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図面 (20)

課題

高次複屈折に加え、複屈折の波長依存性を考慮した複屈折計測を実現する。

解決手段

複屈折計測装置及び方法は、波形解析により、光信号波数k、測定対象の複屈折δn、複屈折位相差Δ(k)、厚さd、主軸方位φ、複屈折δnの周波数成分項δn0、分散項δλ、及び位相情報φ(k)をそれぞれ用いて、複屈折位相差Δ(k)を、Δ(k)=2π・δn・d・k=2π・(δn0+δλ)・d・k=2π・δn0・d・k+φ(k)の関係を満たすように求めるものである。

概要

背景

近年のオプトエレクトロニクス発展に伴い、工学分野では、射出成形品光ディスク薄膜製品結晶を用いた光学素子高分子フィルム、及び液晶等の需要が急速に増加してきている。これに従い、このような製品の品質評価を定量的に行う定量評価法の1つとして、複屈折計測が注目されている。

とくに、高分子材料や結晶は、その複屈折の波長依存性が非常に強く、高次の複屈折を持つことが知られており、従ってこのような複屈折の波長依存性や高次複屈折に対する計測の要求がある。また、工学分野での材料評価では、波長依存性を考慮した複屈折計測が望まれている。

概要

高次複屈折に加え、複屈折の波長依存性を考慮した複屈折計測を実現する。

複屈折計測装置及び方法は、波形解析により、光信号波数k、測定対象の複屈折δn、複屈折位相差Δ(k)、厚さd、主軸方位φ、複屈折δnの周波数成分項δn0、分散項δλ、及び位相情報φ(k)をそれぞれ用いて、複屈折位相差Δ(k)を、Δ(k)=2π・δn・d・k=2π・(δn0+δλ)・d・k=2π・δn0・d・k+φ(k)の関係を満たすように求めるものである。

目的

本発明は、このような従来の事情背景になされたもので、高次複屈折に加え、複屈折の波長依存性を考慮した複屈折計測を実現することを主要な目的とする。

また、本発明は、上記の主要な目的に加え、点計測のみならず、2次元計測に適用し得る拡張性及び実用度の高い複屈折計測を可能とすることを更なる目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
5件

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請求項1

測定対象複屈折に関する情報を担う光信号を取得する複屈折測定光学系と、前記複屈折測定光学系により取得された前記光信号の光強度分布を示す波形データから高次複屈折の次数を含む周波数成分及び波長依存性を担う位相成分解析し、その解析データから前記高次複屈折に加え、前記波長依存性を示す複屈折を求める解析装置とを有することを特徴とする波長依存性を考慮した複屈折測定装置

請求項2

前記複屈折測定光学系は、白色光源と、この白色光源からの光信号の光路上における前記測定対象を挟む位置に配置される一対の偏光子及び検光子と、この検光子から出射される前記測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号をその波長毎に分光して前記解析装置に出力する分光器とを有する点計測光学系から構成されることを特徴とする請求項1記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項3

前記複屈折測定光学系は、白色光源と、この白色光源からの光信号から特定の波長成分を可変で取り出す音響光学素子と、この音響光学素子により取り出された光信号の光路上における前記測定対象を挟む位置に配置される一対の偏光子及び検光子と、この検光子から出射される前記測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号を撮影して前記解析装置に出力する撮像素子とを有する2次元計測光学系から構成されることを特徴とする請求項1記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項4

前記解析装置は、前記光信号の波数をkとし、前記測定対象の複屈折、複屈折位相差、厚さ、及び主軸方位をそれぞれδn、Δ(k)、d、及びφとし、前記複屈折δnの周波数成分項、分散項、及び位相情報をそれぞれδn0、δλ、φ(k)と表したときに、前記複屈折位相差Δ(k)を、

請求項

ID=000003HE=020 WI=044 LX=0380 LY=2000の関係を満たすように波形解析で求めるデータ処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項5

前記データ処理手段は、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布頂点の周波数、及びそのスペクトル分布の開始点の周波数をそれぞれfp、及びfsとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

請求項

ID=000004HE=015 WI=078 LX=1110 LY=0350の関係を満たすように波形解析で求める手段であることを特徴とする請求項2記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項6

前記データ処理手段は、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の開始点の周波数をfSとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

請求項

ID=000005HE=015 WI=048 LX=1260 LY=1050の関係を満たすように波形解析で求める手段であることを特徴とする請求項2記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項7

前記データ処理手段は、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の開始点の周波数をfSとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

請求項

ID=000006HE=015 WI=048 LX=1260 LY=1750の関係を満たすように波形解析で求める手段であることを特徴とする請求項2記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項8

前記データ処理手段は、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の頂点の周波数をfPとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

請求項

ID=000007HE=015 WI=046 LX=1270 LY=2450の関係を満たすように波形解析で求める手段であることを特徴とする請求項2記載の波長依存性を考慮した複屈折測定装置。

請求項9

測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号の光強度分布を示す波形データから高次複屈折の次数を含む周波数成分及び波長依存性を担う位相成分を解析し、その解析データから前記高次複屈折に加え、前記波長依存性を示す複屈折を求めることを特徴とする波長依存性を考慮した複屈折測定方法

技術分野

0001

本発明は、波長依存性を考慮した複屈折測定装置及び方法に関する。

背景技術

0002

近年のオプトエレクトロニクス発展に伴い、工学分野では、射出成形品光ディスク薄膜製品結晶を用いた光学素子高分子フィルム、及び液晶等の需要が急速に増加してきている。これに従い、このような製品の品質評価を定量的に行う定量評価法の1つとして、複屈折計測が注目されている。

