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技術 ダイヤモンドコーティング切削工具

出願人 三菱マテリアル株式会社
発明者 松木竜一益野智行森田啓介
出願日 2002年9月26日 (18年4ヶ月経過) 出願番号 2002-280915
公開日 2003年6月17日 (17年8ヶ月経過) 公開番号 2003-170356
状態 拒絶査定
技術分野 研削機械のドレッシング及び付属装置 研磨体及び研磨工具 洗浄、機械加工
主要キーワード 合格判定基準 ポリウレタンラバー 中央領 正四角柱 全面接触 排出効果 気相合成ダイヤモンド 回転方向後方側
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年6月17日)のものです。
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図面 (12)

課題

パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘って安定であり、かつ、安価なパッドコンディショナーを提供すること。

解決手段

基板10の表面11に、上面13が平坦な凸部12を複数設ける。凸部1個当たりの上面13の面積s1を、0.01〜1mm2の範囲に設定する。複数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/S2を、0.0001〜0.01の範囲に設定する。凸部12における切刃14部分を含んで、基板10の表面11の全面に、気相合成ダイヤモンド15をコーティングする。

概要

背景

近年、半導体産業進展とともに、金属、半導体、セラミックなどの表面を高精度に仕上げ加工方法の必要性は高まっている。とくに、半導体ウエハは、集積度の向上とともにナノミクロン(1/1000ミクロン)オーダー表面仕上げが要求されてきており、このため、多孔性パッド研磨布)を用いた、CMP研磨メカノケミカル研磨)が一般的となっている。

このような半導体ウエハなどの研磨に用いられるパッドは、研磨時間が経過していくにつれ、目詰まり圧縮変形を生じ、その表面状態が次第に変化していく。すると、研磨速度の低下などの好ましくない現象が生じるので、パッドの表面を定期的に加工、調整して荒すことにより、パッドの表面状態を一定に保って、良好な研磨状態を維持する工夫が行われている。また、最近では、半導体装置製造工程途中においても凹凸平坦化するために研磨加工が用いられるようになってきており、このような場合には、凹部と凸部との研磨速度比を大きくとるために、独立気泡を有するポリウレタンラバーからなるパッドなど、より強力な表面調整が必要とされるパッドを使用する場合も増加している。

ところで、従来では、これらのパッドを加工、調整するためにはパッドコンデショナーと呼ばれる砥石が用いられるのが一般的であった。このパッドコンデショナーとして、以下に示すようなものが知られている。まず、第1には、表面に複数の溝や穴が形成されたアルミナマグネシアシリカなどの焼結体治具を用いたパッドコンディショナーがあり、これらは、図7乃至図9に示すように、例えば、略円板状(図7,8)あるいは略直方体状(図9)をなすパッドコンディショナー1の表面2に、複数の穴3あるいは溝4が形成されてなるものであり、この表面2をパッドの表面に押し当てるとともに、略円板状のパッドコンディショナーでは、回転運動、場合によっては並進運動をし、略直方体状のパッドコンディショナーでは、並進運動をすることによって、パッドの表面を加工、調整するものである。

そして、第2には、ダイヤモンド電着プレートを用いたパッドコンディショナーがあり、これは、図10,11に示すように、例えば、ステンレス鋼からなる略円板状をなす基板5の表面6に、ダイヤモンド砥粒8がニッケル等の金属結合相9で固着された砥粒層7が形成されてなるものであり、この表面6をパッドの表面に押し当てるとともに、回転運動、場合によっては並進運動をすることによって、パッドの表面を加工、調整するものである。

しかしながら、上述した第1のパッドコンディショナーにおいては、アルミナ、マグネシア、シリカなどの焼結体は、その硬度が十分でなく、パッドの表面の調整作用を長期間に亘って安定して維持することはできなかった。

さらに、上述した第2のパッドコンディショナーにおいては、硬度の大きなダイヤモンド砥粒8を用いているため、第1のパッドコンディショナーと比較して、バッド表面の調整作用をある程度の期間に亘って維持することはできるものの、ダイヤモンド砥粒8が高価であることから、パッドコンディショナー自体の価格が高くなってしまう。加えて、金属結合相9に固着されて表面に露出しているダイヤモンド砥粒8は、微視的には高さにばらつきがあり、かつ、パッドの研磨に供されるダイヤモンド砥粒8の角も、個々の粒子によって大きく異なり、多くの場合、図11に示すように、非常に鈍い角度のダイヤモンド砥粒8の角でパッドの表面の研削を行うこととなってしまい、十分に切れ味良くパッドを研削することはできない。

実際、ダイヤモンド電着プレートを用いたパッドコンディショナーの場合、ダイヤモンド砥粒8が、金属結合相9中に50vol%合まれていたとしても、研削に作用しているダイヤモンド砥粒8はその5〜10vol%と言われており、高価なダイヤモンド砥粒8を用いるわりには、効率的な研削加工が行われないのが現実であった。また、研削を行うダイヤモンド砥粒8の角の角度が鈍いため、ポリウレタンラバーからなるパッドを研磨する場合のように、多くの孔を表面に出してCMP研磨における効果性をあげたいときでも、孔がつぶされてしまうこととなり、研削効率が悪いだけでなく、パッドの表面の仕上げの点でも満足のいくものではなかった。

