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技術 脳血管障害の予防または改善のための組成物

出願人 株式会社明治
発明者 工藤佳久内田勝幸市原淑立有田昌代角尾肇
出願日 2002年4月2日 (18年7ヶ月経過) 出願番号 2002-100548
公開日 2003年10月15日 (17年1ヶ月経過) 公開番号 2003-292452
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 食品の着色及び栄養改善 動物,微生物物質含有医薬
主要キーワード 赤外線CCDカメラ 基準型 クラリファイア 運動機能向上 イメージプロセッサー 人体実験 カルピス 高浸透圧溶液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年10月15日)のものです。
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図面 (3)

課題

脳血管障害の予防あるいは改善効果を有する組成物を提供する。

解決手段

冬虫夏草熱水抽出物ラット海馬錐体細胞虚血性浮腫を有意に抑制することを見出した。

概要

背景

冬虫夏草は、世界で約350種発見されているが、漢方薬として珍重される冬虫夏草は、Cordyceps sinensis (Berkeley) Saccardoという学名の、オオコウモリガの幼虫寄生する菌を意味する。中国では、これを採取菌糸体内蔓延した幼虫とそれから発生したキノコを漢方薬として利用してきた。その効能は、滋養強壮鎮静作用の他結核喀血虚労咳嗽関節痛インポテンツなど多岐にわたる。漢方冬虫夏草は、中国青海省、西蔵(チベット)、甘粛省、四川省、省などの海抜3000m級の高山地帯のみに生息することから入手困難であり、また最近の乱獲により収穫量も大幅に減少している。

そこで、資源保護のための環境保護対策とともに、天然の漢方冬虫夏草と質的に同等の薬効をもつ、冬虫夏草の菌糸体の大量純粋培養技術が望まれていた。明治乳業(株)は、中華人民共和国福建省三明市真菌研究所より入手したCordyceps sinensisから分離菌株MF-20008(FERM BP-5149)を選抜し、培養条件をいろいろ研究した結果、天然の漢方冬虫夏草と質的に同等かあるいはそれ以上の潜在的な薬効が期待できる菌糸体を工業的スケール大量培養することに成功した(内田あゆみ:食品と開発, 31(3): 16-19, 1996)。

この大量培養菌糸体の熱水抽出物乾燥品は黄褐色の粉末で、水に易溶性で、その主成分は、タンパク質および糖質である〔Taketomo, N.: Food Style 21: p40-43, 1997. 10(Vol.1 No.5); Taketomo, N.: Food Style 21: p47-49, 1998.5(Vol.2 No.5 )〕。その熱水抽出物は、in vitroにおいて、(1)気管一過性収縮を非プリン作動性および非アドレナリン作動性阻害、(2) 気管の持続性収縮弛緩、(3)大動脈の持続性収縮を弛緩、(4)右心房に対する正の変力作用および負の変時作用、(5)陰茎海綿体一過性および持続性収縮の阻害、ならびに(6) 肝におけるDNAおよびタンパク合成の増強を示し、in vivoにおいて(1)抗疲労作用、(2)抗ストレス作用、(3)ストレスによる性行動の低下に対する抑制作用、(4)肝臓ATPおよび血流増加作用、(5)運動選手に対する運動機能向上作用、および(6)血糖値降下作用を示す〔Taketomo, N.: Food Style 21: p40-43, 1997. 10(Vol.1 No.5); Taketomo, N.: Food Style 21: p47-49, 1998. 5(Vol.2No.5 ); Tsunoo, A. et al.: Science and Cultivation of Edible Fungi, Elliott(ed.), p425-431, Balkema, Rotterdam, 1995 ; Manabe. N. et al.: Jpn.J. Pharmacol., 70, p85-88, 1996 ; Manabe. N. et al.: British Journal ofnutrition, 83, p197-204, 2000〕。

