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技術 高耐久複層塗膜及びその形成方法並びに外装用建材

出願人 日本ペイントホールディングス株式会社
発明者 柴田康弘酒井慎一朗赤堀雅彦郷司春憲
出願日 2002年3月5日 (17年10ヶ月経過) 出願番号 2002-058840
公開日 2003年9月9日 (16年4ヶ月経過) 公開番号 2003-251269
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード 駆動エアー フラット板 耐温度変化性 無機材料基材 ツヤ消し剤 シリコーン官能基 アクリル重合体粒子 剥離度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年9月9日)のものです。
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課題

耐候性耐水性耐変色性等の基本特性に優れ、塗膜密着性も改善された複層塗膜を提供する。

解決手段

(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体中固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、上記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層、を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分溶解度パラメーターの差が、0.5以下である複層塗膜。

概要

背景

住宅、ビル等の建築物の壁面には、風雨にさらされ日光直射を受けながら品質外観を維持するために、種々の外装用塗料が適用されている。このような塗料は、風雨に対する耐候性耐水性耐変色性基材に対する密着性等の基本性能要請されているが、近年、環境汚染塗装作業上の安全や衛生等の問題から水性化が進んでいる。

このような外装用塗料については種々の研究が行われてきたが、近年、性能向上への要請が益々顕著となり、特に野外の過酷な環境においても長期間外観を維持することができる優れた耐候性、耐久性を有する塗膜を得ることは、従来の技術では充分に実現することができないものであった。

このような問題を解決するためにエナメル塗料の上に、無機成分を含むクリアー塗料塗装して、外観とともに耐久性、耐候性を向上させることも行われている。しかし、クリアー塗料中に無機成分が多い場合は第一の塗膜層と第二の塗膜層の密着性が悪化し、ワレハガレが生じ易いという問題が発生する。

特開2000−160095号公報にはシクロヘキシル基を有するポリマーを含有する水性塗料塗布層窯業系外装建材の表面に少なくとも2層有してなる外装用建材が記載されている。しかしこのような塗膜層であっても、塗装の密着性の改善と高度の耐久性を両立させることはできなかった。

特開平9−98586号公報、特開平9−208642号公報、特開平10−182774号公報、特開平11−255846号公報、特開2000−264971号公報等には、有機シリコーン単位を有する水性塗料組成物が記載されている。しかし、これらのようなコーティング材を単に第二の塗膜層として使用するだけでは、上記問題は解決されるものではなかった。

概要

耐候性、耐水性、耐変色性等の基本特性に優れ、塗膜の密着性も改善された複層塗膜を提供する。

(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体中固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、上記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層、を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分溶解度パラメーターの差が、0.5以下である複層塗膜。

目的

本発明は、上記の現状に鑑み、耐候性、耐水性、耐変色性等の基本特性に優れ、塗膜の密着性も改善された複層塗膜を得ることを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
7件

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請求項1

(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、前記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層、を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜

請求項2

(a)ガラス転移温度が−70〜35℃であるアクリル重合体をコア部とし、ガラス転移温度が25〜80℃であるアクリル重合体をシェル部とし、前記コア部の重合体のガラス転移温度は、前記シェル部の重合体のガラス転移温度よりも20℃以上低く、前記コア部と前記シェル部との質量比が、2/8〜8/2である多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体中の固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、前記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層、を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜。

請求項3

第一の塗膜層は、置換又は無置換のシクロアルキル基含有重合性単量体5〜70質量部、及び、その他の重合性単量体30〜95質量部から得られるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成されるものである請求項1又は2記載の複層塗膜。

請求項4

第一の塗膜層は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単量体を分散体中の全単量体100質量部中0.1〜10質量部有する水性塗料組成物から形成されるものである請求項1又は2記載の複層塗膜。

請求項5

第一の塗膜層は、顔料を有する水性塗料組成物から形成されるものである請求項1、2、3又は4記載の複層塗膜。

請求項6

(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層を、被塗装物に対して塗装する第一の塗膜層形成工程、及び、(b)前記第一の塗膜層形成工程に次いで、シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体の固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有するものである水性塗料組成物を被塗装物に対して塗装する第二の塗膜層形成工程からなる複層塗膜形成方法であって、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体、及び、(b)第二の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜の形成方法

請求項7

請求項1、2、3、4又は5記載の複層塗膜を有する外装用建材

技術分野

0001

本発明は、住宅やビル等の建築物外壁内壁又は屋根窯業用建材等の無機質建材等に適用する高耐久性複層塗膜及びその形成方法に関する。

背景技術

0002

住宅、ビル等の建築物の壁面には、風雨にさらされ日光直射を受けながら品質外観を維持するために、種々の外装用塗料が適用されている。このような塗料は、風雨に対する耐候性耐水性耐変色性基材に対する密着性等の基本性能要請されているが、近年、環境汚染塗装作業上の安全や衛生等の問題から水性化が進んでいる。

0003

このような外装用塗料については種々の研究が行われてきたが、近年、性能向上への要請が益々顕著となり、特に野外の過酷な環境においても長期間外観を維持することができる優れた耐候性、耐久性を有する塗膜を得ることは、従来の技術では充分に実現することができないものであった。

0004

このような問題を解決するためにエナメル塗料の上に、無機成分を含むクリアー塗料塗装して、外観とともに耐久性、耐候性を向上させることも行われている。しかし、クリアー塗料中に無機成分が多い場合は第一の塗膜層と第二の塗膜層の密着性が悪化し、ワレハガレが生じ易いという問題が発生する。

0005

特開2000−160095号公報にはシクロヘキシル基を有するポリマーを含有する水性塗料塗布層窯業系外装建材の表面に少なくとも2層有してなる外装用建材が記載されている。しかしこのような塗膜層であっても、塗装の密着性の改善と高度の耐久性を両立させることはできなかった。

0006

特開平9−98586号公報、特開平9−208642号公報、特開平10−182774号公報、特開平11−255846号公報、特開2000−264971号公報等には、有機シリコーン単位を有する水性塗料組成物が記載されている。しかし、これらのようなコーティング材を単に第二の塗膜層として使用するだけでは、上記問題は解決されるものではなかった。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記の現状に鑑み、耐候性、耐水性、耐変色性等の基本特性に優れ、塗膜の密着性も改善された複層塗膜を得ることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、上記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜である。

