図面 (/)

技術 ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法

出願人 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者 黒田章夫大竹久夫
出願日 2002年3月1日 (17年11ヶ月経過) 出願番号 2002-056634
公開日 2003年9月9日 (16年5ヶ月経過) 公開番号 2003-250567
状態 拒絶査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素・酵素の調製 微生物による化合物の製造
主要キーワード 生命エネルギー 物質変換 人工酵素 エネルギー貯蔵物質 キャピラリー法 B領域 対応塩基 ポリリン酸キナーゼ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年9月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

ATP依存性酵素ポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法を提供する。

解決手段

本発明にかかるATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法は、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との構造の比較に基づき、ATP依存性酵素の構造がポリリン酸依存性酵素の構造に近づくようにアミノ酸配列改変するものである。

概要

背景

酵素は、温和な条件での優れた触媒活性、反応特異性基質特異性を有するため、幅広い分野で利用されている。自然界の酵素のほとんどは、エネルギー供与体としてアデノシンリン酸ATP)が利用可能なATP依存性酵素である。このため、ATPは生命エネルギー通貨と呼ばれている。一般的に、ATP依存性酵素はATPに対する基質特異性が高く、ATPのみをエネルギー供与体として利用している場合が多い。

生体内には、ATPのような有機リン酸化合物の他にも、ポリリン酸のような無機リン酸ポリマーが存在する。ポリリン酸は、正リン酸残基が数個から数百、時には千個に至るまで連結した縮合リン酸である。また、ポリリン酸は、ATPと同様、高エネルギーリン酸結合を有しているため、細胞内では主にエネルギー貯蔵物質となっていると考えられている。

自然界には、僅かではあるが、ATPとポリリン酸との双方を同程度の効率で利用する酵素(ATP/ポリリン酸依存性酵素)が存在する。例えば、グルコキナーゼグルコースリン酸化する酵素)、NADキナーゼAMP−ポリリン酸ホスホトランスフェラーゼポリリン酸キナーゼ、ダイホスホグリセレート・ポリリン酸ホスホトランスフェラーゼ、などが知られている。また、特開平10−201481号公報によれば、微生物からポリリン酸をエネルギー供与体として利用可能な酸性フォスファターゼが単離されている。

概要

ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法を提供する。

本発明にかかるATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法は、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との構造の比較に基づき、ATP依存性酵素の構造がポリリン酸依存性酵素の構造に近づくようにアミノ酸配列改変するものである。

目的

したがって、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換することができれば、従来よりも一層、反応工程を簡略化でき、工業化に有利な酵素を提供することができると考えられる。しかしながら、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法は開発されていないのが現状である。

それゆえ、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法の開発が切望されている。この変換方法が開発されれば、高価なATPに代えて安価かつ簡便に合成できるポリリン酸をエネルギー供与体とする、新規人工酵素およびその製造方法を提供することができる。

本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、自然界に多く存在するATP依存性酵素を、ポリリン酸のような安価に製造できるエネルギー供与体を利用可能なポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法を提供すること、さらには当該変換方法によってポリリン酸依存性酵素を提供することにある。また、本発明の他の目的は、エネルギー供与体としてATPが利用できず、ポリリン酸が利用可能な性質を持つ新規タンパク質(ポリリン酸依存性グルコキナーゼ)およびその遺伝子、並びにそれを用いたグルコース6リン酸の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ATP依存性酵素ポリリン酸依存性酵素との構造の比較に基づき、ATP依存性酵素の構造がポリリン酸依存性酵素の構造に近づくように当該ATP依存性酵素のアミノ酸配列改変することによって、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法

請求項2

ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との1次構造を比較する請求項1に記載の変換方法。

請求項3

ATP依存性酵素におけるホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域の1またはそれ以上のアミノ酸置換欠失、および/または挿入させる請求項1または2に記載の変換方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の変換方法によって得られたポリリン酸依存性酵素。

請求項5

請求項4に記載のポリリン酸依存性酵素をコードする遺伝子。

請求項6

列番号3に示されるアミノ酸配列からなり、グルコキナーゼ活性を有するタンパク質

請求項7

配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、グルコキナーゼ活性を有するタンパク質。

請求項8

請求項6または7に記載のタンパク質をコードする遺伝子。

請求項9

配列番号1に示される塩基配列を有する請求項8に記載の遺伝子。

請求項10

グルコキナーゼ活性のエネルギー供与体が、ポリリン酸である請求項6または7記載のタンパク質。

請求項11

請求項10に記載のグルコキナーゼを用いて、ポリリン酸存在下、グルコースリン酸化することを特徴とするグルコース6リン酸の製造方法。

技術分野

cccaagcttg gcccattggg tcgggtgta 29

背景技術

0001

本発明は、酵素を利用する工業、食品医薬分析治療バイオマス環境浄化農業などの技術分野に属し、ATP依存性酵素を、ポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法に関するものである。本発明はさらにポリリン酸をエネルギー供与体とする新規グルコキナーゼ(ポリリン酸依存性グルコキナーゼ)およびその遺伝子、並びにそれを用いたグルコースリン酸の製造方法に関するものである。

0002

酵素は、温和な条件での優れた触媒活性、反応特異性基質特異性を有するため、幅広い分野で利用されている。自然界の酵素のほとんどは、エネルギー供与体としてアデノシン3リン酸(ATP)が利用可能なATP依存性酵素である。このため、ATPは生命エネルギー通貨と呼ばれている。一般的に、ATP依存性酵素はATPに対する基質特異性が高く、ATPのみをエネルギー供与体として利用している場合が多い。

0003

生体内には、ATPのような有機リン酸化合物の他にも、ポリリン酸のような無機リン酸ポリマーが存在する。ポリリン酸は、正リン酸残基が数個から数百、時には千個に至るまで連結した縮合リン酸である。また、ポリリン酸は、ATPと同様、高エネルギーリン酸結合を有しているため、細胞内では主にエネルギー貯蔵物質となっていると考えられている。

発明が解決しようとする課題

0004

自然界には、僅かではあるが、ATPとポリリン酸との双方を同程度の効率で利用する酵素(ATP/ポリリン酸依存性酵素)が存在する。例えば、グルコキナーゼ(グルコースをリン酸化する酵素)、NADキナーゼAMP−ポリリン酸ホスホトランスフェラーゼポリリン酸キナーゼ、ダイホスホグリセレート・ポリリン酸ホスホトランスフェラーゼ、などが知られている。また、特開平10−201481号公報によれば、微生物からポリリン酸をエネルギー供与体として利用可能な酸性フォスファターゼが単離されている。

0005

ATP依存性酵素が触媒として有用であるとしても、ATPは極めて高価(数万円/g)であり、産業上利用することは困難である。換言すれば、ATP依存性酵素を実用化する場合、高価なATPの供給が律速となる。

0006

これに対して、ポリリン酸はリン酸を加熱するだけで容易に、かつ、安価(ATPの1/100程度)に製造することができる。

0007

したがって、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換することができれば、従来よりも一層、反応工程を簡略化でき、工業化に有利な酵素を提供することができると考えられる。しかしながら、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法は開発されていないのが現状である。

0008

それゆえ、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法の開発が切望されている。この変換方法が開発されれば、高価なATPに代えて安価かつ簡便に合成できるポリリン酸をエネルギー供与体とする、新規人工酵素およびその製造方法を提供することができる。