0003

とくに、高分子材料や結晶は、その複屈折の波長依存性が非常に強く、高次の複屈折を持つことが知られており、従ってこのような複屈折の波長依存性や高次複屈折に対する計測の要求がある。また、工学分野での材料評価では、波長依存性を考慮した複屈折計測が望まれている。

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、従来の単色光を用いた偏光計測方法では、複屈折の波長依存性はもちろんのこと、位相が2π[rad]で折りたたまれてしまうといった理由で、高次複屈折の計測は不可能であった。

0005

これに関連する技術の一例として、白色光を用いた分光偏光計測が提案され、とくに分光エリプソメトリの分野では、3つの正弦状に振動する成分からなるチャネルスペクトルを用いてストークスパラメータを求めるものが研究されている(例えば、「K.Oka et al:Opt.Lett.24,21,pp1475(1999)」)。この研究は、あくまで点計測に留まるものであり、2次元計測には適用できず、複屈折分布と複屈折の波長依存性(以下、必要に応じ「複屈折分散」と呼ぶ場合もある)の同時測定や高次複屈折の計測には使用できない。

0006

これとは別に、本願発明者らによる複屈折計測の手法(特開平2001−141602号公報)では、偏光分光干渉を用いて高次複屈折を定量的に評価するものが提案されている。この複屈折計測の手法では、サンプル(測定対象)のもつ複屈折の影響で光強度が波数に対して余弦状に変化することに着目し、高分解能最大エントロピー法MEM:Maximum Entropy Method)を用いて周波数解析し、これで得られるスペクトル中心周波数読むことで、複屈折計測に使用する光信号の1波長よりも大きな高次複屈折を求めることが可能になっている。

0007

しかしながら、この手法では、たしかに分光測定と周波数解析法を用いて高次複屈折を測定できるが、複屈折の波長依存性を特に意識したものではなく、従ってその計測には使用できない。

0008

本発明は、このような従来の事情背景になされたもので、高次複屈折に加え、複屈折の波長依存性を考慮した複屈折計測を実現することを主要な目的とする。

0009

また、本発明は、上記の主要な目的に加え、点計測のみならず、2次元計測に適用し得る拡張性及び実用度の高い複屈折計測を可能とすることを更なる目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明では、上記目的を達成するため、本願発明者らにより先に提案されている分光測定と周波数解析法を用いた高次複屈折の測定方法の利点を活用しつつ、さらに複屈折の波長依存性を考慮に入れた複屈折計測の手法を提案する。

0011

この手法では、上記の高次複屈折の測定方法で提案されている複屈折位相差Δの計算式(Δ=δn・d・k、δnは複屈折、dは試料の厚さ、kは波数)を、その複屈折δnの波長依存性を考慮して「周波数情報」(高次複屈折の次数に対応する次数項)と「位相情報」(複屈折の波長依存性を含む分散項)との展開として考え、その「周波数情報」と「位相情報」を高速フーリエ変換法(FFT:Fast Fourier Transform)を用いて計算して求めることにより、高次複屈折の絶対値に加え、複屈折の波長依存性を示す相対値を計測する複屈折計測を可能とするものである(後述する「本発明の基本測定原理」参照)。

0012

本発明に係る波長依存性を考慮した複屈折測定装置は、測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号を取得する複屈折測定光学系と、前記複屈折測定光学系により取得された前記光信号の光強度分布を示す波形データから高次複屈折の次数を含む周波数成分及び波長依存性を担う位相成分解析し、その解析データから前記高次複屈折に加え、前記波長依存性を示す複屈折を求める解析装置とを有することを特徴とする。

0013

本発明の1つの側面として、前記複屈折測定光学系は、白色光源と、この白色光源からの光信号の光路上における前記測定対象を挟む位置に配置される一対の偏光子及び検光子と、この検光子から出射される前記測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号をその波長毎に分光して前記解析装置に出力する分光器とを有する点計測光学系から構成される。

0014

本発明の別の側面として、前記複屈折測定光学系は、白色光源と、この白色光源からの光信号から特定の波長成分を可変で取り出す音響光学素子と、この音響光学素子により取り出された光信号の光路上における前記測定対象を挟む位置に配置される一対の偏光子及び検光子と、この検光子から出射される前記測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号を撮影して前記解析装置に出力する撮像素子とを有する2次元計測光学系から構成される。

0015

前記解析装置は、本発明の好適な例として、前記光信号の波数をkとし、前記測定対象の複屈折、複屈折位相差、厚さ、及び主軸方位をそれぞれδn、Δ(k)、d、及びφとし、前記複屈折δnの周波数成分項、分散項、及び位相情報をそれぞれδn0、δλ、φ(k)と表したときに、前記複屈折位相差Δ(k)を、

0016

前記データ処理手段は、本発明の好適な例として、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布頂点の周波数、及びそのスペクトル分布の開始点の周波数をそれぞれfp、及びfsとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

0017

前記データ処理手段は、本発明の好適な例として、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の開始点の周波数をfSとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

0018

前記データ処理手段は、本発明の好適な例として、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の開始点の周波数をfSとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

0019

前記データ処理手段は、本発明の好適な例として、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる周波数の振幅スペクトルの内のスペクトル分布の頂点の周波数をfPとし、前記光信号の光強度分布を示す波形データのフーリエ解析で得られる位相、前記波数kの最小値、及び最大値をそれぞれφ’(k)、kmin、kmaxとしたとき、前記複屈折位相差Δ(k)を、

0020

本発明に係る波長依存性を考慮した複屈折測定方法は、測定対象の複屈折に関する情報を担う光信号の光強度分布を示す波形データから高次複屈折の次数を含む周波数成分及び波長依存性を担う位相成分を解析し、その解析データから前記高次複屈折に加え、前記波長依存性を示す複屈折を求めることを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、本発明に係る波長依存性を考慮した複屈折測定装置及び方法の実施の形態を添付図面を参照して具体的に説明する。