ここで、別の従来技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているような、気相合成ダイヤモンドの技術を応用したパッドコンディショナーがある。これらは、基板の表面に、複数の溝、穴あるいは凸部が形成されているとともに、その表面の全面が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされているものであり、このようなパッドコンディショナーでは、基板を構成する材料や、ダイヤモンド砥粒を固着する金属結合相からの汚染を防止するのには効果を発揮することができる。

概要

パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘って安定であり、かつ、安価なパッドコンディショナーを提供すること。

基板10の表面11に、上面13が平坦な凸部12を複数設ける。凸部1個当たりの上面13の面積s1を、0.01〜1mm2の範囲に設定する。複数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/S2を、0.0001〜0.01の範囲に設定する。凸部12における切刃14部分を含んで、基板10の表面11の全面に、気相合成ダイヤモンド15をコーティングする。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘って安定であり、かつ、安価である、パッド表面の加工、調整用工具を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

基板の表面に複数の凸部が設けられ、該凸部の上面が平坦面とされるとともに、この上面の稜線部が切刃とされ、前記凸部1個当たりの上面の面積s1が、0.01〜1mm2の範囲に設定され、前記複数の凸部の上面の合計面積S1と、前記基板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.01の範囲に設定され、さらに、少なくとも前記凸部における切刃部分が、気相合成ダイヤモンドコーティングされていることを特徴とするダイヤモンドコーティング切削工具

請求項2

請求項1に記載のダイヤモンドコーティング切削工具において、前記複数の凸部同士の間の最短距離が、1mm以上に設定されていることを特徴とするダイヤモンドコーティング切削工具。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のダイヤモンドコーティング切削工具において、前記凸部1個当たりの高さh〔mm〕が、前記凸部1個当たりの上面の面積s1〔mm2〕との関係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に設定されていることを特徴とするダイヤモンドコーティング切削工具。

請求項4

請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイヤモンドコーティング切削工具において、前記気相合成ダイヤモンドのコーティング層層厚が、0.5〜20μmの範囲に設定されていることを特徴とするダイヤモンドコーティング切削工具。

請求項5

請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダイヤモンドコーティング切削工具において、前記基板の表面の全面が、前記気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることを特徴とするダイヤモンドコーティング切削工具。

技術分野

0001

本発明は、多孔性樹脂ゴムポリウレタンラバーなどからなるパッド、例えば、半導体ウエハなどの研磨用パッドの表面を加工、調整するための工具に関するものである。

背景技術

0002

近年、半導体産業進展とともに、金属、半導体、セラミックなどの表面を高精度に仕上げ加工方法の必要性は高まっている。とくに、半導体ウエハは、集積度の向上とともにナノミクロン(1/1000ミクロン)オーダー表面仕上げが要求されてきており、このため、多孔性のパッド(研磨布)を用いた、CMP研磨メカノケミカル研磨)が一般的となっている。

0003

このような半導体ウエハなどの研磨に用いられるパッドは、研磨時間が経過していくにつれ、目詰まり圧縮変形を生じ、その表面状態が次第に変化していく。すると、研磨速度の低下などの好ましくない現象が生じるので、パッドの表面を定期的に加工、調整して荒すことにより、パッドの表面状態を一定に保って、良好な研磨状態を維持する工夫が行われている。また、最近では、半導体装置製造工程途中においても凹凸平坦化するために研磨加工が用いられるようになってきており、このような場合には、凹部と凸部との研磨速度比を大きくとるために、独立気泡を有するポリウレタンラバーからなるパッドなど、より強力な表面調整が必要とされるパッドを使用する場合も増加している。

0004

ところで、従来では、これらのパッドを加工、調整するためにはパッドコンデショナーと呼ばれる砥石が用いられるのが一般的であった。このパッドコンデショナーとして、以下に示すようなものが知られている。まず、第1には、表面に複数の溝や穴が形成されたアルミナマグネシアシリカなどの焼結体治具を用いたパッドコンディショナーがあり、これらは、図7乃至図9に示すように、例えば、略円板状(図7,8)あるいは略直方体状図9)をなすパッドコンディショナー1の表面2に、複数の穴3あるいは溝4が形成されてなるものであり、この表面2をパッドの表面に押し当てるとともに、略円板状のパッドコンディショナーでは、回転運動、場合によっては並進運動をし、略直方体状のパッドコンディショナーでは、並進運動をすることによって、パッドの表面を加工、調整するものである。

0005

そして、第2には、ダイヤモンド電着プレートを用いたパッドコンディショナーがあり、これは、図10,11に示すように、例えば、ステンレス鋼からなる略円板状をなす基板5の表面6に、ダイヤモンド砥粒8がニッケル等の金属結合相9で固着された砥粒層7が形成されてなるものであり、この表面6をパッドの表面に押し当てるとともに、回転運動、場合によっては並進運動をすることによって、パッドの表面を加工、調整するものである。

