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技術 成形性に優れた鋼管の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 篠原康浩朝日均吉永直樹藤田展弘高橋学
出願日 2001年12月27日 (18年11ヶ月経過) 出願番号 2001-397721
公開日 2003年7月9日 (17年5ヶ月経過) 公開番号 2003-193130
状態 未査定
技術分野 型打ち,へら絞り,深絞り 鋼の加工熱処理 管の製造;マンドレル
主要キーワード 円周方向全域 鋼管材料 伸管加工 加工硬化係数 初期集合 ハイドロフォーム法 変態膨張量 模擬実験
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年7月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

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課題

本発明は、成形加工性にすぐれた鋼管を提供する。

解決手段

熱間絞り圧延において、フェライト分率が20%以上で、かつ、縮径率が25%以上となるように圧延して鋼管を製造する。

概要

背景

最近、従来の成形および接合の両工程の組み合わせで製造されていた部材に対して、その工程省略および製品品質信頼性向上を目的として、一体成形で製造する方法が多く適用されるようになってきた。例えば、自動車分野においては、車体の軽量化、組み立てコスト低減のニーズに伴い、複雑な形状の部材については鋼管からハイドロフォーム法を用いて一体成形加工する技術が適用されつつある。このような新たなハイドロフォーム成形法(特開平10−175026号公報参照)などの一体成形加工方法が実際に採用されれば、コストの削減や設計の自由度が拡大されるなどの大きなメリットが期待される。

このハイドロフォーム成形法のメリットを十分生かすためには、この成形法に適した特性を有する材料の開発が必要となる。

例えば、第50回塑性加工連合講演大会(1999,447頁)において、熱延鋼板素材とした鋼管のハイドロフォーム成形性に及ぼすr値の影響が報告されているが、主としてシミュレーションによる解析結果であり、実際のハイドロフォーム成形における成形性向上のために必要な鋼管特性を示めすものではない。

また、成形性に重要な鋼管特性としてr値の高い鋼管およびその製造方法に関しては多くの特許出願がなされており、例えば、特開2001−214218号公報では、帯鋼電縫溶接してなる鋼管に、Ac1温度以上に加熱後、600℃以上、Ac3以下の温度域縮径率30%以上の縮径圧延を施すか、更にこの圧延後の冷却中、冷却完了後に再加熱して熱処理することにより円周方向全域でr値が1.2以上の高加工性鋼管とその製造方法が提案されている。

しかしながら、本発明者らの実験によれば、後述するように鋼管のr値は、絞り圧延における圧延温度と縮径率だけでは決まらず、例えば、圧延温度と縮径率が同じ条件であっても加熱温度や加熱から圧延開始までの冷却速度などの条件の違いによってr値が著しく異なり、従来法では目的とするr値を安定的に得られないことが分かった。

したがって、ハイドロフォーム成形性あるいは曲げ成形性、伸管加工性等の厳しい成形に耐えうる鋼管材料の開発が必要となる。

概要

本発明は、成形加工性にすぐれた鋼管を提供する。

熱間絞り圧延において、フェライト分率が20%以上で、かつ、縮径率が25%以上となるように圧延して鋼管を製造する。

目的

本発明は、成形加工特性に特に重要なrL値を精度良く得るため鋼管縮径圧延における圧延条件を規定することによって、ハイドロフォーム成形性、さらには曲げ成形性、伸管加工性等の加工において成形加工特性に優れた鋼管の製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

鋼管絞り圧延において、フェライト分率が20%以上、かつ、縮径率が25%以上となるように圧延することを特徴とする成形性に優れた鋼管の製造方法。

請求項2

前記鋼管の絞り圧延において、さらに、下記の鋼管の軸方向r値(rL)の要求値に応じた縮径率(x%)とフェライト分率(b%)の関係式満足するように圧延することを特徴とする請求項1記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。要求されるrL値が1.5以上の場合、x>−0.28×b+58.5 (1)要求されるrL値が2.0以上の場合、x>−0.28×b+69.6 (2)要求されるrL値が2.5以上の場合、x>−0.28×b+86.5 (3)

請求項3

前記鋼管の絞り圧延前の加熱温度Ac3以上であることを特徴とする請求項1または2記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。

請求項4

前記鋼管の絞り圧延の終了温度が600℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えば、自動車部材機械組み立て品などに用いられる鋼管の製造方法に関し、特に、ハイドロフォーム成型性曲げ成形性、伸管加工性等に優れた鋼管を絞り圧延して製造する方法に関する。