0022

最初に、本発明における波長依存性を考慮した複屈折計測の基本測定原理図1及び図2に基づいてを説明する。ここでは、点計測の適用例を詳細に説明するが、この基本測定原理は、後述するように2次元測定にも拡張できるものである。

0023

図1に示す点計測用の複屈折測定装置1は、白色ランプを用いた白色光源10及びその出射系(光ファイバケーブル11a、コリメータレンズ11b)と、その白色光源10から出射される白色光の光路上で、サンプルSa(測定試料)を挟んで対向する位置に並設される1対の偏光子12及び検光子13と、その出射光の光路上に配置される分光器14(回折格子(又はプリズム)14a、リニアCCD(受光素子アレイ)14b)及びその入射系集光レンズ15a、光ファイバケーブル15b)と、分光器14の出力側に接続され、本発明の測定原理に基づく解析アルゴリズムを実行する解析装置(コンピュータ)として用いるPC(パーソナルコンピュータ)16とを備えている。

0024

この構成によれば、白色光源10からの出射光がその出射系11a、11bを介して方位45度の偏光子12、サンプルSa、及び方位45度の検光子13を順次透過し、そのサンプルSaの複屈折情報を持った透過光の光信号として、分光器14にその入射系15a、15bを介し入力される。そして、この光信号は、分光器14内部の回折格子14aを介しそのリニアCCD14bにより各波長λにおける光強度I(λ)として測定され、PC16に送られる。

0025

上記で得られる透過光の光強度I(λ)は、図1中(中段)に示すように、次の(1)式で表される。

0026

ID=000013HE=010 WI=107 LX=0515 LY=0600
この(1)式において、IDCはバイアス成分直流成分)、S(λ)はシステム透過特性(システム依存係数波長透過率特性)、φは偏光子12とサンプルSaの主軸方位の差、ΔはサンプルSaの複屈折位相差をそれぞれ示す。

0027

この内、サンプルSaの複屈折位相差Δは、図1中(中段)に示すように、次の(2)式で表される。

0028

ID=000014HE=005 WI=102 LX=0540 LY=0950
この(2)式において、λは波長、δnはサンプルSaのもつ複屈折、dはサンプルSaの厚さ、kは波数(k=1/λ)をそれぞれ示す。

0029

上記(2)式のようにサンプルSaの複屈折位相差Δを波数kを用いて表すことができるため、上記(1)式の光強度I(λ)は、図1中(下段)に示すように波数kに対し余弦状に変化する波形として実測される。

0030

そこで、このように波数kに対し余弦状に変化する波形分布を示す光強度I(λ)に対し、PC16の処理により、最大エントロピー法を用いて高分解な周波数解析を行い、この解析で得られる周波数スペクトルの中心周波数を読むことにより、サンプルSaのもつ複屈折δn(複屈折位相差Δ及び主軸方位φ)の計測が行われる。ここまでの複屈折計測の原理は、特開2001−141602号公報で提案されているものと同様である。

0031

上記の原理では、図1に示すように波数kに対し余弦状に変化する光強度I(λ)の成分がどの波数kに対しても周期が変わらず、すなわち単一周期で構成されるものとして解析を行っているが、実際には、図1中(下段)に示すように、光強度I(λ)の成分が波数kによって周期が僅かに変化している。これは、複屈折が波長依存性を示すためである。

0032

そこで、本発明では、上記原理に加え、多くのサンプルSaが示す複屈折の波長依存性を考慮して、光強度I(λ)が波長λ(又は波数k)によって周期が異なることに着目し、その波長依存性を含めた複屈折計測を実現することをその主眼とするものである。このことを図2を参照して説明する。

0033

図2中(上段)に示すように、まず、上記(2)式は、複屈折位相差Δの波長依存性を考慮すると、複屈折δnをキャリア成分項δn0及び分散項δλに分けて考えることができるため、δn=δn0+δλを代入して両項δn0、δλにそれぞれ展開して整理すると、次の(3)式が得られる。

0034

ID=000015HE=020 WI=072 LX=1140 LY=1100
この(3)式において、φ(k)は位相情報を示す。

0035

この(3)式及び図2中(上段)に示すように、波長依存性を含む複屈折位相差Δ(k)は、複屈折の次数に対応して位相差が2π、4π、6π、…と大きく変化する次数項としての「周波数情報」と、複屈折の波長依存性により位相差が僅かに変化する分散項としての「位相情報」とをそれぞれ計算し、両者の和として求めることができる。

0036

そこで、図2中(中段)に示すように、「周波数情報」及び「位相情報」は、上記のように得られた分光光強度信号、すなわち波数kに対し余弦状に変化する光強度I(λ)の成分に対して、FFT(高速フーリエ変換法)を用いて求めることができる。具体的には、透過光の光強度分布(波数kに対する光強度I(λ)の分布)に対しFFTによるフーリエ変換を行い、そのスペクトル分布に所定の窓関数掛け、そのスペクトルをゼロ次シフトした後、フーリエ逆変換を行うことにより「位相情報」を求めると共に、フーリエ変換によって取り除かれるキャリア周波数成分である「周波数情報」を振幅スペクトル分布半値幅等から求める(詳細は後述参照)。

0037

図2中(中段)の例は、透過光の光強度分布のフーリエ解析で得られる振幅スペクトルの広がりから「周波数情報」を、またフーリエ逆変換で得られる位相から「位相情報」をそれぞれ求める場合を説明するものである。

