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技術 新規な繊維板及びその製造方法

出願人 国立大学法人北海道大学
発明者 佐野嘉拓浦木康光
出願日 2002年3月29日 (18年8ヶ月経過) 出願番号 2002-094608
公開日 2003年10月7日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-285305
状態 拒絶査定
技術分野 繊維板等の乾式成形
主要キーワード オルガノソルブリグニン わら類 ホルムアルデヒド由来 ダンボール古紙 木材成分 吸水試験 木質原料 クラフトリグニン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

未利用木材資源であるリグニンの有効利用をはかるために、リグニンを原料とした繊維板を開発することが本発明の課題である。

解決手段

本発明により、リグニンと繊維状物質を原料して利用した繊維板、およびその製造方法が提供された。原料であるリグニンはこれまで有効に利用されていなかった木材資源であり、本発明の繊維板はリグニンの新たな利用方法を提供するものである。また本発明の繊維板は曲げ強度が高いために強固であり、吸水性も低く、JIS のハードボード規格(S35 )を満たしていた。また製造方法についても改良がなされ、繊維を高温で乾燥させることにより繊維板の強度が向上した。また本発明で開発された湿式法は従来の乾式法と比較して簡便であり、湿式法により作製された繊維板は乾式法により作製されたものと比較して性能が向上していた。また、生分解性ポリエステル樹脂などの高分子物質を添加することにより、繊維板の強度が更に向上した。

概要

背景

地球環境保全整備といった公共の使命から低質広葉樹が環境林と称して栽培されている。また、木材を利用した工業においても、製品製造過程において多くの低質の木質系廃棄物が発生する。これらの多くの低質の樹木や木質系廃棄物を有機資源バイオマス)として利用できるような技術の確立は、地球環境の改善および有機資源の有効利用といった面から重要である。

その様な状況から本発明者等は、低質の樹木の利用という観点から、例えばカバなどの低質樹木に由来するリグニンの有効利用を目的として研究を行っている。リグニンの有効利用に関してこれまで種々の検討がなされてきたが、家具部材建築資材として多くの需要が期待される木質系ボード繊維板)の原料としての利用という観点においてはこれまでの検討は十分ではなかった。

従来の木質系ボードは、木材繊維建築廃材を原料とし、合成高分子接着剤として用いて製造されてきた。ホルムアルデヒドに代表される化学物質建築材料より放出されることによる、いわゆる「シックハウス症候群」が社会問題となっているが、従来の木質系ボードはその誘因となっていた。また生分解不完全であるために、それに起因する廃棄の問題が生じていた。

概要

未利用木材資源であるリグニンの有効利用をはかるために、リグニンを原料とした繊維板を開発することが本発明の課題である。

本発明により、リグニンと繊維状物質を原料して利用した繊維板、およびその製造方法が提供された。原料であるリグニンはこれまで有効に利用されていなかった木材資源であり、本発明の繊維板はリグニンの新たな利用方法を提供するものである。また本発明の繊維板は曲げ強度が高いために強固であり、吸水性も低く、JIS のハードボード規格(S35 )を満たしていた。また製造方法についても改良がなされ、繊維を高温で乾燥させることにより繊維板の強度が向上した。また本発明で開発された湿式法は従来の乾式法と比較して簡便であり、湿式法により作製された繊維板は乾式法により作製されたものと比較して性能が向上していた。また、生分解性ポリエステル樹脂などの高分子物質を添加することにより、繊維板の強度が更に向上した。

目的

そこで、リグニンを原料として用いた繊維板を開発することにより、上記の従来の木質系ボードの欠点を補う繊維板を提供すること、またそれによりリグニンの有効利用をはかることが、本発明の課題である。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

リグニン繊維状物質との混合物を含むことを特徴とする繊維板

請求項2

前記リグニンの含量が5 〜60% である、請求項1記載の繊維板。

請求項3

生分解性ポリエステル樹脂またはフェノール樹脂を更に含むことを特徴とする、請求項1記載の繊維板。

請求項4

前記生分解性ポリエステル樹脂がポリブチレンスクシネートポリエチレンスクシネートポリヒドロキシアルカノエート、またはポリカプロラクトンである、請求項3記載の繊維板。