背景技術

0002

最近、従来の成形および接合の両工程の組み合わせで製造されていた部材に対して、その工程省略および製品品質信頼性向上を目的として、一体成形で製造する方法が多く適用されるようになってきた。例えば、自動車分野においては、車体の軽量化、組み立てコスト低減のニーズに伴い、複雑な形状の部材については鋼管からハイドロフォーム法を用いて一体成形加工する技術が適用されつつある。このような新たなハイドロフォーム成形法(特開平10−175026号公報参照)などの一体成形加工方法が実際に採用されれば、コストの削減や設計の自由度が拡大されるなどの大きなメリットが期待される。

0003

このハイドロフォーム成形法のメリットを十分生かすためには、この成形法に適した特性を有する材料の開発が必要となる。

0004

例えば、第50回塑性加工連合講演大会(1999,447頁)において、熱延鋼板素材とした鋼管のハイドロフォーム成形性に及ぼすr値の影響が報告されているが、主としてシミュレーションによる解析結果であり、実際のハイドロフォーム成形における成形性向上のために必要な鋼管特性を示めすものではない。

0005

また、成形性に重要な鋼管特性としてr値の高い鋼管およびその製造方法に関しては多くの特許出願がなされており、例えば、特開2001−214218号公報では、帯鋼電縫溶接してなる鋼管に、Ac1温度以上に加熱後、600℃以上、Ac3以下の温度域縮径率30%以上の縮径圧延を施すか、更にこの圧延後の冷却中、冷却完了後に再加熱して熱処理することにより円周方向全域でr値が1.2以上の高加工性鋼管とその製造方法が提案されている。

0006

しかしながら、本発明者らの実験によれば、後述するように鋼管のr値は、絞り圧延における圧延温度と縮径率だけでは決まらず、例えば、圧延温度と縮径率が同じ条件であっても加熱温度や加熱から圧延開始までの冷却速度などの条件の違いによってr値が著しく異なり、従来法では目的とするr値を安定的に得られないことが分かった。

0007

したがって、ハイドロフォーム成形性あるいは曲げ成形性、伸管加工性等の厳しい成形に耐えうる鋼管材料の開発が必要となる。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、成形加工特性に特に重要なrL値を精度良く得るため鋼管縮径圧延における圧延条件を規定することによって、ハイドロフォーム成形性、さらには曲げ成形性、伸管加工性等の加工において成形加工特性に優れた鋼管の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明では、鋼管を母管として、この鋼管を絞り圧延する場合の圧延条件を規定することで成形加工性に重要なrL値の高い成形加工性に優れた鋼管を提供するものである。つまり、本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)鋼管の絞り圧延において、フェライト分率が20%以上、かつ、縮径率が25%以上となるように圧延することを特徴とする成形性に優れた鋼管の製造方法。
(2)前記鋼管の絞り圧延において、さらに、下記の鋼管の軸方向r値(rL)の要求値に応じた縮径率(x%)とフェライト分率(b%)の関係式満足するように圧延することを特徴とする上記(1)記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。
要求されるrL値が1.5以上の場合、x>−0.28×b+58.5 (1)
要求されるrL値が2.0以上の場合、x>−0.28×b+69.6 (2)
要求されるrL値が2.5以上の場合、x>−0.28×b+86.5 (3)
(3)前記鋼管の絞り圧延前の加熱温度がAc3以上であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。
(4)前記鋼管の絞り圧延の終了温度が600℃以上であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の成形性に優れた鋼管の製造方法。

発明を実施するための最良の形態

0010

以下に、本発明を詳細に説明する。

0011

一般に鋼管の成形加工性を向上させるためにはn値加工硬化係数)、または一様伸びを高めることが必要であることが知られてるが、本発明者らは、この事実に加え、さらに、鋼管長手方向のr値(ランクフォード値)、つまり、rL値を高めることにより成形性が向上することを見出した。

0012

図1はハイドロフォーム成形における最大拡管率とrL値の関係を示したものであるが、rL値が高くなると成形における最大拡管率が高くなることが分かる。

0013

このように、ハイドロフォーム成形および部品加工時の曲げ成形性、伸管加工性等の成形加工性を高めるためには従来知られているn値と共に、rL値を高めることが重要である。

