(28)塩類、酸、アルカリアルコールなどの各種水溶性電解質;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0104

上記誘電損失調整剤は、発泡成形物を成形する際に、特に高周波誘電加熱によって内部発熱させて加熱成形する場合に、発熱状態を制御するためのファクターの一つである、成形用原料の誘電損失を調整するための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、上記強度調整剤で挙げた(12)油脂;(13)ワックス;(15)金属塩類;(16)不溶性鉱物類;(17)植物性繊維やその誘導体;上記誘電率調整剤で挙げた(28)各種水溶性電解質;(29)ジルコニウム塩、アンモニウムジルコニウムカーボネート溶液などのジルコニウム塩含有化合物、あるいはこれらの混合物;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0105

上記膨化剤は、成形用原料の発泡度合いを調整したり、膨化をより促進して形状や用途に適した発泡成形物とするための添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、(30)ベンゼンスルホヒドラジン化合物、アゾニトリル化合物ニトロソ化合物ジアゾアセトアミド化合物、アゾカルボン酸化合物などの有機系膨化剤およびこれらを含む各種製剤;(31)イスパタなどのアンモニア系膨張剤およびこれらを含む各種製剤;(32)炭酸水素ナトリウムアンモニウムミョウバン酒石酸水素塩炭酸マグネシウムなどの無機系膨化剤およびこれらを含む各種製剤;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0106

上記着色剤は、発泡成形物全体を着色する目的で添加される添加剤であり、特に限定されるものではないが、具体的には、たとえば、(33)カーボンブラックなどの無機系顔料;(34)たとえばカラーインデックスで規定されるような各種着色料といった天然または合成の有機系染料;(35)カラメルカカオ末などの天然素材の着色剤;などが挙げられる。これらは1種類のみ用いてもよく2種類以上を混合して用いてもよい。

0107

ここで、上記成形用原料に含まれる添加剤のうち、増量剤(増量性添加剤とも表現する場合がある)の含有量としては、該成形用原料の主要固形分総量に含まれるデンプンの含有量以下であることが好ましい。

0108

本発明の成形用原料において、主成分となるデンプンまたはその誘導体に混合される水は、工業用に用いられる水であればよく、特に限定されるものではない。

0109

上記成形用原料における水の添加量は、該成形用原料を100重量%とすると、20重量%以上70重量%以下の範囲内、好ましくは25重量%以上55重量%以下の範囲内である。また、成形用原料中の水の添加量は、上記主要固形分(主原料としてのデンプン+増量剤)および上記増量剤(増量性添加剤)を除く各添加剤機能性添加剤)をまとめて原料成分とし、成形用原料における原料成分の総量を100重量%とした場合、25重量%以上230重量%以下の範囲内、好ましくは、33重量%以上120重量%以下の範囲内である。

0110

成形用原料中の水の添加量が上記範囲内であれば、成形用原料は、スラリー状またはドウ状となる。成形用原料中の水の添加量が20重量%未満であれば、成形用原料に含まれる水分が少な過ぎて流動性がほとんどなくなり、成形上好ましくない。一方、70重量%を超えると、成形用原料に含まれる水の含有量が多過ぎて固形分の含有量が低下し過ぎてしまい、十分な成形ができなくなるため好ましくない。

0111

上記成形用原料がスラリー状またはドウ状となっていることから、成形型のキャビティー内に容易に成形用原料を充填することが可能になり、成形加工性が向上する。また、成形後の発泡成形物にある程度の水分を残存させることが可能になり、発泡成形物の柔軟性を向上させることができる。

0112

次に、本発明に用いる被覆フィルム12について説明する。

0113

被覆フィルム12は、生分解性プラスチックを主成分とし、かつ、疎水性を有するもの、すなわち、少なくとも耐水性を発泡成形物に付与でき、加熱により軟化および融着が可能なものであればよい。また、該被覆フィルム12は、さらにガスバリア性、断熱性、耐磨耗性、強度の向上、柔軟性などを与えるものであるとより好ましい。特に、本発明にかかる生分解性成形物を密閉性の高い保存容器などに用いる場合には、内部に収容される収容物酸化吸湿を回避する必要があるので、被覆フィルム12は、生分解性成形物にガスバリア性を付与できるもの、すなわちガスバリア性を有するものであることが非常に好ましい。

0114

上記被覆フィルム12の原料としては、生分解性を発揮できるとともに、少なくとも上記発泡成形物の表面に貼り付けた後に耐水性、好ましくはガスバリア性などを発揮できる材料であれば特に限定されるものではない。

0115

具体的には、たとえば、3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリ−p−ヒドロキシベンズアルデヒドPHB)、ポリブチレンサクシネートPBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、酢酸セルロース系(PH)重合体ポリエチレンサクシネート(PESu)、ポリエステルアミド変性ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、マタービー(登録商標、イタリア・ノバモント社:デンプンを主成分とし、生分解性を有するポリビニルアルコール系樹脂脂肪族ポリエステル系樹脂などを副成分としている)、セルロース・キトサン複合物などのいわゆる「生分解性プラスチック」として公知の種々の材料が挙げられる。これら原料は一種類のみ用いられてもよく、2種類以上の複合物として用いられてもよい。また、これら生分解性プラスチックには、生分解性の可塑剤、フィラーなどの副原料が添加されていてもよい。

0116

上記被覆フィルム12の原料としては、良好なガスバリア性や耐透湿性、耐熱性を有することから、変性ポリエステル(ポリエステルの主鎖に対してポリエステル自体より生分解し易い構造単位を挿入したもの)、特に、芳香族飽和ポリエステルの主鎖に対してスルホン酸金属塩を挿入したものが好ましい。また、上記被覆フィルム12としては、強度、耐熱性、ガスバリア性に優れていることから、二軸延伸された生分解性フィルムが好ましい。したがって、上記被覆フィルム12としては、二軸延伸された変性ポリエステルが最も好ましい。

0117

さらに、上記各原料(生分解性プラスチック)に対してデンプンを混合して被覆フィルム12を作成してもよい。この場合、上記生分解性プラスチック対デンプンの混合比としては、被覆フィルム12の疎水性などの各種機能を低下させない限り特に限定されるものではないが、たとえば、重量比で1:1程度の混合比を好ましく用いることができる。

0118

加えて、上記被覆フィルム12には、種々の添加剤が加えられていてもよい。具体的な添加剤としては、たとえば、着色剤や、耐水性・ガスバリア性などを向上させ得る添加剤、貼り付け時の軟化における各種特性を向上させる添加剤などが挙げられるが特に限定されるものではない。

0119

上記被覆フィルム12の厚み(膜厚)は特に限定されるものではないが、発泡成形物に貼り付けられる前であれば、0.01mm以上数mm以下の範囲内のフィルムまたはシートとなっていればよい。

0120

さらに、上記被覆フィルム12は、後述するように、加熱され軟化して発泡成形物の表面に貼り付けられるので、貼り付けられた後の厚みは、上記範囲内よりも薄くなっている。この貼り付け後の被覆フィルム12の厚みは、原料である生分解性プラスチックの種類に応じて、耐水性やガスバリア性などを発揮できる程度の厚みに適宜設定されるものであって特に限定されるものではないが、好ましくはその上限が80μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。下限についても、上記のように耐水性やガスバリア性などを発揮できる程度の厚みであればよいが、一般的には5μm以上が好ましく用いられる。

0121

また、被覆フィルム12の重量は、生分解性成形物の全重量の40重量%未満であることが好ましい。したがって、被覆フィルム12の厚みは、この重量比を満たすように設定することが望ましい。これによれば、比較的生分解速度の遅い生分解性プラスチックの量を抑えることにより、生分解性成形物全体として非常に良好な生分解性を発揮することができる。

0122

本発明にかかる生分解性成形物の製造方法は、成形型内に成形用原料および被覆フィルム12を投入して加熱・加圧することで生分解性発泡成形物および被覆フィルム12を成形する方法であって、所定形状(生分解性成形物と略同一の形状)のキャビティーを持つ成形型に排気孔を設け、成形型中に被覆フィルム12を配置した後、加熱成形時に、被覆フィルム12と成形型表面との間に介在する気体を、上記排気孔を通してキャビティー外に排出させる方法である。

0123

上記成形型としては、互いに勘合して所望の成形物の形状に合ったキャビティーを内部に形成可能であり、かつ、成形後に発泡成形物を取り出せるように分割可能となっている2つ以上の型片からなり、各型片に、キャビティー内の気体をキャビティー外に排出させるための排気孔が貫通されている構成が好ましい。そして、生分解性発泡成形物として生分解性容器を製造する場合、互いに勘合しうる凸型片および凹型片からなる成形型が好適に用いられる。

