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技術 流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法

出願人 九州電力株式会社
発明者 辻浩平田尻隆中島智史水町豊片渕敏治加藤田博樹宇野隆二今泉幸男鎌倉宏樹原田達朗杉野弘法小柳智之
出願日 2001年11月26日 (19年1ヶ月経過) 出願番号 2001-360125
公開日 2003年6月6日 (17年6ヶ月経過) 公開番号 2003-161416
状態 特許登録済
技術分野 廃棄物の焼却、燃料生成物の除去 廃棄物の焼却(2) 流動層燃焼及び共振燃焼 廃棄物のガス化・溶融 流体と固体粒子存在下でのプロセス及び装置 るつぼ炉・流転床炉(炉4) 炉の廃ガス処理、炉の付属装置(炉一般4)
主要キーワード 機器内壁 溶融制御 X線回折法 生成開始温度 成績証明書 省資源性 耐火レンガ製 蒸気タービン発電システム
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重要な関連分野

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課題

本発明は、簡便かつ生産性に優れ、また、燃料種脱硫剤流動改善剤の種類や配合量によらず汎用性と自在性に優れるとともに信頼性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法を提供することを目的とする。

解決手段

本発明の流動層燃焼装置における流動状態予測方法は、溶融灰を構成する溶融元素含有率から前記溶融元素の標準酸化物換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率等に基づき前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記工程で算出された前記各成分比率と圧力とに基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えている。

概要

背景

近年、発電所ゴミ焼却炉等において、石炭ゴミ等の燃料流動化させ効率よく燃焼させる流動層燃焼装置研究開発されている。流動層燃焼装置を用いることにより、流動層燃焼装置内に配設した伝熱管から発生する蒸気で駆動する蒸気タービン発電システム構築できる。また、コンプレッサからの空気で加圧することにより燃焼装置内の酸素分圧を高めた状態の下で燃料を流動化させ燃焼させる加圧流動層燃焼装置を用いることにより、蒸気タービン発電に加え、燃焼排ガスを利用するガスタービン発電とを組み合わせて熱効率を向上させた複合発電システムを構築できる。流動層燃焼装置では、石灰石炭酸カルシウム)等が、流動層を構成する流動媒体として用いられているとともに、燃料燃焼過程で生成されるSOx石膏反応によって炉内で捕捉脱硫する脱硫剤として用いられている。しかし、従来の流動層燃焼装置においては、以下のような問題点を有していた。
(1)流動層を形成させるための気体が下から通過する分散器から石炭等の燃料が燃焼装置内に噴射される燃料ノズル近傍までの燃焼装置下部では、燃料中の揮発分が燃焼する等の要因で部分的に約1100〜1300℃の高温状態出現する。このような高温状態の中では燃料が燃焼した際に放出されSiやAlを有する灰分(チャーの有する灰分も含む)が溶融溶融灰を形成する。溶融灰は周囲に存在する石灰石等の脱硫剤を次々に付着し塊状物を形成する。さらに、SiやAlを含有し脱硫剤に付着した溶融灰は、脱硫剤に含有されるCaとの相互作用で脱硫剤の融点下げて溶融させ、さらに塊状物の粒成長を引き起こす。燃焼装置下部では、このような溶融灰の存在により脱硫剤の流動性が低下し、特に、粒径が大きく嵩密度の大きな塊状物の滞留時間が長くなり、さらなる流動不良と塊状化を引き起こす。そのため、流動層燃焼装置の長期間の安定的した連続運転を行うことが困難になるとともに、著しい場合には、流動層燃焼装置内に配設した伝熱管や内壁等に付着し流動層燃焼装置の操業に多大な悪影響を与えるという課題を有していた。そこで、近年、流動層燃焼装置の流動媒体の流動不良と塊状化を防止して流動状態を安定化させるために、流動層燃焼装置の運転方法について種々の検討がなされている。

従来の技術としては、特開昭58−160710号公報(以下、イ号公報という)に「石炭等の鉱物系燃料とともに金属アルミニウムを10%以上含有する粉末アルミニウム滓を供給する鉱物系燃料の流動床燃焼法」が開示されている。

特開2000−297915号公報(以下、ロ号公報という)に「カルシウム化合物マグネシウム化合物のいずれか一方又は両方を供給し、流動媒体や機器内壁への溶融灰質の付着を防止する流動層式燃焼炉の運転方法」が開示されている。

概要

本発明は、簡便かつ生産性に優れ、また、燃料種,脱硫剤,流動改善剤の種類や配合量によらず汎用性と自在性に優れるとともに信頼性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法を提供することを目的とする。

本発明の流動層燃焼装置における流動状態予測方法は、溶融灰を構成する溶融元素含有率から前記溶融元素の標準酸化物換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率等に基づき前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記工程で算出された前記各成分比率と圧力とに基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えている。

