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課題

熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供する。

解決手段

熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とを備える熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

概要

背景

近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(本明細書において、エアコンとも記載する)、テレビジョン受信機(本明細書において、テレビとも記載する)、冷蔵庫洗濯機などの家電製品パーソナルコンピュータワードプロセッサなどの情報機器プリンタファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具文具玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性飛躍的に向上しつつある。

一方、その結果、これらの家電製品をはじめとする製品廃棄量も年々増加する傾向にある。ここで、従来は、これらの家電製品をはじめとする製品の廃材再資源化は、鉄くず回収ルートを通して行なわれる場合が多かった。

しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少してプラスチック組成物からなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチック組成物は、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を付与することができ、軽量であり耐久性が高いことなどの多くの利点を有するためである。

そして、近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃材は、各種構成部材材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なく、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチック組成物からなる部材の割合が多くなっており、従来の鉄くずの回収ルートではこのような廃材を再資源化しても採算が取れないため、対応が難しい状況になりつつある。

そして、これらのプラスチック組成物からなる部材は、原油などの埋蔵化石燃料基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチック組成物からなる部材を備えた製品の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。

また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含むプラスチック組成物の焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチック組成物を含む廃材の増大によるゴミ埋立処理場不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチック組成物からなる部材を備えた製品の廃材の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。

なお、本明細書においては、プラスチック組成物からなる部材を、プラスチック部材とも記載する。また、本明細書においては、プラスチック部材を備えた製品を、プラスチック製品とも記載する。さらに、本明細書においては、プラスチック製品の廃材を、プラスチック廃材とも記載する。

ここで、上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法施行された。ここで、家電リサイクル法においては、2002年1月現在においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目リサイクル義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。

そして、上記の家電リサイクル法の施行を受けて、プラスチック廃材の回収は進みつつあるが、このようにして回収されたプラスチック廃材の再資源化方法としては、プラスチック廃材を燃料として使用するという、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法が従来から多く活用されている。しかし、このような方法によれば、プラスチック廃材のサーマルリサイクルによる再資源化は可能であるが、燃焼による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。

そこで、こうして回収されたプラスチック廃材から、たとえば手解体などの方法により、プラスチック組成物の系統ごとにプラスチック部材を分離して、それらのプラスチック部材を再度、製品の部材またはその原料に加工して使用するプラスチック廃材の再資源化方法が提案されている。このような再資源化方法は、上記のサーマルリサイクルと対比して、マテリアルリサイクルと記載される。

そして、上記のようにしてプラスチック組成物の系統ごとに分離されたプラスチック部材の中でも、熱可塑性樹脂組成物からなる部材(本明細書において、熱可塑性樹脂組成物廃材とも記載する)は、加熱溶融して再度成形することにより比較的容易にマテリアルリサイクルすることが可能である。

そのため、現在、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルの比率を高めるために、熱可塑性樹脂組成物廃材のマテリアルリサイクルによる再資源化方法の研究開発が、各方面で多大な努力を払って行なわれている。

概要

熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供する。

熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とを備える熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

目的

上記の現状に基づき、本発明の課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供することである。

また、本発明の別の課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を製造する方法を提供することである。

さらに、本発明の他のもう1つの課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより得られる、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

熱可塑性樹脂組成物廃材酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とを備える熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法

請求項2

前記測定工程において、前記酸化誘導期を測定する際の熱可塑性樹脂組成物廃材の保持温度は、データベースに記録された情報に基づいて、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項3

前記決定工程において、前記酸化防止剤の添加量は、データベースに記録された情報に基づいて、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および再資源化して得られる前記熱可塑性樹脂組成物成形体の用途に応じて必要とされる前記酸化防止剤の必要量を求め、さらにデータベースに記録された情報に基づいて、前記測定工程において求められた測定値から、前記熱可塑性樹脂組成物廃材中に残存する前記酸化防止剤の残存量を求め、前記必要量と前記残存量の差を求めることにより決定することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項4

前記添加工程において、前記熱可塑性樹脂組成物廃材と、前記酸化防止剤とに加えて、さらに未使用の熱可塑性樹脂組成物を添加して加熱溶融することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項5

前記成形工程において、前記加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材は、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物原料に成形されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項6

前記熱可塑性樹脂組成物廃材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物廃材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項7

前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項8

前記熱可塑性樹脂組成物廃材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物廃材であり、前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤であり、かつ前記決定工程において、前記測定工程において測定された酸化誘導期の測定値をa(分)、前記残存量をb(%(w/w))、前記必要量をc(%(w/w))とした場合に、b=0.05loga−0.017の式に基づいてbを求め、(c−b−0.05)以上の範囲で前記酸化防止剤の添加量を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項9

前記必要量cは、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命をd(時間)、前記再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体に要求される余寿命をe(時間)とした場合に、c=0.066log(e/d)の式に基づいて決定されることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

請求項10

請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法により熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物成形体の製造方法。

請求項11

請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法により得られる熱可塑性樹脂組成物成形体。

技術分野

0001

本発明は、熱可塑性樹脂組成物廃材再資源化方法に関する。より詳しくは、本発明は、熱可塑性樹脂組成物廃材の劣化状態に応じて再資源化方策を決定する熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法に関する。

0002

また、本発明は、上記の再資源化方法による熱可塑性樹脂組成物成形体の製造方法にも関する。さらに、本発明は、上記の再資源化方法により得られる熱可塑性樹脂組成物成形体にも関する。

背景技術

0003

近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(本明細書において、エアコンとも記載する)、テレビジョン受信機(本明細書において、テレビとも記載する)、冷蔵庫洗濯機などの家電製品パーソナルコンピュータワードプロセッサなどの情報機器プリンタファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具文具玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性飛躍的に向上しつつある。

0004

一方、その結果、これらの家電製品をはじめとする製品廃棄量も年々増加する傾向にある。ここで、従来は、これらの家電製品をはじめとする製品の廃材の再資源化は、鉄くず回収ルートを通して行なわれる場合が多かった。