0006

しかしながら、上述した第1のパッドコンディショナーにおいては、アルミナ、マグネシア、シリカなどの焼結体は、その硬度が十分でなく、パッドの表面の調整作用を長期間に亘って安定して維持することはできなかった。

0007

さらに、上述した第2のパッドコンディショナーにおいては、硬度の大きなダイヤモンド砥粒8を用いているため、第1のパッドコンディショナーと比較して、バッド表面の調整作用をある程度の期間に亘って維持することはできるものの、ダイヤモンド砥粒8が高価であることから、パッドコンディショナー自体の価格が高くなってしまう。加えて、金属結合相9に固着されて表面に露出しているダイヤモンド砥粒8は、微視的には高さにばらつきがあり、かつ、パッドの研磨に供されるダイヤモンド砥粒8の角も、個々の粒子によって大きく異なり、多くの場合、図11に示すように、非常に鈍い角度のダイヤモンド砥粒8の角でパッドの表面の研削を行うこととなってしまい、十分に切れ味良くパッドを研削することはできない。

0008

実際、ダイヤモンド電着プレートを用いたパッドコンディショナーの場合、ダイヤモンド砥粒8が、金属結合相9中に50vol%合まれていたとしても、研削に作用しているダイヤモンド砥粒8はその5〜10vol%と言われており、高価なダイヤモンド砥粒8を用いるわりには、効率的な研削加工が行われないのが現実であった。また、研削を行うダイヤモンド砥粒8の角の角度が鈍いため、ポリウレタンラバーからなるパッドを研磨する場合のように、多くの孔を表面に出してCMP研磨における効果性をあげたいときでも、孔がつぶされてしまうこととなり、研削効率が悪いだけでなく、パッドの表面の仕上げの点でも満足のいくものではなかった。

0009

ここで、別の従来技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているような、気相合成ダイヤモンドの技術を応用したパッドコンディショナーがある。これらは、基板の表面に、複数の溝、穴あるいは凸部が形成されているとともに、その表面の全面が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされているものであり、このようなパッドコンディショナーでは、基板を構成する材料や、ダイヤモンド砥粒を固着する金属結合相からの汚染を防止するのには効果を発揮することができる。

0010

特開平7−328937号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、いずれも電着したダイヤモンド砥粒に代えて気相合成ダイヤモンドを用いるものであり、十分な耐磨耗性を得ることができるものの、ダイヤモンド砥粒と異なって基板からの脱落がないため、目詰まりを生じ易く、加工効率パッド表面の仕上げの点を考慮すると、十分な効果を得ることができるとは言えなかった。

0012

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘って安定であり、かつ、安価である、パッド表面の加工、調整用の工具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明者らは鋭意開発を続けた結果、従来のパッドコンディショナーのような研削工具概念に捕らわれず、いかに切れ味良く効率的に加工するかを考慮して、切削加工、とくに、正面フライスの概念をパッドの研磨に取り入れることにより、基板の表面に数多くの独立した切刃を有する工具を発明するに至ったのである。

0014

正面フライス加工は、略円板状をなす工具本体の先端部外周に複数の切刃が植え込まれてなるフライス工具を、その軸線回りに回転させながら、横移動する被削材の表面に対して、所定深さの切り込み量を与えることにより、被削材の表面を切削加工していくものである。この加工を良好に行うためには、切れ味の良い切刃と、切削加工にともなって生じる切屑をスムースに排出することが重要であり、このため、フライス加工には、被削材の種類によって切刃の材質、形状、角度などが種々工夫され、かつ、切屑がスムースに排出されるように各切刃ごとにチップポケットが設けられて、その深さ、形状などに工夫がなされている。

0015

同様の概念を、本発明のパッド表面の加工、調整用の工具にも応用した、すなわち、樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどからなるパッドに対して、優れた切れ味を示す切刃と、この切刃によって生成される切屑をスムースに排出する適切なスペースを基板の表面に設けることにより、高効率な加工を可能とする工具を提供しようとするのである。この場合、通常の正面フライス加工と大きく異なる点は、被削材が弾性変形をする材料である点が挙げられ、このため、切削抵抗が高いと、切刃が被削材に対して切り込むことなく(いわゆる食い付くことがなく)、パッドの表面を全く加工できなくなってしまう。それゆえ、一つの切刃当たりの切削抵抗を極力少なくする必要が生じ、切刃を極力小さくし、かつ、切り込み量を少なくしなければならないが、そのようにすると、加工効率の低下を招いてしまうので、このような小さな切刃を多数、基板の表面に設ける必要がある。

