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技術 液晶性化合物の精製度判定方法及びその判定結果に基づく液晶性化合物の処理方法、並びに液晶性化合物の選択方法

出願人 DIC株式会社
発明者 兼松孝之
出願日 2002年2月4日 (18年8ヶ月経過) 出願番号 2002-026672
公開日 2003年8月15日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-226875
状態 未査定
技術分野 液晶物質 複合演算
主要キーワード 相関直線 分子軌道関数 分子軌道法計算 時間的要因 相関グラフ 恒温状態 法計算 判定指標
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年8月15日)のものです。
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図面 (5)

課題

各種液晶性化合物についての精製度合い及び耐熱性を予め予測することのできる指標を提供するとともに、この予測された結果から液晶組成物に供することのできる液晶性化合物を見極める。

解決手段

(1)精製された液晶性化合物の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子反応性電子密度最大値Anと、該液晶性化合物を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Bnを求め、(2)上記(1)の手順を複数種類(図2では白丸の6種類)の精製された液晶性化合物に対して行うことにより(Anr、Bnr)を得て相関を求め、(3)精製度未知である液晶性化合物(LN)の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Xと、該液晶性化合物(LN)を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Yを求める手順と、(4)上記(2)の手順により求められた(Anr、Bnr)(白丸6点)の相関と、上記(3)の手順により求められた(X、Y)(黒丸4点)との関係を比較して、相関からはずれた黒丸2点に相当する液晶性化合物の精製度が不十分であると判定できる。

概要

背景

液晶ディスプレイには、駆動電圧の低減、応答速度の向上など様々な要求特性満足するように複数の液晶性化合物を混合した液晶組成物が使用されている。近年、TV表示用等の液晶パネルの如く、大容量の情報を表示させる液晶ディスプレイにあっては、TFTあるいはMIMといった能動素子にて制御された駆動電圧を液晶印加して保持させるアクティブマトリクス駆動方式ディスプレイの要求が大きい。特に、このような方式のディスプレイにおいては印加された駆動電圧を次の書きかえタイミングまで保持するような、高い電圧保持率を有する特性が液晶性化合物に要求される。

ところが、液晶材料中にイオン性不純物が存在すると、リーク等の発生により印加された駆動電圧が降下し、このためディスプレイのコントラスト低下等の表示品位が損なわれるといった問題が生じる。アクティブマトリクス駆動方式のディスプレイでは、従来の駆動方式のディスプレイにも増して、液晶材料の精製純度が極めて重要であり、とりわけ電極間のリーク等を誘発するイオン性の不純物は完全に除去することが望ましい。

従来、液晶性化合物から不純物を除く精製方法としては、例えば、再結晶蒸留液体クロマトグラフィー等の一般有化合物の精製で通常行われている方法や、液晶性化合物をシリカゲルと接触させる方法、活性アルミナと接触させる方法、イオン交換樹脂で処理する方法や、ゼオライトと接触させる方法等が挙げられる。

しかし液晶性化合物の種類によってその精製する手法が一様でなく、個々にどの手法を適用し、どの程度精製を行うと液晶組成物としての目標の表示品位を達成できるかどうかの判定が非常に困難である。また、液晶性化合物は、その後の注入封止過程において、熱及びエネルギー線照射を受けて再び不純物が発生し、あるいは極性の高い不純物が生成して液晶組成物全体の導電率が上昇し、その結果イオンの濃度及び移動度が高くなり、ある種の液晶性化合物においてはディスプレイの表示品位を落としてしまうという問題もあった。

したがって、個々の液晶性化合物の耐熱性、つまり熱やエネルギー線照射を施した後に不純物ができるかどうかの指標事前に把握することが重要となる。

このような問題を解決すべく、液晶性化合物の電子密度に注目して、耐熱性の予測を試みた例がある(例えば、『染料薬品』、第41巻、第10号、1996)。しかしながら、上記報告ではフェニルシクロヘキサン系液晶性化合物に限定した議論であることと、末端置換基に着目して分子軌道計算を用いた反応性パラメータによる見積であるため、他の液晶性化合物に対しては耐熱性予測を行うことが困難であった。

