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技術 FM受信機のマルチパス干渉除去装置および方法

出願人 アルパイン株式会社
発明者 秋保政一江部圭太
出願日 2002年2月14日 (18年10ヶ月経過) 出願番号 2002-036830
公開日 2003年6月13日 (17年6ヶ月経過) 公開番号 2003-168991
状態 特許登録済
技術分野 スーパーヘテロダイン受信機 雑音の除去
主要キーワード レベル変動分 信号レベルデータ ヒルベルト変換フィルタ リミッタ出力 二乗演算 平方根演算 同調動作 LPF出力
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図面 (10)

課題

マルチパス干渉による影響を取り除くことにより出力音声音質を向上させることができるFM受信機マルチパス干渉除去装置および方法を提供すること。

解決手段

アナログ−デジタル変換器50から中間周波信号データが出力されると、遅延処理部60によってマルチパス発生時の電波の到達時間の差に相当する時間分遅延させる処理を行う。レベル変動検出部52によって中間周波信号信号レベルの変動分を検出して、発生しているマルチパス干渉の程度を判定し、遅延処理部60によって遅延した後の信号に対して所定の利得でレベル調整を行うことにより、マルチパス干渉によって生じた反射波による信号成分が予測される。

概要

背景

FM受信機では、送信アンテナから送られて直接的に受信アンテナに入力されるFM変調波直接波)に対してこの直接波が建物等に反射されることによって発生する反射波干渉することにより受信信号振幅位相の変化が生じ、出力音声ノイズを発生させるマルチパス干渉と呼ばれる現象が知られている。このため従来のFM受信機では、マルチパス干渉を検出した場合には、出力音声をステレオ出力からモノラル出力切り替えたり、出力音声の高域成分を減衰させたりして、利用者に与えるノイズ感を低減している。

概要

マルチパス干渉による影響を取り除くことにより出力音声の音質を向上させることができるFM受信機のマルチパス干渉除去装置および方法を提供すること。

アナログ−デジタル変換器50から中間周波信号データが出力されると、遅延処理部60によってマルチパス発生時の電波の到達時間の差に相当する時間分遅延させる処理を行う。レベル変動検出部52によって中間周波信号信号レベルの変動分を検出して、発生しているマルチパス干渉の程度を判定し、遅延処理部60によって遅延した後の信号に対して所定の利得でレベル調整を行うことにより、マルチパス干渉によって生じた反射波による信号成分が予測される。

目的

本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、マルチパス干渉による影響を取り除くことにより出力音声の音質を向上させることができるFM受信機のマルチパス干渉除去装置および方法を提供することにある。

効果

実績

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請求項1

マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測するマルチパス予測手段と、入力される中間周波信号から、前記マルチパス予測手段によって予測した信号成分を除去する信号除去手段と、を備えることを特徴とするFM受信機マルチパス干渉除去装置

請求項2

請求項1において、前記マルチパス予測手段は、前記信号除去手段から出力される信号を所定時間遅延させる遅延手段と、前記遅延手段による遅延後の信号のレベルを調整するレベル調整手段とを備えることを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項3

請求項2において、前記レベル調整手段は、前記中間周波信号の信号レベルの変動分を検出するレベル変動検出手段と、前記レベル変動検出手段によって検出されたレベル変動の大きさに応じて、レベル調整を行う際の利得を設定する利得設定手段と、を備え、前記利得設定手段によって設定された利得で、前記遅延手段による遅延後の信号のレベル調整を行うことを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項4

請求項3において、前記レベル変動検出手段は、前記中間周波信号の実部虚部に基づいて前記信号レベルを検出することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項5

請求項4において、前記レベル変動検出手段は、前記実部と前記虚部を分離するヒルベルト変換フィルタと、前記実部と前記虚部の二乗和を求めた後に平方根を求める演算手段とを備えることを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項6

請求項5において、前記レベル変動検出手段は、前記演算手段の演算結果に対して所定の上限値および下限値を設定して出力値の範囲を制限する制限手段と、前記制限手段の出力値に対して低域成分のみを通過させる低域通過手段とをさらに備えることを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項7

