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概要
背景
縞鋼板を代表とする突起付鋼板の突起形状を良好に保つための手段として、従来は仕上前の被圧延材の温度、板厚変動等の外乱要素を抑える方法、例えば特開昭62−57701号が提案されている。しかしながら、実際の圧延に際しては、スラブを加熱する際に発生するスキッドマークによる温度変動や、これに伴う被圧延材の板厚変動を完全に無くすことはできない。
これに対し、特開平8−164401号では、仕上圧延機出側の板厚計で実測した板厚と、該実測値から推定した仕上圧延機最終スタンド入側の板厚推定値を利用して、仕上圧延機最終スタンドの前スタンドの圧下を動作させ、仕上圧延機最終スタンドでの圧下率を一定にするような方法が提案されている。
また、特開平9−38706号では、幅方向の同一位置に突起物がある鋼板を製造するに際し、突起物のない部分の厚みを測定し、その測定値により最終スタンドの圧下位置を調整して厚みの自動制御を行う方法が提案されている。
概要
突起物の形状が良好で、板厚精度の良い鋼板を得ること。
仕上最終圧延スタンド2の出側に板厚計4を配置する。この板厚計4により測定された測定値と板厚設定値との板厚偏差を差分器7で演算する。この差分器7により演算された前記板厚偏差がなくなるように仕上最終圧延スタンド2と仕上最終前圧延スタンド3の圧下量を操作すべく板厚制御器8を制御し、仕上最終圧延スタンド2での圧下量を、ストリップ1の長手方向で一定となるように制御して圧延する。
突起物の高さを一定に保つことができる上に、ストリップの板厚を一定に保つことができ、すなわち突起物の形状を良好に保つことができるようになる。
目的
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、突起物の形状が良好で、板厚精度の良い鋼板を得ることができる鋼板の熱間圧延方法及びこの方法を実施する熱間圧延装置を提供することを目的としている。
効果
実績
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この技術が所属する分野
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技術分野
背景技術
0002
縞鋼板を代表とする突起付鋼板の突起形状を良好に保つための手段として、従来は仕上前の被圧延材の温度、板厚変動等の外乱要素を抑える方法、例えば特開昭62−57701号が提案されている。しかしながら、実際の圧延に際しては、スラブを加熱する際に発生するスキッドマークによる温度変動や、これに伴う被圧延材の板厚変動を完全に無くすことはできない。
0003
これに対し、特開平8−164401号では、仕上圧延機出側の板厚計で実測した板厚と、該実測値から推定した仕上圧延機最終スタンド入側の板厚推定値を利用して、仕上圧延機最終スタンドの前スタンドの圧下を動作させ、仕上圧延機最終スタンドでの圧下率を一定にするような方法が提案されている。
0004
また、特開平9−38706号では、幅方向の同一位置に突起物がある鋼板を製造するに際し、突起物のない部分の厚みを測定し、その測定値により最終スタンドの圧下位置を調整して厚みの自動制御を行う方法が提案されている。
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、特開平8−164401号で提案された方法では、仕上圧延機最終スタンドの入側の板厚を推定するために高速サンプリングができる高価な計算機が必要となり、経済性にかけるうえに、被圧延材の板厚は初期の圧下位置により決まってしまい、板厚外乱や初期設定の誤差を無くすことができず、板厚精度の向上が望めない。
0006
また、特開平9−38706号で提案された方法では、最終スタンドの圧下位置を動作させることにより、突起物のない部分の板厚は目標値に制御されるが、最終スタンドの圧下量が変化するために、突起物の板厚が変化してしまい、突起物形状を損ねるという欠点がある。
0007