0009

本発明は、(a)ガラス転移温度が−70〜35℃であるアクリル重合体をコア部とし、ガラス転移温度が25〜80℃であるアクリル重合体をシェル部とし、上記コア部の重合体のガラス転移温度は、上記シェル部の重合体のガラス転移温度よりも20℃以上低く、上記コア部と上記シェル部との質量比が、2/8〜8/2である多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層、及び、(b)シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体中の固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有する水性塗料組成物からなり、上記第一の塗膜層上に形成された第二の塗膜層を有し、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と(b)第二の塗膜層を形成する重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜でもある。

0010

上記第一の塗膜層は、置換又は無置換のシクロアルキル基含有重合性単量体5〜70質量部、及び、その他の重合性単量体30〜95質量部から得られるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成されるものであることが好ましい。

0011

上記第一の塗膜層は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単量体を分散体中の全単量体100質量部中0.1〜10質量部有する水性塗料組成物から形成されるものであることが好ましい。上記第一の塗膜層は、顔料を有する水性塗料組成物から形成されるものであることが好ましい。

0012

本発明は、(a)ガラス転移温度が−20〜70℃であるアクリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物から形成される第一の塗膜層を、被塗装物に対して塗装する第一の塗膜層形成工程、及び、(b)上記第一の塗膜層形成工程に次いで、シリコーン含有アクリル重合体水性分散体を主成分とし、当該分散体の固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり5〜60質量部の有機シリコーン単位を含有するものである水性塗料組成物を被塗装物に対して塗装する第二の塗膜層形成工程からなる複層塗膜形成方法であって、(a)第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体、及び、(b)第二の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が、0.5以下であることを特徴とする複層塗膜の形成方法である。

0013

本発明は、上記の複層塗膜を有する外装用建材でもある。以下本発明について詳述する。

0014

本発明の複層塗膜を形成する第一の塗膜層を形成させる際に使用する塗料組成物は、アクリル重合体水性分散体を主成分とするものである。上記アクリル重合体水性分散体は、ガラス転移温度(Tg)が下限−20℃、上限70℃であるアクリル重合体を有するものである

0015

上記Tgが−20℃未満の場合は、得られる塗膜の耐ブロッキング性が低下する。70℃を超えると得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性が悪化する。上記Tgの下限は、−15℃であることがより好ましく、−10℃であることが更に好ましい。上記上限は、50℃であることがより好ましく、40℃であることが更に好ましい。

0016

上記本発明において重合体のTgは、重合体を構成する各単量体質量分率を、各単量体から誘導される単独重合体のTg(K:ケルビンで表す。)値で割ることによって得られるそれぞれの商の合計の逆数として計算することができる。上記アクリル重合体が、コア/シェル構造を有する重合体である場合は、コア成分シェル成分それぞれのTgを上記方法によって算出し、コア成分のTgをTgA、重合体粒子中のコア成分の質量分率をWA、シェル成分のTgをTgB、重合体粒子中のシェル成分の質量分率をWBとして、下記一般式
1/Tg=WA/TgA+WB/TgB
で表されるTgを重合体のTgとする。

0017

上記アクリル重合体は、重合性単量体から得られるものである。上記重合性単量体とは、分子中にビニル基等の不飽和結合を少なくとも1つ有するものをいい、アクリル酸メタクリル酸誘導体を含む。上記重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとεカプロラクトンとの反応物等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体;アミノエチル(メタ)アクリルアミドジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドN−メチロールアクリルアミドメトキシブチルアクリルアミドジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸グリシジルメタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体酢酸ビニルプロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体スチレンα−メチルスチレンビニルトルエン等のスチレン系単量体等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。本明細書中(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。

0018

これらのうち、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、スチレンがより好ましい。

0019

上記アクリル重合体は、置換又は無置換のシクロアルキル基含有重合性単量体を有するものであることが好ましい。上記シクロアルキル基は、炭素数4〜20を有するものであることが好ましい。上記シクロアルキル基が置換されているものである場合は、上記置換基は炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状の炭化水素基であれば特に限定されず、更にヒドロキシル基等により置換されていてもよい。

0020

上記アクリル性重合体が、上記シクロアルキル基含有重合性単量体を有すると、得られる塗膜に優れた耐候性、耐変色性、耐加水分解性耐クラック性、耐水性、光沢及び光沢保持性を与えることができるほか、他の成分と協同して優れた造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性をも与えることができる。

0021

上記シクロアルキル基含有重合性単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリル酸が好ましい。

0022

上記シクロアルキル基含有重合性単量体は、上記多層構造粒子中下限5質量部、上限70質量部の割合で含有されることが好ましい。上記多層構造粒子中上記シクロアルキル基含有重合性単量体が5質量部未満であると、得られる塗膜の耐候性が低下し、70質量部を超えると、得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性も悪化する場合がある。上記下限は好ましくは10質量部、より好ましくは20質量部であり、上記上限は好ましくは65質量部、より好ましくは55質量部である。

0023

上記重合性単量体は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単量体を全単量体100質量部中下限0.1質量部、上限10質量部の割合で含有することが好ましい。上記炭素数1〜14のアルコキシシリル基を構成する珪素原子には、炭素数1〜14のアルコキシル基が1〜3個結合することができる。上記アルコキシル基は、特に酸性の環境において加水分解されてシラノール基を形成しやすい。上記シラノール基が脱水結合することによりシロキサン結合を形成して架橋したり高分子量化したりするので、得られる塗膜の造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性が著しく向上し、特に、優れた耐候性、耐温水性が得られる。

0024

上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、ビニル基等の重合性の不飽和結合を含有する炭化水素基が、上記アルコキシシリル基を構成する珪素原子に上記アルコキシル基とは別に少なくとも1個結合してなる。上記不飽和結合を有するため、上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は付加重合を行うこともでき、上記シロキサン結合による効果に加えて、得られる塗膜の造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性を著しく向上させる。

0025

上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有する重合性単量体であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシランビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。

0026

上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、全単量体100質量部中、下限0.1質量部、上限10質量部の割合で含有されることが好ましい。上記分散体粒子中上記アルコキシシリル基含有重合性単量体が0.1質量部未満であると、シロキサン結合に基づく架橋や高分子量化が不充分となり、得られる塗膜の耐候性が低下する場合があり、10質量部を超えると、重合時の安定生産が困難となる場合がある。上記下限は好ましくは0.5質量部、より好ましくは1質量部であり、上記上限は好ましくは8質量部、より好ましくは7質量部である。

