図面 (/)
課題
課題解決手段
概要
背景
茶から抽出される茶ポリフェノールには様々な薬理作用が発見され、既に色々な用途に利用されている。
例えば、特開平05−017364号は茶ポリフェノールを有効成分とするシュクラーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−263648号は茶ポリフェノールの一つであるカテキンを有効成分とする体内アルコール及びその代謝物の低下促進剤を開示し、特開平06−122626号は茶ポリフェノール類がメサンギウム細胞の増殖を抑制して腎機能改善作用を有することに基づいて腎機能改善用剤を開示している。
特開平06−65085号は茶ポリフェノール類を有効成分として含むチロシナーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−9391号は茶ポリフェノール類を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−56686号はマクロファージに貪食されてLDLが泡沫細胞に至るのを阻止し得る抗動脈硬化剤を開示している。
特開平09−59154号は茶カテキンを有効成分とする解毒剤、すなわち過剰飲酒等により体内の酢酸或いはアセトン濃度が過剰に上昇して酸性血症となり、吐き気、めまいなどの不快な症状が生じた際に摂取すれば体内における酢酸及びアセトンの代謝を促進させることができ、これらの体内濃度を有効に低下させて前記諸症状を短時間で消失させ得る解毒剤を開示し、特開平10−175858号は茶カテキンに活性酸素発生抑制効果があることを見出し、活性酸素発生抑制剤及び活性酸素起因疾患予防剤すなわち歯周病や肺炎、老化、癌などの活性酸素起因疾患を予防する予防剤として利用することを提案している。
また、特開平10−147525号は茶カテキンを主成分とするヒトパピローマウイルス由来の尖圭コンジローマ治療剤を開示し、特開平10−36260号は抗ガン剤に茶カテキン類および/またはテアフラビン類を添加すると抗ガン剤の効力増強効果を得られる旨を開示し、特開平11−193239号は茶カテキンを有効成分とするガストリン分泌抑制剤及び胃酸分泌抑制剤を提案し、摂取することにより胃体部におけるガストリンの分泌及び胃酸の過剰分泌を抑制し、ひいては胃炎、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃癌等の消化器疾患の予防を図ることができる旨を開示している。
さらにまた、特開2000−60427号は、カテキンを含有する主要カテキン組成物が肝傷害保護効果(肝機能改善効果)を発揮する旨を開示し、特開2001-226276号は緑茶由来のポリフェノール類を有効成分としたアポトーシス誘導性抗白血病細胞剤を開示している。
概要
茶(Camellia sinensis)を抽出して得られる茶ポリフェノールの新たな用途として血中鉄分の代謝に関する用途を提供する。
茶ポリフェノール、好ましくは(-)-エピカテキンガレート及び(-)-エピガロカテキンガレートの合量で50%以上を有効成分として含有する過剰鉄起因肝障害予防・治療剤を提供する。血中鉄分濃度が高い場合にこれを経口摂取すると、余剰の血中鉄分を除去して血中鉄分濃度を低下せしめる。血中鉄分濃度が比較的低い場合に鉄分と共に摂取すると、鉄分吸収を促進して血中鉄分濃度の低下を抑えることができる安定化作用(コントロール作用)を有している。しかもこの際、赤血球数やヘモグロビン濃度に大きな影響をもたらすことがない。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 7件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
請求項2
有効成分である茶ポリフェノールは、(-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート、(±)-カテキン、(-)-ガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、遊離型テアフラビン、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB及びテアフラビンジガレートからなる群から選ばれたいずれか一の化合物、或いは当該群から選ばれたいずれか一の重合体、或いは当該群から選ばれたいずれか二種類以上の組合わせからなる共重合体、或いは、前記化合物、前記重合体及び前記共重合体からなる群から選ばれたいずれか二種類以上の組合わせからなる混合物である請求項1に記載の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤。
請求項3
有効成分である茶ポリフェノールは、(-)-エピカテキンガレートと(-)-エピガロカテキンガレートとの合量で少なくとも50%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤。
