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技術 金属材の耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 梶山浩志水野大輔竹村誠洋鹿毛勇藤田栄
出願日 2002年8月16日 (18年4ヶ月経過) 出願番号 2002-237329
公開日 2003年11月19日 (17年1ヶ月経過) 公開番号 2003-329573
状態 拒絶査定
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査 金属の防食及び鉱皮の抑制
主要キーワード 製品条 露点範囲 試験負荷 寿命設計 離岸距離 付着塩分量 平均相対湿度 基準材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年11月19日)のものです。
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図面 (20)

課題

実環境を模擬した金属材耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法を提供する。

解決手段

(A)の工程と(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。但し、(A)金属材の表面に塩化物イオンを含む塩分を付着させる工程、(B)金属材に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクルとし、このサイクルを1乃至複数回行う工程である。前記(A)の工程の時間は10分以内である。

概要

背景

例えば表面処理鋼材は、OA機器複写機パソコン等)、AV機器テレビビデオ等)、冷蔵庫洗濯機等の家電製品に大量に使用されている。表面処理鋼材の種類としては、電気亜鉛めっき鋼材溶融亜鉛めっき鋼材化成処理鋼材塗装鋼材等がある。中でも、化成処理鋼材としてはクロメ−ト処理材が多く使われている。

近年、クロメート処理材皮膜中に含有する6価クロム人体の健康に影響を及ぼす疑いがあるという理由からクロムフリー表面処理鋼材も検討され、既に実用化されている。今後、クロメート材からクロムフリー材への代替が増大すると予想される。

一方、家電製品の市場国際化により、特に高温多湿な東アジアなどを想定した製品設計が必要になると予想される。また、日本の家電業界各社は、環境保全・省資源の観点から、「グリーン調達制度」を制定して、家電製品のリサイクル部品リユース推進を図っており、製品や部品の使用期間が延長されるようになることから、製品の寿命設計がさらに重要になる。

以上のように、クロムフリー材等の新しい材料の使用拡大、市場の国際化、リユースなどにより使用期間の延長が図られている。

暴露試験に基いて表面処理鋼材の製品設計をすることも行われているが、長期暴露試験は長時間を要するという問題があり、家電製品によっては10年以上の時間を要する。更に、家電製品の使用される環境では、一般に腐食速度が小さいため定量的なデータが少ない。特に、クロムフリー材等の新しい材料では使用実績が短く、長期耐食データがないという問題点もある。そのため、家電製品等の製品設計を行う上で、家電製品に使用される表面処理鋼材の寿命短期間で予測できる耐食性評価方法重要性増している。

概要

実環境を模擬した金属材の耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法を提供する。

(A)の工程と(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。但し、(A)金属材の表面に塩化物イオンを含む塩分を付着させる工程、(B)金属材に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクルとし、このサイクルを1乃至複数回行う工程である。前記(A)の工程の時間は10分以内である。

目的

本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、実環境を模擬した金属材の耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
6件

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請求項1

下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして耐食性を評価することを特徴とする金属材耐食性評価方法。(A)金属材の表面に塩化物イオンを含む塩分を付着させる工程。(B)金属材に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクルとし、このサイクルを1乃至複数回行う工程。

請求項2

前記(A)の工程の時間は10分以内であることを特徴とする請求項1に記載の金属材の耐食性評価方法。

請求項3

前記(B)の工程は、乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属材の耐食性評価方法。

請求項4

前記(B)の工程は、乾燥工程時間≧湿潤工程時間、湿潤工程時間は8時間以内、且つ湿潤工程の相対湿度は80〜96%の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の金属材の耐食性評価方法。

請求項5

前記(A)の工程で金属材の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定し、前記で設定した各水準毎に請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項6

前記(B)の工程の乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2種類以上設定し、前記で設定した前記各組み合わせ種類毎に請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項7

下記(C)で設定された各水準と下記(D)で設定された各組み合わせ種類を組み合わせた条件毎に又は前記で組み合わせた条件のうちから選んだ複数の条件で、請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。(C)前記(A)の工程で金属材の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定すること。(D)前記(B)の工程の乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2種類以上設定すること。

請求項8

請求項6又は7において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程と湿潤工程の露点条件を2水準以上設定することであることを特徴と金属材の耐食性評価方法。

請求項9

請求項6又は7において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定することであることを特徴と金属材の耐食性評価方法。

請求項10

請求項6又は7において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、下記(E)と下記(F)を組み合わせてなるものであることを特徴とする金属材の耐食性評価方法。(E)乾燥工程と湿潤工程の露点条件を2水準以上設定するもの。(F)乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定するもの。

請求項11

請求項9又は10において、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比(乾燥工程時間/湿潤工程時間)を2水準以上設定するものであることを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項12

請求項5又は7に記載の方法で評価した耐食性に基づき、請求項5又は7で設定した塩化物イオンを含む塩分の付着量範囲を少ない側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項13

請求項8又は10に記載の方法で評価した耐食性に基づき、請求項8又は10で設定した露点範囲低温側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項14

請求項6、9〜11のいずれかの項に記載の方法で評価した耐食性に基づき、請求項6、9〜11のいずれかの項で設定した乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比(乾燥工程時間/湿潤工程時間)の範囲を小さい側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

請求項15

製品対象となる実構造物または実構造物を模擬した構造物(以下、実構造物等)の所定の1または複数の位置における環境計測を行う第1の工程と、前記環境計測の計測値に基づいて、前記塩化物イオンを含む塩分の量、前記乾燥工程と湿潤工程における温度条件湿度条件、及び、露点を決定する第2の工程と、前記第2の工程で決定した条件に基づいて、請求項1〜14のいずれかの項に記載の金属材の耐食性評価方法により腐食促進試験を行い、前記実構造物等の前記1または複数の位置における金属材の耐食性を評価する第3の工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法

請求項16

基準材の耐食性と環境データ対応関係に基づいてグループ化されたデータベースを備え、製品対象となる実構造物等の1または複数の位置における使用環境を測定する第1の工程と、前記実構造物等の使用環境が前記データベースのどのグループに属するかを求めて、そのグループに基づいて決定した請求項1〜14のいずれかの項に記載の耐食性評価方法により腐食促進試験を行う第2の工程と、前記腐食促進試験の結果に基づき前記実構造物等の前記1または複数の位置における金属材の耐食性を評価する第3の工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

請求項17

製品対象となる実構造物等の使用環境に対応した条件で金属材の初期腐食量を求める工程と、請求項15の第2の工程または請求項16の第2の工程で決定した金属材の耐食性評価方法により金属材の腐食促進試験を行う工程と、前記金属材の初期腐食量及び前記腐食促進試験の結果に基づいて、前記金属材の腐食量の経年変化を求める工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

請求項18

金属材の腐食促進試験の評価結果と、前記金属材の既知の腐食量の経年変化とに基づいて前記腐食促進試験の試験条件を評価することを特徴とする請求項15〜17のいずれかの項に記載の金属材の腐食寿命予測方法。

請求項19

請求項15〜18のいずれかの項に記載の方法で予測された金属材の腐食量の経時変化に基づいて耐食寿命を求めることを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

請求項20

請求項15〜19のいずれかに記載の金属材の寿命予測方法により寿命が予測された金属であって、実機等の各部位の腐食の進行を予測した際のデータが添付されることを特徴とする金属材。

請求項21

前記データ又はそれを示す記号が金属材に付記されてなることを特徴とする請求項20に記載の金属材。

請求項22

前記データ又はそれに関連するデータが電子情報として納入先送付されることを特徴とする請求項20又は21に記載の金属材。

請求項23

請求項15〜19のいずれかの項に記載の金属材の寿命予測方法により腐食の進行が予測された1以上の金属材から選択し、又は、前記1以上の金属材における腐食進行の予測結果に基づいて腐食進行の予測をしなかった金属材から選択し若しくは新たな金属材を設計することにより、製品対象となる実構造物に適用するために金属材を選定することを特徴とする金属材の設計方法

請求項24

請求項23に記載の金属材の設計方法により設計された金属材を製造することを特徴とする金属材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、各種製品構造物等に使用される金属材耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法に関する。

背景技術

0002

例えば表面処理鋼材は、OA機器複写機パソコン等)、AV機器テレビビデオ等)、冷蔵庫洗濯機等の家電製品に大量に使用されている。表面処理鋼材の種類としては、電気亜鉛めっき鋼材溶融亜鉛めっき鋼材化成処理鋼材塗装鋼材等がある。中でも、化成処理鋼材としてはクロメ−ト処理材が多く使われている。

0003

近年、クロメート処理材皮膜中に含有する6価クロム人体の健康に影響を及ぼす疑いがあるという理由からクロムフリー表面処理鋼材も検討され、既に実用化されている。今後、クロメート材からクロムフリー材への代替が増大すると予想される。

0004

一方、家電製品の市場国際化により、特に高温多湿な東アジアなどを想定した製品設計が必要になると予想される。また、日本の家電業界各社は、環境保全・省資源の観点から、「グリーン調達制度」を制定して、家電製品のリサイクル部品リユース推進を図っており、製品や部品の使用期間が延長されるようになることから、製品の寿命設計がさらに重要になる。

