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課題

従来のプラズマ処理の問題を解消し、長期間安定した処理ができ、かつ種々の被処理物質を確実に処理可能なプラズマ処理方法および装置を提供する。

解決手段

炉内に設けられた少なくとも一対の開放型容器中に金属を投入して少なくとも一対の電極を形成し、両電極間空間に設けられた放電路を通し両電極間に放電アークを発生させて前記投入金属を溶解することにより少なくとも両電極の表面を液化するとともに、前記放電路内にガスを導入して前記放電アークによりガスをプラズマ化し、前記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、前記両電極に対面する反応室中に導入された前記プラズマ化ガスを用いて反応室中で被処理物質をプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法および装置。

概要

背景

プラズマ処理は各種産業分野において、各種物質の分解や表面洗浄等に利用されている。プラズマ処理装置としても多種多様なものが知られている。プラズマ処理装置には放電室が設けられ、そこに通常一対の電極が設置されて放電アークが発生され、それによってプラズマ生成用ガスプラズマ化される。たとえば、窒素アルゴンといった不活性ガスや、水素などをプラズマ生成ガスとするプラズマ処理装置が知られている。放電室でプラズマ化された高温のガスが反応室に導入され、そこで被処理物質と反応され、プラズマ熱作用目標とする各種化学反応や分解が行われる。

このようなプラズマ処理装置に属するものとして、たとえば、周期律表の4、5、6族の元素チタンタングステンモリブデン他)の高純度金属粉末の製造、あるいはそれらの合金の製造、また金属酸化物ハロゲン化炭化水素アセチレンガソリン他)の合成等、高温化学反応を行うための装置が知られている。この種の装置は、プラズマ生成ガス(アルゴンあるいは窒素)を流しながら陰極陽極間に電気放電を行ってプラズマを発生するプラズマ発生器を持つ。また、装置には陽極より低い位置に反応ゾーンがあり、そこへはプラズマ発生器からのプラズマとガス状原料混合物が達するようになっている。その反応ゾーンでは、目的物を生成する化学反応が起こる。さらに目的物を含む反応生成物の流れは冷却ゾーンで冷され、いくつかの別な流れに分けられ、それらは後にコレクターゾーンで結合し、そこからは純粋な目的物が取り出される(たとえば、米国特許第3840750号)。

また、主に炭化水素を熱分解するプラズマ処理装置も知られている。この装置では、たとえば陽極と陰極が同軸上にあり、その間にアークが形成され、そこをプラズマ生成ガス(水素あるいは窒素)が通過するように構成された放電室でプラズマが発生される。放電室と混合室とは接続しており、混合室へは必要とされる反応物質が供給され、予定された成分の原料炭化水素反応混合物を生成する。次に、数千度まで熟せられた原料反応混合物は直接反応室に達し、目的物が生成される。目的物の遊離は、反応室上部の自由空間で、反応した混合物急速冷却して行われる。その後、目的物はガス洗浄スクラバーヘ進むように構成されている(たとえば、米国特許第3622493号)。このようなプラズマ処理装置は、一般に巨大な装置となり、構造が複雑であり、かつ、高価である。しかも、放電室の電極は、高電圧大電流で起こるプラズマ粒子の表面衝突による急速な腐食を受けたり、急速に消耗したりし、電極交換ためしばしば装置の作動を停止しなければならない。

反応ガスを直接プラズマ生成ガスとするプラズマ処理装置も知られている。この種の装置では、上記のものと比べ、高電圧が印加され電気アークが発生する電極対が設置され、反応ガスはその間に設けられている一つの反応室を通過するように構成されているため構造が著しく簡素である。このような構造のプラズマ処理装置として、高電圧が印加される陽極と陰極を装備した反応室、原料を導入する手段、目的物を排出する手段を持つ処理装置が例として挙げられる(たとえば、米国特許第3658673号)。反応混合物にプラズマアークを安定させる渦流を形成する往復運動を与え、それを電極間に通す。この処理装置においては、電極は上述した要因以外に、腐食性化学媒体の作用を受けるため、電極は短時間で消耗し、数時間ごとに定期的に交換する必要がある。電極の腐食は放電電流の増カロとともに増し、そのためこの方法では、最大電流値に制限が生じるため、プラズマ処理装置としての最大能力が制限される。

また、化学工業廃棄物を熱分解するプラズマ処理装置も知られている。この種の装置は、たとえば、2つの電極を備えた反応室を持ち、処理されるガスは、酸素と混合され、100から3000Vが印加され50〜1000Aの電流が流れる電極間を通過する(たとえば、米国特許第5206879号)。この処理装置においては、前述の装置と同様に、強い酸化剤である酸素の作用や高電圧と大電流の作用で電極の腐食が急速に進むため、電極の数時間毎の交換が必要となる。さらに、この処理装置もまた、前述したのと同じ理由から、能力的な制限を受ける。

概要

従来のプラズマ処理の問題を解消し、長期間安定した処理ができ、かつ種々の被処理物質を確実に処理可能なプラズマ処理方法および装置を提供する。

炉内に設けられた少なくとも一対の開放型容器中に金属を投入して少なくとも一対の電極を形成し、両電極間空間に設けられた放電路を通し両電極間に放電アークを発生させて前記投入金属を溶解することにより少なくとも両電極の表面を液化するとともに、前記放電路内にガスを導入して前記放電アークによりガスをプラズマ化し、前記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、前記両電極に対面する反応室中に導入された前記プラズマ化ガスを用いて反応室中で被処理物質をプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法および装置。

目的

本発明の課題は、上記のような従来のプラズマ処理における問題点や能力的な限界に鑑み、とくに電極の寿命を延ばして長期間安定して安価な処理が可能で、各種被処理物質を、実質的に能力的な制限を受けることなく、十分に実用に供し得るレベルにまで良好にかつ容易に目標とする処理を行うことが可能な、プラズマ処理方法および装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

