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課題
解決手段
概要
背景
従来から、特開昭58−78955号公報、特開平2−110080号公報などに記載されているように巻き取り時のパッケージ端面の耳立ちを防ぎ解舒性を良好にさせるために、一定周期で巻幅を巻き取り時間と共に変化させる端面崩しと呼ばれる巻き取り方法がある。しかし、一定周期での巻幅の差をLとすると、Lが一定の場合は、Lを小さくするとパッケージの中層から外層において解舒性に問題があり、Lを大きくするとパッケージの極内層において綾落ちが発生するという問題があり両方を満たすことは極めて困難であった。また、上記対策として特開昭58−78955号公報にはLを巻始めから巻終わりで変化させる方法が開示されているが、トラバース幅が端面崩し時から最長幅へ、又は最長幅から端面崩しする際の軌跡が急激に変化することから綾落ちに対して不利であった。
概要
仮撚加工糸の巻取時に有する綾落ちとが無く、優れた解舒性を合わせ持つ仮撚加工糸を得る巻き取り方法を提供する。
一斉スタートストップ方式の延伸仮撚り加工機で一定周期内で巻幅を変化させながら巻き取る方法において、一定周期内の巻幅の最長幅(Xa)と最短幅(Xb)の差を崩し量Lxとしたとき、巻始めから巻終わりの間で崩し量Lxを漸増させ、かつ一定周期内のトラバース幅の変化の軌跡の形状が、任意の一定周期内における形状間で相似形であることを特徴とする仮撚加工糸の巻き取り方法。
目的
本発明は上記従来の問題を解決し、上述した従来の仮撚加工糸の巻取時に有する綾落ちと解舒性について優れた仮撚加工糸を得る巻取方法を提供することをその課題とする。
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
一斉スタートストップ方式の延伸仮撚り加工機で一定周期内で巻幅を変化させながら巻き取る方法において、一定周期内の巻幅の最長幅(Xa)と最短幅(Xb)の差を崩し量Lxとしたとき、巻始めから巻終わりの間で崩し量Lxを漸増させ、かつ一定周期内のトラバース幅の変化の軌跡の形状が、任意の一定周期内における形状間で相似形であることを特徴とする仮撚加工糸の巻き取り方法。
請求項2
延伸仮撚糸の巻始めの巻層の厚みをK0、巻終わりの巻層の厚みをKmとしたとき、K0から任意の巻層の厚みK1までと任意の巻層の厚みK2からKmまでは一定の崩し量とし、K1からK2までの間の崩し量は漸増させることを特徴とする請求項1記載の仮撚加工糸の巻き取り方法。K0<K1<K2<Km
請求項3
K1,K2およびKmが下記の関係であることを特徴とする請求項2記載の仮撚加工糸の巻き取り方法。Km×0.10≦K1≦Km×0.30Km×0.50≦K2≦Km×0.80
請求項4
一定周期内のパッケージの最大巻幅Xa、任意の巻層の厚みK1、K2の時の崩し量をL1、L2とした際、L1、L2が下記の関係となることを特徴とする請求項2又は3記載の仮撚加工糸の巻き取り方法。Xa×0.02≦L1<Xa×0.06Xa×0.06≦L2≦Xa×0.16
技術分野
0001
本発明は仮撚り加工糸の巻き取り方法に関し、特にパッケージの糸層の厚みが薄いときに発生しやすい綾落ちが無く、厚いときに問題となる解舒性のトラブルのない優れたパッケージとする仮撚加工糸の巻き取り方法に関する。
背景技術
0002
従来から、特開昭58−78955号公報、特開平2−110080号公報などに記載されているように巻き取り時のパッケージ端面の耳立ちを防ぎ解舒性を良好にさせるために、一定周期で巻幅を巻き取り時間と共に変化させる端面崩しと呼ばれる巻き取り方法がある。しかし、一定周期での巻幅の差をLとすると、Lが一定の場合は、Lを小さくするとパッケージの中層から外層において解舒性に問題があり、Lを大きくするとパッケージの極内層において綾落ちが発生するという問題があり両方を満たすことは極めて困難であった。また、上記対策として特開昭58−78955号公報にはLを巻始めから巻終わりで変化させる方法が開示されているが、トラバース幅が端面崩し時から最長幅へ、又は最長幅から端面崩しする際の軌跡が急激に変化することから綾落ちに対して不利であった。
発明が解決しようとする課題
0003
本発明は上記従来の問題を解決し、上述した従来の仮撚加工糸の巻取時に有する綾落ちと解舒性について優れた仮撚加工糸を得る巻取方法を提供することをその課題とする。
課題を解決するための手段
0004
前記した課題は、一斉スタートストップ方式の延伸仮撚り加工機で一定周期内で巻幅を変化させながら巻き取る方法において、一定周期内の巻幅の最長幅(Xa)と最短幅(Xb)の差を崩し量Lxとしたとき、巻始めから巻終わりの間で崩し量Lxを漸増させ、かつ一定周期内のトラバース幅の変化の軌跡の形状が、任意の一定周期内における形状間で相似形であることを特徴とする仮撚加工糸の巻き取り方法によって達成できる。
発明を実施するための最良の形態
0005
以下、本発明について詳細に説明する。
0006
本発明の仮撚り加工糸の一般的な製造方法を図1に示す。未延伸糸1をフィードローラー2と6の間で延伸し、同時に加熱装置3、冷却装置4を通過させ仮撚り装置5により仮撚りを実施する。その後、ガイド7を支点にトラバースガイド8の往復運動によりドライブローラー9の回転に追従したサーフェイスドライブ方式にてパッケージ10を得る。パッケージを巻き取る際、巻き取り部分の装置を図2に示す。
0007
一定時間で制御された巻幅可変棒11を左右に動かすことでトラバースガイド12の角度を強制的に変化させることにより巻幅を一定周期で変える端面崩しを実施する。図3は、端面崩しを表したものであるが、ここにおいて、仮撚り加工糸のパッケージの両端面の耳立ちを防ぐために一定周期で巻幅を変化させる方法である。パッケージ両端の耳立ちが大きいと仮撚り加工糸内層部に発生する綾落ちには有利となるが、表層部の解除性に不利となることが知られている。