0005

以上のように、クロムフリー材等の新しい材料の使用拡大、市場の国際化、リユースなどにより使用期間の延長が図られている。

0006

暴露試験に基いて表面処理鋼材の製品設計をすることも行われているが、長期暴露試験は長時間を要するという問題があり、家電製品によっては10年以上の時間を要する。更に、家電製品の使用される環境では、一般に腐食速度が小さいため定量的なデータが少ない。特に、クロムフリー材等の新しい材料では使用実績が短く、長期耐食データがないという問題点もある。そのため、家電製品等の製品設計を行う上で、家電製品に使用される表面処理鋼材の寿命短期間で予測できる耐食性評価方法の重要性増している。

発明が解決しようとする課題

0007

従来の家電製品向けの表面処理鋼材の耐食性評価方法としては、塩水噴霧試験等の腐食促進試験と、家電製品の実際の使用環境における長期暴露試験が行われてきた。しかしながら、長期暴露試験には前記問題点があり、塩水噴霧試験は家電製品の使用されている実際の腐食環境との相関が低いと考えられ、長期寿命との相関も不明である。

0008

また、塩水噴霧・乾燥・湿潤等を組み合わせた複合サイクル試験が数多く開発されてきた。しかし、従来の複合サイクル試験も実環境を適切に再現しておらず、実際の腐食環境を適切に再現した腐食促進試験法がない。更に、腐食促進試験法の種類によって材料の耐食性序列逆転する場合もあった。これは、材料によって耐環境性違うため、例えば塩分の多い環境では耐食性を示すが塩分の少ない環境では耐食性が劣る材料、逆に塩分の多い環境では耐食性を示さないが塩分の少ない環境では耐食性を示す材料があるためである。

0009

家電製品の使用環境も多種多様であり、塩分量の多い屋外環境、温度の高い屋外環境、湿度の高い屋内環境、塩分量が小さく湿度が低い屋内環境などが挙げられる。これらの使用環境に対して塩水噴霧試験等の1種類の腐食促進試験により評価することは、耐食性が不足する場合や過剰品質になる場合もあった。

0010

前記問題点を改善する複合サイクル試験方法が提案されている。
(1)特開平10−253524号公報では、試験片に塩水を付着させた後に、実際の腐食環境を模擬して試験片に連続的な温度変化を与え乾燥と湿潤を繰り返す促進試験方法が提案されている。本試験方法によれば、対象となる環境を再現できるかもしれないが、指定された環境毎に試験サイクルを組まなければならず、汎用性に欠ける。また、サイクルが複雑で、条件設定に時間がかかるという問題があった。

0011

(2)特開昭56−79237号公報では、試験片の表面に水溶性塩類および固形粒子を付着させ、水溶性塩分の成分と付着量を変化させることにより腐食環境条件の影響を制御する耐食性試験法が提案されている。しかし、塩分量の多い厳しい腐食環境(例えば、NaCl付着量:1、5、10mg/cm2)のみで試験を実施しており、実環境に近いマイルドな腐食環境における評価や腐食量または腐食寿命を予測することは記載されていない。

0012

本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、実環境を模擬した金属材の耐食性評価方法、金属材の腐食寿命予測方法、金属材、金属材の設計方法及び金属材の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決する本発明の手段は次のとおりである。
(1)下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。(A)金属材の表面に塩化物イオンを含む塩分を付着させる工程。
(B)金属材に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクルとし、このサイクルを1乃至複数回行う工程。

0014

(2)前記(A)の工程の時間は10分以内であることを特徴とする前記(1)に記載の金属材の耐食性評価方法。

0015

(3)前記(B)の工程は、乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定されることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の金属材の耐食性評価方法。

0016

(4)前記(B)の工程は、乾燥工程時間≧湿潤工程時間、湿潤工程時間は8時間以内、且つ湿潤工程の相対湿度は80〜96%の範囲内に設定されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの項に記載の金属材の耐食性評価方法。

0017

(5)前記(A)の工程で金属材の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定し、前記で設定した各水準毎に前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0018

(6)前記(B)の工程の乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2種類以上設定し、前記で設定した前記各組み合わせ種類毎に前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0019

(7)下記(C)で設定された各水準と下記(D)で設定された各組み合わせ種類を組み合わせた条件毎に、又は前記で組み合わせた条件のうちから選んだ複数の条件で、前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の方法で金属材の耐食性を評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。
(C)前記(A)の工程で金属材の表面に付着させる塩化物イオンを含む塩分の付着量を2水準以上設定すること。
(D)前記(B)の工程の乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2種類以上設定すること。

0020

(8)前記(6)又は(7)において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程と湿潤工程の露点条件を2水準以上設定することであることを特徴と金属材の耐食性評価方法。

0021

(9)前記(6)又は(7)において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定することであることを特徴と金属材の耐食性評価方法。

0022

(10)前記(6)又は(7)において、乾燥工程の条件と湿潤工程の条件の組み合わせを2水準以上設定するのは、下記(E)と下記(F)を組み合わせてなるものであることを特徴とする金属材の耐食性評価方法。
(E)乾燥工程と湿潤工程の露点条件を2水準以上設定するもの。
(F)乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定するもの。

0023

(11)前記(9)又は(10)において、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の組み合わせを2水準以上設定するのは、乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比(乾燥工程時間/湿潤工程時間)を2水準以上設定するものであることを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0024

(12)前記(5)又は(7)に記載の方法で評価した耐食性に基づき、前記(5)又は(7)で設定した塩化物イオンを含む塩分の付着量範囲を少ない側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0025

(13)前記(8)又は(10)に記載の方法で評価した耐食性に基づき、前記(8)又は(10)で設定した露点範囲低温側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0026

(14)前記(6)、(9)〜(11)のいずれかの項に記載の方法で評価した耐食性に基づき、前記(6)、(9)〜(11)のいずれかの項で設定した乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比(乾燥工程時間/湿潤工程時間)の範囲を小さい側に外れる領域における耐食性を外挿して評価することを特徴とする金属材の耐食性評価方法。

0027

(15)製品対象となる実構造物または実構造物を模擬した構造物(以下、実構造物等)の所定の1または複数の位置における環境計測を行う第1の工程と、前記環境計測の計測値に基づいて、前記塩化物イオンを含む塩分の量、前記乾燥工程と湿潤工程における温度条件湿度条件、及び、露点を決定する第2の工程と、前記第2の工程で決定した条件に基づいて、前記(1)〜(14)のいずれかの項に記載の金属材の耐食性評価方法により腐食促進試験を行い、前記実構造物等の前記1または複数の位置における金属材の耐食性を評価する第3の工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

0028

(16)基準材の耐食性と環境データ対応関係に基づいてグループ化されたデータベースを備え、製品対象となる実構造物等の1または複数の位置における使用環境を測定する第1の工程と、前記実構造物等の使用環境が前記データベースのどのグループに属するかを求めて、そのグループに基づいて決定した前記(1)〜(14)のいずれかの項に記載の耐食性評価方法により腐食促進試験を行う第2の工程と、前記腐食促進試験の結果に基づき前記実構造物等の前記1または複数の位置における金属材の耐食性を評価する第3の工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

0029

(17)製品対象となる実構造物等の使用環境に対応した条件で金属材の初期腐食量を求める工程と、前記(15)の第2の工程または前記(16)の第2の工程で決定した金属材の耐食性評価方法により金属材の腐食促進試験を行う工程と、前記金属材の初期腐食量及び前記腐食促進試験の結果に基づいて、前記金属材の腐食量の経年変化を求める工程と、を有することを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

0030

(18)金属材の腐食促進試験の評価結果と、前記金属材の既知の腐食量の経年変化とに基づいて前記腐食促進試験の試験条件を評価することを特徴とする前記(15)〜(17)のいずれかの項に記載の金属材の腐食寿命予測方法。

0031

(19)前記(15)〜(18)のいずれかの項に記載の方法で予測された金属材の腐食量の経時変化に基づいて耐食寿命を求めることを特徴とする金属材の腐食寿命予測方法。

0032

(20)前記(15)〜(19)のいずれかに記載の金属材の寿命予測方法により寿命が予測された金属であって、実機等の各部位の腐食の進行を予測した際のデータが添付されることを特徴とする金属材。

0033

(21)前記データ又はそれを示す記号が金属材に付記されてなることを特徴とする前記(20)に記載の金属材。

0034

(22)前記データ又はそれに関連するデータが電子情報として納入先送付されることを特徴とする前記(20)又は(21)に記載の金属材。

0035

(23)前記(15)〜(19)のいずれかの項に記載の金属材の寿命予測方法により腐食の進行が予測された1以上の金属材から選択し、又は、前記1以上の金属材における腐食進行の予測結果に基づいて腐食進行の予測をしなかった金属材から選択し若しくは新たな金属材を設計することにより、製品対象となる実構造物に適用するために金属材を選定することを特徴とする金属材の設計方法。

0036

(24)前記(23)に記載の金属材の設計方法により設計された金属材を製造することを特徴とする金属材の製造方法。

発明を実施するための最良の形態

0037

以下、本発明について詳述する。
(実施形態1)本発明に係る金属材の耐食性評価方法について、図1を参照して説明する。図1は、本発明法耐食性評価を行うための腐食促進試験の工程を説明する図である。図1に示される腐食促進試験は、実際の環境を模擬するために、種々の環境因子を組み合わせた、下記(A)の工程と下記(B)の工程とからなる工程を1乃至複数回繰り返えして行う。
(A)金属材の表面に塩化物イオンを含む塩を付着させる工程。
(B)金属材に温度と相対湿度をステップ状に変化させて設定した乾燥工程と湿潤工程を行うことを1サイクル(単位サイクル)とし、このサイクルを1乃至複数回行う工程。