0005

しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少してプラスチック組成物からなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチック組成物は、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を付与することができ、軽量であり耐久性が高いことなどの多くの利点を有するためである。

0006

そして、近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃材は、各種構成部材材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なく、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチック組成物からなる部材の割合が多くなっており、従来の鉄くずの回収ルートではこのような廃材を再資源化しても採算が取れないため、対応が難しい状況になりつつある。

0007

そして、これらのプラスチック組成物からなる部材は、原油などの埋蔵化石燃料基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチック組成物からなる部材を備えた製品の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。

0008

また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含むプラスチック組成物の焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチック組成物を含む廃材の増大によるゴミ埋立処理場不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチック組成物からなる部材を備えた製品の廃材の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。

0009

なお、本明細書においては、プラスチック組成物からなる部材を、プラスチック部材とも記載する。また、本明細書においては、プラスチック部材を備えた製品を、プラスチック製品とも記載する。さらに、本明細書においては、プラスチック製品の廃材を、プラスチック廃材とも記載する。

0010

ここで、上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法施行された。ここで、家電リサイクル法においては、2002年1月現在においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目リサイクル義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。

0011

そして、上記の家電リサイクル法の施行を受けて、プラスチック廃材の回収は進みつつあるが、このようにして回収されたプラスチック廃材の再資源化方法としては、プラスチック廃材を燃料として使用するという、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法が従来から多く活用されている。しかし、このような方法によれば、プラスチック廃材のサーマルリサイクルによる再資源化は可能であるが、燃焼による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。

0012

そこで、こうして回収されたプラスチック廃材から、たとえば手解体などの方法により、プラスチック組成物の系統ごとにプラスチック部材を分離して、それらのプラスチック部材を再度、製品の部材またはその原料に加工して使用するプラスチック廃材の再資源化方法が提案されている。このような再資源化方法は、上記のサーマルリサイクルと対比して、マテリアルリサイクルと記載される。

0013

そして、上記のようにしてプラスチック組成物の系統ごとに分離されたプラスチック部材の中でも、熱可塑性樹脂組成物からなる部材(本明細書において、熱可塑性樹脂組成物廃材とも記載する)は、加熱溶融して再度成形することにより比較的容易にマテリアルリサイクルすることが可能である。

0014

そのため、現在、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルの比率を高めるために、熱可塑性樹脂組成物廃材のマテリアルリサイクルによる再資源化方法の研究開発が、各方面で多大な努力を払って行なわれている。

発明が解決しようとする課題

0015

しかしながら、熱可塑性樹脂組成物廃材、特に家電製品や事務用機器などに使用されている熱可塑性樹脂組成物廃材は、厳しい環境で長期間使用されることが多いため、廃材となった時点ですでに品質が低下しており、変色または退色などの外観上の品質の低下だけでなく、強度、柔軟性などの物性も低下した耐久性に乏しい材料になっていることが多い。

0016

そのため、熱可塑性樹脂組成物廃材は、要求特性の高いプラスチック部材に用いられる熱可塑性樹脂組成物のバージン材料代替用途ではなく、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いられることが多い。

0017

そして、現在のところ、熱可塑性樹脂組成物廃材のマテリアルリサイクルとしては、このようなカスケードリサイクルが主流となっている。そのため、熱可塑性樹脂組成物廃材から再生される熱可塑性樹脂組成物成形体の用途が限られてしまうということが問題となっている。

0018

ここで、本明細書において、バージン材料とは、未使用の樹脂組成物のことを意味するものとする。また、本明細書において、品質の低下したプラスチック廃材を、要求特性の高いプラスチック部材に用いられる熱可塑性樹脂組成物のバージン材料の代替用途ではなく、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いることを、カスケードリサイクルと記載するものとする。

0019

このような問題を克服するため、上記の熱可塑性樹脂組成物廃材からのマテリアルリサイクルにより得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の品質を向上させ、要求特性の高いプラスチック部材としても使用可能な水準に到達させるべく、多くの研究開発努力がなされている。

0020

たとえば、熱可塑性樹脂組成物廃材(マテリアルリサイクル材料)にバージン材料を混合することによって品質を保持する方法が、特開2000−159900号公報をはじめ、数多く提案されている。

0021

しかしながら、このようなマテリアルリサイクル方法においては、バージン材料の混合に伴い物性は向上するものの、物性が低下した熱可塑性樹脂組成物廃材を混合する限り、バージン材料と同等の物性には回復するのは不可能である。また、バージン材料の物性に近似させるためには、熱可塑性樹脂組成物廃材よりも多量のバージン材料を混合する必要がある場合が多く、資源循環型社会に対応しているとは言い難いものである。また、物性が低下していない熱可塑性樹脂組成物廃材であっても、長期間の使用により寿命は大きく低下しており、再利用した際、長期信頼性に問題がある。

0022

一方、特開平7−24437号公報では、使用済み製品構成部品劣化度に基づいてリサイクルの方策を決定し、繰り返し再資源化するリサイクルシステムが開示されている。

0023

しかしながら、このリサイクルシステムにおいては、方策を決定する判断基準である劣化度は、バージン材料との比較によって判定可能な物性に基づくものであり、回収された廃材の初期の特性が既知の場合のみに有効となる。しかし、実際に回収される廃材は膨大な数量であり、これらのひとつひとつの初期特性を把握し、さらには廃材の特性とその初期特性を逐一比較するには、膨大な時間と処理能力が必要であり、現実的にはこのようなリサイクルシステムの実現には困難が伴い、またコスト的に不利であるという問題がある。

0024

また、廃材となる製品の内部で使用される部品は、外観に使用される部品に比べて、光などの影響を受けにくいため、見かけ上の劣化度が低く、物性値の有意な差として劣化の進み具合が顕われない場合もある。したがって、このようなリサイクルシステムにおいては、廃材の材料組成識別は可能であっても、劣化度でもって材料の振り分けを行うことは困難であるという問題もある。

