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技術 キトサンオリゴ糖の製造方法及びキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法

出願人 焼津水産化学工業株式会社
発明者 菊地数晃渡邊一浩
出願日 2002年1月21日 (19年4ヶ月経過) 出願番号 2002-011845
公開日 2003年7月30日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2003-212889
状態 特許登録済
技術分野 糖類化合物 多糖類及びその誘導体 半透膜を用いた分離 吸着剤による液体の処理一般
主要キーワード 活性炭処理前 還元処理物 NaCl阻止率 原料キトサン 電気透析機 本セット kg含有 キトヘキサオース
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

原料由来する部分アセチルキトオリゴ糖などの不純物を効率よく除去することができると共に製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止することができ、高純度のキトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく製造できる方法を提供する。

解決手段

キトサン加水分解物イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理することにより部分アセチル化キトオリゴ糖を選択的に除去する。また、キトサン加水分解物を還元処理した後、イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画し、分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を活性炭処理することにより部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を選択的に除去する。

概要

背景

D−グルコサミンがβ−1,4結合したオリゴ糖であるキトサンオリゴ糖は様々な生理活性を有し、飲食品医薬品、化粧品等への利用が提案されている。例えば、本出願人は、キトサンオリゴ糖を有効成分として含有する肝機能障害予防改善剤(特開平10−287572号公報)、抗糖尿病剤(特開平11−29484号公報)、抗酸化剤(特開2000−248276号公報)等を開示している。

キトサンオリゴ糖は、工業的にはカニエビ等の甲殻類の殻に含まれるキチン脱アセチル化物であるキトサンを酸又は酵素加水分解して製造されている。このキトサンの加水分解物重合度の異なる様々なキトサンオリゴ糖の混合物であり、これをカラムクロマトグラフィー溶剤分画等の方法によって分画することにより、キトビオースキトトリオース、キトテトラオース、キトペンタオース、キトヘキサオース等の重合度の異なるキトサンオリゴ糖を得ることができる。

また、キトサンオリゴ糖は分子内に遊離アミノ基及び還元性アルデヒド基を有し、特に水溶液状態で着色・褐変しやすいため、キトサンオリゴ糖を水素還元して、そのアルデヒド基をアルコールに変換することにより、安定性を高めた還元キトサンオリゴ糖も提案されている(特開平1−79194号公報)。

概要

原料由来する部分アセチルキトオリゴ糖などの不純物を効率よく除去することができると共に製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止することができ、高純度のキトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく製造できる方法を提供する。

キトサン加水分解物イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理することにより部分アセチル化キトオリゴ糖を選択的に除去する。また、キトサン加水分解物を還元処理した後、イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画し、分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を活性炭処理することにより部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を選択的に除去する。

目的

したがって、本発明の目的は、原料に由来する部分アセチル化キトオリゴ糖などの不純物を効率よく除去することができると共に製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止することができ、高純度のキトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく製造できる方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

キトサン加水分解する工程と、キトサン加水分解物イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別キトサンオリゴ糖分画する工程と、分画した各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理して部分アセチルキトオリゴ糖を除去する工程とを含むことを特徴とするキトサンオリゴ糖の製造方法。

請求項2

前記キトサン加水分解物に含まれる塩類固形分当たり10質量%未満になるまで脱塩した後、イオン交換クロマトグラフィーを行なう、請求項1に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。

請求項3

キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、各キトサンオリゴ糖画分を脱塩する、請求項1又は2に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。

請求項4

前記脱塩を、NaCl阻止率が55.0〜99.5%の逆浸透膜を用いて行なう、請求項2又は3に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。

請求項5

キトサンを加水分解する工程と、キトサン加水分解物を還元処理する工程と、還元処理したキトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画する工程と、分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を除去する工程とを含むことを特徴とするキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法。

請求項6

前記還元処理を、キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して、その20質量%以上の水素化ホウ素ナトリウムを用いて行なう、請求項5に記載のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法。

請求項7

前記還元処理したキトサン加水分解物に含まれる塩類が固形分当たり10質量%未満になるまで脱塩した後、イオン交換クロマトグラフィーを行なう、請求項5又は6に記載のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法。

請求項8

還元処理したキトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画した後、各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を脱塩する、請求項5〜7のいずれか一つに記載のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法。

請求項9

前記脱塩を、NaCl阻止率が55.0〜99.5%の逆浸透膜を用いて行なう、請求項7又は8に記載のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高純度キトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく製造する方法に関する。

背景技術

0002

D−グルコサミンがβ−1,4結合したオリゴ糖であるキトサンオリゴ糖は様々な生理活性を有し、飲食品医薬品、化粧品等への利用が提案されている。例えば、本出願人は、キトサンオリゴ糖を有効成分として含有する肝機能障害予防改善剤(特開平10−287572号公報)、抗糖尿病剤(特開平11−29484号公報)、抗酸化剤(特開2000−248276号公報)等を開示している。

0003

キトサンオリゴ糖は、工業的にはカニエビ等の甲殻類の殻に含まれるキチン脱アセチル化物であるキトサンを酸又は酵素加水分解して製造されている。このキトサンの加水分解物重合度の異なる様々なキトサンオリゴ糖の混合物であり、これをカラムクロマトグラフィー溶剤分画等の方法によって分画することにより、キトビオースキトトリオース、キトテトラオース、キトペンタオース、キトヘキサオース等の重合度の異なるキトサンオリゴ糖を得ることができる。