0124

このような凸型片および凹型片からなる成形型の例としては、図5(a)に示す金属製の凸型片21aおよび金属製の凹型片22aの対からなるどんぶり型容器成形用の金型20aが挙げられる。

0125

金型20aは、凸型片21aと凹型片22aとを組み合わせた状態で、図5(b)に示すように、内部に所望の発泡成形物(図2参照)の形状に合わせたキャビティー25aが形成されるようになっている。金型20aを用い、キャビティー25a内の成形用原料を2枚の被覆フィルム12間に挟持して加熱・加圧することによって、図2に示すどんぶり型の容器10aが得られる。

0126

凸型片21aおよび凹型片22aにはそれぞれ、キャビティー25a内の気体を外部に排出させるための排気孔31aおよび排気孔32aが貫通されている。排気孔31aおよび排気孔32aは、図5に示すように、側壁10aaの上端、側壁10aaの下端、凹部10af、糸尻部10adの外端、糸尻部10adの内端、凹部10aeの外端、および凹部10aeの中心、のそれぞれに対応する位置に設けられている。排気孔31aおよび排気孔32aは、凸型片21aおよび凹型片22a表面におけるキャビティー形成部(キャビティー25aを囲む面)以外の場所に設けられた出口34aを通じて金型20a外部に繋がっている。

0127

また、金型20aにおける凸型片21aと凹型片22aとの勘合部(接触部分b)には、凸型片21aと凹型片22aとを絶縁するための絶縁体27が配設されている。これにより、凸型片21aと凹型片22aとを電極として用いて金型20a内に電界を形成することで、通電による内部加熱や誘電による内部加熱(例えば高周波誘電加熱)が可能になる。したがって、例えば、後述するように凸型片21aおよび凹型片22aに対して高周波電源を接続することにより、高周波誘電加熱を行うことが可能となる。

0128

凸型片および凹型片からなる成形型の他の例としては、図6(a)に示す金属製の凸型片21bおよび金属製の凹型片22bの対からなる丸皿型容器成形用の金型20bが挙げられる。

0129

金型20bは、凸型片21bと凹型片22bとを互いに勘合させた(組み合わせた状態)で、図6(b)に示すように、内部に所望の発泡成形物(図3参照)の形状に合わせたキャビティー25bが形成されるようになっている。金型20bを用い、キャビティー25b内の成形用原料を2枚の被覆フィルム12間に挟持して加熱・加圧することによって、図3に示す丸皿型容器10bが得られる。

0130

凸型片21bおよび凹型片22bにはそれぞれ、キャビティー25b内の気体を外部に排出させるための排気孔31bおよび排気孔32bが貫通されている。排気孔31bおよび排気孔32bは、図6に示すように、フランジ部10bcの外端、フランジ部10bcの内端(曲面部10baの上端)、底部10baの外端、および底部10baの中心、のそれぞれに対応する位置に設けられている。排気孔31bおよび排気孔32bは、凸型片21bおよび凹型片22b表面におけるキャビティー形成部(キャビティー25bを囲む面)以外の場所に設けられた出口34bを通じて金型20b外部に繋がっている。

0131

また、金型20bにおける凸型片21bと凹型片22bとの勘合部(接触部分)にも、凸型片21bと凹型片22bとを絶縁するための絶縁体27が配設されている。これにより、凸型片21aと凹型片22aとを電極として用いて金型20a内に電界を形成することで、通電による内部加熱や誘電による内部加熱(例えば高周波誘電加熱)が可能になる。

0132

排気孔31a・32aおよび排気孔31b・32bの径は、被覆フィルム12の表面形状に影響を与えないか、実用上問題のないレベルしか影響を与えない程度に十分小さければよいが、排気孔(31a・32aまたは31b・32b)の形状が円形の場合、0.4mm以上1.2mm以下であることが好適である。また、排気孔(31a・32aまたは31b・32b)の断面積は、排気孔(31a・32aまたは31b・32b)の形状によらず、0.12mm2以上1.13mm2以下であることが好ましい。

0133

排気孔31a・32aおよび排気孔31b・32bと、出口34a、34bとを繋ぐ部分33a、33bの径については、特に限定されるものではないが、排気を円滑に行うために、図5および図6に示すように、排気孔31a・32aおよび排気孔31b・32bより大きい径を持つことが好ましい。すなわち、図5および図6に示すように、排気孔31a・32aおよび排気孔31b・32bと、出口34a、34bとは、排気孔31a・32aおよび排気孔31b・32bの径より大きい径を持つ排気管33a、33bで繋がれていることが好ましい。

0134

なお、図示しないが、上記金型20a・20bには、発泡成形物を取り出すためのノックアウトピンや、上記凸型片21a・21bと、凹型片22a・22bとを可動的に連結させるヒンジガイド、またはバーなどが備えられていてもよい。また、金型20a・20bにおける排気管33a、33bや出口34a、34bの構成(位置等)は、特に限定されるものではなく、例えば、図5に示す金型20aを図18に示す金型20aに変更してもよい。

0135

次に、成形時の加熱手法について説明する。

0136

上記成形時の加熱手法としては、たとえば直火遠赤外線電気ヒーター、IH加熱装置など、成形型を直接加熱する直接加熱手段による外部加熱や、通電加熱、高周波誘電加熱、マイクロ波加熱など、内部の成形用原料そのものを加熱する内部加熱手段による内部加熱を用いることができ、これらを併用することもできる。

0137

上記内部加熱としては、高周波誘電加熱が最も好ましい。高周波誘電加熱を用いると、発泡成形時初期において成形用原料が短時間で発熱し、全体が一度に膨張する。これにより、被覆フィルムを成形型に押し付ける圧力が、強く、かつ、均一に発生する。その結果、生分解性発泡成形物と被覆フィルムとの密着度が高い生分解性成形物を得ることができる。

0138

内部加熱の場合は、成形用原料そのものを加熱する。したがって、被覆フィルム12は、発泡成形過程にある高温の成形用原料によって加熱されて発泡成形物の表面に貼り付けられることになる。それゆえ、内部加熱を用いれば、直接被覆フィルム12を金型で加熱しないので、150℃以下のような比較的融点の低い生分解性プラスチックを主成分とする被覆フィルム12を用いることが可能になり、被覆フィルム12の選択の自由度が高くなる。

0139

一方、外部加熱では、成形型によって直接被覆フィルム12が加熱された上で、さらにその内部にある成形用原料も加熱されることになるので、成形用原料を十分に発泡成形するためには、被覆フィルム12にかなりの高温が加えられることになる。そのため被覆フィルム12としては、より融点の高いものが用いられることが好ましく、また成形型の加熱温度は、被覆フィルム12の融点や軟化点を考慮してより細かく設定されなければならない。

0140

それゆえ、貼り付けの容易さや、被覆フィルム12の選択の幅などから鑑みれば、加熱手法としては内部加熱の方がより汎用性を有する。

0141

ただし、外部加熱では、成形型から直接被覆フィルム12を加熱するので、被覆フィルム12の軟化や発泡成形物表面への密着を制御し易いという利点がある。また、軟化点が高温である被覆フィルム12の場合では、内部加熱を用いると、被覆フィルム12を十分に軟化させる程度まで成形用原料を加熱すると、成形用原料の種類によっては過剰に発泡成形されたりして発泡成形物の品位が低下するおそれがあるので、外部加熱の方が好ましくなる場合がある。

0142

このように、加熱手法は、外部加熱も内部加熱もそれぞれ利点がある。そのため、どのような生分解性成形物を製造するかによって外部加熱および内部加熱のいずれか一方または両方を選択すればよいが、両者の利点が得られるように、外部加熱と内部加熱とを併用することが最も好ましい。

0143

外部加熱の場合、成形型(金型20aなど)を上記直接加熱手段により直接加熱する。これによって、成形型からキャビティー(キャビティー25aなど)内にある成形用原料が外部加熱され、該成形用原料が水蒸気発泡することによって発泡成形物が成形される。なお、外部加熱のみの場合、金型20aや金型20bに配設されている絶縁体27を省略することが可能である。