0027

上記シクロアルキル基含有重合性単量体及びアルコキシシリル基含有重合体単量体以外の重合性単量体は、アクリル重合体中、下限10質量部、上限94.8質量部の割合で含有されることが好ましい。上記多層構造粒子中上記その他の重合性単量体が10質量部未満では、上記コア部又は上記シェル部を構成するアクリル重合体のガラス転移温度を上記の範囲に調整することが困難となる場合があり、94.8質量部を超えると、上記シクロアルキル基含有重合性単量体の含有量が少なくなって、本発明の目的を充分に達成することができない場合がある。上記下限は好ましくは19質量部、より好ましくは31質量部であり、上記上限は好ましくは89質量部、より好ましくは78質量部である。

0028

上記アクリル重合体は、更に、炭素数1〜14のアルコキシシラン化合物を含有するものであってもよい。上記アルコキシシラン化合物を含むと、得られる塗膜に優れた耐候性、耐水性、光沢保持性、及び、無機質基材に対する密着性等の塗料としての優れた基本性能を与えることができるほか、造膜性、耐温度変化性、更には、本発明の課題である耐ブロッキング性をも付与することができる。これらの特性は上記アルコキシシラン化合物を含有しない場合においても優れているが、上記アルコキシシラン化合物を含有する場合であっても、同様の効果を得ることができる。

0029

上記アルコキシシラン化合物は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を有するアルコキシシラン化合物であれば特に限定されず、上記炭素数1〜14のアルコキシシリル基は直鎖状又は分枝状であってもよい。又、上記アルコキシシリル基は上記アルコキシシラン化合物を構成する珪素原子に1〜4個結合していてもよい。本発明において上記アルコキシシラン化合物は、上記アルコキシシリル基含有重合性単量体とは異なり、化合物中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有しない。

0030

上記アルコキシシラン化合物としては特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラントリメトキシメチルシランジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシランテトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシランジエトキシジエチルシランエトキシトリエチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。

0031

上記アルコキシシラン化合物は、上記アクリル重合体中に下限0.1質量部上限10質量部の割合で含有することができる。上記多層構造粒子中上記アルコキシシラン化合物が0.1質量部未満であると、シロキサン結合に基づく架橋ないし高分子量化が不充分となって、得られる塗膜の耐候性が低下しやすく、10質量部を超えると、重合時の安定生産が困難となる。上記下限は好ましくは、0.5質量部、更に好ましくは1質量部であり、上記上限は好ましくは8質量部、より好ましくは7質量部である。本発明においては、上記アクリル重合体は、上記で説明したそれぞれの単量体以外の成分を含むものであってもよい。

0032

上記第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物中の上記アクリル重合体粒子は、ガラス転移温度が−70〜35℃であるアクリル重合体をコア部とし、ガラス転移温度が25〜80℃であるアクリル重合体をシェル部とし、上記コア部の重合体のガラス転移温度は、上記シェル部の重合体のガラス転移温度よりも20℃以上低く、上記コア部と上記シェル部との質量比が、2/8〜8/2である多層構造粒子であることが好ましい。上記アクリル重合体粒子を、上記多層構造粒子とすることによって、塗膜の耐ブロッキング性が向上するため好ましい。

0033

上記多層構造粒子は、Tgが下限−70℃、上限35℃であるアクリル重合体をコア部とすることが好ましい。上記コア部を構成するアクリル重合体のTgが−70℃未満であると、上記アクリル重合体水性分散体の長期安定性が低下する場合があり、35℃を超えると、得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性が悪化し、又耐ブロッキング性が低下する場合がある。上記Tgの下限は、好ましくは−40℃であり、より好ましくは−25℃である。上記Tgの上限は、好ましくは20℃であり、より好ましくは10℃である。

0034

上記多層構造粒子は、更に、Tgが下限25℃、上限80℃であるアクリル重合体をシェル部とすることが好ましい。上記シェル部を構成するアクリル重合体のTgが25℃未満であると、得られる塗膜の耐ブロッキング性が低下し、80℃を超えると得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性が悪化する。上記Tgの下限は好ましくは35℃、より好ましくは45℃である。上記Tgの上限は好ましくは75℃であり、より好ましくは70℃である。

0035

上記コア部の重合体のTgは、上記シェル部の重合体のTgよりも20℃以上低いものであることが好ましい。上記コア部の重合体のTgと上記シェル部の重合体のTgとの差が20℃未満であると、造膜性が低下し、耐ブロッキング性が低下する。より好ましくは40℃以上低いものであり、更に好ましくは60℃以上低いものである。なお、上記コア部の重合体及び上記シェル部の重合体それぞれのTgは、前述の重合体と同じように算出される。

0036

上記コア部と上記シェル部との質量比は、2/8〜8/2であることが好ましい。上記コア部と上記シェル部との質量比が2/8未満であると、得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性が悪化し、8/2を超えると、得られる塗膜の耐ブロッキング性が低下する。上記質量比は好ましくは3/7以上、更に好ましくは5/5以上であり、好ましくは7/3以下である。

0037

上記アクリル重合体粒子の平均粒子径は、下限70nm、上限300nmであることが好ましい。上記アクリル重合体粒子の平均粒子径が70nm未満であると、粒子の製造が困難となり、300nmを超えると、上記アクリル重合体水性分散体における上記多層構造粒子の分散性が悪くなる。上記下限はより好ましくは80nm、更に好ましくは100nmであり、上記上限はより好ましくは250nm、更に好ましくは100〜200nmである。後述する範囲内で乳化剤の種類や量を選択することにより、このような平均粒子径とすることができる。

0038

本発明の第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物に用いるアクリル重合体水性分散体は、バッチ重合、モノマー滴下重合乳化モノマー滴下重合等の通常の乳化重合法を適宜選択して製造することができる。特に、乳化モノマー滴下重合が、製造時の安定性を確保する上で好適である。

0039

上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合は、乳化剤を用いて行うことができる。上記乳化剤としては特に限定されず、通常の乳化剤、例えば、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有しない非反応性乳化剤、及び/又は、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する反応性乳化剤を使用することができる。上記非反応性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムラウリル硫酸ナトリウムラウリル硫酸アンモニウムジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムポリオキシエチレンアルキルエステル等を挙げることができる。上記反応性乳化剤としては特に限定されず、例えば、アクアロンHS−10等のアクアロンHSシリーズ(第一工業製薬社製)、アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0040