請求項5

前記リグニンが酢酸リグニン、HBSリグニンおよびオルガノソルブリグニンから成る群より選択された溶融性リグニン、若しくはクラフトリグニンおよびリグニンスルホン酸から成る群より選択された工業用リグニンである、請求項1記載の繊維板。

請求項6

前記繊維状物質がパルプ繊維である、請求項1記載の繊維板。

請求項7

前記パルプ繊維が古紙由来のパルプ繊維である、請求項6記載の繊維板。

請求項8

繊維板の製造方法であって、繊維状物質を解繊し、解繊した該繊維状物質を100 〜200 ℃の温度により加熱乾燥して繊維原料を調製し、該繊維原料とリグニンとの混合物を調製し、該混合物を130 〜250 ℃の温度で60〜400 kgf/cm2 のプレス圧において熱圧プレス加工して成型する過程よりなる、繊維板の製造方法。

請求項9

繊維板の製造方法であって、繊維状物質を解繊し、解繊した該繊維状物質とリグニンとの混合物を調製し、該混合物を150 〜250 ℃の温度で150〜350 kgf/cm2 のプレス圧において熱圧プレス加工により成型する過程よりなる、繊維板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、未利用木材資源であるリグニン原料として利用した繊維板、およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

地球環境保全整備といった公共の使命から低質広葉樹が環境林と称して栽培されている。また、木材を利用した工業においても、製品製造過程において多くの低質の木質系廃棄物が発生する。これらの多くの低質の樹木や木質系廃棄物を有機資源バイオマス)として利用できるような技術の確立は、地球環境の改善および有機資源の有効利用といった面から重要である。

0003

その様な状況から本発明者等は、低質の樹木の利用という観点から、例えばカバなどの低質樹木に由来するリグニンの有効利用を目的として研究を行っている。リグニンの有効利用に関してこれまで種々の検討がなされてきたが、家具部材建築資材として多くの需要が期待される木質系ボード(繊維板)の原料としての利用という観点においてはこれまでの検討は十分ではなかった。

0004

従来の木質系ボードは、木材繊維建築廃材を原料とし、合成高分子接着剤として用いて製造されてきた。ホルムアルデヒドに代表される化学物質建築材料より放出されることによる、いわゆる「シックハウス症候群」が社会問題となっているが、従来の木質系ボードはその誘因となっていた。また生分解不完全であるために、それに起因する廃棄の問題が生じていた。

発明が解決しようとする課題

0005

そこで、リグニンを原料として用いた繊維板を開発することにより、上記の従来の木質系ボードの欠点を補う繊維板を提供すること、またそれによりリグニンの有効利用をはかることが、本発明の課題である。

課題を解決するための手段

0006

本願発明の第一の観点は、リグニンとパルプ繊維との混合物を含むことを特徴とする繊維板である。前記の繊維板において、リグニンの含量は5 〜60%であり、前記リグニンは酢酸リグニン、HBSリグニンおよびオルガノソルブリグニンから成る群より選択された溶融性リグニン、若しくはクラフトリグニンおよびリグニンスルホン酸から成る群より選択された工業用リグニンである。

0007

本願発明の他の観点は、繊維板の製造方法であって、繊維状物質解繊し、解繊した該繊維状物質を100 〜200 ℃の温度により加熱乾燥して繊維原料を調製し、該繊維原料とリグニンとの混合物を調製し、該混合物を130 〜250 ℃の温度で60〜400 kgf/cm2 のプレス圧において熱圧プレス加工して成型する過程よりなる、繊維板の製造方法である。また、本願発明の更なる観点は、繊維板の製造方法であって、繊維状物質を解繊し、解繊した該繊維状物質とリグニンとの混合物を調製し、該混合物を150 〜250 ℃の温度で150 〜350 kgf/cm2 のプレス圧において熱圧プレス加工により成型する過程よりなる、繊維板の製造方法である。

発明を実施するための最良の形態

0008

上記の課題を解決すべく、林業廃棄物の新聞及び雑誌古紙類のリサイクルと、未利用木材成分であるリグニンの有効利用を目的に、両者の混合物から高強度の木材系ボード(繊維板)、および該繊維板を作成する簡便な方法を開発した。本発明の繊維板は、家具部材や建築資材として、木工分野及び建築分野で利用することが可能であり、さらに、ディスポーサブルトレイ等として包装日用品製造分野でも利用することも可能である。

