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技術 体外循環用毒素吸着材

出願人 東レ株式会社
発明者 太田隆司松名瀬武雄寺本和雄
出願日 2002年3月14日 (18年7ヶ月経過) 出願番号 2002-069877
公開日 2003年9月24日 (17年0ヶ月経過) 公開番号 2003-265606
状態 特許登録済
技術分野 体外人工臓器 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 中空円筒型 不用物 混合ポリマ エポキサイド基 イソシアン酸基 垂直流 円筒状フィルター ポリスチレン繊維
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年9月24日)のものです。
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課題

本発明は、目づまりしにくく、圧力損失の上昇が小さいため長時間の使用が可能で、かつ毒素吸着効率が高い体外循環毒素吸着材を提供する。

解決手段

本発明の体外循環用毒素吸着材は、少なくとも直径が30μm以下であって毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とするものである。

概要

背景

毒素吸着基を導入した繊維からなる不織布を使用して、体外循環によって毒素、例えば菌体外毒素内毒素などを除去することは、以前から知られている。

しかし、毒素吸着材においては、毒素吸着基を化学的に導入できるポリマーとして主にポリスチレンが用いられているが、通常の繊維の場合、ポリスチレン繊維に毒素吸着基を導入する反応ではポリスチレン繊維同士が融着し易いため、比表面積が減少して吸着性能が低下し、さらには融着が目づまりの原因となって圧力損失が上昇する問題があり、また目づまり防止のために繊維径を40〜60μmと太くする試みもなされているが、単位体積当たりの繊維量が少なくなるため毒素吸着性能が低下する問題もあった。

さらに、従来の不織布では、反応に際し、反応液がスムーズに流れないために反応が不均一となり、過剰反応した部分では毒素吸着基を導入したポリスチレンが脆くなるため、せっかく反応した部分のポリスチレンの脱落クラックが発生し、また反応液があまり届いていない部分では毒素吸着基の導入量が少なくなるため、全体として吸着性能が低くなるという問題もあった。

また、吸着材の用途においては、従来の繊維に比べ、繊維直径が1μm〜8μmであるいわゆる極細繊維が注目されており、極細化することによって活性比表面積が増大し、被吸着物との接触面積が大きくなって有用物や不用物の吸着性能が向上することから積極的に提案がなされている。しかし、これらの極細繊維を用いた場合にも、目づまりが生じ、体外循環において短時間で圧力損失が上昇するため、使用可能時間が短くなるという問題があった。

概要

本発明は、目づまりしにくく、圧力損失の上昇が小さいため長時間の使用が可能で、かつ毒素吸着効率が高い体外循環用毒素吸着材を提供する。

本発明の体外循環用毒素吸着材は、少なくとも直径が30μm以下であって毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とするものである。

目的

本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、目づまりしにくく、圧力損失の上昇が小さいため長時間の使用が可能で、かつ毒素吸着効率が高い体外循環用毒素吸着材を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

少なくとも直径が30μm以下で毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とする体外循環毒素吸着材

請求項2

少なくとも直径が30μm以下で毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなり、60分後の圧力損失が30mmHg以下であることを特徴とする体外循環用毒素吸着材。

請求項3

該毒素吸着基がアミノ基、クロロ基スルフォニル基エチレングリコール基水酸基アミド結合尿素結合チオ尿素結合からなる群より一つ以上選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の体外循環用毒素吸着材。

請求項4

該繊維Aが少なくとも毒素吸着基が導入されたポリマXと補強用ポリマYからなり、かつポリマXが繊維表面の少なくとも50%以上を占める複合繊維形態を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の体外循環用毒素吸着材。

請求項5

該複合繊維形態がポリマXが、補強用ポリマYが芯の芯鞘型であることを特徴とする請求項4に記載の体外循環用毒素吸着材。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の毒素吸着材を充填してなることを特徴とする体外循環用カラム

請求項7

該毒素吸着材が、平板状で、これを重ねて充填してなることを特徴とする請求項6に記載の体外循環用カラム。

請求項8

該毒素吸着材が、円筒状に巻かれてなる円筒状フィルターが、両端部に血液入口血液出口とを有する円筒状容器に納められていることを特徴とする請求項6に記載の体外循環用カラム。