目的

本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡便かつ生産性に優れ、さらに燃料種,脱硫剤,流動改善剤の種類や配合量によらず汎用性と自在性に優れるとともに信頼性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することを目的とする。また、本発明は、流動層燃焼装置に供給する最適な脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を事前に決定でき、作業性と生産性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を用いた流動層燃焼装置の運転方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

燃料又は前記燃料が燃焼して得られる燃焼灰脱硫剤の各々に含有され前記燃焼灰、前記脱硫剤が溶融して生成される溶融灰を構成する溶融元素含有率から、前記燃焼灰、前記脱硫剤各々の前記溶融元素の標準酸化物換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記燃焼灰と、前記脱硫剤と、が単位時間あたりに供給される配合比と、前記換算含有率算出工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率と、に基づき、前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記成分比率算出工程で算出された前記各成分比率と、圧力と、に基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えていることを特徴とする流動層燃焼装置における流動状態予測方法

請求項2

燃料又は前記燃料が燃焼して得られる燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の各々に含有され前記燃焼灰、前記脱硫剤、前記流動改善剤が溶融して生成される溶融灰を構成する溶融元素の含有率から、前記燃焼灰、前記脱硫剤、前記流動改善剤各々の前記溶融元素の標準酸化物の換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記燃焼灰と、前記脱硫剤と、前記流動改善剤と、が単位時間あたりに供給される配合比と、前記換算含有率算出工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率と、に基づき、前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記成分比率算出工程で算出された前記各成分比率と、圧力と、に基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えていることを特徴とする流動層燃焼装置における流動状態予測方法。

請求項3

前記溶融状態推定工程で推定される前記融液量を、溶融制御手段を用いて、予め設定してある基準値に近づける溶融制御工程を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法。

請求項4

前記溶融制御手段が、(a)前記脱硫剤の種類、(b)前記脱硫剤の配合量、(c)前記燃料の種類、(d)前記流動改善剤の種類、(e)前記流動改善剤の配合量のいずれか1以上を変化させるものであることを特徴とする請求項3に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法。

請求項5

前記標準酸化物が、SiO2、Al2O3、CaO、MgOの4成分であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法。

請求項6

請求項1乃至5の内いずれか1に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法によって得られた最適な脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量に基づき、流動層燃焼装置に供給する脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を決定することを特徴とする流動層燃焼装置の運転方法

技術分野

0001

本発明は、流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、発電所ゴミ焼却炉等において、石炭ゴミ等の燃料流動化させ効率よく燃焼させる流動層燃焼装置が研究開発されている。流動層燃焼装置を用いることにより、流動層燃焼装置内に配設した伝熱管から発生する蒸気で駆動する蒸気タービン発電システム構築できる。また、コンプレッサからの空気で加圧することにより燃焼装置内の酸素分圧を高めた状態の下で燃料を流動化させ燃焼させる加圧流動層燃焼装置を用いることにより、蒸気タービン発電に加え、燃焼排ガスを利用するガスタービン発電とを組み合わせて熱効率を向上させた複合発電システムを構築できる。流動層燃焼装置では、石灰石炭酸カルシウム)等が、流動層を構成する流動媒体として用いられているとともに、燃料燃焼過程で生成されるSOx石膏反応によって炉内で捕捉脱硫する脱硫剤として用いられている。しかし、従来の流動層燃焼装置においては、以下のような問題点を有していた。
(1)流動層を形成させるための気体が下から通過する分散器から石炭等の燃料が燃焼装置内に噴射される燃料ノズル近傍までの燃焼装置下部では、燃料中の揮発分が燃焼する等の要因で部分的に約1100〜1300℃の高温状態出現する。このような高温状態の中では燃料が燃焼した際に放出されSiやAlを有する灰分(チャーの有する灰分も含む)が溶融溶融灰を形成する。溶融灰は周囲に存在する石灰石等の脱硫剤を次々に付着し塊状物を形成する。さらに、SiやAlを含有し脱硫剤に付着した溶融灰は、脱硫剤に含有されるCaとの相互作用で脱硫剤の融点下げて溶融させ、さらに塊状物の粒成長を引き起こす。燃焼装置下部では、このような溶融灰の存在により脱硫剤の流動性が低下し、特に、粒径が大きく嵩密度の大きな塊状物の滞留時間が長くなり、さらなる流動不良と塊状化を引き起こす。そのため、流動層燃焼装置の長期間の安定的した連続運転を行うことが困難になるとともに、著しい場合には、流動層燃焼装置内に配設した伝熱管や内壁等に付着し流動層燃焼装置の操業に多大な悪影響を与えるという課題を有していた。そこで、近年、流動層燃焼装置の流動媒体の流動不良と塊状化を防止して流動状態を安定化させるために、流動層燃焼装置の運転方法について種々の検討がなされている。