0009

本発明で原料として使用されているリグニンは著量存在する天然高分子だが、現在まで燃料としてしか利用されていない。ソルベントパルプ化法により単離されたリグニンは熱溶融性を示すので、ホットメルト型の接着剤として機能することが期待された。そこで本発明では、新聞や雑誌古紙等にリグニンを混合し、従来使用されている接着剤を用いない繊維板の製造を試みた。その結果、下記の実施例で示す様に、十分な強度を有するボードが得られた。さらに、工程を改良することにより耐水性強化され、JIS A5905 のS35 を満足するハードボードが製造できた。このボードは、従来の繊維板製造で用いられていたホルムアルデヒド由来の接着剤が不要であるために、シックハウスの懸念はない。また、リグニンは疎水性材料であるので、吸水性の低減にも寄与している。さらに、天然物原料の特性である生分解性を保持していることも確認済であることから、環境調和型の繊維板である。

0010

ここで使用されているリグニンは、樹木を強固とするために作用している天然高分子物質である。リグニンはセルロースに次いで多く存在する天然高分子であるのみならず、固定化されたエネルギー量から見れば地球上で最も大量に存在する有機物の一つである。このように多量の存在するリグニンは分解されづらいという問題もあり、これまでは利用価値のない成分とみなされて捨てられており、その有効利用は重要な問題である。

0011

発明で使用するリグニンの木質原料としては、針葉樹や広葉樹等特に限定されるものではないが、農産廃棄物などを用いることが好ましい。上記において述べた様に、ホットメルト型の接着剤として機能させる都合上、溶融性リグニンを使用することが好ましい。その様な好適な溶融性リグニンとしては、酢酸リグニン、HBSリグニン、オルガノソルブリグニンを挙げることができる。また、クラフトリグニン、リグニンスルホン酸等の一般的な工業用リグニンもまた本発明の目的に利用することも可能であり、使用するリグニンは特に限定されるものではない。それら種々のリグニンの中でも、酢酸リグニン、HBS リグニンやオルガノソルブリグニンを用いることは特に好ましい。

0012

なお、酢酸リグニンを調製する方法としては常圧酢酸パルプ化法が知られている。具体的に述べると、酢酸リグニンは、これら木質原料チップを常圧酢酸蒸解で得られた蒸解液より得ることができる。その製法の1例を示すと、チップを90〜95%酢酸水及び塩酸又は硫酸等の鉱酸煮沸抽出し、得られた抽出液減圧濃縮し、水により分別沈澱によって糖類を除去したものである。酢酸リグニンの調製および利用に関しては、例えば、日本木材学会北海道支部講演集第26巻平成6年10月号67〜70頁に記載されている。また、わら類を用いた常圧酢酸パルプ化が、特開平11-12971において開示されている。

0013

またHBSリグニンは、高沸点有機溶媒によるパルプ化(HBS パルプ化)で得ることが可能である。パルプ原料と、1,4-ブタンジオール(BDOL)、プロピレングリコールPG)等の高沸点有機溶媒を混合して180 〜230 ℃の高温で処理することにより、HBS パルプ化法は行われる。高沸点有機溶媒によるパルプ化の方法は、特開2001-89986において開示されている。

0014

なお、下記の実施例において、酢酸リグニンとして、シラカンバから調製したHAL (Hardwood Acetic acid Lignin)、トドマツから調製したSAL (Softwood Acetic acid Lignin )、更にHBSリグニンとして、シラカンバからBDOLを用い調製したHBL(Hardwood BDOL Lignin)、およびPGを用いて調製したHPL(Hardwood PG Lignin)を用いて検討を行っている。検討の結果、これらすべてのリグニンは、本発明の繊維板の原料として好適であり、中でもHAL とSAL は特に好適であった。