請求項9

該毒素吸着材が、円筒状に巻かれてなる中空円筒フィルターが、その両端面が封止された状態で血液入口と血液出口とを有する円筒状容器に納められてなるカラムであって、該容器の血液入口は、前記中空円筒状フィルターの外周面に通じる部位に、また、該容器の血液出口は、前記中空円筒状フィルターの内周面に通じる部位に、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項6または8に記載の体外循環用カラム。

技術分野

0001

本発明は、体外循環により毒素を除去するための体外循環用毒素吸着材に関する。

背景技術

0002

毒素吸着基を導入した繊維からなる不織布を使用して、体外循環によって毒素、例えば菌体外毒素内毒素などを除去することは、以前から知られている。

0003

しかし、毒素吸着材においては、毒素吸着基を化学的に導入できるポリマーとして主にポリスチレンが用いられているが、通常の繊維の場合、ポリスチレン繊維に毒素吸着基を導入する反応ではポリスチレン繊維同士が融着し易いため、比表面積が減少して吸着性能が低下し、さらには融着が目づまりの原因となって圧力損失が上昇する問題があり、また目づまり防止のために繊維径を40〜60μmと太くする試みもなされているが、単位体積当たりの繊維量が少なくなるため毒素吸着性能が低下する問題もあった。

0004

さらに、従来の不織布では、反応に際し、反応液がスムーズに流れないために反応が不均一となり、過剰反応した部分では毒素吸着基を導入したポリスチレンが脆くなるため、せっかく反応した部分のポリスチレンの脱落クラックが発生し、また反応液があまり届いていない部分では毒素吸着基の導入量が少なくなるため、全体として吸着性能が低くなるという問題もあった。

0005

また、吸着材の用途においては、従来の繊維に比べ、繊維直径が1μm〜8μmであるいわゆる極細繊維が注目されており、極細化することによって活性比表面積が増大し、被吸着物との接触面積が大きくなって有用物や不用物の吸着性能が向上することから積極的に提案がなされている。しかし、これらの極細繊維を用いた場合にも、目づまりが生じ、体外循環において短時間で圧力損失が上昇するため、使用可能時間が短くなるという問題があった。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、目づまりしにくく、圧力損失の上昇が小さいため長時間の使用が可能で、かつ毒素吸着効率が高い体外循環用毒素吸着材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上述の目的を達成するため本発明は、次の通りの構成をとるものである。

0008

(1)少なくとも直径が30μm以下で毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とする体外循環用毒素吸着材。

0009

(2)少なくとも直径が30μm以下で毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなり、60分後の圧力損失が30mmHg以下であることを特徴とする体外循環用毒素吸着材。

0010

(3)該毒素吸着基がアミノ基、クロロ基スルフォニル基エチレングリコール基水酸基アミド結合尿素結合チオ尿素結合からなる群より一つ以上選択されることを特徴とする(1)または(2)に記載の体外循環用毒素吸着材。

0011

(4)該繊維Aが少なくとも毒素吸着基が導入されたポリマXと補強用ポリマYからなり、かつポリマXが繊維表面の少なくとも50%以上を占める複合繊維形態を形成していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の体外循環用毒素吸着材。

0012

(5)該複合繊維形態がポリマXが、補強用ポリマYが芯の芯鞘型であることを特徴とする(4)に記載の体外循環用毒素吸着材。

0013

(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の毒素吸着材を充填してなることを特徴とする体外循環用カラム

0014

(7)該毒素吸着材が、平板状で、これを重ねて充填してなることを特徴とする(6)に記載の体外循環用カラム。

0015

(8)該毒素吸着材が、円筒状に巻かれてなる円筒状フィルターが、両端部に血液入口血液出口とを有する円筒状容器に納められていることを特徴とする(6)に記載の体外循環用カラム。

0016

(9)該毒素吸着材が、円筒状に巻かれてなる中空円筒フィルターが、その両端面が封止された状態で血液入口と血液出口とを有する円筒状容器に納められてなるカラムであって、該容器の血液入口は、前記中空円筒状フィルターの外周面に通じる部位に、また、該容器の血液出口は、前記中空円筒状フィルターの内周面に通じる部位に、それぞれ設けられていることを特徴とする(6)または(8)に記載の体外循環用カラム。

0017

すなわち、本発明の体外循環用毒素吸着材は、少なくとも直径が30μm以下で毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とするものである。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、さらに詳しく本発明について説明をする。