請求項4
技術分野
イオン交換水… 100mLに調整
背景技術
0003
例えば、特開平05−017364号は茶ポリフェノールを有効成分とするシュクラーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−263648号は茶ポリフェノールの一つであるカテキンを有効成分とする体内アルコール及びその代謝物の低下促進剤を開示し、特開平06−122626号は茶ポリフェノール類がメサンギウム細胞の増殖を抑制して腎機能改善作用を有することに基づいて腎機能改善用剤を開示している。
0004
特開平06−65085号は茶ポリフェノール類を有効成分として含むチロシナーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−9391号は茶ポリフェノール類を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤を開示し、特開平06−56686号はマクロファージに貪食されてLDLが泡沫細胞に至るのを阻止し得る抗動脈硬化剤を開示している。
0005
特開平09−59154号は茶カテキンを有効成分とする解毒剤、すなわち過剰飲酒等により体内の酢酸或いはアセトン濃度が過剰に上昇して酸性血症となり、吐き気、めまいなどの不快な症状が生じた際に摂取すれば体内における酢酸及びアセトンの代謝を促進させることができ、これらの体内濃度を有効に低下させて前記諸症状を短時間で消失させ得る解毒剤を開示し、特開平10−175858号は茶カテキンに活性酸素発生抑制効果があることを見出し、活性酸素発生抑制剤及び活性酸素起因疾患予防剤すなわち歯周病や肺炎、老化、癌などの活性酸素起因疾患を予防する予防剤として利用することを提案している。
0006
また、特開平10−147525号は茶カテキンを主成分とするヒトパピローマウイルス由来の尖圭コンジローマ治療剤を開示し、特開平10−36260号は抗ガン剤に茶カテキン類および/またはテアフラビン類を添加すると抗ガン剤の効力増強効果を得られる旨を開示し、特開平11−193239号は茶カテキンを有効成分とするガストリン分泌抑制剤及び胃酸分泌抑制剤を提案し、摂取することにより胃体部におけるガストリンの分泌及び胃酸の過剰分泌を抑制し、ひいては胃炎、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃癌等の消化器疾患の予防を図ることができる旨を開示している。
発明が解決しようとする課題
0007
さらにまた、特開2000−60427号は、カテキンを含有する主要カテキン組成物が肝傷害保護効果(肝機能改善効果)を発揮する旨を開示し、特開2001-226276号は緑茶由来のポリフェノール類を有効成分としたアポトーシス誘導性抗白血病細胞剤を開示している。
0008
体内において鉄分は、酸素の輸送、筋肉中における酸素の定着・エネルギーの再生及び代謝、酸素毒に対する防御、体温維持などの役割を果たしている。体内の鉄分の大部分は蛋白質が結合した複合蛋白質として存在し、その60〜70%は赤血球中のヘモグロビンに存在し、残りは肝臓や血清中に蓄えられている。
0009
鉄分濃度が過剰である場合の影響は深刻である。何らかの原因で鉄分過剰になると、体内の各組織に鉄分が沈着しその慢性毒性によって組織障害や繊維症などから糖尿病、肝機能障害、性機能障害などの疾病を招来すると言われている。例えば、心臓への鉄沈着は心筋障害を引き起こすし、膵臓への鉄沈着は糖尿病の原因となり、脳下垂体への鉄沈着はゴナドトロピン分泌低下を促すことが知られている。中でも肝臓への影響は大きく、肝臓における鉄沈着は繊維症から肝硬変を招来すると共に、肝障害の憎悪因子、中でもC型慢性肝炎におけるウィルス活動の憎悪因子が鉄であることが最近明らかになってきた。そればかりか、肝内にて異常増加した鉄イオンが肝障害の主要要因となっているとの報告もなされている(第53回日本癌学会総会要旨集、第91頁、1994年)。
0010
健康体では鉄分の吸収は厳しく調節されており、必要な鉄量を超えると体内では吸収効率が自然に低下するしくみになっている。にもかかわらず鉄過剰となる原因としては、輸血、鉄の吸収過剰、鉄の摂取過剰、鉄濃度の高いアルコール飲料の摂取、非経口鉄剤の長期摂取、肝臓疾患などが知られている(Pippard MJ:Iron deficiency and overload. In.Oxford Textbook of Medicine.pp.19.83-19.91 Oxford University Press.1990)ほか、遺伝的な原因も知られている。無セルロプラスミン血症(aceruloplasminemia)はセルロプラスミン遺伝子の異常により脳,肝臓,膵臓などの全身諸臓器に鉄の過剰沈着をきたす常染色体劣性遺伝病である。
