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技術 泌乳能力の遺伝形質の診断法

出願人 加藤寿次
発明者 加藤寿次
出願日 2002年4月16日 (18年8ヶ月経過) 出願番号 2002-113675
公開日 2003年10月28日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-304777
状態 拒絶査定
技術分野 家畜、動物の飼育(3)(その他の飼育)
主要キーワード カラー区分 色区分 同一地区 相関計 最盛期 乳脂肪率 固形率 色分類
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年10月28日)のものです。
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図面 (8)

目的

本発明は、個体の持っている、乳量乳脂肪乳蛋白質及び乳糖遺伝形質診断法に関する発明である。

構成

本発明は、乳牛系統を全く考えない対象牛群と血縁関係の強い牛を選抜した試験牛群の二つの牛群における乳量と各乳成分率相関関係の違いから、各乳成分率は独自な遺伝をすることを見出し、それぞれの乳牛が持っている遺伝形質を診断することを特徴とする泌乳能力の遺伝形質の診断方法の構成である。

概要

背景

従来から行われている現代酪農では、乳牛から牛乳搾乳する時は搾乳機であるミルカーによって搾乳され、多数の乳牛からミルカーにより搾乳された牛乳は、搾乳直後から多くの乳牛の牛乳が混合されている。

概要

本発明は、個体の持っている、乳量乳脂肪乳蛋白質及び乳糖遺伝形質診断法に関する発明である。

本発明は、乳牛の系統を全く考えない対象牛群と血縁関係の強い牛を選抜した試験牛群の二つの牛群における乳量と各乳成分率相関関係の違いから、各乳成分率は独自な遺伝をすることを見出し、それぞれの乳牛が持っている遺伝形質を診断することを特徴とする泌乳能力の遺伝形質の診断方法の構成である。

目的

そこで、本発明の本特許出願人は、試験牛群と対象牛群の「乳量」と「乳脂肪率乳蛋白質率乳糖率」間の相関関係の違いから、脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率は独自に遺伝していることを解明し、個体牛の持っている、乳量、乳脂肪、乳蛋白質及び乳糖の遺伝形質の診断法を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

乳牛系統を全く考えない対象群と血縁関係の強い牛を選抜した試験牛群の二つの牛群における乳量と各乳成分率相関関係の違いから、各乳成分率は独自な遺伝をすることを見出し、それぞれの乳牛が持っている遺伝形質診断することを特徴とする泌乳能力の遺伝形質の診断方法

--

0001

本発明は、個体の持っている、乳量乳脂肪乳蛋白質及び乳糖泌乳能力遺伝形質診断法に関する発明である。

背景技術

0002

従来から行われている現代酪農では、乳牛から牛乳搾乳する時は搾乳機であるミルカーによって搾乳され、多数の乳牛からミルカーにより搾乳された牛乳は、搾乳直後から多くの乳牛の牛乳が混合されている。

発明が解決しようとする課題

0003

このように、集乳段階でも、乳成分率違う多くの農家の牛乳が混合され、乳成分率は集乳段階を経るほど、平均化された中で酪農が営まれている。従って、牛群検定を実施しない限り、個体牛の乳量、乳成分率は理解できず、当然、一般農家は自分の飼育乳牛が有する遺伝形質は全く知らないとの問題が指摘されている。乳牛の泌乳能力は、遺伝に支配され、形質は親から子に伝えられている。当然、それぞれの牛の乳量と乳成分率は皆違っている。しかし、形質の発現は、遺伝の要因が強いか、或いは、環境条件による作用が強いか判別する方法はない。

0004

牛乳の成分は、乳脂肪、乳蛋白質、乳糖、無機成分の4成分から構成され、それぞれの牛の成分割合は、母牛から子牛に遺伝することは理解されている。しかし、現在の乳成分表示は、乳脂肪率乳蛋白質率無脂固形分率の三成分で標示されている。