0009

また、エネルギー供与体としてATPが利用できず、ポリリン酸が利用可能なグルコキナーゼ(ポリリン酸依存性グルコキナーゼ)が単離された例はない。

0010

したがって、ATPには依存せず、ポリリン酸に依存するグルコキナーゼを単離することができれば、その1次構造および高次構造をATP依存性グルコキナーゼ、または、ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと比較することによって、エネルギー供与体(ATP、ポリリン酸など)を認識する領域を明らかにすることができる可能性がある。エネルギー供与体を認識する領域が明らかとなれば、前述のような、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法の開発に応用できる可能性が期待される。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、自然界に多く存在するATP依存性酵素を、ポリリン酸のような安価に製造できるエネルギー供与体を利用可能なポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法を提供すること、さらには当該変換方法によってポリリン酸依存性酵素を提供することにある。また、本発明の他の目的は、エネルギー供与体としてATPが利用できず、ポリリン酸が利用可能な性質を持つ新規タンパク質(ポリリン酸依存性グルコキナーゼ)およびその遺伝子、並びにそれを用いたグルコース6リン酸の製造方法を提供することにある。

0012

本発明者は、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する変換方法について鋭意検討した。その結果、Microlunatus phosphovorus(以下「M. phosphovorus」と称する)から、エネルギー供与体としてATPが利用できず、ポリリン酸が利用可能な、ポリリン酸依存性グルコキナーゼ活性を有する新規タンパク質を単離・精製することに成功した。そして、当該タンパク質のアミノ酸配列、および、当該タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を決定し、そのアミノ酸配列の1次構造を公知のATP依存性およびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと比較した結果、比較したすべてのグルコキナーゼにATPaseモチーフが特によく保存されていること、および、ATP依存性グルコキナーゼのみが、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域において約60アミノ酸残基長くなっていることを見出した。それゆえ、ATP依存性グルコキナーゼでのみ長くなっている領域を欠失させ、ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼあるいはポリリン酸依存性グルコキナーゼの構造に近づければ、ATP依存性グルコキナーゼをポリリン酸依存性グルコキナーゼに変換できると考え、本発明を完成させるに至った。

0013

すなわち、本発明にかかる変換方法は、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との構造の比較に基づき、ATP依存性酵素の構造がポリリン酸依存性酵素の構造に近づくように当該ATP依存性酵素のアミノ酸配列を改変し、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換するものである。換言すれば、本発明にかかる変換方法は、ポリリン酸依存性酵素の製造方法であるということができる。

0014

ここで、上記「ATP依存性酵素」とは、エネルギー供与体としてATPを利用する酵素を意味し、ATPの他にポリリン酸以外のものをエネルギー供与体として利用可能なものであってもよい。一方、上記「ポリリン酸依存性酵素」とは、エネルギー供与体としてポリリン酸を利用する酵素を意味し、ポリリン酸以外のエネルギー供与体を利用可能なものであってもよい。

0015

また、上記ポリリン酸は、リン酸が縮合したものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ピロリン酸トリポリリン酸、トリメタリン酸テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、数十〜数百のリン酸の縮合体、それらの混合物、および、それらの塩(ナトリウム塩およびカリウム塩など)またはそれらの塩の混合物などを用いることができる。

0016

また、上記「構造を比較」とは、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との構造の違いが分かれば特に限定されるものではなく、例えば、後述のように、ATP依存性グルコキナーゼとポリリン酸依存性グルコキナーゼとの1次構造を比較することを意味する。また、1次構造を比較する以外にも、2次構造、3次構造、4次構造などの高次構造を比較するものであってもよい。本発明にかかる変換方法は、この構造の比較に基づいて、ATP依存性酵素の構造をポリリン酸依存性酵素の構造に近づけるものである。

0017

また、上記「アミノ酸配列を改変」とは、1またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入させることを意味する。

0018

例えば、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素との1次構造を比較した結果、以下(1)の方法によって、ATP依存性酵素の構造をポリリン酸依存性酵素の構造に近づけることができ、ポリリン酸依存性酵素に変換することができる。
(1)ATP依存性酵素におけるホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域の1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入させる。(特に好ましくは欠失させる。)
上記(1)において、1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入させる領域は、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域であれば、特に限定されるものではなく、当該領域のすべての領域であってもよいし、その一部の領域であってもよい。具体的には、レジオンIIB領域、および/またはアデノシン認識領域、の1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入させることが好ましい。(特に好ましくは欠失させる。)上記ホスフェイト2領域およびコネクト2領域は、後述するホスフェイト1領域およびコネクト1領域を含めて、ほとんどのATP依存性酵素が有するATPaseモチーフ配列であり、共通する3次構造であるATPドメインを形成している。

0019

また、上記レジオンIIB領域は、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間に存在する領域である。このレジオンIIB領域は、糖リン酸化酵素、アクチンヒートショックタンパク、MreB、FtsA、StbAなどの細胞周期関与するタンパク質に共通して確認される。上記アデノシン認識領域も、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間に存在する領域であり、ほとんどのATP依存性酵素に共通して確認される。

0020

本発明の変換方法において、アミノ酸配列を改変する領域、即ち、1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入させる領域は、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、および/または挿入されることによって、酵素活性を失うことなく、新たにエネルギー供与体としてポリリン酸が利用可能となる範囲であれば、特に限定されるものではない。

0021

また、上記「1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、および/または挿入」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、および/または挿入できる程度の数のアミノ酸が置換、欠失、および/または挿入されることを意義する。このように、ポリリン酸依存性酵素は、換言すれば、ATP依存性酵素の変異型酵素ということができる。ここにいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異タンパク質を単離・精製したものであってもよい。また、本発明には上記変換方法によって得られたポリリン酸依存性酵素およびそれをコードする遺伝子も含まれる。

0022

なお、上記(1)の領域は、M. phosphovorus由来のポリリン酸依存性グルコキナーゼの1次構造と、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼの1次構造とを比較した結果に基づいたものである。

0023

すなわち、後述するように、ATP依存性グルコキナーゼ、ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼ、およびポリリン酸依存性グルコキナーゼの1次構造を比較した場合、すべてのグルコキナーゼにおいて、ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域が特によく保存されており、ATP依存性グルコキナーゼのみが、他の2つのグルコキナーゼよりも約60アミノ酸残基長いものであった。さらに、その長くなっている領域がホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域に存在していた。したがって、例えば、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域の約60アミノ酸残基分を欠失させることにより、ATP依存性グルコキナーゼをATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼあるいはポリリン酸依存性グルコキナーゼの構造に近づけることができ、その結果ポリリン酸依存性酵素に変換することができる。

0024

このように、本発明によれば、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換し、ポリリン酸依存性酵素を提供することができる。その結果、従来用いられている高価なATPではなく、安価なポリリン酸をエネルギー供給源とするポリリン酸依存性酵素を用いて、各種化物質を合成することができる。それゆえ、ATPの使用を低減することができ、化学物質合成のための環境負荷を低減することができる。すなわち、従来よりも一層、反応工程を簡略化でき、工業化に有利な酵素を提供することができる。

0025

また、本発明には、以下の(a)または(b)のタンパク質が含まれる。
(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ポリリン酸依存性グルコキナーゼ活性を有するタンパク質。

0026

ここで、上記「タンパク質」は、細胞、組織などから単離精製された状態であってもよいし、タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に導入して、そのタンパク質を細胞内発現させた状態であってもよい。