0015

リグニンに混合する繊維状物質としては、パルプ繊維、再生セルロ−ス等の種々由来の繊維を使用することが可能であり、本願明細書における繊維状物質という概念は限定的に解釈されるものではない。中でも林業廃棄物の有効利用という観点からは新聞古紙、雑誌古紙、ダンボール古紙等を使用することが特に好ましい。しかし、古紙に由来しないバージンパルプを使用しても本発明を実施することは当然に可能であり、かかる態様も本発明の範囲内である。下記の実施例において、新聞古紙、雑誌古紙、ダンボール古紙、コピー用紙古紙、シラカバパルプ、およびトドマツパルプを使用して検討を行い、いずれにおいても好適な結果を得ている。上記のリグニンの含量は、5 〜60% の範囲内であり、好ましくは10〜40% であり、更に好ましくは15〜30% である。下記の実施例で示すように、リグニンであるHAL の含有率が20% 程度において、本発明の繊維板は最も高い曲げ強度を示した。

0016

乾燥した繊維を使用して繊維板を作製する方法である乾式法のプロセスとして、解繊したパルプ繊維を粉砕した後に常温で3日間程風乾した後にリグニンを添加してホットプレスを行うことによりボードを形成するという工程を、従来採用していた。本発明においてはこの乾式法を改良することを試みた。即ち、パルプ繊維の乾燥を行う工程を風乾ではなく、高温のオーブンで乾燥させたところ曲げ強度が明らかに改善された。従来法と本発明において採用した修正法を図1に示す。ボードの強度を増大させるには繊維間の水素結合を形成させることが必要であるが、オーブンで乾燥させることにより水素結合を形成がなされており、それにより繊維板の強度が向上したものと思われる。

0017

なお、乾式法の修正法における繊維状物質の乾燥温度は100 〜200 ℃であり、好ましくは100 〜150 ℃であり、更に好ましくは100 〜120 ℃である。上述した水素結合の形成を考えると、乾式法においてホットプレスの条件もまた重要である。ホットプレスは130 〜250 ℃の温度で行われ、好ましくは140 〜200 ℃、更に好ましくは150 〜180 ℃の温度で行われる。またホットプレスのプレス圧は60〜400 kgf/cm2 であり、好ましくは110 〜350 kgf/cm2 、更に好ましくは120 〜300 kgf/cm2 である。これらの条件の中から最適な条件を適宜選択することは当業者の通常の工夫の範囲内であり、種々の態様により本発明の繊維板を作製することができる。

0018

更に本発明において、湿式ボードの製造プロセスについても検討を行い、湿式法による工程を確立した。湿式法は解繊したパルプ繊維を乾燥せずにリグニンと混合してホットプレスを行う方法であり、パルプ繊維の乾燥工程が省略されているために乾式法と比較してより簡便な方法である。乾式法と湿式法のフローチャート図2に示す。湿式法により作製した繊維板の性能を検討したところ、強度においても吸水率においても、乾式法により作製した乾式ボードよりも優れていた。

0019

湿式法においては主としてホットプレスにより繊維間の水素結合を形成させるために、その条件は特に重要である。ホットプレスは150 〜250 ℃の温度で行われ、好ましくは160 〜250 ℃、更に好ましくは170 〜200 ℃の温度で行われる。またホットプレスのプレス圧は150 〜350 kgf/cm2 であり、好ましくは200 〜330 kgf/cm2 、更に好ましくは250 〜300 kgf/cm2 である。これらの条件の中から最適な条件を適宜選択することは当業者の通常の工夫の範囲内であり、種々の態様により本発明の繊維板を作製することができる。

0020

また、本発明の繊維板は高い生分解性を有している。湿式法により作製した繊維板のBOD(biological oxygen demand)を測定したところBOD は空試験より高い値であった。このように生分解性が高いこと、また原料が廃棄物であることから、本発明の繊維板は強度等の物性が優れているのみならず、環境調和型の新世代型の繊維板であるといえる。現在、地球環境の保護が大きな社会問題となっていることを考えると、本発明の繊維板の意義は非常に大きいと考えられる。

0021

なお、生分解ポリエステル樹脂フェノール樹脂等の高分子物質を添加することにより、更に強度増加と吸水性の低下を図ることができる。生分解ポリエステル樹脂として好ましいものはポリブチレンスクシネートポリエチレンスクシネートポリヒドロキシアルカノエート、およびポリカプロラクトン等であるが、これらに限定されるものではない。下記の実施例においてポリブチレンスクシネートとポリエチレンスクシネートの混合樹脂商品名:ビオノーレ)の添加が曲げ強度と吸水率に及ぼす影響を検討しているが、ビオノーレの添加により曲げ強度と吸水率は共に改善された。