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、突起物の形状が良好で、板厚精度の良い鋼板を得ることができる鋼板の熱間圧延方法及びこの方法を実施する熱間圧延装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0008
上記した目的を達成するために、本発明に係る鋼板の熱間圧延方法は、複数のスタンドからなる熱間仕上圧延機における最終圧延スタンドでの圧下量を、被圧延材の長手方向で一定となるように制御して圧延することとしている。そして、このようにすることで、突起物の高さを一定に保つことができるようになる。
0009
上記の本発明に係る鋼板の圧延方法は、最終圧延スタンドの出側に配置された板厚計と、この板厚計により測定された測定値と板厚設定値との板厚偏差を演算する差分器と、この差分器により演算された前記板厚偏差がなくなるように最終圧延スタンドと最終圧延スタンドの前スタンドの圧下量を操作すべく制御する板厚制御器を備えた本発明に係る鋼板の熱間圧延装置によって実施可能である。
発明を実施するための最良の形態
0010
本発明者は突起付鋼板を熱間圧延する方法について種々研究、実験を行なった結果、板厚制御を行なう範囲においては、熱間仕上圧延機における最終圧延スタンドの圧下量と突起物の高さに比例関係を有することを知見した。その一例を図2に示すが、この図2は厚さが5mmの普通鋼板の場合における前記最終圧延スタンドの圧下量と突起物の高さの関係を調査した結果である。
0011
本発明に係る鋼板の熱間圧延方法は、上記の知見に基づいてなされたものであり、複数のスタンドからなる熱間仕上圧延機における最終圧延スタンドの上ロール若しくは下ロールに凹凸を設け、板上面若しくは下面に突起形状を設ける圧延方法において、前記最終圧延スタンドでの圧下量を、被圧延材の長手方向で一定となるように制御して圧延するものである。
0012
本発明に係る鋼板の熱間圧延方法によれば、目標とする突起物の高さに応じて、前記最終圧延スタンドの圧下量が一定となるように制御することで、突起物の高さを一定に保つことができるようになる。
0013
上記の本発明に係る鋼板の熱間圧延方法において、最終圧延スタンドの出側で板厚を測定し、この測定値と板厚設定値との偏差がなくなるように最終圧延スタンドと最終圧延スタンドの前スタンドの圧下量を操作するようにすれば、突起物の高さを一定に保つことができる上に、被圧延材の板厚を一定に保つことができ、すなわち突起物の形状を良好に保つことができるようになる。
0014
そして、この本発明に係る鋼板の圧延方法は、最終圧延スタンドの出側に配置された板厚計と、この板厚計により測定された測定値と板厚設定値との板厚偏差を演算する差分器と、この差分器により演算された前記板厚偏差がなくなるように最終圧延スタンドと最終圧延スタンドの前スタンドの圧下量を操作すべく制御する板厚制御器を備えた本発明に係る鋼板の熱間圧延装置によって実施可能である。
0015
以下、本発明に係る鋼板の熱間圧延装置を図1に示す実施例に基づいて説明し、この本発明に係る鋼板の熱間圧延装置を用いた本発明に係る鋼板の熱間圧延方法の説明に及ぶ。図1は本発明に係る鋼板の熱間圧延方法を実施する本発明に係る鋼板の熱間圧延装置の概略構成図である。
0016
図1において、1はストリップであり、圧延方向に従って、例えば紙面右から左方向に圧延されている。2は仕上圧延機における最終圧延スタンド(以下、「仕上最終圧延スタンド」という。)、3は仕上最終圧延スタンド2の前スタンド(以下、「仕上最終前圧延スタンド」という。)を示している。
0017
この図1において、仕上最終圧延スタンド2で圧延されたストリップ1の板厚は、仕上最終圧延スタンド2の出側にある板厚計4により計測され、板厚測定器5により板厚測定値として差分器7に出力される。差分器7では、前記板厚測定値と、板厚設定器6からの板厚設定値とで板厚偏差を演算し、板厚制御器8へ出力する。
0018
また、圧下量設定器9より出力された仕上最終圧延スタンド2の圧下量設定値も前記板厚制御器8に入力され、板厚制御器8では、該板厚偏差と該圧下量設定値に応じて仕上最終圧延スタンド2と仕上最終前圧延スタンド3の圧下位置の設定を行う。
0019
