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※この項目の情報は公開日時点(2003年7月2日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
赤シソの葉に含まれるフェノール類が、抗アレルギー作用を有していることが知られている(月刊フードケミカル、7巻、p. 37-42, 2000)。本発明者らの一部は、赤シソ等のシソ科植物の葉からフェノール類高含有エキスを製造する方法を確立し、特にロスマリン酸が抗アレルギー作用の有効成分であることを明らかにした(特願2001−25277 号、特願2001−100346号)。しかしながら、赤シソの葉は、季節性の高い食材であり、一年を通しての生産はなされていないため、年間を通して赤シソの生葉からエキスを生産することは不可能であった。ところで、赤シソは塩蔵により保存することが可能であることは、従来より知られている。しかし、塩蔵の赤シソにも生葉と同程度のフェノール類が残存しているか不明である上に、たとえフェノール類が残存していても、塩分が含まれているため、多様な飲食品への応用が困難である。しかも、塩蔵赤シソから脱塩と同時に効率よくフェノール類を抽出する方法も見出されていなかった。
概要
塩蔵の赤シソ葉からフェノール類を高濃度に含有する赤シソエキスもしくはその粉末を効率よく製造する方法を提供すると共に、これを抗アレルギー性飲食品等への利用を図ること。
塩蔵赤シソ葉を酸性条件下、かつ加熱条件下に親水性溶媒で抽出し、得られた抽出液を吸着性樹脂を用いるクロマトグラフィーにかけてエキスを得、次いで必要に応じ当該エキスを濃縮、粉末化することを特徴とするフェノール類含有エキスの製造法。
目的
従来より一般的に行われている脱塩方法を適用すると、フェノール類の残存率が低くなるため、塩蔵の赤シソから得られるエキスは機能性飲食品等に利用するためには、フェノール類、特にロスマリン酸含量が不十分であった。本発明の目的は、塩蔵の赤シソ葉からフェノール類を高濃度に含有する赤シソエキスもしくは粉末を効率よく製造する方法を提供することである。
効果
実績
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この技術が所属する分野
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技術分野
背景技術
0002
赤シソの葉に含まれるフェノール類が、抗アレルギー作用を有していることが知られている(月刊フードケミカル、7巻、p. 37-42, 2000)。本発明者らの一部は、赤シソ等のシソ科植物の葉からフェノール類高含有エキスを製造する方法を確立し、特にロスマリン酸が抗アレルギー作用の有効成分であることを明らかにした(特願2001−25277 号、特願2001−100346号)。しかしながら、赤シソの葉は、季節性の高い食材であり、一年を通しての生産はなされていないため、年間を通して赤シソの生葉からエキスを生産することは不可能であった。ところで、赤シソは塩蔵により保存することが可能であることは、従来より知られている。しかし、塩蔵の赤シソにも生葉と同程度のフェノール類が残存しているか不明である上に、たとえフェノール類が残存していても、塩分が含まれているため、多様な飲食品への応用が困難である。しかも、塩蔵赤シソから脱塩と同時に効率よくフェノール類を抽出する方法も見出されていなかった。
発明が解決しようとする課題
0003
従来より一般的に行われている脱塩方法を適用すると、フェノール類の残存率が低くなるため、塩蔵の赤シソから得られるエキスは機能性飲食品等に利用するためには、フェノール類、特にロスマリン酸含量が不十分であった。本発明の目的は、塩蔵の赤シソ葉からフェノール類を高濃度に含有する赤シソエキスもしくは粉末を効率よく製造する方法を提供することである。
課題を解決するための手段
0004
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩蔵赤シソの葉に含まれるフェノール類を高濃度に含有する赤シソエキスもしくはその粉末の効率的な製造法を見出し、本発明を完成するに到った。
0005
請求項1記載の本発明は、塩蔵赤シソ葉を酸性条件下、かつ加熱条件下に親水性溶媒で抽出し、得られた抽出液を吸着性樹脂を用いるクロマトグラフィーにかけてエキスを得、次いで必要に応じ当該エキスを濃縮、粉末化することを特徴とするフェノール類含有エキスの製造法である。請求項2記載の本発明は、親水性溶媒が、水または水−エタノール混液である請求項1記載の方法である。請求項3記載の本発明は、酸性条件下、かつ加熱条件下が、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、塩酸またはリン酸による酸性条件下、かつ30〜93℃の加熱条件下である請求項1記載の方法である。請求項4記載の本発明は、吸着性樹脂が、芳香族系または置換芳香族系である請求項1〜3のいずれかに記載の方法である。請求項5記載の本発明は、吸着性樹脂が、比表面積が500〜2000m2 /g、かつ細孔半径が20〜200Åのものである請求項4記載の方法である。請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られたフェノール類を含有するエキスまたは粉末である。
