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課題
解決手段
概要
背景
従来、非線形の画像変換を行う画像信号処理装置は、ROM(リード・オンリー・メモリ)を使用したLUT(ルック・アップ・テーブル)によって構成されている。即ち、予め入力するデジタル画像信号の値に対応して非線形な出力となる値を記憶し、入力するデジタル画像信号の値に対応してその記憶した値を読み出すようにしている。
しかしながら、デジタル画像信号の全階調に対して変換する値をLUTに格納すると、LUTの記憶容量が増大するという問題ある。このLUTの記憶容量を削減するために、さまざまな手法が提案されている。
特開平8−137451号公報に記載のデータ変換装置は、LUTと補間演算手段とを用いてデータ変換処理を行うことにより、データの非線形性が大きい場合にも格子点数を増やさずに(メモリを増やさずに)、演算精度を高めるようにしている。
概要
ルックアップテーブルを必要とせず、かつ簡単な処理で所望の入出力特性を有する非線形信号処理を行うことができるようにする。
アパーチャゲイン生成部30のメモリ32には、予めガンマの微係数(傾き)の逆数の曲線を一次近似する複数の一次式の傾きデータa及び切片データbが記憶されており、ガンマ補正部10から入力するガンマ補正後の輝度データY′に基づき対応する傾きデータa及び切片データbが読み出される。そして、演算部30によって輝度データY′と前記読み出された傾きデータa及び切片データbとから一次式を演算し、アパーチャゲインgainを算出する。
目的
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ルックアップテーブルを必要とせず、かつ簡単な処理で所望の入出力特性を有する非線形信号処理を行うことができる非線形信号処理装置及び画像信号処理装置を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 4件
- 牽制数
- 2件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
第1のデジタル信号を入力すると、該第1のデジタル信号を非線形の入出力特性をもつ第2のデジタル信号に変換して出力する非線形信号処理装置であって、前記第1のデジタル信号の大きさに応じて区分された複数の区間ごとに、該第1のデジタル信号を変数とする一次式を特定するためのデータを記憶する記憶手段と、入力する第1のデジタル信号の大きさに応じて前記記憶手段から前記一次式を特定するためのデータを読み出す読出手段と、前記入力する第1のデジタル信号と前記記憶手段から読み出した一次式を特定するためのデータとに基づいて該一次式の演算を行い、その演算値を前記第2のデジタル信号として出力する演算手段と、を備え、前記記憶手段に記憶させる一次式を特定するためのデータは、前記非線形の入出力特性をもつ曲線を前記各区間ごとに一次近似する一次式を特定するデータであることを特徴とする非線形信号処理装置。
請求項2
前記一次式を特定するためのデータは、一次式の傾きを示す傾きデータと切片を示す切片データであり、前記演算手段は、前記入力する第1のデジタル信号と前記傾きデータとを乗算する乗算手段と、該乗算手段によって得られる乗算値と前記切片データとを加算する加算手段とからなることを特徴とする請求項1の非線形信号処理装置。
請求項3
第1のデジタル画像信号を入力すると、該第1のデジタル画像信号を所定のガンマ特性をもつ第2のデジタル画像信号に変換して出力するガンマ補正手段と、前記第2のデジタル画像信号に基づいてアパーチャ信号を生成するアパーチャ信号生成手段と、前記ガンマ補正手段における所定のガンマ特性を示す曲線の微係数の逆数の入出力特性をもつ請求項1の非線形信号処理装置であって、前記第2のデジタル画像信号を前記第1のデジタル信号として入力し、前記第2のデジタル信号を前記アパーチャ信号のゲイン信号として出力する非線形信号処理装置と、前記アパーチャ信号生成手段によって生成されたアパーチャ信号と前記非線形信号処理装置から出力されるゲイン信号とを乗算する乗算手段と、前記第2のデジタル画像信号に前記乗算手段から出力される乗算値を加算する加算手段と、を備えたことを特徴とする画像信号処理装置。