0019

本発明の体外循環用毒素吸着材は、少なくとも繊維Aと繊維Bが混在した不織布からなることを特徴とするものである。

0020

繊維Aは毒素吸着基を有する直径が30μm以下の繊維であり、繊維Bは直径が10〜80μmの繊維である。

0021

繊維Aは、実際に毒素を吸着する役割を果たすことから、吸着効率を向上させるためには比表面積を大きくする必要があり、繊維を細くすることが好ましい。しかしながら細くなりすぎると、目づまりが発生しやすくなり圧力損失が大きくなることが懸念されるため、具体的には、繊維Aの直径は30μm以下、より好ましくは10μm〜1μm、さらに好ましくは6μm〜2μmである。

0022

繊維Aの形態は、毒素吸着基導入反応によって繊維の強度が低下するため、毒素吸着基導入用ポリマXと補強用ポリマYからなる複合繊維形態を形成していることが好ましい。

0023

毒素吸着基導入用ポリマX成分としては、毒素吸着基を導入できるものであれば特に制限はないが、芳香族ポリビニル化合物が好ましく用いられる。芳香族ポリビニル化合物としては、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンポリビニルトルエンポリビニルキシレンポリクロメチルスチレンなどのホモ重合体、これら2種以上共重合体もしくは他の不活性モノマーとの共重合体又はブレンド体がより好ましく用いられる。

0024

補強用ポリマY成分としては、ポリエステルポリアミド、ポリ−α−オレフィンなどのホモ重合体、又はこれらの共重合体、ブレンド体が用いられ、その中でも耐薬品性に優れたポリ−α−オレフィンが補強用として好ましく用いられる。ポリ−α−オレフィンとしてはポリプロピレンポリエチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルメチルペンテン−1などが好ましく用いられる。

0025

毒素の吸着効率を向上させるためには、毒素吸着基は繊維表面に存在することが好ましいことから、繊維表面を占める毒素吸着基導入用のポリマXの割合は少なくとも50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。また、毒素吸着率向上の観点から繊維表面をポリマXが100%占めることは好ましい態様である。

0026

複合繊維形態の繊維AにおいてポリマXの占める割合は、繊維Aの補強の観点から50〜90%が好ましく、60〜80%がより好ましい。

0027

これらのことから、ある程度の強度を保ちつつ、高い毒素吸着率を有する繊維とするための形態としては、ポリマXを鞘として反応できるようにし、ポリマYを芯として補強する芯鞘型とすることが好ましい。また、より強度を出すために芯を多くしたいわゆる海島型とすることも好ましい形態である。

0028

繊維Aの製造方法は特に限定されないが、ポリマX及びポリマYの2成分系複合体を通常の芯鞘型複合繊維または海島型複合繊維として溶融紡糸することにより、繊維Aを好ましく得ることができる。また、特に極細の繊維Aを製造する方法としては、多芯海島型複合繊維から作ることが好ましい。すなわち、ポリマX、ポリマYの芯鞘型複合体である島成分を、海成分ポリマZが取り囲んでなる3成分系複合体を海島型複合繊維として溶融紡糸し、その後にポリマZを溶解などによって除去することによって得ることができる。この場合、ポリマZとしては、溶媒で容易に溶解するものであればよく、特に限定されるものではないが、島成分に影響を与えないものとして、アルカリ溶解性ポリエステルが好ましく使用される。多芯海島型複合繊維の島数は、好ましくは1〜100個であるが、特に好ましくは10〜50個である。また、海成分の割合は、該複合繊維の好ましくは70重量%以下、特に好ましくは10〜50重量%である。

0029

繊維Bは、主として、圧力損失の上昇や繊維間の融着を防止するために繊維Aの間に隙間を作るスペーサーの役割を果たすものである。このことから繊維が細すぎると隙間を作ることができくなり、また繊維が太くなりすぎると隙間が大きくなり吸着効率が低下するため、繊維Bに適した直径は10〜80μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。また、同様の理由から、繊維Aに対する繊維Bの混率は、重量比で1〜50%が好ましく、5〜40%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。