0025

上記のように、市場から回収された熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、要求特性の高いプラスチック部材またはその原料としても使用可能な品質を有し、かつバージン材と同等の製品としての寿命(本明細書において、単に余寿命とも略記する)を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の開発が強く望まれているにも関わらず、そのような再資源化方法は未だ公知となっていないのが現状である。

0026

上記の現状に基づき、本発明の課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供することである。

0027

また、本発明の別の課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を製造する方法を提供することである。

0028

さらに、本発明の他のもう1つの課題は、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより得られる、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を提供することである。

課題を解決するための手段

0029

本発明者らは、上記の課題を解決するには、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を評価し、さらに該熱可塑性樹脂組成物廃材に安定化の処方を施して余寿命を延長すればよいとの着想を得、そのような熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を開発すべく、多くの種類の測定方法、安定化の方策の決定方法、余寿命を延長する安定化方法などの組合せについて実験を行ない、鋭意検討を重ねた。

0030

そして、検討の末に、本発明者らは、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定することにより熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を評価し、あらかじめ構築されたデータベースに基づいて該評価された余寿命を延長するために必要な量の酸化防止剤の量を決定し、さらに該決定に基づいて所定の量の酸化防止剤を該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加して加熱溶融し、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材から熱可塑性樹脂組成物成形体を得ればよいことを見出した。

0031

さらに、本発明者らは、さらに検討を重ね、前記データベースの構築方法、および該データベースに基づいて熱可塑性樹脂組成物成廃材の余寿命を延長するために必要な量の酸化防止剤の量を決定する方法を確立し、本発明を完成した。

0032

すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤の添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とを備える熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法である。

0033

ここで、前記測定工程においては、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の測定は、該熱可塑性樹脂組成物廃材を窒素雰囲気中に設置し、次いで該窒素雰囲気温度を一定の速度で所定の保持温度まで昇温させた後、該窒素雰囲気を酸素雰囲気置換して該保持温度で等温保持して、該熱可塑性樹脂組成物廃材の発熱ピークが現れるまでの酸化誘導期を測定することにより行なうことが好ましい。

0034

また、前記測定工程においては、前記保持温度は、データベースに記録された情報に基づいて、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて決定されることが望ましい。

0035

さらに、前記決定工程においては、前記酸化防止剤の添加量は、データベースに記録された情報に基づいて、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および再資源化して得られる前記熱可塑性樹脂組成物成形体の用途に応じて必要とされる前記酸化防止剤の必要量を求め、さらにデータベースに記録された情報に基づいて、前記測定工程において求められた測定値から、前記熱可塑性樹脂組成物廃材酸化誘導期中に残存する前記酸化防止剤の残存量を求め、前記必要量と前記残存量の差を求めることにより決定することが推奨される。

0036

そして、前記添加工程においては、加熱溶融温度は、データベースに記録された情報に基づいて、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて該熱可塑性樹脂組成物廃材の溶融温度T℃に対して、T〜(T+120)℃の範囲となるように決定されることが好ましい。

0037

また、前記添加工程においては、前記熱可塑性樹脂組成物廃材と、前記酸化防止剤とに加えて、さらに未使用の熱可塑性樹脂組成物を添加して加熱溶融することが望ましい。

0038

さらに、前記成形工程においては、前記加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材は、押出成形により成形されることが推奨される。そして、前記成形工程においては、前記加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材は、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物原料に成形されることが好ましい。

0039

また、前記熱可塑性樹脂組成物廃材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物廃材であることが望ましい。さらに、前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤であることが推奨される。

0040

そして、前記熱可塑性樹脂組成物廃材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物廃材であり、前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤である場合には、前記決定工程において、前記測定工程において測定された酸化誘導期の測定値をa(分)、前記残存量をb(%(w/w))、前記必要量をc(%(w/w))とした場合に、b=0.055loga−0.017の式に基づいてbを求め、(c−b−0.05)以上の範囲で前記酸化防止剤の添加量を決定することが好ましい。

0041

ここで、前記必要量cは、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命をd(時間)、前記再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体に要求される余寿命をe(時間)とした場合に、c=0.066log(e/d)に基づいて決定されることが望ましい。

0042

また、本発明は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法により熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物成形体の製造方法を含む。さらに、本発明は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法により得られる熱可塑性樹脂組成物成形体を含む。

発明を実施するための最良の形態

0043

以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。

0044

本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤の添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とを備える熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法である。

0045

<余寿命の評価方法>まず、図1に熱可塑性樹脂組成物成形体の一般的な特性低下の傾向を表わす概念図を示す。図1に示すように、熱可塑性樹脂組成物成形体は、一般的にその熱可塑性樹脂組成物に固有の劣化誘導期間を経た後、急激にその特性が低下する傾向を有する。

0046

そのため、市場から回収された熱可塑性樹脂組成物廃材は、たとえば引張強度の測定などの物性試験によっては特性の低下が確認できない場合においても、長期間の使用によってその余寿命が短くなっており、熱安定性が低下していることが多い。

0047

すなわち、市場から回収された熱可塑性樹脂組成物廃材は、熱や光などにより余寿命が製造時に比べて短くなっているものがある。これらの熱可塑性樹脂組成物廃材はそのまま低品位の熱可塑性樹脂組成物成形体からなる部品へ再利用することも可能であるが、より多くの用途展開をおこなうためには、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を正確に評価することにより、その余寿命に応じた改質改善をおこない、中品位、または高品位の熱可塑性樹脂組成物成形体からなる部品への応用を可能とすることがリサイクル効率を向上させる上では好ましい。

0048

たとえば、熱可塑性樹脂組成物廃材が図1のAで示される時点で市場から回収された場合、この熱可塑性樹脂組成物廃材をリサイクル材料として再資源化すると、余寿命はB期間に示す長さとなり、耐久性あるいは高機能を必要する熱可塑性樹脂組成物成形体として使用することは不可能である。

