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技術 触媒微粒子担持カーボンの製造方法及び得られたカーボンを用いた電極

出願人 日産自動車株式会社
発明者 小野正樹
出願日 2002年4月26日 (18年7ヶ月経過) 出願番号 2002-126859
公開日 2003年11月7日 (17年0ヶ月経過) 公開番号 2003-317726
状態 未査定
技術分野 無消耗性電極 燃料電池(本体)
主要キーワード 炭化部分 アグリゲート構造 実施例電極 誘導結合プラズマ発光分光法 pHメーター セル電圧特性 脱水能力 混合導電性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

従来よりも簡便な製造法により、触媒微粒子担持カーボンを短時間で製造するとともに、触媒利用率を著しく改善して燃料電池の性能を高めた燃料電池用電極を提供することにある。

解決手段

炭水化物に1種または2種以上の触媒成分を含有させ、脱水剤により触媒成分含有炭水化物を脱水して該炭水化物を炭化させる触媒微粒子担持カーボンの製造方法、および得られたカーボンを用いた電極によって達成される。

概要

背景

触媒微粒子担持カーボンは各種化学反応の触媒として広範に利用されているが、最近では、燃料電池用触媒担持電極としてよく用いられている。燃料電池用触媒担持カーボンが一般に広く用いられるためには、電極触媒活性を維持しつつ触媒の利用率を高くして触媒使用量極小化するとともに、製造法を簡便にすることによってコストを大幅に低減させる必要がある。

燃料電池用白金担持カーボンの製造方法は従来から多く知られている。一般的には、塩化白金酸水溶液カーボン担体を加えておき、これに水素化ホウ素ナトリウムギ酸クエン酸ナトリウムヒドラジンホルムアルデヒド等の還元剤を加えることにより、白金微粒子還元させ、カーボン担体上に吸着させることにより作製する。

これらの触媒を構成する材料の物性を特定した例として、特開平9−167622が挙げられる。この公報においては、特定以下の細孔の占める割合を一定以下とし、さらに硫黄塩素含有量が2ppm以下の炭素微粉末を用いることによって、高い放電特性を示し、しかも寿命特性の優れた固体高分子型燃料電池を提供することが記載されている。

概要

従来よりも簡便な製造法により、触媒微粒子担持カーボンを短時間で製造するとともに、触媒利用率を著しく改善して燃料電池の性能を高めた燃料電池用電極を提供することにある。

炭水化物に1種または2種以上の触媒成分を含有させ、脱水剤により触媒成分含有炭水化物を脱水して該炭水化物を炭化させる触媒微粒子担持カーボンの製造方法、および得られたカーボンを用いた電極によって達成される。

目的

本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、従来よりも簡便な製造法により、触媒微粒子担持カーボンを短時間で製造することが可能であり、同時に触媒利用率を著しく改善して燃料電池の性能を高めた燃料電池用電極を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

炭水化物に1種または2種以上の触媒成分を含有させ、脱水剤により触媒成分含有炭水化物を脱水して該炭水化物を炭化させることを特徴とする触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項2

前記触媒成分が、貴金属あるいは金属酸化物から1種または2種以上選択されることを特徴とする触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項3

触媒成分の添加法として、コロイド状の貴金属あるいは金属酸化物を前記炭水化物に分散含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項4

前記炭水化物が、単糖類二糖類多糖類分類される糖類のうち1種または2種以上混合してなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項5

前記脱水剤が、濃硫酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項6

前記濃硫酸が、90〜98%の硫酸を含むことを特徴とする請求項5に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項7

前記濃硫酸の使用量が、前記炭水化物1gあたり0.1〜10cm3であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項8

前記担体カーボン1gにつき10cm3の精製水を加えることによって生成される触媒微粒子担持カーボンスラリーのpHが、6より酸性であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項9

前記炭水化物が、平均粒径1mm以下の粉末であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の触媒微粒子担持カーボンの製造方法。

請求項10

請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法で得られた触媒微粒子担持カーボンであって、該担持カーボン中に硫酸成分が残存することによりプロトン導電性を有してなるものを含むことを特徴とする燃料電池用電極

技術分野

0001

本発明は、触媒微粒子担持カーボンの製造方法及びそのカーボンを用いた燃料電池用電極に関する。

背景技術

0002

触媒微粒子担持カーボンは各種化学反応の触媒として広範に利用されているが、最近では、燃料電池用触媒担持電極としてよく用いられている。燃料電池用触媒担持カーボンが一般に広く用いられるためには、電極触媒活性を維持しつつ触媒の利用率を高くして触媒使用量極小化するとともに、製造法を簡便にすることによってコストを大幅に低減させる必要がある。