0016

一方、これら弾性変形をする被削材の切屑は、通常の金属からなる被削材の切屑のように、加工硬化により破断する(いわゆるブレーキング)することは期待できず、連なって発生する。このため、切屑を排出するためのスペースに余裕がないと、簡単に目詰まりして、加工できなくなってしまうので、切刃の大きさを適切に設定することと、その切刃をどの程度の間隔で設けて切屑を排出するためのスペースをいかに確保するかが、効率的な加工を行う上での大きな問題となる。

0017

他方、これらの切刃は小さくかつ鋭利な状態を保つ必要があるが、余程の耐磨耗性がないと、いかに被削材が樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーといった柔らかいものであったとしても、すぐに切刃が磨耗して切れ味が低下してしまう。また、切刃が小さくなるにしたがって、強度の点でも弱くなるので、この切刃に対して、いかに強度をもたせるかも大きな問題となる。

0018

本発明は、これらの知見に基づいて鋭意検討した結果になされたものであり、基板の表面に複数の凸部が設けられ、該凸部の上面が平坦面とされるとともに、この上面の稜線部が切刃とされ、前記凸部1個当たりの上面の面積s1が、0.01〜1mm2の範囲に設定され、前記複数の凸部の上面の合計面積S1と、前記基板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.01の範囲に設定され、さらに、少なくとも前記凸部における切刃部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることを特徴とする。

0019

このような構成のダイヤモンドコーティング切削工具では、基板の表面に形成された凸部1個当たりの平坦な上面の面積s1が、0.01〜1mm2と小さな値に設定されているので、この平坦な上面の稜線部に形成された切刃を小さくかつ鋭利な状態に保って、切削抵抗を低減することが可能となり、弾性変形をする材料からなるパッドに対しても優れた切れ味を得ることができるとともに、切刃が小さくなりすぎることもなく、切削効率の低下や凸部の強度低下を招いてしまうことがない。しかも、複数の凸部の上面の合計面積S1と、基板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.01と小さな値に設定されているので、複数の凸部同士の間の間隔、すなわち、切刃にて生成される切屑を排出するためのスペースを十分に確保することが可能となって、目詰まりを生じることがないとともに、凸部の数が極端に少なくなることもなく、切削効率の低下を招いてしまうことがない。さらには、少なくとも凸部における切刃部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることから、この小さな切刃に耐摩耗性を与えることができるので、従来のように、高価なダイヤモンド砥粒を用いなくても、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッドの調整作用を呈することが可能となる。ここで、凸部1個当たりの上面の面積s1が、0.01mm2より小さくなると、切削に供される切刃が小さくなりすぎて、切削効率の低下を招いたり、凸部の強度が低下するおそれがあり、一方、この面積s1が、1mm2より大きくなると、切削に供される切刃が大きくなりすぎて、切削抵抗が高くなりすぎて、パッドの表面を加工できなくなってしまうおそれが生じる。また、複数の凸部の上面の合計面積S1と、基板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001より小さくなると、凸部の数が少なくなりすぎて、切削効率が低下するおそれがあり、一方、この面積比S1/S2が、0.01より大きくなると、凸部の上面の合計面積が大きくなり、切削抵抗が高くなりすぎて、パッド表面を加工できなくなってしまうおそれがある。

0020

また、基板の表面に形成された複数の凸部は、そのすべてが必ずしも略等間隔に配置される必要はないが、これら複数の凸部同士の間の最短距離は、1mm以上に設定されていることが好ましく、この最短距離が、1mmより小さくなると、凸部同士の間に形成される、切屑を排出するためのスペースが、十分に確保できなくなって、目詰まりを生じやすくなるおそれがある。

0021

また、凸部1個当たりの高さh〔mm〕が、凸部1個当たりの上面の面積s1〔mm2〕との関係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に設定されていることが好ましく、この高さhが、(0.091・s1+0.009)より小さくなると、凸部の切刃に与えられる切り込み量が大きくとれず、切削効率が低下してしまうおそれがあり、一方、高さhが、(0.81・s1+0.19)より大きくなると、凸部が細長くなりすぎて、その強度が低下するおそれがある。

0022

また、気相合成ダイヤモンドのコーティング層層厚は、0.5〜20μmの範囲に設定されていることが好ましく、この層厚が、0.5μmより小さくなると、切刃に与えられる耐摩耗性が十分ではなく、寿命が低下してしまうおそれがあり、一方、コーティング層の層厚が、20μmより大きくなっても、逆にコーティング層が脆くなって、クラックを生じやすくなるおそれがある。

0023

また、気相合成ダイヤモンドのコーティング層は、凸部における切刃部分だけに形成されているのでもよいが、凸部を含むように基板の表面の全面に亘って形成されていることが好ましく、このような構成とした場合には、たとえ、溶出による汚染のおそれがある材料から基板を構成したとしても、この基板の表面の全面がコーティングされていることによって、溶出による汚染を防止することができ、しかも、凸部の強度をより向上させることが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0024

以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の平面図、図2は同ダイヤモンドコーティング切削工具の要部拡大平面図、図3は同ダイヤモンドコーティング切削工具の要部拡大断面図である。なお、これら図面においては、説明上分かりやすくするために誇張して記載してあり、詳細な数値等の規定に関しては、後述する通りである。