0038

ここで、図2中(中段左側)に示す「周波数情報」において、fpは、振幅スペクトルの中心周波数、fsは、fpの1/e2(fs=fp×1/e2)の周波数をそれぞれ示す。ここでのfsの取り方の基準は、あくまで便宜的なものであり、スペクトルの半値を用いても良く、要するに、スペクトルの幅を決める位置と、その周波数の関係とが求められれば、どの位置を選択しても構わない。また、図2中(中段右側)に示す「位相情報」において、Kmin及びKmaxは、それぞれ計測される波数kの最小値及び最大値を示す。

0039

以上の周波数解析を元に得られる「周波数情報」と「位相情報」を上記(3)式中に入れて整理すると、次の(4)式が得られる。

0040

ID=000016HE=015 WI=115 LX=0475 LY=0600
この(4)式を元に「周波数情報」と「位相情報」を計算すれば、サンプルSaの波長依存性を考慮した複屈折位相差Δ(k)が求まることになる。

0041

以上の測定原理に基づく解析アルゴリズムは、予めPC16上のプロセッサ(CPU)がその動作時に実行可能なプログラムとして、そのプロセッサに接続される半導体メモリ可搬型ICカード等も含む)、ハードディスクリムーバブルメディアフロッピー登録商標ディスク光磁気ディスク(MO)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM等)等の記録媒体に記録され、測定時にそのプロセッサにより実行される。

0042

すなわち、PC16のプロセッサによるプログラム処理により、以上の測定原理に基づく解析アルゴリズムが実行され、上記(4)式に従ってサンプルSaの波長依存性を考慮した複屈折位相差Δが求められる。

0043

なお、上記の波形解析では、フーリエ変換で得られたスペクトルから「周波数情報」及び「位相情報」を求める処理方法として、スペクトルをゼロ次にシフトする方法を説明しているが、本発明はこれに限らず、後述するように種々の手法が採用できる。

0044

また、上記の波形解析では、代表的な周波数解析方法であるFFTを用いているが、本発明はこれに限らず、波数kに対し余弦状に変化する光強度I(λ)(分光光強度信号)の周波数、強度、及び位相が計算できる手法であれば、いずれの波形解析方法でも適用可能である。

0045

また、上記の光強度I(λ)を表す(1)式は、1対の偏光子12及び検光子13が互いに「平行ニコル」となるように配置された場合の式であるが、両者12、13が互いに「直交ニコル」となるように配置された場合は、上記(1)式に代えて、次の(1a)式で表される(これは、特開2001−141602号公報で記載されているものと同様である)。

0046

0047

また、上記の例では、回折格子(又はプリズム)及びリニアCCD(受光素子アレイ)を有する分光器(マルチチャンネル型の分光器)を例示してあるが、本発明はこれに限らず、例えば、回折格子やプリズムを回転させて回折角の異なる波長を次々出射スリットに導く構造をもつ波長走査型や波長選択型の分光器等であってもよい。

0048

次に、サンプルSの主軸方位φの計測・解析方法図3に基づいて説明する。この例では、位相シフト法を用いた場合を例示している。

0049

まず、図3中(上段)に示すように、前述した複屈折測定装置1において、1対の偏光子12及び検光子13が互いに平行ニコル(直交ニコルでも構わない)の状態となるようにセッティングされ、その間にサンプルSaが置かれる。この状態で、検光子13からの出射光の光強度I(λ)が前述した分光器14にて測定される。この光強度I(λ)は、図3中(中段)に示すように前述した(1)式で表現でき、これを展開すると、次の(5)式のように表現できる。

0050

0051

この(5)式より、位相シフト法を用いてサンプルSaの主軸方位φを求めることができる。すなわち、この位相シフト法では、図3中に示すように、1対の偏光子12と検光子13を一緒に回転させて上記(5)式中のシフト量θを与えることにより、主軸方位φが次の(6)式で計算できる。

0052

0053

この(6)式において、I1、I2、I3、及びI4は、偏光子12と検光子13を同時に22.5度ずつ回転させたときのシフト量θがそれぞれ0度、22.5度、45度、及び67.5度の位置における光強度を示す。

0054

なお、上記の主軸方位φの計測・解析には、位相シフト法を用いた場合を例示してあるが、偏光子と検光子を回転することによって得られる光強度の変化(余弦波状に変化する)の初期位相が得られれば、どの様な手法(例えば、FFT)を使っても構わない。

0055

従って、上述した本発明の基本測定原理によれば、従来例では測定できなかったサンプルSaの波長依存性を考慮した複屈折δn、すなわち複屈折位相差Δについて、前述した通り、フーリエ解析により得られるスペクトルの「周波数情報」から高次複屈折の次数を含めた絶対値を、また「位相情報」から複屈折δnの波長依存性を示す相対値をそれぞれ求めることができる。さらに、サンプルSaの主軸方位φを例えば位相シフト法を用いて求めることができる。

0056

以上の例は、本発明の基本測定原理を点計測に適用した場合であるが、次に2次元計測に適用した例を説明する。

0057

図4は、2次元計測用の複屈折測定装置2の構成例を示す。この例では、複屈折測定装置2は、ハロゲンランプ(白色光源)20及びその出射系(光ファイバケーブル21a、コリメータレンズ21b)と、そのハロゲンランプ20から出射される白色光の光路上に配置される光学系、すなわちAOTF(Acousto−Optic Tunable Filter:音響光学チューナブルフィルタ(音響光学素子))22、ビームエキスパンダレンズ系)23、サンプルSaを挟む1対の偏光子24及び検光子25、集束光学系(レンズ系)26、及びCCDカメラ27と、このCCDカメラ27の出力側に接続され、本発明の測定原理に基づく解析アルゴリズムを実行する解析及び制御装置として用いるPC28と、このPC28からの指令を受けてAOTF22の動作を制御するAOTFコントローラ29とを備えている。