0004

また、キトサンオリゴ糖は分子内に遊離アミノ基及び還元性アルデヒド基を有し、特に水溶液状態で着色・褐変しやすいため、キトサンオリゴ糖を水素還元して、そのアルデヒド基をアルコールに変換することにより、安定性を高めた還元キトサンオリゴ糖も提案されている(特開平1−79194号公報)。

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上記従来の方法によって精製されたキトサンオリゴ糖は、通常98%程度の純度であり、本発明者らが、キトサンオリゴ糖をHPLC法(示差屈折検出)で分析したところ、原料(キトサン)に由来する不純物混入していることが明らかとなった。例えば、キトトリオースは1分子中に3モルアミノ基を有しているが、イオン交換クロマトグラフィーで分離したキトトリオース画分には、1分子中に3モルのアミノ基及び1モルのアセチル基を有するモノアセチルキトテトラオースや、1分子中に3モルのアミノ基と2モルのアセチル基を有するジアセチルキトペンタオースが不純物として見い出された。

0006

このような現象が起こる理由は、脱アセチル化度測定方法コロイド滴定法)が厳密な測定方法ではないため、脱アセチル化度100%のキトサンであっても実際は微量のアセチル基が残存しており、キトサンを加水分解することにより、キトサンオリゴ糖だけでなく上記のような部分アセチルキトオリゴ糖も生成してしまうためである。この部分アセチル化キトオリゴ糖はイオン交換クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィーで除去することは困難であり、研究用試薬、医薬品や化粧品原料等として高純度(純度99%以上)のキトサンオリゴ糖が必要とされる場合には特に問題となる。

0007

また、還元キトサンオリゴ糖(本発明においてはキトサンオリゴ糖アルコール体という。)においては、原料となるキトサンオリゴ糖の純度の問題に加えて、還元率の問題から更に純度の低いもの(通常、純度95%程度)しか製造することができなかった。

0008

更に、上述したようにキトサンオリゴ糖は比較的不安定な物質であるため、キトサンオリゴ糖やキトサンオリゴ糖アルコール体を製造する過程で着色しやすいという問題もあった。

0009

一方、D−グルコサミン塩酸塩出発物質としたキトビオース、キトテトラオース及びキトヘキサオースの化学合成法報告されている(丸山ら:島津評論,51,303-311,1995)が、グリコシル化反応の前後でアミノ基の保護・脱保護の工程が必要であるなど工業的生産方法としては適していない。

0010

したがって、本発明の目的は、原料に由来する部分アセチル化キトオリゴ糖などの不純物を効率よく除去することができると共に製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止することができ、高純度のキトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく製造できる方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するため、本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法は、キトサンを加水分解する工程と、キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画する工程と、分画した各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖を除去する工程とを含むことを特徴とする。

0012

本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法によれば、キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、活性炭処理することにより、部分アセチル化キトオリゴ糖を効率よく除去することができる。

0013

上記キトサンオリゴ糖の製造方法においては、前記キトサン加水分解物に含まれる塩類固形分当たり10質量%未満になるまで脱塩した後、イオン交換クロマトグラフィーを行なうことが好ましい。この態様によれば、各重合度のキトサンオリゴ糖をより良好に分離することができる。

0014

また、キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、各キトサンオリゴ糖画分を脱塩することが好ましい。この態様によれば、より灰分の少ないキトサンオリゴ糖を得ることができる。

0015

更に、前記脱塩を、NaCl阻止率が55.0〜99.5%の逆浸透膜を用いて行なうことが好ましい。この態様によれば、短時間で効率よく脱塩でき、脱塩処理工程におけるキトサンオリゴ糖の着色や褐変を防止することができる。

0016

また、本発明のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法は、キトサンを加水分解する工程と、キトサン加水分解物を還元処理する工程と、還元処理したキトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画する工程と、分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を除去する工程とを含むことを特徴とする。

0017

本発明のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法によれば、キトサン加水分解物を還元処理した後、イオン交換クロマトグラフィーに供することにより、製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色や褐変を防止することができる。また、キトサン加水分解物の還元処理物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画した後、活性炭処理することにより、部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を効率よく除去することができる。

0018

上記キトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法においては、前記還元処理を、キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して、その20質量%以上の水素化ホウ素ナトリウムを用いて行なうことが好ましい。この態様によれば、キトサンオリゴ糖の還元率を99.9%以上に向上することができ、より高純度のキトサンオリゴ糖アルコール体を得ることができる。

0019

また、前記還元処理したキトサン加水分解物に含まれる塩類が固形分当たり10質量%未満になるまで脱塩した後、イオン交換クロマトグラフィーを行なうことが好ましい。この態様によれば、各重合度のキトサンオリゴ糖アルコール体をより良好に分離することができる。

0020

更に、還元処理したキトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画した後、各キトサンオリゴ糖アルコール体画分を脱塩することが好ましい。この態様によれば、より灰分の少ないキトサンオリゴ糖アルコール体を得ることができる。

0021

更にまた、前記脱塩を、NaCl阻止率が55.0〜99.5%の逆浸透膜を用いて行なうことが好ましい。この態様によれば、短時間で効率よく脱塩することができる。

発明を実施するための最良の形態

0022

本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法は、キトサンを加水分解する工程と、キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画する工程と、分画した各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖を除去する工程とを含む。以下、キトサンオリゴ糖の製造方法の各工程について説明する。