0025

本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の基板10は、略円板状をなすものであり、その表面11における中央領域を除いた周辺領域には、上方に突出する凸部12が複数形成されている。これら複数の凸部12は、それぞれ同一形状の略正四角柱状を呈しており、その上面13は、基板10の表面11と平行な平坦面とされるとともに、この上面13の稜線部、すなわち、上面13と4つの側面との交差稜線部に4つの切刃14が形成されている。

0026

また、凸部1個当たりの上面13の面積s1が、0.01〜1mm2の範囲に設定されており、本実施形態においては、上面13の面積s1が、例えば0.04mm2(上面13が、一辺aが0.2mmの正方形をなす)とされている。さらに、基板10の表面に形成されたすべての凸部12における上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2(平面視において、円をなす基板10の表面11の面積)との比S1/S2が、0.0001〜0.01の範囲に設定されており、本実施形態においては、面積比S1/S2が、例えば0.00245とされている。

0027

なお、これら複数の凸部12は、互いに同一距離の間隔を介して略等間隔に配置され、凸部12同士の間の最短距離dが、1mm以上に設定されており、本実施形態においては、最短距離d(隣接する凸部12同士の間の距離)が、例えば3mmに設定されている。

0028

また、凸部12の形状について、凸部1個当たりの高さh〔mm〕が、凸部1個当たりの上面13の面積s1〔mm2〕(0.01≦s1≦1)との関係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に設定されおり、本実施形態においては、凸部12の高さhが、例えば0.04mmとされている。

0029

より具体的に言えば、図4に示すように、X軸を凸部1個当たりの上面13の面積s1〔mm2〕とし、Y軸を凸部1個当たりの高さh〔mm〕としたときに、この凸部12の高さh〔mm〕が、4つの直線L1(h=0.81・s1+0.19)、L2(h=0.091・s1+0.009)、L3(s1=1)、L4(s1=0.01)で囲まれた斜線領域内の値に設定されているのである。なお、凸部12の高さh〔mm〕は、上記の斜線領域を考慮すると、0.00991(約0.01)〜1mmの範囲に設定されていることになる。

0030

このような複数の凸部12が略等間隔に配置された基板10は、例えば、略円板状をなす基板の平坦な表面に対し、切削加工等によって、複数の所定幅(隣接する凸部12同士の間の距離)の縦溝及び横溝を、互いに直交するようにして、略等間隔に形成していくことによって製造される。

0031

そして、上述したような基板10において、その表面11と一体に形成された凸部12における少なくとも切刃14部分が、気相合成ダイヤモンド15によって、0.5〜20μmの層厚tでコーティングされており、本実施形態においては、複数の凸部12を含む基板10の表面11の全面が、気相合成ダイヤモンド15でコーティングされ、そのコーティング層の層厚tは、例えば10μmとされている。

0032

このような気相合成ダイヤモンド15のコーティング層は、上記のような複数の凸部12を有する基板10に対して、例えば、マイクロ波プラズマを利用する方法や熱フィラメントを利用する方法などの既存の方法を用いることにより、複数の凸部12を含む表面11の全面に亘って形成される。

0033

ここで、基板10を構成する材料に関しては、気相合成ダイヤモンド15によるコーティングのしやすさ、及び凸部12の形成しやすさ等の観点から、例えば、以下に示すようなものが挙げられる。

a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もしくはシリコン炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属とシリコンとの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、シリコン、のうちのいずれか1種、または、これらの複合体。
4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もしくはシリコンの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物のうちの少なくとも1種と、鉄、ニッケルもしくはコバルトのうちの少なくとも1種との複合体よりなる超硬合金
シリコンもしくはアルミニウムの窒化物もしくは酸化物のうちのいずれか1種、または、これらの複合体。

0034

上記のような構成とされたダイヤモンドコーティング切削工具は、その基板10の表面11を、例えば、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどからなるパッドの表面に押し当てるとともに、回転、場合によっては並進運動をすることによって、あたかも正面フライス等の切削工具のごとく、複数の凸部12の上面13の稜線部に形成された切刃14で、パッドの表面を切削する(実際には、切刃14をコーティングしている気相合成ダイヤモンド15が、パッドの表面を切削することになる)とともに、この切刃14にて生成される切屑が、凸部12同士の間に形成される隙間を介して排出されていく。

0035

このようなダイヤモンドコーティング切削工具では、基板10の表面11に形成された凸部1個当たりの平坦な上面13の面積s1が、0.01〜1mm2と小さな値に設定されているので、この平坦な上面13の稜線部に形成された切刃14を小さくかつ鋭利な状態に保って、切削抵抗を低減することが可能となり、たとえ、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどの弾性変形をする材料からなるパッドに対しても、優れた切れ味を示して、この小さな切刃14を安定してパッドの表面に切り込ませる(食い付かせる)ことができ、しかも、切刃14が極端に小さくなりすぎることもないので、凸部12の強度低下や切削効率の低下を招いてしまうことがない。