0058

この内、AOTF22は、AOTFコントローラ29からの電気的な制御により、入射される白色光のバンド帯域中心波長を変化させることにより、特定の波長を取り出すバンドパスフィルタとして機能する。

0059

上記の構成によれば、まず、ハロゲンランプ20から出射される白色光が光ファイバケーブル21aを通りコリメータレンズ21bからAOTF22に照射される。この照射光は、AOTF22により特定の波長λ(波数k)をもつ光として出射され、その出射光がレンズ系23でコリメートされ、サンプルSaを挟む方位45度の1対の偏光子24及び検光子25に入射される。そして、この検光子25からの出射光は、サンプルSaのもつ複屈折の情報を担う光として、レンズ系26を透過した後、CCDカメラ27により計測画像として撮り込まれ、PC28に送られる。

0060

図5は、上記で取り込まれる計測画像の例を示す。この例に示すように、計測画像は、例えば128枚の画像(画素数の例:256(縦方向)×512(横方向))から構成される。この各画像は、波長λが450〜610[nm]の範囲内で波数kの値が順次変化して異なるようにAOTF22で制御された出射光による計測画像にそれぞれ対応するものである(図中の例ではk=k1、k2、…、kn:n=128)。このときのAOTF22の制御は、PC28からの指令によりAOTFコントローラ29を介して行われる。

0061

なお、取り込む画像は、この例の128枚に限らず、その後に行われるフーリエ解析を効率良く利用できるものであれば、いずれの枚数でもよい。また、画像を取り込む枚数を増やす程、高次の複屈折が測定できるため、その点も考慮に入れて画像枚数を決めることが望ましい。

0062

図6は、上記のように取り込まれる計測画像を元にPC28の処理で実行される2次元解析の手順を説明するものである。

0063

まず、図6中(上段)に示すように、上記で得られた例えば128枚の波数k(k=k1、k2、…、kn:n=128)毎の計測画像(画素数の例:256(縦方向)×512(横方向))は、それぞれ同一座標位置の画素Pcal毎に、波数k(k1、k2、…、kn:n=128)に対する光強度I(λ)の変化を表す光強度分布(横軸:波数k、縦軸:光強度I(λ))のデータとして変換される。

0064

ここで、各画素毎に得られる各波数kに対する光強度I(λ)は、前述の(1)式に従って変化するため、これから後の処理は、各画素毎に前述の点計測の場合と同様のフーリエ変換及びその後の解析アルゴリズムを用いることが出来る。具体的には、各画素毎に変換された光強度分布のデータに適当な窓関数を掛けてフーリエ変換を行い、これで得られたスペクトルをゼロ次にシフトしてフーリエ逆変換を行う。

0065

このフーリエ解析により、図6中(中段左側)に示すように、計測画像の画素毎に前述と同様の「周波数情報」と「位相情報」が得られる((4)式参照)。ここでの「周波数情報」の計算に際しては、スペクトルデータを補間し、キャリア周波数を求め、また、「位相情報」の計算に際しては、FFTによるフーリエ逆変換で得られるデータ列中に2πを越える部分が生じた場合にはアンラッピング法(後述参照)を用いて、連続した位相となるように修正する。

0066

次いで、以上の波形解析で求まる「周波数情報」と「位相情報」を元に、図6中(中段右側)に示すように、前述した(4)式に従って波長依存性を考慮した複屈折、すなわち波数kに対する複屈折位相差Δの分布が求まる。

0067

以上の一連解析処理は、計測画像上の全画素で実行され、これで得られた波数kに対する複屈折位相差Δの分布データが一定の波長λ(λ1、λ2、…、λn:n=128)毎の複数画像に変換され、図6中(下段)に示すように、波長λ毎の複屈折の2次元分布を示す画像が得られる。なお、サンプルSaの主軸方位φについては、上記と同様に位相シフト法やFFT等の方法を用いて計測することができる。

0068

ここで、上記で計測される複屈折の2次元分布の実測例を説明する。この実測例で測定対象としたサンプル(被測定試料)Saは、ポリマーフィルム位相フィルム)と水晶板の2試料である。

0069

(ポリマーフィルムの計測結果)まず、ポリマーフィルムの計測結果を図7図10に基づいて説明する。この例では、被測定試料としてアクリル基板上に階段状に積層させたポリマーフィルムを用いて、前述した波長依存性を考慮した2次元複屈折分布を計測している。

0070

図7(a)は、この計測で使用されたポリマーフィルムの外観写真)、図7(b)は、図7(a)中のX−X’線に沿ったポリマーフィルムの断面、図7(c)は、この計測で撮影されたポリマーフィルムの原画像撮影範囲:28(縦)[mm]×28(横)[mm]、画素数:128×128)をそれぞれ示す。図7(b)に示すように、ポリマーフィルムの1枚当たりの厚さは60[μm]で、その複屈折位相差Δは、波長550[nm]のときに2π[rad]である。また、図7(c)に示す原画像では、ポリマーフィルムの内、フィルム枚数が11枚、10枚、及び9枚の各積層部分(11層、10層、及び9層)の各境界位置が分かる部分が図中の左側から右側に順に撮影されている。

0071

図8は、上記のポリマーフィルムに対し、波長λ=460、500、532、550、及び608[nm]の各条件で計測及び解析された波長λ毎の複屈折分布を表す画像を示す。この複屈折分布を示す複屈折位相差Δの大きさは、Δ=50〜100[rad]の範囲内で変化しており、その分布の様子が画像を見て容易に分かるように、例えばグレイスケール(例えば、Δ=50〜100が黒色〜白色に変化)を用いて表示しているが、これに限らず、カラースケール(例えば、Δ=50〜100が紫色〜青色〜緑色〜黄緑色〜黄色〜赤色に順次変化)を用いてカラー表示してもよい。