0038

(A)の工程の塩分付着方法は特に限定されず、塩水浸漬、塩水噴霧、塩水滴下等の方法を用い、使用する溶液塩分濃度を変化させればよい。使用する塩水としては、海塩または人工海塩塩化ナトリウム塩化マグネシウム塩化カルシウム、塩化ナトリウム−塩化マグネシウム混合物、塩化ナトリウム−塩化カルシウム混合物、岩塩等の溶液を用いることができる。

0039

(A)の工程の塩分付着方法において、塩水浸漬等により試験片を塩水に接触させる時間は10分以内であることが好ましい。10分を越えて試験片を塩水に接触させると塩水溶液による試験片の腐食が進行することがあり、実際の腐食環境における腐食との相関が低くなるおそれがあるためである。

0040

(B)の乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程は、実際の環境における昼夜の温度差による夜間の結露現象を模擬しているため、露点温度一定条件であることが望ましい。乾燥工程と湿潤工程は、例えば、図9中、条件1、条件2で示されるような露点温度一定条件とすることが望ましい。なお、図9中に示される曲線は露点温度が一定となる温度(℃)−相対湿度(%)の関係曲線である。ここで、露点温度とは空気中の水蒸気の圧力が飽和蒸気圧に等しくなる温度である。

0041

変化させる試験条件としては、(A)の塩分付着工程の塩分濃度、付着回数、時間、温度、(B)の工程の乾燥工程の温度、湿度、時間、及び湿潤工程の温度、湿度、時間の内、一つまたは複数である。これらの環境因子のうちの支配的環境因子を含む試験条件は少なくとも2水準以上の条件で行う。支配的環境因子とは、環境因子のレベルが材料の耐食性(腐食量や腐食寿命)に影響を及ぼすような環境因子のことである。支配的環境因子の決定方法については後記する。

0042

例えば、支配的環境因子が付着塩分である場合、(A)の工程の付着塩分量は少なくとも2水準以上の条件で行う。支配的環境因子が温度である場合、(B)の工程の乾燥工程の温度と湿潤工程の温度を少なくとも2水準以上の条件で行う。支配的環境因子が湿潤工程の割合(湿潤率)である場合、(B)の工程の乾燥時間と湿潤時間を少なくとも2水準以上の条件で行う。

0043

支配的環境因子が付着塩分と温度である場合、(A)の工程の付着塩分量は少なくとも2水準以上条件を変え、(B)の工程の乾燥工程の温度と湿潤工程の温度も少なくとも2水準以上条件を変え、両方の条件を変えた組み合わせ条件で行えばよい。前記で得られる組み合わせ条件毎に行ってもよく、試験負荷を低減する観点から前記で組み合わされた条件のうちから選ばれた複数の条件で行ってもよい。

0044

支配的環境因子が付着塩分と湿潤工程の割合(湿潤率)である場合、(A)の工程の付着塩分量は少なくとも2水準以上条件を変え、(B)の工程の乾燥時間と湿潤時間を少なくとも2水準以上条件を変え、両方の条件を変えた組み合わせ条件で行えばよい。

0045

乾燥工程、湿潤工程は、互いに異なる温度、相対湿度に設定される。乾燥工程から湿潤工程へ移行(又は逆方向に移行)すると、温度と相対湿度がステップ状に設定変更される。乾燥工程から湿潤工程までの移行時間、湿潤工程から乾燥工程までの移行時間をあらかじめ設定してもよい。これは、移行時間を設定しない場合、試験装置によって乾燥工程から湿潤工程までの移行時間や、湿潤工程から乾燥工程までの移行時間に差が生じ、試験結果のばらつきが生じることがあるためである。

0046

(A)の工程で付着された塩分が(B)の工程で金属材の表面からすぐに流出してしまうことを防止する観点から、(B)の工程は、先ず乾燥工程を行うことが好ましい。また、(A)の工程で付着させた塩分を乾燥させた後、(B)の工程を行ってもよい。

0047

乾燥工程と湿潤工程は、露点温度一定条件とすることが望ましいが、これは、乾燥工程と湿潤工程の露点変動が±5℃以内に設定されることを意味している。

0048

実構造物が使用される腐食環境の温度、湿度は、その平均値が環境データとして用いられるが、平均値に変えて複数の温度、湿度を採用することが有利な場合がある。このような場合、乾燥工程と湿潤工程の条件の組み合わせを変えた複数の条件を設定してもよい。例えば、乾燥工程と湿潤工程の露点条件を変えることができ、乾燥工程と湿潤工程の時間の組み合わせを変えることもできる。

0049

乾燥工程と湿潤工程の条件について、対象となる実環境が屋外の場合、乾燥時間≧湿潤時間であり、湿潤時間は8時間以内であることが好ましい。これは、屋外の環境や屋内の乾燥した環境を想定した場合、湿潤時間が長くなると鋼材の腐食形態(特に塗装鋼材の糸さび発生など)が実際の腐食環境と合わなくなるためである。また、湿潤工程の相対湿度は80〜96%の範囲内であることが好ましい。これは、湿潤工程の相対湿度が80%未満であると湿潤の影響が不十分となり評価に時間がかかり、相対湿度が96%を超えると結露によって生成した水膜厚さが厚くなりすぎて付着塩分が流されやすくなるためである。

0050

また、環境因子に関し、日光照射量、イオウ酸化物の影響を考慮する必要がある場合は、前記腐食促進試験の過程で、紫外線照射工程、雰囲気にイオウ酸化物(SOx)供給工程を付加することもできる。

0051

(実施形態2)材料の耐食性に及ぼす環境因子の影響は材料の種類によって様々であることから、環境因子を変化させて腐食促進試験を行うことにより、材料の耐食性の特性を調べることが望ましい。図2は支配的環境因子として付着塩分量を例に取り、腐食促進試験の或る試験期間における付着塩分量と腐食量の関係を示した特性図である。ここで腐食量とは、塗膜膨れ幅(又は、単に、膨れ幅)や亜鉛めっきや下地鋼材の腐食量などを示す。

0052

材料A、B、Cの付着塩分量と腐食量との関係の直線の傾きは異なり、付着塩分量a、b、cにおいて材料A、B、Cの腐食量の序列が入れ替わっている。このように、ひとつの試験条件で腐食促進試験を行うことは耐食性評価の判断を間違う可能性があり、環境因子を変化させて腐食促進試験を行うことにより、材料の耐食性の特性を調べることができる。

0053

一方、実際の腐食環境における環境因子は、従来の腐食促進試験法に比べてマイルドである。例えば、実際の腐食環境における付着塩分量は腐食促進試験における付着塩分量に比べて少ない場合が多い。そこで、付着塩分量の少ない腐食促進試験を行うことが好ましいが、腐食速度が小さく評価に時間がかかるという問題がある。そこで、付着塩分量の多い条件を含む少なくとも2水準以上の付着塩分量を設定し腐食促進試験を行い、付着塩分量の小さい環境の腐食量を外挿して予測することができる。

0054

図3は、或る材料について3水準の付着塩分量a、b、cを設定して腐食促進試験を行ったときの腐食量の経時変化を示した模式図である。図4は、図3の試験期間t1、t2、t3、t4における付着塩分量と腐食量の関係を示した模式図である。付着塩分量a、b、cにおける各試験期間の腐食量を外挿して付着塩分量dの腐食量を予測した。

0055

図5は、図4の結果に基づいて予測した付着塩分量dにおける腐食量の経時変化を示した模式図である。

0056

同様に、図6は、支配的環境因子として付着塩分量を例に取り、付着塩分量と腐食寿命の関係を示した特性図である。腐食寿命の場合も腐食量と同様に外挿することができる。ここで、腐食寿命とは外観の変化(さび発生時間等)や図3の腐食量の経時変化において腐食量のしきい値に達する時間(例えば塗膜の膨れ幅が5mmに達する時間等)を表す。

0057

(実施形態3)図7は本発明の実施形態3に係る金属材の耐食性評価方法、金属材の設計方法及び金属材の製造方法の処理過程を示したフローチャートである。以下、本フローシートに基づき、表面処理鋼材を例に挙げて説明する。

0058

(ST1)最初の段階では製品条件が提示される。この製品条件としては、腐食環境や要求性能などがある。腐食環境とは製品の使用される環境のことであり、使用される地域、使用される場所、製品の中の部位などが挙げられる。要求性能としては、外観品質製品寿命(機能寿命、構造寿命等)などが挙げられる。本実施形態3においては、表面処理鋼材の塗膜の膨れ幅を耐食性の評価基準にしている。

0059

(ST2)次の段階では、製品条件を満たす材料を選択する処理に移行する。具体的には、特定の腐食環境を対象として使用される鋼材の耐食性を評価し、環境因子と耐食性の関係を求める。この耐食性評価の処理は次の(S21)乃至(S24)の各工程の処理によって行われる。

0060

(S21)製品における鋼材の耐食性データの整理を行う工程。この工程においては、製品の使用年数(経過時間)と腐食量との関係を整理するとともに、当該製品の表面処理鋼材が使用されている腐食環境の平均温度(以下、温度という)、平均湿度(以下、湿度という)、飛来塩分量、付着塩分量、日照量、イオウ酸化物、降水量、結露時間、等の環境因子から適宜選択し、各環境因子のデータを環境データとして、合わせて整理する。また、耐食性データには、膨れ幅、外観変化(白さび発生時間、赤さび発生時間等)、白錆発生面積、赤さび発生面積腐食減量、腐食深さ等があるが、本実施形態3においては膨れ幅の例について説明する。なお、表面処理鋼材の塗膜の膨れ幅とは、鋼材が腐食するのにともなって切断端部から塗膜が膨れ上がったときに、その膨れ上がった塗膜部分の端部からの幅を示すものとする(後述の図23参照)。