請求項6において、前記制限手段は、前記上限値および前記下限値を前記中間周波信号の平均レベルに応じて可変に設定することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項8

請求項6において、前記制限手段は、前記信号除去手段から出力される信号に基づいて、前記上限値および前記下限値を可変に設定することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項9

請求項6において、前記制限手段は、前記信号除去手段から出力される信号の絶対値を平滑した結果に基づいて、前記上限値および前記下限値を可変に設定することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項10

請求項3において、前記利得設定手段は、1から0の範囲内においてあらかじめ用意されている離散的な複数の利得の一つを、前記レベル変動の大きさに応じて選択することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項11

請求項1〜10のいずれかにおいて、前記マルチパス予測手段および前記信号除去手段をデジタル信号処理で実現することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項12

請求項11において、デジタル信号処理装置を用いて前記デジタル信号処理を行うことを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去装置。

請求項13

入力される中間周波信号に基づいてマルチパス干渉によって生じる信号成分を予測する第1のステップと、この予測した信号成分をマルチパス干渉を受けた前記中間周波信号から除去する第2のステップを有することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去方法。

請求項14

請求項13において、前記第1のステップは、前記第2のステップにおいて生成される信号を受信電波遅延時間分遅延させることにより、マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去方法。

請求項15

請求項14において、前記第1のステップは、前記中間周波信号の信号レベルの変動の大小に応じてマルチパス干渉の程度を判定し、前記遅延時間分遅延させた後の信号のレベルを調整することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去方法。

請求項16

請求項15において、前記第1のステップは、前記中間周波信号に対してヒルベルト変換を行って実部と虚部に分離し、さらにこれらの二乗和の平方根を求めることによりマルチパス干渉の程度を判定することを特徴とするFM受信機のマルチパス干渉除去方法。

技術分野

0001

本発明は、FM受信機において生じるマルチパス干渉の影響を除去するFM受信機のマルチパス干渉除去装置および方法に関する。

背景技術

0002

FM受信機では、送信アンテナから送られて直接的に受信アンテナに入力されるFM変調波直接波)に対してこの直接波が建物等に反射されることによって発生する反射波干渉することにより受信信号振幅位相の変化が生じ、出力音声ノイズを発生させるマルチパス干渉と呼ばれる現象が知られている。このため従来のFM受信機では、マルチパス干渉を検出した場合には、出力音声をステレオ出力からモノラル出力切り替えたり、出力音声の高域成分を減衰させたりして、利用者に与えるノイズ感を低減している。

発明が解決しようとする課題

0003

ところで、上述した従来技術を用いてマルチパス干渉によるノイズ感を軽減する場合には、出力音声がステレオ音声からモノラル音声に切り替えられることによりステレオ感が失われたり、高域成分を減衰させることによる音のこもり感が生じるなど、出力音声の音質が低下するという問題があった。

0004

本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、マルチパス干渉による影響を取り除くことにより出力音声の音質を向上させることができるFM受信機のマルチパス干渉除去装置および方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

上述した課題を解決するために、本発明のFM受信機のマルチパス干渉除去装置は、マルチパス干渉によって生じる信号成分をマルチパス予測手段により予測しており、入力される中間周波信号から、マルチパス予測手段によって予測した信号成分を信号除去手段により除去している。マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測して中間周波信号から除去することにより、マルチパス干渉を受けていない中間周波信号を復元することができる。したがって、出力音声をステレオ音声からモノラル音声に切り替える処理や、出力音声の高域成分を減衰させる処理などを行うことなく、出力音声の音質を向上させることが可能になる。

0006

上述したマルチパス予測手段は、信号除去手段から出力される信号を所定時間遅延させる遅延手段と、この遅延手段による遅延後の信号のレベルを調整するレベル調整手段とを備えることが望ましい。信号除去手段から出力される信号を所定時間遅延させた後にその信号レベルを調整することにより、マルチパス干渉により生じる信号成分、すなわち、直接波が建物等に反射することにより所定時間だけ遅延するとともに信号レベルが変化して生じる信号を再現することができる。したがって、この再現された信号を中間周波信号から除去することにより、マルチパス干渉を受ける以前の信号を復元することができる。