0005

無脂固形分率は、単独成分率の標示ではなく、乳蛋白質率、乳糖率と無機成分率を一括して総称した乳成分率の標示である。その結果、無脂固形分率の遺伝を正しく評価していない。

0006

無脂固形分率を構成する、乳蛋白質率と乳糖率の分娩後の変動は相反している(表3参照)。従って、無脂固形分率の遺伝を一括考慮したのでは、乳蛋白質率と乳糖率の遺伝が違うので、無脂固形分率の遺伝を正しく評価は出来ない。乳牛の乳量も乳成分率も、遺伝に支配され、その牛の泌乳能力は決まっている。

0007

そこで、本発明の本特許出願人は、試験牛群と対象牛群の「乳量」と「乳脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率」間の相関関係の違いから、脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率は独自に遺伝していることを解明し、個体牛の持っている、乳量、乳脂肪、乳蛋白質及び乳糖の遺伝形質の診断法を提供することを目的とするものである。

0008

本願発明は、上記問題を解決するために、乳牛の系統を全く考えない対象牛群と血縁関係の強い牛を選抜した試験牛群の二つの牛群における乳量と各乳成分率の相関関係の違いから、各乳成分率は独自な遺伝をすることを見出し、それぞれの乳牛が持っている遺伝形質を診断することを特徴とする泌乳能力の遺伝形質の診断方法の構成とした。

0009

図1は、乳牛の乳量平均値分布を示した図である。符号4は、乳牛の乳量平均値の分布を示した図である。乳牛の乳量の平均値を計算する資料の中で41.22kgから32.40kgが一番多く存在しているという意味です。従って、この間の乳量がカラー区分では黒プリント(+,−共になし)で示されます。

0010

図1に示すように、乳量36.81kgが一番多く分布していたという意味です。乳量の高い乳牛の分布は、次第に少なくなっています。同様、乳量の低い牛の分布も少なくなります。中央値から離れるほど分布は少なくなっていることを示しています。

0011

平均値を計算する場合、それぞれの標本の値を大きい順に並べた時、ちょうど中央にくる値が一番多く中央値と言う。図1は、乳量標本の分布度を示した図であり、最も多く分布している乳量(中央値)が平均値(波線で表示)である。

0012

平均値だけでは、その集団数値を正しく表現できない。そのために、標本の広がりを現すのが標準偏差である。図1で、表2に示したように、分娩後1ヶ月の平均乳量36.81±8.81で説明すると、一番多く分布していた乳量、36.81キロが平均値である。

0013

0.5標準偏差以上の乳量(41.22キロ以上)を示す牛は、泌乳能力の高い乳牛で分布は次第に少なくなっている。(青プリント標示、黒白プリントでは「+」標示)。逆に、0.5標準偏差以下の乳量(32.40キロ以下)を示す牛は、泌乳能力の低い牛で分布は次第に少なくなっている(赤プリント標示、黒白プリントでは「−」標示)。

0014

現在の酪農は、乳量、乳成分率は総て平均値で処理されている。その場合、平均値(中央値)だけの計算では、統計的推論には役立たない。集団の、バラツキを現すのが標準偏差である。

0015

例えば、「表2」に示したように、「表2」では、分娩後1カ月時点の平均乳量は36.81kgで示されている。この平均値の中には30.69kgの乳量も、41.56kgも含まれており、その中で最も多かった乳量(中央値)36.8kgが、平均値で示されている。乳量の「ばらつき」を表現するのが標準偏差であり、36.81±8.81kgで示される(図1)。

0016

酪農の経営は、平均値の中で進められているので個体牛(1頭1頭の個々の乳牛)の情報は集めにくい。乳牛の泌乳能力(乳牛の乳を出す能力をいう。)は遺伝に支配され、形質は親から子に伝わっている。検定成績からその牛が持っている遺伝形質を示す方法は無い。