概要

各種液晶性化合物についての精製度合い及び耐熱性を予め予測することのできる指標を提供するとともに、この予測された結果から液晶組成物に供することのできる液晶性化合物を見極める。

(1)精製された液晶性化合物の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Anと、該液晶性化合物を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Bnを求め、(2)上記(1)の手順を複数種類(図2では白丸の6種類)の精製された液晶性化合物に対して行うことにより(Anr、Bnr)を得て相関を求め、(3)精製度未知である液晶性化合物(LN)の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Xと、該液晶性化合物(LN)を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Yを求める手順と、(4)上記(2)の手順により求められた(Anr、Bnr)(白丸6点)の相関と、上記(3)の手順により求められた(X、Y)(黒丸4点)との関係を比較して、相関からはずれた黒丸2点に相当する液晶性化合物の精製度が不十分であると判定できる。

目的

本発明は、様々な液晶性化合物についての精製度合い及び耐熱性を予め予測することのできる指標を提供するとともに、この予測された結果から液晶組成物に供することのできる液晶性化合物を見極めようとするものである。

効果

実績

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牽制数
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請求項1

(1)精製された液晶性化合物の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子反応性電子密度最大値Anと、該液晶性化合物を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Bnを求める手順と、(2)上記(1)の手順を複数種類(r種類)の精製された液晶性化合物に対して行うことにより(Anr、Bnr)を得て相関を求める手順と、(3)精製度未知である液晶性化合物(LN)の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Xと、該液晶性化合物(LN)を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Yを求める手順と、(4)上記(2)の手順により求められた(Anr、Bnr)の相関と、上記(3)の手順により求められた(X、Y)との関係を比較して判定する手順と、を含むことを特徴とする液晶性化合物の精製度判定方法

請求項2

該反応促進条件下の処理が加熱処理である請求項1に記載の液晶性化合物の精製度判定方法。

請求項3

該(4)の手順において、(Anr、Bnr)の相関から予測される精製度未知の液晶性化合物(LN)の反応物生成割合の予測値Yeと、測定により得られた該液晶性化合物(LN)の反応物生成割合Yの比が、1.5≦(Y/Ye)である時に、該液晶性化合物(LN)の精製が不十分であると判定する、請求項1又は2に記載の液晶性化合物の精製度判定方法。

請求項4

請求項3に記載の液晶性化合物の精製度判定方法において、(Y/Ye)<1.5となるように該液晶性化合物(LN)の処理を行うことを特徴とする液晶性化合物の処理方法

請求項5

該処理が精製処理である請求項4に記載の液晶化合物の処理方法。

請求項6

該処理が不純物生成防止剤を添加する処理である請求項4に記載の液晶性化合物の処理方法。

請求項7

該不純物生成防止剤が酸化防止剤である請求項6に記載の液晶性化合物の処理方法。

請求項8

分子軌道法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値が200×10-4 以下である液晶性化合物を選択することを特徴とする液晶性化合物の選択方法

技術分野

0001

本発明は、液晶組成物に使用される液晶性化合物の精製度判定方法に関し、更に詳しくは、この精製度判定方法により液晶性化合物を処理する方法、並びに使用する液晶性化合物を選択する方法に関する。

背景技術

0002

液晶ディスプレイには、駆動電圧の低減、応答速度の向上など様々な要求特性満足するように複数の液晶性化合物を混合した液晶組成物が使用されている。近年、TV表示用等の液晶パネルの如く、大容量の情報を表示させる液晶ディスプレイにあっては、TFTあるいはMIMといった能動素子にて制御された駆動電圧を液晶印加して保持させるアクティブマトリクス駆動方式ディスプレイの要求が大きい。特に、このような方式のディスプレイにおいては印加された駆動電圧を次の書きかえタイミングまで保持するような、高い電圧保持率を有する特性が液晶性化合物に要求される。

0003

ところが、液晶材料中にイオン性不純物が存在すると、リーク等の発生により印加された駆動電圧が降下し、このためディスプレイのコントラスト低下等の表示品位が損なわれるといった問題が生じる。アクティブマトリクス駆動方式のディスプレイでは、従来の駆動方式のディスプレイにも増して、液晶材料の精製純度が極めて重要であり、とりわけ電極間のリーク等を誘発するイオン性の不純物は完全に除去することが望ましい。