0011
過剰な鉄を除去する治療法として現在一般的に瀉血(しゃけつ)が行われている。瀉血とは、患者の静脈から血を抜き出す治療法であり、例えば点滴で水分を補給しながら200〜400mL程度の採血を繰り返すようにして行われる。しかし、瀉血を繰り返すと鉄欠乏状態になり易いため、貧血気味の人には難しい治療である。また、過度の瀉血によって爪が変形したり、脱力感が生じたり、肝障害を引き起こすことも報告されている。さらには、瀉血するにはそれなりの設備を整える必要があるため、適切な血中鉄分濃度を維持するための維持療法として家庭などで行うことは困難であり、患者の負担が大きいという課題も有していた。
0012
一方、鉄分が不足すると、血中ヘモグロビン量が減り、体内に酸素が充分に行き渡らなくなり、貧血、倦怠感、疲労感、頭痛、めまい、動悸・息切れ、食欲不振などの様々な症状が生じるほか、病気に対する抵抗力が低下したり、体温維持機能が低下したり様々な悪影響が現れる。そして、現代人特に日本人の多くは必要鉄分摂取量が取れておらず「鉄欠乏性貧血」になっている人が多いと言われている。
0013
ところで、古くからお茶やコーヒー等のタンニンを含有する飲料には鉄の吸収を阻害する作用があると言われ、医療の現場では長年にわたり鉄欠乏症患者に対してタンニン含有飲料の摂取を避けさせる指導がなされてきた(薬局Vol.39,No.1(1988)「薬の生体内動態(13)」)。その一方、最近、鉄吸収に対するお茶等の影響を否定する報告や、鉄剤と茶を併用しても貧血の回復は十分に見られるとの報告が散見されるようになってきた。また、特開2001−139481号は、容器詰め茶飲料と鉄剤とを若年女性に併用摂取させた結果、鉄剤の吸収が促進された結果を得、かかる知見に基づいて「容器詰め茶飲料成分を有効成分としてなる鉄吸収促進剤」を開示している。
課題を解決するための手段
0014
本発明は、血中鉄分の代謝に与える茶抽出物の影響、中でも茶ポリフェノールの影響について鋭意研究した結果得られた知見に基づき、茶ポリフェノールの新たな用途を提案するものである。
0015
本発明者は、茶抽出成分の鉄分代謝に与える影響について鋭意研究した結果、今回新たに、茶抽出成分特に茶ポリフェノールには、血中鉄分が過剰になると血中鉄分濃度を低下させる作用と共に、血中鉄分が過剰でなくなると血中鉄分濃度を安定化させる作用があることを見出し、かかる知見に基づいて本発明、すなわち茶ポリフェノールを有効成分として含有する過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物を提案するものである。なお、本発明における「鉄分」とは鉄と蛋白質とが結合した複合蛋白質をも包含する。
発明を実施するための最良の形態
0016
本発明の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物は、血中鉄分濃度が高い場合には経口摂取するだけで余剰の血中鉄分を除去して血中鉄分濃度を有効に低下せしめることができる一方、血中鉄分濃度が比較的低い場合には鉄分と共に摂取することにより鉄分吸収を促進して血中鉄分濃度の低下を抑えることができる安定化作用(コントロール作用)を有している。しかもこの際、赤血球数やヘモグロビン濃度に大きな影響をもたらさないことが確かめられており、血中鉄分濃度を低下させても貧血、倦怠感、疲労感、頭痛、めまい、動悸・息切れ、食欲不振などの赤血球数及びヘモグロビン低下による様々な悪影響を併発することがない。これらの点より、本発明の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物は、鉄欠乏に起因する様々な疾病及び疾病を発症させることなく、鉄過剰に起因する症状及び疾病(組織障害や繊維症、糖尿病、肝機能障害、性機能障害、心筋障害、ゴナドトロピン分泌低下)の治療及び予防を図ることができる。しかも、赤血球数やヘモグロビン濃度に大きな影響をもたらさず、かつ上記の如く血中鉄分濃度が低い場合にはさらなる低下を抑制するから、赤血球数やヘモグロビン低下による悪影響もなければ、過度に血中鉄分濃度を低下させることもなく、例えば瀉血後の維持治療や貧血気味の人の除鉄治療に特に有効である。さらに、本発明の有効成分は、古くから日常的に愛飲され、誰でも安心して摂取できる茶に由来する成分であるから、長期間無理なくかつ安心して摂取することができる。したがって、例えば慢性的な鉄過剰による症状や疾病の根本治療・予防、瀉血治療後の維持治療など、長期的な治療や予防に特に有効である。
0017
本発明の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物は、茶を抽出して得られる「茶ポリフェノール」を適宜濃度で配合するか、或いは茶ポリフェノールを高濃度で含有する「茶抽出物」を適宜濃度で配合することによって製造することができる。
0018