0017

泌乳能力は遺伝に支配され、形質は親から子に伝えられている。形質の発現には、遺伝と環境が関与しているが、それぞれの乳牛の遺伝形質を診断する方法は無い。

0018

その地区の牛群検定成績を入力し、平均値±標準偏差を計算し基準成績を計算した。診断対象牛の泌乳能力が、(1)基準成績の+0.5標準偏差以上にあれば青プリント「+」で示し、(2)+0.5標準偏差以下から、−0.5標準偏差以上にあれば、普通の黒字プリントで示し、「+−」の標示なし、(3)−0.5 標準偏差以下の場合は赤プリント「−」で色分類した。(4)カラー分類された乳量を、10ヶ月間ないし12ヶ月間に渡って見ることで、その乳牛の泌乳能力を示している。

0019

1.乳成分(乳脂肪、乳蛋白質、乳糖)の遺伝
乳脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率は、(1)同じパターンで遺伝しているのか、(2)或いは、各成分率は独自な表現型をしているのか分かっていない。それ故に、先ず、このことを明らかにする必要がある。

0020

この問題を明らかにし解決するために、同じ遺伝子を特に違う産次の乳量、乳成分率を集めた牛群「試験牛群」と、血統関係が極めて希薄な牛を集めた牛群「対象牛群」の乳量と各乳成分率の相関関係の違いから検証する。

0021

「試験牛群」で選抜した牛は、38頭の牛を選抜し、延べ産次151回、総搾乳回数1498回(平均9.9回)の、一泌乳期の平均乳量と平均乳成分率間の相関関係から考察した。この牛群に属する牛の、脂肪乳率、乳蛋白質率及び乳糖率は、遺伝的要因によって決まる成分率の割合が強かった。

0022

対象牛群で選抜した牛は、27頭の牛を選抜し、286搾乳回数時の乳量と各乳成分率間の相関関係を調べた。この牛群の牛は、血統関係の極めて希薄の牛を任意に選択した。この牛群に属する牛の乳脂肪率、乳蛋白質率並びに乳糖率の決定は、遺伝的要因によって決まる割合は試験牛群よりも低い。

0023

試験牛群と対象牛群の間の乳量と乳脂肪率、乳蛋白質率及び乳糖率の相関関係の違いから、各乳成分率の遺伝について考えて見た。

0024

表1に、「試験牛群」と「対象牛群」の相関関係と回帰式を示した。
表1乳量と各乳成分間の相関関係
試験牛群 対象牛群
相関係数回帰式 相関係数 回帰式
乳量−乳脂肪率−0.19※ y=4.55−0.019x −0.29 y=4.63−0.024x
乳量−乳蛋白質率−0.46 y=3.90−0.020x −0.58 y=4.09−0.025x
乳量−乳糖率−0.29 y=4.78−0.010x −0.12 相関関係成立せず
乳量−無脂固形分率−0.45 y=9.68−0.030x −0.46 y=9.50−0.022x
乳量−全固形分率−0.29 y=14.02−0.043x −0.44 y=14.16−0.047x
註)乳量と各成分間には1%の危険率で相関関係成立
※5%の危険率で相関関係成立

0025

試験牛群では、一泌乳期の平均乳量が増加するほど、一泌乳期の平均乳脂肪率、一泌乳期の平均乳蛋白質率及び平均乳糖率はいずれも低くなり、負の相関関係が成立した。

0026

但し、乳量と乳脂肪率間の相関関係の成立は、危険率5%であり相関関係は一番弱かった。負の相関関係の成立したとは、乳量が増えるほど乳成分率は低下することを意味している。

0027

対象牛群の乳量と乳脂肪率、乳蛋白質率の間には負の相関関係が成立し、相関関係は試験牛群より高かった。乳量が増えるほど乳脂肪率と乳蛋白質率は低くなったが、その関係は試験牛群よりも密接であった。しかし、乳量と乳糖率の間には相関関係は成立せず、乳糖率の決定には乳量はあまり関係していなかった。