0007

上述したレベル調整手段は、中間周波信号の信号レベルの変動分を検出するレベル変動検出手段と、レベル変動検出手段によって検出されたレベル変動の大きさに応じて、レベル調整を行う際の利得を設定する利得設定手段とを備えており、利得設定手段によって設定された利得で、遅延手段による遅延後の信号のレベル調整を行うことが望ましい。中間周波信号の信号レベルはマルチパス干渉によって変動するので、中間周波信号の信号レベルの変動分を検出することにより、マルチパス干渉の有無や程度を精度良く検出することができる。

0008

上述したレベル変動検出手段は、中間周波信号の実部虚部に基づいて信号レベルを検出することが望ましい。一般に、各種の信号は複素数表現することが可能であり、この複素数の実部と虚部を抽出することにより、信号レベルを的確に検出することが可能になる。具体的には、このレベル変動検出手段は、実部と虚部を分離するヒルベルト変換フィルタと、実部と虚部の二乗和を求めた後に平方根を求める演算手段とを備えていることが望ましい。ヒルベルト変換フィルタによって入力信号の実部と虚部を分離することが可能になり、これらの二乗和の平方根を求める演算によってこの入力信号の信号レベル(大きさ)を容易に求めることができる。

0009

また、上述したレベル変動検出手段は、演算手段の演算結果に対して所定の上限値および下限値を設定して出力値の範囲を制限する制限手段と、制限手段の出力値に対して低域成分のみを通過させる低域通過手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、レベル変動の演算結果が急激に変化したときに発生する過剰な反応を抑制することができ、動作の安定化を図ることが可能になる。

0010

上述した制限手段は、上限値および下限値を中間周波信号の平均レベルに応じて可変に設定することが望ましい。これにより、中間周波信号の平均レベルに応じて適切な制限を与えることが可能になり、さらに動作の安定化を図ることができる。なお、ここで用いる中間周波信号の平均レベルとしては、例えば中間周波信号の実効値を検出するSメータの出力値を用いればよい。

0011

また、上述した制限手段は、信号除去手段から出力される信号に基づいて、上限値および下限値を可変に設定することが望ましい。あるいは、上述した制限手段は、信号除去手段から出力される信号の絶対値を平滑した結果に基づいて、上限値および下限値を可変に設定することが望ましい。信号除去手段から出力される信号は、本発明のマルチパス干渉除去装置に入力される中間周波信号からマルチパス妨害分を除去した信号であり、このようなマルチパス妨害分が除去された後の中間周波信号を用いることにより、具体的にはこの中間周波信号の絶対値を平滑化した結果を用いることにより、制限手段によって中間周波信号の平均レベルに応じて適切な制限を与えることが可能になり、さらに動作の安定化を図ることができる。また、例えばSメータのアナログ出力信号に基づいて中間周波信号の平均レベルを求める場合等と異なり、Sメータの出力に含まれる交流成分による影響やこのアナログ出力デジタル化したときの遅延時間等を考慮する必要がなくなるため、マルチパス干渉除去装置やこれを用いたFM受信機全体の設計が容易になる。

0012

上述した利得設定手段は、1から0の範囲内においてあらかじめ用意されている離散的な複数の利得の一つを、中間周波信号のレベル変動の大きさに応じて選択することが望ましい。これにより、利得を設定する処理の簡略化が可能となる。

0013

また、マルチパス予測手段および信号除去手段は、デジタル信号処理で実現されることが望ましい。デジタル信号処理を採用することにより、アナログ回路などを用いる場合に比較して、構成の簡略化が可能であるとともに特性のばらつきや経時変化がほとんどなく、動作条件の調整や設計変更なども容易になる。

0014

上述したデジタル信号処理は、デジタル信号処理装置を用いて行われることが望ましい。デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)を用いることにより、処理の高速化や構成の簡略化が可能となる。特に、FM受信機のその他の構成をデジタル信号処理装置で行う場合にはこのデジタル信号処理装置を用いて本発明の動作をさせることが可能であり、この場合には特別な構成を追加する必要がないため、FM受信機全体の装置構成を簡略化することができる。