一方、我が国の死亡統計で脳卒中の死亡率(14%)は、悪性腫瘍(30%)、心疾患(15%)に次いで第3位である(厚生統計協会:国民衛生の動向・厚生の指標.50-57, 2001 )。脳卒中の約70%は脳梗塞でもっとも多く、脳出血25%、クモ膜下出血11%、その他4%と続く。過去30年間、脳卒中の死亡率は著しく減少したが、減少の多くは脳出血の頻度の低下による。脳梗塞も30年前に比べて減少したが、過去10年間、その頻度はほぼ不変である。また、脳ドックの普及に伴い、無症候性脳血管障害が多く見出されるようになった。これらは、未病とはいえ、かなり差し迫ったリスク示唆する所見である(東儀秀夫編:別冊医学のあゆみ, 脳血管障害−臨床と研究の最前線, p.1, 2001 )。

脳虚血巣周辺には数時間から一両日以内に脳浮腫が発生する。これにより頭蓋内圧上昇をきたし、神経細胞死増悪因子となり、脳機能障害を引き起こす。殊に脳出血や大梗塞心原性塞栓症に多い)の場合には、脳浮腫の進展によって脳ヘルニアを起こし、死亡の原因となる。脳浮腫による頭蓋内圧上昇に対する抗脳浮腫薬として、高浸透圧溶液である10%グリセロールや20%マンニトールが用いられている。マンニトールはグリセロールに比べ効果発現は迅速であるが、持続が短く、リバウンドの可能性も大きい。最重症で緊急を要するとき、外科的処置開始までの治療薬として用いられている(本昌泰・他:脳血管障害,最新内科学大系66: p. 287, 1996 )。また、アデノシン−3', 5'−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有する虚血性脳疾患(脳梗塞、脳浮腫など)の予防・治療剤(特開平11-130792)およびアデノシン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する血管拡張降圧剤(特開平6-157319)が出願されている。しかしながら、脳血管障害や脳浮腫の予防あるいは改善に効果的な薬物は少なく、そのため長期にわたって投薬が続く場合が多い。また、副作用などから、QOL(Quality of Life)の低下が問題となっている。

概要

脳血管障害の予防あるいは改善効果を有する組成物を提供する。

冬虫夏草熱水抽出物がラット海馬錐体細胞の虚血性浮腫を有意に抑制することを見出した。

目的

このような背景において、本発明は、長年の経験的ないわゆる人体実験的に安全性が保証された、効能(生体調節機能)を有する素材のなかから、脳血管障害や脳浮腫を緩和に予防あるいは改善する組成物を探索し、提供することを課題とする。また、本発明は、従来の食事生活習慣を続けるなかで、付加的に摂取することにより、脳血管障害や脳浮腫を未然に予防あるいは改善する効果が期待できる、上記組成物の有効量を含有する飲食品、とりわけドリンクタイプを提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

冬虫夏草熱水抽出物の有効量を含有する脳血管障害の予防または改善作用を有するドリンク

請求項2

冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、請求項1記載のドリンク。

請求項3

冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERM BP-5149)である、請求項1または2記載のドリンク。

請求項4

脳血管障害が脳梗塞である、請求項1記載のドリンク。

請求項5

脳血管障害が脳浮腫である、請求項1記載のドリンク。

請求項6

有効量が冬虫夏草の熱水抽出物固形分換算で50mg〜1000mg/日である、請求項1記載のドリンク。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項記載のドリンクを製造するための冬虫夏草の熱水抽出物の使用。

請求項8

冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、請求項7記載の使用。

請求項9

冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERM BP-5149)である、請求項7または8記載の使用。

請求項10

冬虫夏草の熱水抽出物を有効成分とする脳血管障害の予防または改善剤

請求項11

冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、請求項10記載の予防または改善剤。

請求項12

冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERM BP-5149)である、請求項10または11記載の予防または改善剤。

請求項13

脳血管障害が脳梗塞である、請求項10記載の予防または改善剤。

請求項14

脳血管障害が脳浮腫である、請求項10記載の予防または改善剤。

請求項15

請求項10〜14のいずれか1項記載の予防または改善剤を製造するための冬虫夏草の熱水抽出物の使用。

請求項16

冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、請求項15記載の使用。

請求項17

冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERM BP-5149)である、請求項15または16記載の使用。

発明の効果

0001

本発明は、脳血管障害の予防または改善作用を有する組成物に関する。また、本発明は、脳血管障害の予防または改善作用を有する飲食品の製造のための該組成物の使用に関する。