0027

上記(a)のタンパク質は、後述のように、本発明者が単離・精製し、その全アミノ酸配列を明らかにした新規タンパク質である。この新規タンパク質は、ポリリン酸をエネルギー供与体とする、ポリリン酸依存性グルコキナーゼ(以下、「PPGK」と称する)である。なお、配列番号3には、M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列を示した。

0028

上記(b)のタンパク質は、換言すれば、上記(a)のタンパク質の変異タンパク質であり、ここにいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異タンパク質を単離・精製したものであってもよい。

0029

本発明にかかる遺伝子は、上記(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子、すなわち、(a)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、グルコキナーゼ活性を有するタンパク質、をコードする遺伝子である。

0030

なお、上記「遺伝子」とは、少なくともゲノムDNA、cDNAmRNAを含む意味である。本発明にかかる遺伝子としては、例えば、配列番号1に示される、M. phosphovorus由来のPPGKをコードするゲノムDNAが挙げられる。

0031

また、上記「遺伝子」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAやRNAを包含する。さらに、上記「遺伝子」は、上記(a)または(b)のタンパク質をコードする配列以外に、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。例えば、上記(a)または(b)のタンパク質をコードする配列をベクター配列につないで本発明の遺伝子を構成し、これを適当な宿主増幅させることにより、本発明の遺伝子を所望に増幅させることができる。また、本発明の遺伝子の一部配列は、後述する実施例のように、プローブに用いることもできる。

0032

さらに、本発明にかかるグルコース6リン酸の製造方法は、上記本発明にかかるグルコキナーゼ(PPGK)を用いて、ポリリン酸存在下、グルコースをリン酸化するものである。

発明を実施するための最良の形態

0033

本発明の製造方法によれば、エネルギー供与体がポリリン酸であるため、従来よりも一層安価にグルコース6リン酸を製造することができる。

0034

本発明の実施の一形態について、図1ないし図7に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。

0035

A.本発明にかかる酵素変換方法
本発明者は、以下(1)〜(4)の一連の研究分析の結果に基づいて、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法を開発した。即ち、(1)M. phosphovorusからポリリン酸依存性グルコキナーゼを単離し、(2)単離したポリリン酸依存性グルコキナーゼの1次構造を、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと比較した結果、(3)比較した全てのグルコキナーゼにおいて特に保存されている領域が存在すること、および、ATP依存性グルコキナーゼのみ、特定の領域のアミノ酸配列が約60アミノ酸残基長いことから、(4)保存されていた領域を残し、かつ、ATP依存性酵素のみで長くなっている特定の領域のアミノ酸残基を欠失させることにより、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換できると結論付けた。

0036

以下、上記(1)〜(4)の各研究分析結果について説明する。なお、実験方法などの詳細は、後の実施例において説明する。

0037

(1)ポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)の単離
本発明にかかるポリリン酸依存性グルコキナーゼ(PPGK)は、天然から、あるいは、人工的に得ることができる。例えば、PPGKは、後述するようにM.phosphovorus(NM-1)から単離することができる。また、PPGKは、遺伝子組換え技術によって作製することもできる。なお、配列番号1にはM. phosphovorus由来のPPGKをコードする遺伝子(ppgk遺伝子)の塩基配列を、配列番号3には、M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列を、示している。また、図1には、M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列、および、PPGKをコードするppgk遺伝子の塩基配列を含む配列を併記している。

0038

本発明にかかるPPGKを取得するための方法としては、例えば、PPGKを含んでいるM. phosphovorusなどの細菌を適切な培地で培養・増殖した後、細胞破壊によって培養細胞破壊し、酵素精製のための一般的な手法を任意に組み合わせて使用し、目的とするPPGKを得ることができる。

0039

M. phosphovorusなどの細菌の培養は、培養する細菌の種類によって異なり、公知の培養方法にしたがって培養することができる。例えば、Nakamura K.,et al, Int.J.Sys.Bacteriol,45,17-22,(1995)には、M. phosphovorusの培養方法が記載されている。

0041

(2)PPGKの1次構造の比較(相同性検索
上記(1)で単離したPPGKのアミノ酸配列を決定し、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと、1次構造の比較(相同性検索)を行った(表1、図2ないし図5参照)。

0042

表1は、各グルコキナーゼのアミノ酸配列の長さを比較したものである。その結果、ATP依存性グルコキナーゼのアミノ酸の長さは、PPGKおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸の長さよりも約60アミノ酸残基分長いものであった。

0043

0044

さらに、図2ないし図5に示すように、各グルコキナーゼのアミノ酸配列の相同性検索を行った。なお、相同性検索には、CLUSTALW分析(DNA Data Bank of Japan(DDBJ)より提供)を使用して行うことができる。

0045

図2(a)ないし図2(d)は、M. phosphovorus由来のPPGK(図中polyP)のアミノ酸配列と、M.tuberculosis由来の公知のATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼ(図中polyP/ATP)およびE.coli由来の公知のATP依存性グルコキナーゼ(図中ATP)のアミノ酸配列とを比較したものである(CLUSTALW分析)。その結果、全てのグルコキナーゼにおいて、ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域は特によく保存されており、それ以外の領域についての相同性は低かった。さらに、ATP依存性グルコキナーゼのみ、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域のアミノ酸が約60アミノ酸残基分長くなっていた。なお、図2中、塗りつぶしたアミノ酸は、各グルコキナーゼに保存されていたアミノ酸である。

0046

さらに、PPGKのアミノ酸配列と種々のATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼおよびATP依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列との比較を行った(図3ないし図5参照)。その結果、図2の結果と同様、すべてのグルコキナーゼにおいてホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域は特によく保存されており、それ以外の領域についての相同性は低かった。さらに、ATP依存性グルコキナーゼのみ、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域のアミノ酸が約60アミノ酸残基分長くなっていた。

0047

なお、配列番号3に示されるM. phosphovorus由来のppgk遺伝子の塩基配列において、ホスフェイト1領域は16番目〜26番目のアミノ酸配列に相当し、コネクト1領域領域は115番目〜124番目のアミノ酸配列に相当し、ホスフェイト2領域は145番目〜155番目のアミノ酸配列に相当し、コネクト2領域は247番目〜254番目のアミノ酸配列に相当する。また、アデノシン認識領域は、214番目〜219番目のアミノ酸配列に相当する。

0048

(3)PPGKの1次構造の比較(相同性検索)の考察
比較した全てのグルコキナーゼにおいて、ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域は特によく保存されている。したがって、これらの領域は酵素活性において必須の領域であると推測される。

0049

ATP依存性グルコキナーゼのみ、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域のアミノ酸が約60アミノ酸残基分長くなっている。換言すれば、PPGKおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼは、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域のアミノ酸が約60アミノ酸残基分短くなっている。したがって、ATP依存性グルコキナーゼは、約60アミノ酸残基分長いために、ポリリン酸を利用することができないと推測される。すなわち、ATP依存性グルコキナーゼのうち、約60アミノ酸残基分長い領域を欠失させれば、ポリリン酸が利用可能なグルコキナーゼに変換することができる。

0050

また、ATP依存性グルコキナーゼがATPに対する基質特異性が高いのに対して、ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼは、ATP以外にも、NTP、dATPなどのヌクレオチド3−リン酸を利用することができ、ATP依存性酵素よりも基質特異性が低い。したがって、ATP依存性酵素のみで長くなっている領域、すなわち、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域が、基質特異性の強弱を決定していると推測される。