0144

一方、内部加熱の場合、例えば、誘電加熱あるいは通電加熱の場合、凸型片21aと凹型片22aとを電極として用いて金型20a内に電界を形成することで加熱を行う。例えば、図8に模式的に示すように、凸型片21aおよび凹型片22aからなる金型20aを用い、凸型片21aおよび凹型片22aに対してそれぞれ電極26および電極26を接続し、さらに電極26・26に電源28を接続してなる加熱装置を用いることができる。これによって、キャビティー25a内に充填される成形用原料を内部加熱させることができる。なお、高周波誘電加熱を行う場合、電源28として高周波電源を用いてキャビティー25a内に高周波を発生させ、この高周波によってキャビティー25a内に充填された成形用原料を加熱すればよい。また、電極26は上記電源28の他にその他図示しないスイッチや制御回路などに接続されている。

0145

また、上記電極26を凸型片21aまたは凹型片22aに配置する構成は、上記外部加熱の場合にも適用することができる。すなわち、外部加熱の場合でも、成形型を直接加熱するために、直接加熱手段および電極26を配置するような構成を採用することができる。したがって、上記電極26を配置するような図8に示す構成は、外部加熱および内部加熱の双方に併用することが可能である。

0146

上記内部加熱としては、誘電加熱が特に好ましい。誘電加熱によれば、発泡成形時の初期において成形用原料が短時間で発熱し、全体が一度に膨張する。これにより、被覆フィルム12を金型に押し付ける圧力が、強く、かつ、均一に発生する。また、成形型の温度と成形用原料の発熱とをコントロールすることで、被覆フィルムにおける成形型接触面(成形型に接触する面)の温度を融点以下に抑えながら、発泡成形物における接着面(被覆フィルムと接着される面)の温度を融点付近に上げることもできる。これらの結果として、発泡成形物と被覆フィルム12との密着度が高い生分解性成形物を得ることができる。

0147

上記誘電加熱とは、被熱物の誘電損失によって被熱物を加熱する方法であり、被熱物(誘電体)に高周波(HF;3〜30MHz)を作用させて誘電加熱を行う高周波誘電加熱や、被熱物(誘電体)にマイクロ波(MW;1〜100GHz)を作用させて誘電加熱を行うマイクロ波加熱などがある。これらのうち、高周波誘電加熱が、金属製の「金型」を電極として用いて誘電加熱を行うことができる、出力機器高周波発生装置)の精密な出力コントロールが可能であるため成形用原料の発熱をコントロールしやすい等の点で、より好ましい。

0148

次に、本発明にかかる生分解性成形物の製造方法の実施の一形態を図1に基づいてさらに詳細に説明する。なお、ここでは、図5に示すどんぶり型容器成形用の金型20aを用いて、どんぶり型容器10aを製造する場合を例に挙げてさらに詳細に説明する。なお、図1においては、図面の簡素化のために、金型20aにおける排気孔31a・32aのうちの一部のみを示す、他の排気孔31a・32aの図示を省略している。

0149

本実施形態にかかる生分解性成形物の製造方法では、図1に示すように、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料14と、生分解性プラスチックを主成分とし、疎水性を有する2枚の被覆フィルム12とを用い、成形用原料14を被覆フィルム12の間に挟んで金型20aで加圧することによって、どんぶり型容器10a(図2参照)を製造する。

0150

まず、図1に示すように、2分割した金型20aの凸型片21aおよび凹型片22aを、凸型片21aの中心と凹型片22aの中心とが鉛直線上に揃うように、かつ、凸型片21aが上、凹型片22aが下となるように配置する。また、凸型片21aの凸面(下面)と、凹型片22aの凹面(上面)とを、鉛直線上に沿った距離がどの位置でも略等しくなるように対向させる。

0151

次いで、凸型片21aと凹型片22aとの間に、成形用原料14と共に、予備成形を施していない2枚の被覆フィルム12を略平面状に配置する。このとき、2枚の被覆フィルム12を互いに間隔を空けて、かつ、互いに平行となるように配置し、2枚の被覆フィルム12の間にスラリー状またはドウ状の成形用原料14を供給する。また、被覆フィルム12は、凸型片21aの中心と凹型片22aの中心とを結ぶ直線に対して垂直となるように配置されており、この場合、水平に配置されている。

0152

被覆フィルム12を略平面状に配置する方法としては、単に略平面状の被覆フィルム12を金型20a内に投入する方法、カールした被覆フィルム12を金型20aの両側で固定する方法などでもよいが、金型20aの両側に配置した複数のローラを用いて被覆フィルム12を凸型片21aと凹型片22aとの間に通すと、被覆フィルム12を連続的に供給できる。

0153

次いで、金型20a中で成形用原料14および被覆フィルム12を上述した外部加熱および/または内部加熱を用いて加熱(・加圧)成形することにより、成形用原料14を水蒸気発泡成形して容器本体11aにすると同時に、被覆フィルム12を軟化させて容器本体11a表面に圧着する(貼り付ける)。

0154

この加熱成形時には、成形用原料14および被覆フィルム12を加熱しながら、凸型片21aおよび凹型片22aの少なくとも一方を移動させることにより、凸型片21aを凹型片22aに勘合させる。これにより、被覆フィルム12が、凸型片21a表面の形状に近づくように変形していく。

0155

一方、このとき、成形用原料14は、凸型片21aが凹型片22aに勘合されるまでは、直接的に外気に曝されている。そのため、成形用原料14の温度は、比較的低い温度に保たれ、水蒸気発泡が起こる最低の温度(すなわち100℃)まで達しないか、あるいは水蒸気発泡が起こる温度に達しても比較的低い温度である。したがって、凸型片21aが凹型片22aに勘合されるまでは、成形用原料14の水蒸気発泡は、起こらないか、起こっても僅かしか進行しない。

0156

その後、凸型片21aが凹型片22aに勘合され、金型20aの型閉めが完了すると、成形用原料14は、外気からほぼ遮蔽され、十分に加熱される。そのため、成形用原料14中に含まれる水分による発泡(水蒸気発泡)が十分に進行し、成形用原料14が被覆フィルム12の間で膨張する。その結果、成形用原料14が容器本体11aとして成形されると共に、被覆フィルム12が成形用原料14によって金型20aに押し付けられて金型20a表面と略同一の形状に成形される。これによって、本発明にかかる生分解性成形物としてのどんぶり型容器10aをキャビティー25aに応じた形状に成形することができる。

0157

このとき、成形開始直後には、被覆フィルム12と金型20a表面との間に空気が存在するが、本実施形態の金型20aでは、凸型片21aおよび凹型片22aに対して圧抜き用の排気孔31aおよび排気孔32aが設けられているので、被覆フィルム12と金型20a表面との間に存在する空気は、成形用原料14の膨張圧を受けた被覆フィルム12によって排気孔31aおよび排気孔32aを通して金型20a外部に押し出される。

0158

その結果、金型20a内の空気がキャビティー25a外に略完全に排出され、どんぶり型容器10aをキャビティー25aと略同一の形状に成形することができる。

0159

なお、図5または図18に示す金型20aでは、キャビティー25a内の気体を金型20a外部に排出させるために、排気孔31a・32aが金型20a外部に通じていたが、排気孔31a・32aは、金型20a内部の閉鎖空間に通じていてもよい。すなわち、金型20aの内部に、排気孔31a・32aを介してキャビティー25aに通じ、かつ、金型20a外部に対して閉鎖された閉鎖空間を形成してもよい。具体的には、例えば、図5または図18に示す金型20aにおいて、加熱成形時に、出口34aを閉鎖し、排気管33a(排気孔31a・32aを介してキャビティー25aに通じた金型20a内部の空間)を、金型20a外部に対して閉鎖された閉鎖空間としてもよい。この場合、被覆フィルム12と金型20a表面との間に存在する空気は、成形用原料14の膨張圧を受けた被覆フィルム12によって排気孔31aおよび排気孔32aを通して閉鎖空間に押し出される。

0160

その結果、排気孔31a・32aが金型20a外部に通じている場合と同様に、金型20a内の空気がキャビティー25a外に略完全に排出され、どんぶり型容器10aをキャビティー25aと略同一の形状に成形することができる。

0161

さらに、このような閉鎖空間を形成した金型20aを用いる方法では、急速成形を行う場合や、被覆フィルム12の強度が低い場合においても、キャビティー内圧の急激な上昇による被覆フィルム12の変形や破れを容易に回避できるという利点がある。