0072

図8に示すように、波長λの異なる各画像のどの画像を見ても、ポリマーフィルム上でフィルム枚数が11層、10層、及び9層と変化するに従って(各画像中の左右方向)、複屈折位相差Δがその境界部で変化していること、また、波長λの異なる各画像を比較すると、波長λが長くなるにつれて、複屈折位相差Δが小さくなっていることが、それぞれ明瞭に確認された。

0073

図9は、波長λ=550[nm]の条件で計測及び解析された複屈折分布を表す画像上のA−A’線(図7(c)参照)に沿った断面位置に対するポリマーフィルムの複屈折位相差Δの変化を示す。図9に示す結果では、複屈折位相差Δは、A−A’線断面位置上におけるポリマーフィルム上のフィルム枚数が11層から10層に変化する位置と10層から9層に変化する位置の2個所で、それぞれ約2π[rad]の段差が明瞭に確認された。この結果は、本発明の基本測定原理に基づく手法により定量的な複屈折計測が行われていることを実証するものである。これは、従来例の単色光を用いた偏光計測では、計測できなかったものである。

0074

図10は、波長λ=532[nm]の条件で計測及び解析されたポリマーフィルムの主軸方位φの2次元分布を示す画像で、図中の例では主軸方位φの方向をグレイスケール(φ=−30[度]〜30[度])による画像表示及びその画像上で格子状に配列された測定点でのベクトルの向きでそれぞれ示している。図10に示す結果では、ポリマーフィルムの主軸方位φは、どの位置でもほぼ1方向に揃っており、約0度を示していることが確認された。

0075

(水晶板の計測結果)次に、水晶板の計測結果を図10図12に基づいて説明する。この例では、被測定対象としてくさび型にカットされた水晶板を用いて、その2次元複屈折位相差分布を計測している。

0076

図11(a)は、この計測で使用された水晶板の外観(写真)、図11(b)は、X−X’線に沿った水晶板の断面、図11(c)は、この計測で撮影された原画像をそれぞれ示す。図11(b)に示すように、水晶板はその厚さが連続して変化しており、図11(c)に示す原画像上では、図中の上側(A−A’線のA側)が厚い部分に相当し、そこから下側(A−A’線のA’側)に向って順次薄くなっている。

0077

図12は、上記と同様の波長λ(λ=460、500、532、550、及び608[nm])の条件で計測及び解析された波長λ毎の2次元複屈折分布を表す画像を示す。図12に示すように、解析された水晶板の複屈折分布を示す複屈折位相差Δの大きさは、大きいところで250[rad]、小さいところで100[rad]という結果となり、どの波長λの画像も水晶板の厚さ方向に複屈折位相差Δが変化している様子が良く確認された。また、波長λの異なる各画像を比較すると、上記と同様に、波長λが長くなるにつれて、複屈折位相差Δが小さくなっていることが確認された(なお、図12中で観察される画像中のムラは、水晶板の製造時に生じた研磨ムラであると考えられる)。

0078

図13は、波長λ=567[nm]の条件で計測及び解析された2次元複屈折分布を表す画像上のA−A’線(図7(c)参照)に沿った断面位置に対する水晶板の複屈折位相差Δの変化を示す。図13に示す結果では、複屈折位相差Δが直線的に変化している様子が示され、信頼性の高い測定値を表していることが確認された。

0079

図14は、波長λ=532[nm]の条件で計測及び解析された水晶板の主軸方位φの2次元複屈折分布を示す画像で、上記と同様に、主軸方位φの方向をグレイスケール及びベクトルでそれぞれ示している。図14に示す結果では、水晶板の主軸方位φは、各測定点でのベクトルの向きで見ると、ほぼ同じ方向を向いているが、グレイスケールで見ると、画像は均一となっておらず、状の分布が観察される。本来、水晶の結晶の方位はこのような縞状の分布を示すことはないため、これは測定誤差と考えられる。この誤差発生の原因は、複屈折位相差Δがπ/2、3π/2、及び5π/2と変化しているところで、前述した(6)式から位相シフト法が使用できない特異点が存在しているためと考えられる。

0080

次に、上記のポリマーフィルム及び水晶板で計測及び解析された各複屈折位相差Δ(複屈折δn)の波長依存性における計測結果を説明する。

0081

図15(a)は、波長λに対する複屈折位相差Δの変化(縦軸:複屈折位相差Δ[rad]、横軸:波長λ[nm])を、図15(b)は、波長λに対する複屈折δnの変化(縦軸:複屈折位相差Δ[rad]、横軸:波長λ[nm])をそれぞれ示す。図15(a)及び(b)において、実線で示す曲線はポリマーフィルムの測定結果点線で示す曲線は水晶板の測定結果、三角印(△)で示す点は公知文献(理科年表)から計算で求めた複屈折値ひし形印(◇)示す点は所定のメーカから公表されているカタログ値(図15(a)のみ)をそれぞれ示す。

0082

図15(a)及び(b)に示すポリマーフィルム及び水晶板の各測定結果は、いずれも、理科年表の複屈折値及びメーカのカタログ値とほぼ一致する傾向が確認され、これにより、本発明による複屈折計測の手法を用いた波長依存性の計測の有効性が確認された。なお、図15(a)に示す結果では、ポリマーフィルムの測定結果による複屈折位相差がカタログ値よりも若干大きめの傾向を示しているが、この原因はサンプルを光学系にセットするときに光軸に対し多少傾いていた為であると考えられる。この場合でも、ポリマーフィルムの測定結果及びカタログ値における複屈折位相差の波長依存性の傾向は、ほぼ同じとなっている。