炉内に設けられた少なくとも一対の開放型容器中に金属を投入して少なくとも一対の電極を形成し、両電極間空間に設けられた放電路を通し両電極間に放電アークを発生させて前記投入金属を溶解することにより少なくとも両電極の表面を液化するとともに、前記放電路内にガスを導入して前記放電アークによりガスをプラズマ化し、前記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、前記両電極に対面する反応室中に導入された前記プラズマ化ガスを用いて反応室中で被処理物質プラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法

請求項2

前記放電路内にガスを渦流を形成するように導入する、請求項1のプラズマ処理方法。

請求項3

前記各電極の液面を予め定めた液面レベルの範囲内に維持するよう、投入金属を液面下方に補充する、請求項1または2のプラズマ処理方法。

請求項4

電極の液面レベルを検知するセンサからの信号に基づいて投入金属を補充する、請求項3のプラズマ処理方法。

請求項5

前記各電極の総熱容量を予め定めた範囲内に維持するよう、投入金属を液面下方に補充する、請求項1または2のプラズマ処理方法。

請求項6

投入金属として鉄系金属を用いる、請求項1ないし5のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項7

少なくとも一対の開放型容器中に互いに異なる金属を投入する、請求項1ないし6のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項8

放電路内に導入するガスに水蒸気を用いる、請求項1ないし7のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項9

放電路内に導入するガスに炭酸ガスを用いる、請求項1ないし7のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項10

放電路内に導入するガスに不活性ガスを用いる、請求項1ないし7のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項11

前記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、前記反応室中に被処理物質を導入する、請求項1ないし10のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項12

前記各電極の総熱容量に応じて反応室中に導入する被処理物質の大きさ又は量を制御する、請求項1ないし11のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項13

前記各電極の総熱容量に応じて反応室中への被処理物質の導入タイミングを制御する、請求項1ないし12のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項14

前記両電極に電圧印加する電源が容量が所定値未満になったとき、被処理物質の導入停止、前記放電路内へのガスの導入停止の少なくともいずれかの処置を講じる、請求項1ないし13のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項15

前記両電極に電圧を印加する電源が容量が所定値未満になったとき、反応室中に酸素または酸化性ガスを導入する、請求項1ないし13のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項16

同一の被処理物質を複数回プラズマ処理する、請求項1ないし15のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項17

前記電極対の組み合わせを複数対備え、同一の被処理物質を順次複数段にプラズマ処理する、請求項16のプラズマ処理方法。

請求項18

前記両電極に対面する反応室中に互いに異種の被処理物質を導入する、請求項1ないし17のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項19

前記両電極に対面する反応室中に互いに異なる大きさの被処理物質を導入する、請求項1ないし18のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項20

各反応室中におけるプラズマ化ガスの滞留時間を制御する、請求項1ないし19のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項21

前記両電極に印加する電圧を制御することにより放電アークの発生条件を制御する、請求項1ないし20のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項22

前記放電路の大きさ又は/および位置を制御することにより放電アークの発生条件を制御する、請求項1ないし21のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項23

前記放電路を処理中に移動させることにより、各電極における放電アークの発生面を移動させる、請求項1ないし22のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項24

被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、電極の表面を形成している液化金属に溶解させる、請求項1ないし23のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項25

被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、回収物質として取り出す、請求項1ないし24のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項26

被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、廃熱回収源として取り出す、請求項1ないし25のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項27

被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、燃料電池に使用する物質供給源として取り出す、請求項1ないし26のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項28

被処理物質がポリマーである、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項29

被処理物質がポリ塩化ビフェニールである、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項30

被処理物質がダイオキシンである、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項31

被処理物質が化学兵器物質である、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項32

被処理物質が無分別回収廃棄物である、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項33

被処理物質が医療廃棄物である、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項34

被処理物質が農薬である、請求項1ないし27のいずれかに記載のプラズマ処理方法。

請求項35

請求項1ないし34のいずれかに記載の方法に用いるプラズマ処理装置

請求項36

放電路内に導入するガスの流れに渦流を形成する手段を有する、請求項35のプラズマ処理装置。

請求項37

前記各電極の液面を予め定めた液面レベルの範囲内に制御する手段を有する、請求項35または36のプラズマ処理装置。

請求項38

電極の液面レベルを検知するセンサを有する、請求項37のプラズマ処理装置。

請求項39

前記各電極の総熱容量を予め定めた範囲内に制御する手段を有する、請求項35または36のプラズマ処理装置。

請求項40

前記電極対の組み合わせを複数対備え、同一の被処理物質を順次複数段にプラズマ処理可能に構成されている、請求項35ないし39のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項41

放電路の位置調整手段を有する、請求項35ないし40のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項42

放電路の処理中移動手段を有する、請求項35ないし41のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項43

両電極の表面積が互いに異なる、請求項35ないし42のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項44

反応室容積が互いに異なる、請求項35ないし43のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項45

反応室内に、導入されたプラズマ化ガスの流れを制御する制御板または邪魔板が設けられている、請求項35ないし44のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項46

両電極が同心円状に配置されている、請求項35ないし45のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

請求項47

車両に搭載されている、請求項35ないし46のいずれかに記載のプラズマ処理装置。

技術分野

0001

本発明は、プラズマ処理方法および装置に関し、とくに液化金属電極を用いてプラズマを発生させる新規な装置を用いることにより、電極の消耗等の問題を解消しつつ長期間安定して安価にかつ実用的なレベル被処理物質プラズマ処理でき、ポリ塩化ビフェニールダイオキシンといった問題となる物質の分解等にも有効に使用できるプラズマ処理方法および装置に関する。