0023

・キトサンを加水分解する工程
本発明において、原料として用いられるキトサンは、例えばキチンを熱濃アルカリ処理する方法等の常法に従って脱アセチル化することにより調製することができるが、市販のものを用いることもできる。キトサンの脱アセチル化度は80〜100%が好ましい。なお、上述したようにアセチル化度の測定方法の問題により、脱アセチル化度100%のキトサンであっても微量のアセチル基が残存している。

0024

キトサンの加水分解は、酸加水分解酵素分解等の公知の方法によって行なうことができる(Distler, J. J. et al: Method Carbohydr. Chem., 1, 305-309,1962、Izume, M. et al: Agric. Biol. Chem., 51, 1189-1191, 1987)。

0025

例えば、キトサンを酸加水分解する場合は、キトサンに、その質量の10〜100倍量の酸を加え、40〜90℃で1〜120時間反応させた後、濾過して不溶物を除去し、酸を除去又はアルカリ中和することによりキトサン加水分解物を調製することができる。上記酸としては、例えば、塩酸酢酸ギ酸硫酸リン酸等を用いることができる。

0026

また、キトサンを酵素分解する場合は、キトサンに希酸を加えて溶解した後、所定量のキトサン分解酵素キトサナーゼ、D−グルコサミニダーゼ等)を加えて酵素反応を行ない、酵素失活させた後、反応液を濾過して不溶物を除去し、pHを中性に調整することによりキトサン加水分解物を調製することができる。

0027

上記酵素は市販の酵素を用いることができ、例えば「キトサナーゼ−RD」(商品名、ピアス株式会社製、Bacillus sp. PI-7S由来)、「キトサナーゼ」(商品名、シグマアルドリッチ株式会社製、Streptomyces griseus由来)等を用いることができる。

0028

上記のようにして得られるキトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖は、通常、重合度2〜8程度の混合物、すなわちキトビオース、キトトリオース、キトテトラオース、キトペンタオース、キトヘキサオース、キトヘプタオース、キトオクタオース等の混合物である。

0029

・キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画する工程
上記のようにして調製したキトサン加水分解物を、常法に従ってイオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖を重合度別に分画する。

0030

本発明においては、例えばキトサンを酸加水分解してアルカリで中和した場合など、キトサン加水分解物が大量の塩類を含む場合は、キトサン加水分解物に含まれる塩類が固形分当たり10質量%未満、より好ましくは5.0質量%以下になるまで予め脱塩してからイオン交換クロマトグラフィーに供することが好ましい。これにより、イオン交換クロマトグラフィーの分離能を向上することができる。なお、本発明でいう塩類とは、キトサンを加水分解する際に用いた無機酸や有機酸を中和することにより生じる塩(後述のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法においては、還元処理により生じる塩も含む。)を意味する。

0031

脱塩の方法は公知の方法を採用できるが、電気透析法は効率が悪く、またキトサンオリゴ糖の着色や褐変を生じやすいため、NaCl阻止率が55.0〜99.5%の逆浸透膜(以下、RO膜という。)を用いて行なうことが好ましい。RO膜を用いることにより、効率よく脱塩することができ、キトサンオリゴ糖の着色や褐変も防止できる。

0032

イオン交換クロマトグラフィーは、例えば、Uchida et al: Chitin and Chitosan, edited by Skjak-braek, G., Anthonsen, T. and Sandford, P., p373-382, 1989, Elsevier Applied Science, London and Ney York等に記載された方法で行なうことができる。すなわち、キトサン加水分解物を、強酸性イオン交換樹脂(例えば「AG50W×8(H+ form, 200-400 mesh)」(商品名、Bio Rad Laboratories製)、「Dowex 50W×4(H+ form,200-400 mesh)」(商品名、ダウケミカルカンパニー製)等)を充填したカラム展開し、0〜5.5Nの塩酸で濃度勾配溶出することにより、重合度の小さいキトサンオリゴ糖から順に溶出され、重合度別にキトサンオリゴ糖を分画することができる。また、各キトサンオリゴ糖画分に含まれる塩酸はエバポレーションして除去、又はアルカリで中和しておくことが好ましい。なお、アルカリで中和した場合、後述する活性炭処理の前あるいは後に前記と同様にRO膜を用いて脱塩することが好ましい。

0033

・分画した各キトサンオリゴ糖画分を活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖を除去する工程
前記工程で得られた各キトサンオリゴ糖画分には、原料に由来する不純物、すなわち部分アセチル化キトオリゴ糖が含まれている。この部分アセチル化キトオリゴ糖は、各画分に含まれるキトサンオリゴ糖と1分子中のアミノ基数が同一であり、分子量もほとんど同一であるため、イオン交換クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィー等で分離除去することは困難であるが、活性炭処理することにより、効率よく除去することができる。なお、キトサン加水分解物を分画せずにそのまま活性炭処理した場合は、疎水性色素や中分子オリゴ糖(分子量数千)等の他の不純物が優先して活性炭吸着されるため、部分アセチル化キトオリゴ糖を除去することはできない。

0034

活性炭処理は、各キトサンオリゴ糖画分に活性炭を加えて撹拌する、各キトサンオリゴ糖画分を活性炭を充填したカラムに通すことにより行なうことができる。例えば、上記の方法は、各キトサンオリゴ糖画分に含まれるオリゴ糖(キトサンオリゴ糖及び部分アセチル化キトオリゴ糖をいう。以下同じ。)の質量に対して、50〜200%、より好ましくは50〜100%の活性炭を加えて、10〜90℃で0.5〜50時間撹拌した後、濾過して濾液回収すればよい。