0083

従って、本実施の形態による複屈折計測によれば、点計測に限らず2次元計測でも、従来例では測定できなかった複屈折の波長依存性を含めた測定を精度良く実現することができる。

0084

なお、上記の波長依存性を考慮した2次元複屈折計測では、白色光の中から特定の波長を取り出す方法として、AOTF(Acousto−Optic Tunable Filter:音響光学チューナブルフィルタ)を用いた例を説明しているが、本発明はこれに限らず、例えば、干渉フィルタ複数枚並べて順次提示する方法、複屈折性のバンドパスフィルタ(これはフィルタを光軸に対して傾斜させることで、透過光の中心波長を変化させることが出来る)等であってもよい。

0085

また、上記の波数に対し余弦状に変化する分光データ(光強度分布)のフーリエ解析で得られるスペクトルから「位相情報」及び「周波数情報」を求めるための処理方法については、図2中(中段及び下段)に示す手法に限らず、その他、種々の手法が適用できる。以下、この各手法の適用例を図16図19に基づいて説明する。

0086

図16は、前述した(4)式の計算例を含む解析手順概要を示す。図16に示す解析手順では、前述した本発明の基本測定原理に従って、分光データ(光強度分布データ)を取得し(ステップSt1)、この分光データに適用な窓関数を掛け(ステップSt2)、フーリエ解析によりスペクトルを求め(ステップSt3)、このスペクトルから「周波数情報」と「位相情報」を求め(ステップSt4)、これで得られた「位相情報」から複屈折の波長依存性を示す相対値を、また「周波数情報」から高次複屈折の次数を含めた絶対値をそれぞれ求めるものである(ステップSt5)。

0087

まず、ステップSt1にて、取得される分光データは、図16中(上段)に示すように、フーリエ変換により波数kに対し余弦状に変化する光強度I(λ)の式(前述の(1)式)で表される。この式は、複屈折位相差Δが波長依存性をもつΔ(λ)と考えると、図16中の(1)´式に置き換えることができる。そして、この複屈折位相差Δ又はΔ(λ)は、前述で説明した通り、(2)式から(3)式に展開して「周波数情報」と「位相情報」の計算から求めることができる。

0088

そのため、ステップSt2にて、光強度I(λ)の式で表される分光データに窓関数を掛ける演算を行う。この演算式は、例えば次の式(7)式で表される。

0089

ID=000020HE=010 WI=068 LX=1160 LY=2200
この(7)式において、Iω(k)は窓関数をかけた光強度I(λ)、I0は窓関数を掛ける前の光強度I(λ)、A−B・cos(2πk/k0)は窓関数、A、Bは定数(任意)、k0はデータサンプリング数をそれぞれ示す。

0090

この処理によって、図16中(中段)に示すように、光強度I(λ)分布のスペクトルの中心が測定波数領域の中心と一致するようになる。ここで、A、Bの値の仮定は任意であるが、スペクトル解析による周波数fのスペクトル上のfsの位置を決定するためのスペクトル強度相関があるため、実際にA、Bを決める際は、この点を考慮する必要がある。

0091

次いで、ステップSt3にて、上記で窓関数をかけた光強度I(λ)からフーリエ解析により周波数fのスペクトルを求める。この周波数fのスペクトルは、図16中(下段)に示すように、周波数f=0(ゼロ次)からシフトした位置にピークをもっている。

0092

そこで、ステップSt4にて、上記の周波数fのスペクトルから「周波数情報」と「位相情報」を求めるが、このときの処理方法は、1)スペクトルをゼロ(0)次にシフト(スペクトルのピークであるfpの位置をf=0の位置にシフト)して逆変換を行う方法(前述の基本測定原理で説明する方法で、図2及び(4)式参照)、2)スペクトルを0次にシフトしないでフーリエ逆変換を行う方法(後述の図17参照)、3)スペクトルをfs(f1)分だけシフト(スペクトルのfsの位置をf=0の位置にシフト)してフーリエ逆変換を行う方法(後述の図18参照)、4)スペクトルのfpをそのまま用いてフーリエ逆変換を行う方法(後述の図19参照)等、いずれの方法でも適用可能である。

0093

図17は、上記ステップSt4における、2)スペクトルを0次にシフトしないでフーリエ逆変換を行う方法を説明するものである。この方法によれば、上記で得られる周波数fのスペクトル(図中の最上段参照)に対し0次にシフトしないでフーリエ逆変換を行い、そのフーリエ逆変換後の波数k(1/λ)に対する位相φ(k)のデータ(図中の上から二段目参照)に対しアンラッピングを施し、そのアンラッピング後の波数kに対する位相φ’(k)のデータ(図中の上から三段目参照)に対しfs分のオフセットβを加える(図中の下から二段目参照)。従って、この方法で得られる複屈折位相差Δ(k)は、次の(8)式で表される。

0094

0095

この(8)式では、前述した1)スペクトルを0次にシフトする方法に比べ、得られる式が簡単になる。

0096

図18は、上記ステップSt4における、3)スペクトルをfs分だけシフト(スペクトルのfsの位置をf=0の位置にシフト)してフーリエ逆変換を行う方法を説明するものである。この方法によれば、上記で得られる周波数fのスペクトルに対し、図中の最上段に示すように、fs分シフトしてフーリエ逆変換を行い、そのフーリエ逆変換後の波数k(1/λ)に対する位相φ(k)のデータ(図中の上から二段目参照)に対しアンラッピングを施し、そのアンラッピング後の波数kに対する位相φ’(k)のデータ(図中の上から三段目参照)に対しfs分のオフセットβを加える(図中の下から二段目参照)。従って、この方法で得られる複屈折位相差Δ(k)は、次の(9)式で表される。