背景技術

0002

プラズマ処理は各種産業分野において、各種物質の分解や表面洗浄等に利用されている。プラズマ処理装置としても多種多様なものが知られている。プラズマ処理装置には放電室が設けられ、そこに通常一対の電極が設置されて放電アークが発生され、それによってプラズマ生成用ガスプラズマ化される。たとえば、窒素アルゴンといった不活性ガスや、水素などをプラズマ生成ガスとするプラズマ処理装置が知られている。放電室でプラズマ化された高温のガスが反応室に導入され、そこで被処理物質と反応され、プラズマの熱作用目標とする各種化学反応や分解が行われる。

0003

このようなプラズマ処理装置に属するものとして、たとえば、周期律表の4、5、6族の元素チタンタングステンモリブデン他)の高純度金属粉末の製造、あるいはそれらの合金の製造、また金属酸化物ハロゲン化炭化水素アセチレンガソリン他)の合成等、高温化学反応を行うための装置が知られている。この種の装置は、プラズマ生成ガス(アルゴンあるいは窒素)を流しながら陰極陽極間に電気放電を行ってプラズマを発生するプラズマ発生器を持つ。また、装置には陽極より低い位置に反応ゾーンがあり、そこへはプラズマ発生器からのプラズマとガス状原料混合物が達するようになっている。その反応ゾーンでは、目的物を生成する化学反応が起こる。さらに目的物を含む反応生成物の流れは冷却ゾーンで冷され、いくつかの別な流れに分けられ、それらは後にコレクターゾーンで結合し、そこからは純粋な目的物が取り出される(たとえば、米国特許第3840750号)。

0004

また、主に炭化水素を熱分解するプラズマ処理装置も知られている。この装置では、たとえば陽極と陰極が同軸上にあり、その間にアークが形成され、そこをプラズマ生成ガス(水素あるいは窒素)が通過するように構成された放電室でプラズマが発生される。放電室と混合室とは接続しており、混合室へは必要とされる反応物質が供給され、予定された成分の原料炭化水素反応混合物を生成する。次に、数千度まで熟せられた原料反応混合物は直接反応室に達し、目的物が生成される。目的物の遊離は、反応室上部の自由空間で、反応した混合物急速冷却して行われる。その後、目的物はガス洗浄スクラバーヘ進むように構成されている(たとえば、米国特許第3622493号)。このようなプラズマ処理装置は、一般に巨大な装置となり、構造が複雑であり、かつ、高価である。しかも、放電室の電極は、高電圧大電流で起こるプラズマ粒子の表面衝突による急速な腐食を受けたり、急速に消耗したりし、電極交換ためしばしば装置の作動を停止しなければならない。

0005

反応ガスを直接プラズマ生成ガスとするプラズマ処理装置も知られている。この種の装置では、上記のものと比べ、高電圧が印加され電気アークが発生する電極対が設置され、反応ガスはその間に設けられている一つの反応室を通過するように構成されているため構造が著しく簡素である。このような構造のプラズマ処理装置として、高電圧が印加される陽極と陰極を装備した反応室、原料を導入する手段、目的物を排出する手段を持つ処理装置が例として挙げられる(たとえば、米国特許第3658673号)。反応混合物にプラズマアークを安定させる渦流を形成する往復運動を与え、それを電極間に通す。この処理装置においては、電極は上述した要因以外に、腐食性化学媒体の作用を受けるため、電極は短時間で消耗し、数時間ごとに定期的に交換する必要がある。電極の腐食は放電電流の増カロとともに増し、そのためこの方法では、最大電流値に制限が生じるため、プラズマ処理装置としての最大能力が制限される。

0006

また、化学工業廃棄物を熱分解するプラズマ処理装置も知られている。この種の装置は、たとえば、2つの電極を備えた反応室を持ち、処理されるガスは、酸素と混合され、100から3000Vが印加され50〜1000Aの電流が流れる電極間を通過する(たとえば、米国特許第5206879号)。この処理装置においては、前述の装置と同様に、強い酸化剤である酸素の作用や高電圧と大電流の作用で電極の腐食が急速に進むため、電極の数時間毎の交換が必要となる。さらに、この処理装置もまた、前述したのと同じ理由から、能力的な制限を受ける。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の課題は、上記のような従来のプラズマ処理における問題点や能力的な限界に鑑み、とくに電極の寿命を延ばして長期間安定して安価な処理が可能で、各種被処理物質を、実質的に能力的な制限を受けることなく、十分に実用に供し得るレベルにまで良好にかつ容易に目標とする処理を行うことが可能な、プラズマ処理方法および装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するために、本発明に係るプラズマ処理方法は、炉内に設けられた少なくとも一対の開放型容器中に金属を投入して少なくとも一対の電極を形成し、両電極間空間に設けられた放電路を通し両電極間に放電アークを発生させて前記投入金属を溶解することにより少なくとも両電極の表面を液化するとともに、前記放電路内にガスを導入して前記放電アークによりガスをプラズマ化し、前記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、前記両電極に対面する反応室中に導入された前記プラズマ化ガスを用いて反応室中で被処理物質をプラズマ処理することを特徴とする方法からなる。

0009

この本発明に係るプラズマ処理方法では、少なくとも一対の開放型容器中に形成された液化金属の表面間に発生される放電アークにより導入ガスがプラズマ化され、このプラズマ化ガスが供給された反応室中で被処理物質がプラズマ処理される。放電動作起動時には、たとえばトリガーとなる導線等を用い、放電アークの発生や投入金属の液化が安定した定常状態となった後に、目標とする被処理物質のプラズマ処理が実質的に開始され、続行される。すなわち、この処理では、従来の処理における電極が固体電極であったのに対し、液化金属により形成された電極が用いられるので、十分に広い放電面積を容易に確保できるとともに、電極の消耗に対しては電極形成用の金属を補充して順次液化させることで、停機なしで長期間安定した連続運転が可能となり、安価な処理が可能になるとともに、小型かつ簡素な装置でありながら連続運転により大量処理が可能になる。