上記反応性乳化剤は、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合、及び、親水性基を有する水可溶性モノマーであり、通常の乳化剤が生成粒子表面に吸着するだけであるのに対し、重合過程においてポリマーの一成分として生成粒子に組み込まれるため、造膜後、水により乳化剤がポリマーから遊離しないという特徴を有する。従って、このような反応性乳化剤を使用した水性塗料組成物は、その安定性が向上する。本発明においては、得られる水性塗料組成物の安定性及び得られる塗膜の耐温水性の点から、上記反応性乳化剤が特に好ましく、例えば、アクアロンHS−10等のアクアロンHSシリーズ(第一工業製薬社製)又はエレミノールJS−2(三洋化成工業社製)を好適に使用することができるが、非反応性乳化剤であるラウリル硫酸アンモニムを好適に使用することもできる。

0041

上記反応性乳化剤の使用量は、上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合に用いる重合性単量体の総量100質量部に対して、下限0.5質量部、上限5質量部の割合であることが好ましい。上記重合性単量体の総量中の上記反応性乳化剤の使用量が0.5質量部未満では、得られるアクリル重合体水性分散体の安定性が悪化しやすく、5質量部を超えると、得られる塗膜の耐温水性が低下しやすい。上記下限はより好ましくは1質量部、より好ましくは1.5質量部であり、上記上限はより好ましくは4.5質量部であり、更に好ましくは4質量部である。

0042

上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合は、重合開始剤を用いて行うことができる。上記重合開始剤は、熱又は還元性物質等によりラジカルを生成して単量体を付加重合させるものであり、水溶性重合開始剤又は油溶性重合開始剤を使用することができる。

0043

上記水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム過硫酸ナトリウム過硫酸カリウム等の過硫酸塩開始剤、又は、過酸化水素等の無機系開始剤等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0044

上記油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0045

本発明においては、上記乳化重合を主として水性媒体中で行うため上記水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウムを好適に使用することができる。上記水溶性重合開始剤又は上記油溶性重合開始剤には、亜硫酸ナトリウム塩化第一鉄アスコルビン酸塩ロンガリット等の還元剤を併用することもでき、これにより、乳化重合速度を促進したり、低温における乳化重合をも行うことが容易になる。

0046

上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合は、水性媒体を用いて行うことができる。上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、又は、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノール若しくは1−ブタノール等のアルコールと水との混合系を使用することができる。

0047

上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合は、好ましくはpHの下限2、上限6の範囲内の水性媒体中において行う。上記水性媒体のpHが2未満では、酸性が強すぎて反応容器内部の腐食を促進し取り扱いに不便をきたし、6を超えると、上記アルコキシシリル基又は上記アルコキシシラン基加水分解反応性が劣り架橋が充分ではなくなるため、得られるアクリル重合体水性分散体の貯蔵安定性を長期間維持しにくく、得られる塗膜の耐温水性が悪化する。上記pHの下限はより好ましくは2.5であり、上記pHの上限はより好ましくは5.5、更に好ましくは5である。

0048

上記アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う乳化重合の後、得られる反応溶液をpHの下限7、上限10の範囲内に調整することが好ましい。これにより、得られるアクリル重合体水性分散体に含有されるカルボキシル基中和され、架橋構造も充分なものとなり、長期間貯蔵しても分散する粒子が凝集することなく安定性に優れた分散体が得られるため、造膜性に優れた水性塗料組成物を得ることができる。上記pHの下限はより好ましくは8、更に好ましくは8.5に調整し、上記pHの上限はより好ましくは10、更に好ましくは9.5に調整する。このようなpHの調整は、塩基性物質を添加することにより行うことができる。

0049

上記塩基性物質としては特に限定されず、例えば、アンモニアトリブチルアミントリエチルアミンモノエタノールアミンジメチルエタノールアミンメチルエタノールアミンモルホリンN−メチルモルホリンアミノメチルプロパノール等のアミン化合物ナトリウムカリウム等のアルカリ金属化合物等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、本発明のおいては、耐温水性の点から、アミン化合物が好ましい。

0050

上記重合体粒子が多層構造粒子である場合に、上記アクリル重合体水性分散体を調製するにあたって行う乳化重合方法は、特に限定されないが、例えば、水性媒体等の存在下、メチルメタクリレートモノマーを主成分とした親水性の高い単量体を乳化重合して、Tgが25〜80℃であるアクリル重合体からなる上記シェル部を形成させ(第一工程)、その後、上記シェル部用の重合体よりも疎水性が高い重合体を形成しうる単量体を滴下して、上記第一工程で形成したシェル部の内部に供給し、乳化重合してTgが−70〜35℃であるアクリル重合体からなる上記コア部を形成させ(第二工程)、これらの工程を経ることにより、上記アクリル重合体水性分散体を得ることができる。このように、コア部を形成する際にはシェル部より疎水性が高い単量体を用いることにより、先に形成したシェル部の内部に単量体が侵入しやすくなり、このことにより、本発明の目的にかなった理想とする多層構造粒子を得ることができる。

0051

上記乳化剤は、上記コア部若しくは上記シェル部の何れか、又は、上記コア部及び上記シェル部の両方に添加することができる。得られるアクリル重合体水性分散体の分散性が一層向上するので、上記乳化剤は上記シェル部に添加することが好ましい。

0052

本発明の第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、顔料を含むものであることが好ましい。上記顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾキレート系顔料不溶性アゾ系顔料縮合アゾ系顔料、モノアゾ系顔料ジスアゾ系顔料ジケトピロロピロール系顔料ベンズイミダゾロン系顔料フタロシアニン系顔料インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料ペリレン系顔料ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料イソインドリノン系顔料ナフトール系顔料ピラゾロン系顔料、アントラキノン系顔料アンラピリジン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料黄鉛黄色酸化鉄酸化クロムモリブデートレンジベンガラチタンイエロー亜鉛華カーボンブラック二酸化チタンコバルトグリーンフタロシアニングリーン群青コバルトブルーフタロシアニンブルーコバルトバイオレット等の無機系着色顔料マイカ顔料二酸化チタン被覆マイカ着色マイカ金属メッキマイカ);グラファイト顔料、アルミナフレーク顔料、金属チタンフレークステンレスフレーク、板状酸化鉄フタロシアニンフレーク、金属メッキガラスフレーク、その他の着色、有色偏平顔料;酸化チタン炭酸カルシウム硫酸バリウム炭酸バリウム珪酸マグネシウムクレータルクシリカ焼成カオリン等の体質顔料等を挙げることができる。本発明の複層塗膜は、上記第一の塗膜層を上記顔料を有するベース塗膜とし、第二の塗膜層をクリヤー塗膜として形成することが好ましい。