0030

繊維Bの成分は、スペーサーとしての役割を果たすことができれば特に制限はないが、上述の繊維AのポリマXまたはポリマY成分に用いられるポリマを好ましく適用できる。例えば、繊維Aを構成するポリマXとしてポリスチレンを用いた場合、繊維Bとして少なくとも繊維表面にポリスチレンを用いることは、反応によって繊維Aにも繊維Bにも毒素吸着基を導入でき、結果として吸着効率が向上するため好ましい態様である。さらに好ましい態様としては、少なくとも繊維Bの表面にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスフォンポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドなどの耐薬品性の優れたポリマを用いることである。このようなポリマを用いることにより反応に関与しない繊維Bが繊維Aの間に入って隙間を作り、繊維A同士の融着を防止することができる。そのような繊維Bを混合することによって、融着を防止できることに加えて体外循環においては血液が均一かつスムーズに流すことができるため目づまりによる圧力損失の上昇を抑えることができ長時間の使用が可能となる。また、毒素吸着基を導入する反応においては、反応液をスムーズに流すことができるため反応が均一に進み、上述のような過剰反応によるポリスチレンの脱落やクラックが発生を防ぐことができ、毒素吸着基を均一に導入できる。これらのことは繊維AにおけるポリマXとして、ポリスチレン以外のものを用いた場合、例えばポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリクロロメチルスチレンなどの芳香族ポリビニル化合物についても同様の効果が期待できる。

0031

繊維Bは上述の効果が得られるものであれば、その形態は限定されるものではなく、単成分系でも多成分系でも用いることができる。繊維Bは通常の紡糸条件によって容易に得ることができ、製造方法によってその効果が変わるものではない。

0032

長時間使用できるようにするためには、圧力損失は、体外循環を開始して60分後の値が30mmHg以下が好ましく、より好ましくは25mmHg以下、さらに好ましくは20mmHg以下である。圧力損失が高くなると体循環用毒素吸着材の寿命が短くなるため、圧力損失は低く、かつ時間当たりの上昇率が低い方が好ましい。もちろん、圧力損失の上昇が起こらず、60分後の値も実質的に0mmHgであることは好ましい態様である。

0033

毒素吸着材に不織布を用いる場合、毒素の吸着効率を上げるためには繊維を細くすることにより比表面積を大きくする必要があるが、繊維を細くすると目づまりし易く圧力損失が上昇する。また、逆に圧力損失の上昇を抑えようとすると、十分に血液が通るように隙間を作る必要があるが、隙間を大きくすると繊維量が少なくなり毒素の吸着効率が低下する。すなわち、これまで圧力損失と吸着率はトレードオフの関係にあり、高い毒素吸着効率を保ちつつ、圧力損失を30mmHg以下に抑えることは困難であった。

0034

これに対し、本発明の毒素吸着材は、少なくとも直径が30μm以下であって毒素吸着基を有する繊維Aと直径が10〜80μmの繊維Bが混在した不織布とすることで、60分後の圧力損失が30mmHg以下とすることができ、毒素吸着効率が高く、長時間使用可能な体外循環用毒素吸着材とすることができる。

0035

ここでいう圧力損失とは、体外循環において、目づまり等による形状変化、流れの方向変化に基づく損失を圧力の次元(mmHg)で表したものをいう。本発明において、本発明者らが行った圧力損失の測定方法および条件は下記の通りである。

0036

体外循環用毒素吸着材の圧力損失の測定は、日本ミリポリア(株)製のスウイネクス48mmのフィルターホルダー(有効内径42mm、有効ろ過面積13.8cm2)に、測定するサンプルを48mmφに打ち抜き充填し、当該フィルターホルダーに5単位/mlのヘパリンを含む血を垂直流アップフローで通し(2ml/分)、差圧上昇を調べ、60分後の差圧上昇の値を圧力損失(mmHg)とした。

0037

また、体外循環用カラムの圧力損失の測定は、サンプルを幅16cmに切断し、外径1cmのポリプロピレン製円筒型メッシュの周囲に外径が3.7cmになるまで巻き付け、内径4.2cm、長さ17cmの円筒型ポリプロピレン製容器に収めたカラムを作製し、エンドトキシンを含む牛血を20ml/分の流速で60分間通液した時の差圧上昇の値を圧力損失とした。