0049

また、熱可塑性樹脂組成物成形体の余寿命の評価は、一般的には150℃前後のギヤー式オーブン熱酸化劣化試験を実施し、成形品の特性の低下、たとえばクラックが発生するまでの時間を測定することなどにより行なっている。しかし、この試験方法では、評価結果を得るまでに数百時間が必要であり、熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法に適用した場合、その再資源化方法の生産性が低くならざるを得ないという問題点がある。

0050

さらに、図1に示すように、回収時における熱可塑性樹脂組成物廃材の特性(たとえば引張強度などの物性)の低下は非常に小さいものであり、余寿命の低下を特定の物性の測定により評価することは困難である。

0051

ここで、本発明者らは、本発明を完成する課程において、後述するように、該熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の値と、熱酸化劣化試験における余寿命の値とが一定の関係を有することを見出した。すなわち、該熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定することにより、該熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を評価することができることを見出した。

0052

そこで、本発明においては、熱酸化劣化試験を行なう代わりに、該熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定することにより、市場から回収された熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を簡易的かつ迅速に評価することとした。

0053

そして、本発明においては、その酸化誘導期の測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加すべき酸化防止剤の量を決定し、その所定の量の酸化防止剤を添加した該熱可塑性樹脂組成物廃材を加熱溶融して成形することにより、バージン材を主要な原料とする熱可塑性樹脂組成物成形体と同等の余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることとした。

0054

そのため、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法には、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定する測定工程と、該測定結果に基づいて該熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤の添加量を決定する決定工程と、該熱可塑性樹脂組成物廃材に該決定された添加量の該酸化防止剤を添加して加熱溶融する添加工程と、該加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る成形工程とが備えられている。

0055

なお、特開2000−65771号公報には、ポリプロピレン樹脂成型品の酸化誘導期を測定することにより、そのポリプロピレン樹脂成型品の劣化度を測定する方法が開示されている。

0056

しかし、この公報には、該熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の値と熱酸化劣化試験における余寿命の値とが一定の関係を有するとの記載はない。また、この公報には、老化槽により劣化させた時間の値と酸化誘導期の値とが一定の関係を有するとの記載はあるが、熱酸化劣化試験における余寿命の値と老化槽により劣化させた時間の値と酸化誘導期の値とが一定の関係を有するとの記載はない。

0057

よって、この公報の記載からは、該熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の値と、熱酸化劣化試験における余寿命の値とが一定の関係を有することが直接導かれるわけではない。

0058

また、この公報においては、ポリプロピレン樹脂成型品の劣化度を測定する方法についての記載があるのみで、熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法については何らの記載もない。よって、この公報の記載からは、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を直接導くことはできないといえる。

0059

<熱可塑性樹脂組成物廃材>本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物廃材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いて、バージン材と同等の物性および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体をえることができるものであれば、任意の従来公知の熱可塑性樹脂組成物廃材を用いることができ、たとえば、ポリプロピレン系樹脂ポリエチレン系樹脂熱可塑性ポリエステル系樹脂などを主成分とする熱可塑性樹脂組成物廃材を好適に用いることができる。

0060

また、これらの熱可塑性樹脂組成物廃材の中でも、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物廃材は、下記の表1に示されるように、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いて再資源化された熱可塑性樹脂組成物成形体が、加工性経済性などの点で、他の分類の熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化された熱可塑性樹脂組成物成形体よりも優れているので、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、好適にマテリアルリサイクルによる再資源化の原料として用いることができる。

0061

また、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物廃材には、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、酸化防止剤などの各種添加剤の添加により特性の改善を行いやすいため、余寿命の安定した熱可塑性樹脂組成物成形体が再現性良く得られるという利点もある。

0062

0063

ここで、表1における主要な樹脂組成物の特性は、下記の基準に従って評価されたものである。
○:優れている
△:どちらともいえない
×:劣る
<酸化防止剤>本発明に用いる酸化防止剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、熱可塑性樹脂組成物廃材に添加することにより、バージン材と同等の余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体をえることができるものであれば、任意の従来公知の酸化防止剤を用いることができ、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤イオウ系酸化防止剤などを好適に用いることができる。

0064

また、これらの酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤は、自動酸化劣化反応の連鎖担体ラジカル(RO・,RO2・)を補足するのに有効であることから特に好ましい。さらに、フェノール系酸化防止剤の中でも、熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法をさらに効果的にする観点からは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤がとりわけ好ましい。

0065

<測定工程>本発明における測定工程においては、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の測定は、特に限定されず、正確に酸化誘導期を測定することのできる方法であれば任意の測定方法により測定することができるが、簡便かつ正確な測定方法であることから、特に該熱可塑性樹脂組成物廃材を窒素雰囲気中に設置し、次いで該窒素雰囲気温度を一定の速度で所定の保持温度まで昇温させた後、該窒素雰囲気を酸素雰囲気に置換して該保持温度で等温保持して、該熱可塑性樹脂組成物廃材の発熱ピークが現れるまでの酸化誘導期を測定することにより行なうことが好ましい。本明細書においては、このような酸化誘導期の測定方法を、OIT(Oxygen Induced Time)法と記載することとする。

0066

すなわち、本発明における測定工程においては、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命がまだ十分に残っている場合には、該熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量がまだ十分に多いので、酸化防止効果が大きいために酸素雰囲気中での所定の保持温度では酸化しにくく、発熱ピークが現れるまでの時間、すなわち酸化誘導期は長くなる傾向がある。

0067

また、本発明における測定工程においては、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命があまり残っていない場合には、該熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量が少なくなっているので、酸化防止効果が小さいために酸素雰囲気中での所定の保持温度で容易に酸化してしまい、発熱ピークが現れるまでの時間、すなわち酸化誘導期は短くなる傾向がある。

0068

したがって、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命が長い場合には酸化誘導期も長くなり、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命が短い場合には酸化誘導期も短くなる傾向があるといえる。

0069

また、同様に、熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量が多い場合には酸化誘導期も長くなり、熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量が少ない場合には酸化誘導期も短くなる傾向があるといえる。

0070

また、後述の実施例において図3および図4を用いて示すように、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命と、酸化誘導期との間には一定の関係が成立し、熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量と、酸化誘導期との間にも一定の関係が成立する。