0053

上記第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物に含まれる顔料は、上記第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の固形分に対する顔料質量濃度(PWC)が下限5質量%、上限60質量%の範囲内であることが好ましい。上記PWCが5質量%未満であると、下地隠蔽性が劣り、上記PWCが60質量%を超えると、耐侯性が低下するおそれがある。上記下限は20質量%であることがより好ましく、上記上限は45質量%であることがより好ましい。

0054

本発明の第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、必要に応じて、重合度調整剤粒子径調整剤粘性調整剤充填剤分散剤紫外線吸収剤光安定剤酸化防止剤凍結防止剤防藻剤消泡剤造膜助剤増粘剤防腐剤、防かび剤、消泡剤等を含むことができる。

0055

本発明の第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、上記造膜助剤として、沸点の下限が150℃、上限が300℃であり、酢酸ブチルを100とした蒸発速度が下限0.1、上限20である有機溶剤を、上記重合体粒子100質量部に対して下限1質量部、上限20質量部含有することが好ましい。これにより、低温又は短時間における造膜性を向上することができる。上記有機溶剤は、より好ましくは、上記沸点の下限が170℃、更に好ましくは200℃であり、上記沸点の上限が270℃、更に好ましくは250℃である。上記酢酸ブチルを100とした蒸発速度の下限は好ましくは0.5、更に好ましくは1であり、上記酢酸ブチルを100とした蒸発速度の上限は好ましくは17、更に好ましくは15である。

0056

上記有機溶剤としては、上記の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートエチレングリコールジブチルエーテル、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、エチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。

0057

本発明の第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、耐候性の観点から、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。上記ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、例えば、サノールLS144、サノールLS292、サノールLS440、サノールLS770(以上、三共社製)、チヌビン123、チヌビン144(以上、チバスシャリティケミカルズ社製)、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−501、アデカスタブLA−503、アデカスタブLA−601(以上、旭電化社製)、Sanduvor 3051 Disp.(クラリアント社製)等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0058

上記ヒンダードアミン系光安定剤は、上記多層構造粒子100質量部に対して下限0.1質量部、上限5質量部の割合で含有することが好ましい。上記下限はより好ましくは0.5質量部、更に好ましくは1質量部であり、上記上限はより好ましくは4.5質量部、更に好ましくは4質量部である。これらは、使用目的に応じて適宜選択することができる。

0059

本発明の第一の塗膜層の水性塗料組成物は、耐候性の観点から、紫外線吸収剤を含むことができる。上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、シーソープ103(白石カルシウム社製)、チヌビン900、チヌビン1130、チヌビン384、チヌビン327(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、アデカスタブLA−31、アデカスタブLA−32、アデカスタブLA−36、アデカスタブ1413(以上、旭電化社製)、Sanduvor 3041 Disp.、Sanduvor PT21 Disp.(以上、クラリアント社製)等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0060

上記紫外線吸収剤は、上記アクリル重合体100質量部に対して下限0.1質量部、上限5質量部の割合で含有することが好ましい。上記下限はより好ましくは0.5質量部、更に好ましくは1質量部であり、上記上限はより好ましくは4.5質量部、更に好ましくは4質量部である。これらは、使用目的に応じて適宜選択することができる。

0061

上記第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各配合物攪拌機等により攪拌することにより行うことができ、顔料は、分散性のよいものは攪拌機により混合するか又は水、界面活性剤や分散剤等からなるビヒクルサンドグラインドミル等であらかじめ分散しておいたものを加えることができる。

0062

本発明に使用する第二の塗膜層は上記第一の塗膜層上に形成されたものであり、第二の塗膜層を形成する塗料組成物は、乳化型アクリル重合性分散体を主成分とするものである。

0063

上記第二の塗膜層に使用する乳化型アクリル重合性分散体には、上記第一の塗膜層に使用する乳化型アクリル重合分散体に使用することができるとして例示した、シクロアルキル基含有重合性単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体、ヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体、アミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体、不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体、シアン化ビニル系単量体、飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体、スチレン系単量体、アルコキシシリル基含有重合性単量体等を単量体として使用することができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。

0064

これらのうち、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチルが好ましい。

0065

本発明の第二の塗膜層を形成する塗料組成物の主成分であるアクリル重合性水性分散体を上記単量体から重合する方法は、上記の第一の塗膜層を形成するアクリル重合性水性分散体と同様の方法を使用することができ、乳化重合の際の乳化剤、重合開始剤、各種添加剤として、上記第一の塗膜層を形成するアクリル重合体において使用可能なものを使用することができる。

0066

本発明の第二の塗膜層を形成する塗料組成物の主成分であるアクリル重合性水性分散体中は、当該分散体の固形分中に当該固形分100質量部(固形分換算)あたり、下限5質量部、上限60質量部の有機シリコーン単位を含有することが必要である。本発明で有機シリコーン単位とは、有機シリコーン原料由来する高分子構成部分をいう。有機シリコーン単位の含有量が5質量部以下の場合は、塗膜の耐久性が不充分であり、60質量部以上の場合は、経時によりワレ、ハガレが生じやすいという問題が生じる。上記含有量の下限はより好ましくは12質量部、更に好ましくは13質量部であり、上記含有量の上限はより好ましくは50質量部、更に好ましくは40質量部である。

0067

上記有機シリコーン単位を導入する方法としては、有機シリコーン化合物及びアクリル重合性単量体の混合物を乳化重合し加水分解、縮合反応及びラジカル重合を行う方法、シリコーン官能基を有するモノマーを共重合する方法、アクリル重合体に対して有機シリコーン化合物を反応させることにより、アクリル重合体粒子表面に有機シリコーン化合物を結合させる方法等が挙げられる。上記の2以上の方法を組み合わせるものであってもよい。

0068

上記方法で使用する有機シリコーン化合物としては、特に限定されず、例えば、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物を挙げることができる。