0004

従来、液晶性化合物から不純物を除く精製方法としては、例えば、再結晶蒸留液体クロマトグラフィー等の一般有化合物の精製で通常行われている方法や、液晶性化合物をシリカゲルと接触させる方法、活性アルミナと接触させる方法、イオン交換樹脂で処理する方法や、ゼオライトと接触させる方法等が挙げられる。

0005

しかし液晶性化合物の種類によってその精製する手法が一様でなく、個々にどの手法を適用し、どの程度精製を行うと液晶組成物としての目標の表示品位を達成できるかどうかの判定が非常に困難である。また、液晶性化合物は、その後の注入封止過程において、熱及びエネルギー線照射を受けて再び不純物が発生し、あるいは極性の高い不純物が生成して液晶組成物全体の導電率が上昇し、その結果イオンの濃度及び移動度が高くなり、ある種の液晶性化合物においてはディスプレイの表示品位を落としてしまうという問題もあった。

0006

したがって、個々の液晶性化合物の耐熱性、つまり熱やエネルギー線照射を施した後に不純物ができるかどうかの指標事前に把握することが重要となる。

0007

このような問題を解決すべく、液晶性化合物の電子密度に注目して、耐熱性の予測を試みた例がある(例えば、『染料薬品』、第41巻、第10号、1996)。しかしながら、上記報告ではフェニルシクロヘキサン系液晶性化合物に限定した議論であることと、末端置換基に着目して分子軌道計算を用いた反応性パラメータによる見積であるため、他の液晶性化合物に対しては耐熱性予測を行うことが困難であった。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、様々な液晶性化合物についての精製度合い及び耐熱性を予め予測することのできる指標を提供するとともに、この予測された結果から液晶組成物に供することのできる液晶性化合物を見極めようとするものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、一般に液晶性化合物は炭素原子を有していることから、各炭素原子が、主として空気中の酸素との酸化反応ラジカルを有する化合物との反応により、酸化物イオン性不純物を生成するのではないかと仮定し、精製された液晶性化合物の、分子軌道関数法(分子軌道法、MO法ともいう)計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Anと、この精製された液晶性化合物を反応促進条件下で処理して求められた反応物生成割合Bnとを、複数の液晶性化合物について求めたところ、最高被占分子軌道(HOMO)+最低空分子軌道(LUMO)の電子密度と反応物生成割合とが相関関係にあることを見出し、精製度未知の液晶性化合物(LN)の反応性電子密度と、測定により得られた該液晶性化合物(LN)の反応物生成割合との関係を比較することにより、精製度を判定することができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち本発明は、(1)精製された液晶性化合物の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Anと、該液晶性化合物を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Bnを求める手順と、(2)上記(1)の手順を複数種類(r種類)の精製された液晶性化合物に対して行うことにより(Anr、Bnr)を得て相関を求める手順と、(3)精製度未知である液晶性化合物(LN)の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Xと、該液晶性化合物(LN)を反応促進条件下で処理して反応物生成割合Yを求める手順と、(4)上記(2)の手順により求められた(Anr、Bnr)の相関と、上記(3)の手順により求められた(X、Y)との関係を比較して判定する手順と、を含むことを特徴とする液晶性化合物の精製度判定方法を提供するものである。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明では電子密度を取り扱うが、電子密度は以下に示す要領で計算することができる。
1)コンピュータ計算機上で動作する応用ソフトを用いて、対象とする分子立体構造、その場合の電子配置、そして各エネルギー準位を計算する、もしくは分子構造が持つエネルギー最低になるように構造の最適化を行う。
2)その結果に基づいて、得られた分子構造が持つ電子配置を計算し、かつ各エネルギー準位に存在する電子がどの原子割り振られているかを計算する。
3)各電子が原子に割り振られている度合い、すなわち電子密度は、エネルギー準位に存在する電子が、ある原子上に存在する係数を2乗することで密度数値として取り扱うことができる。