0028

両牛群の乳量と乳脂肪率、乳蛋白質率の関係を相関計数の違いから考えると、血縁関係が濃密な試験牛群よりも、血縁関係の希薄な対象牛群の相関係数の方が高かった。乳脂肪率と乳蛋白質率は、遺伝的に決まる成分率よりも、環境条件で決定する成分率の割合の方が多いことを示していた。

0029

試験牛群の、一泌乳期の平均乳量と平均乳糖率の間には負の相関関係が成立した。一泌乳期の平均乳量が多いと、一泌乳期の平均乳糖率は低下すると言う意味である。乳糖率は、牛自身で遺伝的に決まっている乳糖率を持っている牛が多いことを意味している。

0030

両牛群間の乳量と乳脂肪率、乳蛋白質率の間にはいずれも負の相関関係が成立し、回帰式が得られた。しかし、乳量と乳脂肪率、乳蛋白質率の相関係数は、対象牛群の方が高かった。

0031

例えば、「乳量」が30kgの時に得られる「乳蛋白質率」を試験群の回帰式に当てはめると、3.30%が得られた(乳蛋白質率=3.90-(0.02×30)。同様に、対象牛群の回帰式に当てはめると乳量が30kgの時に得られる乳蛋白質率は3.34%であり、相関係数が高い対象群の回帰式の摘要の方が適当である。

0032

乳成分率の遺伝についての全く新しい発見は、乳脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率は独自な遺伝を示していた。乳成分率の決定は遺伝に支配されているが、その外にも、環境要因にも支配されてをり、夏期季節的影響、給与飼料飼養管理の要素が加味されて乳成分率は決まっている。

0033

乳脂肪率、乳蛋白質率及び乳糖率は、それぞれ遺伝に支配されているが、最も遺伝の支配で決まるのは乳糖率であった。遺伝の支配よりも、飼養管理などの環境要因が優先して決まるのは乳蛋白質率であった。乳脂肪率は、両者の中間で決まっていた。乳脂肪率、乳蛋白質率、乳糖率は、それぞれ独自な遺伝を示していることは始めての発見である。

0034

2.泌乳能力の診断法
酪農経営では、自分の飼育牛が持っている遺伝形質を理解し、欠点を改善するのに最適な牡牛を交配することが、将来の経営を大きく左右してくる。そのため、自分の飼育牛の泌乳能力を良く知ることは極めて重要である。

0035

(1)乳量の診断
酪農家が自分で飼育している乳牛の何処に問題があるかは、第三者が作成した成績と比較してみないと判断することが出来ない。その判断をする方法として、その地区の7名の検定農家の飼育している乳牛の、分娩後経過月ごとの当該乳量が出す乳量の平均値を計算して基準にする成績を作った。

0036

まず、最初に、分娩直後15日以内にある乳牛の乳量の平均値±標準偏差を計算し〈0〉区分で示した。次の〈1〉区分は分娩後16〜45日以内の乳量の平均値±標準偏差を示した。

0037

以下、〈2〉区分は分娩後46〜75日以内の乳量平均値±標準偏差で、以下順次各月ごとの平均値±標準偏差を計算した(表2)。
表2 基準(平均)乳量と上限乳量、下限乳量
分娩後の経過日数平均値標準値差 0.5標準偏差 上限乳量 下限乳量
(平均乳量)
0 15日以内 32.42 9.34 4.67 37.09 27.75
1 16〜 45日 36.81 8.81 4.41 41.22 32.40
2 46〜 75日 37.32 8.47 4.24 41.56 32.96
3 76〜105日 35.19 8.03 4.02 39.21 31.17
4 106〜135日 34.10 8.02 4.01 38.11 30.09
5 136〜165日 32.54 7.48 3.74 36.28 28.80
6 166〜195日 30.69 6.83 3.42 34.11 27.27
7 196〜225日 28.87 6.38 3.19 32.06 25.68
8 226〜255日 26.76 6.07 3.04 29.80 23.72
9 256〜285日 24.90 6.20 3.10 28.00 21.80
10 286〜315日 23.76 6.48 3.24 27.00 20.52
診断対象牛の乳量が基準値の上限乳量以上(平均+0.5標準偏差以上)ならば、青プリントで標示し、