0051

以上の結果より、ATP依存性グルコキナーゼをポリリン酸が利用可能なグルコキナーゼ(PPGK、あるいは、ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼ)に変換するためには、
a)上記における酵素活性に必須の領域(ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域)を保存し、
b)上記に示したように、ATP依存性グルコキナーゼのみで長くなっている約60アミノ酸残基を含む領域を欠失させることにより、PPGKあるいはATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと略同程度の長さのアミノ酸配列にすればよいと考えられる。

0052

さらに、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域に存在するアデノシン認識領域のアミノ酸配列を置換、欠失、および/または挿入させることによっても、ポリリン酸が利用可能な酵素に変換できる可能性がある。その理由は、ほとんどのATP依存性酵素はアデノシン認識部位を有しているため、ATPのアデノシンと結合することができると考えられる。したがって、このアデノシン認識領域が機能しなくなるようにアミノ酸配列を修飾して変異させ、ATPを認識することができないようにすれば、その変異によっては代わりにポリリン酸を認識することができると考えられる。

0053

上記アミノ酸配列を変異させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、部位特異的突然変異誘発法(Hashimoto-Gotoh,Gene 152,271-275(1995)他)、PCR法等を利用して塩基配列に点変異を導入し変異タンパク質を作製する方法、あるいはトランスポゾンの挿入による突然変異株作製法などの周知の変異タンパク質作製法を用いて、欠失などにより改変させるべきアミノ酸配列をコードする遺伝子の対応塩基配列の領域に改変を加えることによって作製することができる。

0054

(4)ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法への応用
上記全てのグルコキナーゼにおいて特に保存されていた領域、すなわち、ホスフェイト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト1領域、コネクト2領域は、リン酸認識部位であり、種々のATP依存性酵素に保存されている領域である。したがって、上記(3)と同様にして、これらの領域を有する酵素をポリリン酸依存性酵素に変換することができると推測される。

0055

したがって、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換するためには、
酵素活性に必須の領域(ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域)を保存し、
ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域の1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入(特に好ましくは欠失)させることにより、ATP依存性酵素の構造をポリリン酸依存性酵素の構造に近づければよいと考えられる。

0056

ここで上記の「領域を保存」とは、ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域の各領域をそのまま残しておいてもよいし、酵素活性を失わないようにそれらの領域の1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入させてもよい。

0057

ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域は、ATP依存性酵素におけるATPaseモチーフ配列であり、共通する3次構造であるATPドメインを形成している。ATPドメインは、糖リン酸化酵素、アクチン、ヒートショックタンパク、MreB、FtsA、StbAなどの細胞周期に関与するタンパク質に共通して保存されている。ATP結合部位のアミノ酸配列、およびヒンジ部と呼ばれるサブドメインを連結し、基質結合の際に可動部となる部位のアミノ酸配列も上記糖リン酸化酵素などの1次構造中によく保存されている。

0058

また、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域には、レジオンIIB領域が存在し、糖リン酸化酵素、アクチン、ヒートショックタンパク、MreB、FtsA、StbAなどの細胞周期に関与するタンパク質に共通して確認される。PPGKには、レジオンIIB領域が存在しなかったことから、レジオンIIB領域を置換、欠失させるなど、アデノシン認識領域のアミノ酸配列を改変・修飾することによって、ATPのアデノシンを認識することができなくなり、ポリリン酸が利用可能な酵素に変換できる可能性がある。

0059

さらに、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域にはアデノシン認識領域が存在する。ほとんどのATP依存性酵素は、アデノシン認識領域を有している。したがって、アデノシン認識領域を置換、欠失させるなど、アデノシン認識領域のアミノ酸配列を改変・修飾することによって、ATPのアデノシンを認識することができなくなり、ポリリン酸が利用可能な酵素に変換できる可能性がある。

0060

すなわち、本発明にかかる変換方法において、1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入(特に好ましくは欠失)させる領域は、ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間の領域であれば特に限定されるものではないが、レジオンIIB領域、あるいは、アデノシン認識領域が好ましい。

0061

また、変換する酵素にATP/ポリリン酸依存性酵素が存在する場合には、前記グルコキナーゼの場合と同様に、変換するATP依存性酵素とそのATP/ポリリン酸依存性酵素との構造を比較し、ATP/ポリリン酸依存性酵素の構造に近づくように、ATP依存性酵素の1またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失、および/または挿入(特に好ましくは欠失)させれば、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換することができる。

0062

なお、構造の比較は、前記グルコキナーゼの場合1次構造を比較したが、その他にも、2次構造、3次構造、4次構造などの高次構造を解析し比較するものであってもよい。

0063

2次構造、3次構造、4次構造などの高次構造を比較解析する方法としては、各酵素の構造の差異を確認できれば特に限定されるものではなく、公知の方法によって解析することができる。例えば、ハイドロパシープロットおよびSSThredなどの2次構造解析ソフトなど、公知の分析方法を用いて行うことができる。なお、ハイドロパシープロットは親水性疎水性検索、SS Thredは、α−へリックスおよびβ−シート構造予測を行うものである。

0064

ポリリン酸依存性酵素のアミノ酸配列に基づいて、ポリリン酸依存性酵素を得る方法は、特に限定されるものではない。例えば、アミノ酸配列に基づいてポリリン酸依存性酵素を化学的に合成することもできるし、ポリリン酸依存性酵素をコードするように前記部位特異的変異法によってATP依存性酵素の塩基を置換して得ることもできる。また、ポリリン酸依存性酵素をコードする遺伝子を含むDNA断片を、適当なベクターに組替えて宿主細胞に導入することによってもポリリン酸依存性酵素を高レベルに発現した形質転換体を得ることができる。なお、使用する宿主やベクターなどおよびその反応条件などは特に限定されるものではない。

0065

また、本発明にかかるポリリン酸依存性酵素を取得する方法についても、特に限定されるものではなく、例えば、上述のようにして取得された遺伝子(上記ポリリン酸依存性酵素又はその相同分子等をコードするcDNA等)を、周知の方法により大腸菌酵母等の微生物又は動物細胞などに組み入れ、そのcDNAがコードするポリリン酸依存性酵素を発現させ精製することで、本発明にかかるポリリン酸依存性酵素を容易に取得することができる。なお、このように宿主に外来遺伝子を導入する場合、外来遺伝子の組換え領域に宿主内で機能するプロモーターを組み入れた発現ベクターおよび宿主には様々なものがあるので、目的に応じたものを選択すればよい。産生されたポリリン酸依存性酵素を取り出す方法は、用いた宿主、ポリリン酸依存性酵素の性質によって異なるが、タグの利用等により比較的容易に目的のポリリン酸依存性酵素を精製することが可能である。

0066

以上のようにして、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換することができる。この変換方法を用いれば、従来用いられている高価なATPではなく、安価なポリリン酸をエネルギー供給源とする酵素を用いて、各種化学物質を合成することができる。それゆえ、ATPの使用を低減することができ、化学物質合成のための環境負荷を低減することができる。また、安価でしかも容易に化学合成可能なポリリン酸を生命エネルギーとして利用可能になれば、工業化における反応工程を簡略化することができ、工業的に非常に大きなインパクトを与えることができる。

0067

B.本発明にかかる新規タンパク質(PPGK)およびその遺伝子(ppgk遺伝子)
(1)PPGK、およびその遺伝子(ppgk遺伝子)
本発明にかかるタンパク質(PPGK)は、M. phosphovorus(NM-1)から、各種クロマトグラフィーを用いて、本発明者が単離・精製し、その全アミノ酸配列を明らかにした新規タンパク質である。