0035

本発明で用いられる活性炭は、飲食品の製造に使用可能な活性炭であれば特に制限なく用いることができるが、医薬・酒造の脱色精製に使用されるタイプのものが好ましく用いられる。市販品としては、例えば「タケコール50WR」、「精製白鷺」(いずれも商品名、武田薬品工業製)等を用いることができる。

0036

本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法によれば、製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止できると共に部分アセチル化キトオリゴ糖を簡単な操作で除去することができ、高純度(示差屈折検出によるHPLC法において99%以上)のキトサンオリゴ糖を効率よく得ることができる。

0037

次に、本発明のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法について説明するが、前記キトサンオリゴ糖の製造方法で説明した方法と基本的に同じ操作を行なう工程については、説明を省略するか簡単に説明するに留める。

0038

・キトサンの加水分解工程
本工程は、前記キトサンオリゴ糖の製造方法で説明した方法と同じであるので説明を省略する。

0039

・キトサン加水分解物を還元処理する工程
キトサン加水分解物を還元処理する方法は、公知の方法を採用できるが、本発明においては、以下の理由から水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いる方法が好ましく採用される。

0040

水素化ホウ素ナトリウムは、キトサンオリゴ糖のアミノ基には作用せず、還元末端に特異的な還元剤であり、取り扱いが簡単で安価である。

0041

還元処理の条件が温和で、キトサンオリゴ糖のグリコシル結合の加水分解が起こる危険性がない。

0042

還元処理後ホウ酸ナトリウム塩として除去することができ、また、万一微量に残存しても安全性が高い。

0043

水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元処理は、例えばCampbell, B. J. et al:J. Chromatogr., 622, 137-146(1993)に記載された方法に従って行なうことができる。すなわち、キトサンを加水分解した反応液をpH7〜9に調整して所定量の水素化ホウ素ナトリウムを加え、減圧下、10〜40℃で3〜18時間還元反応を行なった後、pH3〜6に調整して反応を停止すればよい。本発明においては、還元率を高く(99.9%以上)するために、キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して、その20質量%以上の水素化ホウ素ナトリウムを用いることが好ましい。水素化ホウ素ナトリウムの使用量が上記より少ないと、還元率が低下(98%程度)してしまうため好ましくない。なお、本発明でいうキトサンオリゴ糖ミクスチャーとは、キトサンを加水分解することにより生じるグルコサミン及びキトサンオリゴ糖の混合物を意味する。

0044

このように、キトサン加水分解物をそのまま還元処理することにより、後工程(イオン交換クロマトグラフィー、脱塩等)での着色や褐変を防止できる。

0045

・還元処理したキトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画する工程
本工程は、前記キトサンオリゴ糖の製造方法で説明した方法と同様の方法で行なうことができる。すなわち、還元処理したキトサン加水分解物を、例えば、上記の強酸性イオン交換樹脂を充填したカラムに展開し、0〜5.5Nの塩酸で濃度勾配溶出することにより、重合度の小さいキトサンオリゴ糖アルコール体から順に溶出され、重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画することができる。なお、各キトサンオリゴ糖アルコール体画分に含まれる塩酸はエバポレーションして除去、又はアルカリで中和しておくことが好ましい。

0046

本発明においては、例えばキトサンを酸加水分解してアルカリで中和したキトサン加水分解物を還元処理した場合や、キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して、その10質量%以上の還元剤(水素化ホウ素ナトリウム)を用いて還元処理を行なった場合など、キトサン加水分解物の還元処理物が大量の塩類を含む場合は、キトサン加水分解物の還元処理物に含まれる塩類が固形分当たり10質量%未満、より好ましくは5.0質量%以下になるまで予め脱塩してからイオン交換クロマトグラフィーに供することが好ましい。これにより、イオン交換クロマトグラフィーの分離能を向上することができる。特に、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いた場合に生じるホウ酸ナトリウムが大量に含まれる場合、その溶出ピークがキトビイトールの溶出ピークと重なるため、できる限り除去しておくことが好ましい。

0047

脱塩の方法は、公知の方法を採用できるが、電気透析法による脱塩は効率が悪く非常に時間がかかるため、前記と同様にNaCl阻止率が55.0〜99.5%のRO膜を用いて行なうことが好ましい。

0048

また、イオン交換クロマトグラフィーにより分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分に含まれる塩酸をアルカリで中和した場合、後述する活性炭処理の前あるいは後に前記と同様にRO膜を用いて脱塩することが好ましい。

0049

・分画した各キトサンオリゴ糖アルコール体画分をそれぞれ活性炭処理して部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を除去する工程
前記工程で得られる各キトサンオリゴ糖アルコール体画分には、部分アセチル化キトオリゴ糖に由来する不純物、すなわち部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体が含まれている。この部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体は、各画分に含まれるキトサンオリゴ糖アルコール体と1分子中のアミノ基数が同一であり、分子量もほとんど同一であるため、イオン交換クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィーで分離除去することは困難であるが、活性炭処理することにより、効率よく除去することができる。

0050

活性炭処理は、前記キトサンオリゴ糖の製造方法で説明した方法と同様の方法で行なうことができる。例えば、各キトサンオリゴ糖アルコール体画分に活性炭を加えて撹拌することにより活性炭処理を行なう場合は、各キトサンオリゴ糖アルコール体画分に含まれるオリゴ糖アルコール体(キトサンオリゴ糖アルコール体及び部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体をいう。以下同じ。)の質量に対して、50〜200%、より好ましくは50〜100%の活性炭を加えて、10〜60℃で0.5〜48時間撹拌した後、濾過して濾液を回収すればよい。