0038

本発明で言う毒素とは、一般に数多く存在し、また通常無害のものや良い効果を示すものであってもその時々の状況に応じて害を及ぼす場合があるため、特に限定されるものではないが、例えば、黄色ブドウ球菌腸管毒素溶血毒素、ロイコシジンコアグラーゼプロテインAコレラ菌コレラ毒素出血性大腸菌赤痢菌の産生するベロ毒素緑膿菌の産生する外毒素A、連鎖球菌の産生する発熱性外毒素などの分泌性の毒素や、リポポリサッカライド等の細菌自体を構成する化合物や細菌の遺伝子構成成分であるデオキシリボ核酸等、さらにはTNF−αやIL−6などのサイトカインなども毒素として挙げられる。さらに、これらの中でパイロジェンと称される一群の毒素がある。パイロジェンは発熱性を有する一群の物質の総称であり、細菌感染を通じて体内侵入することにより発熱ショック症状誘引することが知られている強毒性の物質である。このパイロジェン活性を有する毒素としてはグラム陰性菌細胞膜構成成分であるリポポリサッカライド(エンドトキシン)、黄色ブドウ球菌の腸管毒素やトクシックショックシンドロートキシン−1等が挙げられる。

0039

本発明における毒素吸着基は、毒素に対する吸着性能が高いものであれば、特に限定しないが、アミノ基、クロロ基、スルフォニル基、エチレングリコール基、水酸基、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合のいずれかを有することが好ましい。かかるアミノ基としては、脂肪族アミノ基を意味し、その具体例として、アミノ基を持つ環状ペプチド残基ポリアルキレンイミン残基、ベンジルアミノ基、1級、2級、3級のアルキルアミノ基を使用することができる。そのなかでも、好ましくはアミノ基を持つ環状ペプチド残基、ポリアルキレイミン残基、さらに好ましくはアミノ基を持つ環状ペプチド残基が、細菌由来の毒素に対する吸着性能が高くてよい。

0040

より具体的には、アミノ基をもつ環状ペプチドは、2個以上、50個以下、より好ましくは4個以上16個以下のアミノ酸からなる環状ペプチドであって、その側鎖に1個以上のアミノ基をもつものであれば良く、特に制限はない。その具体例としては、ポリミキシンBポリミキシンEコリスチングラミシジンSあるいはこれらのアルキルあるいはアシル誘導体などを使用することができる。

0041

また、本発明で言うポリアルキレンイミン残基とは、ポリエチレンイミン、ポリヘキサメチレンイミンおよびポリ(エチレンイミンデカメチレンイミン)共重合体で代表されるポリアルキレンイミンまたはその窒素原子の一部を、n−ヘキシルブロマイド、n−デカニルブロマイド、n−ステアリルブロマイドなどで代表されるハロゲン化炭化水素の単独または混合物アルキル化したもの、または、酪酸バレイン酸、ラウリル酸ミリスチン酸レノレイン酸、ステアリル酸などの脂肪酸アシル化したものを意味する。

0042

本発明吸着材におけるアミン基の結合の密度は、水不溶性重合体化学構造および用途により異なるが、少なすぎるとその機能が発現せず、一方、多すぎると、固定化後の重合体物理的強度が悪くなり、吸着材としての機能も下がってしまうので、該密度は水不溶性重合体の繰り返し単位あたり0.01〜2.0モル、より好ましくは0.1〜1.0モルが良い。

0043

また、クロロ基を有する毒素吸着基の例としてはパラクロロフェニル尿素などがあり、その他、例えば、スルフォニル基、エチレングリコール基、水酸基、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合などを有する毒素吸着基があるが、除去する毒素の種類によって吸着効率の高い毒素吸着基を任意に選択することが好ましい。

0044

本発明の体外循環用毒素吸着材の製造方法の好ましい例をあげる。

0045

本発明の不織布は、少なくとも繊維Aと繊維Bとが混在し、物理的に拘束されているものであればよく、その好ましい例としては、少なくとも繊維Aと繊維Bを含むウェブを積層するなどしてシート状物を作製し、該シート状物をニードルパンチウォータージェットパンチなどによって繊維同士を絡ませる方法がある。また、単に積層したウェブを板などに挟んで拘束する方法によっても好ましく作製できる。繊維Aが極細の場合には、上述の海島型複合繊維と繊維Bからなる不織布を作製し、海成分を溶解することによって、好ましく作製することができる。嵩密度は特に限定されるもでのはないが、通液性形態保持性の観点から、0.03〜0.3g/cm3であることが好ましく、0.05〜0.2g/cm3であることがより好ましい。本発明において、嵩密度は、繊維Aと繊維Bの混合比率、ウェブの積層回数、ニードルパンチをする場合のパンチング回数および針本数、海島型複合繊維を用いる場合の海島比率などを適宜制御することによって、随意に設定することができる。