0036

ここで、凸部1個当たりの上面13の面積s1が、0.01mm2より小さくなると、切削に供される切刃14が小さくなりすぎて、切削効率や凸部12の強度低下を招いてしまい、一方、この面積s1が、1mm2より大きくなると、切削に供される切刃14が大きくなりすぎるのにともない、切削抵抗が上昇して、パッドの表面を加工できなくなってしまうおそれが生じてしまう。なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、凸部12の上面13の面積s1は、0.02〜0.5mm2の範囲に設定することが好ましい。

0037

また、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.01と小さな値に設定されているので、複数の凸部12同士の間の間隔、すなわち、切刃14にて生成される切屑を排出するためのスペースを必要十分に確保することが可能となって、目詰まりを生じさせることがないとともに、凸部12の数が極端に少なくなることがなく、切削効率の低下を招いてしまうこともない。

0038

ここで、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が、0.0001より小さくなると、凸部12の数が少なくなりすぎて、切削効率が低下してしまい、一方、この面積比S1/S2が、0.01より大きくなると、複数の凸部12の上面13の合計面積S1が大きくなるのにともない、切削抵抗が高くなりすぎて、パッド表面を加工できなくなってしまうおそれすら生じてしまう。なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、面積比S1/S2は、0.0005〜0.005の範囲に設定することが好ましい。

0039

さらには、凸部12における切刃14部分を含んで、基板10の表面11の全面が、気相合成ダイヤモンド15によって、その層厚tが0.5〜20μmの範囲となるようにコーティングされていることから、この小さな切刃14に対して、十分な耐摩耗性を与えることができ、高価なダイヤモンド砥粒を用いなくても、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッドの調整作用を維持していくことが可能となり、かつ、凸部12の強度をより向上させることができる。ここで、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層の層厚tが、0.5μmより小さくなると、切刃14に与えられる耐摩耗性が十分ではなくなり、一方、コーティング層の層厚tが、20μmより大きくなると、逆にコーティング層が脆くなって、クラックを生じやすくなってしまう。なお、上述したような効果をより確実にするためには、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層の層厚tは、2〜10μmの範囲に設定することが好ましい。

0040

また、基板10の表面11に形成された複数の凸部12が、その凸部12同士の間の最短距離dを、1mm以上となるように配置されていることから、切刃14にて生成される切屑を排出するためのスペースを十分に確保できることとなる。ここで、この最短距離dが、1mmより小さくなると、凸部12同士の間に形成される、切屑を排出するためのスペースを、十分な大きさに確保することができなくなって、目詰まりを生じやすくなってしまう。なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、最短距離dは、1.5mm以上に設定することが好ましい。

0041

また、凸部1個当たりの高さhが、凸部1個当たりの上面13の面積s1〔mm2〕との関係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に設定されていることにより、適切な形状を有する凸部12を形成することが可能となり、その強度を高く保つとともに、パッドの表面に対する切り込み量を十分に確保することができる。ここで、この高さhが、(0.091・s1+0.009)より小さくなると、凸部12の切刃14に与えられる切り込み量が大きくとれず、切削効率が低下してしまい、一方、高さhが、(0.81・s1+0.19)より大きくなると、凸部12が細長くなりすぎて、その強度が低下してしまう。なお、上述したような効果をより確実なものとするためには、高さhは、0.02mm〜0.5mmの範囲に設定することが好ましい。

0042

また、例えば、半導体ウエハのCMP研磨中において、これと同時に、半導体ウエハ研磨用のパッド表面を加工、調整するような場合には、ダイヤモンドコーティング切削工具の基板10を構成する材料が溶出することで、半導体ウエハの汚染につながるおそれがあるため、この基板10には、上述した基板10を構成する材料〜のうち、,のような、溶出による汚染のおそれが比較的少ない材料を用いることが多い。しかしながら、本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具では、その基板10の表面11の全面に亘って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層が形成されていることから、たとえ、のような、溶出による汚染のおそれがある材料を用いて基板10を構成したとしても、そのような汚染の心配が生じることがない。

0043

なお、本実施形態で、基板10の表面11において、複数の凸部12のそれぞれの、基板10の回転運動による回転方向のすぐ前方側に位置するように、切刃14にて生成された切屑を排出するための貫通孔を設けてもよく、このような構成とすると、切屑の排出効果をより向上させて、目詰まり等の発生を確実に防止できることとなる。このとき、これら貫通孔が、基板10の表面11から、基板10の外周側及び回転方向後方側へ延びて、基板10の側面に開口するようにしたならば、基板10の回転運動にともない、貫通孔に入り込んできた切屑を、遠心力によって基板10の外周側へ自動的に排出させることも可能である。

0044

また、本実施形態においては、略円板状をなす基板10を用いているがこれに限定されることなく、他の形状の基板、例えば、略直方体状の基板を用いて、パッド表面上を並進運動させることにより、パッドの表面の加工、調整を行ったとしても、何の遜色もなく、上述したような効果を奏することができる。