0071

そのため、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定することにより、熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命と、熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量とを、高い信頼度でもって知ることができるといえる。

0072

なお、本発明における測定工程において、酸化誘導期を測定される熱可塑性樹脂組成物廃材は、回収された状態のままであってもよいが、正確な酸化誘導期を測定するためには、解体、破砕洗浄などの処理を受けた粉状体であることが好ましい。また、回収された熱可塑性樹脂組成物廃材を一旦加熱溶融して一定の形状に押出成形したものを測定の対象として用いてもよい。

0073

ここで、本発明における測定工程において、所定の保持温度は、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて決定されることが望ましい。

0074

そして、この熱可塑性樹脂組成物廃材の分類は、熱可塑性樹脂組成物廃材に含まれる主要な熱可塑性樹脂系統に基づいて分類されることが好ましい。主要な熱可塑性樹脂の系統に基づいて、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を含む種々の特性が変化するためである。

0075

また、この所定の保持温度が高過ぎると、酸化誘導期が短くなりすぎて有意差が出にくくなる傾向があり、この所定の保持温度が低すぎると、酸化誘導期が長くなりすぎて測定に時間がかかり過ぎるようになる。したがって、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて、酸化誘導期が1〜30分の範囲になるようにこの所定の保持温度を定めることが好ましい。

0076

そのために、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて、この所定の保持温度を定めたデータベースをあらかじめ作成しておき、このデータベースに記録された情報を参照してこの所定の保持温度を決定することが好ましい。

0077

すなわち、本発明の測定工程において、所定の保持温度は、データベースに記録された情報に基づいて、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類に応じて決定されることが望ましい。

0078

なお、この所定の保持温度は、酸化誘導期の測定を行なう際に、測定者がこのデータベースに記録された情報を参照しながら手動で調整してもよいが、生産性の観点からは、電子計算機記憶装置内にこのデータベースを記録しておき、一定の手段により上記の熱可塑性樹脂組成物廃材の分類が電子計算機に入力されることにより、電子計算機内のプログラムがこのデータベースに記録された情報を参照して、自動的にこの所定の保持温度を調整することが好ましい。

0079

<決定工程>本発明における決定工程においては、酸化防止剤の添加量は、上記の測定工程による酸化誘導期の測定結果に基づいて、熱可塑性樹脂組成物廃材に添加する酸化防止剤の添加量を決定することのできる方法であれば、任意の方法により決定することができるが、簡便で正確な方法であることから、特にデータベースに記録された情報に基づいて、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および用途に応じて必要とされる酸化防止剤の必要量を求め、さらにデータベースに記録された情報に基づいて、測定工程において求められた測定値から、熱可塑性樹脂組成物廃材酸化誘導期の残存する酸化防止剤の残存量を求め、前記必要量と前記残存量の差を求めることにより決定することが好ましい。

0080

この場合、この熱可塑性樹脂組成物廃材の分類は、熱可塑性樹脂組成物廃材に含まれる主要な熱可塑性樹脂の系統に基づいて分類されることが好ましい。主要な熱可塑性樹脂の系統に基づいて、用途に応じて含まれるべき酸化防止剤の含有量などが変化するためである。

0081

また、この場合、この熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化防止剤の必要量は、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および再資源化することにより得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の用途により要求される余寿命に応じて必要とされる、酸化防止剤の含有量であることが好ましい。すなわち、この要求される余寿命の値を、上記の熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の含有量とこの余寿命との間に成立する一定の関係にあてはめて求められる含有量であることが好ましい。

0082

さらに、この場合、この熱可塑性樹脂組成物廃材の残存する酸化防止剤の残存量は、測定工程において求められた酸化誘導期の測定値を、上記の熱可塑性樹脂組成物廃材中の酸化防止剤の残存量と酸化誘導期との間に成立する一定の関係にあてはめて求められることが好ましい。

0083

そして、上記の必要量と残存量との差を求め、その差に対応した量の酸化防止剤を、添加工程において熱可塑性樹脂組成物廃材に添加して加熱溶融し、さらに加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形することにより、必要とされる酸化防止剤の含有量を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることができる。

0084

具体例を挙げると、熱可塑性樹脂組成物廃材が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物廃材であり、酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤であり、かつ本発明における決定工程において、測定工程において測定された酸化誘導期の測定値をa(分)、熱可塑性樹脂組成物廃材における酸化防止剤の残存量をb(%(w/w))、酸化防止剤の必要量をc(%(w/w))とした場合には、図4に示すグラフより導かれる関係式:b=0.055loga−0.017の式に基づいてbを求め、(c−b−0.05)以上の範囲で前記酸化防止剤の添加量を決定することが好ましい。

0085

また、上記の必要量cは、前記熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命をd(時間)、前記再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体に要求される余寿命をe(時間)とした場合に、図3および図4に示すグラフより導かれる関係式:c=0.066log(e/d)の式に基づいて決定されることが好ましい。

0086

これらの関係式に基づいて決定された量の酸化防止剤を熱可塑性樹脂組成物廃材に添加することにより、用途に応じて必要とされる余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることができる。

0087

また、熱可塑性樹脂組成物廃材および酸化防止剤の分類が異なる場合についても、あらかじめ上記のような関係式を求めておくことが好ましい。さらに、それらの関係式を記録したデータベースを作成しておくことが好ましい。

0088

そして、このようなデータベースに記録された情報を参照して、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および用途に応じて必要とされる酸化防止剤の含有量(必要量)と、熱可塑性樹脂組成物廃材酸化誘導期の残存する酸化防止剤の含有量(残存量)とを決定することが好ましい。

0089

すなわち、本発明における決定工程において、酸化防止剤の添加量は、データベースに記録された情報に基づいて、熱可塑性樹脂組成物廃材の分類および再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の用途に応じて必要とされる酸化防止剤の必要量を求め、さらにデータベースに記録された情報に基づいて、測定工程において求められた測定値から、熱可塑性樹脂組成物廃材酸化誘導期の残存する酸化防止剤の残存量を求め、該必要量と該残存量の差を求めることにより決定することが好ましい。