0069

上記オルガノシランは、一般に、下記一般式(1)
(R1)nSi(OR2)4-n (1)
(式中、R1は、2個存在するときは同一又は異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示す。R2は、同一又は異なり、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜6のアシル基を示す。は0〜2の整数である。)で表される。

0070

上記オルガノシランの加水分解物は、上記一般式(1)で表されるオルガノシランの、OR2基が加水分解されている化合物である。上記オルガノシランに2〜4個含まれるOR2基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。

0071

上記オルガノシランの縮合物は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。上記有機シリコーン化合物は、シラノール基がすべて縮合しているものの他、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等であってもよい。

0072

一般式(1)において、R1の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基プロピオニル基ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基トリオイル基、カプロイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基エポキシ基グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基イソシアナート基等のほか、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。

0073

R1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。

0074

又、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。一般式(1)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよい。

0075

上記オルガノシランとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類メチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシランエチルトリメトキシシランエチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシランジメチルジエトキシシランジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン等を挙げることができる。

0076

これらのうち、好ましく用いられるのは、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類であり、又、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、更に、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。

0077

上記有機シリコーン化合物は、上記オルガノシラン、上記オルガノシランの加水分解物及び上記オルガノシランの縮合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。即ち、上記有機シリコーン化合物は、これら3種のうちの1種だけであっても、任意の2種以上の混合物であってもよい。上記オルガノシラン及び上記オルガノシランの縮合物(以下「ポリオルガノシロキサン」ともいう)を併用して使用することがより好ましい。上記第二の塗膜層を形成する水性塗料組成物は、オルガノシランとポリオルガノシロキサンとを共縮合することにより、硬度耐薬品性、耐候性、成膜性、透明性、耐クラック性等の特性に優れた塗膜を形成する点で好ましい。又、乳化後にビニル化合物が重合する際の重合安定性が著しく向上し、高固形分で重合できるために工業化が容易であるという利点もある。

0078

上記オルガノシラン及び上記ポリオルガノシロキサンを併用して用いる場合には、上記オルガノシランとしてはジアルコキシシラン類を使用することが好ましい。ジアルコキシシラン類を用いると、分子鎖として直鎖状成分が加わり、得られる粒子の可撓性が増す。更に、得られる水系分散体を用いて塗膜を形成した際に、透明性に優れた塗膜が得られるという効果を奏する。上記ジアルコキシシラン類としては、特にジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が好ましい。

0079

上記オルガノシラン及び上記ポリオルガノシロキサンを併用して用いる場合には、ポリオルガノシロキサンは、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせの縮合物であることが好ましい。上記ジアルコキシシランを上記トリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜を柔軟化し、耐アルカリ性を向上させることができる。

0080

上記ポリオルガノシロキサンは、上記オルガノシランを予め加水分解・縮合させて、オルガノシランの縮合物として使用する。この際、ポリオルガノシロキサンを調製する際に、オルガノシランに適量の水、及び必要に応じて、有機溶剤を添加することにより、オルガノシランを加水分解・縮合させることが好ましい。ここで、水の使用量は、オルガノシラン1モルに対して、下限1.2モル、上限3.0モルの範囲内であることが好ましい。上記下限はより好ましくは1.3モルであり、上記上限はより好ましくは2.0モルである。

0081

ポリオルガノシロキサンのポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、下限800、上限100000の範囲内であることが好ましい。上記下限は、1000であることがより好ましく、上記上限は、50000であることがより好ましい。

0082

上記ポリオルガノシロキサンは市販品を使用することができる。上記市販品ととしては、特に限定されず、例えば、三菱化学(株)製のMKCシリケートコルコート社製エチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマー等を挙げることができる。これらはそのまま使用してもよく、又は縮合させて使用してもよい。

0083

上記有機シリコーン化合物として、オルガノシラン及びポリオルガノシロキサンを併用して用いる場合、両者の混合割合は、上記オルガノシラン(完全加水分解縮合物換算)が上限95質量%、下限5質量%の範囲内であることが好ましい。上記上限は90質量%であることがより好ましく、上記下限は10質量%であることがより好ましい。上記ポリオルシロキサン(完全加水分解縮合物換算)は、下限5質量%、上限95質量%の範囲内であることが好ましい。上記下限は、10質量%であることがより好ましく、上記上限は、90質量%であることがより好ましい。なお、上記範囲においては、オルガノシラン+ポリオルガノシラン=100質量%である。

0084

上記ポリオルガノシロキサンが5質量%未満の場合は、得られる塗膜の表面にべとつきが見られたり、塗膜の硬化性が悪化したりする場合があり好ましくない。一方、95質量%を超えると、オルガノシラン成分の割合が少なくなりすぎて、上記有機シリコーン化合物を有する混合物の乳化が難しく、又乳化後に重合性単量体の重合安定性が低下し、更に乳化後のエマルジョンの安定性が低下したり、あるいは得られた有機無機複合体の成膜性が低下し好ましくない。ここで、上記完全加水分解縮合物とは、オルガノシランのR2O−基が100%加水分解してSiOH基となり、更に完全に縮合してシロキサン構造になったものをいう。

0085

上記有機シリコーン化合物は、上記アクリル重合体の重合時に重合性単量体に混合することによって、有機シリコーン単位を含有するアクリル重合体水性分散体を得ることが好ましい。

0086

上記方法で有機シリコーン単位を第二の塗膜層を形成する水性塗料組成物中の重合体粒子に添加する場合、原料として使用した重合性単量体及び有機シリコーン化合物の合計中に含まれる有機シリコーン化合物の割合を有機シリコーン単位の含有量とする。上記重合性単量体中に、シリコーン基を有する単量体を使用する場合は、上記シリコーン基を有する単量体は、有機シリコーン化合物として上記含有量を算出する。

0087

上記第二の塗膜層は、クリアー塗膜層とすることが好ましい。即ち、上記第二の塗膜層によって塗膜の表面を平滑にして光沢を与え、外観良好な耐久性のある複層塗膜とすることが好ましい。

0088

第二の塗膜層を形成する水性塗料組成物は、上記重合体の他に、必要に応じて、重合度調整剤、粒子径調整剤、粘性調整剤、充填剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、凍結防止剤、防藻剤、消泡剤、造膜助剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、顔料、ツヤ消し剤(光沢調製剤)、着色骨材、着色マイカ等を含むことができる。