背景技術

0001

冬虫夏草熱水抽出物は、脳血管障害、たとえば、脳梗塞脳浮腫などの予防または改善に有効であることを見出した。その結果、該抽出物の有効量を含有する脳血管障害を未然に予防あるいは改善することが期待できる飲食品(とくにドリンクタイプ)が提供された。また、該抽出物を有効成分とする脳血管障害の予防や改善のための薬剤が提供された。

0002

冬虫夏草は、世界で約350種発見されているが、漢方薬として珍重される冬虫夏草は、Cordyceps sinensis (Berkeley) Saccardoという学名の、オオコウモリガの幼虫寄生する菌を意味する。中国では、これを採取菌糸体内蔓延した幼虫とそれから発生したキノコを漢方薬として利用してきた。その効能は、滋養強壮鎮静作用の他結核喀血虚労咳嗽関節痛インポテンツなど多岐にわたる。漢方冬虫夏草は、中国青海省、西蔵(チベット)、甘粛省、四川省、省などの海抜3000m級の高山地帯のみに生息することから入手困難であり、また最近の乱獲により収穫量も大幅に減少している。

0003

そこで、資源保護のための環境保護対策とともに、天然の漢方冬虫夏草と質的に同等の薬効をもつ、冬虫夏草の菌糸体の大量純粋培養技術が望まれていた。明治乳業(株)は、中華人民共和国福建省三明市真菌研究所より入手したCordyceps sinensisから分離菌株MF-20008(FERM BP-5149)を選抜し、培養条件をいろいろ研究した結果、天然の漢方冬虫夏草と質的に同等かあるいはそれ以上の潜在的な薬効が期待できる菌糸体を工業的スケール大量培養することに成功した(内田あゆみ:食品と開発, 31(3): 16-19, 1996)。

0004

この大量培養菌糸体の熱水抽出物の乾燥品は黄褐色の粉末で、水に易溶性で、その主成分は、タンパク質および糖質である〔Taketomo, N.: Food Style 21: p40-43, 1997. 10(Vol.1 No.5); Taketomo, N.: Food Style 21: p47-49, 1998.5(Vol.2 No.5 )〕。その熱水抽出物は、in vitroにおいて、(1)気管一過性収縮を非プリン作動性および非アドレナリン作動性阻害、(2) 気管の持続性収縮弛緩、(3)大動脈の持続性収縮を弛緩、(4)右心房に対する正の変力作用および負の変時作用、(5)陰茎海綿体一過性および持続性収縮の阻害、ならびに(6) 肝におけるDNAおよびタンパク合成の増強を示し、in vivoにおいて(1)抗疲労作用、(2)抗ストレス作用、(3)ストレスによる性行動の低下に対する抑制作用、(4)肝臓ATPおよび血流増加作用、(5)運動選手に対する運動機能向上作用、および(6)血糖値降下作用を示す〔Taketomo, N.: Food Style 21: p40-43, 1997. 10(Vol.1 No.5); Taketomo, N.: Food Style 21: p47-49, 1998. 5(Vol.2No.5 ); Tsunoo, A. et al.: Science and Cultivation of Edible Fungi, Elliott(ed.), p425-431, Balkema, Rotterdam, 1995 ; Manabe. N. et al.: Jpn.J. Pharmacol., 70, p85-88, 1996 ; Manabe. N. et al.: British Journal ofnutrition, 83, p197-204, 2000〕。

0005

一方、我が国の死亡統計で脳卒中の死亡率(14%)は、悪性腫瘍(30%)、心疾患(15%)に次いで第3位である(厚生統計協会:国民衛生の動向・厚生の指標.50-57, 2001 )。脳卒中の約70%は脳梗塞でもっとも多く、脳出血25%、クモ膜下出血11%、その他4%と続く。過去30年間、脳卒中の死亡率は著しく減少したが、減少の多くは脳出血の頻度の低下による。脳梗塞も30年前に比べて減少したが、過去10年間、その頻度はほぼ不変である。また、脳ドックの普及に伴い、無症候性の脳血管障害が多く見出されるようになった。これらは、未病とはいえ、かなり差し迫ったリスク示唆する所見である(東儀秀夫編:別冊医学のあゆみ, 脳血管障害−臨床と研究の最前線, p.1, 2001 )。