0010

この本発明に係るプラズマ処理方法においては、上記放電路内にガスを渦流を形成するように導入することが好ましい。渦流にてガスを供給することにより、放電アークと導入ガスが万遍なく接触し、導入ガスのプラズマ化が促進された状態で均一に行われる。

0011

また、各電極の液面を予め定めた液面レベルの範囲内に維持するよう、投入金属を液面下方に補充することが好ましい。所定の液面レベルに維持されることにより、広い面積にわたる放電が安定して行われ、ひいては被処理物に対するプラズマ処理が安定して行われることになる。液面レベルの制御は、たとえば、電極の液面レベルを検知するセンサからの信号に基づいて投入金属を補充することによって達成できる。

0012

また、各電極の総熱容量を予め定めた範囲内に維持するよう、投入金属を液面下方に補充することもできる。電極の熱容量が十分に大きいレベルに維持されることにより、所望の放電アークが安定して行われることになる。

0013

投入金属としては、たとえば鉄系金属を用いることができる。鉄系金属は、後述の如く、被処理物質から分解あるいは生成した含炭素化合物を容易に吸収するので、そのような処理特性が求められる処理用途にとって極めて有効である。また、電極形成用金属として、屑鉄の利用が可能になるので、従来廃棄物とされていた金属の再利用が可能となり、省資源化にも大いに寄与できることになる。

0014

また、投入金属として、少なくとも一対の開放型容器中に互いに異なる金属を投入することも可能である。同系の異種金属を投入してもよく、異種系の金属を投入してもよい。いずれの場合にあっても、所定の放電アークを発生させることができればよい。

0015

また、放電路内に導入するガスとしては、水蒸気炭酸ガス、さらにはアルゴンガス窒素ガスなどの不活性ガスを用いることができる。とくに水蒸気を用いる場合、後述の実施態様に示すように、有害物質等からなる被処理物質を完全に無害な物質に化学反応させたり分解したりすることができる。また、処理により発生する水素を燃料電池などに有効利用することも可能となる。

0016

反応室中への被処理物質の導入タイミングは、予め被処理物質を導入しておいたり、定常状態になる前に導入することも可能であるが、被処理物質に対して目標とする処理をより確実にかつ効果的に行うためには、上記液化および放電が実質的に定常状態に達した後に、反応室中に被処理物質を導入することが好ましい。

0017

また、この処理においては、各電極の総熱容量に応じて反応室中に導入する被処理物質の大きさ又は量を制御することもできる。これによって、相対的に、電極の総熱容量に不足が生じないようにすることができ、所望の処理の安定化に寄与できる。

0018

また、各電極の総熱容量に応じて反応室中への被処理物質の導入タイミングを制御することもできる。最適なタイミング、すなわち、処理の準備が十分に整った段階で導入することにより、目標とする処理がより確実に行われる。

0019

また、各種不都合の発生時に対し、フェールセーフ機能を持たせることも可能である。たとえば、両電極に電圧を印加する電源が容量が所定値未満になったとき、被処理物質の導入停止、前記放電路内へのガスの導入停止の少なくともいずれかの処置を講じることができる。また、両電極に電圧を印加する電源が容量が所定値未満になったとき、反応室中に酸素または酸化性ガスを導入し、被処理物質を強制的に酸化させる処置を講じることもできる。

0020

この本発明に係るプラズマ処理は、同一の被処理物質を複数回処理するようにすることもできる。複数回のプラズマ処理により、目標とする反応や分解をより完全に、かつ、全体にわたって行わせることが可能となる。

0021

複数回のプラズマ処理は、同じ処理装置を用いて繰り返し処理を行う方法も可能であるが、たとえば、電極対の組み合わせを複数対備え、同一の被処理物質を順次複数段にプラズマ処理する、いわゆる多段処理を行うことも可能である。多段処理により、反応や分解をより完全なレベルにまで順次高めることができる。

0022

また、上記両電極に対面する反応室中には、互いに異種の被処理物質を導入することもできる。さらに、両電極に対面する反応室中に互いに異なる大きさの被処理物質を導入することもできる。

0023

また、各反応室中におけるプラズマ化ガスの滞留時間を制御することもできる。このようにすれば、実質的に反応室中における反応時間や分解時間を制御できるので、処理レベルをより目標レベルにまで高めることが可能となる。

0024

また、当然のことながら、両電極に印加する電圧を制御することにより放電アークの発生条件を制御することができる。

0025

さらに、放電路の大きさ又は/および位置を制御することにより放電アークの発生条件を制御することもできる。とくに放電路の電極に対する位置や高さを調整すれば、放電アークの形状や両電極間の回り込み状態を制御できるので、処理目的や被処理物質に応じて最適な条件に制御することが可能となる。

0026

また、放電路を処理中に移動させるようにすることもできる。放電路の移動により、各電極における放電アークの発生面を移動させることができ、放電アークを発生させる電極の表面を広い範囲にわたって均一に使用することが可能となる。

0027

また、被処理物質の処理の種類によっては、被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、電極の表面を形成している液化金属に溶解させることが可能である。とくに、鉄系金属で電極を形成している場合、含炭素化合物を良好に容易に溶解させることができる。

0028

また、被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、回収物質として取り出すことができる。使用可能な目的に応じて、有用な物質を回収すればよい。

0029

また、被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、廃熱回収源として取り出すこともできる。プラズマ処理直後の分解物質等は、高温状態にあるので、そこから有効に熱回収することが可能になる。