0061

図8(A)乃至(C)は、或る地域a乃至cにおける塗装鋼材の或る使用年数(経過時間)における腐食量を示した図であり、この図には付着塩分量、温度、湿度等のデータがそれぞれ添付されている。そして、図8のデータを含めて多数の地域のデータがデータベースに格納されているものとする。また、その地域は例えば、屋外(沿岸部、山間部、都市部等)、屋内等に分類されているものとする。

0062

製品における鋼材の耐食性データの整理に際しては、ある程度、調査する地域や場所を類似する環境の地域や場所に区分するのが好ましい。類似する環境とは気温や気温の変化が似かよった地域や場所、湿度や湿度の変化が似かよった地域や場所等を言う。国内の屋外を例にとれば北海道、縄南西諸島、太平洋沿岸等の区分である。このように区分すれば後述の処理(S22)を精度よく行うことができる。

0063

なお、後述の処理(S22)に対応するデータが不足している場合には、経年膨れ幅の予測を行う。例えば後述の処理において使用年数(経過年数)が5年目のデータを利用する場合に、3年目と6年目のデータしかない場合には、これらのデータを参考に、欠落している5年目のデータを補完してもよい。

0064

(S22)環境因子を分類・定量化して支配的環境因子を決定する工程。この工程においては、上述のデータベースから温度、湿度、付着塩分量等の環境データを収集して、環境因子を腐食量に対してプロットして後述の演算処理をすることにより、両者の決定係数を求めて、その決定係数が相対的に大きいものが、腐食速度を支配している支配的環境因子であると決定する。

0065

この支配的環境因子の決定方法を具体的に説明する。図8(A)乃至(C)に示されるようなデータベースのデータの内、製品条件から利用するデータを絞り込む。例えば、製品の設置場所が沿岸部であれば、利用するデータをデータベースのデータの内、沿岸部の地域のデータに絞り込む。そして、環境因子(独立変数)X、腐食量(従属変数)Yについてそれぞれの対数を取って、線形モデルに変換して回帰分析を行う。更に、(1)式の決定係数R2を次の(2)式により求める。
logY=a+blogX …(1)

0066

0067

上記の(1)式の定数a、bを求めるに際しては、環境因子である付着塩分量、温度、湿度等のそれぞれについて求める。図8(A)乃至(C)の例では、例えば地域a乃至cの或る年数を経過した時の腐食量及び付着塩分量を上記の(1)式に適用して、上記の定数a、bをそれぞれ求めるとともにその決定係数を求める。また、温度、湿度等についても同様にしてその決定係数を求める。

0068

上記のようにして付着塩分量、温度、湿度のそれぞれの決定係数が求まると、相互の大きさを対比して、決定係数が1番大きな値を示した環境因子を支配的環境因子として決定する。

0069

(S23)表面処理鋼材の耐食性評価を行うための腐食促進試験を行う工程。この工程においては、図1に示されるような、(A)鋼材に塩分を付着させる工程と、(B)乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程からなる腐食促進試験で耐食性評価を行う。

0070

ここで、上記支配的環境因子を含む試験条件は少なくとも2水準以上の条件で行う。変化させる試験条件としては、(A)の塩分付着工程の塩分濃度、付着回数、時間、温度、(B)の工程の乾燥工程の温度、湿度、時間、湿潤工程の温度、湿度、時間、乾燥工程から湿潤工程までの移行時間、湿潤工程から乾燥工程までの移行時間の内、ひとつまたは複数である。例えば、支配的環境因子が付着塩分である場合、付着塩分量を少なくとも2水準以上の条件で行う。

0071

また、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程は、実際の環境における昼夜の温度差による夜間の結露現象を模擬しているため、露点温度一定条件であることが望ましい。乾燥工程と湿潤工程の具体的な試験条件の例(条件1、条件2)を図9に示す。条件1、条件2の乾燥工程と湿潤工程の具体的な条件を表1に示す。図9中に示されるように、条件1、条件2は、露点温度一定条件となる条件に設定されている。なお、温度、湿度、乾燥工程の時間及び湿潤工程の時間、乾燥工程→湿潤工程及び湿潤工程→乾燥工程への移行時間の有無とその時間については製品の環境因子を参考にして適宜選択できる。

0072

0073

(S24)支配的環境因子に対する耐食性データを整理する工程。この工程においては、少なくとも2水準以上の条件で設定された支配的環境因子における塗膜の膨れ幅を整理する。具体的には、支配的環境因子である付着塩分量について、腐食促進試験の塩分付着工程で浸漬溶液の塩分濃度を2水準以上の条件で設定し、腐食量と試験期間のデータを得る。ここで、試験期間(独立変数)T、腐食量(従属変数)Yについてそれぞれの対数を取って、(3)式で表される線形モデルに変換して回帰分析を行い、定数α、βを求めることもできる。
logY=α+βlogT …(3)
図10は、表面処理鋼材A乃至Cについて、腐食促進試験の試験時間(試験日数)と腐食量(膨れ幅)との関係を概念的に示した特性図である。

0074

次に、支配的環境因子と腐食量の関係を求める。図11は、或る試験期間における支配的環境因子と腐食量との関係を概念的に示した特性図である。ここで、支配的環境因子の試験条件の範囲の外側や、試験条件がマイルドなため腐食量が小さい範囲についても腐食量を外挿することができる。なお、材料の種類によっては腐食量の経時変化の挙動が異なる場合があるので、2種類以上の試験期間について支配的環境因子と腐食量の関係を求めておくこともできる。

0075

更に、寿命を決定する腐食量のしきい値に照らし合わせ、上記の支配的環境因子に対する耐食性データに基づいて材料の特性を評価する。具体的には、支配的環境因子である付着塩分量に対する塗膜の膨れ幅(腐食量)に基づいて、塗膜の膨れ幅の寿命を決定する膨れ幅のしきい値に照らし合わせ、各材料の耐食性の特性を評価する。例えば、図11における表面処理鋼材Aの膨れ幅はいずれの付着塩分量においても腐食量のしきい値を越えており広い付着塩分量範囲にわたって耐食性は不十分である。表面処理鋼材Bの膨れ幅は付着塩分量の小さい範囲においてしきい値を下回っているが、付着塩分量の大きい範囲ではしきい値を超えており、付着塩分量の小さい範囲においてのみ耐食性を有する。表面処理鋼材Cについてはいずれの付着塩分量においても膨れ幅のしきい値を下回っており広い付着塩分量範囲にわたって耐食性を有する。

0076

また、図4図5と同様の方法を用いて、付着塩分量に応じた腐食量の経時変化を外挿して求めることができ、特に付着塩分量が小さく腐食速度が小さい場合でも腐食量の経時変化を求めることができる。

0077

図12は、図11の鋼材の耐食性データと腐食量のしきい値に基づいて支配的環境因子と腐食寿命との関係を概念的に示した特性図である。この図に基づいて付着塩分量に応じた腐食寿命を外挿して求めることができ、特に付着塩分量が小さく腐食速度が小さい場合でも腐食寿命を外挿して求めることができる。

0078

(ST3)次の段階では、腐食促進試験の結果から実環境における材料の腐食量や腐食寿命を予測し、製品条件を満たす材料を選択する処理に移行する。(S31)基準材料(従来材)について、腐食促進試験結果と既知の耐食性データとを対比させて腐食試験法と実機との相関を求め、実機等における新規材の腐食量や腐食寿命を予測する。

0079

図13(A)、(B)は或る塩分付着量における従来材の腐食量の経年変化(実機)及び従来材の腐食促進試験の評価結果を示した特性図ある。ここで、図13(A)の特性について次の回帰式の定数をa、bを求める。
logY=a+blogX …(4)
但し、Y:Zn腐食量、X:使用年数である。

0080

また、図13(B)の特性について次の回帰式の定数をa’、b’を求める。
logY=a’+b’logX’ …(5)
但し、X’は試験期間である。

0081

ここで、上記の定数bとb’とが同じ値を示した場合には腐食促進試験のサイクル数と腐食実態データの使用年数とが対応していることが分かり、上記の腐食促進試験の試験方法が妥当であったことが分かる。また、定数bとb’とが同じ値を示さなく直線でなければ可能な範囲で、使用年数とサイクルとの相関図により直線近似する。そのような直線近似することが妥当でない場合(使用年数と試験期間サイクル数とが相関がない場合)には試験条件を変更して再び腐食促進試験を行う。

0082

新規材については、使用実績が短く、腐食実体調査によって材料の耐食性を調べることができないので、次のような処理により材料の寿命を予測する。すなわち、新規材の腐食量の経年変化を求める。図14(A)は新規材の腐食促進試験の評価結果を示した特性図である。この図14(A)の特性について次の回帰式の定数c’、d’を求める。
logY=c’+d’logX’ …(6)
ここで、従来材の腐食促進試験が実態調査結果とほぼ同様の腐食挙動を示したことから、新規材についても腐食促進試験法によって腐食挙動が再現できているものとみなして、新規材の腐食量の経年変化を示す次式の定数dと上記の定数d’とは等しいものとする。
logY=c+dlogX …(7)
次に、精度向上と予測結果の妥当性の確認のために、新規材の初期腐食量をを上記の(D)式に適用して定数cを求めることにより、両定数c、dが求まり、腐食量の経年変化が求められる。図14(B)は上記の(D)式の計算結果を図示したものである。例えば1年間、最低1ヶ月以上とすることもできる。