ここで、本発明における「茶ポリフェノール」とは、次のa)〜d)のいずれかを包含するものである。
a) (-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート、(±)-カテキン、(-)-ガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、遊離型テアフラビン、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB及びテアフラビンジガレートからなる群から選ばれたいずれか一の化合物、
b) a)の群から選ばれたいずれか一の重合体、
c) a)の群から選ばれたいずれか二種類以上の組合わせからなる共重合体、
d) a)のいずれかの化合物、b)のいずれかの重合体及びc)のいずれかの共重合体からなる群から選ばれたいずれか二種類以上の組合わせからなる混合物、
0019
但し、上記のa)〜d)の中でも、茶カテキン類又はその重合体或いはそれらの共重合体、その中でも特に(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート並びにこれらの重合体及び共重合体を合量で50%以上含有してなるものが本発明の有効成分として好ましい。なお、茶カテキン類を含む混合物をレトルト殺菌すると,これら茶カテキン類の重合体や共重合体が生じることが知られている。
0020
これらの「茶ポリフェノール」は、ツバキ科に属する茶樹(Camellia sinensis )から得られる葉、茎、木部、根、実のいずれか、或いはこれらの2種類以上の混合物から得られる茶から抽出することができ、その茶としても、茶生葉、紅茶やプアール茶等の発酵茶、ウーロン茶や包種茶等の半発酵茶、緑茶や釜煎り緑茶、ほうじ茶等の不発酵茶のいずれか、又は、これらの2種類以上の混合物であればよく、それぞれの茶から抽出して得られるもの(単独)、又はそれぞれの茶から抽出したもの混合物を用いることができる。抽出方法としては、現在既知の任意の方法によって抽出及び精製を行えばよく、また、市販の茶ポリフェノールを使用することもできる。
0021
茶ポリフェノールを高濃度で含有する「茶抽出物」としては、例えば、上記の茶を水、温水または熱水、好ましくは40℃〜100℃の温熱水中でも90〜100℃の熱水にて抽出して得られた抽出物、更に好ましくはこの抽出物を樹脂吸着や限外濾過・逆浸透濾過等の濾過、或いは酢酸エチル等を使用した分配抽出などの精製手段によって茶カテキン含有量を高める方向に精製して得られる茶抽出物、或いは更にこれらの茶抽出物を濃縮或いは乾燥させた茶抽出エキスを挙げることができる。この際、茶ポリフェノール含有濃度は25〜97%、好ましくは30〜90%であり、この茶抽出物の具体例としては、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を乾燥させて茶カテキン濃度を約30%とした緑茶エキス(伊藤園社製商品名:テアフラン30A)や、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を茶カテキン以外の成分を排除するためにカラム法により処理し乾燥させて、茶ポリフェノール濃度を約85〜95%とした緑茶エキス(伊藤園社製商品名:テアフラン90S)などを例示することができる。
0022
上記の「茶ポリフェノール」又は「茶抽出物」は、これを唯一の有効成分とし、必要に応じて他の材料を加えて過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物を調製することが可能であるが、既に或いは将来的に血中鉄分濃度低下作用或いは鉄分吸収作用が認められた材料と混合してこれらを有効成分として過剰鉄起因肝障害予防・治療剤及び過剰鉄起因肝障害予防・治療飲食物を調製することも可能である。なお、唯一の有効成分として配合する場合、例えば「茶ポリフェノール」又は「茶抽出物」を精製品、粗精製品、或いは茶抽出エキス等の形状のまま精製水又は生理食塩水などに溶解して薬剤(例えば経口投与剤、腹腔内投与剤、脳内投与剤等)などとして提供することも可能である。
0023
本発明の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤は、経口投与剤または非経口投与剤(筋肉注射用、静脈注射用、皮下投与用、直腸投与用、経皮投与用、或いは経鼻投与用など)として使用することができ、それぞれの投与に適した配合及び剤型とするのが好ましい。剤型について言えば、例えば経口投与剤用としては液剤、錠剤、散剤、顆粒、糖衣錠、カプセル、懸濁液、乳剤、丸剤などの形態に調製することができ、非経口投与剤用としては注射剤、アンプル剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤などの形態に調製することができる。配合(製剤)について言えば、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて常法により製造することができる。また、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどの無毒性の添加剤を配合することも可能である。