発明を実施するための最良の形態
0006
塩蔵赤シソ葉からフェノール類含有エキスを製造する本発明の方法は、当該エキスが食品分野でも利用されるものであることから、第1に製造方法が人体に無害な方法であることが要求される。さらに、原料が塩蔵品であることから、脱塩処理が必要とされるが、この処理によって目的とするフェノール類の含量を低減させないことが重要な課題である。
0007
そのため、本発明では親水性溶媒を用いて塩蔵赤シソ葉からフェノール類含有エキスを抽出する。親水性溶媒としては、請求項2に記載したように、水または水−エタノール混液が好適である。水とエタノールの配合割合は、前者:後者=100:0〜20:80(容量比)である。
0008
抽出は、酸性条件下、かつ加熱条件下で行うことが好ましく、具体的には酸として、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、塩酸、リン酸などが用いられ、pH0.1〜4.5、好ましくは0.4〜4.0の条件下で抽出を行う。また、加熱条件としては30〜93℃、好適には80〜93℃であり、通常1〜60分間、好ましくは20〜40分間抽出処理を行う。
0009
次に、塩蔵赤シソからのフェノール類含有エキスの抽出方法について説明すると、例えば親水性溶媒として単に水のみを使用して抽出を行う場合は、原料の塩蔵赤シソ葉100重量部に対し、水100〜5000重量部、好ましくは200〜1000重量部を使用する。なお、酸性条件、加熱条件などについては上記した通りである。
0010
抽出処理後、濾過して得られた抽出液には、目的とするフェノール類以外に塩分、その他の成分が含まれているので、脱塩操作などの精製操作を行うことが必要である。このための精製操作としては、吸着性樹脂を用いるクロマトグラフィーが好適である。すなわち、吸着性樹脂を充填したカラムに抽出液を通液して当該抽出液中の目的成分であるフェノール類を選択的に吸着させた後、含水親水性溶媒によりフェノール類を分離、溶出させて採取する。
0011
本発明に用いる吸着性樹脂としては、その化学構造により芳香族系、置換芳香族系およびアクリル系に分類される。芳香族系吸着性樹脂とは、架橋スチレン系の多孔質重合体であり、例えばダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、セパビーズSP825、セパビーズSP850(いずれも商品名、三菱化学(株)製)などが挙げられる。置換芳香族系吸着性樹脂とは、芳香族重合体の芳香核に臭素原子を結合させたものであり、例えばセパビーズSP207(商品名、三菱化学(株)製)などが挙げられる。また、アクリル系吸着性樹脂とは、メタクリル酸エステル重合体を骨格とするもので、例えばダイヤイオンHP2MG(商品名、三菱化学(株)製)などが挙げられる。これら吸着性樹脂の中では芳香族系および置換芳香族系が好ましく、芳香族系がより好ましい。さらに、吸着性樹脂は、比表面積が500m2 /gより大きく、好ましくは500〜2000m2 /gのものがよく、かつ細孔半径が200Åより小さく、好ましくは20〜200Å、より好ましくは30〜150Åの樹脂がよい。
0012
次に、吸着性樹脂の使用量については、樹脂量対抽出液との容量比が1:1から1:300、好ましくは1:3から1:150である。吸着性樹脂を充填したカラムに前記の抽出液を通液することによって、フェノール類は選択的に樹脂に吸着される。
0013
フェノール類を樹脂に吸着後、水を通すことによって非吸着性物質を洗い流す。このときの水の使用量はカラム樹脂量の1〜20倍量、好ましくは3〜10倍量が適当である。その後、含水親水性溶媒を溶離液として用い、フェノール類を溶出する。ここで、含水親水性溶媒としては、例えば70%エタノール水溶液のような水−エタノール混液が好適である。水とエタノールは容量比で10:90から80:20の範囲で用いられ、50:50から20:80の範囲が好ましい。なお、溶離液の量はカラム樹脂量の1〜20倍が用いられ、2〜10倍量が好適な量である。
0014
ここで、赤シソの葉に含まれているフェノール類について説明する。フェノール類としては、例えばフラボノイド、アントシアン、フェノール酸等が挙げられる。フラボノイドとしては、フラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン等があり、アントシアンとしては、シアニジン、デルフィニジン、シソニンおよびそれらの配糖体が挙げられる。
0015
また、フェノール酸としては、ロスマリン酸、クロロゲン酸、クマリン酸、カフェ酸、没食子酸、バニリン酸、フェルラ酸、プロトカテキュ酸などが挙げられる。フェノール酸のうちロスマリン酸の含有量が他の成分よりも多い上に、このものは抗アレルギー作用の主要な活性成分である。
0016
本発明では、上記の溶出液(エキス)をそのまま赤シソエキスとして用いることができるが、必要に応じて濃縮、粉末化することが好ましい。この場合、まず溶出液を減圧濃縮する。次いで、得られた濃縮液を粉末化するため、凍結乾燥またはスプレードライなどを行う。また、スプレードライを行う際に、バインディング材としてデキストリン、乳糖等を添加することにより、効率的に粉末化が可能となる。しかも、これによりフェノール類含有量を調整することも可能である。