0090

なお、この酸化防止剤の添加量は、酸化防止剤の添加を行なう前に、作業者がこのデータベースに記録された情報を参照しながら自ら計算して決定してもよいが、生産性の観点からは、電子計算機の記憶装置内にこのデータベースを記録しておき、一定の手段により上記の熱可塑性樹脂組成物廃材の分類、再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の用途および上記の測定工程における酸化誘導期の測定値が電子計算機に入力されることにより、電子計算機内のプログラムがこのデータベースに記録された情報を参照して、自動的にこの酸化防止剤の添加量を決定することが好ましい。

0091

<添加工程>本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、熱可塑性樹脂組成物廃材に、上記の決定工程において決定された添加量の酸化防止剤を添加して加熱溶融する工程を備える。

0092

ここで、本発明における添加工程においては、この酸化防止剤の添加は、作業者が決定された添加量の酸化防止剤を手動で計量して手動で添加してもよいが、生産性の面からは、この酸化防止剤の添加量の決定を行なうことのできる電子計算機に接続された自動計量装置により計量して、さらに自動添加装置により添加することが好ましい。

0093

また、本発明における添加工程においては、熱可塑性樹脂組成物廃材と、酸化防止剤とに加えて、さらに未使用の熱可塑性樹脂組成物(本明細書において、バージン材とも記載する)を添加して加熱溶融してもよい。

0094

このように、本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物廃材にさらに未使用の熱可塑性樹脂組成物を添加することにより、該熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の品質をさらに向上させることができるからである。

0095

ここで、この未使用の熱可塑性樹脂組成物は、この熱可塑性樹脂組成物廃材の主要成分である熱可塑性樹脂組成物と同系統の熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。

0096

つまり、具体例を挙げると、この熱可塑性樹脂組成物廃材の主要成分がポリオレフィン系樹脂組成物である場合に、未使用の熱可塑性樹脂組成物としては、ポリオレフィン系樹脂組成物を加えることが望ましい。

0097

なお、この際、添加される未使用の熱可塑性樹脂組成物は、この熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の用途や要求される特性に合わせて、適当な種類のものを選択することが好ましい。

0098

また、添加される未使用の熱可塑性樹脂組成物の配合量は、多ければ多いほどこの熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の品質の面からは好ましいが、余り多すぎると製造コストの面およびリサイクル率の面からは好ましくない。

0099

それゆえ、添加される未使用の熱可塑性樹脂組成物の配合量は、適宜、再資源化する成形体の要求特性に応じて熱可塑性樹脂組成物廃材と未使用の熱可塑性樹脂組成物を調整することが望ましい。

0100

また、本発明における添加工程においては、熱可塑性樹脂組成物廃材に、上記の成分に加えて、さらに熱安定剤光安定剤帯電防止剤滑剤フィラー銅害防止剤抗菌剤着色剤などの従来公知の添加剤を、該熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化により得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の特性を妨げない範囲で、必要に応じて添加してもよい。これらの添加剤を添加するタイミングとしては、後述する押出成形機への原料投入時がよい。

0101

また、本発明における添加工程においては、加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材は、他の成分を添加された後、その組成が均一になるように撹拌混合されることが好ましい。

0102

<成形工程>本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、上記の添加工程において加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材を成形して熱可塑性樹脂組成物成形体を得る工程を備える。

0103

ここで、本明細書において、熱可塑性樹脂組成物成形体と記載する際には、通常の製品またはその部品としての熱可塑性樹脂組成物成形体だけでなく、一定の形状に成形された熱可塑性樹脂組成物原料をも含むものとする。

0104

そして、本発明における添加工程における加熱溶融、および本発明における成形工程における押出成形は、加熱溶融および押出成形ができる装置であれば、特に限定されず、任意の従来公知の装置を用いて行なうことができるが、生産性および熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の品質の面からは、単軸押出成形機二軸押出成形機あるいは多軸式押出成形機のいずれかの押出成形機を用いて行なうことが特に好ましい。

0105

また、本発明における成形工程においては、汎用性を考えると、加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材から一定の形状を熱可塑性樹脂組成物原料を成形するのが好ましいが、加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材から直接、一定の形状を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を作製しても構わない。

0106

さらに、本発明における成形工程においては、得られる熱可塑性樹脂組成物原料の形状は、樹脂組成物原料の一般的な形状であるペレット状であることが好ましいが、特にペレット状に限られず、たとえばシート状、フィルム状、パイプ状などの形態であってもよく、押出成形機の種類などから適宜決定すればよい。

0107

そして、本発明における成形工程において、加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物廃材がペレット状の熱可塑性樹脂組成物原料に成形される場合には、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物原料を製造するには、上記の押出成形機に加えて、シートカットストランドカットホットエアカットアンダーウォーターカットなどのいずれの切断機を用いてもよいが、後工程にさらに押出成形工程を設ける場合には、熱可塑性樹脂組成物原料の供給が円滑におこなえ、大量処理にも対応できるアンダーウォーターカットが特に好ましい。

0108

<工程の流れ>本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の工程の流れの一例を、図2に示す工程図を用いて説明する。

0109

図2に示す工程の流れにおいては、まず、市場から熱可塑性樹脂組成物廃材を備えた製品が回収され、次いで、その熱可塑性樹脂組成物廃材を備えた製品が手解体などにより解体され、熱可塑性樹脂組成物廃材が分離される。そして、分離された熱可塑性樹脂組成物廃材は、細断、破砕されて粉状体となり、洗浄されて汚れ不純物を取除かれる。そして、洗浄された熱可塑性樹脂組成物廃材の粉状体は、加熱溶融、混練され、押出成形により、一定の形状に成形される。