技術分野
背景技術
0002
従来、非線形の画像変換を行う画像信号処理装置は、ROM(リード・オンリー・メモリ)を使用したLUT(ルック・アップ・テーブル)によって構成されている。即ち、予め入力するデジタル画像信号の値に対応して非線形な出力となる値を記憶し、入力するデジタル画像信号の値に対応してその記憶した値を読み出すようにしている。
0003
しかしながら、デジタル画像信号の全階調に対して変換する値をLUTに格納すると、LUTの記憶容量が増大するという問題ある。このLUTの記憶容量を削減するために、さまざまな手法が提案されている。
0004
特開平8−137451号公報に記載のデータ変換装置は、LUTと補間演算手段とを用いてデータ変換処理を行うことにより、データの非線形性が大きい場合にも格子点数を増やさずに(メモリを増やさずに)、演算精度を高めるようにしている。
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、上記特開平8−137451号公報に記載のデータ変換装置は、LUTを使用しているため、記憶容量を大幅に削減することができず、また、LUTの値は、整数で記述されているため、量子化分だけ誤差が生じるという問題がある。
0006
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ルックアップテーブルを必要とせず、かつ簡単な処理で所望の入出力特性を有する非線形信号処理を行うことができる非線形信号処理装置及び画像信号処理装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、第1のデジタル信号を入力すると、該第1のデジタル信号を非線形の入出力特性をもつ第2のデジタル信号に変換して出力する非線形信号処理装置であって、前記第1のデジタル信号の大きさに応じて区分された複数の区間ごとに、該第1のデジタル信号を変数とする一次式を特定するためのデータを記憶する記憶手段と、入力する第1のデジタル信号の大きさに応じて前記記憶手段から前記一次式を特定するためのデータを読み出す読出手段と、前記入力する第1のデジタル信号と前記記憶手段から読み出した一次式を特定するためのデータとに基づいて該一次式の演算を行い、その演算値を前記第2のデジタル信号として出力する演算手段と、を備え、前記記憶手段に記憶させる一次式を特定するためのデータは、前記非線形の入出力特性をもつ曲線を前記各区間ごとに一次近似する一次式を特定するデータであることを特徴としている。
0008
即ち、この非線形信号処理装置は、第1のデジタル信号を入力すると、該第1のデジタル信号を非線形の入出力特性をもつ第2のデジタル信号に変換して出力するもので、前記第1のデジタル信号を変数とする一次式を演算することによって前記第2のデジタル信号を得るようにしている。尚、一次式を特定するためのデータは、入出力特性を示す曲線に応じてその曲線を一次近似する直線の分割数や間隔を決め、各一次式ごとに予め記憶手段に記憶されている。
0009
請求項2に示すように前記一次式を特定するためのデータは、一次式の傾きを示す傾きデータと切片を示す切片データであり、前記演算手段は、前記入力する第1のデジタル信号と前記傾きデータとを乗算する乗算手段と、該乗算手段によって得られる乗算値と前記切片データとを加算する加算手段とからなることを特徴としている。尚、一次式を特定するためのデータは、入出力特性を示す曲線上の一次近似する分割点のデータでもよい。
0010