0162

上記閉鎖空間を形成した金型20aを用いる方法では、上記閉鎖空間の体積を、加熱成形前におけるキャビティー25a内の空隙の容積(キャビティー25aの容積から成形用原料14の体積を引いた容積)に対して、1/3倍以上2倍以下となるように設定することが好ましい。上記閉鎖空間の体積を、加熱成形前におけるキャビティー25a内の空隙の容積の1/3倍以上にすることで、空気の抜け不足による肉厚の不均一化を回避できる。また、上記閉鎖空間の体積を、加熱成形前におけるキャビティー25a内の空隙の容積の2倍以下にすることで、空気の抜け過ぎによる被覆フィルム12の変形や破れを回避できる。なお、上記体積比を満たすためには、金型20aの閉鎖空間のサイズを調整する方が発泡倍率等を一定に保ちながら調整を行える点で簡便であるが、成形用原料14の量や形状を調整してもよい。

0163

以上のように、上記方法では、凸型片21aおよび凹型片22aに対し圧抜き用の排気孔31aおよび排気孔32aを設け、加熱成形時に、被覆フィルム12と凸型片21aおよび凹型片22aの表面との間に介在する空気を、排気孔31aおよび排気孔32aを通してキャビティー25a外に排出させている。これにより、被覆フィルム12と凸型片21aおよび凹型片22aの表面との密着性が向上する。

0164

それゆえ、上記方法では、被覆フィルム12表面に気泡が発生することを避けることができ、優れた表面平滑性を持つどんぶり型容器10aを得ることができる。特に、側壁10aaやフランジ部10acのような平面部分の表面が平滑になるので、光沢が良好で、美麗などんぶり型容器10aを得ることができる。

0165

また、上記方法では、どんぶり型容器10aをキャビティー25aと略同一の形状に成形することができ、良好な寸法精度を実現できる。特に、金型20a表面の凹部、例えばどんぶり型容器10aの角(糸尻部10adやフランジ部10acの角等)、どんぶり型容器10aの内面の凸部(凹部10afの裏面等)に対応する凸型片21aの凹部、どんぶり型容器10aの外面の凸部(糸尻部10ad等)に対応する凹型片22aの凹部等には、被覆フィルム12が密着しにくい。しかしながら、上記方法では、被覆フィルム12と金型20a表面との間に介在する空気をキャビティー25a外に排出したことで、このような金型20a表面の凹部にも被覆フィルム12を密着させることができる。その結果、例えば、糸尻部10adやフランジ部10acの角が、丸みを帯びることなく、キャビティー25aの形状を正確に反映してった形状となる。また、どんぶり型容器10aの糸尻部10adや凹部10af等の肉厚を、キャビティー25aの厚みと略同一にすることができる。

0166

また、上記方法では、成形用原料14の膨張によって発生した金型20aの内圧を利用して金型20a内の排気を行うので、真空吸引等を行うことなく十分に排気を行うことができる。ここで、排気孔31aおよび排気孔32aの径は、前述したように、被覆フィルム12の表面形状に影響を与えない程度に十分小さいので、排気孔31aおよび排気孔32aに対応した凸部が被覆フィルム12の表面に形成されることはないか、形成されても実用上問題のないレベルである。

0167

なお、本実施形態の製造方法では、少なくとも被覆フィルム12が変形している間、凸型片21aと凹型片22とを直線的に接近させることが好ましい。すなわち、凹型片22に対する凸型片21aの相対的な移動は、直線運動であることが好ましい。これにより、例えば、凸型片21aの一辺と凹型片22の一辺とを蝶番で連結し、凸型片21aを回動させる場合と比較して、凸型片21aによって被覆フィルム12に加えられる圧力がより均一となる。それゆえ、均一に被覆フィルム12を伸ばすことができ、被覆フィルム12の肉厚が均一になる。それゆえ、被覆フィルム12による効果、すなわち生分解性成形物の耐水性の向上等がより一層向上する。

0168

また、本実施形態の製造方法では、少なくとも被覆フィルム12が変形を開始するまで、凸型片21aおよび凹型片22aの両方を互いに接近する方向に移動させることが好ましい。

0169

上記方法によれば、少なくとも被覆フィルム12が変形を開始するまで、凸型片21aおよび凹型片22aの両方を互いに接近する方向に移動させるので、凸型片21aを凹型片22aに勘合させるまでに要する時間(勘合時間)を短縮でき、その結果、製造時間の短縮を図ることができる。

0170

また、凸型片21aおよび凹型片22aの両方を互いに接近する方向に移動させる場合、凸型片21aが凹型片22aに勘合するまで凸型片21aおよび凹型片22aの両方を互いに接近する方向に移動させてもよいが、被覆フィルム12が変形を開始するまでは凸型片21aおよび凹型片22aの両方を互いに接近する方向に移動させる一方、被覆フィルム12が変形を開始した後は凸型片21aのみを移動させることが好ましい。これにより、被覆フィルム12を連続的に搬送する場合等のように、被覆フィルム12を略平面状に保持する場合に、被覆フィルム12を移動させる必要がなくなり、操作が簡便になる。

0171

また、加熱成形時における金型20aの加熱温度は、被覆フィルム12が溶融せずに軟化して発泡成形物表面に圧着できる温度範囲、すなわち、被覆フィルム12の軟化点以上、被覆フィルム12の融点未満の温度であればよいが、使用される被覆フィルム12の熱的特性に応じて設定することが好ましい。そして、加熱成形時の加熱は、金型20aの温度が、被覆フィルム12の軟化点以上で、かつ、被覆フィルム12の融点より10℃以上低くなるように行うことが好ましい。

0172

これにより、被覆フィルム12が、溶けることなく軟化して金型20aに対応した形状に成形され、被覆フィルム12にピンホールが生じることを回避できる。それゆえ、被覆フィルム12によって、容器本体11aをより確実に被覆できるので、どんぶり型容器10aの耐水性をより確実に確保することができる。

0173

加熱成形時の加熱は、「金型20aの温度が、被覆フィルム12の軟化点以上で、被覆フィルム12の融点より10℃以上低く、かつ、130℃以上」という温度条件(以下、温度条件Aと称する)を満たすことがより好ましい。これにより、キャビティー(キャビティー25aなど)内のスラリー状またはドウ状の成形用原料14を十分加熱して水蒸気発泡成形することができるので、水蒸気発泡成形の成形時間を短縮できると共に、水蒸気発泡の条件が良好となり、均一で緻密な組織を持つ容器本体11aが得られる。したがって、製造時間の短縮を図ると共に、どんぶり型容器10aの強度等の特性を向上できる。

0174

加熱成形時の加熱は、「金型20aの温度が、被覆フィルム12の軟化点以上で、被覆フィルム12の融点より10℃以上低く、かつ、150℃以上」という温度条件(以下、温度条件Bと称する)を満たすことがさらに好ましい。これにより、キャビティー(キャビティー25aなど)内のスラリー状またはドウ状の成形用原料14をより一層十分に加熱して水蒸気発泡成形することができるので、水蒸気発泡成形の成形時間をさらに短縮できると共に、水蒸気発泡の条件がさらに良好となり、さらに均一で緻密な組織を持つ容器本体11aが得られる。したがって、製造時間の更なる短縮を図ると共に、どんぶり型容器10aの強度等の特性を向上できる。

0175

上記温度条件Aを満たすためには、軟化点が130℃以上であり、かつ、融点が140℃以上である被覆フィルム12を用いることが必要であり、温度条件Bを満たすためには、被覆フィルム12は、軟化点が150℃以上であり、かつ、融点が160℃以上である被覆フィルム12を用いることが必要である。

0176

このような軟化点および融点を持つ被覆フィルム12を用いると、上記温度条件を満たすことができるだけでなく、軟化や溶融が起こりにくい耐熱性の高いどんぶり型容器10aを得ることができる。特にどんぶり型容器10aをカップめん容器などに用いる場合には、どんぶり型容器10a内部に注がれる熱湯等の熱によるどんぶり型容器10aの変形や溶融をより確実に回避することができる。

0177

したがって、被覆フィルム12の熱的特性は、加熱成形時の加熱温度を高い温度に設定でき、かつ、どんぶり型容器10aの耐熱性を向上できる特性であることが好ましい。具体的には、被覆フィルム12の軟化点は、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。また、被覆フィルム12の融点は、150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。また、被覆フィルム12は、軟化点が120℃以上であり、かつ、融点が150℃以上であることが好ましく、軟化点が130℃以上であり、かつ、融点が170℃以上であることがさらに好ましく、軟化点が150℃以上であり、かつ、融点が200℃以上であることが最も好ましい。

0178

また、金型20aの加熱温度の上限は、被覆フィルム12の融点未満であれば特に限定されないが、どんぶり型容器10aの熱的な変化を避けるために、240℃以下であることが好ましい。