0051

本発明のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法によれば、製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色を防止できると共に部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を簡単な操作で除去することができ、従来に比べてより高純度のキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく得ることができる。

0052

なお、本発明の方法により製造されたキトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体は遊離体であっても塩を形成していてもよい。塩としては、例えば塩酸塩乳酸塩酢酸塩、硫酸塩、クエン酸塩アスコルビン酸塩リンゴ酸塩コハク酸塩アジピン酸塩グルコン酸塩酒石酸塩等が挙げられるが、特に最終製品塩形態を限定するものではない。また、最終製品の形態は、特に制限されず、必要に応じて溶液ペースト粉末等を選択できる。

0053

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1(キトサンオリゴ糖の製造)
脱アセチル化度(以下DACと略す。)88.5%のキトサン200gを、濃塩酸2Lを用いて80℃で1時間加水分解した後、反応液を冷却し、蒸留水2Lを加え、不溶物をブフナー濾過器で除去した。得られた濾液をエバポレーター減圧濃縮乾固して塩酸を除去し、キトサン加水分解物96gを得た。

0054

このキトサン加水分解物を1Lの水に溶解して、イオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖を分画した。具体的には、上記キトサン加水分解物の水溶液イオン交換樹脂(商品名「Dowex 50W×4,H+ form,200-400 mesh」、ダウケミカルカンパニー製、以下同じ。)を充填した25L容カラムに通して、キトサンオリゴ糖を吸着させた後、カラムの2倍容脱イオン水洗浄した。その後、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、2.5Lずつフラクションコレクター分取し、キトサンオリゴ糖をニンヒドリン発色法(570nm)で検出した。その分離クロマトグラム図1に示す。

0055

図1に示されるように、キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供することにより、グルコサミン、キトビオース、キトトリオース、キトテトラオースが重合度別に分画されていることが分かる。

0056

そして、図1に示す分画番号45〜51のフラクションを回収して、減圧濃縮乾固して塩酸を除去し、キトビオースに相当する画分を得た。

0057

このキトビオースに相当する画分の一部を脱イオン水に溶解して、以下の条件でHPLC分析を行なった(なお、以下の例において、キトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖アルコール体の純度は、特に断りのない限り、この条件で測定した。)。

0058

カラム:Shodex製の商品名「Asahipak NH2P-50 4E」(4.6mm ID×250mm L)
移動相:CH3CN/H2O/5M CH3COOK(vol)=70/30/0.25
温度:35℃
流速:0.8mL/min
検出:示差屈折(RI)及び紫外部(210nm)
その結果を図2に示す。図2に示されるように、RIで検出されたメインピークは、標準品の溶出時間(R.T.=7.4分)と一致することからキトビオースと判断した。しかしながら、R.T.が13.5分の付近に認められるピークは、アセチル基に由来するUV(210nm)吸収を持っていることから、部分アセチル化キトオリゴ糖であると判断した。この部分アセチル化キトオリゴ糖は、原料キトサンに残存していたアセチル基が原因で生成したものである。

0059

そこで、上記のキトビオースに相当する画分の一部を脱イオン水に溶解して、オリゴ糖に対して質量比で50%の活性炭(商品名「タケコール50WR」、武田薬品工業製、以下同じ。)を添加して1時間撹拌した後、活性炭を除去して得られた濾液について、上記と同様の条件でHPLC分析した。その結果を図3に示す。

0060

図3に示されるように、活性炭処理することにより、部分アセチル化キトオリゴ糖が選択的に除去されていることが分かる。この活性炭処理により、キトビオースの純度を99%以上に精製することができた(活性炭処理前の純度は67%)。なお、活性炭処理前後におけるキトビオースの回収率は92.8%であった。

0061

実施例2(脱塩方法
・RO膜による脱塩
実施例1に準じてキトサン加水分解物を調製してイオン交換カラムクロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖を重合度別に分離した。そして、キトトリオースに相当する画分を回収し、1NNaOH水溶液でpH5.5に調整して、中和液40L(キトトリオース350g、NaCl 5.3kg含有)を得た。

0062

この中和液を実施例1と同様にして活性炭処理した後、RO膜を用いて脱塩を行なった。具体的には、RO膜装置(商品名「メンブレンマスターRUW-7」、日東電工株式会社製)に、塩阻止率93%のRO膜モジュール(商品名「NTR-729HG(2インチ)」、日東電工株式会社製)を1本セットして、操作圧力2.0MPa、循環流量6.0L/min、温度18℃の条件下で、原液タンク透過液量同量の水を加えながら原液濃縮液)量を一定に保持するダイアフィルトレーション方式で脱塩を行なった。

0063

そして、透過液量が200Lになった時点で脱塩を終了し、pH調整後、凍結乾燥してキトトリオース塩酸塩の粉末(純度99.7%)を得た。この粉末の灰分(NaClが主成分)を分析したところ0.05質量%であった。

0064

電気透析膜による脱塩
上記と同様にして中和液(キトトリオース350g、NaCl 5.3kg含有)を調製して活性炭処理を行なった。その一部(5L)を「セレミオン電気透析装置DS-0」(商品名、旭硝子株式会社製)を用いて脱塩した。なお、イオン交換膜として「AMV」及び「CMV」(商品名、旭硝子株式会社製)をそれぞれ20枚用い、循環流量3.5L/min、電圧15Vに設定した。