0083

同様に、従来材の腐食寿命(実機)と腐食促進試験の結果から、新規材における支配的環境因子と耐食寿命の関係を予測することができる。具体的には、従来材の支配的環境因子と耐食寿命の関係について、実機と腐食促進試験との間の比率を求め、この比率を新規材の腐食促進試験の結果に適用して新規材における支配的環境因子と耐食寿命の関係を予測する。
(S32)対象となる環境の支配的環境因子(例えば付着塩分量)を調べる。
(S33) (S31)で得られた新規材の寿命データと(S32)の支配的環境因子の値に基づいて対象となる環境における材料(新規材)の寿命予測をおこなう。
(S34)製品の耐用年数を決定する。

0084

以上の処理(S21)乃至(S24)により製品条件を満たした表面処理鋼材の仕様が得られる。

0085

(ST4)次に、その表面処理鋼材を製造・販売するまでの過程について説明する。

0086

(S41)表面処理鋼材の材料を選定する。ここでは、上記の処理にて環境因子に対する耐食性が製品条件を満たした鋼材の中から材料を選定する。

0087

ここで、上記の処理(S24)において、例えば評価対象となった全ての鋼材が腐食量のしきい値を満たさないような場合には、評価対象となった鋼材よりも明らかに耐食性が高いとわかっている表面処理鋼材を選定してもよい。同系統の鋼材であればある程度の対応関係がつけられるので、例えば最も寿命が長いと予測された鋼材と同系統かつ高耐食性の鋼材を選定すればよい。

0088

更に、例えば評価対象となった全ての鋼材が耐用年数を満たさないような場合には、その評価結果に基づいて新たな鋼材を設計してもよい。或る鋼材にマイナーな設計修正を行うのであれば、耐食性の向上程度は予測がつけられることを利用する。評価対象となった鋼材の塗装膜厚を変更するとか、化成処理の種類を変えるとか、焼付け工程の温度制御を変更するとか、めっき付着量を変更する等が考えられる。なお、本発明においては、材料選択、材料選定、材料設計の何れをも設計という概念に含まれるものとする。

0089

(S42)材料の受注、製造及び販売を行う。

0090

図15は上記の処理(S42)内の塗装処理の過程を示したフローチャートであり、次の(S61)乃至(S67)の各工程の処理を行う。
(S61)鋼材の脱脂工程:塗装前の鋼材の表面に付着した油分や汚れを除去する。
(S62)鋼材の研磨工程:ブラシで、鋼材表面酸化皮膜を除去し、表面を活性化させる。後工程の化成処理性が改善する。
(S63)化成処理工程:りん酸塩処理クロメート処理を行う。塗膜密着性を改善する前処理的役割と鋼材の耐食性を改善する機能的役割がある。上記の処理により鋼材の寿命が分かった場合であって、更に高寿命を期待する場合には、この化成処理に反映させる。

0091

(S64)塗装工程塗料コーティングする工程。ロールコーティングスプレーコーティングが一般的である。
(S65)焼付工程:塗料の乾燥、硬化。塗膜を形成させる。要求される耐食性に応じて塗装、焼付を2.3回繰り返す場合がある。
(S66)検査工程:塗膜のピンホール光沢むら、色調などを検査する。
(S67)保護フィルムの貼り付け工程:実施しない場合もあるが、客先からの要望で、保護フィルムを張り付けて出荷する場合がある。

0092

以上のようにして製造された表面処理鋼材には、上記の処理(S33)及び/又は(S34)のデータを添付する。なお、この添付とは機械的に添付するだけでなく、表面処理鋼材とそのデータとが何らかの関連付けがなされている場合も含む。例えば上記の耐食性を評価した際のデータ(鋼材の膨れ幅に関するデータ等)又はそれを示す記号を表面処理鋼材に付記したり、或いはそのデータ又はそれに関連するデータを電子情報として納入先に送付したりする。この電子情報はFD等の記録媒体でも良いし、ネットワークを介して納入先に送付(送信)しても良い。

0093

本実施形態3においては、上述のように、実際の製品の環境における支配的環境因子を把握することにより表面処理鋼材の耐食性評価を適正に行うことができるようにしたので、実製品の腐食に対して適切な評価を出せるようになっている。

0094

(実施形態4)なお、上記の実施形態3においては付着塩分量が支配的環境因子である場合の例について説明しているが、しかし、本発明の支配的環境因子はそれに限定されるものではない。日本国内のような四面海に囲まれている環境では付着塩分量が支配的環境因子として腐食との相関が強いが、内陸極限られた地域や屋内環境では、温度が支配的環境因子であったり、湿度が支配的環境因子であったりする。また、都会の極限られた地域ではイオウ酸化物が支配的であったりもする。そのような環境でも、本発明は有効であり、表面処理鋼材の耐食性評価を簡便に短期間で行うことができる。

0095

具体的には、温度が支配的環境因子である場合には乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の温度の設定を変えればよく、湿度が支配的環境因子である場合には乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の湿度を変えたり、乾燥工程と湿潤工程の時間の比率を変化させたりすればよい。以下、この点について図16図18を参照して説明する。

0096

一例として、乾燥工程と湿潤工程の条件が標準条件であるとした乾燥工程と湿潤工程の条件を、標準型として図16中に示した(図17中にも示されている)。図16中で乾燥工程と湿潤工程の()内の数値は各工程の時間、乾燥工程と湿潤工程を結ぶ線の両側の矢印に付された()内の数値は前記各々の工程に移行するときの移行時間であり、前者はいずれも3時間、後者はいずれも1時間であることを示している。温度、相対湿度は縦軸横軸に示されている。

0097

温度が支配的環境因子である場合、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の条件は、標準型に加えて図17中に示されるような低温型の条件が設定される。この条件は、前記標準型に対して温度だけが低温に設定されており、両者の比較により温度の影響を調べることができる。標準型、低温型、高湿潤型(後記)とも、各々の型における乾燥工程と湿潤工程の露点温度変動は±5℃以内に設定される。

0098

湿潤率が支配的環境因子である場合、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の条件は、図18中に示されるような高湿潤型の条件に設定される。図17に示した標準型では、湿潤工程時間が3時間、乾燥工程時間が3時間でその比は1:1であるが、図18の高湿潤型では、湿潤工程時間が5.5時間、乾燥工程時間が0.5時間に設定され、その比は7:1で、湿潤工程時間の比率が高められている。両者の比較により湿潤率の影響を調べることができる。

0099

また、上記の実施形態においては、支配的環境因子が1つの場合を説明したが、本発明は、支配的環境因子が2以上の場合にも適用できる。例えば、沿岸部で湿度が高い地方では、付着塩分量と温度の2つが支配的環境因子となる場合もある。

0100

また、本実施形態においては、耐食性データとして塗膜の膨れ幅を利用して表面処理鋼材の耐食性評価を行っている例について説明したが、本発明においては、表面処理鋼材の外観変化や白錆発生面積等に基づいて耐食性評価も同様にできる。

0101

乾燥工程と湿潤工程の組み合わせが2種類以上の場合の具体的条件を以下に例示する。

0102

図19は、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、温度の影響を調べるための試験条件の一例を示す。図19では、上段に温度、下段に相対湿度が示されている(以下の図20図22でも同様である。)。乾燥工程、湿潤工程の各工程の具体的な条件を表2に示す。

0103

0104

図20は、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、相対湿度の影響を調べるための試験条件の一例を示す。乾燥工程、湿潤工程の各工程の具体的な条件を表3に示す。

0105

0106

図21は、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、露点湿度の影響を調べるための試験条件の一例を示す。乾燥工程、湿潤工程の各工程の具体的な条件を表4に示す。

0107

0108

図22は、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、湿潤率(湿潤時間の割合)の影響を調べるための試験条件の一例を示す。乾燥工程、湿潤工程の各工程の具体的な条件を表5に示す。

0109

0110

(実施形態5)また、上述の実施形態3においては支配的環境因子を求める過程について説明したが、例えば或る地域において表面処理鋼材の支配的環境因子を1度求めてしまえば、次回以降においてほぼ同一の条件で支配的環境因子を求める場合には、先に求められた支配的環境因子を既定のものとして扱うことができる。そのような場合には、図7の処理(S22)までを省略することができる。

0111

(実施形態6)また、上述の実施形態3においては表面処理鋼材の中で塗装鋼材の耐食性評価等について説明したが、本願発明の表面処理鋼材は、塗装鋼材に限定されず、化成処理鋼材及びめっき処理鋼材も含まれる。また、本発明は腐食環境下で使用される耐候性鋼材などの鋼材、非鉄金属材料などの金属材について適用可能である。

0112

図23(A)乃至(C)は塗装鋼材、化成処理鋼材及びめっき処理鋼材の経年変化を示した説明図である。塗装鋼材20は、同図(A)に示されるように、鉄30の上にめっき層31、化成処理層32及び塗装膜33が順次形成されたものである。塗装膜33はめっき層31などより耐食性が高いので、塗装膜33が経年変化する前に、めっき層31が経年変化し、その切断端部は酸化して白錆35となり、その部位は膨張して塗装膜33の切断端部が膨れ上がる。その膨れ上がった塗装膜33の端部からの幅Wを膨れ幅といい、腐食の程度を示すパラメータとなる。また、化成処理鋼材21は、同図(B)に示されるように、鉄30の上にめっき層31及び化成処理層32が順次形成されたものである。化成処理層32は耐食性が低いので腐食してめっき層31が露出すると、めっき層31が酸化して白錆36となる。また、めっき処理鋼材22は、同図(C)に示されるように、鉄30の上にめっき層31が形成されたものである。めっき層31が酸化して白錆36となり、また、めっき層31が剥がれると鉄30が酸化して赤錆37が発生する。