0046

毒素吸着基は、上述の不織布に導入することにより、または繊維に導入した後不織布を作製することによって、本発明の体外循環用毒素吸着材を好ましく得ることができる。導入方法は任意であり、毒素吸着基の種類によって化学反応コーティング、その他の方法によって、一段階もしくは多段階の操作により好ましく導入できる。その一例としては、アミノ基を有する毒素吸着基を導入する場合、まずアミノ基を共有結合で固定化できる反応性官能基を化学反応もしくはコーティングなどによって繊維Aに導入し、続いてその官能基に毒素吸着基のアミノ基を共有結合させて導入する方法が好ましい。

0047

反応性官能基としては、ハロメチル基ハロアセチル基ハロアセトアミドメチル基ハロゲン化アルキル基などの活性ハロゲン基、エポキサイド基カルボキシル基イソシアン酸基チオイソシアン酸基、酸無水物基などをあげることができるが、とりわけ、活性ハロゲン基、中でも、ハロアセチル基は、製造が容易な上に、反応性が適度に高く、該固定化反応温和な条件で遂行できると共に、この際生じる共有結合が化学的に安定なので好ましい。

0048

本発明の体外循環用カラムは、前記毒素吸着材をカラムに充填することによって製造することができる。カラムの構成としては、毒素吸着材を平板状に形成し、これを重ねて充填したカラム、毒素吸着材が円筒形状に巻かれてなる円筒状フィルターが、両端部に血液入口と血液出口とを有する円筒容器に納められているカラム、毒素吸着材が円筒状にまかれてなる中空円筒状フィルターが、その両端部を封止された状態で血液入口と血液出口とを有する円筒状容器に納められており、容器の血液入口は前記中空円筒状フィルターの外周部に通じる部位に、また容器の血液出口は前記中空円筒状フィルターの内周部に通じる部位にそれぞれ設けられているカラムが好ましい。その中でも、円筒中空状フィルターを用いたカラムは、血液中の毒素の大部分が、円筒形状フィルターの外周部の大きな面積の不織布で迅速に除去され、除去されずに残ったわずかな毒素も、円筒形状フィルターの内周部に到って、その小さな面積の不織布でも十分に除去され、効率的な毒素吸着が可能であるので、より好ましい。

0049

以下、実験例により、本発明をさらに具体的に説明する。

0050

実施例1
海成分がポリエチレンテレフタレートとポリエチレン−5−ソジウムスルホイソフタレートの共重合ポリマ、島成分がポリプロピレン補強ポリスチレン(芯成分:ポリプロピレン、鞘成分:ポリスチレン90%、ポリプロピレン10%の混合ポリマ、芯/鞘比が4/6の芯鞘型)からなる多芯海島型複合繊維(島数36個、海成分20%、海成分除去後の直径4μm)を溶融紡糸法で作製し、3.1倍に延伸した後、機械捲縮を付与し、51mmにカットし、原綿を得た。。得られた原綿に通常の溶融紡糸で得られた直径30μmのポリプロピレン繊維の綿(51mm)を重量比で15%混合してシート状物を作製してニードルパンチをした後、5%水酸化ナトリウム水溶液で1時間処理し海成分の共重合ポリエステルを溶解することによって不織布を得た。

0051

ニトロベンゼン(片山化学工業)600mlと硫酸(片山化学工業)390mlの混合溶液パラホルムアルデヒド(片山化学工業)3gを20℃で溶解した後、0℃に冷却し、75.9gのN−メチロール−α−クロルアセトアミド(2−クロロアセトアミドホルマリン(共にナカライテスク)から調製)を加えて、5℃以下で溶解した。この溶液に作製した不織布を浸し、室温で2時間静置した。その後、不織布を取り出して大過剰の冷メタノール中に入れた。不織布をメタノールでよく洗った後、水洗し、乾燥して、18.3gのα−クロルアセトアミドメチル化不織布を得た。この不織布を硫酸ポリミキシンBファイザー製薬)0.2gを200mlの水に溶かした溶液に入れ、1N−水酸化ナトリウム水溶液(ナカライテスク)0.8mlを加えて室温で5時間振とうした。その後、1N−塩酸(ナカライテスク)0.8mlで中和、水洗した。以上の工程により、4μmのポリスチレン/ポリプロピレン芯鞘繊維と30μmのポリプロピレン繊維からなる体外循環用毒素吸着材を得た。