0045

以下、本発明の一例を実施例とし、本発明の範囲よりも外れたものを比較例として、以下に示す試験1〜3を行うことにより、凸部1個当たりの上面13の面積s1を0.01〜1mm2の範囲に設定した理由、及び、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と基板10の表面11の面積S2との比S1/S2を0.0001〜0.01の範囲に設定した理由、及び、凸部1個当たりの高さh〔mm〕を凸部1個当たりの上面13の面積s1〔mm2〕との関係で(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に設定した理由を検証した。

0046

[試験1]シリコンからなる略円板状をなす基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11に対して、切削加工を施すことにより、複数の溝幅2mm(凸部1同士の間の最短距離d)の縦溝及び横溝を、互いに直交するように、略等間隔に形成して、一辺aの正方形をなす上面13を有する略正四角柱状の凸部12がそれぞれ略等間隔に配置された基板10を形成した。ここで、
・比較例1
a=0.05mm、s1=0.0025mm2、S1=2.25mm2
・実施例1
a=0.1mm、s1=0.01mm2、S1=6.25mm2
・実施例2
a=0.2mm、s1=0.04mm2、S1=16mm2
・実施例3
a=0.8mm、s1=0.64mm2、S1=64mm2
・実施例4
a=1mm、s1=1mm2、S1=64mm2
・比較例2
a=1.5mm、s1=2.25mm2、S1=56.25mm2
であり、S2=50×50×πmm2を考慮すると、これら実施例1〜4及び比較例1,2について、S1/S2は0.0001〜0.01mm2の範囲に設定されている。次に、このような複数の略正四角柱状の凸部12を有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装置内に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に亘って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層を、層厚tが10μmとなるようにコーティングすることにより、6つのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例1〜4、比較例1,2)を用意した。これらのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例1〜4、比較例1,2)を、研磨装置ムサシノ電子MA−300)に設置して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用パッド(IC1000)の表面を切削した結果を表1及び図5に示す。なお、表1及び図5における切削能力〔%〕とは、(各サンプルパッド切削量)/(凸部12の上面13の面積s1が0.04mm2のダイヤモンドコーティング切削工具のパッド切削量)×100を示しており、また、合格判定基準は、切削能力〔%〕≧50〔%〕とした。

0047

0048

表1及び図5に示されるように、本発明の一例である実施例1〜4は、凸部1個当たりの上面13の面積s1が、0.01〜1と適切な範囲に設定されていることにより、切削抵抗を低減して、良好な切れ味を得ることができ、かつ、切削効率の低下を招いてしまうこともなく、それらの切削能力がいずれも50%を超えて、合格基準に達していたという結果が得られ、本発明の範囲限定が妥当であることが証明された。ここで、凸部1個当たりの上面13の面積s1が0.0025〔mm2〕に設定された比較例1と、凸部1個当たりの上面13の面積s1が0.01〔mm2〕に設定された実施例1とを比較すると、比較例1は、上面13の面積s1が小さすぎるので、この上面13の稜線部の切刃14も小さくなりすぎ、切削効率の低下を招いてしまって、切削能力が20%となり、切削能力が60%の実施例1よりも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなかった。また、凸部1個当たりの上面13の面積s1が1〔mm2〕に設定された実施例4と、凸部1個当たりの上面13の面積s1が2.25〔mm2〕に設定された比較例2とを比較すると、比較例2は、上面13の面積s1が大きすぎるので、この上面13の稜線部の切刃14も大きくなりすぎ、切削抵抗が上昇してしまって、切削能力も25%となり、切削能力が55%の実施例4よりも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなかった。

0049

[試験2]シリコンからなる略円板状をなす基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11に対して、切削加工により、一辺aが0.2mmの正方形をなす上面13を有する略正四角柱状の凸部12が、複数の凸部12同士の間の最短距離dが1mm以上となり、かつ、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が0.00005(比較例3)、0.0001(実施例5)、0.005(実施例6)、0.01(実施例7)、0.015(比較例4)となるように配置された基板10を形成した。なお、一辺a=0.2mmであることを考慮すると、これら実施例5〜7及び比較例3,4について、s1は0.01〜1mm2の範囲に設定されている。次に、このような複数の略正四角柱状の凸部12を有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装置内に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に亘って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層を、層厚tが10μmとなるようにコーティングすることにより、6つのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例5〜7、比較例3,4)を用意した。これらのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例5〜7、比較例3,4)を、研磨装置(ムサシノ電子MA−300)に設置して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用パッド(IC1000)の表面を切削した結果を表2及び図6に示す。なお、表2及び図6における切削能力〔%〕とは、(各サンプルパッド切削量)/(複数の凸部12の上面13の合計面積S1と基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が0.005のダイヤモンドコーティング切削工具のパッド切削量)×100を示しており、また、合格判定基準は、切削能力〔%〕≧50〔%〕とした。