0003

従来の技術としては、特開昭58−160710号公報(以下、イ号公報という)に「石炭等の鉱物系燃料とともに金属アルミニウムを10%以上含有する粉末アルミニウム滓を供給する鉱物系燃料の流動床燃焼法」が開示されている。

0004

特開2000−297915号公報(以下、ロ号公報という)に「カルシウム化合物マグネシウム化合物のいずれか一方又は両方を供給し、流動媒体や機器内壁への溶融灰質の付着を防止する流動層式燃焼炉の運転方法」が開示されている。

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)イ号公報及びロ号公報に記載の技術は、燃料種によって灰成分やアルミニウム,カルシウムマグネシウム等の含有率が異なるため、燃料種が変わった場合にはアルミニウム滓,カルシウム化合物,マグネシウム化合物の最適添加量を把握することができず、実際に添加して流動状態を確認する必要があり試行錯誤を要し、作業性に著しく劣るという課題を有していた。
(2)燃料種によっては、アルミニウム滓,カルシウム化合物,マグネシウム化合物を添加しても流動状態が改善されず流動不良や塊状化を発生するものがある。このような燃料は使用できないので、燃料の購入に要した時間や費用が著しく損なわれ作業性に劣るという課題を有していた。
(3)脱硫剤の種類や配合量によっても燃焼装置内に存在するカルシウム量が異なるため、アルミニウム滓,カルシウム化合物等の最適添加量を把握することができず、実際に添加して流動状態を確認する必要があり試行錯誤を要し、作業性に著しく劣るという課題を有していた。

0006

本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡便かつ生産性に優れ、さらに燃料種,脱硫剤,流動改善剤の種類や配合量によらず汎用性と自在性に優れるとともに信頼性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することを目的とする。また、本発明は、流動層燃焼装置に供給する最適な脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を事前に決定でき、作業性と生産性に優れる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を用いた流動層燃焼装置の運転方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記従来の課題を解決するために本発明の流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法は、以下の構成を有している。

0008

本発明の請求項1に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法は、燃料又は前記燃料が燃焼して得られる燃焼灰、脱硫剤の各々に含有され前記燃焼灰、前記脱硫剤が溶融して生成される溶融灰を構成する溶融元素の含有率から、前記燃焼灰、前記脱硫剤各々の前記溶融元素の標準酸化物換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記燃焼灰と、前記脱硫剤と、が単位時間あたりに供給される配合比と、前記換算含有率算出工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率と、に基づき、前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記成分比率算出工程で算出された前記各成分比率と、圧力と、に基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えた構成を有している。この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)燃焼灰が溶融した溶融灰の融液は、周囲に存在する石灰石等の脱硫剤の粒子表面に付着する。融液量が少ないときは、付着した融液の粘性が高く融液が粒子同士を架橋し粒子同士を付着させ塊状物を形成する。融液量が多くなると、粒子表面に付着した融液の粘性が低くなるため粒子が分散し易く塊状物が形成され難い。従って、溶融灰の融液量は、流動状態を予測するための指標として適しており簡便であるとともに信頼性に優れる。
(2)流動層燃焼装置に供給される燃料が燃焼して得られる燃焼灰と脱硫剤との配合比を用いて、溶融灰における標準酸化物の各成分比率を算出し、溶融灰の融液量を推定するので、燃料種,脱硫剤の種類や配合量によらず汎用性に優れる。
(3)各成分比率を有する標準酸化物が熱力学的平衡状態における所定の温度範囲内で生成する溶融灰の融液量は、相図熱力学計算,耐火レンガ製造炉設計ソフト等を用いた計算等の手段を用いて求めることができるため、信頼性と作業性に優れる。
(4)溶融元素の標準酸化物を用いて推定を行うので、複雑な過渡状態は考慮せずに熱力学的平衡状態の場合のみを考慮すればよく、計算等の作業を簡略化でき作業性に優れるとともに一般化することができる。

0009

ここで、燃料としては、石炭,亜炭褐炭瀝青炭コークス石油コークスオイルコークスオイルサンド,重質油石炭液化残渣,ゴム古タイヤ廃油一般ゴミ一般廃棄物木質物,炭化物RDFやその他の炭化物,木屑産業廃棄物食品工場農業等で排出される有機残渣物,下水汚泥し尿処理汚泥工業廃水処理汚泥等やこれらの混合物が用いられ、燃焼灰としては、燃料が燃焼された後に残る灰が用いられる。脱硫剤としては、CaCO3(又は石灰石),MgCO3(又はドロマイト)の他、CaO,Ca(OH)2,K2CO3,貝殻等のカルシウムを含む水産廃棄物セメントスラッジ等が用いられる。

