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技術 アルミナ繊維マットとそれを使用した無機繊維製品

出願人 サンゴバン・ティーエム株式会社
発明者 寺田浩之根本孝司三須安雄
出願日 2002年3月18日 (18年3ヶ月経過) 出願番号 2002-073525
公開日 2003年10月2日 (16年8ヶ月経過) 公開番号 2003-278062
状態 特許登録済
技術分野 セメント、コンクリート、人造石、その養正 セメント、コンクリート、人造石、その養生 不織物
主要キーワード 金属製繊維 バネ効果 二次元ランダム 三次元ランダム 有機長繊維 塩基性塩化アルミニウム溶液 失透状態 コランダム結晶
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重要な関連分野

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課題

復元性が大きく、高温で使用した後でも目地開きが発生しがたいアルミナ繊維マットとそれを使用した製品を提供する。

解決手段

Al2O3を70重量%以上含むアルミナ繊維マットにおいて、繊維の一部が、立体的螺旋状のループ、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、個々の繊維を平面に投影した形が環状であって、繊維が三次元ランダム配向し、相互に絡み合う状態で積層されている。復元率が、室温で150%より大きく、1200℃で8時間加熱後に110%より大きい。室温における圧縮荷重が0.30×10-2MPaより大きい。アルミナ繊維の繊維中に含む不純物として、NaとKの合計量が300ppm以下、Feが200ppm以下、Cuが2ppm以下、Niが2ppm以下、Caが50ppm以下、Mgが10ppm以下である。

概要

背景

従来から、工業炉の断熟材として、無機繊維からなるマットブランケットフェルト等が広く使用されている。さらに、これらを積層して作られた無機繊維ブロックも近年多く使用されている。

これらブロックには、無機繊維として、アルミナシリカ繊維あるいはアルミナシリカジルコニア繊維が多く使用されている。これらの繊維は、加熱される前は非晶質であり、使用の際に、1000℃以上に加熱されると、ムライトクリストバライト等の結晶析出する。一般に、これらの結晶が析出する際に、繊維は収縮し、さらに長時間使用すると、繊維の結晶成長が進行し、ブロックの強度劣化目地開きが発生しやすくなる。

この目地開きを防ぐ対策として、ブロックにアルミナ繊維が用いられることが多くなってきた。この種のアルミナ繊維は、アルミナ含有量が70重量%以上で、残部がシリカからなる多結晶質の無機繊維である。この無機繊維は、製造の時点で、熱処理によってムライト、コランダム、γアルミナ等の結晶を析出させている。そのため、このような無機繊維は、使用に際して、結晶化による繊維の耐熱性の低下や繊維の収縮を防止することができ、また、非晶質の繊維に比べ高温での復元性に優れている。その結果、このような無機繊維は、ブロックやスペーサーとして使用した場合、目地開き防止に効果がある。

特開昭62−69870号公報には、復元性に優れたマットを目地のスペーサーとして使用することが示されている。このマットにおいては、アルミナ繊維が三次元ランダム配向し、緊張した状態で結合している。

また、アルミナ繊維のブランケットやマットを使用したブロックが、特開平9−156989号公報、特開2001−40558号公報、特開2001−89253号公報、及び特開2001−103226号公報に示されている。

概要

復元性が大きく、高温で使用した後でも目地開きが発生しがたいアルミナ繊維マットとそれを使用した製品を提供する。

Al2O3を70重量%以上含むアルミナ繊維マットにおいて、繊維の一部が、立体的螺旋状のループ、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、個々の繊維を平面に投影した形が環状であって、繊維が三次元ランダムに配向し、相互に絡み合う状態で積層されている。復元率が、室温で150%より大きく、1200℃で8時間加熱後に110%より大きい。室温における圧縮荷重が0.30×10-2MPaより大きい。アルミナ繊維の繊維中に含む不純物として、NaとKの合計量が300ppm以下、Feが200ppm以下、Cuが2ppm以下、Niが2ppm以下、Caが50ppm以下、Mgが10ppm以下である。

目的

本発明の目的は、復元性が大きい繊維を作製し、その繊維を用いて、高温での使用後も目地開きの発生し難いマットや、そのようなマットを使用した無機繊維製品(たとえばマットを積層したブロックなど)を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