0030

さらに、被処理物質のプラズマ処理による分解物質の少なくとも一部を、とくに水素を、燃料電池に使用する物質の供給源として取り出すこともできる。

0031

プラズマ処理では、数千度の高温処理が可能であるので、極めて多様な反応や分解に適用でき、しかもその際に、反応や分解をほぼ完全に行わせて、たとえば有害物質の発生等を実質的に完全に防止することが可能となる。

0032

したがって、本発明に係る処理の対象となる被処理物質は多岐にわたる。たとえば、ポリマー、たとえばポリエチレンや、焼却におけるダイオキシン発生が問題となるポリ塩化ビニル、あるいはポリ塩化ビフェニール)PCB)、さらには、ダイオキシンそのものを被処理物質とすることができる。また、遺棄兵器処理等が要求される場合における、化学兵器物質なども処理対象とすることができる。また、一般の無分別回収廃棄物なども処理対象とすることができる。また、医療廃棄物も処理対象とすることができる。さらに、農薬についても処理対象とすることができる。

0033

本発明に係るプラズマ処理装置は、このような本発明に係るプラズマ処理方法に用いる処理装置である。

0034

このプラズマ処理装置においても、放電路内に導入するガスの流れに渦流を形成する手段を有することが好ましい。また、各電極の液面を予め定めた液面レベルの範囲内に制御する手段、たとえば、電極の液面レベルを検知するセンサを有することが好ましい。また、各電極の総熱容量を予め定めた範囲内に制御する手段を有することが好ましい。

0035

プラズマ処理装置として、電極対の組み合わせを複数対備え、同一の被処理物質を順次複数段にプラズマ処理可能に構成されているものとすることもできる。また、放電路の位置調整手段や、放電路の処理中移動手段を有する構成とすることもできる。

0036

さらに、両電極の表面積が互いに異なる構成、反応室の容積が互いに異なる構成も採用できる。また、処理を促進するために、反応室内に、導入されたプラズマ化ガスの流れを制御する制御板または邪魔板を設けることもできる。さらに、両電極を同心円状に配置した構成を採用することも可能である。

0037

このような本発明に係るプラズマ処理装置は、車両に搭載して移動式の装置に構成することも可能である。

発明を実施するための最良の形態

0038

以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。図において、1はプラズマ処理装置全体を示している。プラズマ処理装置1は、耐火レンガ等からなる炉2を有している。炉2内には底部から実質的に垂直に上方に向けて延びる耐火レンガ等からなる垂直壁3が設けられている。なお、図1からも明らかなように、垂直壁3は炉2の天井面までは達していないが達していてもよい。該垂直壁3により炉2内は実質的に2つの室に区画されるとともに、両室底部に2つの開放型容器4、5が形成されるようになっている。開放型容器4、5内には、金属(本実施態様においては、屑鉄等の鉄系金属)が充填されている。金属は、投入路6から投入されるようになっている。また、投入路6の先端は管状に形成されており、その管端は、開放型容器4、5の底面近傍まで延びている。

0039

上記開放型容器4、5内に充填された鉄系金属により炉2内には一対の電極7、8が形成されるようになっている。電極7、8には電源26からの電圧を印加する電圧印加手段9、10(たとえば超耐熱性導電線又は導電管等)が設けられている。また、両電極間には、垂直壁3を貫通して延びる放電路11が設けられている。本実施態様では、放電路11は、円弧状に湾曲し、両電極7、8方向に向けて開口した連通路に形成されている。そして、電圧印加手段9、10により電極7、8に所定の電圧が印加されると、放電路11を通して両電極間に放電アークが発生し、開放型容器4、5内の鉄系金属が溶融し少なくとも両電極の表面が、望ましくは各電極の全体が液化されるようになっている。但し、放電を容易に起動させるためには、放電路11に沿って起動用導線を設けておくことが有効である。

0040

放電路11には、プラズマ化されるガス(たとえば、水蒸気、炭酸ガス、不活性ガス)を放電路11内に導入するための導入路12が接続されている。導入路12は、プラズマ化されるガスに渦流を形成する渦流室13に接続されている。渦流室13は放電路11に向かって先細りになる略円錘状に形成されている。したがって、渦流室13にその横断面接線方向から導入されたガスは円錘面に沿って流下する際に渦流を形成し放電路11内に導入されるようになっている。

0041

炉2内には、電極7、8に対面して反応室14、15が形成されている。反応室14、15には、被処理物質を導入する導入路16、17が設けられている。各導入路16、17から導入される被処理物質は同種のものでもよいが、異種の被処理物質であってもよい。また、反応室14、15にはプラズマ処理された目標物質、たとえば被処理物質の分解物質が排出される排出路18、19が設けられている。なお、プラズマ処理の際に発生し液面上を浮遊するスラグは開放型容器4、5に付設されたサイフォン20、21により容器外へ排出され液面の汚染が防止されるようになっている。

0042

本実施態様のようなプラズマ処理装置を用いて、本発明に係るプラズマ処理方法は、以下のようにして実施される。炉2内の電極7、8に電圧印加手段9、10により所定の電圧が印加されると、放電が起動され、両電極間に設けられた放電路11を通して放電アークが発生する。放電アークの発生により、電極7、8は急激に高温に加熱され、電極7、8の少なくとも表面が液化される。また、この状態において放電路11内にプラズマ化されるガスを導入することにより該ガスがプラズマ化される。電極7、8表面の液化および放電アークの発生が定常状態に達した後に、反応室14、15内に導入路16、17から被処理物質を導入し、反応室14、15内においてプラズマ化された導入ガスを用いて被処理物質がプラズマ処理され、目標物質が排出路18、19から排出されるようになっている。

0043

上記本発明に係るプラズマ処理方法においては、電極7、8表面の液化および放電アークの発生が定常状態に達した後に、被処理物質のプラズマ処理が開始、続行される。つまり、プラズマ処理のための諸条件が十分に整った後にプラズマ処理が開始されるので、目標とする処理が確実に実行される。なお、上記諸条件の確認は、たとえば、電極7、8の総熱容量を演算することにより行うことができる。