0113

塗装鋼材20、化成処理鋼材21及びめっき処理鋼材22は、それぞれ上記のようにして経年変化するので、その外観寿命は、
塗装鋼材の寿命>化成処理鋼材の寿命>めっき処理鋼材の寿命
という関係にある。本発明は、寿命が長い鋼材の寿命予測に適用した場合に有用であるから、特に、化成処理鋼材及び塗装鋼材に適用した場合にその有用性が顕著なものとなる。

0114

(実施形態7)前記した実施形態では、支配的環境因子を求め、該支配的環境因子を変化させて腐食促進試験を行い、腐食促進試験結果に基づき、実環境で使用される表面処理鋼材の耐食性を評価した。基準材の耐食性と環境データの対応関係に基づいてグループ化されたデータベースを備え、支配的環境因子を求め、該支配的環境因子を変化させて腐食促進試験を行い、腐食促進試験結果とグループ化されたデータベースとの相関に基づき、腐食促進試験結果をデータベースに追加し、製品が使用される環境を測定し、その使用環境が前記データベースのどのグループに属するかを求めることで、実環境で使用される表面処理鋼材の耐食性を評価することもできる。以下、この方法について説明する。

0115

図24及び図25は本発明の実施形態7に係る表面処理鋼材の耐食寿命予測方法に係る処理過程を示すフローチャートであり、図24は耐食性データを収集するまでの過程を示し、図25はその耐食性データを利用して材料を製造・販売をするまでの過程を示している。本実施形態7においては、例えば家電製品に実際に使用した実績のない材料(但し、一般的なデータは保有している)を家電製品に適用した場合の各部位について耐食寿命を予測する例について説明する。

0116

(S11)まず、或る基準材料の腐食実態を調査(試験)する。この測定方法は上記実施形態3と同様である。

0117

(S12)次に、その腐食環境因子計測を行う。腐食環境因子としては、温度、湿度、付着塩分量等が挙げられる。温度は温度計、湿度は湿度計を用いて測定する。付着塩分量の測定は、例えば鋼材表面を清浄脱脂綿蒸留水で濡らして鋼材表面を拭き取り、その脱脂綿を蒸留水に浸漬して溶液中に溶け出し塩化物イオン濃度を、イオンクロマトグラフィー装置を用いて分析する。その濃度を表面に付着した付着塩分量に換算する。

0118

(S13)上記の調査及び計測に基づいて腐食環境因子の分類分けを行う。ここでは、腐食量に基づいて腐食環境因子を分類する。図26はこのときに分類分けの説明図である。図26の例においては腐食量S1〜S5に応じて腐食環境因子(又はその組み合わせ)をC1〜C5に分類している。即ち、基準材料の腐食量S1〜S5に対してその原因となる腐食環境因子(又はその組み合わせ)をC1〜C5(環境等級)に分類している。

0119

図27は上記にて分類した後のデータ構造を示した説明図である。例えば腐食環境の分類C1(腐食量〜S1)についてみると、温度が〜T1、相対湿度が〜H1、付着塩分量が〜CL1の例が示されているが、分類C1に対応した腐食量をもたらす腐食環境因子の組み合わせは多数存在する。このことは分類C2〜C5においても同様である。

0120

(S14)支配的環境因子を求め、該支配的環境因子を変化させて腐食促進試験を行い、腐食促進試験結果とグループ化されたデータベースとの相関に基づき、腐食促進試験結果をデータベースに追加する。腐食促進試験による耐食性評価については実施形態3と同様である。腐食促進試験結果とグループ化されたデータベースとの相関を求める工程については、まず実施形態3と同様の方法により基準材料(従来材)について腐食促進試験法と実機の耐食性データベースとの比較により相関を求める。更に、基準材料のグループ化されたデータベースの腐食量の範囲と、前記腐食促進試験と実機の相関から、新規材のグループ化されたデータベースの腐食量の範囲を求める。

0121

図28は上記のようにして分類C1〜C5に基づいて整理された材料A〜Dのデータ(腐食量)の構成例を示した図である。ここでは、例えば3年、5年、10年の各年についての、腐食環境の分類と腐食量とが関係付けられたデータ示されている。これらのデータは、同一腐食環境(同一の環境等級)での腐食速度情報を形成することになる。

0122

(S15)図28のデータ(3年、5年、10年)を整理して各材料A〜Dの腐食量の経年変化を求める。即ち、図27のデータを上記の(1)式に適用してそれぞれの材料についての定数a、bを求めることにより、分類C1〜C5に対応した使用年数と腐食量との関係を求める。図29は例えば材料Aについての分類C1〜C5に対応した使用年数と腐食量との関係(腐食速度情報)を示した特性図である。材料B〜Dについても同様にして求められる。これらのデータも耐食性データベースには格納される。

0123

(S16)製品条件を提示する。製品条件とは、製品の構造、製品の寿命設計(耐用年数、リサイクル、リユース等)、要求性能、外観品質、コスト等がある。

0124

(S17)家電製品が使用される環境条件を設定する。この環境条件としては例えば腐食環境(地域、場所、部位等)がある。

0125

(S18)家電製品の環境計測を行う。製品の使用される典型的な室内環境に製品又はその模造品を置いて、製品に温度計と湿度計を取り付け、実際に使用している状況での環境計測を行う。比較のために、同時に使用場所である室内の計測も実施するのが望ましい。例えば1年間の計測を実施して、平均温度と平均相対湿度を求める。

0126

表6はその環境計測の結果を示した表である。家電製品例えばプリンタの部位1(背板外面)、部位2(背板内面)、部位3(用紙カセット底板)、部位4(底板内側)、部位5(底板外側)及び室内についての平均温度、平均相対湿度及び付着塩分量をそれぞれ計測している。

0127

0128

なお、この腐食環境計測は、ユーザーから環境データの提示があった場合、耐蝕性データベースに腐食環境データが既にある場合、又は気象データ等から予測できる場合には、省略することができる。

0129

(S19)環境分類の評価をする。表6の各部位についての腐食環境因子の測定値図27の該当する主要腐食因子に当てはめて、その主要腐食因子の属する分類(C1〜C5)を見い出す。分類が分かれば、図29の特性から材料Aについての腐食量の経年変化が分かる。また、同様にして材料B〜Dについての腐食量の経年変化も分かる。これらのデータも耐食性データベースに格納される。

0130

(S20)材料の寿命予測をする。上記の処理から材料A〜Dの経年変化が分かると、所定の腐食量を閾値として、その材料の寿命を予測する。

0131

(S21)材料設計をする。

0132

図30は材料設計の過程を示したフローチャートである。
(S21a)寿命予測した材料の中に製品条件を満たしたものがあるかどうかを検討する。
(S21b)寿命予測した材料の中に製品条件を満たしたものがある場合には、他の要求性能を検討する。例えばコスト、加工性意匠、対指紋性等について検討する。
(S21c)上記の他の要求性能を満たしたものがあるかどうか検討する。
(S21d)上記の他の要求性能を満たしたものがある場合には、その検討結果に基づいて材料を選定する(特に候補となるものが2以上ある場合)。

0133

(S21e)上記の検討(S21a)において寿命予測した材料の中に製品条件を満たしたものがない場合には、製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討したかどうかを検討する。
(S21f)上記の検討(S21e)において、製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討していないという判断をした場合には、材料の見直しを行って例えばまだ寿命予測を行っていない材料D〜Hについて、材料の寿命予測をする。勿論、この材料D〜Hについても図28のデータを構成することとなる元データがあるものとする。

0134

(S21g)上記の検討(S21e)において、製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討しているという判断をした場合には、新規材料の設計(製品条件提示元との協議を含む)をすることになる。
(S21h)上記の検討(S21c)において他の要求性能を満たしたものが無いという判断をした場合には、製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討したかどうかを検討する。

0135

(S21i)上記の検討(S21h)において製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討していないという判断をした場合には、製品設計の見直し(製品条件提示元との協議を含む)をして、上記の製品条件の提示の処理に移行する。また、上記の検討(S21h)において製造実績のある全ての材料(新規材を含む)を検討したという判断をした場合には、新規材料の設計(製品条件提示元との協議を含む)をすることになる(S21g)。

0136

なお、上記の検討(S21a)において、例えば寿命予測対象となった全ての鋼材が耐用年数を満たさないような判断があった場合には、予測対象となった鋼材よりも明かに耐食性が高いとわかっている表面処理鋼材を選定してもよい。同系統の鋼材であればある程度の対応関係がつけられるので、例えば最も寿命が長いと予測された鋼材と同系統かつ高耐食性の鋼材を選定すればよい。

0137

また、新規材の設計をする場合(S21g)には、例えば或る鋼材にマイナーな設計修正を行えば耐食性の向上程度が予測がつけられる場合にはそのことを利用する。寿命予測対象となった鋼材の化成処理付着量を変更するとか、化成処理の種類を変えるとか、めっき付着量を変更する等が考えられる。なお、本発明においては、表面処理鋼材の表面処理層及び/又は下地の鋼材の材料選択、材料選定、材料設計の何れも設計という概念に含まれるものとする。