0022

(乾式法によるボード作製)図1の右側の修正法に示した製造工程により、乾式法によるボードの作製を行った。新聞や雑誌古紙類を水中で解繊して105 ℃の温度で乾燥した。これに所定のリグニンを混合した後、円筒形(10cmφ)の成型器に入れ、温度と圧力を変えて15分間熱圧成型することにより繊維板を作成した。

0023

(湿式法によるボード作製)図2の右側に示した製造工程により湿式法によるボードの作製を行った。新聞や雑誌古紙類を水に懸濁してリグニンを加えて攪拌した後、吸引濾過して湿潤状態のまま、長方形(5cm X 20cm)の成型器に入れ180 ℃、270 kgf/cm2 でで2時間プレスした。

0024

(物性試験
1.曲げ強度試験
全てのボードはJIS K6911 に従って強度を測定した。湿式ボードでは繊維板規格のJIS A5905 による測定も行った。
2.吸水試験
JIS A5905 に従い、24時間後に浸漬後の重量増加率百分率で示した。

0025

(種々の因子が乾式法で作製したボードの曲げ強度に及ぼす影響)乾式法では、30g の試料から、厚さ約3mm 、密度1.2 〜1.4 g/cm3 のハードボードが得られた。このボードの比重は1g/cm3以上を示し、JIS のハードボードに分類される。図3に、従来法により作製した乾式ボードと、オーブン乾燥を行った今回の修正法により作製した乾式ボードの曲げ強度を、種々のリグニン(シラカンバ由来の酢酸リグニン:HAL )含有率において比較した結果を示す。その結果いずれのHAL 含有率においても、今回の修正法により作製した乾式ボードは、従来法によるものよりも強い強度を示した。そして、HAL 含有率20% において最も高い曲げ強度を示し、その値はJIS ハードボード規格S35 の約2倍である67MPa であった。

0026

種々のHAL含有率において、プレス圧が曲げ強度に及ぼす影響を検討した結果を図4に示す。230kgf/cm2と345kgf/cm2のプレス圧において検討を行ったところ両者において差は認められず、いずれのプレス圧においても20% のHAL 含有率において60MPa 以上の高い曲げ強度の値を示した。

0027

一定のリグニン量下において、プレス圧と温度が曲げ強度に及ぼす影響を検討した。130 ℃から200 ℃の範囲の温度の下、115kgf/cm2、230kgf/cm2、345kgf/cm2のプレス圧力で成型を行って高い曲げ強度を測定した(図5)。230kgf/cm2と345kgf/cm2のプレス圧力において、HAL のガラス転移温度(130 ℃)よりも溶融温度(170 ℃)においてより高い曲げ強度を示した。成型温度として溶融温度が最適であったことから、HAL がホットメルト型の接着剤として機能することが示された。

0028

(種々の因子が乾式法で作製したボードの吸水率に及ぼす影響)種々のHAL含有率における吸水率を検討した(図6)。古紙のみのボードの吸水率は非常に高い値となったが、リグニンを10% 添加するだけで顕著な吸水率の低下が認められた。また、プレス圧力と温度が吸水率に及ぼす影響を検討した(図7)。その結果、いずれのプレス圧力においてもプレス温度の上昇に従って吸水率は低下し、170 ℃以上でプレスしたボードの吸水率は30% 以下となった。

0029

(種々のリグニン原料の検討)また、種々のリグニン原料を用いて乾式ボードを作製し、それらの曲げ強度と吸水率を測定した。リグニンとしては、HAL 20% (S) 、SAL 20% (A) 、HPL20%(B) 、HBL20% (C) 、KL(クラフトリグニン)20% (D) 、LS(リグニンスルホン酸塩)20% (E) 、HAL 17% + PH(フェノール樹脂)3% (F)、HAL 15% + PH 5% (G) 、PH 20% (H)を用いた。新聞古紙由来の繊維を使用して230kgf/cm2のプレス圧で成型した。曲げ強さの結果を図8に、吸水率の結果を図9に示す。いずれのリグニンを使用した場合にも高い強度を示し、繊維板として良好な性質を有していた。