0014

rL値を高める手段として、例えば、特開2001−214218号公報には熱間絞り圧延における圧延温度と縮径率を高くする方法が開示されている。

0015

しかしながら、本発明者らの実験によれば、鋼管のr値は、絞り圧延における圧延温度と縮径率が一定の条件でも、例えば、図2に示すように加熱温度などの条件によって著しく異なることが分かった。

0016

図2は縮径率:50%(一定)の絞り圧延における圧延温度とrL値の関係に及ぼす加熱温度の影響を示す。加熱温度が950℃および1050℃の場合で圧延温度とrL値の関係は異なり、鋼管のrL値は、縮径率および圧延温度が同一であっても、加熱温度により著しく異なる。なお、本発明者らの実験によれば、鋼管のrL値は、加熱温度の他にも、加熱から圧延開始までの冷却速度や母材成分組成などの条件の違いによっても影響を受けることが分かった。

0017

そこで、発明者らは、鋼管のrL値を安定して向上させ、目的とするハイドロフォーム成形性を得るために、rL値とより良い相関性が得られる新たな圧延条件の指標について種々の実験により鋭意検討した。

0018

その結果、次のような見解を得た。

0019

(1)rL値が向上するメカニズムは、フェライト組織が縮径圧延で加工されて集合組織が形成されることによる。

0020

(2)さらに、加工されたフェライト組織が再結晶することにより、rL値はより向上する。

0021

(3)さらに、絞り圧延前の初期集合組織は、rL値向上の観点からランダムになっているのがよく、加熱はAc3以上であることが好ましい。

0022

本発明者らは、これらの知見に加え、(4)鋼管のrL値を向上させるためには、絞り圧延における鋼中のフェライト分率が非常に重要な圧延指標となることが明らかになった。

0023

一般に、鋼管の絞り圧延は、母管となる鋼管を加熱装置で加熱後、デスケーリング装置鋼管表面スケールを水あるいは圧縮空気噴射により除去し、その後、多段ロール圧延機で鋼管を連続的に絞り圧延する。この際、鋼管は、加熱装置で一旦加熱された後、デスケーリング装置で冷却され、絞り圧延が開始されるという温度履歴をとる。本発明者らは、図2に示すような加熱条件の違いにより、rL値が向上する最適圧延温度が異なる原因について次のように考えた。

0024

絞り圧延において加熱温度や加熱後のデスケーリングによる冷却条件が異なると、同じ圧延温度であっても圧延中のフェライト分率は異なるため、加工されるフェライト量が異なり、得られるrL値に違いが生じるのである。

0025

そこで、本発明者らは、絞り圧延中のフェライト分率に注目し、これとrL値の関係について明らかにするために、表1に示した成分組成の電縫鋼管を母管として、この母管を950℃〜1200℃に再加熱した後、縮径率10%〜80%の鋼管縮径圧延を実施した。なお、縮径率は以下のように定義される。

0026

縮径率(%)=(母管外径縮径圧延後成品外径)/(母管外径)×100
フェライト分率は、加熱直後の温度、デスケーリング直後の温度、及びこれらの間の鋼材通過時間から絞り圧延における温度履歴の模擬実験を行い、その冷却速度におけるγ-αの変態膨張量測定値を基に図5に示すような変態膨張曲線を求め、特定圧延温度における直線ACに対する直線ABの比率をその圧延温度のフェライト分率と定義する。

0027

rL値は、絞り圧延後の成品(管)から弧状引張り試験片を加工し、引張り変形時の周方向(板での幅方向に相当)変形と引張り方向変形を測定し、体積一定の仮定の下、周方向変形と肉厚変形を求め計算した。

0028

図3に縮径率50%での絞り圧延におけるフェライト分率とrL値の関係を示す。加熱温度(950℃、1050℃)に関係なく、縮径率一定での絞り圧延においてrL値はフェライト分率により一義的に決まり、rL値は絞り圧延におけるフェライト分率の増加に伴い向上することが分かる。

0029

また、図4にrL値におよぼす縮径率およびフェライト分率の影響を示す。

0030

絞り圧延における縮径率が25%以上、かつフェライト分率が20%以上の条件で、安定して、少なくとも従来法のrL値と同等以上、つまり、rL値が1.0以上に向上でき、フェライト分率および縮径率を上げることにより、rL値を大幅に向上できることがわかる。