0010

溶融灰を構成する溶融元素としては、Si,Al,Ca,Mg等が用いられ、燃焼灰、脱硫剤を混合して加熱炉内で溶融させて実験的に作成した溶融灰や、流動層燃焼装置内で実際に生成された溶融灰等をX線回折法等で分析することによって特定される。溶融元素の含有率は、燃料又は燃焼灰、脱硫剤の各々を蛍光X線分析法等の方法で定量分析することで求めることができる。なお、燃料又は燃焼灰や脱硫剤等の成績証明書等に記載されている元素及びその定量分析結果を用いることもできる。

0011

標準酸化物としては、各溶融元素における酸化物のうち、天然に存在する等の最も安定な酸化物が用いられる。標準酸化物の換算含有率は、溶融元素の分析値と溶融元素の原子量と標準酸化物の分子量との関係から求めることができる。

0012

成分比率算出工程では、燃焼灰と脱硫剤とが単位時間あたりに供給される配合比と、成分比率算出工程で算出された標準酸化物の換算含有率と、に基づいて、(各成分比率の合計が100%となるように)溶融灰100%に対する各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出する。なお、燃焼灰の配合比としては、流動層燃焼装置に供給する燃料を燃焼して得られる燃焼灰の量を考慮して算出される。

0013

溶融状態推定工程では、成分比率算出工程で算出された標準酸化物の各成分比率と、圧力と、に基づいて、所定の温度範囲での熱力学的平衡状態における融液量や融液生成開始温度等が、相図や熱力学計算,耐火レンガ製造炉設計ソフト等を用いた計算等の手段を用いて推定される。なお、所定の温度範囲としては、溶融灰が溶融を開始する温度から流動層燃焼装置の最高到達温度までの温度範囲が用いられる。

0014

本発明の請求項2に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法は、燃料又は前記燃料が燃焼して得られる燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の各々に含有され前記燃焼灰、前記脱硫剤、前記流動改善剤が溶融して生成される溶融灰を構成する溶融元素の含有率から、前記燃焼灰、前記脱硫剤、前記流動改善剤各々の前記溶融元素の標準酸化物の換算含有率を算出する換算含有率算出工程と、前記燃焼灰と、前記脱硫剤と、前記流動改善剤と、が単位時間あたりに供給される配合比と、前記換算含有率算出工程で算出された前記標準酸化物の前記換算含有率と、に基づき、前記溶融灰における前記標準酸化物の各成分比率を算出する成分比率算出工程と、前記成分比率算出工程で算出された前記各成分比率と、圧力と、に基づき、熱力学的平衡状態において所定の温度範囲内で生成される前記溶融灰の融液量を推定する溶融状態推定工程と、を備えた構成を有している。この構成により、請求項1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)燃料と脱硫剤だけを流動層燃焼装置に供給するときに良好な流動状態が予測できない場合に、流動改善剤を添加することで溶融灰における標準酸化物の成分比率を変えることができ自由度を高めることができる。

0015

ここで、流動改善剤としては、脱硫剤の表面に生成される融液の量に影響を与え脱硫剤の流動状態を改善するMg(OH)2、Al2O3、Al(OH)3、ドロマイト,MgO,Mg(CO3)2等が用いられる。なお、燃料、脱硫剤、溶融灰を構成する溶融元素、標準酸化物、成分比率算出工程、溶融状態推定工程等は、請求項1で説明したものと同様のものなので、説明を省略する。

0016

請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法であって、前記溶融状態推定工程で推定される前記融液量を、溶融制御手段を用いて、予め設定してある基準値に近づける溶融制御工程を備えた構成を有している。この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)溶融制御工程を有しているので、計算された融液量が設定してある融液量の基準値と離れている場合には、溶融制御手段を用いて基準値に近づけ融液量を最適にすることができるので、流動状態を改善し正常な運転状態を得るための対策を事前に検討することができる。

0017

ここで、溶融制御工程は、溶融制御手段を用いて、融液量を予め設定してある所定の温度範囲内における基準値に近づける工程である。溶融制御手段としては、予め設定してある所定の温度範囲内における基準値に溶融灰の融液量が近づくように、溶融元素の標準酸化物の成分比率を変化させる手段が用いられる。基準値としては、所定温度範囲内における温度と融液量の関係として表される。また、基準値は、流動層燃焼装置が正常な運転状態が保たれていると判断されたときには、以前の基準値を更新して又は追加して登録して使用することができる。これにより、運転時間の積み上げに従って新たな基準値を得ることができ幅が広がるので、作業性に優れる。