0015

また、本発明のFM受信機のマルチパス干渉除去方法は、入力される中間周波信号に基づいてマルチパス干渉によって生じる信号成分を予測する第1のステップと、この予測した信号成分をマルチパス干渉を受けた中間周波信号から除去する第2のステップを有している。マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測し、この信号成分を中間周波信号から除去しているので、マルチパス干渉を受けていない状態の中間周波信号を復元することができる。したがって、出力音声をステレオ音声からモノラル音声に切り替える処理や、出力音声の高域成分を減衰させる処理などを行うことなく、出力音声の音質を向上させることが可能になる。

0016

上述した第1のステップは、第2のステップにおいて生成される信号を受信電波遅延時間分遅延させることにより、マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測することが望ましい。第2のステップにおいて生成された信号を所定の遅延時間分だけ遅延させることにより、マルチパス干渉によって生じる信号成分、すなわち直接波が建物等に反射することにより所定時間だけ遅延して得られた反射波を再現することができる。したがって、この再現された信号を中間周波信号から除去することにより、マルチパス干渉を受ける以前の信号を復元することができる。

0017

また、上述した第1のステップは、中間周波信号の信号レベルの変動分の大小に応じてマルチパス干渉の程度を判定し、遅延時間分遅延させた後の信号のレベルを調整することが望ましい。中間周波信号の信号レベルは、マルチパス干渉を受けていない場合にはほぼ一定の値となるが、マルチパス干渉を受けている場合にはその程度に応じて変動分を生じるので、中間周波信号の信号レベルの変動分に応じて、遅延後の信号のレベルを調整することにより、マルチパス干渉により生じる信号成分を精度良く予測することができる。

0018

また、上述した第1のステップは、中間周波信号に対してヒルベルト変換を行って実部と虚部に分離し、さらにこれらの二乗和の平方根を求めることによりマルチパス干渉の程度を判定することが望ましい。ヒルベルト変換によって中間周波信号の実部と虚部を分離することが可能になり、これらの二乗和の平方根を求める演算によってこの中間周波信号の信号レベルを容易に求めることができる。

発明を実施するための最良の形態

0019

以下、本発明を適用した一実施形態のFM受信機について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態のFM受信機の構成を示す図である。図1に示すFM受信機100は、アンテナ10、フロントエンド部(F/E)12、選局回路14、中間周波増幅回路18、DSP(デジタル信号処理装置)20、ステレオ復調回路26、制御部28を含んで構成されている。

0020

フロントエンド部12は、アンテナ同調回路高調波増幅回路局部発振回路混合回路等を含んでおり、アンテナ10から入力されるFM変調波(受信電波)の中から所望の受信周波数同調周波数)成分を抽出するとともに、抽出した信号に対して所定の周波数変換を行って、中間周波信号(IF信号)を出力する。

0021

選局回路14は、受信周波数を設定するためのものであり、フロントエンド部12内の局部発振回路とともにPLL(位相同期ループ)を構成する。例えば、プログラマブルカウンタからなる分周回路を有しており、この分周比を制御部28からの指示にしたがって変更することによりフロントエンド部12内の局部発振回路の発振周波数を変えて、受信周波数を切り替える。

0022

中間周波増幅回路18は、フロントエンド部12から出力される中間周波信号を増幅するとともに同調動作を行い、10.7MHz近傍の周波成分のみを出力する。また、本実施形態の中間周波増幅回路18は、中間周波信号の平均レベルである実効値を検出するSメータを内蔵している。

0023

DSP20は、デジタル信号処理専用のプロセッサであり、入力される中間周波信号に基づいて各種処理を行い、FM検波された後のコンポジット信号を出力する。このDSP20は、マルチパスキャンセラ(マルチパス干渉除去装置)22とFM検波回路24を含んで構成されている。

0024

マルチパスキャンセラ22は、中間周波信号に含まれるマルチパス妨害によるノイズを除去する処理を行う。FM検波回路24は、マルチパスキャンセラ22から出力される中間周波信号に対してFM検波処理を行い、コンポジット信号を出力する。