0065

そして、脱塩液の電流値が0.3Aとなった時点で電気透析を終了し、pH調整後、凍結乾燥してキトトリオース塩酸塩の粉末(純度99.8%)を得た。この粉末について灰分を分析したところ1.6質量%であった。

0066

以上の結果から、RO膜を用いることにより、キトサン加水分解物を効率よく脱塩できることが分かる。また、RO膜で脱塩して得られたキトトリオース塩酸塩は白色で着色が認められなかったのに対して、電気透析膜で脱塩して得られたものは着色(淡黄色)が認められた。

0067

実施例3(キトサンオリゴ糖アルコール体の製造)
DAC 88.5%のキトサン200gを、実施例1と同様の方法で加水分解し、減圧濃縮乾固してキトサン加水分解物96gを得た。

0068

このキトサン加水分解物を5Lの水に溶解して、1NNaOH水溶液でpH7.5に調整し、還元剤としてNaBH4(関東化学株式会社製、以下同じ。)を4.8g(キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して5.0質量%の量)添加して、室温、減圧下で6時間撹拌して還元処理を行ない、1N HClでpH4.0に調整して反応を停止した。

0069

このキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)をイオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖アルコール体を分画した。具体的には、上記還元処理物(水溶液)をイオン交換樹脂を充填した25L容カラムに通して、キトサンオリゴ糖アルコール体を吸着させた後、カラムの2倍容の脱イオン水で洗浄した。その後、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、2.5Lずつフラクションコレクターで分取し、キトサンオリゴ糖アルコール体をニンヒドリン発色法(570nm)で検出した。

0070

そして、キトトリイトールに相当するフラクションを回収し、エバポレーターで減圧濃縮乾固して塩酸を除去した。この画分の一部を少量の脱イオン水に溶解して、実施例1に記載した条件でHPLC分析を行なった。その結果を図4に示す。

0071

図4に示されるように、RIで検出されたメインピークは標準品のR.T.(9.6分)と一致するため、キトトリイトールと判断した。しかしながら、R.T.が14.8分と17.3分付近に認められるピークはアセチル基に由来するUV(210nm)吸収を持っていることから、部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体であると判断した。この部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体は、原料キトサンを加水分解した際に生じる部分アセチル化キトオリゴ糖に由来するものである。

0072

そこで、上記のキトトリイトールに相当する画分の一部を脱イオン水に溶解して、オリゴ糖アルコール体に対して質量比で50%の活性炭を添加して1時間撹拌した後、活性炭を除去して得られた濾液について、上記と同様の条件でHPLC分析を行なった。その結果を図5に示す。

0073

図5に示されるように、活性炭処理することにより部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体が選択的に除去されていることが分かる。この活性炭処理により、キトトリイトールの純度を99%以上に精製することができた(活性炭処理前の純度は62%)。なお、活性炭処理前後におけるキトトリイトールの回収率は87.7%であった。

0074

実施例4(還元処理工程の順番
DAC 99.8%のキトサン40gを、水4Lに分散させて撹拌しながら酢酸を加えて溶解させた(pH5.0)。この溶液に、キトサナーゼ(商品名「キトサナーゼ−RD」、ピアス株式会社製、以下同じ。)を40U加え、55℃で24時間反応させた。酵素を失活させて濾過して不溶物を除去した後、1NNaOH水溶液でpH7.5に調整してキトサン加水分解物(水溶液)を得た。

0075

このキトサン加水分解物(水溶液)の半分を用いて還元処理を行なった。具体的には、還元剤としてNaBH4を1.0g(キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して5.0質量%の量)添加して、室温、減圧下で6時間撹拌して還元処理を行ない、1N HClでpH4.0に調整して反応を停止した。

0076

このキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)をイオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖アルコール体を分画した。具体的には、上記還元処理物(水溶液)をイオン交換樹脂を充填した1L容カラムに通して、キトサンオリゴ糖アルコール体を吸着させた後、カラムの2倍容の脱イオン水で洗浄した。その後、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、70mLずつフラクションコレクターで分取し、キトサンオリゴ糖アルコール体をニンヒドリン発色法(570nm)で検出した。

0077

そして、キトテトライトールに相当する画分を回収し、エバポレーターで減圧濃縮乾固して過剰な塩酸を除去した後、脱イオン水を加えて溶解し、実施例3と同様にして活性炭処理を行なった。そして、pH調整後、凍結乾燥してキトテトライトール塩酸塩の粉末(純度99.9%、以下サンプル1という)0.55gを得た。

0078

一方、残りの半分のキトサン加水分解物を還元処理せずに上記と同様にイオン交換カラムに供して分画して、キトテトラオースに相当する画分を回収した。エバポレーターで減圧濃縮乾固して過剰な塩酸を除去した後、脱イオン水を加えて溶解し、オリゴ糖に対して5.0質量%の量のNaBH4を添加して、上記と同様にして還元処理を行ない、1N HClでpH4.0に調整して反応を停止した。

0079

この反応液を、電気透析機(商品名「マイクロアシライザー」、旭化成株式会社)を用いて脱塩した。なお、イオン交換膜(カートリッジ膜)は「AC−120−10」(商品名、旭化成株式会社製)を使用した。