0017
以下、実験例をあげて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1
塩蔵赤シソ全葉5000gに90℃の熱水50000mlおよび500gのクエン酸を添加し(pH2.3)、93℃で30分撹拌して抽出した後、No. 6の濾紙を用いて濾過し、室温に冷却した。このようにして得た抽出液を芳香族系吸着性樹脂(商品名:セパビーズSP850、比表面積1000m2 /g、細孔半径35−45Å、三菱化学(株)製)350mlを充填したオープンカラム(内径8cm×長さ40cm)に供し、クロマトグラフィーを実施した。その後、3500mlの水を通して洗浄し、非吸着性成分を除去した。次に、70%エタノール水溶液3000mlを流して溶出した。
0018
得られた溶出液をBx24まで減圧濃縮後、凍結乾燥して粉末43gを得た。この粉末にはフェノール類76.0重量%(粉末重量当たり)含まれており、ロスマリン酸含量は35.5重量%(粉末重量当たり)であった。フェノール類の測定は、プルシアンブルー法(Methodsin Enzymology, vol.234, 432-433 参照)により実施した。すなわち、1%クエン酸溶液に溶解したロスマリン酸(extrasynthese 社製) を標品として予め作成しておいた検量線から求めた。また、ロスマリン酸量は、Planta Medica, 63, 177-179 (1997) を参照し、HPLC法で分析した。すなわち、HPLC分析は、溶離液としてA液(0.1%トリフルオロ酢酸含有蒸留水)とB液(0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル)の2液を用いたグラジェントの系で実施した。カラムとしてODS120T(東ソー社製、4.6mm×150mm)を用い、流速0.8ml/min、検出はUV320nmで実施した。なお、グラジェント条件は、下記の通りである。
0019
0−10min :A液/B液=90/10
10−35min :A液/B液=90/10→A液/B液=60/40
35−40min :A液/B液=60/40→A液/B液= 0/100
40−45min :A液/B液= 0/100
0020
実施例2
塩蔵赤シソ全葉1000gに水2000mlおよび濃塩酸83mlを添加し(pH0.5)、80℃で40分撹拌して抽出した後、No. 6の濾紙を用いて濾過し、室温に冷却した。このようにして得た抽出液を芳香族系吸着性樹脂(商品名:セパビーズSP825、比表面積1000m2 /g、細孔半径50−60Å、三菱化学(株)製)350mlを充填したオープンカラム(内径8cm×長さ40cm)に供し、クロマトグラフィーを実施した。その後、1200mlの水を通して洗浄し、塩分などの非吸着性成分を除去した。次いで、80%エタノール水溶液1000mlを流して溶出した。80%エタノール水溶液による溶出液をBx24まで減圧濃縮後、凍結乾燥して粉末を得た。このものについて、実施例1と同様に分析したところ、これは粉末重量当たりフェノール類48.9重量%、ロスマリン酸23.1重量%を含んでおり、粉末重量は9.2gであった。
0021
実施例3
塩蔵赤シソ全葉5000gに90℃の熱水50000mlおよび500gのクエン酸を添加し(pH2.3)、93℃で30分撹拌して抽出した後、No. 6の濾紙を用いて濾過し、室温に冷却した。このようにして得た抽出液を芳香族系吸着性樹脂(商品名:セパビーズSP850、比表面積1000m2 /g、細孔半径35−45Å、三菱化学(株)製)350mlを充填したオープンカラム(内径8cm×長さ40cm)に供し、クロマトグラフィーを実施した。その後、3500mlの水を通して洗浄し、非吸着性成分を除去した。次に、70%エタノール水溶液3000mlを流して溶出した。
0022
次いで、得られた70%エタノール溶出液をBx24まで減圧濃縮後、デキストリン(商品名:アミコール6−H、(株)日澱化学製)1000gを添加してスプレードライした。これにより、赤シソエキスの粉末1043gが得られた。
0023
比較例1
塩蔵赤シソ全葉500gに水5000mlおよび50gのクエン酸を添加し(pH2.3)、93℃で30分撹拌して抽出した後、No. 6の濾紙を用いて濾過し、室温に冷却した。このようにして得た抽出液をアクリル系吸着性樹脂(商品名:ダイヤイオンHP2MG、比表面積500m2 /g、細孔半径200−300Å、三菱化学(株)製)35mlを充填したオープンカラム(内径8cm×長さ40cm)に供し、クロマトグラフィーを実施した。その後、350mlの水を通して洗浄し、非吸着性成分を除去した。次に、70%エタノール水溶液300mlを流して溶出した。
0024
次に、70%エタノール溶出液をBx24まで減圧濃縮後、凍結乾燥して粉末を得た。このものについて、実施例1と同様に分析したところ、これは粉末重量当たりフェノール類24.6重量%、ロスマリン酸11.6重量%を含んでおり、粉末重量は4.4gであった。
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