0012

本発明で言う反応性電子密度とは、その各エネルギー準位が持つある原子の電子密度の総和をとったものを指す。つまり、エネルギー準位がk個存在する化合物の、ある炭素原子n におけるi番目エネルギー準位の電子が存在する係数をCiとすると、ある炭素原子n の有する反応性電子密度Anは、

0013

0014

で表される。

0015

しかし、数値の取り扱いの煩雑さを考慮すると、好ましくは最高被占分子軌道(HOMO)及び最低空分子軌道(LUMO)のみの電子密度を取り扱う、いわゆるフロンティア電子密度を取り扱うのが良い。

0016

また、上述の反応性電子密度は、不対電子、いわゆるラジカルを有する化合物が、対象とする化合物を攻撃する際に適用されるべき方法であり、その他の反応経路においては異なる和の取り方を行う。

0017

アニオン等の非共有電子対求核反応を行う場合は反応性電子密度ではなく、空分子軌道の電子密度の和を計算する。しかしここでも数値の取り扱いの煩雑さを考慮すると、最低空分子軌道のみの電子密度を取り扱うのが好ましい。

0018

カチオンによる求電子反応表現する場合にも反応性電子密度ではなく、被占分子軌道の電子密度の和を計算する。上記同様ここでも数値の取り扱いの煩雑さを考慮すると、最高被占分子軌道のみの電子密度を取り扱うのが好ましい。

0019

また、他の物質からの攻撃を受けやすい液晶性化合物の炭素原子を見極めることを鑑みると、計算された液晶性化合物の炭素原子の反応性電子密度の値の中でも、最も反応性電子密度が高い炭素原子の値を用いることが好ましい。

0020

ベンゼン環等分子内にπ結合共役をもっている分子は、そのπ結合を有する部位付近で電子の非局在化が起こり、その付近での電子の授受による反応性は低下する。そのため、上記ラジカル、カチオン、そしてアニオンの反応のいずれにおいても、π結合共役の状態にある炭素原子を除いて、最も反応性電子密度が高い炭素原子に着目し、その電子密度の値を用いることが好ましい。

0021

(1)手順1
反応性電子密度を計算する手順としては、
1)コンピュータ上で液晶分子の立体構造を作成し、
2)その分子について構造最適化を行い、
3)その最安定構造について、各々のエネルギー準位を計算する、
といった形式をとるが、構造最適化及びエネルギー準位を計算する際には、分子軌道関数法計算を行うハミルトニアンについては特に制限はなく、半経験的手法非経験的手法等を採用することができる。例えば半経験的手法によるMNDO-PM3、AM1等や、非経験的手法によるRHF/6-31G、RHF/3-21G等が挙げられ、特に計算結果を得る時間的要因を考慮するとMNDO-PM3、AM1が好適である。

0022

上記反応性電子密度を計算する手順においては、構造最適化を行う段階を経ずに、いくつかの準安定構造を用いてエネルギー準位を計算し、それらの平均値を得て、その値を反応性電子密度に利用してもよい。

0023

反応性電子密度の計算に当たっては、市販の分子軌道法計算応用ソフトを用いることができ、特に用いる応用ソフトに制限はないが、例示すると、WinMOPAC((株)富士通)、Gaussian98(Gaussian Inc.)、が挙げられる。

0024

次に、液晶性化合物の精製度の評価方法を示す。液晶性化合物が系に不純物をある程度の量含んでいると、該液晶性化合物が熱や電子線照射を受けた際不純物が液晶性化合物と反応し、その結果液晶性化合物の濃度が低下してしまう、という関係がある。つまり、液晶性化合物がどの程度精製されているか、もしくは反応物生成速度を判定するためには、該液晶性化合物が熱や電子線照射を受けた際、減少する該液晶性化合物の濃度変化を測定するか、もしくは単位時間あたりの反応物生成率を定量する等、反応物生成割合を用いることにより判定を行うことができる。