0018

請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法であって、前記溶融制御手段が、(a)前記脱硫剤の種類、(b)前記脱硫剤の配合量、(c)前記燃料の種類、(d)前記流動改善剤の種類、(e)前記流動改善剤の配合量のいずれか1以上を変化させるものである構成を有している。この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量を変化させて融液量を制御する多様な溶融制御手段を有しているので、溶融制御手段の選択の幅が広く自在性に優れる。
(2)燃料の種類を変化させる溶融制御手段として、種類の異なる複数の燃料を混合したものを用いることができるので、流動不良や塊状化を発生するために使用できなかった燃料種も混合して用いることができ、燃料の購入に要する時間や費用等が損なわれず生産性と省資源性に優れる。
(3)脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量を変化させて融液量を制御する簡便な溶融制御手段を有し、さらに溶融制御手段を用いることによる流動状態の予測を事前に行うことができるので、生産性に優れる。

0019

ここで、前記溶融制御手段としては、(a)脱硫剤の種類、(b)脱硫剤の配合量、(c)燃料の種類、(d)流動改善剤の種類、(e)流動改善剤の配合量のいずれか1以上を変化させるものが用いられる。脱硫剤の種類としては、脱硫剤の種類や産地等が用いられる。単独の種類の脱硫剤を用いてもよいし、複数種を混合して用いることもできる。燃料の種類としては、燃料種や産地等が用いられる。脱硫剤と同様に単独の種類の燃料を用いてもよいし、複数種を混合して用いることもできる。流動改善剤としては、融液量を増加させるためにMg(OH)2、MgO,Mg(CO3)2、ドロマイト等が用いられ、融液生成開始温度を上昇させ融液量を減少させるためにAl2O3、Al(OH)3等が用いられる。流動改善剤の配合量を増加することによって、融液量の増減を顕著にすることができる。

0020

本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法であって、前記標準酸化物が、SiO2、Al2O3、CaO、MgOの4成分である構成を有している。この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)SiやAlを含有しCaとの相互作用で脱硫剤の融点を下げて溶融させる溶融灰にみられるGehlenite(Ca2Al2SiO7)やanorthite(CaAl2SiO8)等の融液量等を計算することができるとともに、溶融灰の融液量を増加させる働きをするMgの効果も予測することができ流動状態予測の信頼性に優れる。

0021

本発明の請求項6に記載の流動層燃焼装置の運転方法は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の流動層燃焼装置における流動状態予測方法によって得られた最適な脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量に基づき、流動層燃焼装置に供給する脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を決定する構成を有している。この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)流動状態予測方法によって得られた結果に基づき、流動層燃焼装置に供給する脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を決定するので、流動状態を改善するための試行錯誤を要さず作業性と生産性に優れる。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下に、さらに具体化した実施例について説明する。
(標準酸化物の換算含有率の算出)燃料としてブレアソール炭又は屯炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてMg(OH)2,Al(OH)3,ドロマイトのいずれか1種を用いる場合の流動層燃焼装置における溶融灰の融液量の推定を行った。換算含有率算出工程において、始めに、燃料のブレアソール炭及び南屯炭を所定量採取し、6mm程度以下の粒度に調整したものを流動層燃焼装置の燃焼温度以下の大気雰囲気中450〜600℃で約72時間加熱し燃焼灰を作成した。次に、作成された燃焼灰の成分分析を、蛍光X線分析法によって行った。分析結果を(表1)に示す。

0023

脱硫剤の石灰石についても蛍光X線分析法によって成分分析を行い、石灰石に含有されている溶融元素であるSi,Al,Ca,Mgの標準酸化物の換算含有率を求めたところ、SiO2:0.1wt%,Al2O3:0.01wt%,CaO:53wt%,MgO:0.5wt%であった。

0024

次に、流動改善剤としてのMg(OH)2の標準酸化物MgOの換算含有率(wt%)を求めた。Mg(OH)2の成分分析結果を(表2)に示す。

0025

(実施例1、実施例2、比較例3)燃料としてブレアソール炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてMg(OH)2を用いる場合の流動層燃焼装置における溶融灰の融液量を推定した。成分比率算出工程において、流動層燃焼装置に供給される燃料から生成される燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比に基づき、換算含有率算出工程において算出された標準酸化物SiO2,Al2O3,CaO,MgOの換算含有率を用いて、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有された溶融元素によって構成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。なお、燃焼灰と脱硫剤の配合比は、燃料(ブレアソール炭)の灰分を7wt%とし、Ca/Sモル比を3として決定した。脱硫剤は、脱硫効率を向上させるために、粒子径2mm以下のものを用いた。算出された実施例1、実施例2、比較例1における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表4)に示す。