0003

燃料電池用白金担持カーボンの製造方法は従来から多く知られている。一般的には、塩化白金酸水溶液カーボン担体を加えておき、これに水素化ホウ素ナトリウムギ酸クエン酸ナトリウムヒドラジンホルムアルデヒド等の還元剤を加えることにより、白金微粒子還元させ、カーボン担体上に吸着させることにより作製する。

0004

これらの触媒を構成する材料の物性を特定した例として、特開平9−167622が挙げられる。この公報においては、特定以下の細孔の占める割合を一定以下とし、さらに硫黄塩素含有量が2ppm以下の炭素微粉末を用いることによって、高い放電特性を示し、しかも寿命特性の優れた固体高分子型燃料電池を提供することが記載されている。

発明が解決しようとする課題

0005

従来の製造方法により作製された燃料電池用電極において、触媒である白金の利用率は10%程度であるという報告例もあり、多くの触媒は反応に寄与していないことが推測される(E.A. Ticianelli, J. Electroanal. Chem., 251, 275(1998))。このように触媒利用率が低い原因は以下のように考えられる。

0006

一般に、燃料電池用電極を作製するときに用いられている固体高分子電解質溶液パーフルオロカーボンスルホン酸イオノマー溶液)は、高分子電解質溶媒中に完全に溶解しているのではなく、イオノマーコロイド状に溶液中に分散している。イオノマーの大きさや存在形態は、溶媒の種類、イオノマー濃度により異なる。

0007

一方、電極触媒担体として用いられる導電性カーボンブラックは、直径10〜50nm程度のカーボン1次粒子アグリゲート構造を形成し、さらにそれが凝集してアグロメレート構造を形成している。大きな比表面積を持つカーボンはこのような高次構造内にnmオーダー微細孔を多く有している。従来の触媒担持方法によれば、直径2〜4nm程度の触媒微粒子はこのような微細孔内にも多く存在している。

0008

図1は、従来法によって作製された燃料電池電極触媒層における触媒微粒子担持カーボンの表面と固体高分子電解質接触状態を示す模式図である。溶液中の高分子電解質イオノマーの大きさが細孔径よりも大きい場合には、細孔内に高分子電解質が侵入できない。そのため、図1に示すように、カーボンの微細孔中には触媒微粒子が存在しているにもかかわらず、電気化学反応に有効な界面である3相界面が形成されない。つまり、高分子固体電解質と接触していない触媒粒子電極反応に寄与しないため、触媒の利用率は低くなり、高活性電極を得ることはできない。

0009

触媒利用率を高め、効率を向上させるためには、公知例にもあるように高分子電解質イオノマーが侵入できない小さな微細孔を持たないカーボン担体を利用する方法がある。しかし、そのようなカーボン担体では比表面積が小さいため、触媒担持量を多くしたときに触媒粒子同士の重なりが生じて、分散性が低下し、高い活性が得られない可能性がある。

0010

電極にプロトン導電性の固体高分子電解質を混ぜる代わりに、プロトン導電性と電子導電性の両方を有した混合導電性高分子を用いる場合についても、混合導電性高分子が触媒担体の微細孔に入り込まない限り触媒利用率を高める効果は生じない。

0011

また、ナノメーター(nm)オーダーの微細孔に侵入できるように高分子電解質イオノマーの大きさを小さくする方法もある。しかし、使用する高分子電解質の重合度、溶媒やイオノマー濃度に制限があり、そのような方法によってもnmオーダーのカーボン微細孔中に自由に侵入できる程イオノマーの大きさを十分に小さくすることはできない。

0012

本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、従来よりも簡便な製造法により、触媒微粒子担持カーボンを短時間で製造することが可能であり、同時に触媒利用率を著しく改善して燃料電池の性能を高めた燃料電池用電極を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するため、請求項1に記載のように、炭水化物に1種または2種以上の触媒成分を含有させ、脱水剤により触媒成分含有炭水化物を脱水して該炭水化物を炭化させることを特徴とする触媒微粒子担持カーボンの製造方法を考案した。

発明の効果

0014

本発明によれば、触媒微粒子をカーボン担体に高分散させることが可能であり、炭水化物を脱水剤によって脱水炭化することにより、焼成工程を経ることなくカーボンを生成させるので、触媒微粒子が凝集やシンタリングすることなく高分散に担持されたカーボンを従来法に比べより簡便に短時間で触媒微粒子担持カーボンを製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明における触媒微粒子担持カーボンの製造方法を実現する実施の形態を、第1実施態様に基づいて説明する。