Al2O3を70重量%以上含むアルミナ繊維からなるアルミナ繊維マットにおいて、繊維の一部が、立体的螺旋状のループ、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、個々の繊維を平面に投影した形が環状であって、繊維が、三次元ランダム配向されており、かつ、相互に絡み合う状態で積層されていることを特徴とするアルミナ繊維マット。

請求項2

復元率が、室温で150%より大きく、1200℃で8時間加熱後に110%より大きいことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ繊維マット。

請求項3

室温における圧縮荷重が0.30×10-2MPaより大きいことを特徴とする講求項1または2に記載のアルミナ繊維マット。

請求項4

アルミナ繊維マットの繊維中に含まれる不純物として、NaとKの合計量が300ppm以下、Feが200ppm以下、Cuが2ppm以下、Niが2ppm以下、Caが50ppm以下、Mgが10ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミナ繊維マット。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミナ繊維マットを少なくとも一部に使用したことを特徴とする無機繊維製品。

技術分野

0001

本発明は、アルミナ繊維マットとそれを使用した無機繊維製品に関する。

背景技術

0002

従来から、工業炉の断熟材として、無機繊維からなるマットブランケットフェルト等が広く使用されている。さらに、これらを積層して作られた無機繊維ブロックも近年多く使用されている。

0003

これらブロックには、無機繊維として、アルミナシリカ繊維あるいはアルミナシリカジルコニア繊維が多く使用されている。これらの繊維は、加熱される前は非晶質であり、使用の際に、1000℃以上に加熱されると、ムライトクリストバライト等の結晶析出する。一般に、これらの結晶が析出する際に、繊維は収縮し、さらに長時間使用すると、繊維の結晶成長が進行し、ブロックの強度劣化目地開きが発生しやすくなる。

0004

この目地開きを防ぐ対策として、ブロックにアルミナ繊維が用いられることが多くなってきた。この種のアルミナ繊維は、アルミナ含有量が70重量%以上で、残部がシリカからなる多結晶質の無機繊維である。この無機繊維は、製造の時点で、熱処理によってムライト、コランダム、γアルミナ等の結晶を析出させている。そのため、このような無機繊維は、使用に際して、結晶化による繊維の耐熱性の低下や繊維の収縮を防止することができ、また、非晶質の繊維に比べ高温での復元性に優れている。その結果、このような無機繊維は、ブロックやスペーサーとして使用した場合、目地開き防止に効果がある。

0005

特開昭62−69870号公報には、復元性に優れたマットを目地のスペーサーとして使用することが示されている。このマットにおいては、アルミナ繊維が三次元ランダム配向し、緊張した状態で結合している。

0006

また、アルミナ繊維のブランケットやマットを使用したブロックが、特開平9−156989号公報、特開2001−40558号公報、特開2001−89253号公報、及び特開2001−103226号公報に示されている。

発明が解決しようとする課題

0007

従来公知のマットやブロックは、ある程度目地開きの問題を解消できたが、基材となるアルミナ繊維のブランケットやマットの復元性が十分とは言えず、そのため、工業炉に長期間使用すると、徐々に隣接するブロック間に目地開きが発生した。

0008

また、マットを熱シール材として使用した場合も、アルミナ繊維の復元性が十分でないため、シール部分に隙間が開いてしまう不具合があった。

0009

本発明の目的は、復元性が大きい繊維を作製し、その繊維を用いて、高温での使用後も目地開きの発生し難いマットや、そのようなマットを使用した無機繊維製品(たとえばマットを積層したブロックなど)を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

前述のような不都合を解消するため、本発明者は、アルミナ繊維の製造に際し、単位質量あたりで、個々の繊維、及び、それらを積層したマットが、可能な限り嵩高く、大容積となるように設計した。

0011

従来のアルミナ繊維に於いても個々の繊維は意図的でなくても真っ直ぐな繊維であり得ず、若干の曲線を描いている。これに対して、本発明者は、製造条件の調製に工夫をして、積極的に小さな曲率を持つ繊維を形成し、その繊維を用いてマットを製造することにより、本発明を完成した。