0025

この濃度変化、あるいは反応物生成率を測定する際には、液晶性化合物を反応促進条件下で処理すればよい。この処理方法としては、例えば精密に温度制御された恒温室において一定時間加熱処理を行った後に、該液晶性化合物を後述する定量方法で測定する。室温で固体を呈する液晶性化合物であればある狭い粒度分布をもつ状態に化合物を粉砕し、また、室温で液体を呈する液晶性化合物であれば十分に溶解することのできる濃度で液晶性化合物を溶解し、その上で該液晶性化合物もしくはその液晶性化合物溶液に、紫外線可視光レーザー光、電子線、X線等のエネルギー線を一定時間照射した後に、後述するような定量方法で測定する方法等が挙げられる。なお、恒温室における一定時間の加熱処理が簡便で好ましい。

0026

減少する該液晶性化合物の濃度を定量する方法については、公知慣用の方法で良く、例えば、上記いずれかの処理前後の液晶性化合物を溶剤に溶解させ、その溶液の液体クロマトグラフィーチャートにおいて該液晶性化合物に起因するピーク面積を測定し、処理前後のピーク面積を比較して求めることができる。

0027

あるいは、上記溶液のガスクロマトグラフィーチャートにおいて、その液晶性化合物に起因するピーク面積を測定し、処理前後のピーク面積を比較して求めることもできる。

0028

(2)手順2
次に、(1)の手順を複数種類(r種類)の精製された液晶性化合物について行い、(Anr、Bnr)を得て相関を求める。上述したように、最高被占分子軌道(HOMO)+最低空分子軌道(LUMO)の電子密度と反応物生成割合が良好な相関関係を有することから、これにより得られた(An1、Bn1)、(An2、Bn2)、…(Anr、Bnr)の値を1つのグラフプロットする。グラフによって表現されうる両者の相関が1次関数の関係にあれば、精製度未知の液晶性化合物は容易に精製度の判定が可能であるが、相関式は必ずしも1次関数で表現できなくてもよく、例えば指数関数的な相関を呈する場合には、そのグラフのいずれかの軸を対数に変換することでその関係を直線で求めても構わない。

0029

(3)手順3
次に、液晶組成物に供される精製度未知の液晶性化合物(LN)の、分子軌道関数法計算で得られた炭素原子の反応性電子密度の最大値Xと、該液晶性化合物(LN)を手順1と同じ反応促進条件下で処理して反応物生成割合Yを求める。

0030

(4)手順4
これにより求められる(X、Y)のデータを手順2により求めた相関曲線(ここでは相関直線)と比較する。すなわち、相関直線からの該液晶性化合物(LN)の予測値(X、Ye)と上記(X、Y)とを比較して、その差により該液晶性化合物(LN)の精製度が十分か否かを判定する。この時、相関直線の計算誤差や、反応物生成割合の測定誤差等を考慮すると、1.5≦(Y/Ye)である場合を精製度の判定指標とすることができる。

0031

したがって、1.5≦(Y/Ye)となった場合には、液晶性化合物(LN)の精製度が不十分であり、これを液晶組成物の成分として使用すると電圧保持率等の特性不良を生ずる恐れがあるため、(Y/Ye)<1.5となるように、更に液晶性化合物(LN)の処理を行えばよいことになる。なお、上記したように得られる(X、Y)の値は誤差を含むことから、実用的には0.7<(Y/Ye)<1.5の範囲となるように処理を行い、特に好ましくは0.7<(Y/Ye)<1.3の範囲となるように処理を行う。

0032

上記の範囲となるような処理方法としては、該液晶性化合物に対して更に精製を繰り返す処理方法が挙げられる。この精製方法については、上述したような一般に行われている精製方法で良く、例示すると、再結晶、蒸留、液体クロマトグラフィー等、一般有機化合物の精製で通常行われている方法、また、液晶性化合物をシリカゲルと接触させる方法、活性アルミナと接触させる方法、イオン交換樹脂で処理する方法や、ゼオライトと接触させる方法、空気中恒温状態で液晶性化合物を一定時間加熱し、含まれる微量不純物を分解した後、液晶性化合物に対して等倍量以上の活性シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製を行う方法、等が挙げられる。