0050

0051

表2及び図6に示されるように、本発明の一例である実施例5〜7は、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.01と適切な範囲に設定されていることにより、切屑を排出するためのスペースを十分に確保できて、目詰まりを生じることなく、切削効率を高く保つことができたので、それらの切削能力がいずれも50%を超えて、合格基準に達していたという結果が得られ、本発明の範囲限定が妥当であることが証明された。ここで、面積比S1/S2が、0.00005に設定された比較例3と、面積比S1/S2が、0.0001に設定された実施例5とを比較すると、比較例3は、面積比S1/S2が小さすぎて、凸部12の数が小さくなりすぎ、切削効率が低下してしまったので、切削能力が25%となり、切削能力が100%の実施例5よりも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなかった。また、面積比S1/S2が、0.01に設定された実施例7と、面積比S1/S2が、0.015に設定された比較例4とを比較すると、比較例4は、面積比S1/S2が大きすぎて、切削抵抗が高くなったため、パッド表面を加工しづらくなり、切削能力が20%となり、切削能力が70%の実施例7よりも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなかった。

0052

[試験3]シリコンからなる略円板状をなす基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11に対して、切削加工を施すことにより、直径0.2mmの円形をなす上面13を有する略円柱状の凸部12(凸部1個当たりの上面13の面積s1が0.0314mm2)を、その高さh〔mm〕が0.005(比較例5)、0.04(実施例8)、0.5(比較例6)となるように形成した基板10と、直径1mmの円形をなす上面13を有する略円柱状の凸部12(凸部1個当たりの上面13の面積s1が0.785mm2)を、その高さh〔mm〕が0.02(比較例7)、0.5(実施例9)、1.5(比較例8)となるように形成した基板10とを得た。次に、このような複数の略円柱状の凸部12を有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装置内に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に亘って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層を、層厚tが10μmとなるようにコーティングすることにより、6つのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例8,9、比較例5〜8)を用意した。これらのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例8,9、比較例5〜8)を、研磨装置(ムサシノ電子MA−300)に設置して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用パッド(IC1000)の表面を切削した結果を表3に示す。なお、表3における加工速度は、実施例2の場合を100としたときの割合で示した。

0053

0054

表3に示されるように、本発明の一例である実施例8,9は、凸部1個当たりの高さh〔mm〕が、凸部1個当たりの上面の面積s1〔mm2〕との関係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.19)と適切な範囲に設定されていることにより、凸部12の強度を高く保つとともに、凸部12の切刃14に与えられる切り込み量を十分に確保でき、その加工速度が100,70と良好であったという結果が得られ、本発明の範囲限定が妥当であることが証明された。ここで、凸部1個当たりの上面13の高さhが、0.005〔mm〕、0.02〔mm〕に設定されて、(0.091・s1+0.009)より小さくなっていた比較例5,7は、基板10の表面11がパッドに対して全面接触したり、凸部12のパッドへの食い込み不足が生じたりしたので、凸部12の切刃14に与えられる切り込み量を大きくとることができず、その加工速度も15,20と低い値になってしまった。また、凸部1個当たりの上面13の高さhが、0.5〔mm〕、1.5〔mm〕に設定されて、(0.81・s1+0.19)より大きくなっていた比較例6,8では、凸部12が細長くなりすぎ、強度不足による座屈が生じていたため、比較例6では切削加工すら行うことができず、比較例8でも加工速度が35と低い値になってしまった。

発明の効果

0055

以上説明したように、本発明によるダイヤモンドコーティング切削工具は、従来のパッドコンディショナーのような研削工具の概念に捕らわれず、切削加工の概念をパッドの研磨に取り入れたことにより、基板の表面に形成された数多くの小さく鋭利な独立した切刃によって、切削抵抗の低減を図り、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどからなるパッドに対しても優れた切れ味を示すとともに、切刃によって生成される切屑を排出するためのスペースを十分に確保することが可能となる。しかも、切刃部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることにより、小さな切刃に耐摩耗性が与えられ、従来のように、高価なダイヤモンド砥粒を用いなくても、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく優れたパッドの調整作用を安定して呈することができる。

図面の簡単な説明

0056

図1本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の平面図である。
図2本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の要部拡大平面図である。
図3本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の要部拡大断面図である。
図4本実施形態によるダイヤモンドコーティング切削工具の凸部の形状を規定するために用いる説明用のグラフである。
図5本発明の範囲限定の根拠を検証するためのデータを示すグラフである。
図6本発明の範囲限定の根拠を検証するためのデータを示すグラフである。
図7(a)は従来のパッドコンディショナーの一例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
図8(a)は従来のパッドコンディショナーの一例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
図9(a)は従来のパッドコンディショナーの一例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
図10(a)は従来のパッドコンディショナーの一例を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
図11図9に示すパッドコンディショナーを用いた、パッドの表面の加工の様子を示す拡大断面図である。

--

0057

10基板
11 表面
12 凸部
13 上面
14切刃
s1 凸部1個当たりの上面の面積
S1 複数の凸部の上面の合計面積
S2 基板の表面の面積
d凸部同士の間の最短距離

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