0138

以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)図31は上述の実施形態3の図7の処理(S21)により得られた、或る地域の製品の一部位に使用された塗装鋼材Aの膨れ幅の経年変化を示す特性図である。ここでは、使用年数が1年乃至10年のデータが示されている。このようなデータが上記図7の処理(S22)に多数利用されることになる。

0139

表7は、上記の処理(S22)で支配的環境因子を決定する際に求められた決定係数を示したものであり、使用年数5年の決定係数がそれぞれ示されている。表7から、温度、湿度及び付着塩分量の各決定係数の内、付着塩分量の決定係数が最も高いため、この製品における塗装鋼材の支配的環境因子は付着塩分量であるとして決定される。図32に使用年数5年の塗装鋼材の膨れ幅と付着塩分量の関係を示す。付着塩分量の対数と塗膜の膨れ幅の対数は良好な直線関係があることが分かる。

0140

0141

図33は、支配環境因子として塩分量を4水準に設定した腐食促進試験の試験条件を示す図である。塩分付着方法として10分間の塩水浸漬を週2回行い、使用する塩水は人工海水希釈して準備した。人工海水の塩水濃度(質量%)は3%、0.3%、0.03%の3水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006g/m2であった。また、乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程は露点温度一定条件として、図33の条件を設定し、乾燥と湿潤の間には1時間の移行時間を設定した。

0142

図34は、図33に示した条件の腐食促進試験(塩水濃度3%:付着塩分量0.6g/m2)により得られた塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と試験時間との関係を示した特性図である。このようなデータが試験条件毎に作成される。ここで塗装鋼材B、Cは実機に使用された実績はなく、実機のデータは得られていない。

0143

図35は、試験期間28日の塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と付着塩分量の関係を示した図である。付着塩分量の対数と塗膜の膨れ幅の対数は良好な直線関係があることが分かる。そこで、付着塩分量に対応した膨れ幅を求めることができ、例えば塩分付着量が0.1g/m2における塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅はそれぞれ、0.9、1.7、0.5mmである。ここで、腐食速度が小さく評価に時間がかかる付着塩分量の少ない範囲も直線を外挿することができ、例えば塩分付着量が0.001g/m2における塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅はそれぞれ、0.02、0.05、0.1mmである。このようなデータが試験期間14日、56日についても作成され、付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅の関係を整理して、付着塩分量毎に塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測することができる。図36は、付着塩分量0.1g/m2における塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅の経時変化を予測した特性図である。

0144

次に、鋼材Aについて付着塩分量が0.1g/m2における実機の膨れ幅の経時変化と、図36における鋼材Aの膨れ幅の経時変化を比較した。前記(3)式により、試験期間(独立変数)T、腐食量(従属係数)Yについてそれぞれの対数をとって、線形モデルに変換して回帰分析を行い、定数α、βを求めた。その結果を表8に示す。両者のβの値が同じなので、腐食促進試験と実機との間に相関が認められた。

0145

0146

両者のαの値の比率に基づいて、腐食促進試験の結果を換算し付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を予測した。図37は、使用年数5年の付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を示した特性図であり、これは上述の図8に対応している。このようなデータが2年後、7年後についても作成され、上記の処理(S22)に利用されることになる。

0147

2年後、5年後、7年後の飛来塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係から、塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測した。一例として図38に付着塩分量が0.1g/m2における結果を示す。ここで、塗装鋼材の膨れ幅が3mmに達したときを寿命とする場合には、図37より付着塩分量0.1g/m2における鋼材Aは14年程度、鋼材Bは8年程度、鋼材Cは30年程度の寿命があるという予測が可能となっている。このように、実機への使用実績のない材料であっても、腐食促進試験を用いて寿命予測を行うことができる。

0148

(実施例2)図39は、3箇所の場所で或る製品の或る部位に使用された化成処理鋼材Aの白さび発生期間(日数)と付着塩分量との関係を示したものである。このようなデータが上記の処理(S22)に多数利用されることになる。そして、下記(8)式および(9)式を用いて、環境因子である塩分付着量(独立変数)X(g/m2)、白さび発生日数(従属係数)T(day)についてそれぞれの対数をとって、線形モデルに変換して回帰分析を行い、定数a、b、決定係数R2を求めた。その結果、a=2.59、b=−0.335、R2=0.938であった。
logY=a+blogT …(8)

0149

0150

すなわち、(8)式は下記で表される。
logT=2.59−0.335logX …(10)
化成処理鋼材Aの白さび発生期間は、付着塩分量との相関が高いことがわかる。そこで、実施例1と同じ試験条件で、3水準の塩分量を4水準に変更して腐食促進試験を行い、化成処理鋼材の耐食性評価を行った。ここで、人工海水の塩水濃度(質量%)は3%、0.3%、0.03%、0.003%の4水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006、0.0006g/m2であった。

0151

図40は、付着塩分量と化成処理鋼材A、B、Cの白さび発生日数との関係を示した図である。試験期間は60日まで実施しており、化成処理鋼材Cについては塩分付着量0.0006g/m2の条件では60日間で白錆が発生していない。

0152

まず、化成処理鋼材Aについて、環境因子である付着塩分量(独立変数)X(g/m2)、白さび発生日数(従属係数)T(day)についてそれぞれの対数をとって、線形モデルに変換して回帰分析を行った。ここで、定数bは前記(10)式の値を使用し、定数aと決定係数R2を求めた。その結果、a=0.584、R2=0.960であった。

0153

すなわち、(8)式は下記で表される。
logT=0.584−0.335logX …(11)
決定係数R2が大きいことから、この腐食促進試験は実機との間に相関が認められ、この腐食試験条件は妥当であると判断された。また、腐食促進試験の白さび発生時間と実機との白さび発生時間の比率は、1:102であった。

0154

次に、化成処理鋼材B、Cについて、環境因子である付着塩分量(独立変数)X(g/m2)、白さび発生日数(従属係数)T(day)についてそれぞれの対数をとって、線形モデルに変換して回帰分析を行い、定数a、bを求めた。ここで、化成処理鋼材Cについては塩分付着量0.0006g/m2の条件では60日間で白錆が発生していないので、付着塩分量の多い条件の結果(3点)に基づいて白さび発生時間を外挿して分析した。
化成処理鋼材B:
logT=0.286−0.367logX
化成処理鋼材C:
logT=0.788−0.419logX
さらに、化成処理鋼材Aについて、腐食促進試験の白さび発生時間と実機との白さび発生時間の比率(1:102)に基づいて、化成処理鋼材B、Cの実機における白さび発生時間と付着塩分量の関係を予測した結果を図41に、予測式を下記に示す。
化成処理鋼材B:
logT=0.286−0.367logX
化成処理鋼材C:
logT=0.788−0.419logX
以上の結果から、対象となる環境の付着塩分量を0.1、0.005、0.0005g/m2とした時の寿命(白さび発生年数)を表9に示す。実機における腐食寿命を定量的に予測することができた。

0155

0156

(実施例3)或る地域において、エアコン室外機の腐食実態調査を行った。エアコン室外機の塗膜膨れ幅は海岸からの距離(離岸距離)との相関があり、環境因子として付着塩分量が多いほど塗膜膨れ幅が大きくなることが分かった。また、この地域における環境計測を行い、一日の温度と相対湿度の変化を調べた。

0157

次に、塩分量を4水準に設定した腐食促進試験を実施した。塩分付着方法として10分間の塩水浸漬を週2回行い、使用する塩水は人工海水を希釈して準備した。人工海水の塩水濃度(重量%)は3%、0.3%、0.03%、0.003%の4水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006、0.0006g/m2であった。また、乾燥と湿潤を繰り返す工程は、環境計測の結果を参考にして、表10に示す露点温度一定条件を設定した。

0158

0159

従来材である塗装鋼材Aと新規材である塗装鋼材Bについて腐食促進試験を行い、実施例1と同様の方法で実機における付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を予測した。図42は、使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を示した特性図である。ここでこの地域の腐食環境の分類は、塗装鋼材Aの腐食量に基づいて表11に示すように付着塩分量に応じて4つの腐食環境に分類されている。図38の付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅の関係から、各環境分類における塗装鋼材Bの膨れ幅は表11のように分類される。

0160

0161

このようなデータは、例えば5年、10年、15年というように複数年について作成されており、環境分類毎に塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測することができる。また、腐食量のしきい値が決まれば、腐食寿命を求めることができる。

0162

(実施例4)2つの地域において、エアコン室外機の腐食実態調査を行った。エアコン室外機の塗膜膨れ幅は海岸からの距離(離岸距離)との相関があり、環境因子として付着塩分量が多いほど塗膜膨れ幅が大きくなることが分かり、二つの地域で付着塩分量と塗膜膨れ幅の関係が異なることが分かった。また、この地域における環境計測を行い、一日の温度と相対湿度の変化を調べた結果、環境因子として温度が高いほど塗膜膨れ幅が大きいことが分かった。

0163

次に、塩分量を4水準に設定し、温度を3水準に設定した腐食促進試験を行った。塩分付着方法として10分間の塩水浸漬を週2回行い、使用する塩水は人工海水を希釈して準備した。人工海水の塩水濃度(重量%)は3%、0.3%、0.03%、0.003%の4水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006、0.0006g/m2であった。また、乾燥と湿潤を繰り返す工程は、環境計測の結果を参考にして、表12に示す露点温度一定条件を3水準設定した。

