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技術 光照射による微生物の生長制御およびその培養法

出願人 石井孝昭
発明者 谷内善信石井孝昭堀井幸江岡本研正
出願日 2002年3月24日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2002-125018
公開日 2003年9月30日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-274930
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード 照射区 菌糸長 青色光照射 青色光波長 遠赤色光 オートクレイブ 青カビ 画像処理法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年9月30日)のものです。
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図面 (14)

課題

光照射の下で、微生物生長を制御し、効率的に培養できるようにするとである。

解決手段

本発明は、微生物の培養技術の向上を図るため、光照射、特にだいだい色光遠赤色光までの光照射によって微生物の生長が促進すること、また青色光の光照によって微生物の生長が抑制されて胞子形成が促進することを特徴としている。

概要

背景

光が微生物生長に影響を及ぼすことに関して、紫外線領域の光が微生物の生長を著しく阻害することがよく知られていることである。また光合成細菌のような微生物では光合成や生長のために660nm前後の赤色光や430nm前後の青色光の光を必要としていることも明らかになっている。しかし、紫外線領域以外の可視領域の光が、光合成細菌以外の微生物の生長に及ぼす影響についてはこれまでほとんど知られておらず、そのため光合成細菌以外の微生物の培養では一般に暗黒下で行われているのが現状である。

一方、微生物の培養に当たって、糸状菌の一つである菌根菌のような有益な微生物の人工培養技術確立は重要である。菌根菌は植物に感染し、植物の養水分吸収を助ける共生微生物の一つであり、これからの低投入持続可能な栽培体系を築く上で、現在非常に着目されている共生微生物であるからである。この菌は植物絶対共生菌であり、純粋培養がこれまで不可能と言われてきたが、本発明者の一人、石井らはVA菌根菌を生きた植物根を用いず人工的に培養する技術を世界に先駆けて成功した(特開平8−191685)。しかしながら。この培養技術(光環境条件は暗黒下とした)では菌糸の生長が遅く、胞子形成が起こるまでに時間がかかるという問題があった。また本菌の場合、毛状根を用いた培養において容器内に光が入ると胞子形成が阻害されるという報告もある(林達・安達宏・石丸英彦.1993.遺伝47(7):66−71)。

概要

光照射の下で、微生物の生長を制御し、効率的に培養できるようにするとである。

本発明は、微生物の培養技術の向上を図るため、光照射、特にだいだい色光遠赤色光までの光照射によって微生物の生長が促進すること、また青色光の光照によって微生物の生長が抑制されて胞子形成が促進することを特徴としている。

目的

そこで本発明は、微生物、特に糸状菌の生長をだいだい色光から遠赤色光や青色光の照射で制御を行い、培養技術の向上を図る方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

だいだい色光から遠赤色光までの光を照射することによって、微生物生長が促進されることを特徴とする微生物の生長制御技術。本特許出願において、だいだい色光から遠赤色光とはおよそ600nm(ナノメーター)から800nmまでの光波長領域にある光である。

請求項2

青色光を照射することによって、微生物の生長が抑えられて胞子形成が促進されることを特徴とする微生物の生長制御技術。本特許出願において、青色光とはおよそ400nmから490nmまでの光波長領域にある光である。

請求項3

請求項1および請求項2に記載の光を交互もしくは生長段階で変えて照射することによって、微生物を培養する方法。

請求項4

請求項1および請求項2における光照射の効果がよくみられる微生物は、特に糸状菌であり、この微生物の生長制御を行い、培養技術の向上を図る方法。

技術分野

0001

本発明は、光照射によって微生物、特に糸状菌生長を制御し、その菌の培養技術の向上を図る方法に関するものである。

背景技術

0002

光が微生物の生長に影響を及ぼすことに関して、紫外線領域の光が微生物の生長を著しく阻害することがよく知られていることである。また光合成細菌のような微生物では光合成や生長のために660nm前後の赤色光や430nm前後の青色光の光を必要としていることも明らかになっている。しかし、紫外線領域以外の可視領域の光が、光合成細菌以外の微生物の生長に及ぼす影響についてはこれまでほとんど知られておらず、そのため光合成細菌以外の微生物の培養では一般に暗黒下で行われているのが現状である。