0097

0098

この(9)式でも、(8)式と同様に、前述した1)スペクトルを0次にシフトする方法に比べ、得られる式が簡単になる。

0099

図19は、ステップSt4における、4)スペクトルのfpをそのまま用いてフーリエ逆変換を行う方法を説明するものである。この方法によれば、上記で得られる周波数fのスペクトル(図中の最上段参照)に対しそのfpを用いてフーリエ逆変換を行い、そのフーリエ逆変換後の波数k(1/λ)に対する位相φ(k)のデータ(図中の上から二段目参照)に対しアンラッピングを施し、そのアンラッピング後の波数kに対する位相φ’(k)のデータ(図中の上から三段目参照)に対しfp分のオフセットを加える(図中の下から二段目参照)。従って、この方法で得られる複屈折位相差Δ(k)は、次の(10)式で表される。

0100

0101

この(10)式でも、(8)式及び(9)式と同様に、前述した1)スペクトルを0次にシフトする方法に比べ、得られる式が簡単になる。

0102

ここで、図16戻り、ステップSt5にて、以上の処理で得られた位相情報から、複屈折の波長依存性を示す相対値が、また周波数情報から、高次複屈折の次数を含めた絶対値が求められる。

0103

なお、上記の例において、振幅スペクトル内のスペクトル分布の頂点の周波数fpとそのスペクトル分布の開始点の周波数fsを精度良く求める為には、次のような処理を行うことが望ましい。通常のフーリエ解析で得られるスペクトル分布は、波数kに対する光強度の測定点数に応じて離散的に得られる。例えば、図2の中段左に示すものや、図6の中段に示す周波数情報に示されるように、得られるデータはとびとびの値になる。fpとfsとを精度良く求めるためには、このスペクトル分布の形状をフィッティング等の処理を用いて、離散データ内挿する必要がある。このために利用される手法は,例えば、1)分布形状ガウス分布二項分布などの関数近似する方法、2)部分的な領域を取り出し、隣り合う数点のデータを元にして、その領域内を多項式近似し、内挿領域を逐次移動し全体の分布形状を近似する方法、等を例示できる。

0104

なお、上記の例では、解析装置としてPCを例示したが、本発明はこれに限らず、本発明の測定原理に基づく解析アルゴリズムを実行するコンピュータの機能を有するものであれば、例えばネットワーク接続された専用ワークステーション等、いずれの装置(マシンモジュールユニット等)でも適用可能である。

0105

なお、本発明は、代表的に例示した上述の実施形態及び適用例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができ、それらも本発明の権利範囲に属するものである。

発明の効果

0106

以上説明したように、本発明によれば、高次複屈折に加え、複屈折の波長依存性を考慮した高精度の複屈折計測を実現できる。この複屈折計測では、点計測のみならず、2次元計測に適用でき、より拡張性及び実用度の高いものとなっている。

図面の簡単な説明

0107

図1本発明の実施形態に係る波長依存性を考慮した複屈折測定装置及び方法の基本測定原理の前提部分を説明する図。
図2本発明の実施形態に係る波長依存性を考慮した複屈折測定装置及び方法の基本測定原理の骨子部分を説明する図。
図3位相シフト法を用いた主軸方位計測を説明する図。
図42次元計測に適用した場合の複屈折測定装置の構成例を示す図。
図5図4に示す複屈折測定装置で取り込まれる画像を説明する図。
図62次元計測に適用した場合の解析手順を説明する図。
図7複屈折計測で実測されたポリマーフィルムを示す図で、(a)は外観図(写真)、(b)は(a)中のX−X’線に沿った断面図、(c)は原画像を示す図。
図8ポリマーフィルム(位相フィルム)の複屈折位相差の解析結果を示す図。
図9図7(c)中のA−A’線に沿って計測された複屈折位相差を示す図。
図10ポリマーフィルムの主軸方位の解析結果を示す図。
図11複屈折計測で実測された水晶板を示す図で、(a)は外観図(写真)、(b)は(a)中のX−X’線に沿った断面図、(c)は原画像を示す図。
図12水晶板の複屈折位相差の解析結果を示す図。
図13図11(c)中のA−A’線に沿って計測された複屈折位相差を示す図。
図14水晶板の主軸方位の解析結果を示す図。
図15ポリマーフィルム及び水晶板の計測値の精度を外部資料(理科年表、カタログ値)と比較して説明する図で、(a)は波長に対する複屈折位相差の変化を示すグラフ、(b)は波長に対する複屈折の変化を示すグラフ。
図16本発明の基本測定原理に基づく解析手順を説明する図。
図17図16に示す解析手順の内、スペクトルをゼロ次にシフトしないでフーリエ逆変換を行う方法を説明する図。
図18図16に示す解析手順の内、スペクトルをfs分シフトしてフーリエ逆変換を行う方法を説明する図。
図19図16に示す解析手順の内、fpを用いてフーリエ逆変換を行う方法を説明する図。

--

0108

1複屈折測定装置(点計測用)
2 複屈折測定装置(2次元計測用)
10白色光源
11a光ファイバケーブル
11bコリメータレンズ
12偏光子
13検光子
14分光器
14a回折格子
14bリニアCCD
15a集光レンズ
15b 光ファイバケーブル
16 PC(パーソナルコンピュータ)
20ハロゲンランプ
21a 光ファイバケーブル
21b コリメータレンズ
22音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)
23ビームエキスパンダ(レンズ系)
24 偏光子
25 検光子
26集束光学系(レンズ系)
27CCDカメラ(2次元撮像素子
28 PC(パーソナルコンピュータ)
29 AOTFコントローラ
Saサンプル(被測定試料)

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