0068

そして、本発明にかかる遺伝子は、M. phosphovorus (NM-1)に由来するポリリン酸依存性グルコキナーゼ(PPGK)活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(ppgk遺伝子)である。

0069

M. phosphovorusは、近年、嫌気好気活性汚泥から単離された、新属新種グラム陽性細菌であり、環境の変化に応答して、数時間単位菌体内に乾菌体重量当たり10%以上もポリリン酸を蓄積する顕著なポリリン酸代謝活性を有していることが知られている。

0070

本発明者は、前述のように、M. phosphovorus由来の新規タンパク質、ポリリン酸依存性グルコキナーゼ(PPGK)を単離・精製し、質量分析法エドマン法等を用いて、当該PPGKのアミノ酸配列を決定するとともに、当該PPGKをコードする遺伝子の全長cDNA配列を決定することに成功した。なお、PPGKとは、Polyphoshate dependent glucokinaseの略である。

0071

上記タンパク質PPGKのアミノ酸配列が、配列番号3に示される。また、M.phosphovorus由来のPPGKをコードするppgk遺伝子の塩基配列が、配列番号1に示される。また、図1には、PPGKのアミノ酸配列とppgk遺伝子を含む塩基配列とを併記している。

0072

なお、配列番号1の塩基配列中、1〜798番目の塩基配列が、上記M. phosphovorus由来のタンパク質PPGKをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)領域に相当する。上記ORF領域は、798塩基からなり、この遺伝子より推定されるアミノ酸配列は、266残基であった。

0073

図2ないし図5は、PPGKと様々な種類のATP依存性グルコキナーゼあるいはATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼとの1次構造を比較したものである。その結果、比較したすべてのグルコキナーゼにおいてホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト1領域、コネクト2領域が存在することが判明した。

0074

また、M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列の相同性を調べた結果を示す。同図に示すように、M.tuberculosisのATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと50%のアミノ酸が一致した。

0075

なお、図3および図4において、一致するアミノ酸はアスタリスク、似ているアミノ酸はコロン(よく似ている)ピリオド(似ている)で示した。

0076

(2)PPGKの特徴
PPGKは以下の〜の特徴を有している。
エネルギー供与体:ポリリン酸に依存し、ATPには依存しない。
ポリリン酸(平均鎖長750)に対するKm値:0.328mM
基質特異性(Km値):グルコース(0.055mM)、マンノース(2.9mM)、マルトース(7.83mM)、グルコサミン(1.34mM)。ガラクトースフルクトースアラビノースに対しては作用しない。
推定分子量:32kDaおよび64kDa(ホモダイマーの形で存在していると推定される。図6参照)
至適pH:5.5
至適温度:30℃
阻害剤の影響:
a)KCl:0.1Mまでは活性が保たれるが、それ以上の濃度では活性が減衰し、0.3Mでは活性が失われる。
b)硫酸アンモニウム(Ammoniumu sulfate「AS」):0.05Mで活性が50%を下回り、それ以上の濃度では活性がさらに減衰し、0.15Mでは活性が失われる。
金属イオンの影響:1〜10mMのマグネシウムイオンにより活性化される。マグネシウムイオンを添加しない場合は、酵素反応が起きない。また、マグネシウムイオンを、マンガンイオンコバルトイオン亜鉛イオンに置換することができるが、1mMでの活性はマグネシウムイオンと比較すると最大60%に留まった(マンガンコバルト亜鉛)。カルシウムイオン銅イオン(II)、鉄イオン(II)には置換することができない。

0077

(3)本発明にかかるタンパク質、遺伝子の取得方法
以上、本発明にかかるタンパク質であるPPGKおよびその遺伝子の配列、構造、機能、などの諸特徴について説明したが、以下では、本発明にかかるタンパク質および遺伝子の取得方法について説明する。

0078

上記タンパク質PPGKをコードする遺伝子(ppgk遺伝子)を取得する方法は、特に限定されるものではなく、開示された配列情報等に基づいて種々の方法により、上記遺伝子配列を含むDNA断片を単離し、クローニングすることができる。例えば、上記PPGKをコードするcDNAの一部配列と特異的にハイブリダイズするプローブを調製し、ゲノムDNAライブラリーやcDNAライブラリースクリーニングすればよい。このようなプローブとしては、上記PPGKをコードするcDNAの塩基配列又はその相補配列の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするプローブであれば、いずれの配列・長さのものを用いてもよい。また、上記スクリーニングにおける各ステップについては、通常用いられる条件の下で行えばよい。

0079

上記スクリーニングによって得られたクローンは、制限酵素地図の作成およびその塩基配列決定シークエンシング)によって、さらに詳しく解析することができる。これらの解析によって、本発明にかかる遺伝子配列を含むDNA断片を取得したか容易に確認することができる。

0080

また、上記プローブの配列を、上記PPGKの機能上重要と考えられる領域(例えば、ホスフェイト1領域、コネクト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト2領域)の中から選択し、M. phosphovorusやその他の生物のゲノムDNA(又はcDNA)ライブラリーをスクリーニングすれば、上記PPGKと同様の機能を有する相同分子や類縁分子をコードする遺伝子を単離しクローニングできる可能性が高い。

0081

本発明にかかる遺伝子(ポリヌクレオチド)を取得する方法は、上記スクリーニング法以外にも、PCR等の増幅手段を用いる方法がある。例えば、M. phosphovorusゲノムDNAのうち、公知の配列を元にプライマーを調製し、これらプライマーを用いてM. phosphovorusのゲノムDNA(又はcDNA)等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、本発明のポリヌクレオチドを含むDNA断片を大量に取得できる。また、M. phosphovorusのゲノムDNAを制限酵素により消化し、その断片のうちPPGKを含む断片のみを取り出し、前述のプライマーなどを用いてPPGKを含む領域を増幅することもできる。

0082

なお、本発明にかかるタンパク質を取得する方法および作製する方法は、前述した部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して行うことができる。
(4)PPGKを用いるグルコース6リン酸の製造方法
次に、本発明にかかるグルコース6リン酸の製造方法について説明する。本発明にかかるグルコース6リン酸の製造方法は、上記本発明にかかるグルコキナーゼ(PPGK)を用いて、ポリリン酸存在下、グルコースをリン酸化するものである。

0083

PPGKを用いてポリリン酸存在下グルコースをリン酸化する反応条件は、特に限定されるものではなく、例えば、後述する実施例のように、TMB緩衝液塩化カリウム塩化マグネシウム混合溶液中、30℃でPPGKを用いてポリリン酸存在下グルコースをリン酸化することにより、グルコース6リン酸を製造することができる。

0084

また、得られたグルコース6リン酸は、前述のカラムクロマトグラフィー(ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど)、HPLC、薄層クロマトグラフィーなど公知の方法によって単離・精製することができる。

0085

本発明の製造方法によれば、エネルギー供与体がポリリン酸であるため、従来よりも一層安価にグルコース6リン酸を製造することができる。グルコース6リン酸は解糖系およびペントースリン酸回路出発物質として有用であるため、安価にグルコース6リン酸を製造することができれば、様々な物質変換に使用される可能性が期待される。