0179

また、水蒸気発泡成形は、成形用原料14中に含まれる水分を蒸発させて水蒸気を発生させることにより、気泡を生じさせる成形方法である。そのため、本発明にかかる製造方法では、成形用原料14を水蒸気発泡成形させるために、成形用原料14を水の沸点100℃以上に加熱することが必要である。

0180

それゆえ、加熱手法として外部加熱のみを用いる場合、金型20aの加熱温度は、水の沸点100℃以上であることが必要であり、水の沸点100℃以上より十分に高い温度、具体的には140℃以上であることがより好ましい。これにより、成形用原料14中に含まれる水分は必ず蒸発して水蒸気となり気泡が生じる。それゆえ、得られる成形物は必ず水蒸気発泡することになり、上記発泡成形物を容易に得ることができる。

0181

したがって、加熱手法として外部加熱を用いる場合には、被覆フィルム12としては、その融点が100℃以上の生分解性プラスチックを主成分とするものを選択する必要がある。被覆フィルム12が、融点が100℃未満の生分解性プラスチックを主成分としておれば、成形用原料14を十分に水蒸気発泡成形するための温度では、被覆フィルム12が完全に溶融してしまい、被覆フィルム12がフィルム形状を維持できなくなる。

0182

一方、加熱手法として、内部加熱のみを用いる場合、あるいは外部加熱と内部加熱とを併用する場合には、上記電極26に対して低周波交流電圧高周波電界印加することによって、キャビティー(キャビティー25aなど)内の成形用原料14そのものを内部加熱させるので、加熱温度も内部加熱に関わる各種条件に依存し、特に限定されるものではなく、成形用原料14が水蒸気発泡する温度以上であればよい。したがって、内部加熱を用いる場合、外部加熱に比べると比較的低融点の被覆フィルム12を用いることが可能である。

0183

内部加熱に関わる各種条件としては、具体的には、電極26の特性や、上記低周波交流電圧や高周波電界の大きさが大きく関与するが、他に、前述したように、成形用原料14の導電率や誘電損失にも大きく依存する。すなわち、通電加熱によって加熱成形する際には、その発熱状態は成形用原料14の導電率によって制御され、高周波誘電加熱によって加熱成形する際には、その発熱状態は成形用原料14の誘電損失によって制御されるためである。上記各種条件の具体的な設定範囲については、実用上、キャビティー内の温度が外部加熱と同様の温度範囲になるように設定すればよく、特に限定されるものではない。

0184

上記加熱時間としては、加熱温度と、容器本体11aの形状や厚みなどとに応じて適宜設定されるものであるが、少なくとも成形後の容器本体11aの含水率が所定範囲内で収まるような時間であることが好ましい。換言すれば、成形用原料14中の水分をほぼ完全に蒸発させないような時間であることが好ましい。

0185

上記加熱時間が、容器本体11aの水分が前述した所定範囲よりも小さくなるまで長時間に及ぶと、該容器本体11aは過剰発泡状態となる上に所定の含水率を有さなくなるため、硬くかつ脆くなって、容器本体11aの品位を低下させるため好ましくない。

0186

具体的な加熱時間としては特に限定されるものではない。たとえば高周波誘電加熱を行うような場合には、一般的な外部加熱に比べてはるかに短時間で成形可能となり、また容器本体11aが肉厚である場合には加熱時間が長くなる傾向にある。それゆえ加熱時間は、基本的には、加熱手法や容器本体11aの形状などによって適宜設定されるものであるが、一般的には、10秒以上5分以内の範囲内であることが好ましい。

0187

加熱成形時の成形圧力についても特に限定されるものではないが、一般的には、たとえば、5kg/cm2 以上50kg/m2 以下の範囲内が好ましく用いられる。もちろん、この成形圧力については、種々の条件に応じて変更可能である。

0188

また、本実施形態の製造方法では、加熱成形の前に、被覆フィルム12と接触する金型20a表面にスリップ剤を配設することが好ましい。これにより、被覆フィルム12表面と金型20a表面との間の接触摩擦を低減できるので、金型20aによって被覆フィルム12を延伸する時に、金型20aとの摩擦によって被覆フィルム12に断裂や亀裂などのような破損が生じることを回避できる。

0189

上記スリップ剤としては、金型20a表面と被覆フィルム12表面との摩擦を低減できるものであればよく、高級脂肪族系アルコール脂肪酸アマイド系、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸系、脂肪酸エステル系、およびこれらの複合剤などのような、一般に「滑剤」と称されるものに加えて、植物性油脂等の油脂、無機微粒子フッ素樹脂等を使用することができる。また、スリップ剤を金型20a表面に配設する形態としては、金型20a表面に滑剤や油脂等の液体を塗布する方法、金型20a表面に無機微粒子等の微粒子を付着させる方法、金型20a表面にフッ素樹脂被膜等の固体の層を形成する方法等が挙げられるが、金型20a表面に固体層を形成する方法が好ましい。金型20a表面に形成する固体層としては、フッ素樹脂層が好ましい。したがって、スリップ剤は、金型20a表面に形成されたフッ素樹脂層(フッ素樹脂被膜、いわゆるフッ素樹脂コーティング)であることが最も好ましい。

0190

なぜなら、液体状のスリップ剤を金型20a表面に塗布した場合や微粒子状のスリップ剤を金型20a表面に付着させた場合には、成形時にスリップ剤が金型20a表面から剥がれるので、成形する度にスリップ剤を塗布する必要がある。これに対し、スリップ剤としてフッ素樹脂層を金型20a表面に形成すると、成形時にスリップ剤が金型20a表面から剥がれることがなく、長時間使用可能である。それゆえ、金型20a表面にスリップ剤を配設する手間を低減できる。

0191

また、液体状のスリップ剤を塗布した場合や微粒子状のスリップ剤を付着させた場合には、成形時にスリップ剤がどんぶり型容器10a表面に付着するので、成形後にどんぶり型容器10a表面からスリップ剤を除去する必要がある。これに対し、上記方法では、成形時にスリップ剤がどんぶり型容器10a表面に付着してどんぶり型容器10a表面が汚れることがなく、成形後にどんぶり型容器10a表面からスリップ剤を取り除く手間を省くことができる。

0192

上記フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(いわゆる「テフロン(登録商標)」)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等が挙げられるが、耐熱性に優れ、安価であることから、四フッ化エチレン樹脂が特に好ましい。

0193

次に、本発明の他の実施形態として、丸皿型容器10bの製造方法について、図7に基づいて説明する。なお、図7においても、図面の簡素化のために、金型20bにおける排気孔31b・32bのうちの一部のみを示す、他の排気孔31b・32bの図示を省略している。

0194

本実施形態にかかる丸皿型容器10bの製造方法は、図5に示すどんぶり型容器成形用の金型20aに代えて、図6に示す凸型片21bおよび凹型片22bからなる丸皿型容器成形用の金型20bを用いる以外は、上述したどんぶり型容器10aの製造方法と同様である。

0195

すなわち、凸型片21bおよび凹型片22bからなる金型20bを用い、金型20bを用い、まず、図7に示すように、凸型片21bと凹型片22bとを上下に分割した状態で配置し、凸型片21bと凹型片22bとの間に、成形用原料14を1対の被覆フィルム12間に挟持した状態で配置する。次いで、凸型片21bと凹型片22bとを近づけていき、凸型片21bと凹型片22bとを勘合させて型締めする。次に、成形用原料14および被覆フィルム12を加熱成形することにより、成形用原料14を水蒸気発泡成形して容器本体10bを得ると同時に、被覆フィルム12を軟化させて容器本体10b表面に圧着する。そして、この加熱成形時に、被覆フィルム12と金型20b表面との間に介在する気体を、凸型片21bおよび凹型片22bに設けた排気孔31bおよび排気孔32bを通して金型20bの外部に排出させる。これにより、丸皿型容器10bが得られる。

0196

上記方法では、凸型片21bおよび凹型片22bに対し圧抜き用の排気孔31bおよび排気孔32bを設け、加熱成形時に、被覆フィルム12と凸型片21bおよび凹型片22bの表面との間に介在する空気を、排気孔31bおよび排気孔32bを通して金型20bの外部に排出させている。これにより、被覆フィルム12と凸型片21bおよび凹型片22bの表面との密着性が向上する。

0197

それゆえ、上記方法では、被覆フィルム12表面に気泡が発生することを避けることができ、優れた表面平滑性を持つ丸皿型容器10bを得ることができる。特に、底部10baやフランジ部10bcのような平面部分の表面が平滑になるので、光沢が良好で、美麗な丸皿型容器10bを得ることができる。