0025

ステレオ復調回路26は、FM検波回路24から出力されるコンポジット信号を、ステレオ音声信号を構成するL信号とR信号に分離するステレオ復調処理を行う。制御部28は、受信周波数の設定などFM受信機100の全体動作を制御する。

0026

次に、DSP20に含まれているマルチパスキャンセラ22の詳細な構成について説明する。図2は、マルチパスキャンセラ22の詳細構成を示す図である。マルチパスキャンセラ22は、アナログ−デジタル(A/D)変換部50、51、レベル変動検出部52、係数設定部54、乗算部56、減算部58、遅延処理部60を含んで構成されている。

0027

アナログ−デジタル変換部50は、中間周波増幅回路18から出力されるアナログの中間周波信号をデジタルデータ(中間周波信号データ)に変換する。アナログ−デジタル変換部51は、中間周波増幅回路18内のSメータの出力信号をデジタルデータ(Sメータ出力データ)に変換する。

0028

レベル変動検出部52は、アナログ−デジタル変換部50から出力される中間周波信号データと、アナログ−デジタル変換部51から出力されるSメータ出力データとに基づいて、中間周波信号の信号レベルの変動分(レベル変動)を検出する。

0029

係数設定部54は、レベル変動検出部52によって検出されるレベル変動の大きさに応じて所定の係数を設定し、乗算部56に出力する。この係数設定部54によって設定される係数が、遅延処理部60から出力される信号の信号レベルを調整する際の「利得」になる。

0030

図3は、係数設定部54によって設定される係数の具体例を示す図である。図3に示すように、本実施形態の係数設定部54は、レベル変動検出部52によって検出されたレベル変動の大きさに応じて、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1のいずれかの係数を選択して出力する。このように、予め用意されている離散的な複数の係数の1つを選択するという簡単な処理によって係数を設定することができるので、設定処理の簡略化が可能となる。なお、ここに示した係数の値は一例であり、これに限定されるものではない。

0031

乗算部56は、係数設定部54から出力される所定の係数を遅延処理部60から出力される信号(詳細は後述する)に対して乗算する演算処理を行う。この乗算部56から出力される信号が、マルチパス干渉により生じる信号成分を予測した信号に対応している。減算部58は、アナログ−デジタル変換部50から出力される中間周波信号データから、乗算部56から出力される、マルチパス干渉により生じる信号成分の予測データを減算する演算処理を行う。

0032

遅延処理部60は、減算部58から出力される演算結果を所定時間だけ遅延させる処理を行う。具体的には、遅延処理部60における遅延時間は、アンテナ10に入力される直接波と、この直接波が建物等に反射された後にアンテナ10に入力される反射波との到達時間の差に相当する時間が設定される。

0033

次に、レベル変動検出部52の詳細な構成について説明する。図4は、レベル変動検出部52の詳細構成を示す図である。図4に示すレベル変動検出部52は、ヒルベルト変換フィルタ70、2つの二乗演算部72、74、加算部76、平方根演算部78、リミッタ80、ローパスフィルタLPF)82を含んで構成されている。

0034

ヒルベルト変換フィルタ70は、アナログ−デジタル変換部50から入力される中間周波信号データに対してヒルベルト変換を行い、複素数表現された中間周波信号の実部(I)と虚部(Q)を分離する。二乗演算部72は、ヒルベルト変換フィルタ70から出力される中間周波信号の実部を二乗(I2 )する演算を行う。二乗演算部74は、ヒルベルト変換フィルタ70から出力される中間周波信号の虚部を二乗(Q2 )する演算を行う。加算部76は、二乗演算部72、74のそれぞれの演算結果を加算する。平方根演算部78は、加算部76によって得られた加算結果の平方根を求める演算を行うことにより、中間周波信号の信号レベルデータを出力する。このように、ヒルベルト変換を行うことにより中間周波信号の実部と虚部を分離し、これら実部と虚部のそれぞれの二乗和の平方根を求めるという数学的処理を行うことにより、中間周波信号の信号レベルを容易かつ確実に得ることができる。