0086

以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。

0087

〔M. phosphovorus由来の新規タンパク質(PPGK)の単離・精製〕文献の方法に従って、M. phosphovorus(NM-1)を2日培養した(Nakamura K.,et al, Int.J.Sys.Bacteriol,45,17-22,(1995).)。培養終了後、M. phosphovorusの溶解物(fraction I,750mL)を遠心分離(10000xg、15分)し、PPGKを含んでいる上澄みを取り出した(fraction II,700mL)。次に、このfraction IIに硫酸アンモニウム(AS)79.5gを加え、沈殿させた。1時間攪拌後、遠心分離して(23400xg、15分)上澄みを得た後、さらに183gのASを加えた。続いて、遠心分離によりPPGKを沈殿させた後、BufferAで全量が100mLになるように再懸濁させた(fraction III)。このfractionIIIをBufferAで均一にしたDEAE-cellulose陰イオン交換カラム(DE52,Watman)で抽出した(fraction IV, 132mL)。得られたfractionIVに最終濃度が1.5Mとなるように、塩化ナトリウムを加え、その溶液を、BufferBで均一にしたフェニルセファロースカラム(Amersham-Pharmacia-Biotech)で抽出した。1時間攪拌後AS90gを加え、遠心分離してPPGKを沈殿させた。1.5MKClを含むBufferCで全量を18mLとした後(fraction V)、疎水性カラム(PE,Poros)で抽出した。続いて、BufferD2Lで6時間透析し(fraction VI 17.5mL)、fraction VIを陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(HQ,Poros)で分離した。続いて、PPGKを含んでいるfractionをBufferD2Lで6時間透析した(fraction VII8mL)。Fraction VII1mLを陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(miniQ PC3.2/3,Pharmacia)で抽出し、fraction VIII 0.2mLを得た後、BufferEを用いてゲル濾過(Superdex200HR10/30,Pharmacia)することによりPPGKを精製した(fractionIX0.5mL)。

0088

以上のようにして、各種クロマトグラフィーを用いてPPGKを精製した。なお、図6に示すようにPPGKは、SDS−PAGE(銀染色)にて均一であることを確認した。表1に示すように、PPGKは、高い塩濃度では活性を失いやすく、菌体破砕液上清からの回収率は1.07%と低いものであった。なお、Buffer A:50mMHEPES-KOH(pH7.0),10%(w/v)sucrose,0.1mMEDTA,and 0.2mM ammonium sulfate. Buffer B:0.1mM potassium Pi buffer(pH7.0),1.5M NaCl.BufferC:0.1mM potassium Pi buffer(pH7.0). Buffer D:50mM HEPES-KOH(pH7.0),10%(v/v)glycerole,1mM dithiothreitol,and0.1mM EDTA. Buffer E:50mM HEPES-KOH(pH7.0), 1mM dithiothreitol, 0.1mM EDTA and 0.2M KCl.である。また、表2には、各fractionの活性・回収率などをまとめている。

0089

0090

〔PPGKを用いたグルコース6リン酸の製造例〕20μLの反応液中にTMB緩衝液(0.1Mトリス、0.1Mマレイン酸、0.1Mホウ酸)(pH5.5)、50mM塩化カリウム、および4mM塩化マグネシウム存在下、1mMグルコース、 [32P]ポリリン酸あるいは[γ32P]−ATP、1μL(30ユニット)のPPGKを添加し、30℃で反応を行った。30℃で1時間インキュベーション後、反応混合物を薄層クロマトグラフィー(PEI−cellulose plate)に滴下した。その後、プレートを0.4M塩化リチウム/1Mギ酸緩衝液展開しグルコース6リン酸を分離した。[32P]グルコース6リン酸、ATP、ポリリン酸は、BAS1000システム(富士フィルム製)にて可視化した。なお、グルコース6リン酸1pmolを生成する活性を、PPGK1ユニットとして定義した。

0091

単離したPPGKを、ATPまたはポリリン酸存在下でのリン酸化反応に用いた結果を図7に示す。図7に示すように、ポリリン酸存在下でPPGKをグルコースのリン酸化反応に用いたところ、グルコース6リン酸が生成した。これに対して、PPGKを、1〜10mM(細胞内の濃度)の[γ32P]−ATPの存在下で反応させたところ、グルコース6リン酸は生成しなかった。

0092

〔単離したPPGKの推定分子量〕精製したフラクションIXの分子量の推定を、SDS−PAGE(アクリルアミド濃度は10%、銀染色にて可視化)、および、ゲルろ過(Superdex 200)で行った。SDS−PAGEの結果を図6に示す。図6中、左側はサイズマーカー(第一化学・2)であり、右側はフラクションIXである。その結果、32kDaの位置にPPGKのシングルバンドが現れた。なお、図示しないがゲルろ過の結果、65.9kDaであった。これにより、PPGKは、ホモダイマーの形で存在していると推測される。

0093

なお、SDS−PAGEによって得られた結果(34.5kDa)は、配列番号1に示すM. phosphovorus由来のppgk遺伝子から算出した推定分子量(28.1kDa)と開きがあった。これは、PPGKがプラスに荷電したリシン、および、アルギニンを多くもつため、SDS−PAGEにおいて、分子量の大きいほうにシフトしたためであると考えられる。これを確認するために、PPGKと相同性が高く、ORFの長さも近い(798bp)M.tuberculosisのATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのSDS−PAGEを行った。その結果、このATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列から推定した分子量は27.4kDaであるが、SDS−PAGEでは31kDaの位置にバンドがシフトし、PPGKと同様の傾向が見られた。

0094

〔Microlunatus phosphovorus由来のppgk遺伝子のクローニング〕精製されたPPGKをSDS−PAGEにて泳動後、エレクトロブロッティング法によりPVDF膜(FluorotransW:Pall)に転写した。その後、CBB染色を行い(Coomasie Brilliant Blue R-250)、PPGKバンド切り出した。

0095

このサンプルに対して、エドマン法によるN末端アミノ酸配列の決定(492 Protein sequencer:Applied Biosisystems)およびTOF−MSによる内部アミノ酸配列の決定を行った。この結果、17残基のN末端アミノ酸配列(TDTPPVAAPGRSVLGID)および9〜18残基の7種類の内部アミノ酸配列(DTPPVAAPGR/VVAEIVDHFK/LGIDIGGSGIK/PVDLATGLFAAER/ALFWPDLLVVG/MNDADAAGLA/QLLNTAGLVGAAWLAADR)を得た。内部配列のうち、2種類はN末端アミノ酸と重なっていた。また、得られた内部アミノ酸配列のうち、5種類はM.tuberculosisのATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼの1次構造と相同性を示した。これにより、PPGKの1次構造全体に対する内部アミノ酸配列の配置が予測できた。

0096

内部アミノ酸配列を元に縮重プライマーを設計し(内部アミノ酸配列FAARより、sense primer 5'-TNTTYGCIGCNGARMG-3' (配列番号4に示すプライマー)、MNDADAよりantisense primer 5'-GCRTCNGCRTCRTTCAT-3') (配列番号5に示すプライマー)、PCRによりMicrolunatus phosphovorusのゲノムDNAからppgk遺伝子断片の増幅を行った。(反応液20μL中にTAKARA Ex Taq 1unit、1x付属バッファー、dNTPそれぞれ0.25mM、sense primerおよびantisense primerをそれぞれ20pmol、鋳型DNA100ngを添加。ホットスタートを実施。96℃3分変性後、96℃1分、48℃2分、72℃2分というサイクルを30回繰り返した。)得られた特異的増幅300bpの断片をpGEM−Teasy(PROMEGA)にてクローニングし、塩基配列を決定した(Thermo-cycle sequencing kitおよびALFred DNA sequencer:Amersham Pharmacia Biotech)。