0044

また、本発明に係るプラズマ処理方法においては、液化金属により形成された電極7、8が用いられるので、従来使用されていた固体電極よりも十分に広い放電面積を確保することができる。また、電極7、8の消耗に対しては電極形成用の金属を補充し順次液化させることができるので、停機なしで長期間安定した連続運転が可能となる。なお、金属は、投入路6を介して補充することができるが、投入路6の管端は、開放型容器4、5の底面近傍まで延びているので、金属は上記液面を乱すことなくその下方から補充される。したがって、電極7、8の液面レベルは常に一定の状態に維持可能で、広い面積にわたる放電が安定して行われ、被処理物質に対するプラズマ処理も安定して行われることになる。

0045

また、本発明に係るプラズマ処理方法においては、プラズマ化されるガスは渦流として放電路11内に導入されるので、放電アークとガスとが万遍なく接触し導入ガスのプラズマ化が促進される。したがって、一層安定したプラズマ処理が行われるようになっている。なお、プラズマ化されるガスを渦流として導入するのは上記のようにガスのプラズマ化を一層促進、安定化させることを目的として行われるものである。したがって、たとえば図1の渦流室13を設けることなく、ガスを導入路12から直接放電路11に導入してもガスのプラズマ化は可能であり、十分に本発明の目的を達成できる。

0046

本発明においては、開放型容器4、5内への投入金属としては鉄系金属が好適であるが、非鉄系金属を用いることも可能である。

0047

また、開放型容器4、5内への投入金属は異種金属であってもよく、両電極間に放電アークが形成されるものであればその組合せは自由である。また、上記のように反応室14、15内へは各種の被処理物質が投入される場合もあるので、これに合わせた投入金属とすることもできる。たとえば、一方あるいは双方の導入路からの被処理物質が炭化水素化合物である場合には、本実施態様のように投入金属に鉄系金属を用いれば、電極7、8の液面から発生する鉄蒸気触媒として作用することができ、炭化水素化合物の分解をより促進することができる。

0048

プラズマ処理装置1においては、フェールセーフ機能が付与されていることが好ましい。つまり、プラズマ処理装置1に何らかの異常、たとえば停電、電源26の故障に伴う放電アークの停止、あるいは、プラズマ化されるガスの供給停止等の異常が発生した場合でも、被処理物質や中間生成物装置外漏れたり、処理が不完全となったりするのを防止する安全対策が講じられることが好ましい。たとえば、電圧を印加する電源26の容量が所定値未満になったときは、制御手段(図示略)から信号を発し、被処理物質の導入停止および/または導入路12からのガスの導入停止のいずれかの手段が講じられることが好ましい。

0049

さらに、プラズマ処理装置1においては、仮に停電等により放電アークが形成されずガスのプラズマ化が停止されても、溶融鉄のもつ残熱を利用しその後の処理を進めることができる。たとえば、異常があったときは直ちに被処理物質の導入を停止すれば、その後は残熱により反応室14、15内に既に導入されている被処理物質を処理できるので、分解中間生成物等の系外への漏洩を防止できる。また、放電アークが停止した場合には反応室14、15内の温度は徐々に低下するが、分解中間生成物質は酸素または酸化性ガスと反応させることにより、燃焼させることができるので、系外への分解中間生成物等の漏洩を防止できる。たとえば、トリクロロフェニール(TCB)の分解中に放電アークが停止しても直後の反応室14、15内の温度は1500℃程度は確保できる。したがってTCBの分解中間生成物は、水、二酸化炭素、炭化水素に分解できる。
C12H7C13+Q1→2H2+12C+3HCl
2H2+12C+3HCl+O2→2H2O+12CO2+3HCl+Q2
なお、上記において、Q1はTCBの分解するときの熱量、Q2は生成物が燃焼したときの熱量である。たとえばQ1=2kwh、Q2=7kwhとなりQ1<Q2であるから、この処理は酸素の供給を続ければ自律的に、すなわち外部エネルギーの供給なしに継続する。

0050

図2は、本発明の第2実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。なお、前記第1実施態様と同一の部材には、同一の符号を付しその説明を省略する。本実施態様においては、炉2の上部に電極7、8の液面レベルを検知する液面検知センサ22、23が設けられている。液面検知センサ22、23は、たとえば炉2の上部に埋め込まれており、非接触で電極7、8の液面レベルを検知できるようになっている。液面検知センサ22、23は、たとえば発光部と受光部とを備えた耐熱光センサ等から構成することができる。また、炉2の上部には電極7、8の溶融金属の温度を検知する温度センサ24、25(たとえば、赤外線温度センサ)が設けられている。

0051

本実施態様においては、液面検知センサ22、23により液面レベルが検知されると、該信号が制御手段(図示略)に送られ、液面レベルが低下した際には制御手段からの信号に基づき投入路6から金属が開放型容器4、5内へ投入されて液面下方から補充されるようになっている。このため、電極7、8の液面レベルが常に一定の状態(所定の範囲内のレベル)に維持され、広い面積にわたる放電が安定して行われるので、プラズマ処理が安定して行われることになる。また、上記のような制御を実施することにより、開放型容器4、5内における金属の量を一定に保つことができるので、各電極の総熱容量も予め定めた範囲内に納めることができる。したがって、電極7、8の総熱容量が十分に大きいレベルに維持されるので、放電アークの安定化を図ることができる。