発明が解決しようとする課題

0006

脳虚血巣周辺には数時間から一両日以内に脳浮腫が発生する。これにより頭蓋内圧上昇をきたし、神経細胞死増悪因子となり、脳機能障害を引き起こす。殊に脳出血や大梗塞心原性塞栓症に多い)の場合には、脳浮腫の進展によって脳ヘルニアを起こし、死亡の原因となる。脳浮腫による頭蓋内圧上昇に対する抗脳浮腫薬として、高浸透圧溶液である10%グリセロールや20%マンニトールが用いられている。マンニトールはグリセロールに比べ効果発現は迅速であるが、持続が短く、リバウンドの可能性も大きい。最重症で緊急を要するとき、外科的処置開始までの治療薬として用いられている(本昌泰・他:脳血管障害,最新内科学大系66: p. 287, 1996 )。また、アデノシン−3', 5'−環状リン酸誘導体の少なくとも一種を有効成分として含有する虚血性脳疾患(脳梗塞、脳浮腫など)の予防・治療剤(特開平11-130792)およびアデノシン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する血管拡張降圧剤(特開平6-157319)が出願されている。しかしながら、脳血管障害や脳浮腫の予防あるいは改善に効果的な薬物は少なく、そのため長期にわたって投薬が続く場合が多い。また、副作用などから、QOL(Quality of Life)の低下が問題となっている。

課題を解決するための手段

0007

このような背景において、本発明は、長年の経験的ないわゆる人体実験的に安全性が保証された、効能(生体調節機能)を有する素材のなかから、脳血管障害や脳浮腫を緩和に予防あるいは改善する組成物を探索し、提供することを課題とする。また、本発明は、従来の食事生活習慣を続けるなかで、付加的に摂取することにより、脳血管障害や脳浮腫を未然に予防あるいは改善する効果が期待できる、上記組成物の有効量を含有する飲食品、とりわけドリンクタイプを提供することを課題とする。

0008

冬虫夏草菌糸体の熱水抽出物(以下、単に「抽出物」、ともいう)は、上記のように、さまざまな生体調節機能を併せもっている。これらの調節機能は、多成分の複合的な相互作用によるものと考えられる。上記のように冬虫夏草菌糸体の大量培養技術が確立され、漢薬冬虫夏草と質的に同等あるいはそれ以上の生体調節機能をもつ、培養菌糸体の熱水抽出物が、高品質かつ安定的に供給可能となっている。一方、脳浮腫の程度および質を定量的に解析する方法が工により出願されている(特開2001-41955)。この方法は、脳浮腫の赤外線微分干渉顕微鏡像をIR-CCD(赤外線CCDカメラ)で画像信号に変換してイメージプロセッサーに取り込み、赤外線画像平均輝度値輝度標準偏差値を算出し、輝度の標準偏差値を平均輝度値で除した「コントラスト値」を指標として、浮腫の質を定量的に把握する方法である。正常な海馬スライス高コントラスト値となり、浮腫を起こした海馬スライスは低コントラスト値となる。神経細胞虚血に対して脆弱であるが、そのなかでも海馬CA1領域の錐体細胞は最も脆弱である。海馬の切片スライス)は、擬虚血性人工脳脊髄液(人工脳脊髄液中のグルコースを除去しO2をN2で置換したもの:虚血人工脳脊髄液)中でインキュベートすることにより、虚血性浮腫を再現できる。ここで、脳浮腫は、“脳組織内に異常な水分の貯留が起こり、脳組織の容積が増加した状態”と定義される。脳浮腫には、(1)血管性浮腫、(2)細胞毒性浮腫、および(3)間質性浮腫に分類され、脳虚血に伴う浮腫は、初期には細胞毒性浮腫が主体であるが、時間の経過とともに血管性浮腫が出現するという特徴を有し、全体を虚血性脳浮腫と一括してよばれている(福内靖:脳血管障害の治療,最新内科学大系66: p. 42, 1996 )。本発明はこれらの脳浮腫を包含する。