0038

図2に示すように、診断対象牛の乳量が、表2の基準乳量の平均値+0.5標準偏差以上ある牛については「青プリント」(図2中に「+」)で乳量を示し、平均値−0.5標準偏差以下の場合は「赤プリント」(図2中に「−」)で示した。因みに、図2図7中の◆は、乳牛の分娩した日を表している。

0039

例えば、診断対象牛の乳量が、分娩後55日(分娩後2区分)で52.kgある場合は、上限乳量以上あるので青プリントで乳量を示し、図2中では「+」で示した。逆に、診断対象の乳量が、分娩後90日で21.0kgの場合は、下限乳量以下なので赤プリントで乳量を示し、図2中では「−」で示した。

0040

黒プリントで標示の場合は、例えば、分娩後3区分の場合には、乳量51.5kg+で示し、分娩後3区分の乳量20.5kg−で示した。標示無しは、黒プリントで示した(図2中では「+」及び「−」が付けられていない)。

0041

牛群検定成績から、同一牛の乳量を12ヶ月間にわたって入力した場合、遺伝的に勝れた泌乳能力を持つ牛は、殆どの月の乳量は青プリント(図2中では「+」が付けられている)で示されていた。遺伝的に勝れた泌乳の表現型を持つ乳牛を示していた。

0042

逆に、分娩後の各月ごとの乳量が、殆ど赤プリント(図2中では「−」が付けられている)で示された乳牛は、遺伝的に能力の低い乳牛であることを示し、後継乳牛として残すべき牛ではなく、淘汰すべき乳牛であることを示している。

0043

31−02−227の番号が付された酪農家で飼育されている293号の乳牛(図2中の下線)と301号の乳牛(図2中の下線)は、分娩後のいかなる月の乳量も平均値+0.5標準偏差以上あり、総て青プリント(図2中では「+」が付けられている)で示され、高い泌乳能力の形質を持つ乳牛であることを示していた(図2)。

0044

逆に、180号の乳牛と183号の乳牛は、分娩後のいずれの月の乳量も平均値−0.5標準偏差以下にあって、赤プリント(図2中では「−」が付けられている)で示され、遺伝的に泌乳能力の低い牛であることを示していた(図2)。

0045

泌乳能力は、遺伝と環境要因に左右されるが、高い泌乳能力の乳牛と低い能力の乳牛に大別されていた。中間の黒プリント(図2中では「+」及び「−」が付されていない)で示される乳牛は、環境要因に左右されて泌乳能力が変わる部分も多いように思う。しかし、超高泌乳牛は分娩後の各月の乳量カラー区分は、総て青プリント(図2中では「+」が付けられている)で示され、高い泌乳能力の形質を持つ牛を示していた。

0046

(2)乳脂肪率、乳蛋白質率並びに乳糖率の遺伝形質の診断
個体乳牛の乳成分率も、乳量と同様に分娩経過月ごとに生理的に変動している乳成分率基準値を作成した。

0047

図3図4図5図6及び図7に示すように、同一地区の同一乳牛で、各乳成分の上限乳成分率(平均値+0.5標準偏差以上)と下限乳成分率(平均値−0.5標準偏差以下)を表3に示した。そして、診断対象乳牛の乳成分率が、基準成績の平均値±標準偏差のどの位置にあるかで、青プリント(図3中では「+」が付けられている)、赤プリント(図3中では「−」が付けられている)、黒プリント(図3中では「+」及び「−」の標示無し)の三色区分で示した(図3図4図5図6図7)。