0035

リミッタ80は、アナログ−デジタル変換部51から入力されるSメータ出力データ(中間周波信号の平均レベル)に基づいて、平方根演算部78から出力される中間周波信号のレベル変動分に対して、所定の上限値と下限値を設定して出力値の範囲を制限する。具体的には、リミッタ80は、入力されるSメータ出力データに基づいて、中間周波信号の実効値に相当するオフセット値を設定し、このオフセット値を中心値とした所定範囲(例えば、オフセット値±0.05V)に含まれるように出力値の範囲を制限する。ローパスフィルタ82は、リミッタ80から出力される信号の高域成分を除去することにより、中間周波信号のキャリア周波数以下の低域成分を通過させるフィルタリング処理を行う。このように、平方根演算部78から出力される演算結果をリミッタ80、ローパスフィルタ82に通すことにより、演算結果が急激に変動したときに発生するマルチパスキャンセラ22の過剰な反応を抑制することができ、動作の安定化を図ることが可能になる。特に、リミッタ80による制限動作の上限値および下限値を中間周波信号の平均レベルに応じて可変に設定することにより、中間周波信号の実効値に応じて適切な制限を与えることが可能になり、さらに動作の安定化を図ることができる。

0036

上述したレベル変動検出部52、係数設定部54、乗算部56、遅延処理部60がマルチパス予測手段に、減算部58が信号除去手段に、遅延処理部60が遅延手段に、レベル変動検出部52、係数設定部54、乗算部56がレベル調整手段にそれぞれ対応している。また、レベル変動検出部52がレベル変動検出手段に、係数設定部54が利得設定手段に、二乗演算部72、74、加算部76、平方根演算部78が演算手段に、リミッタ80が制限手段に、ローパスフィルタ82が低域通過手段にそれぞれ対応している。

0037

本実施形態のFM受信機100はこのような構成を有しており、次にその動作について説明する。始めに、レベル変動検出部52によって行われる動作の内容を説明する。図5は、レベル変動検出部52に入力される、マルチパス干渉を受けた中間周波信号の一例を示す図である。図5において、横軸が時間に、縦軸が中間周波信号の信号レベルにそれぞれ対応している。マルチパス干渉を受けていない場合の中間周波信号は信号レベル(キャリア信号包絡線)がほぼ一定となるが、マルチパス干渉を受けている場合には、直接波に対応する中間周波信号と建物等による反射波に対応する中間周波信号とが合成されるため、図5に示すように、中間周波増幅回路18から出力される実際の中間周波信号の信号レベルは大きく変動する。

0038

図6は、図5に示す中間周波信号が入力された場合のリミッタ80の出力値を示す図である。図6において、横軸が時間に、縦軸がリミッタ80の出力値(リミッタ出力)にそれぞれ対応している。図5に示した信号レベルの変動を有する中間周波信号データに対して、ヒルベルト変換フィルタ70、二乗演算部72、74、加算部76、平方根演算部78のそれぞれを用いた演算処理を行うことにより、中間周波信号の平均レベル(実効値)にレベル変動分が重畳したような出力値が得られるが、この出力値は、レベル変動が大きくてそのままでは扱いにくい。そこで、リミッタ80を用いて、中間周波信号の平均レベルを基準として上限値と下限値を設定して出力値の範囲を制限することにより、図6に示すリミッタ出力が得られる。

0039

図7は、図6に示すリミッタ出力をローパスフィルタ82に通した結果を示す図である。図7において、横軸が時間に、縦軸がローパスフィルタ82の出力値(LPF出力)をそれぞれ対応している。図6に示したリミッタ80の出力値をローパスフィルタ82に通すことによりキャリア周波数よりも高い周波数成分が除去され、図7に示すように、マルチパス干渉の程度を表す出力信号が得られる。すなわち、図5を参照しながら図7を見ると分かるように、マルチパス干渉を受けているときには、中間周波信号の信号レベルが大きく変動し、この大きな変動分に対応するように、ローパスフィルタ82の出力値も大きく変化する。これに対し、マルチパス干渉を受けていないときには、中間周波信号の信号レベルがあまり変動せずにローパスフィルタ82の出力値はほぼ0近傍の値となる。ローパスフィルタ82の出力値が、レベル変動検出部52による検出結果として係数設定部54に入力される。