0089

上記第二の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、上記第一の塗膜層を形成する塗料組成物と同様の、上記造膜助剤として、沸点の下限が150℃、上限が300℃であり、酢酸ブチルを100とした蒸発速度が下限0.1、上限20である有機溶剤を、上記重合体粒子100質量部に対して下限1質量部、上限20質量部含有することが好ましい。上記造膜助剤のより好ましい例は、上記第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物の場合と同一である。

0090

上記第二の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物は、上記第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物に使用することができるヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤をそれぞれ配合することができる。上記ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を配合する場合、使用することのできるヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤、並びに、その使用量は、上記第一の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物と同様である。

0091

上記第二の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各配合物を攪拌機等により攪拌することにより行うことができ、顔料は、分散性のよいものは攪拌機により混合するか又は水、界面活性剤や分散剤等からなるビヒクルにサンドグラインドミル等であらかじめ分散しておいたものを加えることができる。

0092

本発明においては、第一の塗膜層を形成するアクリル重合体と第二の塗膜層を形成するアクリル重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が0.5以下、好ましくは0.3以下であることを特徴とする。

0093

上記溶解度パラメーター(SP値)は、溶解性尺度となるものであり、次のようにして測定される。(参考文献SUH,CLARKE〔J.P.S.A−1,5,1671−1681(1967)〕)
サンプルとして、樹脂0.5gを100mlビーカー量し、アセトン10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解したものを使用する。このサンプルに対して測定温度20℃で、50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。貧溶媒は、高SP貧溶媒としてイオン交換水を用い、低SP貧溶媒としてn−ヘキサンを使用して、それぞれ濁点測定を行う。樹脂のSP値δは下記計算式によって与えられる。

0094

δ=(Vml1/2 δml+Vmh1/2 δmh)/(Vml1/2 +Vmh1/2 )
Vm =V1 V2 /(φ1 V2 +φ2 V1 )
δm =φ1 δ1 +φ2 δ2Vi :溶媒分子容(ml/mol)
φi :濁点における各溶媒の体積分率
δi :溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系

0095

上記溶解度パラメーターの値が近い樹脂同士は、親和性が高く、相互に溶解し合う性質を有するため、本発明の複層塗膜は、密着性が高く塗膜間のハガレ、ワレ、等の問題が生じることがなく、耐久性に優れた塗膜が得られる。本発明の第一の塗膜層を形成する塗料組成物として、多層構造粒子が分散した分散体を使用した場合は、このような粒子の溶解度パラメーターはコア層を形成する樹脂及びシェル層を形成する樹脂それぞれの溶解度パラメーターを測定し、これらの相加平均アクリル樹脂の溶解度パラメーターとする。本発明の第二の塗膜層が有機シリコーン単位を含有するアクリル重合体粒子の場合には、有機シリコーン化合物重合体を除いたアクリル重合体の溶解度パラメーターをアクリル樹脂の溶解度パラメーターとする。

0096

本発明の複層塗膜を形成させる基材としては特に限定されず、例えば、金属基材プラスチック基材無機材料基材等を挙げることができる。上記金属基材としては特に限定されず、例えば、アルミニウム板鉄板亜鉛メッキ鋼板アルミニウム亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板ブリキ板等を挙げることができる。上記プラスチック基材としては、アクリル板ポリ塩化ビニル板、ポリカーボネート板、ABS板、ポリエチレンテレフタレート板ポリオレフィン板等を挙げることができる。上記無機材料基材としては、JIS A 5422、JIS A5430等に記載された窯業系基材ガラス基材等を挙げることができる。これらのうち、本発明においては、無機材料基材、特に、住宅やビル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根、窯業用建材、コンクリートALC、その他の無機質建材が好ましく、窯業用建材がより好ましい。

0097

上記基材は、密着性向上や防錆性付与のために表面処理が施されていてもよい。又、上記基材には、下塗り塗料シーラー)、又は、下塗り塗料と中塗り塗料とが塗装されていてもよく、基材の裏面には、裏面塗料が塗装されていてもよい。これらは、使用目的に応じて適宜選択することができる。

0098

本発明の複層塗膜を形成するためには、上記基材上に上記第一の塗膜層を形成させ、その後に当該第一の塗膜層上に上記第二の塗膜層を形成させる。本発明の複層塗膜を形成するために塗料組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛ローラーロールコーターエアースプレーエアレススプレーカーテンフローコーターローラーカーテンコーターダイコーター等の一般に用いられている塗布方法等を挙げることができる。これらは基材の用途に応じて適宜選択することができる。

0099

本発明の複層塗膜は、通常、上記基材に対して、それぞれ乾燥膜厚で好ましくは下限5μm上限350μmとなるように塗装することができる。好ましくは20〜300μmである。

0100

本発明の第一の塗膜層及び第二の塗膜層は、それぞれの塗料組成物を塗布した後、下限50℃、上限150℃の乾燥温度で、約1〜30分間乾燥することにより、形成することができる。

0101

本発明の複層塗膜は、第二の塗膜層において使用するアクリル重合体に有機シリコーン単位を有するために、耐加水分解性、耐光変色性に優れ、第一の塗膜層を形成する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体と第二の塗膜層の形成に使用する水性塗料組成物の主成分であるアクリル重合体のそれぞれのアクリル樹脂成分の溶解度パラメーターの差が0.5以下であるために、第一の塗膜層と第二の塗膜層との密着性が良好であり、ワレ、ハガレ等の問題の生じない耐久性の優れたものである。

0102

上記複層塗膜を有する外装用建材は、塗膜の耐久性、耐候性に優れたものであるために、長寿命の優れた性質を有するものである。

0103

以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。

0104

(アクリル重合体水性分散体の製造方法)
製造例1 水性分散体Aの製造
反応容器に脱イオン水50質量部及び反応性乳化剤としてアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメタクリル酸メチル20質量部、スチレン5質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部、アクリル酸0.5質量部、脱イオン水20質量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5質量部からなるプレ乳化液と、水溶性重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部、及び、脱イオン水10質量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重合反応液のpHは3.0に保った。その後、メタクリル酸シクロヘキシル20質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル20質量部、メタクリル酸メチル10質量部、アクリル酸1.0質量部、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル3質量部、脱イオン水40質量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社製)1.0質量部からなるプレ乳化液と、過硫酸アンモニウム0.2質量部及び脱イオン水10質量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下し、更に3時間攪拌を継続して、コア部を製造した。反応温度を30℃まで冷却し、10%アンモニア水を5.5質量部添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃度45%の水性分散体Aを得た。水溶性分散体Aのアクリル樹脂の溶解度パラメーター(以後Sp値と記す)は、9.56であった。