0024
また、本発明の過剰鉄起因肝障害予防・治療剤は、医薬品のほか、医薬部外品、その他ヒト以外の動物に対する薬剤や食品添加剤、飼料、飼料添加剤などとしても提供することができる。例えば、医薬部外品として調製し、これを瓶ドリンク飲料等の飲用形態、或いはタブレット、カプセル、顆粒等の形態とすることにより、摂取し易い予防剤とすることができる。
0026
また、本発明の有効成分に、炭酸、賦形剤(造粒剤含む)、希釈剤、或いは更に甘味剤、フレーバー、小麦粉、でんぷん、糖、油脂類等の各種タンパク質、糖質原料やビタミン、ミネラルなどから選ばれた一種或いは二種以上を混合し、例えばスポーツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、野菜ジュース、乳性飲料、アルコール飲料、ゼリー、ゼリー飲料、炭酸飲料、チューインガム、チョコレート、キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚肉練り製品、畜肉製品、冷菓、乾燥食品、サプリメントなど様々な形態の飲食物として提供することができる。
0027
本発明における有効成分の含有量は、用途によっても異なるが、医薬品であれば、カテキン乾燥重量換算にして0.001〜1重量%、特に0.01〜0.5重量%配合することが好ましく、飲食品であれば、カテキン乾燥重量換算にして0.001〜1重量%、特に0.01〜0.5重量%配合することが好ましい。特に飲料の形態とする場合、通常飲用されるお茶の1.4倍〜8倍の濃度に調整するのが好ましい。摂取量としては、カテキン乾燥重量換算で一日に10〜5000mg、好ましくは100〜1500mg程度が好ましい。
0028
(ボランティア試験1)本試験では、20歳以上のボランティア8名(いずれのボランティアもγ−GTPが50IU/L(基準値)以上)に、下記被験飲料を8週間にわたって一日3回、食事毎に1本摂取させた。
0029
被験飲料としては、一缶190mLあたりテアフラン90S(:商品名、伊藤園社製)272mgを含有させると共に、味の改良のために若干量のサイクロデキストリン、ビタミンC及び香料を添加してなる飲料を用意した。この飲料中の茶ポリフェノール濃度は0.132%、総カテキン濃度は0.090%、EGCg及びECg濃度はそれぞれ0.072%、0.019%であった。なお、上記のテアフラン90Sは、茶ポリフェノール含量92%、茶カテキン含量としては63%(そのうち、EGCg50%、ECg13%)であった。また、被験飲料はレトルト殺菌してあるため茶カテキン類の重合物や異性体を含んだ混合物飲料となっている。
0030
この結果、図1及び図2に示されるように、血中鉄分濃度の低下とともにγ−GTP値の有意な低下が認められ、摂取開始時に比べて8週間目の値は血中鉄分濃度、γ−GTP値ともに有意に低下した。その一方、図4及び図5に示されるように、血中ヘモグロビン濃度や赤血球数はあまり変化がなく、貧血を起こしたボランティアもいなかった。また、図3に見られるように、血中鉄分濃度が90〜132μg/dLの範囲では、血中鉄分濃度とγ−GTP値の平均値には有意な相関関係があることが判明した(r=0.989561)。
0031
(ボランティア試験2)本試験では、20歳以上の男性のボランティア42名を14ずつの3群(A群、B群、C群)に分け、A群にはプラセボ飲料190gを一日に3本ずつ8週間摂取させ、B群には下記組成の茶ポリフェノール配合飲料190gを一日に2本ずつ8週間摂取させ、C群には下記組成の茶ポリフェノール配合飲料190gを一日に3本ずつ8週間摂取させた。
0032
0033
この結果、図6に示されるように、8週間後の血中鉄分濃度は各群とも94.6±1.5μg/dLに収束した。以上の点から、本被験飲料の継続的摂取は、血中ヘモグロビン濃度や赤血球数に影響を与えず、貧血を起こさせることもなく、それでいて血中鉄分濃度を効果的に降下せしめることができることが確かめられた。
0034
(実施例1)以下の処方で過剰鉄起因肝障害予防・治療剤としてのタブレットを作成した。
0035
茶抽出物(テアフラン90S又はテアフラン30A) … 120mg
ビタミンC… 50mg
乳化オリゴ糖… 90mg
造粒剤… 60mg
結晶セルロース… 80mg
還元麦芽糖水飴… 90mg
スクロース… 100mg
香料… 適量
0036
(実施例2)以下の処方で血中鉄分濃度安定化効果を備えた飲食物としての飲料を作成した。
図面の簡単な説明
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