0012

以下に本発明の重要な構成を述べる。

0013

本発明では、繊維の一部は、立体的螺旋状のループを有しており、または、そのループが途中で切断した形状を有している。しかも、個々の繊維を平面に投影した場合はその形が環状になる。たとえば、個々のアルミナ繊維を平面に投影したとき、その形が環状に鋭く曲がったループ状を示す。そのアルミナ繊維が三次元ランダムに配向され、かつ、相互に絡み合う状態で積層して、アルミナ繊維マットに形成する。さらに、そのアルミナ繊維マットを使用してブロック等の無機繊維製品をつくる。

0014

好ましくは、アルミナ繊維を積層してマットとし、マットの復元性を従来より一層高める。例えばマットを使用してブロックとした場合は、ブロック間の目地開きをなくすことができる。

0015

本発明者は、このような状況を考慮して、鋭意研究の結果、優れた解決手段を発明した。本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。

0016

(1)Al2O3を70重量%以上含むアルミナ繊維からなるアルミナ繊維マットにおいて、繊維の一部が、立体的に螺旋状のループ、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、個々の繊維を平面に投影した形が環状であって、繊維が三次元ランダムに配向されており、かつ、相互に絡み合う状態で積層されていることを特徴とするアルミナ繊維マット。

0017

(2)復元率が、室温で120%より大きく、1200℃で8時間加熱後に110%より大きいことを特徴とする前述(1)に記載のアルミナ繊維マット。

0018

(3)室温における圧縮荷重が0.30×10-2MPaより大きいことを特徴とする(1)または(2)に記載のアルミナ繊維マット。

0019

(4)アルミナ繊維マットの繊維中に含まれる不純物として、NaとKの合計量が300ppm以下、Feが200ppm下、Cuが2ppm以下、Niが2ppm以下、Caが50ppm以下、Mgが10ppm以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルミナ繊維マット。

0020

(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のアルミナ繊維マットを使用したことを特徴とする無機繊維製品。

発明を実施するための最良の形態

0021

アルミナ繊維は、好ましくは、アルミナ含有量が70重量%以上で、残部がシリカからなり、直径2〜4μm、長さ30〜250mmの多結晶質の無機繊維であり、結晶は、主にムライト結晶またはコランダム結晶からなっている。

0022

本発明におけるアルミナ繊維は、個々の繊維の一部が、立体的に螺旋状のループを有しており、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、しかも、平面に投影した時にその形は環状に曲がっているような形状である。本発明でいう環状とは、輪のように完全に閉じている形状のみでなく、輪の一部が欠落した円弧状の形状も含む。

0023

繊維の環状部分は、バネのような働きを有しており、圧縮された際に反発力が大きい。環状部分を多数有する繊維が三次元ランダムに積層された積層体成形体等は、たとえ小さな嵩密度でも大きな復元力が得られる。これは、あたかも、縮れ金属製繊維集合させたタワシの如く、小さい嵩密度でも、大きな反発力や復元力を持つものである。

0024

又、環状部分は、その曲率半径が小さい方が好ましい。詳細は、後述の実施例の説明の際に述べるが、本発明で言う曲率半径とは、繊維を顕微鏡写真撮影し、その写真に基いて測定した値である。本発明におけるアルミナ繊維では、曲率半径が0.01〜0.3mmである環状部分の数が、測定された全環状部分の数の60%以上であることが好ましい。また、環状部分の数は多い方が好ましい。

0025

さらに、好ましくは、本発明を評価する際に、環状部分の数と、曲率半径の大きさを考慮するため、繊維の集合全体についての曲がりの度合として、以下の測定を行う。

0026

顕微鏡写真に撮影した全繊維について、まず、繊維を一定間隔(たとえば0.1〜1.0mm)で区切り、区切った位置を区切り点とする。同一繊維上で隣り合った区切り点を直線で結び、直線で結ばれた2点間を1区間とし、この直線が底辺となるような二等辺三角形頂点を区間内の繊維上に定める。さらに全繊維の全区間内に想定した二等辺三角形の面積平均値を求める。この際、区間内で、直線が繊維と交わるような場合は、その区間は測定対象から外す。このような測定により、繊維集合全体についての曲がりの度合が推定できる。二等辺三角形の面積の平均値が大きい方が繊維の曲がりの度合が大きいことになり、環状部分の効果が大きいことがわかる。

0027

本発明におけるアルミナ繊維マットでは、一定間隔の長さを0.3mmとして繊維を区切った場合に、1区間内に形成される二等辺三角形の面積の平均値は、1.4×10-3mm2以上が好ましい。