0003

一方、微生物の培養に当たって、糸状菌の一つである菌根菌のような有益な微生物の人工培養技術の確立は重要である。菌根菌は植物に感染し、植物の養水分吸収を助ける共生微生物の一つであり、これからの低投入持続可能な栽培体系を築く上で、現在非常に着目されている共生微生物であるからである。この菌は植物絶対共生菌であり、純粋培養がこれまで不可能と言われてきたが、本発明者の一人、石井らはVA菌根菌を生きた植物根を用いず人工的に培養する技術を世界に先駆けて成功した(特開平8−191685)。しかしながら。この培養技術(光環境条件は暗黒下とした)では菌糸の生長が遅く、胞子形成が起こるまでに時間がかかるという問題があった。また本菌の場合、毛状根を用いた培養において容器内に光が入ると胞子形成が阻害されるという報告もある(林達・安達宏・石丸英彦.1993.遺伝47(7):66−71)。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の発明者らは、様々の発光ダイオードなどを用いて、光質が微生物の生長にどのように影響するかを研究してきた結果、だいだい色光から遠赤色光照射は微生物の生長を促進させること、一方青色光の照射は微生物の生長を抑えて胞子形成を促進させることを見出した。本研究で供試した微生物は、菌根菌(VA菌根菌、ショウロ菌およびマツタケ菌)、青カビKI01)、アブラナ炭疽病菌、ウリ炭疽病菌のような糸状菌や、枯草菌(Bacillus subtilis IAM12021)、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus 3062)のような細菌である。

0005

そこで本発明は、微生物、特に糸状菌の生長をだいだい色光から遠赤色光や青色光の照射で制御を行い、培養技術の向上を図る方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、だいだい色光から遠赤色光による光照射の下での培養によって微生物の生長が促進されること、並びに青色光による光照射の下での培養によって微生物の生長が抑制され、胞子形成が促されることを見出し、これらの知見により本発明を完成した。すなわち本発明は、微生物の増殖もしくは抑制を引き起こす光照射による微生物の人工培養技術を提供するものである。

0007

次に、本発明を実施例により詳しく説明する。

0008

実施例1〔暗黒下、並びに蛍光灯白色光下および赤色光下での培養がVA菌根菌菌糸生長に及ぼす影響〕基本培地秀則・石井孝昭・松本勲・門屋一臣.1995.園芸学会誌64別冊2:106−107)のグルコースマンニトール50ppmに替え培地シャーレ(直径70mm)に10ml入れ、オートクレイブ滅菌処理(121℃、15分)した後、表面殺菌したギガスポラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)の胞子を培地上に置いた。その後、27℃の暗黒下、並びに蛍光灯の白色光下(光強度:30μE・m−2s−1)および赤色光下(光強度:10μE・m−2s−1)で1週間培養し、CCDカメラ装備した実体顕微鏡およびパソコンによる画像処理法(石井ら.1996.園芸学会雑誌65(3):525−529)にて、胞子からの菌糸の生長を測定した。なお、赤色光の波長図1に示すように、660nmをピークとしたものである。その結果、暗黒並びに蛍光灯の白色光下では菌糸長が1〜2mmで有意差がみられなかったが、赤色光下では、暗黒や白色光下と比較して、4〜9倍の著しい生長促進効果が認められた(図2)。

0009

実施例2[いろいろな波長の発光ダイオード(LED)による光照射が菌根菌菌糸生長に及ぼす影響]表面殺菌したギガスポラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)の胞子を、実施例1で用いた基本培地にバヒアグラス25%MeOH溶出物(0.1gDW/10ml)を加えた培地上(直径70mmのシャーレを使用)に置き、27℃の暗黒下、並びに450nm、510nm、590nm、612nm、660nmおよび730nmの波長をピークとしたLED(図3、光強度:10μE・m−2s−1)下で10日間培養し、実験1と同じ方法で菌糸長を測定した。なお、660nmでは光強度40μE・m−2s−1下でも調査した。また、ショウロ菌およびマツタケ菌をあらかじめ培養した寒天培地から菌糸を含む寒天(直径:7mm)を切り取り、それぞれMMN培地に植え付けた。その後、27℃の赤色光、青色光および暗黒下で培養を行い、各処理区での菌糸生長を比較調査した。その結果、LEDを用いた実験2においてもほぼ同様に、612〜730nmの赤色領域の光照射は暗黒下の場合と比較して、3〜5倍の顕著な菌糸生長促進効果を示した。また光強度の違いによる影響も40μE・m−2s−1までは差異が認められなかった。510nmおよび590nm下では暗黒下との間に有意差がみられなかった。一方、450nm付近青色領域の照射では菌糸生長が著しく抑制された(図4)。ショウロ菌およびマツタケ菌においてもほぼ同様な結果が得られ、暗黒下と比べて、赤色光照射下では菌糸生長が促進され、反対に青色光照射下では阻害された(表1および表2)。