0030

(種々の繊維原料の検討)また、種々の繊維原料を用いて乾式ボードを作製し、それらの曲げ強度と吸水率を測定した。繊維原料としては新聞古紙(S) 、雑誌古紙(I) 、シラカンバパルプ(J) 、トドマツパルプ(K) 、ダンボール古紙(L) 、コピー用古紙(M) 、新聞古紙(N) を用いた。HALリグニン20% を使用して230kgf/cm2のプレス圧、170 ℃のプレス温度で成型した。曲げ強さの結果を図10に、吸水率の結果を図11に示す。いずれの繊維を使用した場合にも高い強度を示し、繊維板として良好な性質を有していた。

0031

(湿式ボードの物性の検討)湿式法により作製したボードの物性を検討した。種々のリグニン(HAL )含有率において曲げ強度を検討した結果を図12に、吸水率を検討した結果を図13に示す。湿式ボードの強度は乾式ボードと比較して増大し、リグニン量30% のときに最大となり96MPa であった。また、吸水率も大幅に低下して13% となり、JIS規格の35% を十分満足する実用性の高い繊維板を作製することができた。

0032

この検討において更なる強度増加と吸水性の低下を図るために、生分解ポリエステル樹脂を添加することによる影響について検討を行った。生分解ポリエステル樹脂として、ポリブチレンスクシネートとポリエチレンスクシネートの混合樹脂(商品名:ビオノーレ)を使用した。その結果、ビオノーレは湿式ボードの強度改善にも、吸水率の低下にも有効であることが示された。

0033

(湿式ボードの生分解性の検討)また、調製された湿式ボードの生分解性を、BOD(biological oxygen demand)を指標として検討した(図14)。図14より、HAL を20% 含む湿式ボードの生分解試験におけるBOD 値は空試験よりも高く、予想されたとおりの高い生分解性を示した。

発明の効果

0034

本発明により、リグニンと繊維状物質を原料して利用した繊維板、およびその製造方法が提供された。原料であるリグニンはこれまで有効に利用されていなかった木材資源であり、本発明の繊維板はリグニンの新たな利用方法を提供するものである。また本発明の繊維板は曲げ強度が高いために強固であり、吸水性も低く、JIS のハードボード規格(S35 )を満たしていた。また製造方法についても改良がなされ、繊維を高温で乾燥させることにより繊維板の強度が向上した。また本発明で開発された湿式法は従来の乾式法と比較して簡便であり、湿式法により作製された繊維板は乾式法により作製されたものと比較して性能が向上していた。また、生分解性ポリエステル樹脂などの高分子物質を添加することにより、繊維板の強度が更に向上した。

図面の簡単な説明

0035

図1図1は、乾式ボードを作製する従来法と、本発明の修正法の工程を比較した模式図である。
図2図2は、乾式法の工程と湿式法の工程を比較した模式図である。
図3図3は、従来法と修正法により作製した繊維板の、種々のリグニン量における曲げ強度を示したグラフである(乾式法)。
図4図4は、曲げ強度に及ぼすプレス圧力の影響を、種々のリグニン量において示したグラフである(乾式法)。
図5図5は、一定のリグニン量において、プレス圧力とプレス温度が曲げ強度に及ぼす影響を示したグラフである(乾式法)。
図6図6は、リグニン量の変化が吸水率に及ぼす影響を示したグラフである(乾式法)。
図7図7は、プレス圧力とプレス温度が吸水率に及ぼす影響を示したグラフである(乾式法)。
図8図8は、種々のリグニン原料を使用して作製した繊維板において測定した、曲げ強度を示したグラフである(乾式法)。
図9図9は、種々のリグニン原料を使用して作製した繊維板において測定した、吸水度を示したグラフである(乾式法)。
図10図10は、種々の繊維原料を使用して作製した繊維板において測定した、曲げ強度を示したグラフである(乾式法)。
図11図11は、種々の繊維原料を使用して作製した繊維板において測定した、吸水度を示したグラフである(乾式法)。
図12図12は、湿式法で作製した繊維板の曲げ強度に、リグニン量が及ぼす影響を示したグラフである(湿式法)。
図13図13は、湿式法で作製した繊維板の吸水率に、リグニン量が及ぼす影響を示したグラフである(湿式法)。
図14図14は、湿式法で作製した繊維板のBOD値を示したグラフである。

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