0028

材質や径の等しい繊維であるならば、繊維は小さい曲率半径を持つものの方が、また、環状部分を多く含むものの方が、バネ効果が強く発現し、さらに、繊維を自然落下によって堆積させてマットの形にする際に、三次元ランダムに配向しやすくなり、マットの復元率が大きくなる。三次元ランダムに配向した状態については後述する。

0029

図1は、本発明の1つの実施態様による、複数の環状部分を有する繊維の一例をしめす。

0030

図2は、本発明の別の実施態様による、環状部分の少ない繊維の例を示す。

0031

図1から明らかなように、本発明のアルミナ繊維マットでは、繊維の複数部分が、個々の繊維を平面に投影した形で見たとき環状に見える。

0032

本発明のアルミナ繊維は、所謂ゾルゲル法で作製することができる。この方法では、まず、一定の温度、湿度に制御した雰囲気中で、粘度を調製した紡糸液を繊維化し、前駆体繊維を得る。次に、この前駆体繊維を焼成し、繊維に含まれる有機物、水分などを除去して結晶質繊維を得る。

0033

繊維化の方法は、メルトブロー法スピニング法等の従来方法が採用できるが、本発明のアルミナ繊維(繊維の一部を平面に投影したときの形が環状となるような形状の繊維)を得るには、スピニング法が好ましい。

0034

スピニング法は、小穴を設けたカップに紡糸液を入れて、カップを回転させ、遠心力で紡糸液を押し出し、これに高圧エアーを吹き付けて繊維化する方法である。

0035

また、後述するが、繊維化の際は湿度を40%以下にすることが好ましい。

0036

次に、本発明のアルミナ繊維マットを作製する方法の好適例を説明する。

0037

スピニング法により繊維化するに際し、繊維が固化する時間帯に、繊維をできるだけ強力な乱気流中に通すことが好ましい。

0038

さらに、固化した直後の前駆体繊維を集綿する際に、例えば、繊維捕集室の下部に設けられた金網を通して吸引し、しかも、この吸引力を弱くして、外力を受けることなく繊維を自然落下させて堆積させるのが好ましい。このようにすると、前駆体繊維は三次元ランダムに配向し、相互に絡み合う状態になった積層体が得られやすい。ここで、三次元ランダムに配向する状態とは、繊維が特定の方向のみに配向するのではなく、好ましくは三次元のあらゆる方向に秩序なく配向している状態である。また、相互に絡み合う状態とは、好ましくは、繊維同士が交点融着することなく互いに絡んでいる状態である。

0039

得られた前駆体繊維の積層体は、焼成処理してアルミナ繊維マットとする。

0040

繊維化の時、前駆体繊維の積層体は、40%以下の湿度で取り扱うことが好ましい。湿度が40%を越えると、前駆体繊維が水分を吸着して繊維の交点で融着し、前駆体繊維を焼成処理する際に繊維同士が結合してしまう可能性が大きくなる。繊維同士が融着して結合すると、繊維が緊張した状態となり、アルミナ繊維マットを圧縮率300%以上に圧縮したときに繊維が折れやすくなる。

0041

ここで圧縮率は、{(圧縮前の厚さ)÷(圧縮後の厚さ)}×100(%)の式で表す値である。

0042

アルミナ繊維マットの嵩密度は20〜80kg/m3が好ましい。嵩密度が20kg/m3未満では、アルミナ繊維マットの強度が弱く、取り扱い性が悪くなりやすい。80kg/m3を越えると、アルミナ繊維マットを圧縮したときに繊維が折れやすくなる。

0043

一方、アルミナ繊維マットの復元率は、マットを積層してブロックを作製できる限り、大きい方がよい。室温では、120%より大きく、1200℃で8時間加熱後では110%より大きいことが好ましい。これらの条件を満たすことにより、アルミナ繊維マットをブロックにして使用した場合の目地開きをなくす効果が大きくなる。また、マットを熱シール材として使用する際にも、シール部の隙間の開きをなくす効果が大きくなる。

0044

本発明では、復元率は、積層された複数枚のマットを、積層方向に平行な方向に荷重をかけて圧縮し、積層体の嵩密度が100kg/m3となるまで荷重を加え、その時の積層体の厚みをa、荷重を解放した時の厚みをbとして、次式、すなわち、復元率(%)=(b/a)×100にて算出する。