0010

実施例3〔青色光LED(BL)による光照射が菌根菌菌糸生長に及ぼす影響〕青色光の影響をさらに詳細に調査した。すなわち、実施例1と同様の方法で表面殺菌したギガスポラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)の胞子を、実施例2に用いた培地上(直径70mmのシャーレを使用)に置き、27℃の赤色光下で2週間あらかじめ培養しておいた。その後、暗黒、並びに0.25、0.5、1、3時間(h)の450nm(青色光LED)の光照射後暗黒、さらに連続BL光照射の6処理区を設けた。なお、青色光の光強度は50μE・m−2s−1とした。処理0、1、3および6日後、菌糸の伸長を実験1と同じ方法で測定した。その結果、0.25h、0.5hおよび1hの青色光を照射した後の暗黒区では連続暗黒区と比べて有意差が認められなかったが、3hの青色光照射後暗黒区や連続青色光照射区では著しい生長抑制効果がみられた(図5)。また、図6は青色光処理前と青色光処理6日後における暗黒区と3時間の青色光照射区の菌糸生長を示す顕微鏡写真である。

0011

実施例4〔赤色光および青色光LED(BL)による光照射が青カビ、アブラナ炭疽病菌およびウリ炭疽病菌の生長に及ぼす影響〕これらの糸状菌をあらかじめ培養したPDA(ポテトデキストロース寒天)培地から菌糸を取り、再度、無菌のPDA培地に植え付けた。その後、27℃の赤色光、青色光および暗黒下で培養を行い、各処理区での菌糸生長や胞子形成状態を比較調査した。なお、赤色光および青色光LEDの光強度は30μE・m−2s−1とした。その結果、菌根菌の場合と同様に、いずれの糸状菌でも、暗黒下と比べて、赤色光照射下では菌糸生長が促進され、反対に青色光照射下では阻害された(表3、図7および図8)。また、これらの糸状菌では青色光照射区において、多数の胞子がシャーレ内に形成されているのが観察された。

0012

実施例5〔青色光LED(BL)による光照射が枯草菌(Bacillussubtilis IAM12021)および黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus 3062)の生長に及ぼす影響〕これらの細菌をあらかじめ培養したペプトン寒天培地から取り、再度、無菌のペプトン培地に植え付けた。その後、27℃の青色光および暗黒下で培養を行い、青色光照射が細菌の生長抑制に及ぼす効果について調査した。なお、青色光LEDの光強度は30μE・m−2s−1とした。その結果、細菌の増殖は、暗黒下と比べて、青色光照射下ではわずかに抑制される傾向が観察された(図9および図10

発明の効果

0013

以上説明してきたように、本発明によれば、光質が微生物、特に糸状菌の生長に著しい影響を及ぼしていることが認められる。従って本発明は、だいだい色光から遠赤色光までの波長領域の光照射によって微生物の生長を促進させること、また青色光波長領域の光照射によって微生物の生長を抑えて胞子形成を促進させることを特徴とする微生物の生長制御技術とその培養法を提供するものとして有用なものである。

図面の簡単な説明

0014

図1図1は、実施例1において用いた赤色蛍光灯の波長スペクトラルを示す図である。
図2図2は、実施例1において調べた暗黒、並びに蛍光灯による白色光および赤色光それぞれの区におけるVA菌根菌の菌糸生長を示す図である。
図3図3は、実施例2において用いたすべてのLEDの波長スペクトラルを示す図である
図4図4は、実施例2において調べた暗黒、並びに450nm、510nm、590nm、612nm、660nmおよび730nmの波長のLED光照射区におけるVA菌根菌の菌糸生長を示す図である。
図5図5は、実施例3において調べた処理6日後の暗黒、および0.25、0.5、1、3時間の青色光(BL)照射後暗黒、さらに連続BL光照射それぞれの区における菌根菌の菌糸生長を示す図である。
図6図6は、実施例3において調べた青色光(BL)処理前とBL処理6日後における暗黒区と3時間のBL光照射区における菌根菌の菌糸生長を示す顕微鏡写真である。
図7図7は、実施例4において調べた暗黒、並びに赤色光および青色光照射区におけるアブラナ炭疽病菌の生長を示す図である。
図8図8は、実施例4において調べた暗黒、並びに赤色光および青色光照射区におけるウリ炭疽病菌の生長を示す図である。
図9図9は、実施例5において調べた青色光照射区における枯草菌(Bacillus subtilis IAM12021)の生長を示す写真である。
図10図10は、実施例5において調べた青色光照射区における黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus 3062)の生長を示す写真である。
図11表1は、実施例2において調べた暗黒、並びに赤色光および青色光照射区におけるショウロ菌の生長を示す表である。
図12表2は、実施例2において調べた暗黒、並びに赤色光および青色光照射区におけるマツタケ菌の生長を示す表である。
図13表3は、実施例4において調べた暗黒、並びに赤色光および青色光照射区における青カビの生長を示す表である。

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