0009

本発明者らは、冬虫夏草熱水抽出物および該抽出物の逆相HPLCによる4つの画分(Fr. 1、Fr. 2、Fr. 3、およびFr. 4)からアデノシン画分(Fr. 3)を除いた3つの画分(Fr. 1、Fr. 2、およびFr. 4)からなる組成物の、海馬スライスの虚血性脳浮腫に対する抑制効果を調べた。すなわち、海馬スライスを擬虚血性人工脳脊髄液でインキュベートした後の、海馬CA1領域の錐体細胞の形態変化の速度(浮腫開始時間)を、上記脳浮腫測定法で定量的に測定した。その結果、冬虫夏草熱水抽出物および該抽出物からアデノシン画分を除いた組成物はともに脳浮腫を有意に抑制することを見出した。これらの結果は、冬虫夏草熱水抽出物の虚血性脳浮腫に対する抑制効果は、抽出物中に含まれるいくつかの成分が複合的に作用したことによる、と考えられる。

発明を実施するための最良の形態

0010

すなわち、本発明は、(1)冬虫夏草の熱水抽出物の有効量を含有する脳血管障害の予防または改善作用を有するドリンク、(2) 冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、(1)のドリンク、(3) 冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERMBP-5149)である、(1)または(2)のドリンク、(4) 脳血管障害が脳梗塞である、(1)のドリンク、(5) 脳血管障害が脳浮腫である、(1)のドリンク、(6) 有効量が冬虫夏草の熱水抽出物固形分換算で50 mg〜1000 mg/日である、(1)のドリンク、(7) (1)〜(6)のいずれか1つのドリンクを製造するための冬虫夏草の熱水抽出物の使用、(8) 冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、(7)の使用、(9) 冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERMBP-5149)である、(7)または(8)の使用、(10) 冬虫夏草の熱水抽出物を有効成分とする脳血管障害の予防または改善剤、(11) 冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCにおけるアセトニトリル-水溶出フラクション1、2、3、および4からなる、(10)の予防または改善剤、(12) 冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERMBP-5149)である、(10)または(11)の予防または改善剤、(13) 脳血管障害が脳梗塞である、(10)の予防または改善剤、(14) 脳血管障害が脳浮腫である、(10)の予防または改善剤、(15) (10)〜(14)のいずれか1つの予防または改善剤を製造するための冬虫夏草の熱水抽出物の使用、(16) 冬虫夏草の熱水抽出物が図1に示す逆相HPLCのアセトニトリル-水溶出におけるフラクション1、2、3、および4からなる、(15)の使用、(17) 冬虫夏草がCordyceps sinensis の分離菌株MF-20008(受託番号:FERMBP-5149)である、(15)または(16)の使用、からなる。

0011

冬虫夏草培養菌糸体の熱水抽出物は、たとえば、以下の方法で調製できる。M20Y2培地150 mLを500 mL容三角フラスコに入れ、オートクレーブで121℃で15分間滅菌する。Cordyceps sinensisの分離菌株MF-20008 (中国福建省三明市真菌研究所より入手;受託番号:FERM BP-5149)の凍結保存菌1mL を接種し、25℃、180 rpmで振とう培養する(種培養)。続いて本培養(150 L)を以下のように行う。培地〔組成(g/L):蔗糖40.0g;アスパラギン0.5g、K2HPO4 4.0g、(NH4)2PO42.0g、MgSO4・7H2O 2.0g、CaCO3 0.25g、CaCl2 0.1g、および酵母エキスB 4.0g、pH 5.6〕150 Lを無菌濾過後、150 Lファーメンター投入する。種培養150 mLを接種し、25 ℃、pH 5.6、DO50%に制御し、150 rpmで攪拌しながら3日間培養する。培養中発生する泡は、シリコン消泡剤で処理する。培養後、遠心機で菌糸体を集める。菌糸体は90〜95℃の熱水で2時間抽出する。クラリファイアーで清澄化後、清澄液は0.45μmおよび0.22μmフイルターで無菌濾過する。淡黄色の熱水抽出物(エキス)80 Lを得る。このようにして得られる熱水抽出物(エキス)の物性の一例を表1〔Taketomo, N.: Food Style 21: p40-43, 1997. 10(Vol.1 No.5)〕に示す。