0198

また、上記方法では、丸皿型容器10bをキャビティー25bと略同一の形状に成形することができ、良好な寸法精度を実現できる。特に、金型20b表面の凹部、例えば丸皿型容器10bの角(フランジ部10bcの角等)等には、被覆フィルム12が密着しにくい。しかしながら、上記方法では、被覆フィルム12と金型20b表面との間に介在する空気を外部に排出したことで、このような金型20b表面の凹部にも被覆フィルム12を密着させることができる。その結果、例えば、フランジ部10bcの角が、丸みを帯びることなく、キャビティー25bの形状を正確に反映して尖った形状となる。また、丸皿型容器10bの肉厚を、キャビティー25bの厚みと略同一にすることができる。

0199

丸皿型容器10bの製造方法においても、どんぶり型容器10aの製造方法と同様に、金型20bの内部に、排気孔31b・32bを介してキャビティー25bに通じ、かつ、金型20b外部に対して閉鎖された閉鎖空間を形成してもよい。具体的には、例えば、図6に示す金型20bにおいて、加熱成形時に、出口34bを閉鎖し、排気管33bを、金型20b外部に対して閉鎖された閉鎖空間としてもよい。これによって、丸皿型容器10bをキャビティー25bと略同一の形状に成形することができると共に、閉鎖空間を形成した金型20aを用いる方法と同様の利点が得られる。また、上記閉鎖空間の体積についても、どんぶり型容器10aの製造方法と同様の理由から、加熱成形前におけるキャビティー25b内の空隙の容積に対して、1/3倍以上2倍以下となるように調整することが好ましい。

0200

なお、上記の説明では、本発明に係る成形型として、どんぶり型容器成形用の金型20aおよび丸皿型容器成形用の金型20bについて説明した。また、上記の説明では、本発明に係る製造方法として、金型20aを用いてどんぶり型容器10aを用いて製造する方法と、金型20bを用いて丸皿型容器10bを製造する場合とについて説明した。しかしながら、本発明に係る成形型の形状は、他の形状を持つものであってもよく、本発明に係る製造方法も、他の形状を持つ生分解性成形物も製造する方法であってもよい。

0201

本発明に係る他の形状を持つ成形型としては、例えば、図9に示すコップ型容器成形用の金型20cが挙げられる。

0202

また、図5図6、および図9では、分割可能な成形型として上下2分割の成形型を例示したが、分割可能な成形型における分割の仕方(すなわち型片の個数)は、上下2分割に限定されるものではない。例えば、図9に示す2分割の金型20bに代えて、図10に示すような、凸型片21cと同様の形状を有する凸型片21dと、凹型片22cが二分割されてなる形状を有する2つの凹型片23d・24dとからなる3分割のコップ型容器成形用の金型20dを用いることも可能である。

0203

上記金型20cおよび金型20dは、それぞれ、凸型片21cと凹型片22c、凸型片21dと凹型片23d・24dを組み合わせた状態で、図9(b)および図10(b)に示すように、内部に所望の発泡成形物(図3参照)の形状に合わせたキャビティー25aおよび25bが形成されるようになっている。上記の金型20cまたは20dを用い、金型20a・20bを用いた場合と同様にして、キャビティー25cまたは25d内の成形用原料を2枚の被覆フィルム12間に挟持して加熱・加圧することによって、図4に示すコップ型の容器本体10bが得られる。図示していないが、これら金型20c・20dにも、金型20a・20bと同様、排気孔が設けられている。

0204

また、本実施の形態では、本発明にかかる成形型の一例として、上記金型20a・20bなどの金型を挙げたがこれに限定されるものではなく、従来公知の種々の材質で形成された成形型を用いることができる。ただし、後述するように、本発明で用いられる成形型には、水蒸気発泡成形のための耐熱性が要求され、同時に強度・耐磨耗性なども必要である。さらにマイクロ波を用いて内部加熱を行う場合には、マイクロ波透過性が必要である。したがって、マイクロ波を用いた内部加熱では、上記成形型として、マイクロ波透過性、耐熱性、強度、耐磨耗性を備えた樹脂やセラミックなどからなる成形型が好ましく用いられるが、それ以外の場合、特に通電、高周波誘電を用いた内部加熱の場合は、金属製の成形型、すなわち「金型」であることが、成形型自体も電極の一部として作用することから、より好ましい。

0205

さらに、本実施の形態では、本発明にかかる成形型の使用例として、成形型中で成形用原料および被覆フィルムを加熱成形することにより、生分解性発泡成形物を水蒸気発泡成形すると同時に、被覆フィルムを軟化させて生分解性発泡成形物の表面に圧着する生分解性成形物の製造方法に使用した例を説明した。しかしながら、本発明にかかる成形型は、デンプンまたはその誘導体を主成分とし、これに水を混合して得られるスラリー状またはドウ状の成形用原料を内部で加熱することにより、生分解性発泡成形物を水蒸気発泡成形する方法であれば、特に限定されることなく使用できる。したがって、本発明にかかる成形型は、被覆フィルムを用いることなく成形用原料を単独で成形する方法にも使用できる。

0206

また、上述した各製造方法では、凸型片21bを上、凹型片22bを下に配置していたが、凹型片22bを上、凸型片21bを下に配置してもよい。また、ここでは、凸型片21bおよび凹型片22bを上下方向に配置し、凸型片21bおよび凹型片22bを鉛直方向に移動していたが、凸型片21bおよび凹型片22bの配置方向および移動方向は、特に限定されるものではなく、例えば水平方向であってもよい。

0207

また、上述した各製造方法では、成形型での水蒸気発泡成形に際して、2枚の被覆フィルム12間に成形用原料を挟み込み、発泡成形物の表面全体を被覆フィルム12により被覆していた。しかしながら、上記被覆フィルム12は、発泡成形物全体に貼り付ける必要はなく、発泡成形物を保護したい部分のみに貼り付ければよい。たとえば、その表面に食品を載置するだけの用途、具体的には、たこ焼きや焼きそば、お好み焼き、ホットドッグフライドポテトなどといった軽食類を食事する時点で一時的に載置した後、食事が終われば廃棄してしまうような1ウェイ方式の皿や、ケーキなどを包装する際の台座として用いられるような皿などは、その表面(皿の上面)のみを保護していればよい。したがって、このような用途に用いる生分解性成形物を製造する場合、発泡成形物の上面のみを被覆フィルム12により被覆してもよい。

0208

また、本発明にかかる生分解性成形物を電化製品などの梱包に使用する緩衝材として使用する場合には、電化製品と直接接触する部分のみに被覆フィルムを貼り付けておけばよい。特に、電化製品が大きいサイズである場合には緩衝材も大きくなり、それゆえ被覆フィルムを貼り付けるための貼り付け型も大型化することになるので、生分解性成形物が大型化する場合には、必要最小限の部分に被覆フィルムを貼り付けておけばよい。

0209

一方、たとえば、カップめんの容器(図2に示すようなどんぶり型容器10aなど)のように、沸騰したお湯を内部に入れるだけでなく、内部の乾燥めんが酸化したり吸湿したりしないように、容器全体にガスバリア性が要求されるような場合には、容器全体に被覆フィルム12を貼り付けておくことが好ましい。

0210

また、上述した各実施形態の製造方法では、略平面状に保持された被覆フィルム12を用いて加熱成形を行っていたが、円弧状等の形状に曲がった状態の被覆フィルム12を用いて加熱成形を行ってもよい。

0211

また、上述した各実施形態の製造方法では、平面状に成形した被覆フィルム12を用いて加熱成形を行っていたが、以下の製法1〜6のように、予め生分解性成形物の外形に略合わせた形状に成形した被覆フィルム12を用いて加熱成形を行ってもよい。

0212

<製法1>製法1は、図1に基づいて説明した製法において、使用する被覆フィルム12を予め生分解性成形物の外形に略合わせた形状に成形しておく方法である。

0213

上記被覆フィルム12の中には、主成分である生分解性プラスチックの種類にもよるが、成形時に大幅に延伸することができないものも含まれる。本製法では、予め被覆フィルム12を成形後の外形に近い形状に成形した成形フィルムを準備しておくことによって、成形時に大幅に延伸することができない被覆フィルム12を用いた場合においても、より複雑で絞りの深い形状の発泡成形物に対して被覆フィルム12を確実かつ効率的に被覆することができる。したがって、この製法は、図2に示すどんぶり型容器10aなどのように、ある程度絞りの深い形状、すなわち高さ方向のサイズが大きい形状の生分解性成形物を成形する用途に好ましく用いることができる。