0048

表3 基準乳成分と上限乳成分、下限乳成分
脂肪率蛋白率乳糖率
分娩後の経過平均値上限 下限 平均値 上限 下限 平均値 上限 下限
0 15日以内 4.68 5.28 4.70 3.33 3.48 3.18 4.38 4.47 4.29
1 16〜 45日 3.75 4.18 3.32 2.90 3.02 2.78 4.55 4.64 4.46
2 46〜 75日 3.55 3.93 3.17 2.92 3.05 2.79 4.58 4.67 4.49
3 76〜105日 3.62 4.01 3.23 3.07 3.21 2.93 4.58 4.67 4.49
4 106〜135日 3.64 4.02 3.26 3.16 3.29 3.03 4.58 4.67 4.49
5 136〜165日 3.79 4.16 3.42 3.24 3.37 3.11 4.56 4.65 4.47
6 166〜195日 3.89 4.29 3.49 3.30 3.43 3.17 4.52 4.62 4.42
7 196〜225日 3.95 4.34 3.56 3.36 3.49 3.23 4.51 4.61 4.41
8 226〜255日 4.04 4.40 3.68 3.41 3.53 3.29 4.51 4.61 4.41
9 256〜285日 4.24 4.67 3.81 3.46 3.61 3.31 4.49 4.61 4.37
10 286〜315日 4.24 4.59 3.89 3.50 3.64 3.36 4.47 4.59 4.35
上限乳成分以上 平均値+0.5標準偏差以上(青プリントで「+」で標示)
上限乳成分以下から下限乳成分以上の間(黒プリントで標示)
下限乳成分以下 平均値−0.5標準偏差以下(赤プリントで「−」で標示)

0049

図3は、乳脂肪率の12ヶ月の流れを示した(図3)。乳脂肪率は、183号の乳牛、180号の乳牛、171号の乳牛が、分娩後の各月の乳脂肪率は、0.5標準偏差以上あって青プリント「+」で示され、高乳脂肪率の乳牛であることを示していた。

0050

3頭の乳牛は泌乳能力が低く、環境要因によっても乳脂肪率がより高くなった部分もあるように思う。逆に、293号の乳牛と301号の乳牛は、乳脂肪率の低い表現型を示していた。

0051

しかし、両牛は乳量の高いという環境要因も働いて、遺伝的に本来持っている乳脂肪率より下げた部分もあったように思う。三色で区分して示された乳脂肪率を見ると、高い乳脂肪率の牛か、低い乳脂肪率のの乳牛に大別されていた(図3)。

0052

図4は、乳蛋白質率の12ヶ月の流れを示した(図4)。乳蛋白質率の高い表現型を示したのは180号の乳牛、183号の乳牛、176号の乳牛であった。しかし、170号の乳牛は、遺伝的に乳蛋白質率の低い表現型を持つ乳牛で、分娩後の経過月ごとの乳蛋白質率は、−0.5標準偏差以下で赤プリント「−」で示している。

0053

301号の乳牛は2産次の乳蛋白質率は高く、青プリント「+」で示されていたが、3産分娩以降は赤プリント「−」で示している。3産次分娩次は、遺伝的要因よりも環境要因の方が強く左右したように思う。301号の乳牛は、本来的には乳蛋白質率の高い表現型を持っている乳牛を示している。

0054

図5は、乳糖率の12ヶ月の流れを示した(図5)。最も高い乳糖率を示したのは180号であり、次いで176号の乳牛と170号の乳牛も高かった。逆に、遺伝的に低い乳糖率の表現型を持つ乳牛は183号の乳牛であり、泌乳最盛期以降の乳糖率は低下していた、図5には、赤プリント「−」で示してある。