0033

また、不純物生成防止剤を添加する処理方法でも良い。不純物生成防止剤については特に制限はないが、液晶性化合物と、該液晶性化合物との反応物との間での無為な電子の授受を阻害する為、反応禁止剤としてハイドロキノンベンゾキノントルハイドキノンパラターシャリーブチルカテコール等が挙げられ、もしくは該液晶性化合物の酸化を防止するためフェノール系酸化防止剤ホスファイト系酸化防止剤ホスフォイト系酸化防止剤イオウ系酸化防止剤ヒンダードアミン系酸化防止剤トリアゾール系酸化防止剤等を用いても良い。特に酸化防止剤を用いることが好ましい。

0034

また本発明は上述した通り、計算された値を利用することによって液晶性化合物の耐熱性、つまり、本来液晶性化合物が有する熱あるいは活性エネルギー線に対して不純物を生成する指標を得ることができる。この指標によれば、反応性電子密度の値が200×10-4 以下、好ましくは150×10-4 以下の値である液晶性化合物を選択することにより、その後の液晶注入パネル封止過程における熱もしくはエネルギー線照射によって、再び不純物が生成することによる影響を低減するように、事前に配合割合等の設計を行うことも可能である。

0035

次に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。なお、「部」とあるのは、特にことわりがない限り質量部を表わす。

0036

(精製度の相関式の作成)以下に示す構造式を持つ、6種類の精製された液晶性化合物LC1〜LC6、及び4種類の精製度未知の液晶性化合物LC7〜LC10を用意した。

0037

0038

0039

以下の手順に従って、上記各液晶性化合物の反応性電子密度(ED)を計算した。
1.WinMOPACを用い、各分子の構造を作成し、その後各々について構造最適化の計算を、MNDO-PM3をハミルトニアンとして計算した。
2.得られた各構造について、分子軌道を計算し、更に電子密度の分子毎の寄与を計算した。
3.各液晶性化合物において、脂肪族炭化水素に属する炭素の中からその値が最も大きい値を選択した。
それらの値を表1に示す。

0040

0041

液晶性化合物LC1〜LC6をそれぞれ試験管封入し、反応促進条件として150°Cの恒温状態にある恒温室に10時間静置した(以下、「加熱処理1」と称する)処理を行った。得られた「加熱処理1」後の各試料1部に対して、アセトニトリル300部を加えた溶液を調製した。同様にして、「加熱処理1」を施す前の液晶性化合物の溶液も調製した。

0042

「加熱処理1」前後の溶液について、島津製作所製ガスクロマトグラムGC−17Aを用いてガスクロマトグラフィーチャートを得た。得られたピークのうち、液晶性化合物に起因するピークの面積を選び、その面積の「加熱処理1」前後での変化を比較して、反応物生成割合(RF)を見積もった。その結果を表2に示す。

0043

0044

各液晶性化合物の反応性電子密度を横軸に、反応物生成割合を縦軸にとった時の両者の関係を図1白丸)に示す。図1から、精製された液晶性化合物の反応性電子密度と反応物生成割合は直線的な相関を示すことがわかる。なお、反応性電子密度(ED)と反応物生成割合(RF)との間の相関式は
RF=—1.389×10-2+1.95×ED
であった。

0045

(精製度未知の液晶性化合物の精製度の評価)精製度未知の液晶性化合物LC7〜LC10の各試料を試験管に封入し、「加熱処理1」を施した後、得られた各加熱処理1後の試料1部に対して、アセトニトリル300部を加えた溶液を調製した。同様にして、「加熱処理1」を施す前の、精製度未知の液晶性化合物の溶液も調製した。

0046

「加熱処理1」前後の溶液から、島津製作所製ガスクロマトグラムGC−17Aを用いてガスクロマトグラフィーチャートを得た。得られたピークのうち、液晶性化合物に起因するピークの面積を選び、その面積の「加熱処理1」前後での変化を比較し、反応物生成割合を見積もった。その結果を表3に示す。