0214

上記被覆フィルム12の成形方法については、シートフィルムの一般的な成形方法が用いられ、特に限定されるものではないが、たとえば、真空成形、射出成形ブロー成形などの各種成形方法が好ましく用いられる。また、成形形状については、成形後の生分解性成形物の形状にほぼ合わせてあればよく、細部まで同じように成形する必要はない。被覆フィルム12はある程度柔軟性を有しているので、そのおおまかな形状が、成形後の生分解性成形物の形状、すなわち成形型の形状に合わせられておればよい。

0215

本製法1を具体的に説明すると、図11に示すように、図5(a)・(b)に示した金型20aにおいて、上下の型片21a・22aの間にどんぶり型容器10aの外形に略合わせた形状に予め成形した成形フィルム12aを二枚配置し、さらにこれら成形フィルム12a・12a間にスラリー状またはドウ状の成形用原料14を供給する。この状態では、上記金型20aは、成形フィルム12a(被覆フィルム12)の主成分である生分解性プラスチックの融点未満の温度まで加熱されている。その後、上下の型片21a・22aを合わせて、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としてのどんぶり型容器10a(図2参照)を得ることができる。

0216

<製法2>製法2は、図7に基づいて説明した製法において、使用する被覆フィルム12を袋状に加工しておき、この袋状の被覆フィルム12の中に成形用原料を収容する方法である。この製法も、図2(a)に示す丸皿型容器10bのように、シート形状の被覆フィルム12に合わせて、平面的に広がる方向にサイズが大きい形状の生分解性成形物を成形する用途に特に好ましく用いることができる。

0217

この製法では、被覆フィルム12を、内部に成形用原料を収容可能とするように袋状に加工して包袋フィルムとしておく。この包袋フィルムの内部に成形用原料を入れておけば、包袋フィルムで成形用原料を略包装していることになるので予め包袋フィルム中に成形用原料を分注したものを大量に準備しておいた上で一定期間保存することが可能となる。さらに、生分解性成形物を製造する時点で、該原料包装物を成形型に一括して投入するだけで成形の準備が整うことになる。したがって、製造工程をより一層簡素化できるという利点がある。

0218

上記被覆フィルム12を袋状の包袋フィルムに加工する方法としても特に限定されるものではなく、シートまたはフィルム状のプラスチックを袋状に加工するための従来公知の方法が好適に用いられる。具体的にはピロー包装などが挙げられる。また、包袋フィルム内に成形用原料を分注してなる原料包装物の保存方法についても特に限定されるものではなく、デンプンを腐敗させないような従来公知の保存方法であればよい。

0219

なお、本発明においては、上記包袋フィルム12b中に成形用原料を収容したものは「発泡成形用組成物」となる。この発泡成形用組成物(以下、成形用組成物と略す)は、上記のように予め多数準備しておいて一定期間保存することができるとともに、成形型に一括投入して成形するだけで、被覆フィルムが貼り付けられた生分解性成形物を容易に製造することができる。そのため、生分解性成形物を容易かつ簡単な工程で製造する組成物として好適なものとなる。

0220

本製法2を具体的に説明すると、図12に示すように、被覆フィルム12を予め袋状に加工して包袋フィルム12bとしておき、この包袋フィルム12b中に所定量の成形用原料14を分注して成形用組成物40bを準備しておく。この成形用組成物40bは所定のストッカーなどに保存しておけばよい。その後、図6(a)・(b)に示した金型20bにおいて、下方の型片22bの上にストッカーから出してきた上記成形用組成物40bを載置する。これだけで成形準備が整ったことになる。

0221

この状態では、上記金型20bは、被覆フィルム12(包袋フィルム12b)の主成分である生分解性プラスチックの融点以下の温度まで加熱されている。その後、上下の型片21b・22bを合わせて、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としての丸皿型容器10b(図3参照)を得ることができる。

0222

<製法3>製法3は、使用する被覆フィルム12が、予め袋状でかつ生分解性成形物の外形に略合わせた形状に成形されている。つまり製法2における包袋フィルム12dがさらに生分解性成形物の外形に略合わせた形状の成形包袋フィルムとなっている。この製法も、図2に示すどんぶり型容器10aなどのように、ある程度絞りの深い形状、すなわち高さ方向のサイズが大きい形状の生分解性成形物を成形する用途に好ましく用いることができる。

0223

上記成形包袋フィルムは、被覆フィルム12を先に袋状の包袋フィルムに加工してから生分解性成形物の外形に略合わせて成形してもよいし、上記外形に略合わせて成形してから包袋フィルムに加工してもよい。成形方法や包袋フィルムへの加工方法も特に限定されるものではなく、上述したように、従来公知の方法が好適に用いられる。

0224

本製法3を具体的に説明すると、図13に示すように、被覆フィルム12を成形包袋フィルム12cに成形しておき、この成形包袋フィルム12c中に所定量の成形用原料を分注して成形用組成物40cを準備しておく。この成形用組成物40cは所定のストッカーなどに保存しておけばよい。その後、図5(a)・(b)に示した金型20aにおいて、下方の型片22aの上にストッカーから出してきた上記成形用組成物40cを載置する。これだけで成形準備が整ったことになる。

0225

この状態では、上記金型20aは、被覆フィルム12(成形包袋フィルム12c)の主成分である生分解性プラスチックの融点未満の温度まで加熱されている。その後、上下の型片21a・22aを合わせて、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としてのどんぶり型容器10a(図2参照)を得ることができる。

0226

<製法4>製法4では、上記製法1において、被覆フィルム12を予め生分解性成形物の外形に略合わせた形状に切り取ったフィルム片として用いる方法である。この製法は、図4に示すコップ型容器10cなどのように、絞りの程度が深い形状や、より複雑な形状の生分解性成形物を成形する用途に好ましく用いることができる。

0227

上記フィルム片の具体的な形状は特に限定されるものではないが、通常は、図14(a)および図14(b)に示すように、成形後の生分解性成形物(たとえばコップ型容器10c)の略展開図にして、各面毎に切り取っておいた複数のフィルム片12dとしておく手法が好ましく用いられる。

0228

上記フィルム片12dは、図14(a)および図14(b)に示すように、さらに糊代に相当するような重複部12eを有している。この重複部12eは、底面となるフィルム片12dの周囲や、側面となるフィルム片12dを円筒状に巻いたときに接着される端部などに設けられる。

0229

これら重複部12eは、成形時に、フィルム片12dを成形型のキャビティー内に配置する際に、各フィルム片12d同士の所定の部位に互いに重複させる。これによって、成形時には、この重複部12eとこれに重なるフィルム片12dの一部とが互いに軟化して接着される(溶着される)。その結果、複数のフィルム片12dが一つにまとまった略コップ形状の被覆フィルム12となり、この被覆フィルム12がさらに発泡成形物の表面に貼り合わせられて、本発明にかかるコップ型容器10cが得られる。

0230

また、略展開図としてのフィルム片12dの形状については特に限定されるものではなく、コップ型容器10cに合わせる場合を例に上げると、図14(a)に示すように、側面および底面をそれぞれ1つのフィルム片12dとする、展開図を側面・底面に2分割する形状であってもよいし、図14(b)に示すように、底面は1つであるが側面を2つに分割する3つのフィルム片12dとする、展開図を3分割する形状であってもよい。このようにフィルム片12dは、全て集めて重複部12eを重ねた状態でコップ型など生分解性成形物に対応するような形状となっておればよい。

0231

本製法では、貼り付け前の被覆フィルム12を、上記製法1や製法3よりもさらに成形後の形状に合わせた形状にしておくことになる。それゆえ、この製法は、延伸性の悪い生分解性プラスチックを主成分とする被覆フィルム12を用いる場合、特に、延伸性の悪い被覆フィルム12で上記コップ型容器10cのような深絞り形状の生分解性成形物を成形する場合、さらには、貼り付け後の被覆フィルム12の厚みを任意に調整したい場合などに有効に用いることができる。

0232

本製法4を具体的に説明すると、図15に示すように、図10(a)・(b)に示した金型20dにおいて、下方の型片23d・24dのキャビティーの形状に沿って、コップ型容器10cの底部に対応するフィルム片12dと、側面に対応するフィルム片12dとを配置する。このとき、上記重複部12eを十分確実に重複させておく。

0233

そして、略コップ型となったフィルム片12dに対してさらに成形用原料14を供給する。一方、上方の型片21dの形状に合わせて、コップ型容器10cの底部に対応するフィルム片12dと、側面に対応するフィルム片12dとを配置し、このフィルム片12dとともに上方の型片21dを下方の型片23d・24dに合わせる。もちろんこれら型片21d・23d・24dは被覆フィルム12の主成分である生分解性プラスチックの融点未満の温度まで加熱されている。