0012

0013

上記の冬虫夏草培養菌糸体の培養方法は、さまざまな培養条件(培地コスト、収量等)を検討した結果によるものであるが、まだ検討の余地があるかもしれない。当業者であれば、多数の刊行物〔たとえば、衣川堅二郎著:きのこの実験法, 築地書(株)発行, 1988;岩出亥之助著:改定増補キノコ類培養法, (株)地球社発行, 昭和60年など〕を参考に、さらに培養条件を最適化することが可能である。また、冬虫夏草培養菌糸体の熱水抽出物は販売〔「冬虫夏草菌糸体エキス」:大蔵製薬(株)〕されており、この抽出物は本発明に有効に利用できる。

0014

本発明の抽出物は味が淡泊で、望みの味付けが可能であり、飲食品、とりわけドリンクタイプなどへの加工が容易である。したがって、該抽出物の有効量を含有せしめたドリンクを、従来の食事と生活習慣を続けるなかで付加的に摂取することにより、脳血管障害、たとえば脳梗塞、脳浮腫の未然の予防、あるいは改善が期待できる。また、近年、脳機能栄養学的な面から解明する動き活発である。その結果、脳機能改善に有用であると期待されるさまざまな食品成分が提案されている。たとえば、アミノ酸トリプトファンチロシンγ-アミノ酪酸など)、ビタミンビタミンC、E、葉酸、B1、B6、B12など)、ミネラル亜鉛、鉄、ヨウ素など)、リン脂質ホスファチジルセリン)、ハーブイチョウ葉エキスセントジョーンズワートバレリアンカバなど)、カルピス酸乳ワイン緑茶に含まれるテアニンカフェイン、ヒメツルニチニチ草、サフラン、DHA、EPAなどである。また、冬虫夏草熱水抽出物にアヤムラサキアントシアニン画分を配合することによって、脳血流量の増加による脳内ATPの蓄積を介した脳機能の亢進について報告(梶本修身・他:新薬と臨床 J. New Rem. & Clin. Vol. 49 No.9, 2000)されている。

0015

そこで、本発明の冬虫夏草熱水抽出物の有効量を含有する、脳血管障害の予防または改善のための飲食品に、さらに、上記のような成分を加えることにより、精神症状の改善といった相加的あるいは相乗的臨床効果も期待できる。また、生体調節機能を有する食品素材、たとえば、ローヤルゼリークロレラスピルリナ人参核酸霊芝アガリクス・プラゼイ・ムリルマイタケキチンキトサンレシチンアロエウコンブルーベリーノコギリヤシ大豆イソフラボン紅麹などを付加することにより、脳血管障害の予防または改善に加え、これら食品素材の有する生体調節機能も期待できる。脳血管障害の予防または改善のための飲食品(とりわけドリンクタイプ)としては、たとえば、保健機能食品(個別許可型の特定保健用食品および規格基準型栄養機能食品)、病者用食品、高齢者用食品栄養補助食品スポーツドリンクなどがあげられる。

0016

本発明のエキス1g(エキス固形分50 mg)は平均して漢方のCordyceps sinensis の7本分に相当する(内田あゆみ:食品と開発, 31(3): 16-19, 1996)。ヒトに対する血糖値降下作用を調べるために、該エキスの固形分100 mgを清涼飲料水60 mLに配合したものを連日飲用したところ、飲用12カ月後には血糖値低下傾向がみられている(Taketomo, N.: Food Style 21: p47-49, 1998. 5(Vol.2 No.5)。この数値は、脳血管障害の予防または改善のための医薬または飲食品における冬虫夏草熱水抽出物の有効量の参考となる。

0017

冬虫夏草は大昔からヒトに摂取され、その安全性は保証されているので、ヒトにより有効量を決定することができる。有効量は該抽出物の固形分換算で50mg〜1000mgと推定される。