0110

こうして一定の形状に成形された熱可塑性樹脂組成物廃材は、測定工程において、酸化誘導期を測定され、決定工程において、酸化防止剤の添加量を決定される。そして、添加工程において、決定された量の酸化防止剤を添加されて、加熱溶融、混練され、成形工程において、押出成形されて一定の形状の熱可塑性樹脂組成物成形体に成形される。以上が、図2に示す本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の工程の流れの一例である。

0111

なお、図2は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の工程の流れの一例を示す図ではあるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法をこの工程の流れに限定するものではない。

0112

すなわち、図2に示す工程の流れでは、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の測定は、熱可塑性樹脂組成物廃材を一旦加熱溶融して一定の形状に押出成形してから実施しているが、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期の測定のタイミングは特に限定されず、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の工程の流れの中において、異なるタイミングで実施してもよい。

0113

たとえば、回収した熱可塑性樹脂組成物廃材を一旦加熱溶融して一定の形状に押出成形することをせずに、回収した熱可塑性樹脂組成物廃材を、解体、細断、破砕、洗浄した後、直ぐに酸化誘導期を測定してもよい。

0114

また、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、図2に示す全ての工程を備える必要はなく、上述の測定工程、決定工程、添加工程、成形工程を具備していれば、一部の工程は省略されていてもよく、また、図2に示す工程以外の工程が付加されていても構わない。

0115

以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0116

<実施例>市場から回収した使用済みの洗濯機を解体して、代表的な結晶性熱可塑性樹脂であるポリプロピレンポリエチレンブロック共重合体樹脂を含む樹脂組成物の成形品である水槽、および脱水槽上蓋をそれぞれ個別に取り出し、微破砕した。次いで、微破砕された熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体を洗浄して汚れを除去し、それぞれ個別に均一に混合した。

0117

そして、混合した熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体を、スクリュー系45mmの二軸溶融混練押出機を用いて、230℃の温度で加熱溶融、混練、押出成形して、アンダーウォーターカット装置で切断し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体をそれぞれ個別に作製した。

0118

その後、これらのペレット状の熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体を、10トン押出成形機のホッパーに投入し、加熱溶融温度230℃、金型温度40℃の押出成形条件で、それぞれの熱可塑性樹脂組成物廃材からなるASTM準拠物性測定試験片を個別に作製し、それぞれの物性および酸化誘導期、クラック発生時間を個別に測定した。測定結果を表2に示す。

0119

ここで、本明細書において、それぞれの部位から得られた熱可塑性樹脂組成物廃材からなるASTM準拠の物性測定用試験片のうち、水槽由来の試験片を「R−S」、脱水槽由来の試験片を「R−D」、上蓋由来の試験片を「R−U」とも記載することとする。

0120

また、比較のために、ポリプロピレン−ポリエチレンブロック共重合体樹脂を含む樹脂組成物の一般グレードのバージン材料を用いてさらに別にASTM準拠の物性測定用試験片(本明細書において、「V−0」とも記載する)を作製し、その物性および酸化誘導期、クラック発生時間を測定した。測定結果を表2に示す。

0121

0122

表2に示すように、「R−S」、「R−D」、「R−U」の引張強度、曲げ強度曲げ弾性率アイゾット衝撃強度の各物性は、それぞれ「V−0」と概略同等であった。

0123

しかし、「R−S」、「R−D」、「R−U」は、「V−0」に比べて、酸化誘導期が短く、クラック発生時間もその酸化誘導期に対応する形で短い。そのことから、これらの熱可塑性樹脂組成物廃材を再資源化するには、再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体からなる部材の要求特性に応じて、これらの熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を延長する必要があることがわかる。

0124

次に、「R−S」、「R−D」、「R−U」、「V−0」を含む5つの熱可塑性樹脂組成物廃材からなる試験片の酸化誘導期とクラック発生時間を測定した。測定結果を図3に示す。

0125

ここで、本明細書においては、このクラック発生までの時間を「クラック発生時間」とも記載する。なお、本発明の属する技術分野においては、上記の熱酸化劣化試験は、これらの熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を調べるための加速試験の1つであるとされており、この「クラック発生時間」はその余寿命に対応する値を示すものであることは技術常識である。

0126

その結果、図3から理解されるように、これらの熱可塑性樹脂組成物廃材において、酸化誘導期と余寿命との間には、一定の相関関係が認められた。

0127

よって、このようにして熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期を測定することで、その熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を簡易に把握できる。それゆえ、再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の要求特性に応じて熱可塑性樹脂組成物廃材を改質することにより、熱可塑性樹脂組成物廃材を多様な用途へマテリアルリサイクルにより再資源化することが可能となる。

0128

ここで、一般的に、ポリプロピレン−ポリエチレンブロック共重合体樹脂組成物などの熱可塑性樹脂組成物には、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤が添加されており、ベースポリマーとなる熱可塑性樹脂の余寿命の安定化が図られている。また、耐熱性のグレードを向上させるために、熱安定性を強化する機能を有するイオウ系酸化防止剤が添加されていることも多い。

0129

これらの酸化防止剤は、熱可塑性樹脂組成物成形体の使用時に徐々に消費され、ベースポリマーを安定化する機能を有する。したがって、熱可塑性樹脂組成物廃材に含有される酸化防止剤の量は、当初の添加量よりもかなり減少しているものと思われる。

0130

この点を確認するために、実施例1において作成した「R−S」、「R−D」、「R−U」、「V−0」にそれぞれ含有される酸化防止剤量を測定した。測定結果を表3に示す。

0131

0132

表3から理解されるように、フェノール系酸化防止剤は、熱可塑性樹脂組成物廃材の使用環境によって消費量が異なり、リン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤は、使用環境に関係なくほぼ全量が消費されていた。したがって、熱可塑性樹脂組成物廃材の組成を把握しておけば、酸化誘導期を測定することによって、フェノール系酸化防止剤の残存量を、簡易に把握することが可能である。

0133

次に、フェノール系酸化防止剤の残存量と酸化誘導期との関係をより明確にするために、図2ミキシング工程で、「R−D」と同一組成の熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるテトラキスメチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネ−ト]メタン(旭電化工業(株)製、アデカスタブAO60)を所定量添加して試験片を作成し、酸化誘導期を測定した。測定結果を図4に示す。