0080

得られた脱塩液を活性炭処理した後、pH調整して凍結乾燥してキトテトライトール塩酸塩の粉末(純度99.9%、以下サンプル2という)0.50gを得た。

0081

得られた各サンプルを10%(w/v)となるように脱イオン水に溶解し、着色度OD350nmを指標)を測定したところ、サンプル1の着色度は0.53、サンプル2の着色度は1.58であった。なお、還元剤由来のホウ酸ナトリウム(NaBO2)をクルクミン法で定量したところ、サンプル1には検出されなかったが、サンプル2には250ppmのホウ酸ナトリウムが検出された。

0082

以上の結果から、キトサン加水分解物を還元処理した後、イオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖アルコール体を分画することにより、キトサンオリゴ糖の着色を防止できることが分かる。また、電気透析では、ホウ酸ナトリウムを効率よく除去できないことが分かる。

0083

実施例5(脱塩方法)
DAC85.6%のキトサン20kgを、濃塩酸200Lを用いて80℃で1時間加水分解した後、反応液を冷却し、200Lの蒸留水を加えて不溶物をフィルタープレス濾過機で除去した。得られた濾液を減圧濃縮乾固して塩酸を除去し、キトサン加水分解物13kgを得た。

0084

このキトサン加水分解物に水100Lを加えて溶解し、6N NaOHを用いてpH7.6に調整した後、NaBH4を650g(キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して5.0質量%の量)を添加して室温、減圧下で6時間撹拌して還元処理を行ない、1N HClでpH5.5に調整して反応を停止した。

0085

このキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液、130gオリゴ糖/L)の半分を用いてRO膜装置で脱塩した。具体的には、キトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)50Lを、塩阻止率55%のRO膜モジュール(商品名「SU-610(4インチ)」、東レ株式会社製)を2本セットした装置(商品名「FVY-1002型」、東レ株式会社製)の原液タンクに投入し、操作圧力0.3MPa、循環流量10L/min、温度24℃の条件下でダイアフィルトレーション方式で脱塩を行なった。

0086

透過液量が0、40、80、120Lの時点で原液タンク内(濃縮液)からサンプリングして、キトサンオリゴ糖アルコール体をニンヒドリン法で定量し、ホウ酸ナトリウムをクルクミン法で定量した。その結果を表1に示す。

0087

0088

表1から、12分間の処理で、キトサンオリゴ糖アルコール体に対するホウ酸ナトリウムの比率(100×b/a)は6.5%から0.08%に減少していることが分かる。また、脱塩処理による溶液の着色は全く起こらなかった。

0089

次に、脱塩処理したキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)の一部(2.5L)をイオン交換樹脂を充填した25L容カラムに通して、キトサンオリゴ糖アルコール体を吸着させた後、カラムの2倍容の脱イオン水で洗浄した。その後、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、2.5Lずつフラクションコレクターで分取した。各フラクションに含まれるキトサンオリゴ糖アルコール体をニンヒドリン発色法(570nm)で検出し、グルコミニイトール、キトビイトール、キトトリイトール、キトテトライトールの順に溶出し、重合度別に分離していることを確認した。

0090

そして、キトビイトールに相当する画分を回収し、減圧濃縮乾固して塩酸を除去し、粉末64gを得た。この粉末を脱イオン水1Lに溶解し、活性炭32gを加えて2時間撹拌した後、活性炭を除去した。得られた濾液のpHを4.5に調整後、凍結乾燥して白色粉末54.4gを得た(活性炭処理による回収率85%)。この粉末を実施例1に記載した条件でHPLC分析を行なったところ、キトビイトールの純度は100%であった。

0091

一方、上記キトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)の一部(5L)を「セレミオン電気透析装置DS-0」(商品名、旭硝子株式会社製)を用いて脱塩を行ない、上記と同様にしてキトサンオリゴ糖アルコール体及びホウ酸ナトリウムを定量した。なお、イオン交換膜として「AMV」及び「CMV」(商品名、旭硝子株式会社製)をそれぞれ20枚用い、循環流量3.5L/min、電圧15Vに設定した。その結果を表2に示す。

0092

0093

表2から、キトサンオリゴ糖アルコール体に対するホウ酸ナトリウムの比率(100×b/a)は180分経過しても1.1%であることが分かる(ホウ酸ナトリウムの84%を除去)。更に、300分まで脱塩処理を継続しても電流値は0.3A以下にならず、これ以上は脱塩できないものと判断した。また、溶液の着色が若干認められた。

0094

以上の結果から、RO膜を用いることにより、キトサン加水分解物の還元処理物を効率よく脱塩できることが分かる。

0095

実施例6(脱塩の有無による分離能の差)
DAC 99.8%のキトサン4gを、水400mLに分散させて撹拌しながら酢酸を加えて溶解させた(pH5.0)。この溶液に、キトサナーゼを4U加え、55℃で24時間反応させた後、酵素を失活させて濾過して不溶物を除去した後、pHを7.5に調整してキトサン加水分解物(水溶液)を得た。

0096

このキトサン加水分解物(水溶液)にNaBH4を0.4g(キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して10質量%の量)添加して、室温、減圧下で6時間撹拌して還元処理を行ない、1N HClでpH4.0に調整して反応を停止した。

0097

得られたキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)の半分を、電気透析機(商品名「マイクロアシライザー」、旭化成株式会社製)を用いて脱塩した。なお、イオン交換膜(カートリッジ膜)は、商品名「AC-120-10」(旭化成株式会社製)を用いた。