0040

次に、マルチパスキャンセラ22の全体動作について説明する。マルチパスキャンセラ22の動作には、(1)入力される中間周波信号データに基づいてマルチパス干渉によって生じる信号成分を予測する第1のステップと、(2)予測した信号成分をマルチパス干渉を受けた中間周波信号データから除去する第2のステップとが含まれている。

0041

第1のステップでは、まずマルチパス干渉に起因する中間周波信号のレベル変動がレベル変動検出部52によって検出され、この検出されたレベル変動の大きさに基づいて係数設定部54によりマルチパス干渉の程度が判定されて所定の係数(図3参照)が設定される。そして、係数設定部54により設定された係数が、乗算部56により遅延処理部60から出力される中間周波信号に対して掛け合わされることにより、中間周波信号のレベル調整が行われる。すなわち、所定の遅延時間だけ遅延された中間周波信号のレベル調整が行われており、この処理によって、マルチパス干渉によって生じる信号成分が予測される。

0042

第2のステップでは、アナログ−デジタル変換部50から出力される現在の中間周波信号データから、第1のステップにおいて乗算部56から出力される信号成分、すなわちマルチパス干渉によって生じる信号成分を予測した結果を除去する減算処理が減算部58によって行われる。

0043

上述した第1および第2のステップで説明した処理を行うことにより、マルチパス干渉により生じる信号成分、すなわち建物等に反射することにより所定時間だけ遅延し、信号レベルが変化してアンテナ10に入力される反射波を復元することができる。したがって、この復元された信号成分を中間周波信号から除去することにより、マルチパス干渉を受ける以前の中間周波信号を復元することができる。

0044

図8は、マルチパスキャンセラ22の動作を検証したシミュレーション結果を示す図である。図8において、横軸が時間に、縦軸が被変調波信号の信号レベルにそれぞれ対応している。また、符号A(一点鎖線)が付された特性線は被変調波として設定された10kHzと56kHzの正弦波を合成した信号であってFM変調を行う前の信号を示している。符号B(実線)が付された特性線は本実施形態のマルチパスキャンセラ22を用いてマルチパス干渉による影響を除去した後の信号であってFM検波やステレオ復調が行われた後の信号を示している。符号C(点線)が付された特性線はマルチパス干渉による影響を除去していない信号であってFM検波やステレオ復調が行われた後の信号を示している。

0045

図8に示した符号Aと符号Cの特性線を比べるとわかるように、マルチパス干渉を受けると、元の信号波形とはあまり相間のない信号に変化してしまい、受信信号の信号品質が低下することがわかる。これに対し、符号Aと符号Bの特性線を比べると明らかなように、本実施形態のマルチパスキャンセラ22を用いることにより、ほぼ正確に被変調波信号の波形を再現することができる。

0046

このように、本実施形態のFM受信機100は、マルチパス干渉によって生じる信号成分を予測し、この信号成分を中間周波信号から除去しているので、マルチパス干渉を受けていない状態の中間周波信号を復元することができる。したがって、マルチパス干渉による影響を取り除くことにより、出力音声をステレオ音声からモノラル音声に切り替える処理や、出力音声の高域成分を減衰させる処理を行うことなく、出力音声の音質を向上させることが可能になる。また、マルチパスキャンセラ22における処理をデジタル信号処理によって実現しているので、アナログ回路などを用いる場合に比較して、構成の簡略化が可能であるとともに特性のバラツキや経時変化が少なく、動作条件の微調整や設計変更なども容易になる利点がある。特に、デジタル信号処理専用のプロセッサであるDSPを用いているので、処理の高速化や構成のさらなる簡略化が可能となる。しかも、マルチパスキャンセラ22以外の構成が既にDSPによって実現されている場合には、マルチパスキャンセラ22の機能をこのDSPに盛り込むだけでよいため、特別な構成を追加する必要がなく、FM受信機100全体の装置構成を簡略化することができる。