0097

この断片をジコキゲニン標識してプローブとし(DIG DNA labeling kit:Roche)、Microlunatus phosphovorusのゲノムDNAをいくつかの制限酵素(SphI、PstIなど)を用いて完全消化後、アガロースゲル1%で電気泳動した。その後、DNAをキャピラリー法にてナイロンメンブレン(Biodyne A:PALL)に転写した。

0098

サザンハイブリダイゼーションを行ったところ(5xSSPE,SDS0.02%(w/v),1%スキムミルク,2.5μg/mLプローブという組成のバッファーにて、68℃12時間インキュベートした。)、SphI消化物において、およそ2kbpの位置にシグナルを検出した。この位置のゲノムDNA消化物をゲルより抽出した(Geneclean kit:BIO101)。T4リガーゼを用いて16℃12時間反応させ、自己閉環させた(DNA 1μg,T4リガーゼ400unitを反応液1mL中に添加)。上記pGEM−Teasy(PROMEGA)にてクローニングし、塩基配列を決定した300bpの塩基配列を元に外向きのプライマーを設計し、(senseprimer5'-CGGTCGATCTGGCCACCGGA-3'(配列番号6に示すプライマー)、antisense primer 5'-GAGCTCCCTTGATGCCGCTG-3' (配列番号7に示すプライマー))、自己閉環させたSphI断片を鋳型とするインバースPCR反応を行った(反応液20μL中にTOYOBO KODdash 1unit、1x付属バッファー、dNTPそれぞれ0.25mM、sense primerおよびantisense primerをそれぞれ10pmol、鋳型DNA100ng、ホルムアルデヒド5%(v/v%)となるようにそれぞれを添加。ホットスタートを実施。98℃3分変性後、98℃30秒、66℃15秒、74℃45秒というサイクルを25回繰り返した。)ところ、1.8kbpの特異的増幅断片が得られた。

0099

この断片を前述のプライマーを用いて塩基配列を決定した(DYEnamic ET Terninator Cycle sequencing kit:Amersham Pharmacia Biotech)。この断片は、ppgk遺伝子のORFすべてを含んでいた。末端制限酵素サイトのついたプライマーを設計し(sense primer 5'-CGGAATTCATGACCGACACCCCACCC-3'(EcoRI)(配列番号8に示すプライマー)、antisense primer 5'-CCCAAGCTTGGCCCATTGGGTCGGGTGTA-3'(HindIII)(配列番号9に示すプライマー))、ORFのみを上記インバースPCRと同条件で増幅し、pET21a(Novagen)につないでppgk遺伝子をクローニングした。

0100

〔ppgk遺伝子の塩基配列の決定〕図1にppgk遺伝子を含む前記SphI断片の塩基配列とPPGKとを併記した。その結果、全長は798bp、GC含量は65.66%となり、M. phosphovorusのゲノムDNAのGC含量(67.9%)と近い数字であった。なお、M.tuberculosisのATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼ遺伝子との相同性は64.5%であった(FASTA:DDBJより提供)。なお、図1中、Shine-Delgarno配列と推定される部分配列を囲んでいる。

0101

〔ppgk遺伝子からアミノ酸への変換(PPGKタンパクのアミノ酸配列の決定)〕798bpの塩基配列を有するppgk遺伝子を265アミノ酸配列変換した(図1参照)。推定分子量は28.1kDaであった。これは、公知のATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼモノマーの分子量(〜30kDa)と一致した。

0102

〔PPGKタンパクの相同性検索〕図3に示すように、PPGKタンパクを、BLAST(DDBJより提供)によって相同性検索を行ったところ、M.tuberculosis、Corynebacterium ammoniagenesis、および、Streptmyces coelicolorの各ATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと、それぞれ、50%、50%、51%のアミノ酸が一致した(65%、65%、66%の相同性を示した)。

0103

さらに、図4および図5に示すように、種々のATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼおよびATP依存性グルコキナーゼとの相同性を調べた。その結果、原核生物、特にアクチノミセテス種に属する細菌が保有するATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼと高い相同性を示した。しかし、大腸菌などのグラム陰性菌、およびその他マウスやヒトなどの高等生物が保有するグルコキナーゼとは、ホスフェイト1領域、ホスフェイト2領域、コネクト1領域、コネクト2領域以外の相同性は低かった。

発明の効果

0104

多重配列を構築できたATP依存性グルコキナーゼは、すべて、PPGKおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼよりも鎖長が60アミノ酸残基程度長かった。しかし、多重配列を行った場合、ギャップはほとんど一定の座位(ホスフェイト2領域とコネクト2領域との間)に生じた。ギャップ以外の範囲での相同性は高いものであった。

0105

本発明は、以上のように、ATP依存性酵素とポリリン酸依存性酵素の構造を比較し、ATP依存性酵素の構造をポリリン酸依存性酵素の構造に近づけることによって、ATP依存性酵素をポリリン酸依存性酵素に変換する方法を提供することができる。したがって、従来用いられている高価なATPではなく、安価なポリリン酸をエネルギー供給源とするポリリン酸依存性酵素を用いて、各種化学物質を合成することができる。それゆえ、ATPの使用を低減することができ、化学物質合成のための環境負荷を低減することができる。すなわち、従来よりも一層、反応工程を簡略化でき、工業化に有利な酵素を提供することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0106

SEQUENCE LISTING

<110> Japan Science and Technology Corporation
<120> Changing method ofATPdependent enzymes into
polyphosphate dependent enzymes.
<130> K053P15
<160> 9
<170> PatentIn Ver. 2.1
<210> 1
<211> 798
<212> DNA
<213> Microlunatus phosphovorus
<400> 1
atgaccgaca ccccacccgt agcagcaccc ggccgttccg tgctcggtat cgacatcggc 60
ggcagcggca tcaagggagc tccggtcgat ctggccaccg gattgttcgc cgccgaacgg 120
ctccgcatcg acacaccagc caagtcgact ccggccaatg tggccaaggt cgtcgcagag 180
atcgtcgacc acttcaaggc cgaagtgggc gacggaccga tcggcatcac catcccggcg 240
gtggtcaccc acgggcagac ccgctcggcc gccaacatcg accattcctg gatcgacgcg 300
gaggcggagc agatcttcga ggatgtcctg cagcgcgaca tctatctgat gaacgatgcc 360
gacgccgctg gtatcgccga ggtgcactac ggcgctgcga agggacatcc cggcctggtg 420
atcgtcacca ccttgggcac cggcatcggc agcgccatga tccatcgcgg ggtgctgatc 480
ccgaactccg agctcggtca cctcgagatc gatggcttgg acgccgagac caacgcggcc 540
tccagcgcca aggagcggaa tgactggtcc tactccgagt gggcgcccaa gctgcagcgc 600
tactacgagc ggctcgaggc gctgttctgg ccggacctga tcgtggtcgg cggcggcgtc 660
agcaagaagg cgcacaaatt cttgcccaag ctgaagctca agagccagat catccccgcc 720
caactgctga acacggccgg gatcgtcggt gccgcctggc tggccgccga tcggctggta 780
caccccgacc caatgggc 798
<210> 2
<211> 798
<212> DNA
<213> Microlunatus phosphovorus
<220>
<221> CDS
<222> (1)..(798)
<400> 2
atg acc gac acc cca ccc gta gca gca ccc ggc cgt tcc gtg ctc ggt 48
Met Thr Asp Thr Pro Pro Val Ala Ala Pro Gly Arg Ser Val Leu Gly
1 5 10 15
atc gac atc ggc ggc agc ggc atc aag gga gct ccg gtc gat ctg gcc 96
Ile Asp Ile Gly Gly Ser Gly Ile Lys Gly Ala Pro Val Asp Leu Ala
20 25 30
acc gga ttg ttc gcc gcc gaa cgg ctc cgc atc gac aca cca gcc aag 144
Thr Gly Leu Phe Ala Ala Glu Arg Leu Arg Ile Asp Thr Pro Ala Lys
35 40 45
tcg act ccg gcc aat gtg gcc aag gtc gtc gca gag atc gtc gac cac 192
Ser Thr Pro Ala Asn Val Ala Lys Val Val Ala Glu Ile Val Asp His
50 55 60