0008
ここで本発明の最大の特徴は図4に示すように、一定周期での巻幅が最長幅から最短幅の差である崩し量Lxを、巻始めから巻終わりにかけて漸増させ、かつ一定周期内のトラバース幅の変化の軌跡の形状が、任意の一定周期内における形状間で相似形であることが必要であり、巻始めにおいて崩し量Lxを小さくすることでパッケージ内層部の両端面の巻密度が上がり耳立ちすることで綾落ちに有利となり、しかも巻終わりにかけて崩し量Lxを大きくすることで解舒性の両方を満足させることが可能となる。また、実際のトラバース幅の軌跡の形状を任意の一定周期内における形状間で相似形にすることで、Lxが小さいパッケージ内層部においてトラバース幅が端面崩し時から最長幅へ、又は最長幅から端面崩しする際の軌跡が緩やかになり急激なトラバース幅の変化を防げ、綾落ち防止につながる。仮撚加工糸の巻始めの巻層の厚みをK0、巻終わりの巻層の厚みをKmとしたとき、K0から任意の巻き厚みK1までと任意の巻き厚みK2からKmまでは一定の崩し量とし、K1からK2までの崩し量は漸増させてパッケージを形成することが好ましい。
0009
さらに、パッケージの巻層の厚みK1は、Kmの10%以上30%以下がパッケージ内層の綾落ちのトラブルに対し有効であり、更に好ましくは15%以上25%である。K0からK1までのL1はXaの2%以上6%以下が綾落ちに有効であり、更に好ましくはXaの3%以上5%以下である。L1が、Xaの2%未満のときパッケージの極内層の糸を織物又は編物にしてから染めたときに両端面の糸密度が上がり過ぎドライブローラーとの摩擦によりスジムラが発生しやすく好ましくない。次に、糸層の厚みK2は、Kmの50%以上80%以下が中層以降の解舒性に有利であり、好ましくは55%以上65%以下が良好となる。K2以降のL2は、Xaの6%以上16%以下が解舒性に有効であり更に好ましくはXaの7%以上12%以下である。16%より大きくすると巻幅の大きな変化から巻き取り張力の変化が大き過ぎて巻き取り中に糸タルミが発生し安定して巻き取ることが困難となる。仮撚り加工糸であればどのような糸においても該方法を用いることが可能であり、同様の効果が得られる。
0010
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の綾落ちの目視確認、1200m/分での解舒テスト、パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認の評価方法は以下の通りである。N数は各水準50個のパッケージにて実施した。
0012
○:全パッケージにおいて綾落ちが無い。もしくは、1本以上綾落ちのあるパッケージが2個以下。
0013
△:片端面に1本以上綾落ちのあるパッケージが3個以上5個以下。
0014
×:片端面に1本以上綾落ちのあるパッケージが6個以上。
0018
○:糸タルミの発生が無い。
0019
×:糸タルミの発生がある。
0020
実施例1
ポリエステルの仮撚加工糸167dtex−48フィラメント糸をドライブローラーの回転によるサーフェイスドライブ方式で紙管に巻き取った。紙管は全長290mm、外径65mmの物を使用した。加工速度は800m/min、最大巻幅245mm、400cpm、綾角を16°、テーパー角は0°のストレート巻きで巻終わりの糸層の厚みが8.5cmとなるように、延伸仮撚時のみ熱セットしたウーリー糸にて、実施した。巻き取る際の崩し量の漸増条件はK1:1.5cm、K2:5.0cm、L1:12.0mm、L2:20.0mmとし、端面崩し形状は相似形状で漸増させた。綾落ちの目視確認、1200m/分での解舒テスト、パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認のいずれも前述した評価方法にて合格し優れた結果となった。
0021
実施例2
K1:0.0cm、K2:8.5cmとした以外は実施例1と同様の方法で巻き取った。綾落ちの目視確認、1200m/分での解舒テスト、パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認のいずれも前述した評価方法にて合格し優れた結果となった。
0022
比較例1
端面崩し量を一定とし、L1:20.0mmとした以外は実施例2と同様の方法で巻き取った。1200m/分での解舒テスト、パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認には問題無かったものの、綾落ちしたパッケージが5個発生した。
0023
比較例2
端面崩し量を漸減し、K1:1.5cm、L1:20.0mm、L2:12.0mmとした以外は実施例1と同様の方法で巻き取った。パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認には問題無かったものの、1200m/分での解舒において2個のパッケージでそれぞれ1回の糸切れが発生し、綾落ちが4個発生した。
0024
比較例3
端面崩し形状を異なった形状で実施した以外は実施例1と同様の方法で巻き取った。1200m/分での解舒テスト、パッケージ極内層の筒編み染色での染めすじ、巻き取り時の糸タルミ確認には問題無かったものの、綾落ちが3個発生した。以上得られた結果を表1に示す。
0025
発明の効果
0026
上述したように本発明の方法で、綾落ちを防ぎ、かつ良好な解舒性を合わせ持つ延伸仮撚糸を得ることが出来る。
図面の簡単な説明
0027
図1仮撚り加工糸の製造方法を説明する概略説明図
図2端面崩し機構を説明する概略説明図
図3一定周期で巻幅を変化させる端面崩し機構を説明する概略説明図
図4本発明の巻き取り条件を説明する概略説明図