0016

本発明の触媒微粒子担持カーボンの製造方法は、炭水化物に1種または2種以上の触媒成分を含有させ、脱水剤で触媒成分含有炭水化物を脱水して該炭水化物を炭化させることにより達成される。

0017

前記担持カーボンの製造方法において、前記触媒成分が、貴金属あるいは金属酸化物から1種または2種以上選択されることが好ましい。そのなかでも、触媒成分の添加法として、コロイド状の貴金属あるいは金属酸化物を前記炭水化物に分散含有させることがより好ましい。触媒コロイド溶液貴金属コロイドあるいは金属酸化物コロイドであり、燃料電池用触媒として使用でき、かつ、濃硫酸などの脱水剤に溶解しないものであれば用いることができる。例えば、貴金属としてPt、Au、Ru、Ir、Os、Ag、Pdなどが挙げられ、金属酸化物としてアルミナシリカチタニアイットリアジルコニア酸化ニオブ酸化モリブデン酸化インジウム酸化スズ酸化タングステン酸化白金酸化ルテニウム酸化イリジウム酸化銀酸化パラジウムなどが挙げられる。なかでも、質量活性が高いことから、コロイド状Ptが好ましい。これにより、貴金属、金属酸化物の中から任意の組み合わせ、組成を目的に合わせて自由に選択することが可能である。さらに、コロイド状の触媒微粒子を用いるため、炭水化物を炭化した後の焼成工程が不要であり、触媒粒子のシンタリングを抑制することが可能な触媒微粒子担持カーボンの製造を簡便に行うことができる。

0018

前記担持カーボンの製造方法において、前記炭水化物が、単糖類二糖類多糖類分類される糖類のうち1種または2種以上混合してなるものであることが好ましい。また、カーボン原料である炭水化物は、濃硫酸などの脱水剤によって脱水され炭化するものであれば用いることができる。つまり、グルコースガラクトースフルクトースマンノースグリセルアルデヒドジヒドロキシアセトンエリトロースリブロースキシルロースセドヘプツロースリボースデオキシリボースソルボースグルコサミンおよびガラクトサミンなどの単糖類や、マルトースラクトースセロビオースイソマルトースラフィノースおよびスクロースなどの二糖類や、オリゴ糖類や、デンプングリコーゲンセルロース糖タンパク質グリコサミノグリカンおよび糖脂質などの多糖類から選ぶことができる。

0019

コロイド状の貴金属あるいは金属酸化物の触媒コロイド溶液と炭水化物を混合させた後、乾燥させて溶媒を蒸発させる。乾燥は、溶媒が多量に残っていると、脱水剤を加えた際に、脱水剤の濃度が減少してしまうので、十分に行う必要がある。そのため、乾燥は、通常、70〜110℃において、8時間以上、好ましくは12〜36時間の範囲で行う。

0020

触媒成分を分散含有させた炭水化物は、例えば50メッシュ以下に粉砕粉末状にして濃硫酸などの脱水剤を加える。該炭水化物が上記の範囲に粉砕されないと、該炭水化物と脱水剤との接触効率が不十分で、脱水炭化に多くの時間を要し、経済的ではないからである。濃硫酸の脱水作用により、炭水化物が脱水炭化され触媒微粒子が担持されたカーボンが生成する。ここで、炭水化物の炭化の終了は脱水反応槽内の温度が反応開始前の温度プラス5℃より低下したことをチェックすることにより確認する。脱水炭化反応発熱反応であるので、反応中は反応部の温度が高くなるが、反応の終了とともに当初の温度に戻っていく。脱水は、通常、室温で行うが脱水反応の速度を制御するため冷却または加熱して行ってもよい。また、脱水に要する時間は、通常、5分以上、好ましくは10分〜2時間の範囲である。脱水に要する時間が5分未満の場合には、炭水化物の炭化が不十分となり、未炭化部分を除去する別の工程が必要となることから好ましくない。

0021

例えば、グルコースを使用した場合、炭化は次のように表せる。

0022

0023

これにより、カーボン原料として安価な糖類を使用するので、低いコストで触媒微粒子担持カーボンを製造することが可能である。

0024

前記担持カーボンの製造方法において、前記脱水剤が、濃硫酸であることが好ましく、さらに、前記濃硫酸が、90〜98%の硫酸を含むことが好ましい。また、前記濃硫酸の使用量が、前記炭水化物1gあたり0.1〜10cm3であることが好ましい。ここで、硫酸濃度が90%未満であると、十分な脱水能力が得られないため炭水化物の炭化が十分に進行せず、一方、98%を超えると、濃硫酸の粘性が高くなるため、炭水化物の脱水炭化を均一に行うことが困難になる。また、濃硫酸使用量が炭水化物1gあたり0.1cm3未満であると、炭水化物を十分に脱水炭化することができなくなる。他方、炭水化物1gあたり10cm3を超えると、炭水化物に分散含有させた触媒成分が濃硫酸中に流れ出てしまい、所望の触媒担持量を得られなくなる。これにより、適量および適した濃度に調節した濃硫酸を使用することによって、炭水化物の脱水炭化を速やかにかつ均一に行うことができるので、触媒微粒子を高分散担持したカーボンを短時間で製造することができる。