ttc aag gcc gaa gtg ggc gac gga ccg atc ggc atc acc atc ccg gcg 240
Phe Lys Ala Glu Val Gly Asp Gly Pro Ile Gly Ile Thr Ile Pro Ala
65 70 75 80
gtg gtc acc cac ggg cag acc cgc tcg gcc gcc aac atc gac cat tcc 288
Val Val Thr His Gly Gln Thr Arg Ser Ala Ala Asn Ile Asp His Ser
85 90 95
tgg atc gac gcg gag gcg gag cag atc ttc gag gat gtc ctg cag cgc 336
Trp Ile Asp Ala Glu Ala Glu Gln Ile Phe Glu Asp Val Leu Gln Arg
100 105 110
gac atc tat ctg atg aac gat gcc gac gcc gct ggt atc gcc gag gtg 384
Asp Ile Tyr Leu Met Asn Asp Ala Asp Ala Ala Gly Ile Ala Glu Val
115 120 125
cac tac ggc gct gcg aag gga cat ccc ggc ctg gtg atc gtc acc acc 432
His Tyr Gly Ala Ala Lys Gly His Pro Gly Leu Val Ile Val Thr Thr
130 135 140
ttg ggc acc ggc atc ggc agc gcc atg atc cat cgc ggg gtg ctg atc 480
Leu Gly Thr Gly Ile Gly Ser Ala Met Ile His Arg Gly Val Leu Ile
145 150 155 160
ccg aac tcc gag ctc ggt cac ctc gag atc gat ggc ttg gac gcc gag 528
Pro Asn Ser Glu Leu Gly His Leu Glu Ile Asp Gly Leu Asp Ala Glu
165 170 175

acc aac gcg gcc tcc agc gcc aag gag cgg aat gac tgg tcc tac tcc 576
Thr Asn Ala Ala Ser Ser Ala Lys Glu Arg Asn Asp Trp Ser Tyr Ser
180 185 190
gag tgg gcg ccc aag ctg cag cgc tac tac gag cgg ctc gag gcg ctg 624
Glu Trp Ala Pro Lys Leu Gln Arg Tyr Tyr Glu Arg Leu Glu Ala Leu
195 200 205
ttc tgg ccg gac ctg atc gtg gtc ggc ggc ggc gtc agc aag aag gcg 672
Phe Trp Pro Asp Leu Ile Val Val Gly Gly Gly Val Ser Lys Lys Ala
210 215 220
cac aaa ttc ttg ccc aag ctg aag ctc aag agc cag atc atc ccc gcc 720
His Lys Phe Leu Pro Lys Leu Lys Leu Lys Ser Gln Ile Ile Pro Ala
225 230 235 240
caa ctg ctg aac acg gcc ggg atc gtc ggt gcc gcc tgg ctg gcc gcc 768
Gln Leu Leu Asn Thr Ala Gly Ile Val Gly Ala Ala Trp Leu Ala Ala
245 250 255
gat cgg ctg gta cac ccc gac cca atg ggc 798
Asp Arg Leu Val His Pro Asp Pro Met Gly
260 265
<210> 3
<211> 266
<212> PRT
<213> Microlunatus phosphovorus

<400> 3
Met Thr Asp Thr Pro Pro Val Ala Ala Pro Gly Arg Ser Val Leu Gly
1 5 10 15
Ile Asp Ile Gly Gly Ser Gly Ile Lys Gly Ala Pro Val Asp Leu Ala
20 25 30
Thr Gly Leu Phe Ala Ala Glu Arg Leu Arg Ile Asp Thr Pro Ala Lys
35 40 45
Ser Thr Pro Ala Asn Val Ala Lys Val Val Ala Glu Ile Val Asp His
50 55 60
Phe Lys Ala Glu Val Gly Asp Gly Pro Ile Gly Ile Thr Ile Pro Ala
65 70 75 80
Val Val Thr His Gly Gln Thr Arg Ser Ala Ala Asn Ile Asp His Ser
85 90 95
Trp Ile Asp Ala Glu Ala Glu Gln Ile Phe Glu Asp Val Leu Gln Arg
100 105 110
Asp Ile Tyr Leu Met Asn Asp Ala Asp Ala Ala Gly Ile Ala Glu Val
115 120 125
His Tyr Gly Ala Ala Lys Gly His Pro Gly Leu Val Ile Val Thr Thr
130 135 140

Leu Gly Thr Gly Ile Gly Ser Ala Met Ile His Arg Gly Val Leu Ile
145 150 155 160
Pro Asn Ser Glu Leu Gly His Leu Glu Ile Asp Gly Leu Asp Ala Glu
165 170 175
Thr Asn Ala Ala Ser Ser Ala Lys Glu Arg Asn Asp Trp Ser Tyr Ser
180 185 190
Glu Trp Ala Pro Lys Leu Gln Arg Tyr Tyr Glu Arg Leu Glu Ala Leu
195 200 205
Phe Trp Pro Asp Leu Ile Val Val Gly Gly Gly Val Ser Lys Lys Ala
210 215 220
His Lys Phe Leu Pro Lys Leu Lys Leu Lys Ser Gln Ile Ile Pro Ala
225 230 235 240
Gln Leu Leu Asn Thr Ala Gly Ile Val Gly Ala Ala Trp Leu Ala Ala
245 250 255
Asp Arg Leu Val His Pro Asp Pro Met Gly
260 265
<210> 4
<211> 16
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence
<400> 4
tnttygcngc ngarmg 16
<210> 5
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence
<400> 5
gcrtcngcrt crttcat 17
<210> 6
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence
<400> 6
cggtcgatct ggccaccgga 20
<210> 7
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence
<400> 7
gagctccctt gatgccgctg 20
<210> 8
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence

<400> 8
cggaattcat gaccgacacc ccaccc 26
<210> 9
<211> 29
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence:Artificially
Synthesized Primer Sequence
<400> 9

0107

図1本発明にかかるM. phosphovorus由来のppgk遺伝子を含む塩基配列および本発明にかかるPPGKのアミノ酸配列を示した図である。
図2M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列と、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列とを比較した図である。
図3M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列と、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列とを比較した別の図である。
図4M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列と、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列とを比較したさらに別の図である。
図5M. phosphovorus由来のPPGKのアミノ酸配列と、公知のATP依存性グルコキナーゼおよびATP/ポリリン酸依存性グルコキナーゼのアミノ酸配列とを比較したさらに別の図である。
図6本発明において単離・精製したPPGKの分子量を測定するためのSDS−PAGEを表わす図である。
図7本発明にかかるPPGKと、ポリリン酸あるいはATPとを反応させたTLCを表わす図である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