0134

図4から理解されるように、フェノール系酸化防止剤の添加量(ほぼ残存量に等しい)と酸化誘導期との間には一定の相関関係があり、さらにフェノール系酸化防止剤の添加量を変えることによって、酸化誘導期、すなわち熱可塑性樹脂組成物廃材の余寿命を改善することが可能である。

0135

次いで、フェノール系酸化防止剤の添加量を可変させて、3種類の処方に基づいて「R−D」と同一組成の熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体を改質し、同一組成の熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体から、要求特性の異なる複数の種類の熱可塑性樹脂組成物成形体へ再資源化し、ASTM準拠の物性測定用試験片を作成して、それぞれの試験片の物性および酸化誘導期、クラック発生時間を個別に測定した。測定結果を表4に示す。

0136

なお、熱可塑性樹脂組成物におけるリン系酸化防止剤の添加量は、フェノール系酸化防止剤の1〜3倍量であることが一般的であるため、本実施例では、フェノール系酸化防止剤の残存量と添加量の合計値の2倍量のリン系酸化防止剤を添加することとした。

0137

すなわち、この実験において、処方1では、熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体100質量部に対して、0.07質量部のフェノール系酸化防止剤と、0.2質量部のリン系酸化防止剤を添加した。

0138

また、この実験において、処方2では、熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体100質量部に対して、0.11質量部のフェノール系酸化防止剤と、0.25質量部のリン系酸化防止剤を添加した。

0139

そして、この実験において、処方3では、熱可塑性樹脂組成物廃材の粉体100質量部に対して、0.11質量部のフェノール系酸化防止剤と、0.25質量部のリン系酸化防止剤、さらに耐熱性を向上させるために0.08質量部のイオウ系酸化防止剤を添加した。

0140

なお、処方1〜3においては、フェノール系酸化防止剤(旭電化工業(株)製、アデカスタブAO60)とリン系酸化防止剤(旭電化工業(株)製、アデカスタブ2112)、イオウ系酸化防止剤(吉富ファインケミカル(株)製、ヨシノクスDMTP)とを用いた。

0141

さらに、比較のために、「V−0」、「V−1」についても、それぞれの試験片の物性および酸化誘導期、クラック発生時間を個別に測定した。

0142

ここで、「V−1」は、V−0とはメーカーの異なる一般グレードのポリプロピレン樹脂である。

0143

0144

表4から理解されるように、処方1〜3を施すことにより、熱可塑性樹脂組成物廃材の酸化誘導期およびクラック発生時間の改善が著しい。

0145

そのため、処方1を施した熱可塑性樹脂組成物廃材は、「V−0」と同一組成からなる熱可塑性樹脂組成物成形体の代替材として、処方2を施した熱可塑性樹脂組成物廃材は、「V−1」と同一組成からなる熱可塑性樹脂組成物成形体の代替材として再資源化することが可能となる。

0146

なお、上記の引張強度などの物性値は、熱可塑性樹脂組成物廃材に処方1〜3を施しても、「V−0」および「V−1」に比べてわずかに劣るが、この程度であれば、酸化防止剤に加えて、さらにバージン材料を適量混合することにより改質が可能な範囲である。

0147

よって、このように、改質の処方を適宜可変し、酸化防止剤および/またはバージン材を適当量加えることにより、単一の組成の熱可塑性樹脂組成物廃材から数通りの特性を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を再資源化により得ることが可能であり、熱可塑性樹脂組成物廃材から再資源化して得られる熱可塑性樹脂組成物成形体の用途を拡大展開することが可能になる。

0148

<測定方法>上記の実施例で行なわれた各種物性(引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度)、酸化誘導期、クラック発生時間の測定は、下記の測定方法に従って実施した。

0149

(i)引張強度および引張弾性率の測定方法
ASTM準拠の物性測定用試験片を用いて、JIS K7113に準じて、引張強度および引張弾性率を測定した。

0150

(ii)曲げ強度および曲げ弾性率の測定方法
ASTM準拠の物性測定用試験片を用いて、JIS K7203に準じて、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。

0151

(iii)アイゾット衝撃強度の測定方法
ASTM準拠の物性測定用試験片を用いて、JIS K7110に準じて、アイゾット衝撃強度を測定した。

0152

(iv)酸化誘導期の測定方法
φ4mm,厚み1mmの形状を有する試験試料を用いて、熱分析装置セイコー電子工業(株)製、TG/DTA320U)を用いて測定した。まず、試験試料を窒素雰囲気中で210℃まで昇温し、10分間保持した後、空気雰囲気切替え、試験試料が発熱反応を開始するまでの時間を酸化誘導期として測定した。

0153

(v)クラック発生時間の測定方法
余寿命を評価するための加速試験として、140℃のギヤー式オーブン内にASTM準拠の物性測定用試験片を静置して熱酸化劣化試験を行ない、クラックが発生するまでの時間を測定した。そして、このクラック発生時間を余寿命の評価に用いた。

0154

今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

発明の効果

0155

上記の結果より、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を得ることのできる、効率的かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法であるといえる。

0156

また、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いた、本発明の熱可塑性樹脂組成物成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物廃材から、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体を製造することのできる方法であるといえる。

0157

そして、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いて得られる、本発明の熱可塑性樹脂組成物成形体は、熱可塑性樹脂組成物廃材を主原料とするマテリアルリサイクルにより得られる、多様な用途に応じた品質および余寿命を有する熱可塑性樹脂組成物成形体であるといえる。

図面の簡単な説明

0158

図1熱可塑性樹脂組成物成形体の一般的な特性低下の傾向の一例を示すグラフを記載した概念図である。
図2本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の工程の流れの一例を示す工程図である。
図3本発明の実施例における酸化誘導期とクラック発生時間との相関関係の一例を示すグラフを記載した図である。
図4本発明の実施例における酸化防止剤の添加量と酸化誘導期との相関関係の一例を示すグラフを記載した図である。

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