0045

また、アルミナ繊維マットに、マットの厚さに平行な方向において荷重を加えて、マットを所定の嵩密度にしようとする場合、マットの反発力が大きければ、マットにかかる圧縮荷重は大きい値となる。この際、この圧縮荷重は、マットを積層してブロックを作製できるかぎり、大きい方がよい。本発明のアルミナ繊維マットでは、室温における圧縮荷重は、0.30×10-2MPaより大きいことが好ましい。圧縮荷重が0.30×10-2MPaより大きいと、アルミナ繊維マットをブロックにして使用した場合の目地開きをなくす効果が大きくなる。また、マットを熱シール材として使用する際にもシール部の隙間の開きをなくす効果が大きくなる。

0046

本発明では、圧縮荷重は、積層させた複数枚のマットを、積層方向に平行な方向に荷重をかけて圧縮していき、その嵩密度が100kg/m3となったときに示す荷重である。

0047

次に、アルミナ繊維マットを使用してブロックを作製する好適な1つの例について説明する。

0048

複数枚のアルミナ繊維マットを積層してブロックを作製するには、これらのマットを所定の密度になるように圧縮しながら多数枚重ねて、有機長繊維で縫製する方法が適している。縫製後、さらに任意の寸法(例えば300×300×300mm)に切断してブロックとすることができる。また、大きなマットを、折り状またはアコーディオン状に積層させ、その後、圧縮してバンド等で固定する方法等も採用できる。

0049

アルミナ繊維に含まれる不純物としてはNa、K、Fe、Cu、Ni、Ca、Mgが重要である。これらの不純物が多いと、加熱時に繊維中の結晶が成長しやすい。その結果、繊維の強度が低下し、例えばブロックの目地開きの発生や、熱シール部分の隙間の発生を助長する。さらに、繊維が粉塵となって飛散して炉内を汚染する。この理由により、アルミナ繊維に含まれる不純物は、NaとKの合計量が300ppm以下、Feが200ppm以下、Cuが2ppm以下、Niが2ppm以下、Caが50ppm以下、Mgが10ppm以下であることが好ましい。

0050

以下に本発明の実施例を説明する。

0051

市販の塩基性塩化アルミニウム溶液をアルミナに換算して72重量%、市販のコロイド状シリカをシリカに換算して28重量%となるように混合し、この混合液100重量部に対し、20重量部の市販の乳酸を加え、加熱濃縮して粘度150dPa・s(デシパスカル・秒)の紡糸液を得た。

0052

後掲の表1に示されている実施例1、2、4では、すべての原料高純度品を用いて紡糸液を作製した。実施例3、6では、塩基性塩化アルミニウム溶液、及びコロイド状シリカを普通純度品、乳酸を高純度品で紡糸液を作製した。実施例3、5、6、7、8では、塩基性塩化アルミニウム溶液、及びコロイド状シリカの、高純度品と普通純度品の使用量を調整したものと、高純度品の乳酸を用いて紡糸液を作製した。この紡糸液を直径0.3mmのノズル孔を持つカップに一定量供給しながら3000rpmで回転させ、カップから流出する紡糸液を、相対湿度10%の高圧乱流エアーで吹精し、繊維化直後の繊維が固化する時間帯に繊維ができるだけ強力な乱気流中を通るようにした。この際、繊維捕集室の下部に設けられた金網を通して、弱い吸引力で(たとえば、吸引用ブロワーによる吸引を極力少なくして)吸引した。この前駆体繊維は、ゆっくり自然落下して、三次元ランダムに配向し、嵩高い積層体となった。このときの雰囲気は、相対湿度が30%であった。この積層体を1250℃で40分間加熱してマットを得た。このマットの繊維は、ムライト結晶を析出し、三次元ランダムに配向し、相互に絡み合う状態であった。繊維同士の結合は見られなかった。

0053

次に、このマットを300mm角小片に切断し、多数枚重ねて圧縮し、バンドで固定して、300×300×300mmの寸法を有するブロックを作製した。このブロックを加熱炉施工して評価を行った。施工方法は、ブロックの圧縮方向が1個おきに直角になる千鳥施工で行った。