請求項3に係る画像信号処理装置は、第1のデジタル画像信号を入力すると、該第1のデジタル画像信号を所定のガンマ特性をもつ第2のデジタル画像信号に変換して出力するガンマ補正手段と、前記第2のデジタル画像信号に基づいてアパーチャ信号を生成するアパーチャ信号生成手段と、前記ガンマ補正手段における所定のガンマ特性を示す曲線の微係数の逆数の入出力特性をもつ請求項1の非線形信号処理装置であって、前記第2のデジタル画像信号を前記第1のデジタル信号として入力し、前記第2のデジタル信号を前記アパーチャ信号のゲイン信号として出力する非線形信号処理装置と、前記アパーチャ信号生成手段によって生成されたアパーチャ信号と前記非線形信号処理装置から出力されるゲイン信号とを乗算する乗算手段と、前記第2のデジタル画像信号に前記乗算手段から出力される乗算値を加算する加算手段と、を備えたことを特徴としている。
0011
前記非線形信号処理装置により前記ガンマ特性を示す曲線の微係数の逆数の入出力特性をもつように前記アパーチャ信号に対するゲイン信号を生成するようにしたため、低輝度部分でのS/Nを向上させることができるとともに、高輝度部分でのエッジ強調を良好に行うことができる。
発明を実施するための最良の形態
0012
以下添付図面に従って本発明に係る非線形信号処理装置及び画像信号処理装置の好ましい実施の形態について詳説する。
0014
この画像信号処理装置は、画像の濃淡を示す輝度データをガンマ補正するとともに、そのガンマ補正した輝度データにアパーチャ信号を加算してエッジ強調を行うもので、主としてガンマ補正部10と、アパーチャ信号生成部20と、アパーチャゲイン生成部30と、乗算器40と、加算器50とから構成されている。
0015
ガンマ補正部10は、入力する輝度データYをガンマ補正するもので、例えば、図2に示すように入力データに対して所定のガンマ特性を示す出力データが記憶されているルックアップテーブル(LUT)によって構成されており、輝度データYを入力すると、その輝度データYをガンマ補正した輝度データY′に変換し、この輝度データY′を出力する。
0016
アパーチャ信号生成部20は、ガンマ補正後の輝度データY′からエッジ強調用のアパーチャ信号Yapを生成するもので、例えば、バンドパスフィルタによって構成されている。このアパーチャ信号生成部20によって生成されたアパーチャ信号Yapは、乗算器40に加えられる。
0017
乗算器40の他の入力には、アパーチャゲイン生成部30からアパーチャゲインgainが加えられており、乗算器40は前記アパーチャ信号Yapとアパーチャゲインgainとを乗算し、その乗算値(即ち、アパーチャゲインgainによって増減したアパーチャ信号)Yap′を加算器50に出力する。
0018
加算器50の他の入力には、ガンマ補正部10からガンマ補正後の輝度データY′が加えられており、加算器50はこの輝度データY′に前記アパーチャ信号Yap′を加算し、その加算値(Y′+Yap′)を出力する。これにより、ガンマ補正され、かつアパーチャ信号Yap′によってエッジ強調された輝度データ(Y′+Yap′)が得られる。
0019
次に、上記アパーチャゲイン生成部30について説明する。
0020
このアパーチャゲイン生成部30は、メモリ32と、演算部34とからなり、演算部34は乗算器34Aと加算器34Bとから構成されている。
0021
メモリ32には、非線形の入出力特性をもつ曲線を、該曲線の各区間ごとに一次式で一次近似する複数の一次式の傾きを示す傾きデータaと、切片を示す切片データbとが予め記憶されており、このメモリ32からは前記ガンマ補正部10から出力される輝度データY′に基づいて対応する区間の一次式の傾きデータaと切片データbとが読み出され、演算部34に出力される。
0022
演算部34の乗算器34Aには、ガンマ補正部10から輝度データY′が加えられるとともに、前記メモリ32から傾きデータaが加えられており、乗算器34Aは、これらの2入力を乗算して乗算値(a・Y′)を加算器34Bに出力する。
0023
加算器34Bの他の入力には、メモリ32から切片データbが加えられており、加算器34Bは、前記乗算値(a・Y′)と切片データbとを加算し、その加算値(a・Y′+b)をアパーチャゲイン信号gainとして出力する。即ち、演算部34は、次式、
0024
gain=a・Y′+b
に示す一次式を演算することにより、アパーチャゲイン信号gainを算出するようにしている。
0025
次に、上記一次式を特定するための傾きデータa及び切片データbについて詳述する。