0025

前記担持カーボンの製造方法において、前記担体カーボン1gにつき10cm3の精製水を加えることによって生成される触媒微粒子担持カーボンスラリーのpHが、6より酸性であることが好ましく、さらに1〜5の範囲がより好ましい。脱水剤による脱水炭化工程終了後、過剰な硫酸成分や炭化されずに残った炭水化物を洗い流すために、得られた触媒微粒子担持カーボンを精製水により水洗する。必要に応じて精製水ではなく、濃硫酸あるいは希硫酸で触媒微粒子担持カーボンの洗浄を行ってもよい。水洗後、乾燥させて粉砕することにより触媒微粒子担持カーボン粉末が得られる。このとき、触媒微粒子担持カーボンのpHが6以下であるように水洗する。ここで「触媒微粒子担持カーボンのpH」とは、担体カーボン1gにつき10cm3の精製水を触媒微粒子担持カーボン粉末に加えて良く攪拌することによって生成される触媒微粒子担持カーボンスラリーのpH値を表す。pHの測定は市販のpHメーターを用いて行う。これにより、触媒微粒子担持カーボンに残留する硫酸量の下限を規定し、燃料電池用電極触媒として効果的にプロトン導電性を付与することができるため、触媒利用率を向上させることが可能であり、高活性の電極触媒を製造することができる。

0026

前記担持カーボンの製造方法において、前記炭水化物が、平均粒径(直径)1mm以下、好ましくは0.01〜0.5mmの粉末であることが好ましい。これにより、炭水化物に触媒微粒子を含有させる工程において均一に高分散に触媒を含有させることができるので、高活性の燃料電池用電極触媒を作製することができる。

0027

本発明による触媒微粒子担持カーボンであれば担体カーボンや触媒微粒子自体が有する電子導電性に加え、カーボン担体の主に細孔内に残留している硫酸が有するプロトン導電性も付与されることになる。

0028

脱水炭化工程後の精製水や硫酸水溶液による触媒微粒子担持カーボンの洗浄工程は、燃料電池性能に影響を与えなければ省略することができる。

0029

次に、本発明における燃料電池用電極を実現する実施の形態を、第2実施態様に基づいて説明する。

0030

前記燃料電池用電極において、製造した触媒微粒子担持カーボン中に硫酸成分が残留していることによりプロトン導電性を有してなる材料を用いることによって達成される。これにより、燃料電池用電極触媒として効果的にプロトン導電性を付与することができるため、触媒利用率を向上させることが可能であり、高活性の電極触媒を製造することができる。なお、触媒微粒子担持カーボンとしては、前記第1の実施態様で説明した方法で脱水剤として硫酸を用いて得られたものを用いることができる。

0031

この触媒微粒子担持カーボンは、固体高分子型燃料電池に好適に用いることができるが、リン酸型燃料電池の電極触媒として用いることもできる。固体高分子型燃料電池においては、例えば、上記触媒微粒子担持カーボン、イオン交換樹脂などの固体電解質を含む触媒層をシート状に形成するか、又はガス拡散層上に形成するなど公知の方法を採用することができる。リン酸型燃料電池においては、例えば、触媒微粒子担持カーボン、フッ素樹脂インク状またはペースト状として基材に塗布するなど公知の方法を採用できる。

0032

以下では、本発明の実施例を記載するが、この実施例は本発明を限定するものではない。

0033

(実施例)グルコース(平均直径:0.1mm)20gと5wt.%のPtを含んだPtコロイド溶液40gを良く混合攪拌した後、80℃で18時間乾燥させて溶媒を蒸発させた。固化したPtコロイド含有グルコースを50メッシュ以下に粉砕し粉末状にした。この粉末をビーカーに入れて96%濃硫酸20cm3を加えた。濃硫酸によりグルコースが脱水され炭化した。これを水洗し、乾燥後粉砕することによりPt担持カーボンを得た。このPt担持カーボンの平均Pt粒子径は透過型電子顕微鏡で調べた結果、約4nmであった。さらに、Pt担持量を誘導結合プラズマ発光分光法によって調べた結果、19.1wt.%のPtが担持されており、Ptのほとんどがカーボンに担持されていることがわかった。このPt担持カーボンのpHは3であった。