0031

したがって、本発明では、rL値を1.0以上に向上させて、ハイドロフォーム成形性あるいは曲げ成形性、伸管加工性等の厳しい成形性を充分に満足する鋼管を得るために、絞り圧延におけるフェライト分率を20%以上とし、かつ縮径率を25%以上必要とする。

0032

また、図4に示される絞り圧延における縮径率およびフェライトとrL値の関係から、要求されるrL値に応じて、下記のように絞り圧延における縮径率(x%)およびフェライト分率(b%)の関係式を満足するような条件で圧延することにより、要求されるrL値を安定的に得ることができる。

0033

要求されるrL値が1.5以上の場合、x>−0.28×b+58.5
要求されるrL値が2.0以上の場合、x>−0.28×b+69.6
要求されるrL値が2.5以上の場合、x>−0.28×b+86.5
但し、x(%)およびb(%)は、それぞれ、絞り圧延における縮径率およびフェライト分率を示す。

0034

また、熱間絞り圧延前の鋼管(母管)の加熱温度は、一旦オーステナイト域に加熱して鋼管(母管)の製造前歴、或いは、溶接管を母管として使用する場合には溶接部均質化し、絞り圧延前の初期集合組織をランダム化してrL値を向上させるためにAc3点以上とする。

0035

また、絞り圧延の温度が低下すると、加工フェライトが圧延後に再結晶され難く、rL値ばかりか、n値の向上を阻害されやすい。従って、本発明では、加工フェライトの再結晶を充分に行わせるために、圧延の終了温度を600℃以上とする。特に、高いn値が必要な場合は圧延の終了温度を700℃以上とすることが望ましい。

0036

なお、本発明で使用される鋼管用素材としては、質量%で、C:0.0005〜0.5%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%を主要成分とし、更に必要に応じて、Ni:3%以下、Cr:3%以下、Cu:2%以下、Mo:2%以下、W:2%以下、Co:3%以下、Sn:0.5%以下の1種または2種を合計で0.001〜3.5%以下含有することが望ましい。更に、鋼管が要求される特性に応じて、必要によりTi:0.3%以下、Nb:0.3%以下、V:0.3%以下の1種または2種を合計で0.005〜0.3%含有してもよい。また、Al,Zr,Mg,P,B,Ca等を少量添加することも差し支えない。

0037

表1に示す主要化学成分を有する鋼板を、通常の電縫管工程で外径127mm、肉厚2.6mmの鋼管を製造した。この鋼管を、表2に示す条件で縮径加工し、製造された鋼管のn値とrL値を測定した。表2に示すように、本発明範囲内にある本発明例1〜21の鋼管はrL値が1.0を超える良好な値を示す。また、本発明例では式〜の関係を満たすように縮径率及び絞り圧延時のフェライト分率を調整することにより所望のrL値を得ることができた。一方、比較例22〜27は縮径率及び絞り圧延時のフェライト分率の何れか一方又は両方が本発明範囲から外れているためにrL値が1.0より低くなった。

0038

なお、表2における縮径率は以下のように定義される。

0039

縮径率(%)=(母管外径−縮径圧延後の成品外径)/(母管外径)×100
また、フェライト分率は、加熱直後の温度、デスケーリング直後の温度、及びこれらの間の鋼材通過時間から絞り圧延における温度履歴の模擬実験を行い、その冷却速度におけるγ-αの変態膨張量の測定値を基に図5に示すような変態膨張曲線を求め、特定圧延温度における直線ACに対する直線ABの比率をその圧延温度のフェライト分率と定義する。

0040

また、rL値は縮径圧延後の成品(管)から弧状引張り試験片を加工し、引張り変形時の周方向(板での幅方向に相当)変形と引張り方向変形を測定し、体積一定の仮定の下、周方向変形と肉厚変形を求め計算した。

0041

n値は5%歪みから15%歪みの間の平均加工硬化率を測定した。

0042

0043

発明の効果

0044

本発明は、鋼管絞り圧延の条件を規定することで成形加工性に優れた鋼管を提供することができる。

図面の簡単な説明

0045

図1ハイドロフォーム加工での最大拡管率とrL値の関係を示す図。
図2熱間絞り圧延における圧延温度とrL値の関係を示す図。
図3熱間絞り圧延におけるフェライト分率とrL値の関係を示す図。
図4熱間絞り圧延における縮径率およびフェライトとrL値の関係を示す図。
図5絞り圧延温度履歴の模擬実験から求めた変態膨張曲線。

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