0026
まず、非線形の入出力特性をもつ曲線としては、前記ガンマ補正部10におけるガンマ(図2参照)の微係数(ガンマの傾き)の逆数を示す曲線とする。図2に示すようなガンマによれば、このガンマの傾きの逆数をアパーチャゲインとして使用することにより、輝度データの低輝度部分でのS/Nを向上させることができるとともに、高輝度部分でのエッジ強調を良好に行うことができる。
0027
図3は上記ガンマの傾きの逆数の曲線を、4分割、8分割、16分割し、各区間を一次式で一次近似したグラフを示している。尚、図3上で、一点鎖線は、ガンマの傾きの逆数の曲線を4分割して一次近似したグラフであり、破線は、ガンマの傾きの逆数の曲線を8分割して一次近似したグラフであり、実線は、ガンマの傾きの逆数の曲線を16分割して一次近似したグラフである。
0029
上記ガンマの傾きの逆数の曲線を16分割する各区間ごとの一次式の傾きデータa、切片データb等を次表に示す。
0030
ID=000003HE=055 WI=062 LX=0290 LY=1850
尚、この[表1]の内容が前記メモリ32に記憶され、入力する輝度データY′から対応する区間が選択され、その区間の傾きデータa及び切片データbが読み出される。
0031
ところで、ガンマ補正部10は、前述したようにLUTによって構成されており、LUTには、図4(A)に示すように入力データに対して整数値となる出力データが記憶されている。この離散的な整数値からガンマの微係数(傾き)を求めると、図4(B)に示すように傾きがステップ状に変化する部分と、傾きが0となる部分とが繰り返され、傾きの増加・減少が表現できないが、予め一次関数で近似することで、精度よく微係数を算出することができる。
0032
尚、この実施の形態では、ガンマ補正部10をLUTによって構成したが、これに限らず、アパーチャゲイン生成部30と同様に、ガンマ曲線を各区間ごとに一次近似する一次式を演算することにより、ガンマ補正した輝度データを得るようにしてもよい。また、ガンマ補正部10やアパーチャゲイン生成部30に限らず、非線形の入出力特性をもつ曲線を各区間ごとに一次近似する一次式を演算することにより、LUTを使用せずに所望の入出力特性をもつ非線形信号処理をデジタル処理で行うようにしてもよい。
発明の効果
0033
以上説明したように本発明に係る非線形信号処理装置によれば、非線形の入出力特性をもつ曲線を複数の一次式で近似する、各一次式を特定するためのデータ(傾きデータと切片データ)を記憶する記憶手段から入力データに基づいて対応する傾きデータと切片データを読み出し、入力データ、傾きデータ及び切片のデータに基づいて一次式を演算して非線形の出力データを得るようにしたため、記憶容量が大きなルックアップテーブルを必要とせず、かつ簡単な演算処理で所望の精度の入出力特性を有する非線形信号処理を行うことができる。
0034
また、本発明に係る画像信号処理装置によれば、ガンマの微係数(傾き)の逆数をアパーチャゲイン信号とし、このアパーチャゲイン信号を生成するために上記非線形信号処理装置を適用することで、精度よく微係数を求めることができ、輝度データの低輝度部分でのS/Nを向上させることができるとともに、高輝度部分でのエッジ強調を良好に行うことができる。
図面の簡単な説明
0035
図1本発明に係る画像信号処理装置の実施の形態を示すブロック図
図2図1に示したガンマ補正部でのガンマ補正を説明するために用いた図
図3図1に示したガンマ補正部におけるガンマの微係数(傾き)の逆数の曲線を一次近似したグラフ
図4ルックアップテーブルから該ルックアップテーブルで示される曲線の微係数(傾き)を求める場合の不具合を説明するために用いた図
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0036
10…ガンマ補正部、20…アパーチャ信号生成部、30…アパーチャゲイン生成部、32…メモリ、34…演算部、34A、40…乗算器、34B、50…加算器
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