0105

製造例2、3水性分散体B〜Cの製造
表1の原料モノマーを使用して、製造例1と同様にして水性分散体B及びCを得た。得られた水溶性分散体のアクリル樹脂のSp値を表1に示す。

0106

製造例4水性分散体Dの製造
反応容器に脱イオン水50質量部及び反応性乳化剤としてアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメタクリル酸シクロヘキシル30質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル25質量部、メタクリル酸メチル35質量部、アクリル酸1.5質量部、メタクリル酸トリメトキシプロピル1質量部、脱イオン水60質量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社製)1.5質量部からなるプレ乳化液と、水溶性重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3質量部、及び、脱イオン水20質量部からなる重合開始剤水溶液を4時間で滴下した。更に3時間攪拌を継続した。乳化重合中、重合反応液のpHは2.8に保った。反応温度を30℃まで冷却し、10%アンモニア水を8.5質量部添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃度45%の水性分散体Dを得た。水溶性分散体Cのアクリル樹脂のSp値は、9.53であった。

0107

0108

(有機シリコーン単位含有重合体分散体の製造)
製造例5水性分散体aの製造
表2に示す原料を混合した均一溶液氷冷したのち、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを混合して製品ホッパーに加えアジテーターで攪拌しながら4kgf/cm2 の駆動エアーをかけて高圧ホモジナイザーマイクロフルイダイザーM−110Y;みずほ工業(株)製〕で乳化した。この乳化物セパラブルフラスコ投入し、攪拌しながら表2に示す所定量の開始剤:過硫酸カリウム水溶液を加えた。窒素置換の後65℃に加熱して4時間重合した。重合結果を合わせて表2に示す。上記水性分散体中のアクリル樹脂のSp値は、9.51であった。

0109

製造例6、7水性分散体b及びcの製造
表2のアクリル単量体、及び、有機シリコーン化合物を使用して、製造例5と同様にして水性分散体b及びcを得た。分散体b及びcのSp値は表2に示した。

0110

0111

実施例1
(第一の塗膜層用水性塗料組成物の製造)顔料分散剤としてBKY190(ビッグケミ社製)3質量部、白色塗料用の顔料として酸化チタン(商品名:チタンCR−95、石原産業社製)90質量部、脱イオン水20質量部からなるチタン白分散ペーストに製造例1によって得られたアクリル重合体水性分散体Aに対して200質量部(固形分換算)を混合し、更に、ヒンダードアミン系光安定剤としてサノールLS292(三共社製)2質量部、造膜助剤としてテキサノールイーストマン社製)6質量部及び脱イオン水200質量部を添加し、水性塗料組成物を得た。

0112

(第二の塗膜層用水性塗料組成物の製造)製造例5によって得られた有機シリコーン単位含有重合体分散体aの250質量部(固形分)に対して、造膜助剤としてテキサノール(イーストマン社製)10質量部、紫外線吸収剤としてチヌビン384(チバスぺシャリティケミカルズ社製)2部、ヒンダードアミン系光安定剤としてサノールLS292(三共社製)2質量部、脱イオン水100質量部を添加し、第二の塗膜層用水性塗料組成物を得た。

0113

塗膜形成方法)上記により得られた第一の塗膜層用水性塗料組成物に、NK2カップで30秒となるように増粘剤としてASE−60(ロームハース社製)を添加し、シーラーを塗装したフラット板(ウベボード製)に乾燥膜厚40μmとなるようにスプレー塗装し、100℃で5分間乾燥させて第一の塗膜層を形成させた。次いで、上記により得られた第二の塗膜層用水性塗料組成物に、NK2カップで25秒となるように増粘剤として添加しASE−60添加し、乾燥膜厚30μとなるようにスプレー塗装し、100℃で5分間乾燥させて塗膜を形成した。

0114

実施例2〜8及び比較例1、2
表3の記載に従って各分散体を使用して、実施例1と同様の方法で第一の塗料組成物、及び、第二の塗料組成物を製造し、複層塗膜を形成した。

0115

評価方法)実施例1〜8、比較例1、2により得られた塗膜それぞれについて、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
1.一次密着性
4mmゴバン目25マスクスカット後、セロテープ登録商標)を付着させ、剥離テストを実施し剥離度合いを目視評価した。
〇 異常なし(25/25)
△ 18/25〜24/25
× 17/25以下

0116

2.耐温水性
塗板を40℃の温水に浸漬し、20日後の塗膜外観を目視評価した。
〇 全く異常なし。
△ 光沢が低下。
×白化フクレが発生。

0117

3.耐沸水性
塗板を90℃の沸騰水に浸漬し、2時間後の塗膜外観を目視評価した。
〇 全く異常なし。
△ 光沢が低下。
×白化、フクレが発生。

0118

4.耐凍結融解性
塗板を、気中凍結(−20℃)2時間、水中融解(10℃)1時間、を1サイクルとして、サイクル試験を実施し、400サイクル後の塗膜外観を評価した。
〇 全く異常なし。
△ 15倍ルーペ観察でクラックあり。
×目視観察でクラックあり。

0119

5.促進耐候性
塗板を、大日本プラスチックダイプラメタルウェザー促進試験(4時間照射、4時間湿潤)を実施し、試験時間1600時間後の塗膜外観を評価した。
光沢保持率80%以上色差3未満
△ 光沢保持率 50%以上80%未満 色差3以上6未満
× 光沢保持率50%未満 色差6以上

0120

0121

比較用のサンプルの塗膜はハガレが生じるため密着性に劣り、耐温水性、耐沸水性、耐凍結融解性、促進耐候性の各試験結果において、不充分な結果しか得られないのに対して、本発明の複層塗膜はこれらの何れの特性においても優れていた。

発明の効果

0122

本発明の複層塗膜は上記の構成を有するので、耐候性、耐久性に優れ、第一の塗膜層と第二の塗膜層の間の剥離割れも生じることがなく、屋外での使用、を通じた使用に充分耐えられるため、特に、住宅やビル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根、窯業用建材、コンクリート、その他の無機質建材等の上塗りに使用する塗膜として優れている。

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