0054

また、比較例1として、市販の普通純度の塩基性塩化アルミニウム溶液、市販の普通純度のコロイド状シリカ、市販の高純度の乳酸を用いて、前述の実施例1〜8と同様の方法で繊維化した前駆体繊維の積層体を、相対湿度50%の雰囲気中で10分間保持した後に、1250℃で40分間加熱して、アルミナ繊維マットを得た。この際、繊維同士の結合が見られた。さらに、このマットを300mm角の小片に切断し、多数枚重ねて圧縮し、バンドで固定して、300×300×300mmの寸法を有するブロックを作製した。

0055

さらに、比較例2として、市販の普通純度の塩基性塩化アルミニウム溶液をアルミナに換算して72重量%、市販の普通純度のコロイド状シリカをシリカに換算して28重量%となるように混合し、この混合液100重量部に対し、20重量部の市販の高純度の乳酸を加え、加熱濃縮して、粘度150dPa・s(デシパスカル・秒)の紡糸液を得た。この紡糸液を通常のスピニング法で繊維化し、繊維捕集室の下部に設けられた金網を通して、通常の吸引力で吸引した。この積層体を1250℃で40分間加熱してマットを得た。このマットの繊維は、ムライト結晶を析出し、二次元ランダムに配向していた。次に、このマットを300mm角の小片に切断し、多数枚重ねて圧縮し、バンドで固定して、300×300×300mmの寸法を有するブロックを作製した。

0056

比較例1、2のブロックについても、加熱炉に施工して評価を行った。施工方法は、実施例1〜8と同様に、ブロックの圧縮方向が1個おきに直角になる千鳥施工とした。

0057

実施例1〜8および比較例1〜2の特性を表1に示す。

0058

ID=000003HE=225 WI=128 LX=0410 LY=0300
繊維の曲率半径は、以下のように測定した。

0059

図3に示すように、試料とするマットから採取した繊維2は、ループ1を有する。その繊維2をプレパラートに乗せ、さらにカバーガラスを被せて、顕微鏡で25倍に拡大して写真撮影し、さらに撮影した写真を引き伸ばして65倍とする。同様にして、1mmのスケール(最小読み取り値0.01mm)も65倍とする。次に、写真上で繊維2の環状部分に仮想円3を想定し、その仮想円3の半径4を繊維の曲率半径とし、65倍に拡大したスケールを用いて測定する。環状部分が円弧状の場合は、環状部分の円弧が、仮想円の円周の1/3以上の長さであるものについて測定する。具体的には、繊維の環状部分の円弧と仮想円が離れ始める点と、仮想円の中心を結ぶ補助線5を引き、繊維とぼぼ重なっている仮想円の円弧を、補助線5が挟む角度が120℃以上のものについて測定する。

0060

このような測定を、ランダムに撮影した10個の視野(1視野/写真1枚)について行った。

0061

繊維の集合全体についての曲がりの度合として、以下のように繊維の一定区間に形成される二等辺三角形の面積の測定を行った。

0062

図4に示すように、試料とするマットから繊維2を採取して、プレパラートに乗せ、さらにカバーガラスを被せて、顕微鏡で25倍に拡大して写真撮影し、さらに撮影した写真を引き伸ばして100倍とする。同様にして、1mmのスケール(最小読み取り値0.01mm)も100倍とする。次に、このスケールを用いて、顕微鏡写真に撮影した全繊維について、まず、繊維2を一定間隔で(たとえば0.3mmごとに)区切り、区切った位置を区切り点7とする。同一繊維上で隣り合った区切り点7を直線8で結び、直線8で結ばれた2点間を1区間とし、この直線8(長さ0.3mm)が底辺となる部分6で、二等辺三角形9の頂点10を区間内の繊維2上に定め、定めた頂点10から直線8に直角に降ろした垂線を二等辺三角形の高さ11とする。この二等辺三角形の高さ11の距離を、100倍に拡大したスケールで測定して、二等辺三角形9の面積を算出する。さらに全繊維の全区間内に想定した二等辺三角形の面積の平均値を求める。この際、区間内で、直線が繊維と交わるような場合(図4中の矢印部分)は、その区間は測定対象から外す。

0063

このような測定を、ランダムに撮影した10個の視野(1視野/写真1枚)について行った。

0064

マットの圧縮荷重は、以下のように測定した。即ち、積層させた複数枚のマットを、積層方向に平行な方向に荷重をかけて圧縮していき、その嵩密度が100kg/m3となったときに示す荷重を、万能強度試験機たとえば(株)オリエンテック製のテンシロンで測定した。