0052

上記電極7、8の総熱容量は、溶融金属の容積(体積)と温度との積として求めることができる。したがって、液面検知センサ22、23により検知される液面レベルと温度センサ24、25による検知温度とに基づいて制御手段で演算処理することにより電極7、8の総熱容量を求めることができる。また、該制御手段からの信号に基づいて導入路16、17から導入される被処理物質の量や大きさ、あるいは導入のタイミングを制御することもできる。このような制御を行うことにより電極7、8の総熱容量は十分に大きいレベルに維持され、かつ、その総熱容量に対して供給される被処理物質の量、大きさ、タイミングが最適に制御されるので、放電アークおよびそれによるガスのプラズマ化、ひいてはプラズマ処理の安定化を図ることができる。

0053

図3は本発明の第3実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。本実施態様においては、反応室27、28の容積は互いに異なっている。また、被処理物質は陽(陰)極29に対面する反応室27側から導入されるようになっている。本実施態様においては、電極29、30に電圧を印加して放電アークを発生させ、プラズマ化されるガスを導入路31から導入し放電路32内においてガスをプラズマ化させた後に、反応室27に被処理物質の導入路33から被処理物質が導入されプラズマ処理される。そして、反応室27内において一旦プラズマ処理された被処理物質は、壁34により区画された陰(陽)極30側に送られ、反応室28内においてさらにプラズマ処理されて排出路35から排出されるようになっている。

0054

本実施態様においては、反応室27において一旦プラズマ処理された被処理物質は、さらに反応室28内においてプラズマ処理されるので、目標とする反応や分解をより確実に行うことができる。また、反応室27、28の容積に差をもたせることにより、たとえば被処理物質が嵩容積の大きい物質である場合は、まずはじめに容積の大きな反応室(図3においては反応室27)でプラズマ処理を行い、続いて容積の小さな反応室(図3においては反応室28)で再度プラズマ処理を行うことができる。

0055

図4は本発明の第4実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。本実施態様においては、開放型容器36、37の容積が異なっている。このため、容器内に収容される金属の容量差に起因して両電極38、39に熱容量差出現する。本実施態様においては、電極38、39に電圧を印加して両電極間に放電アークを発生させ、導入路40から放電路41内にプラズマ化されるガスを導入しガスをプラズマ化させる。また、本実施態様においては、被処理物質は導入路42から電極38に対面する反応室43内に導入される。このため、被処理物質は、反応室43内において一旦プラズマ処理された後、壁44を越えてさらに反応室45でプラズマ処理され排出路46から排出されるようになっている。

0056

上記のように本実施態様においては、両電極間の熱容量に差が付与されているので、被処理物質が難分解性のもの等であるときは、まずはじめに熱容量の大きな電極側(図4においては電極38)でプラズマ処理を行い、続いて熱容量が小さな電極側(図4においては電極39)でプラズマ処理を行うことができる。したがって、被処理物質が難分解性等の物質である場合でも、目標とする物質に確実に分解することができる。

0057

図5は本発明の第5実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。本実施態様においては、炉47内には壁48、49により3つの反応室50、51、52が形成されている。また、反応室に対面して電極53、54、55が設けられている。電極53、54の間には放電路56が設けられており、電極54と55の間には放電路57が設けられている。被処理物質は、導入路58から反応室50内に導入されるようになっている。

0058

本実施態様においては、各電極53、54、55に電圧を印加し、電極53と電極54、電極54と電極55との間に放電アークが発生する。そして、この状態でガスの導入路59、60からガスを導入すると放電路56、57においてガスがプラズマ化される。さらに、反応室50に開口された導入路58から被処理物質を導入すると、被処理物質は各反応室50、51、52内において、順次段階的にプラズマ処理されて反応室52に開口された排出路61から外部へと排出されるようになっている。本実施態様においては、被処理物質は各反応室内で多段にプラズマ処理されるので、反応や分解をより完全なレベルにまで高めることができるとともに、目標物質の組成コントロールを容易に行うことができる。なお、プラズマ化されるガスA、ガスBは同種のガスを用いることもできるが、被処理物質のの性状、あるいは最適なプラズマ状態を実現するために異種のガスとすることもできる。

0059

図6は本発明の第6実施態様に係るプラズマ処理方法に使用されるプラズマ処理装置を示している。本実施態様においては、中央に位置する電極(陽極または陰極)62の同心円状には互いに絶縁された複数の電極(陰極または陽極)63、64、65、66が配置されている。なお、図6においては、陽極の周囲に4つの陰極が配置されているが、この陰極数は任意に増減することが可能である。また、陽極62と各陰極63、64、65、66との間には放電路67、68、69、70が設けられている。

0060

本実施態様においては、一つの陽極62の周囲に複数の陰極63、64、65、66が同心円状に配設されているので、各電極に対面して配設される反応室からの熱損失を低減し温度の変動を防止することができるので、各反応室の単位容積当り処理能力を向上できる。

0061

なお、上記放電路67、68、69、70は、移動手段等により同時に周方向に移動させることも可能である。このような構成を採用すれば、各反応室の温度差をより効果的に低減し均一な温度分布を達成できるとともに、電極の表面積を広く有効に利用した処理が可能になる。

0062

図7は本発明の第7実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置を示している。本実施態様においては、電極71に対面して設けられる反応室73内には、炉の上部から電極71の液面近くまで延びる制御板75が設けられている。一方、電極72に対面して設けられる反応室74内には、炉の上部から電極72内にまで延びる邪魔板76が設けられており、反応室74は、室77と室78とに完全に区分されている。また、室77と室78とは、電極72内に設けられた連通路79(本実施態様においては、U字パイプ79)により連通されている。

0063

本実施態様においては、電極71、72に電圧が印加されると両電極間に放電アークが発生する。そして、導入路80から放電路81内にプラズマ化されるガスが導入される。次に、反応室73に開口された被処理物質の導入路82から被処理物質が導入され、反応室73内においてプラズマ処理が行われる。ただし、反応室73内には制御板75が設けられているので、被処理物質は長時間反応室73内に滞留した後、壁83を越えて反応室74の室77内に流入する。そして、被処理物質はさらに室77内においてプラズマ処理される。室77内においてプラズマ処理された被処理物質は、少量ずつU字パイプ79を通って徐々に室78内に流入する。そして、さらに室78内においてもプラズマ処理された後、室78に開口された排出路84から外部に排出されるようになっている。