0047

0048

精製された液晶性化合物により得られた相関図に、精製度未知の液晶性化合物により得られた反応性電子密度及び反応物生成割合を合わせてプロットした様子が図2である。図1から得られる相関式と図2の各4点(黒丸で示す)とを比較したところ、試料LC9、LC10は予測値と実測値との比が1.5未満であったため、精製が十分であるという判断を行った。また、精製度未知の液晶性化合物の反応物生成割合と反応性電子密度との関係のうち、図1から得られた相関式に従わない液晶性化合物LC7、LC8については、予測値と実測値との比が1.5以上であったため、精製が不十分であるという判断を行った。

0049

(実施例1)相関式に従わなかった液晶性化合物LC7及びLC8を、空気中150°Cで8時間加熱し、含まれる微量不純物を分解した後、液晶性化合物の5倍量(質量換算)のシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製処理を行い、液晶性化合物LC7a及びLC8aを得た。

0050

再精製処理を施した液晶性化合物LC7a及びLC8aについて、再度「加熱処理1」を行い、その後の反応物生成割合を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。

0051

再度「加熱処理1」を行った液晶性化合物の反応物生成割合と反応性電子密度との関係を、精製された液晶性化合物から得られた相関と比較すると図3のようになり、再精製処理を施した液晶性化合物LC7a及びLC8aは相関に従い、それぞれの値は、LC7aで1.12(%)、LC8aで0.87(%)で、予測値と実測値との比が1.5未満となった。

0052

(実施例2)相関に従わなかった液晶性化合物LC7及びLC8について、酸化防止剤であるオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート

0053

0054

を、液晶性化合物100部に対してそれぞれ1部添加した。

0055

その添加された液晶性化合物LC7b及びLC8bについて、同様に再度「加熱処理1」を行った反応物生成割合を測定した。反応性電子密度と反応物生成割合との関係は図4のようになり、酸化防止剤添加処理を施した液晶性化合物LC7b及びLC8bは相関に従い、それぞれの値は、LC7bで1.10(%)、LC8bで0.88(%)で、予測値と実測値との比が1.5未満となった。

0056

(実施例3)実施例1、実施例2の液晶性化合物LC1〜LC10、LC7a、LC8a、LC7b、LC8bについて電圧保持率(VHR)を測定した。電圧保持率は、各液晶性化合物を空気中150°Cで1時間加熱したもの20部を、以下に示す母液晶組成物B80部と混合して、新たな液晶組成物とした。

0057

0058

各液晶組成物を用いてセル厚6μmのTN-LCDを構成し、80°Cの測定環境下において5Vの電圧パルスを与えた時の、200msec後の電位保持率(%)を測定した。この結果を表4に示す。

0059

0060

この表4から、反応性電子密度の値が200×10-4 よりも大きい値を有するLC1、LC3、LC9、及びLC10は良好な電圧保持率を示さないが、反応性電子密度の値が200×10-4 以下の値を有するその他の液晶性化合物は良好な電圧保持率を示すこともわかる。

発明の効果

0061

以上、詳細に説明したように、本発明の液晶性化合物の精製度判定方法によると、精製度未知の液晶性化合物の精製度を予測して判定することができ、その予測結果に基づいて適宜処理を行うことができるので、従来に比べより効率的な精製過程を提供することができる。また、この予測結果に基づけば、たとえ精製された液晶性化合物を使用してもその後の処理過程で必然的に発生する不純物の生成割合が事前に把握できるので、反応性電子密度の最大値が200×10-4 以下である液晶性化合物を選択することにより、反応物生成割合を約3%以下、特に2.5%以下とする設計も事前に行うことができ、耐熱性の高い液晶性化合物を選択することができる。

図面の簡単な説明

0062

図1各液晶性化合物の反応性電子密度と反応物生成割合の相関グラフ
図2精製度未知の各液晶性化合物の反応性電子密度と反応物生成割合を図1の相関図にプロットしたグラフ。
図3再精製処理を行った後の液晶性化合物LC7aとLC8aの反応性電子密度と反応物生成割合を図1の相関グラフにプロットしたグラフ。
図4酸化防止剤を添加した後の液晶性化合物LC7bとLC8bの反応性電子密度と反応物生成割合を図1の相関グラフにプロットしたグラフ。

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