0018

本願発明を実施例および試験例により説明するが、本願発明はこれらの例に限定されるものではない。

0019

[実施例1]冬虫夏草抽出物分画
冬虫夏草抽出物の乾燥物蒸留水固形分含量400 mg/mLに調製し、その125μL(乾燥物50mgに相当)を逆相HPLC法で4つのフラクション(Fr.)に分画した。
HPLC条件
カラム(資生堂):CAPCELLPAK C18 UG120(φ20×250 mm、粒子径:5μm)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル-水溶媒
0分〜40分はアセトニトリル5%で溶出
40分〜60分はアセトニトリル5%〜100%のリニアグラジェント溶出
60分〜120分はアセトニトリル100%で溶出。
流速:5 mL/分
検出器:Photodiode Array Detector(190-300 nm吸光度)
図1に示すクロマトグラムの0〜11.6分(フラクション1:Fr. 1)、11.6〜26.5分(Fr. 2)、26.5〜28.9分(Fr. 3)、および28.9〜120分(Fr. 4)の4つのFr.を分取した。更に各フラクション(Fr)からアセトニトリルを留去した後,凍結乾燥してサンプルとした。Fr. 1はマンニトールを含み、Fr. 3はアデノシンを含んでいた。

図面の簡単な説明

0020

[試験例1]冬虫夏草抽出物の虚血性浮腫に対する抑制作用
1.海馬細胞体のスライス標本作製
Wister系ラット(雄、8〜9週齢)をエーテル麻酔後断頭した。頭蓋骨切りあけてすばやく大脳摘出した。あらかじめ十分に95%O2−5%CO2を通気し、4℃前後に冷やしておいた人工脳脊髄液(Artificial cerebro-spinal fluit:ACSF)〔124mM NaCl、2.5mM KCl、26mM NaHCO3、10mM Glucose(虚血用ACSFの場合は10mM Glucoseを2-deoxy-glucoseで置換した)、1.25mM NaH2PO4、2mM CaCl2、および1mM MgCl2〕中に移した。液中で5分ほどおいた後、海馬体を分離した。海馬体は、ビブトラーム(堂EM)で垂直横断切片(スライス)を作製した。スライスの厚さは300μmであった。
2.冬虫夏草抽出物の浮腫抑制
2-1 スライスをチャンバーステージ上に移した。チャンバーには、(1) なにも含まないASCF、(2)冬虫夏草熱水抽出物(乾燥粉末)1mg/mLを含むASCF、(3)アデノシン(Fr. 3)10μg/mLを含むASCF、(4)抽出物1mg/mL+CPT (アデノシン受容体ブロッカー)0.5 μg/mLを含むASCF、あるいは(5) CPT 0.5 μg/mLを含むASCF が、95%O2−5%CO2の十分な通気下に灌流している。スライスはこのACSF中32℃前後で90分間インキュベートした。その後、スライスは、N2が十分バブリングしている虚血用ACSFのチャンバーに移し32℃前後で10分間インキュベートした。虚血性浮腫を生じた海馬スライス標本は、上記の浮腫の定量的評価が可能な浮腫測定装置でCA1領域の錐体細胞層を観察した。正常な海馬スライスは高コントラスト値となり、浮腫を起こした海馬スライスは低コントラスト値となる。結果を図2に示した。(1) 冬虫夏草の熱水抽出物は虚血ストレスによる脳浮腫を抑制した、(2) 浮腫を抑制する活性成分の一つとしてアデノシンが関与しているが、その活性はアデノシン受容体を介したものではない、ことが示唆された。2-2 さらに、アデノシンを除いた画分(Fr. 1、Fr. 2、およびFr. 4からなる)の浮腫抑制作用を調べた。結果を図3に示した。該画分は浮腫開始時間を有意に遅延させた。以上の結果から、冬虫夏草の熱水抽出物の脳浮腫抑制作用は、アデノシンを含む多成分の複合作用によるものであることが示唆された。

0021

図1冬虫夏草熱水抽出物の逆相HPLCのクロマトグラムを示す図である。
図2冬虫夏草の熱水抽出物、アデノシン、冬虫夏草の熱水抽出物+アデノシン受容体(CPT)、およびアデノシン受容体(CPT)の、海馬錐体細胞の虚血性浮腫に対する抑制効果を示す。
図3冬虫夏草の熱水抽出物からアデノシン(Fr. 3)を除いた画分(Fr. 1、Fr. 2、およびFr. 4からなる)の、海馬錐体細胞の虚血性浮腫に対する抑制効果を示す。

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