0064

本実施態様においては、被処理物質の反応室内における滞留時間が長く設定されるので、被処理物質の反応、分解をより完全なレベルにまで高めることができる。また、被処理物質は長時間にわたり電極71、72の液面に接触することになるので、被処理物質が有機化合物である場合には、分解時に発生する炭素を溶融鉄内に溶け込ませることができる。

0065

図8は本発明の第8実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の放電路の移動機構を示している。本実施態様においては、両電極86、87間に設けられる放電路88は、移動機構89により図8の上下方向に移動されるようになっている。移動機構89は可逆回転可能なモータ90を有しており、モータ90によりシャフト91が正逆回転する。該シャフト91は放電路88を支持する支持部材92に設けられたねじ穴93に挿入されているので、シャフト91の正逆回転に伴い放電路88が上下動するようになっている。なお、94は放電路88に接続された渦流室を示しており、渦流室94には、プラズマ化されるガスの導入路としてのフレキシブル配管95が接続されている。

0066

本実施態様においては、電極86、87の液面から放電路88までの高さを任意に設定することができるので、形成される放電アークの長さ形状を変更することができる。したがって、処理条件等に応じて最適な放電アークを形成することができる。

0067

なお、本発明に係るプラズマ処理装置は、従来のプラズマ処理装置に比べて小型化することができるので、車両に搭載して移動式にすることもできる。したがって、ポリマー、医療用廃棄物、農薬、その他の有害物質の分解のための機動的な分解処理システムを新たに構築することができる。

0068

次に、本発明に係るプラズマ処理方法および装置により処理可能な代表的な被処理物質の分解方法について説明する。

0069

(ポリエチレン)ポリエチレン(PE)は、プラズマ化されるガスとして水蒸気を用いることにより、水素と一酸化炭素とに分解できる。
−(CH2−CH2)−+2H2O→4H2+2CO
水素および一酸化炭素は可燃ガスであるから、ボイラ用の燃料として使用される。また、分解生成される水素は極めて純度の高いものであるから一酸化炭素と分離することにより、たとえば燃料電池用の燃料として使用することができる。

0070

(ポリ塩化ビニル)ポリ塩化ビニル(PVC)は、農業用ハウスシート等に多用されているためその使用量も多い。しかし、これを通常のゴミ焼却炉で燃焼させた場合には、ダイオキシンの発生が懸念される。本処理方法および装置によれば、プラズマ化されるガスとして水蒸気を用いることにより、水素、一酸化炭素、塩化水素に分解することができる。
−(CH2−CHCl)−+2H2O→3H2O+2CO+2HCl
本発明に係るプラズマ処理時の水プラズマの温度は3000℃以上になるため、一般にダイオキシンが発生し易い温度である800℃をはるかに上回っている。また、処理は還元性雰囲気中で行われるため、2個のベンゼン環が2個の酸素分子により、結合されるダイオキシンの基本骨格構造が生成されにくくなっている。したがって、ダイオキシンの発生を効果的に防止できる。

0071

(ポリ塩化ビフェニール)ポリ塩化ビフェニール(PCB)は基本的にはPVCと同様に、プラズマ化されるガスとして水蒸気を用いることにより、水素、一酸化炭素、塩化水素に分解できる。また、これら分解生成物急冷すればダイオキシンの合成をより効果的に防止できる。

0072

0073

(ダイオキシン)基本的には、PVC、PCBと同様に、プラズマ化されるガスとして水蒸気を用いることにより、水素、一酸化炭素、塩化水素に分解され無害化することができる。また、これら分解生成物を急冷すれば、ダイオキシンの再合成のおそれを解消できる。

0074

0075

つまり、本発明に係るプラズマ処理方法および装置によれば、ダイオキシンを簡単に分解処理することができる。したがって、本処理装置地方自治体等のゴミ焼却炉等に付設すれば、近年問題になっている環境中へのダイオキシンの放出を有効に防止することができる。

発明の効果

0076

以上説明したように、本発明に係るプラズマ処理方法および装置によれば、従来のプラズマ処理における問題点を解消し、長期間安定して安価な処理を実現できる。また、ポリマ、医療用廃棄物、農薬等の種々の被処理物質を有効に分解処理することができる。

図面の簡単な説明

0077

図1本発明の第1実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図2本発明の第2実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図3本発明の第3実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図4本発明の第4実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図5本発明の第5実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図6本発明の第6実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図7本発明の第7実施態様に係るプラズマ処理方法を実施するためのプラズマ処理装置の概略構成図である。
図8本発明に係るプラズマ処理方法を実施するための装置の放電路の移動機構を示す断面図である。

--

0078

1プラズマ処理装置
2、47 炉
3、34、44、48、49、83垂直壁
4、5、36、37開放型容器
6投入路
7、8、29、30、38、39、53、54、55、62、63、64、65、66、71、72、86、87電極
9、10電圧印加手段
11、32、41、56、57、67、68、69、70、88放電路
12、31、40、59、60、80プラズマ化されるガスの導入路
13、94渦流室
14、15、27、28、43、45、50、51、52、73、74反応室
16、17、33、42、58、82被処理物質の導入路
18、19、35、46、61、84排出路
20、21サイフォン
22、23液面検知センサ
24、25温度検知センサ
26電源
75制御板
76邪魔板
77、78 室
79連通路としてのU字パイプ
89移動機構
90可逆回転可能なモータ
91シャフト
92支持部材
93ねじ穴
95 フレキシブル配管

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