0034

(比較例1)実施例1の方法と同様に製造を行い、脱水炭化工程後の洗浄工程において精製水を用いて十分に洗浄を繰り返し行うことによって、触媒微粒子担持カーボンに含まれる硫酸を極力除去した。このPt担持カーボンのpHは7であった。このPt担持カーボンの平均Pt粒子径は約4nmであり、Pt担持量は誘導結合プラズマ発光分光法によって調べた結果、18.7wt.%であった。

0035

(比較例2)導電性カーボンブラック(Vulcan XC−72)4gを0.4wt.%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中に分散させ、これにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流しながら70℃に加熱して白金の還元担持を行った。放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することによりPt担持カーボンを得た。このPt担持カーボンの平均Pt粒子径は約3nmであった。Pt担持量を誘導結合プラズマ発光分光法によって調べた結果、19.4wt.%のPtが担持されていた。

0036

(電極触媒の評価)次に、上記の実施例電極触媒および比較例電極触媒を用いて、固体高分子電解質型燃料電池単セルを構成した。見かけ電極面積1cm2あたりの白金の含有量はいずれの電極触媒についても0.5mgとした。

0037

これらの燃料電池単セル性能測定を行った。本測定ではアノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力大気圧とし、水素は80℃で、空気は60℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は80℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度セル電圧特性を調べた。

0038

図3は、実施例および比較例電極触媒を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池のセル電圧と電流密度との関係を示すグラフである。図3に示すように、比較例1および比較例2電極触媒を用いた燃料電池に比べ、実施例電極触媒を用いた燃料電池において得られるセル電圧は、いずれの電流密度においても高い値を示していることがわかる。

0039

さらにこの結果から、実施例および比較例電極の質量活性の比較を行った。ここで「質量活性」とは、一定のセル電圧のとき(主にセル電圧0.9Vのとき)に電極に含まれている触媒の単位重量あたり電流値で定義され、単位はA/gで表される。つまり、質量活性の値が高いほど活性が高く、高性能電極と言える。

0040

0041

表に示すように、従来法で作製した比較例2電極の質量活性は63A/g−Ptであったのに対し、実施例電極の質量活性は132A/g−Ptであった。一方、実施例電極と製造工程中の洗浄工程が異なるだけの比較例電極の質量活性は51A/g−Ptであった。これは、実施例電極の方が平均白金粒径は大きいにも関わらず、白金の利用率が高いため、大きな質量活性値を示したと考えられる。また、比較例1電極と実施例電極の結果の比較により、触媒担持カーボンに残留している硫酸成分によって、質量活性が高くなっていると言える。

0042

特開平9−167622に担体カーボンに含まれる硫黄成分により触媒が被毒され電極性能が低下することが示されているが、本発明による硫酸を含有させた触媒微粒子カーボンは固体高分子型燃料電池の電解質膜として使用されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーにも含まれているスルホン酸基を持つ硫酸が含まれているだけであり、スルホン酸によって触媒は被毒されないため、電極性能低下は起こらない。さらに、担体カーボンの原料である炭水化物には硫黄分は含まれていないので、特開平9−167622に示されているような硫黄成分の被毒による電極性能の低下は本発明による硫酸を含んだ触媒微粒子担持カーボンでは生じないといえる。

0043

図2は、本発明に係る燃料電池電極の触媒層における触媒微粒子担持カーボンの表面と残留した硫酸が充填された微細孔と固体高分子電解質の接触状態を示す模式図である。図2の模式図に示すように、これは、従来法では高分子電解質が侵入できないような微細孔中にプロトン導電性を有する硫酸が残留しており、微細孔中の触媒微粒子も3相界面を形成することができるため、触媒利用率が著しく改善され、質量活性が高い値を示したと考えられる。

図面の簡単な説明

0044

図1は、従来法によって作製された燃料電池電極の触媒層における触媒微粒子担持カーボンの表面と固体高分子電解質の接触状態を示す模式図。
図2は、本発明に係る燃料電池電極の触媒層における触媒微粒子担持カーボンの表面と残留した硫酸が充填された微細孔と固体高分子電解質の接触状態を示す模式図。
図3は、実施例および比較例電極触媒を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池のセル電圧と電流密度との関係を示す図。

--

0045

1…担体カーボン
2…固体高分子電解質
3…反応に有効な触媒微粒子
4…反応に寄与しない触媒微粒子
5…担体カーボンの微細孔
6…硫酸が残留している担体カーボンの微細孔

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