0065

マットの復元率は、以下のように測定した。即ち、積層させた複数枚のマットを、積層方向に平行な方向に荷重をかけて圧縮し、積層体の嵩密度が100kg/m3となるまで荷重を加え、その時の積層体の厚みをa、荷重を解放した時の厚みをbとして、次式、すなわち復元率(%)=(b/a)×100にて算出した。

0066

不純物の分析はlCP発光分光分析法で行った。

0067

ブロックの目地開きは、作製したブロックを加熱炉に施工し、1400℃で1ヶ月間加熱して、加熱後のブロックの目地開きを測定した。目地開きが小さいほど耐熱牲に優れている。

0068

石英ガラス汚染性は、マットから採取した0.3gの繊維を粉砕して石英ガラス板上の30mm角に置き、1300℃で6時間加熱して、加熱後の石英ガラスの失透状態を観察し、失透度合の大きいものから順に、大、中、小、無の4段階で評価した。

0069

実施例1から8は、本発明のアルミナ繊維マットを使用してブロックを形成したものである。実施例1はブロックの嵩密度を60kg/m3とした例である。実施例2〜8はブロックの嵩密度を100kg/m3としたものである。実施例1〜8のいずれも、繊維の全環状部分の数のうち、曲率半径が0.01〜0.3mmの環状部分の数が占める割合が大きく、また、全繊維の全区間で想定した二等辺三角形の面積の平均値も大きい。さらに繊維が三次元ランダムに配向しており、相互に絡み合う状態で繊維が積層していて、復元性の大きいマットであるため、このマットを用いて作製したブロックの復元性も良く、ブロックを加熱した後の目地開きはいずれも小さかった。さらに、繊維中の不純物が少ない実施例1、2、4、5、7、8は、石英ガラスをほとんど汚染していない。

0070

比較例1は、実施例1〜8と同様な方法で作製した前駆体繊維の積層体を、特開昭62−69870号公報に記載の方法で、相対湿度50%の雰囲気中で10分間保持した後に焼成してマットとし、このマットを積層してブロックを作製した。このブロックは、マットの繊維が三次元に配向しているが、緊張した状態で繊維同士が結合しているため、マットを積層して圧縮してブロックとする際に、繊維が折れ、その結果、ブロックの復元性が悪くなり、加熱後の目地開きが大きかった。また繊維中に不純物を多く含むため、石英ガラスが、汚染され、失透の度合が大きかった。

0071

比較例2は、従来技術のアルミナ繊維の製造条件により製造したマットである。この比較例2では、繊維の全環状部分の数のうち、曲率半径が0.01〜0.3mmの環状部分の数が占める割合が小さく、また、全繊維の全区間で想定した二等辺三角形の面積の平均値も小さく、二次元に配向して積層されていた。このマット(嵩密度85kg/m3)を積層して、庄縮して、嵩密度100kg/m3のブロックとしたものであり、ブロックの復元性が悪く、加熱後の自地開きが大きかった。また繊維中に不純物を多く含むため、石英ガラスが、汚染され、失透の度合が大きかった。

発明の効果

0072

本発明によれば、個々の繊維の一部が、立体的に螺旋状のループ、または、そのループが途中で切断した形状を有しており、個々の繊維を平面に投影した時にその形が環状に曲がっているような形状であって、繊維が三次元ランダムに配向し、相互に絡み合う状態で積層されているので、アルミナ繊維マット、および、それを用いたブロック等の無機繊維製品は、長時間にわたって加熱した後でも大きな復元性を維持しており、ブロック間の目地開きを少なくすることができる。

図面の簡単な説明

0073

図1本発明の1つの実施態様によるアルミナ繊維の一例を示す顕微鏡写真である。図中の矢印の長さは0.3mmを示す。
図2本発明の別の実施態様によるアルミナ繊維の一例を示す顕微鏡写真である。図中の矢印の長さは0.3mmを示す。
図3本発明における、繊維の曲率半径の測定方法の一例を示す図である。
図4本発明における、繊維の所定区間に想定した二等辺三角形の面積の測定方法の概略図である。
1ループ2 繊維3仮想円4半径(繊維の曲率半径)5補助線6 繊維の区間に想定した二等辺三角形の底辺ができる部分

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