0026

溶融状態推定工程において、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)、流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度、燃焼温度の各因子を用いて、耐火物レンガ製造炉設計ソフト「FACT」(開発元:モントリオール工科大学,輸入代理店:株式会社エクエストリアン)を用いて計算し、標準状態における溶融灰の各燃焼温度における融液量を算出した。なお、流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度は、1.6MPa(16ata)及び3vol%、燃焼温度の温度範囲は1000〜1500℃とした。計算結果図1に示す。図1横軸は温度を示し、縦軸は溶融灰中の融液量(wt%)を示す。ここで、燃焼温度の温度範囲としては、流動層燃焼装置の種類や燃料等の種類によっても異なるが、1000〜1500℃、好ましくは1100〜1300℃が好適に用いられる。温度範囲の下限が1100℃より低くなるにつれ溶融灰が融液を発生せず融液量を比較し難くなる傾向がみられ、温度範囲の上限が1300℃より高くなるにつれ融液量が多く差異判別し難くなる傾向がみられるため好ましくない。特に1000℃より低くなるか1500℃より高くなるとこれらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくないことがわかった。図1より、流動改善剤としてのMg(OH)2の添加量が増加するにつれ、約1200〜1400℃における融液量が増加する傾向にあることがわかった。これにより、Mg(OH)2は融液量を増加させる働きを有していることが推定された。なお、実施例1、実施例2、比較例1に示す配合比で、実際に350MW加圧流動層燃焼装置に燃料、脱硫剤、流動改善剤を供給し圧力1.6MPa、温度800〜950℃で燃焼させたところ、実施例1、実施例2においては、いずれも良好な燃焼状態が得られ、流動不良等によるトラブルの発生はみられなかったのに対し、比較例1においては、出力が低下するトラブルが発生した。調査したところ、塊状物の発生によるものであった。

0027

(実施例3、比較例2)燃料としてブレアソール炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてのAl(OH)3を用いる場合の流動層燃焼装置における溶融灰の融液量の推定を行った。実施例1と同様にして、成分比率算出工程において、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有される溶融元素によって生成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。実施例3、比較例2における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表4)に示す。次に、溶融状態推定工程において、SiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)、実施例1で説明した流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度、燃焼温度の各因子を用いて、耐火物レンガ製造炉設計ソフト「FACT」で計算し、標準状態における溶融灰の各燃焼温度における融液量を算出した。その結果を図2に示す。図2より、流動改善剤としてのAl(OH)3の添加量が増加するにつれ、約1200〜1300℃における融液量が減少するとともに、融液生成開始温度が上昇する傾向にあることがわかった。これにより、Al(OH)2は融液生成開始温度を上昇させ、融液量を減少させる働きを有していることが推定された。なお、実施例3、比較例2に示す配合比で、実際に350MW加圧流動層燃焼装置に燃料、脱硫剤、流動改善剤を供給し圧力1.6MPa、温度800〜950℃で燃焼させたところ、実施例3においては、良好な燃焼状態が得られ、流動不良等によるトラブルの発生はみられなかったのに対し、比較例2においては、出力が低下するトラブルが発生した。調査したところ、塊状化した流動媒体の発生によるものであった。

0028

(実施例4、比較例3、比較例4)燃料としてブレアソール炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてドロマイトCaMg(CO3)2を用いる場合の流動層燃焼装置における融液量の推定を行った。成分比率算工程において、流動層燃焼装置に供給される燃料から生成される燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比に基づき、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有され溶融元素によって生成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。なお、燃焼灰と脱硫剤の配合比は、燃料(ブレアソール炭)の灰分を7wt%とし、脱硫剤と流動改善剤(ドロマイト)の合計と燃料とのCa/Sモル比を6として決定した。算出された実施例4、比較例3、比較例4における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表4)に示す。次に、溶融状態推定工程において、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)、実施例1で示した流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度、燃焼温度の各因子を用いて、耐火物レンガ製造炉設計ソフト「FACT」で計算し、標準状態における溶融灰の各燃焼温度における融液量を算出した。計算結果を図3に示す。図3より、流動改善剤としてのドロマイトの添加量が増加するにつれ、約1250〜1350℃における融液量が著しく増加する傾向にあることがわかった。これにより、ドロマイトは融液量を増加させる働きを有していることが推定された。なお、実施例4、比較例3、比較例4に示す配合比で、実際に350MW加圧流動層燃焼装置に燃料、脱硫剤、流動改善剤を供給し圧力1.6MPa、温度800〜950℃で燃焼させたところ、実施例4においては、良好な燃焼状態が得られ、流動不良等によるトラブルの発生はみられなかったのに対し、比較例3、比較例4においては、いずれも出力が低下するトラブルが発生した。調査したところ、塊状化した流動媒体の発生によるものであった。