0164

0165

従来材である塗装鋼材Aと新規材である塗装鋼材Bについて腐食促進試験を行い、実施例1と同様の方法で実機における付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を予測した。図43は、使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材Bの膨れ幅との関係を示した特性図である。図43には、3種類の乾燥と湿潤を繰り返す工程の露点条件の結果がプロットしてある。図44は、図43の結果に基づいて、使用年数10年、付着塩分量が0.01g/m2における平均露点温度と塗装鋼材Bの膨れ幅の関係を示した特性図である。平均露点温度の計測値から、塗装鋼材Bの膨れ幅を予測することができる。

0166

このようなデータは、例えば5年、10年、15年というように複数年について作成されており、付着塩分量と平均露点温度別に塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測することができる。また、腐食量のしきい値が決まれば、腐食寿命を求めることができる。

0167

(実施例5)或る地域において、洗濯機の腐食実態調査を行った。洗濯機における付着塩分量はほぼ一定であり、洗濯機の塗膜膨れ幅と付着塩分量の関係は認められなかった。また、洗濯機の使用場所における環境計測を行い、一日の温度と相対湿度の変化を調べた。その結果、環境因子として湿潤が長いほど塗膜膨れ幅が大きいことが分かった。

0168

次に、塩分量を4水準に設定し、湿潤工程の割合(湿潤率)を3水準に設定した腐食促進試験を行った。塩分付着方法として10分間の塩水浸漬を週2回行い、使用する塩水は人工海水を希釈して準備した。人工海水の塩水濃度(重量%)は3%、0.3%、0.03%、0.003%の4水準である。なお、予備試験の結果、各塩分濃度に浸漬した後の付着塩分量はそれぞれ、0.6、0.06、0.006、0.0006g/m2であった。また、乾燥と湿潤を繰り返す工程は、環境計測の結果を参考にして、表13に示す露点温度一定条件を3水準設定した。

0169

0170

従来材である塗装鋼材Aと新規材である塗装鋼材Bについて腐食促進試験を行い、実施例1と同様の方法で実機における付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を予測した。図45は、使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材Bの膨れ幅との関係を示した特性図である。図45には、湿潤時間の比率について3種類の結果がプロットしてある。

0171

図46は、図45の結果に基づいて、使用年数10年、付着塩分量が0.001g/m2における乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比と塗装鋼材Bの膨れ幅の関係を示した特性図である。湿潤時間の比率の計測値から、塗装鋼材Bの膨れ幅を予測することができる。

0172

このようなデータは、例えば5年、10年、15年というように複数年について作成されており、付着塩分量と乾燥時間と湿潤時間の比から塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測することができる。また、腐食量のしきい値が決まれば、腐食寿命を求めることができる。

発明の効果

0173

以上のように本発明によれば、対象となる製品の支配的環境因子を求め、支配的環境因子を変化させた腐食促進試験を実施し、表面処理鋼材の耐食性に及ぼす支配的環境因子の影響を評価するようにしたので、材料の適用可能範囲を明らかにすることができ、短期間の試験で、且つ適切な表面処理鋼材の耐食性評価が可能になっている。なお、本発明は、家電製品等の部材の設計に特に有効な発明である。

図面の簡単な説明

0174

図1本発明に係る耐食性評価を行うための腐食促進試験工程を示す図である。
図2支配的環境因子として付着塩分量を例に取り、腐食促進試験法の或る試験期間における付着塩分量と腐食量の関係を示した特性図である。
図3或る材料について3水準の付着塩分量a、b、cを設定して腐食促進試験を行ったときの腐食量の経時変化を示した模式図である。
図4図3の試験期間t1、t2、t3、t4における付着塩分量と腐食量の関係を示した模式図である。
図5図4に基づいて予測した付着塩分量dにおける腐食量の経時変化を示した模式図である。
図6支配的環境因子として付着塩分量を例に取り、付着塩分量と腐食寿命の関係を示した特性図である。
図7本発明の実施形態3に係る表面処理鋼材の耐食性評価方法、表面処理鋼材の設計方法及び表面処理鋼材の製造方法の処理過程を示したフローチャートである。
図8或る地域a乃至cにおける塗装鋼材の使用年数と腐食量との関係を示した特性図である。
図9本発明法において、腐食促進試験の乾燥工程と湿潤工程の条件を説明する図である。
図10表面処理鋼材A乃至Cについて、図7の処理(23)により得られた試験時間(試験日数)と腐食量(膨れ幅)との関係を概念的に示した特性図である。
図11図7の処理(S23)により得られた或る試験期間における支配的環境因子と腐食量との関係を概念的に示した特性図である。
図12図11の鋼材の耐食性データと腐食量のしきい値に基づいて支配的環境因子と腐食寿命との関係を概念的に示した特性図である。
図13或る塩分付着量における従来材の腐食量の経年変化(実機)及び従来材の腐食促進試験の評価結果を示した特性図で、(A)は腐食量の経年変化(実機)、(B)は腐食促進試験の評価結果を示す。
図14新規材の腐食促進試験の評価結果及び新規材の腐食量の経年変化を示した特性図で、(A)は新規材の腐食促進試験の評価結果を示し、(B)は(D)式の計算結果を示す。
図15図7の処理(S52)内の塗装処理の過程を示したフローチャートである。
図16乾燥工程と湿潤工程の標準型の条件を説明する図である。
図17温度が支配的環境因子である場合の乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の条件を説明する図である。
図18湿度が支配的環境因子である場合の乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の条件を示す図である。
図19乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、温度の影響を調べるための試験条件の一例を示す図である。
図20乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、相対湿度の影響を調べるための試験条件の一例を示す図である。
図21乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、露点湿度の影響を調べるための試験条件の一例を示す図である。
図22乾燥工程と湿潤工程を繰り返す工程の試験条件を3水準に設定し、湿潤率(湿潤時間の割合)の影響を調べるための試験条件の一例を示す図である。
図23塗装鋼材、化成処理鋼材及びめっき処理鋼材の経年変化を示した説明図である。
図24本発明の実施形態4に係る表面処理鋼材の耐食寿命予測方法の処理過程を示したフローチャート(その1)である。
図25本発明の実施形態4に係る表面処理鋼材の耐食寿命予測方法の処理過程を示したフローチャート(その2)である。
図26腐食量(S1〜S5)に応じた腐食環境因子(又はその組み合わせ)の分類(C1〜C5)の例を示す説明図である。
図27分類後のデータ構造を示した説明図である。
図28分類(C1〜C5)に基づいて整理された材料A〜Dのデータ(腐食量)の構成例を示した図である。
図29材料Aについての分類(C1〜C5)に対応した使用年数と腐食量との関係を示した特性図である。
図30図25の材料設計の処理の詳細を示したフローチャートである。
図31図7の処理(S21)により得られた、或る地域の製品の一部位に使用された塗装鋼材Aの膨れ幅の経年変化を示す特性図である。
図32使用年数5年の塗装鋼材の膨れ幅と付着塩分量の関係を示す特性図である。
図33実施例1において、支配環境因子として塩分量を4水準に設定した腐食促進試験の試験条件を示す図である。
図34図33に示した条件の腐食促進試験(塩水濃度3%:付着塩分量0.6g/m2)により得られた塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と試験時間との関係を示した特性図である。
図35試験期間28日の塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅と付着塩分量の関係を示した図である。
図36付着塩分量0.1g/m2における塗装鋼材A、B、Cの膨れ幅の経時変化を予測した特性図である。
図37使用年数5年の付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を示した特性図である。
図38付着塩分量が0.1g/m2における塗装鋼材の膨れ幅の経時変化を予測した図である。
図393箇所の場所で或る製品の或る部位に使用された化成処理鋼材Aの白さび発生期間(日数)と付着塩分量との関係を示した特性図である。
図40付着塩分量と化成処理鋼材A、B、Cの白さび発生日数との関係を示した特性図である。
図41化成処理鋼材A、B、Cの実機における白さび発生時間と付着塩分量の関係を予測した結果を示した特性図である。
図42使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材の膨れ幅との関係を示した特性図である。
図43使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材Bの膨れ幅との関係を示した特性図である。
図44図43の結果に基づいて、使用年数10年、付着塩分量が0.01g/m2における平均露点温度と塗装鋼材Bの膨れ幅の関係を示した特性図である。
図45使用年数10年の付着塩分量と塗装鋼材Bの膨れ幅との関係を示した特性図である。
図46図45の結果に基づいて、使用年数10年、付着塩分量が0.001g/m2における乾燥工程の時間と湿潤工程の時間の比と塗装鋼材Bの膨れ幅の関係を示した特性図である。

--

0175

20塗装鋼材
21化成処理鋼材
22 めっき処理鋼材
30 鉄
31めっき層
32化成処理層
33塗装膜
35、36白錆
37 赤錆

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    【課題】空気調和装置で処理された空気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定するセンサーが低温時に着氷を生じることを抑制する。【解決手段】0℃以下を含む所定の範囲で空気の温度を調節する温度調節部(10)と... 詳細

  • 大成建設株式会社の「 剥離試験機」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】簡易かつ短時間で試験を行うことができ、また、異なる試験担当者が試験を行う場合であっても試験片に対して同等の条件にて引張力を作用させることができる剥離試験機を提案する。【解決手段】融着された遮水... 詳細

  • コニカミノルタ株式会社の「 樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステム」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】本発明の課題は、回収された樹脂の劣化状態を簡易に判断できる樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステムを提供することである。【解決手段】本発明の樹脂の劣化度評価試験方法は、... 詳細

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