0234

その後、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この加熱・加圧成形時には、フィルム片12dにおける重複部12eが上記のように溶着することで、発泡成形物(容器本体11c)表面に対して隙間のない被覆フィルム12の層が形成される。その結果、上記1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としてのコップ型容器10c(図4参照)を得ることができる。

0235

<製法5>製法5では、製法4において、フィルム片12cを重複部12eで貼り合わせて、成形前の時点ですでに生分解性成形物の外形にほぼ合致するようにしておく。この製法も、製法4と同様に、図4に示すコップ型容器10cなどのように、絞りの程度が深い形状や、より複雑な形状の生分解性成形物を成形する用途に好ましく用いることができる。

0236

この製法は、基本的に製法4と同様であるが、予め重複部12d・12dを溶着するなどして確実に貼り合わせて外形型フィルムを形成しておく。そのため、一括成形時において、上記製法4において重複部12d・12dの溶着が困難な被覆フィルム12を用いるような場合に有効な方法となる。

0237

本製法5を具体的に説明すると、図16に示すように、図10(a)・(b)に示した金型20dにおいて、上下の型片21d・23d・24dの間に略コップ形状に予め貼り合わせられた外形型フィルム12fを二枚重ねて配置し、さらにこれら外形型フィルム12f・12f間に成形用原料を供給する。この状態では、金型20bは、外形型フィルム12f(被覆フィルム12)の主成分である生分解性プラスチックの融点未満の温度まで加熱されている。その後、上下の型片21c・23d・24dを合わせて、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としてのコップ型容器10c(図4参照)を得ることができる。

0238

<製法6>製法6では、上記製法5においてさらに製法2の方法を組み合わせたものである。すなわち、フィルム片12cを重複部12dで貼り合わせて、成形前の時点ですでに生分解性成形物の外形にほぼ合致するようにしておいた上、これらを重ね合わせて略袋状の形状に加工して、内部に成形用原料を分注しておく。この製法も、製法4や製法5と同様に、図4に示すコップ型容器10cなどのように、絞りの程度が深い形状や、より複雑な形状の生分解性成形物を成形する用途に好ましく用いることができる。

0239

この製法でも、製法2や製法3と同様に、被覆フィルム12を包袋フィルムとした上で内部に成形用原料を収容してなる成形用組成物を準備することになるので、該成形用組成物を一定期間保存することが可能になるとともに、該成形用組成物を成形型に一括して投入するだけで成形の準備が整うことになる。したがって、製造工程をより一層簡素化することができる。

0240

本製法6を具体的に説明すると、図17に示すように、被覆フィルム12をコップ型容器10cの外形に合わせてフィルム片とした上で、これを貼り合わせて外形型フィルムとし、さらにこれを2枚貼り合わせて予め袋状の外形包袋フィルム12gに加工する。そして、この外形包袋フィルム12g中に所定量の成形用原料14を分注して成形用組成物40gを準備する。この成形用組成物40gは所定のストッカーなどに保存しておけばよい。その後、図8(a)・(b)に示した金型20dにおいて、下方の型片23d・24dの上にストッカーから出してきた略コップ形状の成形用組成物40gを載置する。これだけで成形準備が整ったことになる。

0241

この状態では、上記金型20dは、被覆フィルム12(外形包袋フィルム12g)の主成分である生分解性プラスチックの融点未満の温度まで加熱されている。その後、上下の型片21d・23d・24dを合わせて、上述した外部加熱または内部加熱を用いて加熱および加圧成形する。この1工程によって、本発明にかかる生分解性成形物としてのコップ型容器10c(図4参照)を得ることができる。

0242

本発明で製造された深絞り形状の生分解性成形物は、たとえば、包装用緩衝材、ゲス、包装用トレイなどの包装用成形物、カップめん・カップうどん・カップ焼きそばなどインスタント食品の容器、外食サービスに用いられる1ウェイ方式の皿またはトレイ、あるいはスープジュースなどの容器などといった食品用容器として好適に用いることができる。また、本発明で製造された浅絞り形状の生分解性成形物は、包装用緩衝材、ゲス、包装用トレイなどの包装用成形物、外食サービスに用いられる1ウェイ方式の皿またはトレイなどといった食品用容器として好適に用いることができる。

0243

特に、本発明で製造された生分解性成形物は、耐水性があることから、水分の多い食品の容器として好適に用いることができるとともに、ガスバリア性なども有することから、カップめんなど一定期間の保存を可能とするようなインスタント食品の容器としても好適に用いることができる。特に、本発明で製造された生分解性成形物は、耐熱水性が高いことから、使用時に熱湯が注がれる、カップめん・カップうどんなどのインスタント食品の容器として好適に用いることができる。

0244

次に、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0245

〔成形用原料〕まず、主原料である各種デンプン(誘導体も含む)、各種添加剤、水を表1に示す組成となるようにミキサーで均一に混合し、スラリー状の成形用原料(1)〜(3)および(7)と、ドウ状の成形用原料(4)〜(6)および(8)とを調製した。

0246

0247

〔被覆フィルム〕被覆フィルムとして、表2に示す5種類の被覆フィルムF1、F2、F3、F4、F5を準備した。

0248

0249

なお、表2に示す変性ポリエステルからなる被覆フィルムF3〜F5は、テレフタル酸、スルホン酸金属塩(5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等)、脂肪族ジカルボン酸グルタル酸等)、エチレングリコール、およびジエチレングリコールから成る繰り返し単位を具え、酸成分中、テレフタル酸が約50モル%〜約90モル%、スルホン酸金属塩が約0.2モル%〜約6モル%、および脂肪族ジカルボン酸が約4モル%〜約49.8モル%であり、グリコール成分中、エチレングリコールが約50モル%〜約99.9モル%、およびジエチレングリコールが約0.1モル%〜約50モル%である芳香族ポリエステル共重合体のフィルムを2軸延伸した芳香族ポリエステル延伸フィルムである。

0250

〔実施例1〕成形用原料14としての表1に示す8種類の成形用原料(1)〜(8)と、被覆フィルム12としての表2に示す2種類の被覆フィルムF3・F5との全ての組み合わせ(計16種類)について、図6を用いて説明した製造方法にて丸皿型容器10bを製造した。

0251

すなわち、図6に示す排気孔31bおよび排気孔32bを持つ金型20bであり、かつ、キャビティー25bの厚み(丸皿型容器10bの肉厚に対応する)が2.5mmで均一なものを用い、1対の被覆フィルム12間に成形用原料14を挟持して金型20b内に配置した。その後、凸型片21bと凹型片22bとを勘合させることによって型締めを行い、金型20b中で成形用原料14および被覆フィルム12を加熱成形することにより、成形用原料14を水蒸気発泡成形して容器本体11aを得ると同時に、被覆フィルム12を軟化させて容器本体11bの表面に圧着した。そして、加熱成形中に、金型20bの内圧によって被覆フィルム14と金型20b表面との間に介在する空気を、排気孔31bおよび排気孔32bを通して金型20bの外部に排出させた。

0252

また、加熱手法としては、電熱ヒーターを用いて金型20bを加熱する外部加熱と、高周波誘電加熱による内部加熱とを併用した。また、被覆フィルムF3を用いた場合には、加熱成形時の金型20bの温度を130℃に設定し、被覆フィルムF5を用いた場合には、加熱成形時の金型20bの温度を160℃に設定した。

0253

〔比較例1〕金型20bにおける排気孔31bおよび排気孔32bを無くした金型、すなわち加熱成形時に内部が密閉状態となる金型を金型20bに代えて用いる以外は、実施例1と同様にして、比較用の丸皿型容器を製造した。

0254

排気孔31b・32bを持つ金型20aを用いた実施例1と、排気孔31b・32bを持たない金型を用いた比較例1とについて、丸皿型容器の成形性を比較した。具体的には、実施例1で得られた丸皿型容器10bと、比較例1で得られた比較用の丸皿型容器とについて、(1)平面部分(底部10baやフランジ部10bc)における凹凸の有無、(2)フランジコーナー部(フランジ部10bcと曲面部10baとの境界の角部分)のエッジシャープさ、(3)底部10baの中心の肉厚A、フランジ部10bcの肉厚B、およびフランジコーナー部の肉厚C(断面厚)の測定値、の各項目について検査を行った。

0255

その結果、成形用原料14や被覆フィルム12の種類に関係なく、以下の結果が得られた。

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