0029

(実施例5、実施例6、実施例7)燃料として南屯炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてのMg(OH)2を用いる場合の流動層燃焼装置における融液量の推定を行った。成分比率算出工程において、流動層燃焼装置に供給される燃料から生成される燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比に基づき、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有され溶融元素によって生成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。なお、燃焼灰と脱硫剤の配合比は、燃料(南屯炭)の灰分を7wt%とし、Ca/Sモル比を3として決定した。算出された実施例5、実施例6、実施例7における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表5)に示す。

0030

(比較例5、比較例6)燃料として南屯炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてAl(OH)3を用いる場合の流動層燃焼装置における融液量の推定を行った。成分比率算出工程において、流動層燃焼装置に供給される燃料から生成される燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比に基づき、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有され溶融元素によって生成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。なお、燃焼灰と脱硫剤の配合比は、燃料(南屯炭)の灰分を7wt%とし、Ca/Sモル比を3として決定した。算出された比較例5、比較例6における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表5)に示す。次に、溶融状態推定工程において、SiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)、実施例1で示した流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度、燃焼温度の各因子を用いて、耐火物レンガ製造炉設計ソフト「FACT」で計算し、標準状態における溶融灰の各燃焼温度における融液量を算出した。計算結果を図5に示す。図5より、流動改善剤としてのAl(OH)3の添加量が増加するにつれ、約1150〜1300℃における融液量が減少する傾向にあることがわかった。しかし、ブレアソール炭の場合にみられた融液生成開始温度の上昇は確認されなかった。なお、比較例5、比較例6に示す配合比で、実際に350MW加圧流動層燃焼装置に燃料、脱硫剤、流動改善剤を供給し圧力1.6MPa、温度800〜950℃で燃焼させたところ、いずれも出力が低下するトラブルが確認された。調査したところ、塊状物の発生によるものであった。

0031

(比較例7、比較例8、比較例9)燃料として南屯炭、脱硫剤として津久見産の石灰石を用い、流動改善剤としてドロマイトを用いる場合の流動層燃焼装置における溶融灰の融液量を推定した。実施例4で説明したのと同様にして、成分比率算出工程において、流動層燃焼装置に供給される燃料から生成される燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比に基づき、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤とに含有され溶融元素によって生成される溶融灰の各標準酸化物の成分比率(wt%)を算出した。なお、燃焼灰と脱硫剤の配合比は、燃料(南屯炭)の灰分を7wt%とし、脱硫剤と流動改善剤(ドロマイト)の合計と燃料とのCa/Sモル比を6として決定した。算出された比較例7、比較例8、比較例9における燃焼灰、脱硫剤、流動改善剤の配合比と、標準酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)を(表3)に示す。次に、溶融状態推定工程において、SiO2,Al2O3,CaO,MgOの成分比率(wt%)、実施例1に示す流動層燃焼装置内の圧力及び酸素濃度、燃焼温度の各因子を用いて、耐火物レンガ製造炉設計ソフト「FACT」で計算し、標準状態における溶融灰の各燃焼温度における融液量を算出した。計算結果を図6に示す。図6より、流動改善剤としてのドロマイトの添加量が増加するにつれ、約1000〜1350℃における融液量が増加する傾向にあることがわかった。なお、比較例7、比較例8、比較例9に示す配合比で、実際に350MW加圧流動層燃焼装置に燃料、脱硫剤、流動改善剤を供給し圧力1.6MPa、温度800〜950℃で燃焼させたところ、いずれも出力が低下するトラブルが確認された。調査したところ、塊状物の発生によるものであった。

0032

以上、実施例と比較例を用いて説明したように、換算含有率算出工程と成分比率算出工程とで算出された結果を基に溶融状態推定工程において推定される所定の温度範囲内における融液量と、実際の流動層燃焼装置の運転状態(安定運転の可否)との間には、相関のあることが明らかになった。従って、燃焼灰と脱硫剤と流動改善剤の配合比によって融液量を推定することにより、流動層燃焼装置における流動状態を予測できることが明らかになった。また、燃料種が変わったときに、融液量及び流動層燃焼装置の運転状態が変わることがあることが明らかになった。さらに、流動改善剤としてのドロマイト,Mg(OH)2等の添加量を増加させるにつれ、融液量が増加する傾向を示し、Al(OH)3等の添加量を増加させるにつれ融液量が減少するとともに融液生成開始温度が上昇する傾向を示すことが明らかになった。従って、流動層燃焼装置に供給する燃料種を変えたり2種以上の燃料を混合したりすることや、流動改善剤の種類や添加量を変えることで、融液量や融液生成開始温度の制御ができ流動層燃焼装置の運転状態を良好にできることが明らかになった。このことから、(a)脱硫剤の種類(脱硫剤の種類を石灰石からドロマイトに変える等)、(b)脱硫剤の配合量、(c)燃料の種類(複数の燃料を混合することを含む)、(d)Mg(OH)2,Mg(OH)2,ドロマイト等流改善剤の種類、(e)流動改善剤の配合量のいずれか1種以上を変化させることを溶融制御手段として用い、溶融元素の標準酸化物の成分比率を変化させ、融液量を予め設定してある所定の温度範囲内における基準値に近づける溶融制御工程を用いることで、融液量や融液生成開始温度の制御ができ流動層燃焼装置の運転状態を良好に保つことができることが明らかになった。さらに、流動層燃焼装置を運転する際には、実施例1乃至7に示す温度と融液量との関係を基準値として用い、所定の温度範囲で生成される溶融灰の融液量がこの基準値に近づくように脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量を決定することで、流動層燃焼装置における流動状態が良好になるように事前に推定することができることが明らかになった。