0055

図6は、無脂固形分率の12ヶ月の変動を示した図である(図6)。12ヶ月間にわたって無脂固形分率が高く、図6中に青プリント「+」で示されたのは180号の乳牛、176号の乳牛、171号の乳牛であった。逆に、12ヶ月間の無脂固形分率が低く、図6中に赤色プリント「−」で示されていたのは170号の乳牛であった。

0056

170号牛の場合は、平均乳糖率は4.60%でそれほど低くは無く、平均乳蛋白質率3.02%と低いことが無脂固形分率を低くしていた。無脂固形分率が低い場合は、いずれの成分が低いのか確認する必要がある。

0057

図7は、全固形分率の12ヶ月間の変動を示した図である(図7)。全固形分率に変動を左右するのは、乳成分の中で最も変動の多い(標準偏差が多きい)乳脂肪率の変動である。一番最初に、乳脂肪率低下の原因を改善する必要があるが、その外の成分の低下も順次考えて行くことと思う。

0058

12ヶ月に渡って、カラー区分で示した乳量、乳成分率の変動は、その乳牛が持っている泌乳能力の表現型を示していた。カラー区分で示した泌乳能力の表現型は、その乳牛が持っている遺伝の形質を示している。各乳成分率の青プリント「+」、赤プリント「−」及び黒プリント「+、−の標示無し」の各カラーの表示は、乳成分率の遺伝形質を表していた。

発明の効果

0059

乳成分率の遺伝について、二つの牛群の相関係数の違いから考察し、乳脂肪率、乳蛋白質率及び乳糖率は独自な遺伝をすることを発見した。そして、この理論を実際に牡牛の交配に応用し、生まれて来た子牛が成牛に達し、乳量、各乳成分率の向上成績から乳成分率の遺伝理論の正しさを検証してみた(表4)。

0060

そこで、平成12年12月1日以降に分娩し、分娩後10カ月の搾乳を完了した牛の乳量、乳成分率の成績から、乳成分率の遺伝理論の正しさを検証してみた(表4)。

0061

表4 最近分娩牛の乳成分率
検査頭数乳量脂肪率蛋白率乳糖率無脂固形全固形
平成13年 25 30.63キロ3.98% 3.34% 4.66% 9.00% 12.98%
(12年 360 30.93キロ 4.00% 3.27% 4.50% 8.77% 12.77%)
増減-0.3 -0.02 +0.07 +0.16 +0.23 +0.21
(搾乳回数232回)

0062

分娩牛は一部で2産次前半の乳量も入っているが、殆どの牛は初産牛である。平均乳量は30.63キロを示したが、この乳量は平成12年度の成牛全部の平均乳量とほぼ同じであった。初産牛の平均乳量は成牛に比べて3.0キロ位低いので、最近分娩牛だけで考えれば泌乳能力は向上を示した。

0063

最近、分娩牛の乳成分率を(表4)に示し、従来の乳成分率と比較すると、最も向上したのは乳糖率だった。次いで、向上したのは乳蛋白質率であり、乳脂肪率の向上は無かった。以上の乳成分率の向上結果から考えて、各乳成分率は独自な遺伝をし、乳成分中で遺伝の要因で決る乳成分は、乳糖率であるとした理論の正しさは確認出来た。

0064

過去7年間の乳量、乳成分率の向上実績から検討すると、乳量と乳脂肪率の向上は著しかった。当初の牡牛の持つ改良目標は、乳量と乳脂肪率の向上を中心としてきたので、乳量と乳脂肪率の向上は当然の結果だった。

0065

今回の特許出願人の成績では乳蛋白質率は遺伝的要因で決まるより、飼養管理の要因の方がリードして決定される成分なので、飼養管理技術が乳量の増加に追従出来ず、乳蛋白質率はやや低下を示した。

0066

乳糖率は変わりが無く、そのために無脂固形分率はやや低下していた。この成績からも、乳糖率向上を考えなかった、従来から進められている乳成分率向上の問題点が指摘出来る。