圧下位置の設定にあたっては、差分器7からの板厚偏差に応じて比例若しくは比例積分制御を行い、板厚偏差が0となるように圧下位置の変更量を演算すると共に、圧下量設定器9からの圧下量設定値を加味することにより、該スタンドの圧下位置指令値を演算することになる。
0020
この板厚制御器8より出力された各々のスタンドの圧下位置指令値は、仕上最終圧延スタンド2の圧下駆動装置10と、仕上最終前圧延スタンド3の圧下駆動装置11へ各々出力され、各々の圧下装置12,13を同期して作動させる。
0021
これにより、ストリップ1の板厚は板厚設定値と一致するように制御され、さらに仕上最終圧延スタンド2での圧下量は一定となる。
0022
図3は本発明に係る鋼板の熱間圧延方法の効果を示す図である。図3は、板厚が5.0mm、板幅が1000mmで炭素含有量が0.05質量%の普通鋼の縞板を熱間圧延した場合の結果を示したものであり、仕上圧延機における最終圧延スタンドの圧下量は目標が2mm、目標縞高さが1.6mm、最終前スタンド出側での板厚目標値が7.0mmとしている。
0023
図3(a)は、本発明に係る鋼板の熱間圧延方法による最終圧延スタンドの圧下位置の変化を示したもので、板厚を一定にすべく開閉動作を行なっている。なお、従来の熱間圧延方法では、圧下位置は初期の圧下位置設定のまま一定で圧延されることになる。
0024
図3(b)は最終圧延スタンド出側での板長手方向の板厚変動を示したものであり、従来方法の圧延結果を破線で示し、本発明方法の圧延結果を実線で示している。従来方法によれば、板厚は初期の圧下設定によって決定されるので、この例では目標板厚より約0.1mm厚めとなっている。また、板長手方向では、スキッドマーク等により板厚変動が大きくなっている。
0025
これに対し、本発明方法によれば、最終圧延スタンドで、図3(a)に示したような圧下位置調整を行うことにより、図3(b)に実線で示したように初期の圧下設定の誤りが修正でき、板長手方向に良好な板厚が得られている。更に本発明方法によれば、最終圧延スタンドと最終前圧延スタンドとの圧下位置差を、図3(c)に示すように一定に保つことができた。
0026
この結果として、図3(d)に縞高さの実測結果を示す。この図3(d)では、縞高さの実測値を黒丸で示し、横軸は図3(a)〜(c)と一致させている。また、従来方法による圧延結果を点線で、本発明方法による圧延結果を実線で結んでいる。
0027
従来方法によれば、縞高さも初期の最終圧延スタンドと最終前圧延スタンドの圧下位置設定値、すなわち圧下位置差で決まってしまい、板厚が目標より厚めとなっているため、縞高さも目標値に比べて若干低めとなっているが、本発明方法では、ほぼ目標とする縞高さ通りの圧延がなされていることが判る。
発明の効果
0028
以上説明したように、本発明によれば、目標とする突起物の高さに応じて、仕上げ圧延機における最終圧延スタンドの圧下量が一定となるように制御することで、突起物の高さを一定に保つことができるようになる。
0029
また、上記の本発明において、最終圧延スタンドの出側で板厚を測定し、この測定値と板厚設定値との偏差がなくなるように最終圧延スタンドと最終圧延スタンドの前スタンドの圧下量を操作するようにすれば、突起物の高さを一定に保つことができる上に、被圧延材の板厚を一定に保つことができ、すなわち突起物の形状を良好に保つことができるようになる。
図面の簡単な説明
0030
図1本発明に係る鋼板の熱間圧延方法を実施する本発明に係る鋼板の熱間圧延装置の概略構成図である。
図2熱間仕上圧延機における最終圧延スタンドの圧下量と突起物の高さの関係の一例を示した図である。
図3本発明に係る鋼板の熱間圧延方法の効果を示す図で、(a)は本発明に係る鋼板の熱間圧延方法による最終圧延スタンドの圧下位置の変化を示した図、(b)は最終圧延スタンド出側での従来方法と本発明方法の板長手方向の板厚変動を示した図、(c)は(b)の本発明方法における最終圧延スタンドと最終前圧延スタンドの圧下位置差を示す図、(d)は従来方法による場合と本発明方法による場合の縞高さの実測結果を示す図である。
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0031
1ストリップ
2 仕上最終圧延スタンド
3 仕上最終前圧延スタンド
4板厚計
7差分器
8板厚制御器
12圧下装置
13 圧下装置