発明の効果

0033

以上のように、本発明の流動層燃焼装置における流動状態予測方法及びそれを用いた流動層燃焼装置の運転方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。請求項1に記載の発明によれば、
(1)燃焼灰が溶融した溶融灰の融液は、周囲に存在する石灰石等の脱硫剤の粒子表面に付着する。融液量が少ないときは、付着した融液の粘性が高く融液が粒子同士を架橋し粒子同士を付着させ塊状物を形成する。融液量が多くなると、粒子表面に付着した融液の粘性が低くなるため粒子が分散し易く塊状物が形成され難い。従って、溶融灰の融液量は、流動状態を予測するための指標として適しており簡便であるとともに信頼性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。
(2)流動層燃焼装置に供給される燃料が燃焼して得られる燃焼灰と脱硫剤との配合比を用いて、溶融灰における標準酸化物の各成分比率を算出し、溶融灰の融液量を推定するので、燃料種,脱硫剤の種類や配合量によらず汎用性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。
(3)各成分比率を有する標準酸化物が熱力学的平衡状態における所定の温度範囲内で生成する溶融灰の融液量は、相図やFACT等の耐火レンガ製造炉設計ソフト等の手段を用いて求めることができるため、信頼性と作業性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。
(4)溶融元素の標準酸化物を用いて推定を行うので、複雑な過渡状態は考慮せずに熱力学的平衡状態の場合のみを考慮すればよく、計算等の作業を簡略化でき作業性に優れるとともに一般化することができる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。

0034

請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、(1)燃料と脱硫剤だけを流動層燃焼装置に供給するときに良好な流動状態が予測できない場合に、流動改善剤を添加することで溶融灰における標準酸化物の成分比率を変えることができ自由度の高い流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。

0035

請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、(1)溶融制御工程を有しているので、計算された融液量が設定してある融液量の基準値と離れている場合には、溶融制御手段を用いて基準値に近づけ融液量を最適にすることができるので、流動状態を改善し正常な運転状態を得るための対策を事前に検討することができる流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。

0036

請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量を変化させて融液量を制御する多様な溶融制御手段を有しているので、溶融制御手段の選択の幅が広く自在性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。
(2)燃料の種類を変化させる溶融制御手段として、種類の異なる複数の燃料を混合したものを用いることができるので、流動不良や塊状化を発生するために使用できなかった燃料種も混合して用いることができ、燃料の購入に要する時間や費用等が損なわれず生産性と省資源性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。
(3)脱硫剤の種類や配合量、燃料の種類、流動改善剤の種類や配合量を変化させて融液量を制御する簡便な溶融制御手段を有し、さらに溶融制御手段を用いることによる流動状態の予測を事前に行うことができるので、生産性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。

0037

請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、(1)SiやAlを含有しCaとの相互作用で脱硫剤の融点を下げて溶融させる溶融灰にみられるGehlenite(Ca2Al2SiO7)やanorthite(CaAl2SiO8)等の融液量等を計算することができるとともに、溶融灰の融液量を増加させる働きをするMgの効果も予測することができ信頼性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を提供することができる。

0038

請求項6に記載の発明によれば、(1)流動状態予測方法によって得られた結果に基づき、流動層燃焼装置に供給する脱硫剤、燃料、流動改善剤の種類や配合量を決定するので、流動状態を改善するための試行錯誤を要さず作業性と生産性に優れた流動層燃焼装置における流動状態予測方法を用いた流動層燃焼装置の運転方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0039

図1実施例1、実施例2、比較例1の温度と融液量との関係を示す図
図2実施例3、比較例1、比較例2の温度と融液量との関係を示す図
図3実施例4、比較例3、比較例4の温度と融液量との関係を示す図
図4実施例5、実施例6、実施例7の温度と融液量との関係を示す図
図5実施例5、比較例5、比較例6の温度と融液量との関係を示す図
図6比較例7、比較例8、比較例9の温度と融液量との関係を示す図

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