0052

体外循環用毒素吸着材0.5gをオートクレーブ滅菌した後、エンドトキシンを含む牛血清15mlで吸着能の評価(37℃2時間)をしたところエンドトキシンの吸着率は95%であった。また、ポリミキシンB固定化不織布を48mmφに打ち抜き、フィルターホルダーに充填し、5単位/mlのヘパリンを含む牛血を垂直流でアップフローで通し(2ml/分)、差圧上昇を調べたところ、60分後の圧力損失は5mmHgと良好であった。

0053

さらに体外循環用毒素吸着材を幅16cmに切断し、外径1cmのポリプロピレン製円筒型メッシュの周囲に外径が3.7cmになるまで巻き、内径4.2cm、長さ17cmの円筒型ポリプロピレン製容器に収めて両端をポリウレタン樹脂で封止した。そして血液の入口と出口を有するキャップを円筒型ポリプロピレンの両端に融着させて、本発明の中空円筒型フィルターを用いたカラムを作製した。このカラムにエンドトキシンを含む牛血を20ml/分の流速で60分間通液したところ、圧力損失は10mmHgで、その時のエンドトキシン吸着率は94%であった。

0054

実施例2
直径15μmの芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリスチレン90%とポリプロピレン10%の混合ポリマからなる芯鞘型複合繊維(芯/鞘比が4/6)を溶融紡糸し、実施例1と同様の処理により原綿を得た。得られた原綿に前記直径30μmのポリプロピレン繊維の綿(51mm)を重量比で15%混合してシート状物を作製してニードルパンチをし、不織布を作製した。この不織布に実施例1と同様の処理を行い、15μmのポリスチレン/ポリプロピレン芯鞘繊維と30μmポリプロピレン繊維からなる体外循環用毒素吸着材を得た。

0055

実施例1と同様の方法で、エンドトキシンの吸着率及びフィルターホルダーによる60分後の圧力損失を測定したところ、吸着率87%、圧力損失3mmHgと良好な値であった。

0056

比較例1
芯鞘型複合繊維の直径が50μmとする以外は実施例2と同様の方法により、50μmのポリスチレン/ポリプロピレン芯鞘繊維と30μmのポリプロピレン繊維からなる体外循環用毒素吸着材を作製し、エンドトキシン吸着率及び60分後の圧力損失を測定したところ、吸着率47%、圧力損失5mmHgであり、圧力損失は良好であったものの吸着率が非常に低い値であった。

0057

比較例2
前記直径30μmのポリプロピレン繊維の綿を混合しない以外は実施例1と同様の方法により、4μmのポリスチレン/ポリプロピレン繊維からなる体外循環用毒素吸着材を作製し、エンドトキシン吸着率及び60分後の圧力損失を測定したところ、吸着率72%、圧力損失96mmHgであった。

0058

比較例2の体外循環用毒素吸着材についても、実施例1と同様に中空円筒型フィルターを用いたカラムを作製し、通液試験を行ったところ、60分後の圧力損失は156mmHgに達した。この時のエンドトキシン吸着率は56%と低かった。この不織布の表面状態を調べてみると繊維同士が融着して目づまりしていることが分かった。

0059

以上の結果から、実施例1及び実施例2の毒素吸着材は非常に目づまりしにくいため寿命が極めて長く、またエンドトキシンを効率的に除去できることが分かる。比較例1では繊維が太いために隙間が大きくなり目づまりし難いが、吸着効率も低下し、比較例2では寿命が短く、また繊維同士の融着のため実際よりも比表面積が減少し、吸着効率が低下していることが分かる。

0060

発明の効果

0061

本発明により、目づまりしにくく、圧力損失の上昇が小さいため長時間の使用が可能で、かつ毒素吸着効率が高い体外循環用毒素吸着材を提供することができる。

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