0098

次に、この脱塩液(塩類(主にホウ酸ナトリウム)の含量は5質量%)をイオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖アルコール体を分画した。具体的には、上記脱塩液をイオン交換樹脂を充填した100mL容カラムに通してキトサンオリゴ糖アルコール体を吸着させた後、カラムの2倍容の脱イオン水で洗浄した。その後、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、10mLずつフラクションコレクターで分取し、キトサンオリゴ糖アルコール体をニンヒドリン発色法(570nm)で検出した。その分離クロマトグラムを図6に示した。

0099

図6から、キトサンオリゴ糖アルコール体は重合度別に分離されており、ホウ酸ナトリウムのピークは、キトビイトールのピークと完全に分離していることが分かる。

0100

そして、キトトライトールに相当する画分を回収し、減圧濃縮乾固して塩酸を除去し、粉末230mgを得た。この粉末を脱イオン水100mLに溶解し、活性炭230mgを加えて1時間撹拌した後、活性炭を除去した。得られた濾液のpHを4.5に調整後、凍結乾燥して、白色粉末214mgを得た(活性炭処理による回収率93%)。この粉末を実施例1に記載した条件でHPLC分析を行なったところ、キトトライトールの純度は100%であった。

0101

一方、得られたキトサン加水分解物の還元処理物(水溶液)を、脱塩を行なわずにそのままイオン交換クロマトグラフィーに供し、キトサンオリゴ糖アルコール体を分画した。その分離クロマトグラムを図7に示した。なお、イオン交換クロマトグラフィーは上記と同様にして行なった。

0102

図7に示すように、キトビイトール、キトトリイトール、キトテトライトール相互の分離性が不良であることが分かる。また、ホウ酸ナトリウムのピークの一部がキトビイトールのピークと重なっていることが分かる。

0103

以上の結果から、キトサン加水分解物の還元処理物に含まれる塩類が固形分当たり10質量%以上の状態でイオン交換クロマトグラフィーを行なった場合、各キトサンオリゴ糖アルコール体の分離性の低下やホウ酸ナトリウムの混入の問題が発生することが分かる。

0104

実施例7
DAC 100%のキトサン30gを、水3Lに分散させて撹拌しながら酢酸を加えて溶解させた(pH5.0)。この溶液に、キトサナーゼを15U加え、55℃で24時間反応して酵素を失活させた後、濾過して不溶物を除去し、キトサン加水分解物(水溶液)を得た。

0105

このキトサン加水分解物(水溶液)を1NNaOH水溶液でpH7.5に調整した後、3分割して、各々にNaBH4を1.0g、1.5g、及び2.0g(キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して、それぞれ10、15、及び20質量%の量)加え、室温、減圧下で6時間撹拌して還元処理を行ない、1N HClでpH4.0に調整して反応を停止した。

0106

各還元処理物(水溶液)を脱塩した後(キトサン加水分解物の還元処理物に含まれる塩類は固形分当たり1〜3質量%)、各々200mL容のイオン交換カラムに供し、0〜4Nの塩酸による濃度勾配溶出を行ない、キトペンタイトールに相当する画分を回収した。エバポレーターで過剰な塩酸を除去後、活性炭処理し、pH調整して凍結乾燥してキトペンタイトール塩酸塩の粉末を、それぞれ42mg、46mg、及び40mg得た。

0107

これらの粉末中に残存する未還元体(キトペンタオース)の含量をソモジーネルソン法により測定した。その結果を表3に示す。

0108

0109

表3から、キトサン加水分解物に含まれるキトサンオリゴ糖ミクスチャーに対して20質量%以上の量のNaBH4を用いることにより、99.9%以上の還元率を達成できることが分かる。

0110

なお、上記の各キトペンタイトール塩酸塩を実施例1に記載した条件でHPLC分析を行なったところ、純度100%であった。これは、HPLC法では還元体と未還元体の分離できないためである。

発明の効果

0111

以上説明したように、本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法によれば、キトサンの加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖を分画した後、活性炭処理をすることにより、イオン交換クロマトグラフィーで除去することが困難な部分アセチル化キトオリゴ糖を効率よく除去することができ、高純度のキトサンオリゴ糖を効率よく調製することができる。

0112

また、本発明のキトサンオリゴ糖アルコール体の製造方法によれば、キトサン加水分解物を還元処理した後に、イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画することにより、製造過程におけるキトサンオリゴ糖の着色や褐変を防止することができる。そして、イオン交換クロマトグラフィーに供して重合度別にキトサンオリゴ糖アルコール体を分画した後に、活性炭処理をすることにより、部分アセチル化キトオリゴ糖アルコール体を効率よく除去することができ、高純度のキトサンオリゴ糖アルコール体を効率よく調製することができる。

図面の簡単な説明

0113

図1キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーにより分画した結果を示す図である。
図2キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーにより分画して得られたキトビオース画分をHPLC分析した結果を示す図である。
図3キトサン加水分解物をイオン交換クロマトグラフィーにより分画して得られたキトビオース画分を活性炭処理したものをHPLC分析した結果を示す図である。
図4キトサン加水分解物の還元処理物をイオン交換クロマトグラフィーにより分画して得られたキトトリイトール画分をHPLC分析した結果を示す図である。
図5キトサン加水分解物の還元処理物をイオン交換クロマトグラフィーにより分画して得られたキトトリイトール画分を活性炭処理したものをHPLC分析した結果を示す図である。
図6キトサン加水分解物の還元処理物を脱塩してからイオン交換クロマトグラフィーにより分画した結果を示す図である。
図7キトサン加水分解物の還元処理物を脱塩せずにイオン交換クロマトグラフィーにより分画した結果を示す図である。

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