0067

表5乳成分率向上の実績
検査頭数乳量脂肪率蛋白率乳糖率無脂固形全固形
平成 5年 350 26.51キロ3.79% 3.30% 4.50% 8.80% 12.59%
平成12年 360 30.93キロ 4.00% 3.27% 4.50% 8.77% 12.77%)
増 減 +4.42キロ +0.21% -0.03% 0 -0.03% +0.18%
(一年間の平均値)

0068

乳成分率の遺伝を考える場合、従来は乳糖率の遺伝を全く考慮しなかった。しかし、本特許出願人は、乳糖率は遺伝の要素が優先して決まる成分であることを発見し、それに添った牡牛の交配指導を始めた。

0069

それ以降に生まれ、搾乳を開始した25頭の牛の乳量、各乳成分率を表4に示した。乳成分中で乳糖率の向上が最も著しく、その結果は無脂固形分率の向上にも繋がった。以上、乳成分率の遺伝理論は正しいことが検証出来た。

0070

最近に分娩した牛の、乳成分の中では乳糖率の向上が著しかった。各乳成分率は各々独自に遺伝し、乳成分の中で、乳糖率は遺伝の要素で決まる割合の方が強いとした、理論の正当性は検証出来た。

0071

牛乳成分の中で、一番多く含まれているのは乳糖である。しかし、乳成分中で平均値が一番多くても、標準偏差は最も少なく、変動の少ない安定した乳成分である。その結果、乳糖は単独成分で考えず、無脂固形分として一括考えているので、乳糖の役割は全く考慮されなかった。

0072

しかし、乳糖率は遺伝的に牛ごとに決まっている傾向があり、4.7〜4.8%の高い成分の牛と、4.2〜4.3%の低成分の牛に分かれる傾向にあった。そして、無脂固形分率の高さは主に乳糖率の高さに左右されていた。牡牛の選定に、無脂固形分率を高める牛、乳糖率を高める牛を選定していった結果が、表4の最近分娩牛の乳糖率の向上となって現れていた。

0073

本来、乳量、乳成分率の遺伝は、雄牛と雌牛で半々で伝達されている。牡牛の際し、従来雌牛が持っている遺伝情報を診断する方策が無かったので、雄牛が持っている遺伝情報だけを参考にして、牡牛の選抜が進められているのが現在の状況である。

0074

雌牛が持つ、乳成分率の弱点を診断する方法を開発したので、乳成分率の弱点をカバーすべき適切な牡牛を交配することが出来た。その結果、より適切な交配が進められ、生産子牛の能力は効果的に改善された。12年12月以降分娩牛の乳量と乳蛋白質率及び乳糖率は著しく改善され、その結果が無脂固形分率の向上に繋がった。

0075

従来、無脂固形分率を向上させるための理論を完全に説明出来なかった。しかし、乳蛋白質率及び乳糖率の遺伝を理解した結果が、最近分娩牛の無脂固形分率(表4)の向上の成績から十分理解出来た。

図面の簡単な説明

0076

図1図1は、乳牛の乳量平均値の分布を示した図である。
図2図2は、診断対象牛の乳量の12ヶ月の変動を三色区分で示した図である。
図3図3は、診断対象牛の乳脂肪率の変化を三色区分で示した図であり、乳脂肪率の12ヶ月の流れを示した図である。
図4図4は、診断対象牛の乳蛋白質率の変化を三色区分で示した図であり、乳蛋白質率の12ヶ月の流れを示した図である。
図5図5は、診断対象牛の乳糖率の12ヶ月の変化を三色区分で示した図である。
図6図6は、診断対象牛の無脂固形率の変化を三色区分で示した図であり、無脂固形分率の12ヶ月の変動を示した図である。
図7図7は、診断対象牛の全固形率の変化を三色区分で示した図であり、全固形分率の12ヶ月の変動を示した図である。

--

0077

1牛群検定成績表
検定番号
検定日
4乳量平均値

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