0047

ところで、上述したマルチパスキャンセラ22では、中間周波増幅回路18内のSメータの出力信号に基づいて、レベル変動検出部52内のリミッタ80を動作させるようにしたが、このSメータ出力信号の交流成分による影響やデジタル化することによる遅延時間等を考えると、同等の信号をマルチパスキャンセラ22内で生成することが望ましい。

0048

図9は、マルチパスキャンセラの変形例の詳細構成を示す図である。図9に示すマルチパスキャンセラ22Aは、図2に示したマルチパスキャンセラ22に対して、A/D変換部51を省略するとともに、絶対値処理部62とローパスフィルタ(LPF)64を追加した点が異なっている。

0049

絶対値処理部62は、マルチパスキャンセラ22Aの出力であるデジタルの中間周波信号(IF信号)の絶対値を求める。ローパスフィルタ64は、絶対値処理部62の出力を平滑する。この平滑されたローパスフィルタ64の出力がレベル変動検出部52内のリミッタ80に入力される。

0050

このように、マルチパスキャンセラ22A自身の出力に基づいて、レベル変動検出部52内のリミッタ80を動作させる信号を生成することにより、マルチパス妨害の検出からマルチパスキャンセルまでの一連の動作をマルチパスキャンセラ22A内で完結させることができる。これにより、中間周波増幅回路18内のSメータの交流成分による影響やデジタル化したときの遅延時間等を考慮する必要がなくなるため、マルチパスキャンセラ22Aおよびこれを用いたFM受信機全体の設計が容易になる。

0051

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、マルチパスキャンセラ22をデジタル信号処理専用装置であるDSP20内に設けて処理を行わせていたが、DSPを用いず、他のデジタル回路あるいはマイクロプロセッサによってマルチパスキャンセラ22の機能を実現してもよい。また、アナログ回路を用いて同等の機能ブロックを構成してマルチパスキャンセラ22の機能を実現してもよい。

0052

上述した実施形態では、マルチパスキャンセラ22とFM検波回路24がDSP20に含まれていたが、DSP20に含ませる機能ブロックの範囲はこれに限定されるものではなく種々の変形例が考えられる。例えば、マルチパスキャンセラ22のみをDSPにより実現し、FM検波回路およびそれ以降の機能ブロックはアナログ回路によって実現してもよい。また、マルチパスキャンセラ22とFM検波回路24に加えて、後段のステレオ復調回路26や、図示しないその他の機能ブロック(例えば、出力音声の音質等を調整する機能ブロックなど)などを全てDSPによって実現してもよい。

0053

また、本発明は、FM放送電波を受信するFM受信機の他にも、FM変調波を受信するFM受信機の全般に広く適用することができる。

発明の効果

0054

上述したように、本発明によれば、マルチパス干渉によって生じる信号成分が予測され、この信号成分が中間周波信号から除去されるので、マルチパス干渉を受けていない中間周波信号を復元することができる。したがって、出力音声をステレオ音声からモノラル音声に切り替える処理や、出力音声の高域成分を減衰させる処理などを行うことなく、出力音声の音質を向上させることが可能になる。

図面の簡単な説明

0055

図1一実施形態のFM受信機の構成を示す図である。
図2マルチパスキャンセラの詳細構成を示す図である。
図3係数設定部によって設定される係数の具体例を示す図である。
図4レベル変動検出部の詳細構成を示す図である。
図5マルチパス干渉を受けた中間周波信号の一例を示す図である。
図6リミッタの出力値を示す図である。
図7リミッタ出力をローパスフィルタに通した結果を示す図である。
図8マルチパスキャンセラの動作を検証したシミュレーション結果を示す図である。
図9マルチパスキャンセラの変形例の詳細構成を示す図である。

--

0056

18中間周波増幅回路
20 DSP(デジタル信号処理装置)
22マルチパスキャンセラ
24FM検波回路
50、51アナログ−デジタル(A/D)変換部
52レベル変動検出部
54係数設定部
56乗算部
58 減算部
60遅延処理部
70ヒルベルト変換フィルタ
72、74二乗演算部
76加算部
78平方根演算部
80リミッタ
82ローパスフィルタ(LPF)
100 FM受信機

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